過去のコラム(Column201〜260)
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Column260 2008/9/20 up
■ 「当たり前」を見直す
昨今、色々な事件が起こり、誰もが水と安全は只だと思っていたのも過去の話となりましたねえ。
牛肉は大丈夫か、餃子は大丈夫か、お米は大丈夫かと神経を尖らせていると、かつてのO157による食中毒事件多
発後の、まな板を消毒したり、トマトを茹でて皮剥きしていた頃を思い出してしまいます。
喉もと過ぎれば何とやらで、時間が経てば、平気で牛肉を食べたり、生野菜を食べるようにもなってしまうわけですが、
それでも結構、食の安全に関わる事件が相次いでいることと、凶悪な殺傷事件の多発もあり、安全が当たり前な世の
中ではなくなって来たな、とか、自分の身の安全は、自分で守らなければいけない世の中になってきたな と真剣に考
えるようになってきました。
かつての当たり前が、当たり前ではない。そんなことを思い知らされるこの頃です。
実は、そんな話は、仕事の場面でも多々発生してます。
若い社員に仕事を教えていても、「こんな簡単なことは知ってて当たり前、出来て当たり前。常識だよね。」なんて調子
で、もう一歩上の指導をしようものなら、「なんだかちんぷんかんぷん。今年の新人、何にも出来ないジャン。」なんてこ
とになりかねません。
というか実際に、周囲で多発しております。
でも、ようく周囲を観察してみると、別に新人相手でなくても、この「当たり前だよね」という勝手な思いがネックとなっ
て、部下や後輩に任せた仕事がうまく進まない。コミュニケーションがチグハグ。なんでだろ。なんてことは日常茶飯
事です。
横で聞いていて、何でもう少し細かく指示しないのだろう。何で、聞き返さないのだろう。という仕事の会話もゴロゴロし
ています。きっとお互いに、「●●で判るよな。」「■■という意味だよな。」と勝手に想像しちゃっているのでしょうね。
ここで大事なのは、
自分の当たり前、A君の当たり前、B君の当たり前を ちょっと疑ってみて、きちんと再確認してみることです。
つまり世の中当たり前なんてないんだと、お互いの常識を疑ってみる必要があるわけです。
きちんと相手に確認する癖をつければ、当たり前だとか、常識だとか思っていたことが、単なる先入観に過ぎないの
だなと気づくことでしょう。
また特に、相手を先入観で考える癖は、ベテラン社員や、自分の経験勘で仕事を進めるような方に多いように見受
けます。そんな方に、相手にきちんと細かな部分をまで確認したほうが良いですよ。なんて助言しようものなら、
「馬鹿言ってるんじゃない。 判ってるに決まってるだろ。」なんて言い返されそうですが、私なら、そんな方と仕事を
するのはお断りです。
でも、でも、
「近頃の若い者は」と常識の違いを嘆く言葉も、エジプトの古代王朝の遺跡に書かれていたのが確認されたそうで
すから。当たり前とか、常識なんて通用しないよというのは有史以前のことなんですよ。
Column259 2008/9/19 up
■ 裸の王様はマイナス情報に耳を塞ぐ
マイナス情報をいかにきちんと伝えるか。
先日はそんな話をしましたが、世の中にはマイナス情報を受け付けない上司、TOPもいます。
トラブルの報告でもしようものなら烈火のごとく怒りだし、本人だけではなく、周囲の方も居たたまれないくらい部下を
責めまくる上司って、あなたのそばでも見かけませんか?
そんな上司の部下になった日には、よっぽどのことでもない限り、上司にマイナス情報を報告する部下などいません。
よしんば、マイナス情報を報告しないだけならまだ被害は少ないですが、マイナスをプラスと偽って報告するやから
も出てくるでしょう。それは世の常。 当然のことです。
上司にしてみれば、仕事やプロジェクトがうまく進んでいると思っていたのに、蓋を開けてみたら、まったくひどい状態
で手遅れだったなんてことにもなりかねません。
でも、自業自得、自分で巻いた種ですから。
・・・とは、本人は決して思わないでしょうねえ。 きっと、仁王像のような形相で怒るのでしょうねえ。
そうなると、マイナス情報が報告されないだけではなく、たとえその上司が明らかに間違っていても意見をして正して
くれる方はいなくなります。まあ言ってみれば裸の王様。
人との関係にコニュミケーションの果たす役割が大きいのは当たり前ですが、そのコミュニケーションを効果的に活
用し、双方向の意思疎通の流れを確立するか、それとも一方通行の意思伝達にのみ利用するかで、コミュニケーシ
ョンの効果は全く正反対のものとなります。
多くの方は、無意識のうちに、自分の培ってきたコミュニケーション方法を良しとするか、もしくは、そもそもコミュニケ
ーションなんて概念もないかも知れません。でも時には、自分のコミュニケーション手法が人間関係やビジネスに悪
影響をおよぼしていないかとか、相手の話をきちんときけているかとかを点検してみることは絶対に必要です。
その点検を怠ってしまえば、何故か判らないが、恋人も友人も短期間しか続かないとか、
ビジネス上の話なら、前述のように自分に正しい情報が集まらなくて、正しい判断が出来ないなんてことにもなります。
決して大袈裟な話ではありません。
でも、コミュニケーションをもう一歩進めて、恋人や友人に自分の考えを押し付けるのではなく、相手の考えを聞いた
り、ビジネスであれば、ミスを犯した部下を責め立てて心の逃げ道を奪い満足するのではなく、ミスの原因を尋ねる、
問題点を確認させる、対策を考えさせると一歩ずつ確実にコミュニケーションを深めることで 、再発防止と、部下の
成長の一石二鳥へとミスを昇華することも可能なのです。
マイナス情報に耳を塞がないこと、もう一歩進んで、自分のコミュニケーションを点検すること。
どちらも役に立ちますよ。裸の王様にならないために。
Column258 2008/9/18 up
■ マイナス情報をいかに伝えるか
企業内での情報伝達、共有に関するお話です。
昨今、不詳事や製品トラブルで右往左往する企業が山ほどありますが、企業トップにそんな突発的な出来事やマイナス情
報がきちんと伝わっている企業ってあるのでしょうかね?
もちろん、従業員が数名とか数十人程度なら、事件や事故の概要はTOPにきちんと伝わるでしょうが、 それ以上多くの社
員がいたり、営業所だの工場だのが各地に分散している企業なら、本当のところ、どんな事件が起こったのか、 原因は何
なのか、 誰が悪いのか 等々の詳細は、中々、TOPや担当役員、社内の責任部署には伝わらないことは、 想像に難くな
いです。
経営層が自ら悪事に手を染めているのならいざしらず、中々、正しい情報が伝わってこないことにいらだつ経営層は多いで
しょうし、コンプライアンスや危機管理に力を入れようとしている企業では、さぞや苦労しているでしょうね。
とっ、実は、
私も、勤務先社内の企業倫理やら危機管理に頭を悩めている一人で、コンプライアンス委員会を立ち上げたり、研修会、
説明会を開催したりと努力はしていますが、ちょっとした事件の情報が流れてこなかったりして苦労しているところです。
例えば、事業所のある●●県で震度5の地震が発生しても、被害が有ったのか、無かったのか情報が来ない。
しかも、現地に電話しても電話が繋がらない。 ・・・・ そんなことはしょっちゅうです。
実のところ、その辺りの情報伝達ルールは明確にしてあるのですが、必ずしも、ルールをきちんと理解している方が、その
場にいるとは限りません。
ちょっとした事件事故くらいなら、マイナス情報であるが故に、発生部門で握り潰される事だって、世の中には多々あるで
しょう。まあ、世の中とはそんなものです。
後からおおごとになって、何で知らせなかったんだ。なんてTOPが怒ることは往々にしてあります。
とはいえ、小さなことまで伝えても、迷惑でしょうし、伝える側もいちいち報告したくはない。
・・・それが、一般的な企業人の行動、思考でしょう。ねえ。
でも、それは、とっても前時代的。 ・・・・ 20世紀の考え方ですよ。
そんな考え方のもとでは、情報共有も危機管理もあり得ません。
いまの時代であれば、企業内の出来事はプラスの出来事、マイナスの出来事、何の変哲のない出来事であっても、その
全ての動向が、経営層に流れ、それを取捨選択するのは相手に任せる。
といった考え方で情報管理していくことが必要です。
でも、そんなこと出来るのか?・・・だからこそ、私も社内で苦労しているのですが。
事件をきちんと事件なんだと思ってもらうもらうためには、「事件」というくくりではなく、
「マイナスな出来事」=「マイナス情報」として分類し、大きなマイナスか、日常的なマイナスかに関わらず、きちんと出来
事の内容が記録され、危機管理部門で閲覧可能にすることを、私も提唱しはじめています。
事件性があるか、大きな出来事か、はしょせん決め付けの判断でしか分類できないのです。
まずは、伝えること。情報共有すること。判断はTOPがすればよい。・・・そんな考え方です。
そうすると、たいしたことでもないのに、チャチャを挟まれたり、口出しされていやだ。
・・・まっこうから、そう反論する方も社内にはいます。
でも、企業である以上、 気になることに、経営層や危機管理部門が興味をもつのは当たり前です。口出しされるのがいや
だというビジネスの進め方や、自分で情報を囲い込んで結果だけ伝えるような仕事の進め方は、経営判断を誤らせる最大
の原因であり、とても、とても時代遅れなのだと、何度も、何度も説明するしかありません。
時には、不祥事を起こした企業の事例を元に、判り易く、何故、こんな大企業が消え去ることになったのかと、
説明しちゃいます。
それを、自分の身に当てはめて、真剣に考える方が少ない。しかも、経営層にもそんな方が多いのが、ちょっと頭痛の種で
もありますが。
まあ、やるっきゃないです。
Column257 2008/9/15 up
■ 堀 紘一さんの『リーダーシップの本質』
本日はリーダーシップについて。
私は仕事柄、新任管理職の方々に、リーダーシップとは何かと説明することがあり、私自身も、リーダーシップっ
て何だとか、リーダー(指導者)とマネージャー(管理者)の違いって何だろうと専門書をひも解くことが多いのです
が、『会社が放り出したい人、1億積んでもほしい人』の著者でもある堀紘一さんの書いた『リーダーシップの本質』
に面白いことが書かれていました。
曰く、組織には、そこに人が集まった目的がある。
企業であれば、利益創出が目的と思われがちであるが、ビジネスの基本は利益至上主義などではなく、付加価
値の創出にこそ基本がある。
組織の中でリーダーには、明確なビジョンを持ち、そこに至る目標、戦略、方法を考え、メンバーに徹底し、 組織
の目標を達成していくことが求められる。
またリーダーには、目標達成のために、「人・物・金」の資源を適切に配分、配置する権限がある。
また、強い組織を作る為には、 最前線で働くメンバーの迷いを吹っ切っることが必要であり、繰り返し、目標を示
し、そこに向かってメンバーを引っ張っていくことが求められる。
そして、メンバーに責任を押しつけないことも強い組織には必要である。
しかし、強大で不滅な過去の国々ローマ帝国も唐も江戸幕府も、永遠に続くかと思われていたのに結局は滅び
たし、民間企業なら尚更で、永遠の安定などありえない。(リーマンブラザーズしかりですね。)
そして、現在のように混迷の度合いを深める社会 ・経済の環境の変化のような、未経験の新しい状況に対しても、
リーダーは正しい判断をし、正しい決定をしなければならない。 故に、リーダーは得られる情報の中から、変化
の性格、向かっている方向、本質をできるだけ正確に読み取り、有効かつ可能と思われる手段を尽くすことが求
められる。
従って、どの角度からも眺められる柔軟な発想を持つことが資質として必要である。
但し、企業においては、管理職に任命されて始めて権限を持つことになるが、 その時はじめてリーダーシップを
発揮しようとしても、決して変化についていけるリーダーにはなり得ない。
リーダーシップは天性のものではなく、鍛えられるものであり、管理職予備軍には、権限の有る無しに関わらず
日頃より、自らの考え方と行動でリーダシップを発揮していくことが求められている。
・・というような内容です。
リーダーシップ論に正解などないと思う昨今。非常に判り易い内容です。私も、ほとんどの内容に同感です。
でも、書かれていることをどう実践しようかと思うと、難しそうだなとの思いが残ります。
私が勤務先の管理職の方々に研修等で説明していることは、この本に書いてあることとは、若干の違いはありま
すが、まあ、本質は同じでしょう。
でも、どんな話をしたところで、 自分のビジネススタイルやリーダーシップスタイルを変えてまで、仕事の成果を
上げようという方はほとんどいません。思うに、リーダーの方々に変わってもら為に必要なのは、本人のニーズ
なのでしょうね。
会社には、管理職や管理職予備軍のリーダーシップを向上させて強い組織、将来に亘って安定する組織にした
いなという思いはあっても、リーダー本人にはそんな思いはないでしょう。
大事なのは、リーダーシップの本質を語ることではなく、リーダーをその気にさせる何かが必要。
そう思うこの頃です。
でも、その気にさせる何かって、いったい何なのでしょうねえ? 報酬。地位・名誉。やりがい。
やりがい以外は、限りがあり、一企業の抱える全ての管理職の欲求を満たすことは難しそうです。
・・・・ となると、企業が社員にかなえられるのは「やりがい」なんでしょうかねえ。
でも、やりがいってとても難しい部分ですね。
個人差が大きいでしょうし、楽しい仕事ばかりだったら、会社も社員から入場料が取れるでしょうしね。
TVドラマで働き甲斐を感じてバリバリやるOLなんかが登場すると、有りえないよTVの中だけでしょ。
なんて思ってしまいます。
尚更難しそうですねえ。
Column256 2008/9/13 up
■ 自分だけの視点で語るな
先週の土曜の夜NHKで税金に関する討論番組が放映されていました。伊吹文明財務大臣、竹中平蔵元大臣、森永
卓郎さん、慶応大土居准教授 等の経済の専門家の方々の他、色々な立場の一般の方々が参加されていました。
税金の使い道の話としての年金問題等の社会保障や中小企業支援の話やら、消費税値上論議やら、税金をキーワ
ードに激しい議論です。
税金論議については、色々な立場、色々な考え方があるのだなあと思いながら見ていたのですが、とても気になる場
面が幾つかありました。
それは、多くの方々が、自分の立場でしか者を見ていない、考えていないということです。
特に、一般参加の方々の意見の大勢は、消費税反対、大企業からたっぷり税金を搾って、中小企業を支援すべき。
・・・・ というような感じです。
リスクを覚悟し、頑張って成果を上げた者は、個人であれ企業であれ、それに見合う見返りを受けるのが自由経済の
原則。
投資家や大企業に今まで以上の課税を課すのは、経済の停滞を招きますよ、という慶大土居先生の主張もかき消
されがちです。一般庶民も生活が苦しくなってますからねえ。
とはいえ、あくまで大企業を敵視する中小企業経営者の方が何人もいました。
防衛費なんていらない。国民に還元しろという女性経営者の方の言い分は、多くの国民の声に近いとはいえ、あまり
にも一元的なものの見方しかしていないのだなあ。・・・という感じなのです。
社長さんは、大企業であれ、中小企業であれ、企業を経営している以上、自分の先見性と、商売のうまさ、人の使い
方のうまさで勝負し、景気が良ければ儲けるし、景気が悪いときに潰れないように、資金や投資の安全確保策をしな
くてはならないでしょう。
仕事が出来ても、出来なくても、時には病気で休んでもお給料をもらえるサラリーマンとの大きな違いなわけです。
過去に儲かった時だってあるでしょう。という感じ。
あと、防衛費。
参加者の方が、具体的に言ったのは、何十億もする戦車や飛行機の購入費用分を自分達の支援に回せということ
でした。
私自身も気持ちとしては、全く同感なのですが、冷静に考えれば、自衛隊の戦車や飛行機が本当にいらないと何で
言い切れるのか。・・とも思います。
自前の防衛装備を持たないのなら、米軍に思いやり予算どころか、武器や人件費を全て整えられるだけの費用負
担を求められるでしょう。
米軍が守ってくれなかったら。 誰が守ってくれるのか?
誰も日本に攻めてなんか来ない。昨今の物騒な世界の中で、この参加者は言い切れるのでしょうか。
もちろん、私のこんな考えも一つの意見に過ぎません。
全く反対の意見の方からすれば、世界は平和だよ。 あなたは偏ってると言われかねません。
当然、正解なんか存在しませんし、色々な見方があるからこそ、バランスが取れるわけで、皆で意見を出し合う討論
会なら、どんどん色々な意見、見方が出ていいのですが、参加者の方々の物言いは、どう考えても自分だけが正し
いと信じ、他の意見をかき消そうとしているような雰囲気でした。まるで、政治家の討論会。
そういえば、伊吹大臣の意見は、ことごとく、一般市民感情をさかなでするような感じで、それ故、逆に、一般の方がい
きり立っているような感じもしました。
まあ、繰り返しますが、討論であって、最善の結論を求めるわけではない番組です。
色々な意見があるものだと確認出来ただけで良しとする番組なのでしょうね。 ・・・・ ちょっとモヤモヤしますが。
Column255 2008/9/10 up
■ 報・連・相は一度に一つだけ!
毎日見ている日経産業新聞に、報・連・相(ホウレンソウ)に関する記事が載っていて、社内コミュニケーションをうまく
行うコツが色々書かれていました。
企業における実例や、その道の専門家やHOWTO本の著者の方のノウハウ等を織り交ぜて、ビジネススキルを紹介
するコーナーで、私はいつも楽しみにしています。
実は、今回の記事の中で、気になったのは、良い報・連・相の例より、悪い報・連・相の例です。
実のところ、会社の偉い方が、新入社員等を前にして 「報・連・相が大切だよ」 と言うシーンを頻繁に見かけます。
でも、私の自論では、上司には、部下が 「上司 報・連・相をする気になる」 雰囲気作りというものが必要だと思います。
例えば、どんなにきちんと報告や相談をしても、それに対する明確なフィードバックがなければ、部下は報・連・相をす
る意味を見出せなくなるでしょう。
しかしながら、そんな努力を全くしないで、報・連・相が大切などと言う方の多いこと多いこと。
コミュニケーションの為の努力を怠る上司は、どんな会社にも大勢いるのです。
へそが茶をわかしちゃいますよ。全く。
さてそれでは、記事に戻り、報・連・相をする側の心得として悪い部分。
● 嘘の報告をする。
こんなことダメに決まってますが、堂々と、同僚なら誰でも分かる嘘を付く方は、いますよねえ。
● 主観や思い込みを混ぜた報告をする。
そうそう、自分の思い込みで、変な方向に人の考えを誘導してしまう方がいます。
こんな報告だと上司もミスジャッジしちゃいます。
●相手に判断の下駄を預け、自分の考えがない。
これも、困ります。一体君はどうしたいんだ。なんて大声を出しちゃう上司もいるでしょ。
でも、別に大声を張上げる必要はありません。君の考えを聴かせてくれ。 と、普段から言うようにすれば、部下も
段々と自分で考えるようになります。
これって、コーチングの考え方なんですよ。
でも、一番気になった、悪い報・連・相の仕方。それは、
● 一度に3つ以上の事を伝える。
そうなんです、人は一度にきちんと冷静に物事を考えることが出来るのは一つだけなんです。
聖徳太子は別として。
例えば、一度に3つの質問をされても、3つめなんて覚えてますか?
たいていの方は、もう1回聞き直すでしょ。
正しい判断、アドバイスを貰おうと思うのなら、報・連・相に限らず、1度に一つだけというのはコミュニケーション術
の鉄則なのです。
どうしても、相手に3つ以上のことを伝えたいのなら、最低限、一度に3つ伝えて意見を求めたりせずに、一つづ
つ、ゆっくり相手に考えてもらい、ちょっと間を置きながら順番に次の話に移りましょう。
もちろん、それでも思考が止まっちゃう方や、考えがずれちゃうもいますよ。
例えば、誰かに指示をする場合も同じ。 一度に一つだけ。覚えておきましょう。
繰り返しますが、コミュニケーションの鉄則です。
Column254 2008/9/8 up
■ 仕事を任したくらいで、覚えるか?
先週末は、会社の行事でテンテコマイでした。
でも、今週も結構、会議が詰まってます。しかも、その多くの司会が私。
というより中身も準備しなくてはならないので、ここ2週間位は手一杯となっています。
そんなわけで、仕事を周囲に振らなければならないのですが、先週末の行事では、準備段階から任せた担当者がどうに
も、こうにも経験不足で不十分。
私と担当者の間にいる管理職の部下は、担当に任したからと、細かいことは教える気は無い様子。
まあ、それも1つの教育方法ではありますが、相手によりけり。
この行事、社内行事ではなく、グループ会社10社が半日かけて発表を行う結構大きな行事です。 当日は、他社からも
応援がくるので、彼らの動きも決めておかなくてはいけません。
ところが、待てどくらせど、準備が進まない。 各社から発表資料を集めさせれば、締切までには、集められない。
たまに本人から、何か書類が出来てきても、何の書類かよく判りません。
しかも、中間の部下を通じて催促しても、「本人には言ってるんですけどねえ」。と言いわけばかり。
しかたなく担当者に、仕事を事細かに指示し、どうしても、彼が能力的に出来ない部分 (行事の進行表です) は叩き台を
作ってあげました。
しかし、今度は、その叩き台をもとに、各担当との打ち合わせが出来ない。
要は、経験不足、能力不足により、全く、先へは進めないのです。
当日も、事細かに教えた指示を実行せずに、彼は大きな失敗をしました。
発表者のピンマイクを、発表者が交代する度に胸元に付けてあげて、更にマイクをトントンと叩いて、音が出るかまでチェ
ックをするように指示したのですが、離れた席から見ていると、発表者の胸元にマイクを付けただけで、音をチェックして
いません。
しかも、私がチェックをしろと合図をしようとしても、こちらを全く見ていません。
更には、実際、スイッチが入ってなくて、会場後方の方々には全く聞こえなかったのです。発表者の声が蚊が泣くように
小さかったことも災いしました。
同じような類の失敗は、行事の間中、何度もありました。
この場合は、事前にチェック方法まで指示していたわけで、彼は、勝手に私の具体的な指示を勝手に自分の頭の中でデ
フォルメし、「マイクを発表者に付ける」 という低レベルな作業に置き換えていたのでしょう。
要は、決していいかげんな人間というわけではないのに、30才を超えても、雑用以外何にも出来ない。実際にそんな方
がいるんですよ。
結局、期待して仕事を任した意味は、本人的に、大きな行事を担当した気になれたという以外は、殆ど無かったような気
もします。能力以上の仕事を任して成長を期待するか、ある程度レールを引いた仕事を着実に実行させるか、社員の教
育においては、常に判断に迷うところです。
つまりは、具体的に指示をするかのと、本人に考えさせるのと、どちらは本人の成長につながるか? ということです。
そして、今回の出来事を通じて、確信を深めたのは、仕事の目的を考えられる人間かどうかで、仕事の任せ方を判断
すべきだということです。
例えば、事細かにチェック方法を説明しても、マイクを付けるのが仕事と思うのが精一杯の人間なのか?
それとも、会場の方々に対し、発表内容が確実に聞こえる、資料が見える、理解出来る状態を提供するのが、自分の役
割だと、理解出来る人間なのか?ということです。
これは、以前にもご紹介した3人のレンガ職人の話にも通じます。
通りがかりの旅人が、せっせと作業するレンガ職人に何をしているのかと尋ねると、
一人目は、自分はレンガを積上げていると言い、
二人目は、自分たちは家を作っていると言ったそうです。
そして、三人目の職人は、新婚夫婦が幸せに暮らせる住まいを作っていると胸を張って言いました。
自分の仕事や作業をどう認識しているのかは、その仕事の成果を大きく左右するはずです。
そして、誰もが、三人目のレンガ職人のように考えているとは限りません。
まあ、いずれにしても、限られた社員で仕事をこなすには、教育を投げ出すわけにはいかないということだけは事実
です。
Column253 2008/8/23 up
■ 発想の転換について
さてさて、先日の続きです。
自分の考えをきちんと相手に伝えるためには、相手の立場で思考することが必要という話をしましたが、でも、
もう一歩考えると、中々、自分の考えから抜け出せない方って、いわば、発想の転換が出来ない方なのでは
ないかなと思います。
時と場合にもよりますが、私なりに考えると、自分の発想を切り替える最善の方法は、ちょっとだけ、発想を
転換しようなんてことは考えずに、やるときは、大胆に発想を変えるということです。
例えば、経費を5%、10%削減しようなんて考えると、あっちを削って1%、こっちを削って1%なんて話にな
りませんか。
でも、経費を50%カットしようと思ったら、仕事の進め方、物事の考え方をまったく違った観点で考えなくては
なりません。
経費を人に置き換えても同じ。10人でやっていた仕事を8人でやろうと思えば、2人分の仕事を残りの8人で
分担しなければならなくなり、皆から文句が出るでしょう。
でも、10人でやってた仕事を5人とか、3人でやらなくてはならないとなれば、もはやそんな分業の話ではな
く、今まで必要と思っていた作業をばっさり切り捨てたり、作業の大半を外注して、残りの3人で外注先の管
理を行うというようにするしかないでしょう。
あくまで、例なので、そんな単純な話でもないですが、発想は、ちょびちょび転換は出来ないということです。
私も仕事の上では、発想の練習だと思って、Aという方法を改良するということではなく、Bという新しい方法
を探すような、発想の転換を心がけています。
そして時には、A’と、Bのどっちがいいかと比較検討したりもします。
大胆って、こういう時に使うんだよね。なんて言いながら。
Column252 2008/8/18 up
■ 言い間違いの深層心理
白川日銀総裁が、政策金利据置きの会見で、金利を言い間違えた件が、金融関連のマスコミ関係者の間で話題
となっているそうです。
会見にて、「景気の停滞を受けて、金利を年率0.5%に据え置く」と発表すべきところを、「年率0.75%」 と言い
間違えてってしまったそうなのですが、そもそも0.75%に金利を上げる計画があったのではないかとの憶測を
呼んでいるのです。
このマスコミの読みは、心理学的には結構いい線いってます。
というのも、心理学上ではいい間違いは、実は、いい間違えた本人の本音を示していると分析されるのが一般的
なのです。
単純に考えると、心の中に強く染み付いた本人の思いや、事前の作業で何度も目にしたり、口にしている間に、
本人の頭の中に刷り込まれた事柄が、慌てた際に、ついつい口から出てしまうわけですが・・・。
有名な心理学者のフロイトは、
会議の開会を告げる際に、閉会と言ってしまった司会者が、実は、早く家に帰りたがっていたという事実を知った
ことから、言い間違いの研究を行い、言い間違いは、単純なミスなどではなく、間違えた本人の深層心理に関連
していると結論付けたそうです。
この考えに沿えば、
白川総裁自身は、金利を現状の50%増しの0.75まで上げたいと思っているのではないかと推測できるわけ
です。
皆さん、決して、言い間違いで本音を語らぬよう、ご注意下さい。
Column251 2008/8/15 up
■ 人に物を伝える難しさ
相手に伝えたいことが、うまく伝わらない。そんなことはありませんか?
私なんかしょっちゅうなのですが、よくよく原因を考えてみると、実は、いたって明快なんです。
相手に自分の伝えたいことが伝わらない原因は、あくまで、自分自身の価値観、自分自身の知識、自分自身の立場
や職務の観点で物事を考え、その内容を相手に伝えようとしているからです。
当然ながら、あれどうなったとか、それ頼むよとか、言うことが多い方は、確実にこの状態に陥っています。
その為、よほどの以心伝心の間柄でもなければ、話を聞いている相手にしてみれば、あなたが何を言いたいのかが
ちんぷんかんぷんだったり、仮に、多少うまく伝わったような気がする場合でも、肝心要の一番伝えたい部分が伝わ
っていない。
・・・なんてことも。
分かりやすい例が、機械が壊れた時に、修理の業者の方が専門用語をまくし立てて何がなんだかわからない。
なんてことです。
つまりは、自分の視点から抜け出せない。こんな方は、何を伝えようとしても、相手に適切には伝わらないでしょうね。
まあ、誰にとっても、相手の気持ち、相手の目線になるのは難しいものです。
では、どうすれば良いのか?
私の場合は、この人(相手)の知りたいことは何だろう?
この人(相手)の知識はどのくらいだろう? と考えてみること。
想像つかなければ、本人(相手)に聞いてみるのも1つの手。 ・・・くらいに考えています。
相手に直接聞くのが、難しい状況なら、きっと相手は、この件については初心者と同じ。
一度に色々伝えずに、1つずつ確実に理解してもらおう。 ・・・とも思っています。
そして、そんな時は、まずは、大きく伝え、理解しているか顔色をうかがって、次第に噛み砕いて伝えたりもします。
しかし、何よりも一番重要なことは、相手にとっては自分(私)がしゃべったことや、伝えようとしたことではなくて、実
際に理解出来て、伝わったことが、全て。・・・ということです。
そんな考え方を常に意識すること自体が、双方向のコミュニケーションが成立する最低条件だと思うのです。
Column250 2008/8/10 up
■ HOW TO物の効用
いつも読んでいる経済誌を広げると、「「超」 速戦脳力を鍛える!」。
そんなタイトルで、仕事の進め方、頭の使い方に関する記事がで特集されていました。主に、コミュニケーション術、
タイムマネージメント術の紹介です。
リーダーは対話に時間を割け。
相手に考えさせる為には質問に工夫を。
質問より、聞くことが信頼関係には大切。
相手の立場で考えろ。相手に目線を合せろ。
教えを請う姿勢を相手に見せる。
質問は具体的に。
会話にリズムを。
頷き、相槌を使え。
まずは、じっくり聞いてから、質問で深堀りしろ。
EQ(感情の知能指数)を活用し相手を理解、心の距離を近づけろ。
目標達成をイメージしろ。
目標達成日から逆算してスケジュールを立てろ。
20:80の法則で2割のことに力を入れろ。
完璧主義を止め8割で満足しろ。
記事中では、著名人や、その道の専門家が、概ねそんなことを伝えています。
実は、この内容とは、ほぼ、このブログや私のホームページで伝えてきたこと。
そして、私が現在の出向先の役員・全管理職に3年間に亘ってメールマガジンで伝えてきたこと。 と
ほぼ一致する内容が、広く浅く記載されているのです。
私は、こうした最近はやりのコーチングのテクニックだったり、ファシリテーションだったり、心理学だったり、交渉
術だったり、時間活用術だったりする、いわば前向きに生きるための数々のテクニックを、一括りにまとめてコー
チングと呼んでしまっております。
その上で、これらの手段を用いて、自らのモチベーションを高め、前向きに生きようとすること自体が、一種の「文
化」なんだと勝手に思っています。
でも、私自身の活動を通して、感想を言わせていただくと、残念なことに、 そのようなテクニックを幾ら不特定多数
の方々に紹介しても、それを自分のものとしてうまく使っている方は、ほとんどいないと思います。
そしてもう1つ、このようなHOWTO物を使いこなせる方には、大事な条件があるとも、確信しています。
その条件とは、まず仕事でも、プライベートでも何かしら現状に困っていること、悩みがある。またその原因は、自
分自身の人との関わり方や、仕事の進め方等に問題があると本人自身が気づいている。
更には、自分自身の普段の発言や行動のスタイル。極言すれば生き方そのものを直したいと思っていることが、
こうしたHOW TO 物をきちんと活用出来るための最低条件なのだ、と思います。
そんな気の無い方に、どんなに役立つ HOW TO を無理やリ説明しても無駄。
全く喉の渇いていない方々に、この水は美味しいから是非飲みなさいと言うようなものです。
私は今までの活動でそれを確信しました。
しかし大問題なのは、現実的には多くの方々のコミュニケーションには問題があるし、 周囲の方のモチベーショ
ンを下げている方も結構大勢いて、日々の生活や仕事に支障を来たしているような気がすることです。
要は、迷惑な方はいっぱいいるのに、ほとんどの方は自分自身の考え方、発言、行動等のスタイルが間違って
いるなんて思ってはいないのです。
このような方々に、効果的なコミュニケーション方法を説明したり、面談方法に関するビデオを見せたりしても、
俺のスタイルとは違う。なんてへそを曲げられてしまいます。
本当のところ、HOWTO物に書いて欲しいのは、広く浅い各種テクニックの紹介などではなくて、進んで自分を
変えようとは思っていない方々を、どうすれば変えられるのか。・・なんですけどねえ。
まあ、永遠の課題ですね。
Column249 2008/7/31 up
■ 今月のOLマニュアルはコーチング特集!
今月の「OLマニュアル」の特集はコーチングです。
あっ、OLマニュアルって、私の勤務先で女性に回覧しているA5版110ページ程度の月刊誌で、過去にも何度かご
紹介させていただいております。
>>> http://www.kens-p.co.jp/info/olmanual.html
残念ながら、書店では売っていないのですが、仕事と生き方について考えるワーキングガールのための月刊誌とい
う副題の通り、モチベーション向上というよりは本人の前向きな生き方や成長の支援を目的として、ビジネススキルや
メンタルヘルスの紹介、職場での問題解決につながる情報等が満載されています。
簡単料理のレシピ、経済情報の見方、慶弔や人付き合いのマナー、個人にかかる税金の知識、そして時には転職情
報や男女のトラブル回避術が掲載されていたりもします。
実は、何年も購読していると、同じようなテーマが順繰りで回ってもくるので、わが社の女性陣は斜め読みして、忘れ
ちゃう程度の捉え方だと想像できますが(失礼)、私は結構はまっていて、必要な部分をコピーして、各種スキルを仕
事や社内でのコミュニケーションに利用したりもしています。
しかも、コーチングを真面目に紹介してくれていることからも、私のブログやHPの本来のテーマにぴたりと当てはま
っているのです。
おっと、
よく見ると、今月号のコーチング特集の執筆は、何度かお会いしたことのあるコーチ・トゥエンティワンの方ではない
ですか。営業担当として私の勤務先にも足を運んでくれていたんですよね。 ・・・・ 頑張ってるんですねえ。
まあ、女性だけのものにしておくのはもったいない雑誌。そんな感じですよ。ほんと。
Column248 2008/7/22 up
■ グレッグ・ノーマンにパワーを貰う
このHPや私のブログを訪問していただける方々には、ゴルフ好きの方はほとんどいないような気もしますが、
グレッグノーマン というプロゴルファーをご存知でしょうか。
私はへたっぴであったため、ゴルフ(をプレーするの)が嫌いなので、もう何年もゴルフから遠のいていますが、
ノーマンの名前は過去の英雄として記憶していました。
ノーマンは、かつて世界ランキング1位になり、困難なコースで闘われる全英オープンを2度制した男です。
・・・そんな彼も今は53歳。
その彼が今年の全英オープンで快進撃。一時は首位にまで。
首位で迎えた最終日の結果は3位でしたが、若き日の活躍を彷彿させる以上に、強い風や難コースに苦しみ
ながら戦い抜いた素晴らしい試合でした。(ゴルフってあんまり試合って言いませんが。)
ゴルフは年齢に関わらず楽しめるスポーツ。そうは言いますが、それも遊びのゴルフでの話です。
タイガーウッズに代表される若手選手が首位争いをするのが日常なのです。
伝統の一戦における50代のノーマンの頑張りは、多くの中高年にやる気を与えたでしょう。
テニスの伊達さんの頑張りの10倍くらいは驚きがありましたよ。だって50超ですからねえ。
私も将来そんな挑戦を忘れない50代、60代になりたいものです。
Column247 2008/7/21 up
■ スケジュールに敏感な訳
生徒さん、学生さんたちはもう夏休みですね。
小学生の娘(次女)の部屋に行くと、ホワイトボードに塾やお祭り、その他の予定が記載してありました。昔から、
スケジュール管理には敏感なのです。
何日も前から、○月○○日は、どこどこに行くからねと言うのも、彼女の口癖です。
実は、高校生の長女が、年初まで受験生だったので、塾や模試があったり、最近では、部活が忙しかったりと、
休日に家族で外出できる日が限られているからなのです。
また、自分自身も6年生になって、特にこの夏休みは塾が増えており、友達どおしで出かけられる日も貴重にな
っています。
妹としては、家族にきちんと予約して、確実に遊びに行きたいわけです。
限られた時間を有効に使うためには、スケジュール管理が欠かさない。・・・大人としても見習いたいものです。
Column246 2008/7/1 up
■ インフォーメーションとインテリジェンスの違い
先日、私の勤務先社内で、各部門の業務実施状況を部門長が報告し、役員および他の部門長がアドバイスや指示
・指導事項を述べ合う会議がありました。一日使って行なうのですが、司会は私です。
その会議において、幾つかの部門から、競合物件 (オフィス賃貸) の現況調査のついての報告がありました。
当社の物件と競合する立地にある物件について、施設の状況(グレード)や募集賃料等を分析した内容の報告です。
何かが足りない、司会者の私も気づきました。
色々頑張って調べているのですが、ライバルが手ごわいのを確認しただけの分析結果のような気がしたのです。
TOPの役員は言いました。
調べた努力は買うが、景気の悪くなってる昨今に、どうすればライバルの優位に立てるのかは、いつ誰が報告してく
れるのだろうか?
そう、このままでは、しょうがないねと慰めあうか、お互い責任ないよねと確認し合う会議になってしまいます。
数ヵ月後にある、次回の報告会には、対策とその実施可否の議論があるのでしょう。
さて、さて、
情報を分析することが目的ではなく、分析した情報をどう解釈し、どう対応していくかと考えることが目的であることを
忘れてしまった例なのですが、実は本日、目にした雑誌に、大事な考え方が載っていました。
実は、本日も、起訴休職外務事務官 佐藤 優 氏からの受け売り。 「東洋経済」の記事からなのですが。
佐藤氏は、自らの業務を 「インテリジェンス」 と称しています。
インテリジェンス≒知 識? なんて思いながら、同氏の過去の一連の記事を読んでいたこともあるのですが、
佐藤氏の言うインテリジェンスは情報分析です。要は、諸外国の動向を分析するわけです。
では、情報と、インテリジェンスはどう違うのか?そんな定義の話が載っていました。
曰く、 情報は、インフォーメーションとインテリジェンスに区分される。
インフォーメーションは、情報収集、観察、報告、画像他、各種の収集された 「マテリアル」 である。
すなわち未評価、未加工の状態である。と。
これに対して、
インテリジェンスは 収集されたインフォーメーションを 加工、統合、分析、評価、解釈した「プロダクト」である。と。
判りやすい説明です。
この説明に従うのなら、当社の報告会では、インフォーメーション(マテリアル)の内容について 説明があったものの、
インテリジェンス(プロダクト)についての説明はなかったわけです。
必要なのは、ライバルの強さをどう分析、解釈し、どういう対策打つのか。そんなプロダクトです。
インテリジェンスの大切さを、我が身をもって解く、佐藤 起訴休職事務官は、仕事において大事なのは何かが、すご
くよく判っていたのでしょうね。
Column245 2008/6/30 up
■ 一度に2つも、3つも指示するな!
実は、先日の土曜日は、小学生の娘の授業参観でした。
同じ曲を、グループ毎に違う味付けで順番に演奏するという音楽の授業です。
まあ、全員参加の授業ですから、演奏のレベルはそれなりでしかありませんし、当日は、発表 (演奏) 後に、色
々意見を出し合うだけですが、きっと事前の準備段階では、どんな楽器で、どんなアレンジで、チームワークは、
練習は、と色々考えたり、話し合ったりと学ぶべきことが多そうな面白い授業であったことが想像出来ます。
発表を見ているだけでも、中々良かったです。
でも実は、気になったことが一つ。 授業が始まる前に他の教室をプラプラしていた時のことです。
他のクラスで、教室を移動しようとしていた生徒達に、先生が色々指示を出しています。
急ぎなさい、あれして、これして、あれ持って、これ持って、それも、これもと、幾つもの指示をびっくりするくらい
矢継ぎ早に出していました。
生徒は皆、たぶん、言われた指示の内、一つか二つしか覚えていないだろうな。そんな気がしました。
***
コーチングではよく、相手の理解を促すために、一度に質問をするのは一つだけ。という考え方をします。
コーチングは、相手に自分で考えさせたり、 気付きを与えたりして、 自主的な行動を促す為のコミュニケーシ
ョン術であり、きちんと考えさせるためには、相手がきちんと理解できるように話かける必要があります。
例えば、失敗した部下に対して、
「何をやっているんだ?」と言ったとしても、
「自分は何をしているのだろうか?」と自問するのではなく、怒られたと思うだけでしょう。
でも、
「何が原因で失敗したんだろうね?」と、急かさずに問いかければ、
「失敗の原因は、何だろうか?」と考えるでしょう。
少し間をおいて、
「その原因は、排除出来ないのか?」と次の質問をすれば、
「原因を無くすために出来ることは何かな?」と考えることが出来るかもしれません。
相手の思考を確実に促すためには、矢継ぎ早な質問はマイナス効果です。
「えーっと、えーっと、何だっけ。」と混乱するだけです。
だから、一度に質問は一つだけ。という訳です。
これは、一度に指示は一つだけ。と考えることもできます。
あなたがもし、人に道を尋ねて、
「そこをまっすぐ行って、2つ目の信号を右折、その後、50m位行って、駐車場の角を左折、
そこから5、6軒目の白い家の路地を入って奥から3軒め。」
なんて言われたら、確実に行き着けるでしょうか。
メモに書いてもらうか、
再確認しながら、しっかり道筋のイメージを描かないと、難しいでしょう。
***
まあ、学校の先生は、大勢の生徒が短時間に移動するのに、それぞれの係りに対し、忘れ物なく、また、
行動を間違えないように指示をしたかったのでしょう。
でもたぶん、生徒は「うるさいな」と思っただけで、指示の中身は、ほとんど聞いてはいないでしょう。
少なくとも、皆の表情はそんな感じでした。
指示内容をメモにして、相手に渡すのではないのなら、
一度に質問は一つだけ。一度に指示は一つだけ。・・・コミュニケーション術として覚えておいて損はないです。
Column244 2008/6/29 up
■ ファシリテーションの時代
先日、ある地方大学の就活女子学生を面接したのですが、
彼女は、「大学で、ゼミ以外で最近学んだことを教えて下さい。」 という私の質問に対し、
「ファシリテーションを学びました。」 と応えました。
時代は変わったものだなと、ちょっとびっくりしたのですが、彼女が学んだファシリテーションとは、このサイトや
ブログでもご紹介した、物事の考え方や、会議での意見をきちんと整理する「ファシリテーション」です。
ファシリテーションのテクニックには、コーチングとラップするところが多いんですが、
例えば、会議において、この役割を果たすのがファシリテーター。
ファシリテーターは単なる司会者ではありません。
立場が違う出席者たちの主張を対立という形で浮き立たせるのではなく、異なる意見をきちんと整理し、お互い
の意見の一致する部分、妥協できる部分を明確にし、出来るだけ多くの出席者が納得できる結論を導きます。
地位が高い、声が大きい、論理的に思える、しつこい、同じ意見が多い、
そんな理由が結論を導き出すことが多い世の中で、組織やチームがミスジャッジしないためには、ファシリテ
ーションの手法を理解し、正しい結論を導き出せる方の存在は重要です。
ちなみに、同じ意見が多いって、つまりは多数決で、合理的な結論が導き出されているような気がしますが、同
じ会社に長く勤めている方々や、同じ業界に身を置いている方々だけが集まって会議をしようものなら、その集
団における多数決って、決して合理的ではないのですよ。
だって、同じ境遇に長くいれば、考え方は似てくるものですよ。
考えが似た方々が議論している状態では、客観的な判断は難しいものなのです。
例えば、泥棒が5人で集まって、泥棒はいけないことかと議論したって、
刑務所に入るのはいやだから、もう止めようという結論にはなるかもしれませんが、いけないことだからやめよ
うという結論にはなりにくいでしょ。・・・きっと。
私も以前、第一人者である堀公俊先生の講座を受講しましたが、ファシリテーションはある意味、「意見(理論)
の見える化」なのではないかなと思いました。
Aという主張(方法)とBという主張(方法)のメリット・デメリットを表にして整理できれば、れはもう立派なファシ
リテーションでしょう。
更には、αという観点ではAのメリットは何、デメリットは何。βという観点では、・・。と層別できれば大したも
のです。
実は、セルフコーチ Skill26 「限られた時間を有効活用する」でも触れた「QC手法」には、
80:20の法則による、20%の特定部位への集中攻撃的な側面と、ファシリテーションによる、考え方の整理
や層別という側面の、両方の要素がきちんと結合しているように思います。
その割にはQCは、その考えの過程を説明する各種資料の作成や、発表方法が重視され、発表の準備として
の面倒くさい部分のみがクローズアップされ、時代遅れのような扱いを受けているようです。
ちょっと残念。
実は、私の勤務先では、QC手法で問題を整理しようかなどと言ったとたん、
「えー。QCですか。時間かかるし、やりたくないですよ。」
「勝手にやってください。」
「形だけやっときましょう。」 なんてセリフが飛び交います。
QCで発表が重視されるのは、どこかの部署でうまく問題を解決した手法を、社内に水平展開するためなので
すけど、行き過ぎちゃったのでしょうねえ。
世間一般においても、QCは本来、答えを導きだすべき手法 (=過程) なのに、発表のために、まず、資料を
作りやすい答えを考えておいて、どうやって答えを導き出した(=過程)かを、後付けで資料化する風潮が蔓延
したため、QC=面倒クサイ、QC=結論ありきの手法というような誤解が渦巻いているのです。
しかも以前、勤務先社内で、ファシリテーションを紹介するレポートを流したのですが、QCの考え方と、基本
はほぼ同じだと気付いた方はいませんでした。
つまり、「ファシリテーション」 とか、「見える化」 とかは、決して新しい考え方ではないのですが、
あくまで、考え方の手法として着目し、うまく活用されることで、光が当たってきているような気がします。
さて、冒頭の女子学生は、就職後にファシリテーションをうまく活かせるでしょうかねえ?
Column243 2008/6/28 up
■ 起訴休職外務事務官 佐藤 優 のプラス思考
皆さん、佐藤 優 という名前を覚えてますか?
現在、本人の自称するところでは、起訴休職外務事務官。
背任および偽計業務妨害容疑で逮捕された外務省の官僚で、1、2審での有罪を不服として、最高裁で係争中なの
ですが、鈴木宗男議員との関係を取りざたされ、外務省のラスプーチンとまで言われたたあの男です。
実は、この佐藤氏(有罪確定前なので、呼び捨てはやめておきます。)、「週刊 東洋経済」 にビジネスマンとしての
処世術のようなものを本人のノウハウや実体験を中心に執筆しているのですが、これがなかなかのもの。
裏技・策略的な部分を除けば、まさしく、コーチングであり、コミュニケーション術なのです。
とにかく、こんな頭のいいやつ、賢いやつが世の中にいたのかというような感じ。腐って逮捕された外務官僚という私
の頭の中のイメージが完全に払拭されております。 佐藤氏は究極の前向き男なんですよ。
逮捕の原因となった、国後島のディーゼル事業入札での三井物産への便宜供与や、イスラエルの民間学者の招
聘費用の支払い(もう覚えてないでしょ、そんなこと)も、私利私欲ではなく、外務省内では日常茶飯事の強引かつ、
裏技・策略的な仕事の進め方が鈴木宗男氏寄りであったために、田中真紀子大臣(当時)と完全に衝突してしまっ
たのが原因とも思えていまいます。
(あくまで、彼の文章から類推するとという意味であり、真実はわかりませんが。)
ところで、その週刊東洋経済の文章の内容ですが、
・チームの人心掌握の為には、部下の叱り方、褒め方はどうあるべきか。
・仕事を通じた自分の目的・目標を達成するために、どう前向きに仕事や勉強に取組むべきか。
・他部門・部局との調整を有利に進めるためには、どういう交渉術を駆使すべきか。
全てが実体験で書かれています。方法論だけで結果が見えてこない、本屋に並んだ数々のビジネススキル指南
本やコーチング入門書の数段上を行く内容です。
もちろん、時には、そんなコミュニケーション術が、鈴木宗男氏をうまく使って(つるむわけではなく)、他の部局に
圧力をかける手法になっていくわけです。
ロシア大使館勤務では、情報関係部門のフロアに現地の清掃人を入れれないため、下っ端として、人がいやがる
トイレ掃除を、積極的にこなしたということまで書かれています。
東大出身ではない佐藤氏が官僚としていかに、プラス思考での処世術を駆使し、ヒール(悪役)に徹してのし上っ
たか、そして落ちたかの実録としても面白く、単行本としての出版が楽しみでもあります。
というより、
最近は、官僚の行動が、馬鹿にされている世の中になってきましたが、官僚の方々って、能力的にはすごいんで
すねえ。
でも、良い方向に活かされることはないのでしょうかねえ。
Column242 2008/6/26 up
■ オートマ社員
最近、何でも自動化されて、操作が簡単な機器が増えてきましたね。
まあ、HDDレコーダーみたいに 高機能製品は別ですけど、 デジカメだって、人物・風景を普通に撮る
ならシャッターを押すだけです。
洗濯機だって、炊飯器だって、駅の改札だって、
ボタンを押すか、カードをかざせば、当たり前のように機械が勝手に判断して動いてくれる時代です。
でも、社内でとある出来事があり、ちょっとばかり考えさせられました。
とある作業を一般社員に説明する為の資料を、30才の社員に作らせたのですが、使用しているデジカ
メで撮った写真の映りがかなり悪かったのです。
「これ光っちゃってて、何か判らないよ。マニュアルで撮ってごらんよ。」 と私。
「はい、やってみます。」 と彼。
しかし、その後取り直した写真も、やはり写りが悪い。
「あれどうしたの、マニュアルで調整したんじゃないの?」
「マニュアルで撮ったんですけど。さっきと変わらないんですよ。」
カメラを手にとってみると、ダイヤルはM(マニュアル設定)の位置。
試しに、露出調整ボタンを2回押して、暗めに設定して撮影し、モニターで確認すると綺麗に写りました。
「おいおい、綺麗に撮れるぞ、何やってたの。」
「えー。ダイヤルをMにして撮ったんですけどねえ。」
「ダイヤルをMにして撮った?でっ、どう調整したの?」
「えっ!調整って?マニュアル(M)にすれば、もっと綺麗に写るのじゃないんですか?」
「自動で調整されるからAutoなんであって、マニュアルは自分で調整するに決まってるだろ。」
「えっ、そうなんですか。知りませんでした。」
「カメラは、ピントやシャッタースピードや、露出 つまり明るさ調整なんかがあるだろ?
Autoならカメラが勝手に判断して調整するけど、マニュアルでは自分で調整するんだよ。」
「えっ、カメラの明るさって調整出来るんですか?ボタン押せばいいのかと・・。」
「車だって、自動でギアが変わるからオートマなんだろ、手動でギアを変えるのはマニュアルでしょ。」
「そういえば、教習所ではマニュアル車でしたね。」
(彼がオートマ免許だったら、危なく話がそこで終わってるところでしたよ。)
「仕事として、お給料貰ってやってるんだから、判らなきゃ説明書読んで解決しなくちゃダメでしょ。」
「はい。」
そうです、彼は、そもそもボタンを押すだけで写るカメラしか知らなかったのです。
マニュアルで調整するカメラなんて見たことないとも言ってました。
・・携帯電話のカメラだって、撮影シーンに併せて色々調整出来るんですけどねえ。
そういえば以前、行事をビデオ撮影させたら、やたら映りが悪かったのも同じ原因と思い当たりました。
(会場の明るさ等がビデオの自動調整の範囲を超えていたのに、調整しなかったのです。)
うーん、そんな時代なのです。
腕時計だって、電波で自動時刻調整される時代です。
30歳くらいまでの社員には、「世の中には自分で調整しなきゃ使えない道具もあるんだよ。」 といちい
ち、丁寧に言わなきゃイカンのでしょうかねえ。
(2015年注釈)
40歳になる今の部署の部下もデジタルカメラをマニュアルで露出が調整できることを知りません
でした。そもそも露出や絞りという光量調整の言葉を知らないようです。悲しい時代となりましたね。
しかも、この世代の共通点は、どこかにマニュアル (説明書の意味のマニュアル) はないですか?
という発言が多いこと。
彼ら、とほほっ!な社員のことを 「マニュアル社員」 と呼んでいたのですが、
どうやら 「オートマ社員」 と呼ぶほうが、適切な呼び方のような気がしてきました
Column241 2008/6/1 up
■ 心の闇(病み)
2日続いた雨が止み、本日はうって変わって、爽やかな朝でした。
ちょっと涼しいですが、外(おもて)に出れば暖かそうです。
皇居マラソンがあるようですが、走りやすいでしょうね。むしろ、暑いかも。
でっ、今朝は、家族で朝食をとりながら、TVのNEWSを見ていたのですが、江東区のOL殺人事件の犯
人像、そして川田亜子アナウンサーの自殺をとりあげていました。
実は、江東区のOL殺人事件の現場は、私の勤務先から比較的近いのです。
遺体をバラバラにして捨てちゃうなんて、猟奇的で怖いという前に、 最近の事件報道は、手口を紹介し過
ぎで良くないような気がします。
殺人を犯す。遺体をバラバラにする。そんな禁避的なことが、だんだんと抵抗なく行われるようにる世の中
そのものがそら恐ろしいですね。
今朝は、OL殺人犯は子供の頃から、転校を繰り返し、ひとりぼっちで、会社に入ってからも人付き合いが
下手だった。性格がゆがんでしまったのではないかというような決め付け的な内容。
NEWSを見ていた娘が言いました。
「友達の○○ちゃんなんか6回も引っ越しているようだよ。」(小学生で6回はすごい。)
でも、転校を繰り返すと性格がゆがむのか?
性格がゆがむと、人を殺すのか?・・それって、やっぱ決め付けなのでは。
続いて取り上げられた川田さんの自殺については、最近のうつ状態についてのブログや、鳥越さん他の周
囲の関係者の証言からの推察。
20〜30代の女性の多くが、アンケートに対し、 川田さんの自殺の原因が不明であるにもかかわらず、
自分も不安な気持ち、時には死にたいと思う。と回答している内容を紹介していました。
相談相手がいなかったり、どんなきれいごとを言っても実際には存在する社会の性別に対する格差。
頑張っても先(明日、将来)が見えない。生きている理由・目的がわからなくなった。そしてうつ状態から抜
け出せない。
・・・そんな方は大勢いるのだろうな。
でも、その後で見た番組で、おバカ芸人として話題の一人であるスザンヌさんが、自分が生まれた意味は
何かという質問に「幸せになるため」と答えたというエピソードが紹介され、「世の中もまだ捨てたものでは
ないな。」なんて思ってしまいました。
江東区の殺人犯は33才、川田さんは29才。年代としてはほぼ同じ2人の心の闇。 事件の内容は全く違
うし、2人のかかえいた問題の種類も全然違うようには思うけど、病んでいる世の中が垣間見えてくるよう
です。
Column240 2008/5/31 up
■ 間違いの原因と対策を考える
先日読んでいた小説にこんなことが書いてありました。
「間違いを繰り返す人間は、覚えようとする気がない人間か、
そうでなければ、その任務に対する資質に欠ける人間である。」
とある厳しい任務に関する選抜試験についての実録小説です。
登場する教官は、前述のセリフを言いながら、バッタバッタと訓練生を失格にするのです。
実際の身の回りを振り返ってみると、同じ間違いを何度も繰り返す者は何人もいるし、そんな方に何度注意しても、
彼の行動が改善する気配は全くありません。
小説のように、その仕事に対する資質がないので君は失格。と切り捨てられればいいですが、実際の世の中では、
「七転び八起き」くらいの気持ちで指導しなくては、社員を一人前に育てることは出来ません。
私自身だって、十分反省をしたにも関わらず、同じ間違いをすることは時々あります。
「おかしいな、気をつけていたはずなのに、何で同じ間違いをしたのだろう。」そんな反省を繰り返しています。
思うに、「間違い」には、「間違いに至る道筋」があって、「間違っている」という事実や、単にその「間違いの原因」に
気付いただけでは、解決策にはならないのではないでしょうか。
きっと、「間違いの原因」があった時に、その後の行動が、「間違いという結果」につながらないように、自分の行動を
コントロール出来る技能が必要なのでしょう。
おそらく「その任務に対する資質のある方」には、簡単なことであり、仮に間違いを犯しても、2度目は間違いなく行
動できるのでしょう。
でも、現実の世の中では、「どこが間違ってると思う?」とか、「間違いの原因はなんだと思う?」、「どう行動すれば、
間違いを防げると思う?」なんて質問を相手にぶつけ、本人自身がしっかり、原因や改善策を考えて、自分の行動
として定着させることが必要です。
そして、それがコーチングの考え方なのです。
もちろん、自分で間違いに気付いたなら、自問しながら、改善策を考えたっていいわけです。
つまりは、セルフコーチングです。
「間違いを繰り返す人間には、原因や対策・改善策をしっかりと考えさせる。」 やってみましょう。
Column239 2008/5/30 up
■ 過去の行動から未来を想像する
私の勤務先では、今が採用シーズン。
というわけで、学生の面接を頻繁に行っています。
私が就活学生の方々に必ず訊く質問の一つに、「就職したら自分の中で何が変わると思いますか?」というものが
あります。非常にアバウトな質問ですが、アバウトだからこそ、その学生の考え方がわかります。
「社会人として、自己責任で行動していくと思います。」とかいうようなレベルの返事を期待しているのですが、もち
ろん正解はありません。
時には、「将来なりたい自分を目指して、目標を一つ一つクリアしていこうと考えています。それは、学生の今も、社
会人になっても変わりありません。」なんてことを言うすごい立派な学生がいて、びっくりしたりもします。
当たり前ですが、
企業側が面接で知りたいことは、学生が入社し、会社の中で、
・将来どんな人間に育つか?
・会社に貢献出来る人物になるのか?
・後輩を指導してチームとして成果を上げらるようになるか?
というようなことなのです。
しかし、そう言いつつも、
実は、学生さんに対する質問のほとんどは、過去の行動や実績に対するものです。
どんな勉強をしたのか?
資格は何か取得したのか?
部活やアルバイトで苦労したことは何か?
等々。
過去の行動から未来を想像する。その糸口を掴む。それが、採用面接の最大の目的なのです。
例えば、どんな勉強をしていたの?と言う質問も、
別に、その勉強が会社で役立つかどうかを知りたいわけではなく、何かを一生懸命やったかどうかを知りたい
ことはもちろん、時間や授業料という対価を払って勉強していることを、どう捉えているのか、その成果を本人
がどう解釈しているのかを知りたいのです。
でも中には、「いやあ、あまり勉強していません。」なんて答える学生もいます。
この手の方は、結構多いのですが、それだって、本人の中で、学業を疎かにする明確な理由や他の目標が
あれば、まだいいのです。
でも、たいがいは、「ぶっちゃけ、勉強は嫌いなんです。」なんて理由だったりします。
おいおい、じゃあ、不向きな仕事をしろと上司に言われたら、手抜きをするつもりか。
部活やアルバイトの先輩と雑談しているつもりになっているのか。 ・・・なんて、正気を疑ってしまいます。
実は、本日の午後も、面接があります。
冒頭の質問に、どんな返事が聞けるのか楽しみです。
Column238 2008/5/11 up
■ 頑張る伊達さん、相変らず叱ってばかりの修三
伊達公子さんの頑張り、凄いですねえ。
1970年9月生まれですから、37歳ですか。
やる気さえあれば、年齢は関係ないんだ。・・・なんて感じで、ちょっと勇気を与えてくれました。
色々な馬鹿げたことが、次々と起きる世間の中で、ちょっと、胸がすっとしました。
実際には、世界で戦った経験そのものや。その経験からくる精神力が現役選手を上回る戦力となったのでしょうし、
あのスリムな体型を維持していることからも、日頃の体力維持への努力は半端ではないような気がします。
あくまで想像ですが、誰にでも出来ることではないでしょう。
ところで、テニスの話題というと、必ずのように松岡修三さんがTV番組内でコメントをしたりもしますが、
相変らず、小中学生の生徒を叱っている場面が画面に流れました。
毎回そんな画面が流れる度に、考えさせられます。、
怒鳴っても、根性で付いてこれるはずの優秀なテニス少年ばかり集めて、怒鳴って叱って頑張らせようとする指導
方法は、本当に正しいのか?・・・なんて感じです。
もちろん、修三さんにとっては正しいのです。
きっと、もともと優秀な選手に必要なのは、更なる努力と負けず嫌いの根性なのでしょう。
泣きながらも、ラケットを放り出さず、努力を続ける子供たちも、TV画面としての絵的には美しいです。
でも、根性だけでは、もう一歩成長できない方々を引っ張り上げる、そのためにどんな工夫をしたのか。
そんなリーダーがもっと話題になる世の中であっても良いのにな。なんて思ったりもします。
なんか、一昔前の学園ドラマ的な思いではありますが。
(そうそう、「ごくせん」はちょっと違いますね。)
そもそも頑張る気も、目標もない。 能力も知識もない。
そんな方々をリードし、しっかりと成長させていくことが、今の世の中でリーダーに求められることのような気がしま
す。(もちろん、私見に過ぎませんが。)
Column237 2007/11/26 up
■ 原因と影響、行動と結果
実は今週、勤務先社内でメンタルヘルス研修の講師を勤めます。
その為の資料を通常業務の合間にパワーポイントで作成していたので、ここ2週間くらいは結構忙しかったので
すが、何とか完成しました。
昨年取得したメンタルヘルスマネジメント検定の参考書や、自分のホームページの記載内容もおさらいし、結構
な内容になってしまいました。
作成過程において、心に現れる影響や、身体に現れる影響、周囲による配慮、そしてこのHPやブログでも紹介
しているコーチングを始めとするコミュニケーション術など、メンタルヘルスが多岐に亘っていることを再確認しま
したが、その中でも、気になったことがあります。
原因があって、影響がある。行動があって、結果がある。・・・というような部分です。
例えば、動物が他の動物から攻撃を受ければ、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌が増減し、交感神経や副
交感神経の活動がコントロールされ攻撃能力(行動力や反応)が高まったり、防御力(怪我や出血時の治癒力)
が高まったりするのを始め、心や身体に様々な影響が出ます。
同じように、ストレス要因(ストレッサー)があって、心身への影響が出るのは、全く自然なことであり、その原因
と影響をきちんと認識できれば、ストレスによる影響をある程度はコントロール出来るようになるはずです。
また、心の不安や、過大解釈、自己関連付けなど、マイナス思考を生み出す、ストレスや心の病の影響につい
ても、
・自分が○○の行動をしたから、□□の影響がある。
・自分は、決して△△なことをしていないので、自分には関係ない。
等、原因と影響、行動と結果をきちんと考えれば、ある程度、冷静になれるはずです。
つまり、皆が自分をいじめている。なんてマイナス思考は、考え方一つで、それが事実なのか、単なる妄想な
のかが明確になるのです。
実際、自分はパニック症候群ではないかと思える不安を感じたとしても、不安に明確な原因があるのなら、単
に不安が大きいだけ、不安の感じ方には個人差がある、と自分を納得させることも可能なのです。
逆に、原因が何にもないのに、大きな不安を感じるのなら、自分は心身症かもしれないので、医師の治療を受
けたほうが良いと納得したりも。
というわけで、
常に、行動と結果、原因と影響を考える。今週はそれを皆に伝えようと思ってます。
そして、もう一つ。 努力すれば結果がついてくることも付け加えようかななんて。
Column236 2007/11/10 up
■ カクテルパーティ効果
何かに興味を持つと、そのことに関する情報が、何故か自然と次々に目や耳に入ってくる。
そんな経験はありませんか。
新たに車を買おうと思っていると、今まで気にならなかった街を走る車の車種が気になったり、
あっ!また○○が走っている。なんて気がついたりもします。
それをカクテルパーティー効果と言います。
騒々しいパーティの中でも、何かを意識してアンテナを立てていると、それに関する情報が集まってくる。
単純に言うと、夢を持つと、その夢に近づく行動を自然にしてしまうということです。
ちょっと前にご紹介したブランドハップンセオリーも、カクテルパーティー効果とも似てますが、
ブランドハップンの場合は、興味のアンテナを上げるというレベルではなく、興味のあることに全力を注いで頑張っ
ていると、偶然のように、色々な前向きな出来事起きてくるというもので、意味合いは大きく違うのですが、
どちらも、物事にきちんと興味を持つこと、関心を示すことで、ただの日常、物事がきちんと見えていない日常が、
ガラッと一転しますよということです。
これは、人との関係でも同じです。
相手に関心持たずに接していると、相手のことはほとんど見えてきません。
見えるのは、自分との直接的関わりの部分だけです。
でも、ちょっと興味を持って相手を観察すれば、相手のいいところも(悪いところも)いっぱい見えてきますよ。
相手に興味を持つこと、関心を持つことは、部下や後輩の指導、職場の同僚との付き合い、そんな場面で、相手
の立場になって考え、行動するための基本でもあります。
Column235 2007/11/6 up
■ 書を捨て町に出よう
「書を捨て街に出よう。」 以前、そんな言葉をよく耳にしました。
寺山修二だったかの、そんなタイトルの小説があったような気もします。
読んだことはないし、時代的にも私よりずっと上の年齢層の間で、流行ったのでしょう。
決して、私も若くはないですが。
でも、この言葉の影響が有るのか無いのか本を読むより、まず実行だよ。なんて考えの方が多いような気がします。
本を読むこと=頭でっかち。まずは行動してみて、体で覚えなければ身につかない。HOWTO本なんて役に立たないよ。
そんな思いを抱いている方が私の周りにも大勢います。
確かに、経営やモチベーション関連の本に書かれている事を、そのまま実行しても、うまくは行動出来ないと思います。
だって、その本を書いた方と、読んだ方の、物の考え方や行動のベースが全くは同じということはないでしょうからねえ。
Aさんがうまく行った方法が、Bさんに合うとは限りません。
特に、本に書かれたエッセンスをちょっとかじっただけではなおさらです。 確かに一理。
しかし、よく考えてみて下さい。基本を知らずに応用なんて無理でしょう。ねえ。
私の場合は、色々な考え方を知った上で、自分に合う行動方法を模索する。そのための読書です。
まあ、人それぞれです。
書を読んでから町に出よう。 そんな人間がいても、いいのではないでしょうか?
Column234 2007/11/3 up
■ キャリアコンサルタント
キャリアカウンセリング、キャリアコンサルタント関係の資格には、民間資格が乱立していて、何が何だかよくわ
からない状態ですが、どうやら厚生労働省も失業者対策に本腰を入れるようで、来年から国家資格が創設され
るという報道がありました。
どうやら、技能検定として、キャリア・コンサルタント1級、2級の2つの国家資格が出来るようです。
厚生労働省は元々2002年から2007年の間に認定資格取得者5万人を目標に、各種団体の資格発行にお墨
付きを与えてきましたが、どの団体の資格取得も、20〜30万円程度の受講料がかかる講座の受講がほぼ必
須条件となっていました。
私も、興味がありつつも、資格名称も色々あって、認定団体ごとのレベルよくわからない上、国家資格でもないの
に、高額の受講費用をかけて取得する意味があるのかな、なんて思っていました。
各種団体での資格取得者は2006年までに、4.3万人ほど。
認定団体による、資格取得者のレベルも問題になっていたようで、来年度からは母子家庭向けの就職支援(ジョ
ブカードと言うらしい。)も開始するので、就職相談の質の向上、つまりコンサルタントの質向上本腰を入れざる
を得ないといったところなのでしょうか。
業としてキャリアコンサルタントを行う方々向けの資格でしょうから、難しい資格となるのでしょうけど、
私的には、企業内でキャリアカウンセリングが出来る方を増やすという見地で、どの程度の難易度の資格となる
のか、興味深々です。
Column233 2007/10/28 up
■ 「24」のスケジュール管理
コンサル・研修会社から送信されてくるメルマガにスケジュール管理に関するコラムがありました。
ジャック・バウワーがスケジュール表を持たされたら、見もせずに捨ててしまうだろうというような内容です。
ふんふん、スケジュール表なんか見てたら、あの行動はできんだろうな。
と思いながらもよく考えると、
いつもいつもバタバタと24時間走り回ってるわけはないだろ。
普段は携帯端末にスケジュールが入っていて、きっちり管理してるに違いない。 なんて結論に達しました。
だって、24を見ていると、登場人物全員が、デジタル機器の権化のように各種のIT機器を使いこなしているでは
ないですか。
携帯端末に自分だけではなく、チーム全体のスケジュールも入っているに違いありません。宴会予定なんかも
あるかも。
なんてことを考えていたら、ふと昔のことを思い出しました。
まだパソコンなんか無く、仕事では大型コンピュータの端末機を使っていた頃(齢がばれる)、その日一日の会
社での仕事の内容を記号化して投入していました。
●●時〜●●時、事務仕事
●●時〜●●時、部内打合せ
●●時〜●●時、機器操作
というような単純な内容を記号に変えて端末から入力するのです。
社員がどのような業務にどれくらいの時間を割いているかを分析して効率化を図ろうという試みです。
結果は、もちろん、効率化なんか全く実現せず、立ち消え。
ビジネスマンにとってスケジュール管理は重要ですが、
今日何をするかと、仕事毎の優先順位付けさえ出来ていれば、いいよなあ。 今はそう思っています。
バウワ−もそう思っているに違いない。
Column232 2007/10/24 up
■ 大企業病
大企業病とか大組織病という言葉をよく耳にします。
実は、自社は大企業病にかかっていると経営幹部自身が言っている会社の記事を見かけました。
ご存知の通り、仕事を進める上で、前例主義が頻繁に顔を出したり、改革・改善を進めようとすると、必ず抵抗勢
力が沸いてきたりと、組織が大きく、複雑になりすぎて中々決裁が出来ない企業や、安定していると思いこみぬる
ま湯的になっている組織を指す言葉です。
しかし、私が思うに、まあ、お役所的という言葉もありますが、官公庁は別として、大企業病にかかった企業なん
て本当にあるのでしょうか。
大企業病にかかっているのは、企業ではなく、社員でしょう。
しかも、病気の元は本来ならリーダーシップを発揮すべき経営幹部自身でしょう。
社員の中には、会社を変えようと思っている方は大勢いるはずです。
そしてその多くは上役のやる気のなさが感染しつつある状態です。
大企業病になってるなんて経営幹部自身が言っている会社は、
大企業病ではなく、大企業幹部病なのではないでしょうか。
言わば、殿様自身がお神輿(籠)に乗って、隊列が遅いなと言っているようなものです。
Column231 2007/10/20 up
■ 人の噂を信じるか?
人の噂も85日なんて言葉もありますが、あなたは、人の噂を信じますか?
仕事の場面においては、「○○君は、□□な人間だ。」 なんていう人物評をよく耳にしますが、
○○君の同僚や直属上司が、「○○君は、□□だと思う。」 と明確に言うのを耳にすれば、あなたにとって、それはも
う噂よりはずっと真実に近いものだと思えてしまうのではないでしょうか。
それでもやはり、あなたが、自分の目や耳で確かめた○○君の行動でない限り、
「○○君は、□□な人間だ。」 は、噂と殆ど同レベルのレッテル。 つまり決め付けだったりします。
実際、「○○君のどこが、どうだったの?」 と話の主に聞き返すと、あまり具体的には説明できなかったりもします。
時には、「いつ、どこで、そのような状況が起きたの?」と更に具体的に訊ねると、話の主がそう判断した原因はたった
1回の出来事であり、話の主自身も、人から聞いた話を上げたりすることが多いのです。
つまり、たった1回の行動と、他の人の話から、「○○君は、□□な人間だ」 と決め付けていたりするのです。
そうなると、ほとんどの人物評は単なるレッテルだったりするわけです。
皆が言うのだから事実に違いない。
そんな先入観であなたが、○○君に接してしまうと、本人と話していても、行動を見ていても、□□な行動に思えてし
まうでしょう。
誰かにレッテルを貼ってしまうと、もう、先入観なしには相手を見れなくなってしまいます。
試しに、立場の違う数名の方々に、○○君の人物評を聞いてみましょう。
上司や同僚は確かに、「○○君は□□だ。」 と言います。
でも、彼の後輩や取引先に聞いてみると、
「○○さんは仕事をしっかり教えてくれる。」
「○○君が、しっかりニーズを捉えて社内を調整してくれた。」 なんて、答えが返ってくるかもしれません。
但し、たとえプラスの人物評であっても、それだって決め付けかも知れませんが。
要は、あなた自身が、先入観を排除して、○○君の言動をしっかり見聞しなくては、○○君がどんな人間かなんて、
絶対にわかり得ないのです。
相手がどんな人間なのかは、必ず、自分の目で、耳で確認しましょう。
Column230 2007/10/8 up
■ 「24」 の職場
いやあ、昨晩は 「24」 を見ちゃいました。今週からシーズンVをフジTVでやってるんですよねえ。 眠い 眠い。
ビデオ屋さんで借りると、続きが借りれなかったりしてイライラするし、毎回分をずっと借り続けるのも面倒なので、シ
ーズンVは見ていなかったのです。
しかし、「24」を見るたびに思いますが、ドラマの中とはいえ、登場人物の指導力や行動力、冷静さ、そして問題解決
力がすごくうらやましくなります。
(但し、登場人物中のローガン大統領は決断力のない人間として描かれてますが。)
皆さんの職場にも、そんなタフな奴らはいないでしょ?
現実の世界なら、おろおろしたり、じゃあ対策を考えようなんて言っている間に、問題は膨れ上がり、壊滅的結果にな
ってしまうのではないでしょうか。
それどころか、急ぎの仕事を指示しただけで、顔が膨れるだけでなく、結果もついてこないのでは。
世間では、最近部下を叱れない上司が増えた、もしくは管理能力のない上司が増えたなんて言いますが、「24」の
職場では、仕事に就くということと、組織や部下をきちんと管理し、必要に応じて部下を叱ってうまく動かすことが同義
語であったかのような錯覚を覚えます。
部下各人も、誰であれ、自分の担当職務を必死でこなし、今から、指揮官をやってくれと上司から言われれば、これ
また、誰であってもいきなり指揮を取り始めたりして、本当だったらすごいなという感じです。
つまり、「24」 の職場では、「部下を育てる」なんて概念はなく、すでに仕事を十分にこなす能力のある人
間が、その能力をかわれて職に就いているという感じなのです。
もし、24の職場で、多くの日本企業のように、自らの所属員の育成に膨大な時間と費用をかけていたら、
「君は首だ、もう帰っていい。」 なんてセリフは出てこないでしょう。 きっと。
知識がないので判りませんが、そもそも転職が当たり前の米国では、そんな感じなのでしょうかね。
新入社員であっても、大学でMBAをとって幹部候補生として入社した者は、最初から見習い管理職になって、でも
って、そんな階層の方と、単純作業だけをやる階層が明確に分かれているとか。
・・・なんか、そんなイメージがあります。
軍隊で言えば、少尉か准尉等の将校に任官すれば、たとえ若造であっても兵隊とは明確に区別されているような、
そんな感じでしょうか。でも軍隊だって、将校はきちんと教育されてます。
一から育てようとする企業と、育った人間を雇用しようとする企業、つまり、個人の将来の価値(成長)に期待するか、
現在すでにある価値(能力)を評価するか、これは大きな違いです。
どちらがいいのかは、経営者の考え方次第ではありますが、たとえ、育てても退職するする方が多い昨今、悩まし
い問題です。もちろん、既に優秀な人間を集めること自体苦労すると思いますが。
Column229 2007/10/7 up
■ 宗さん、日本人の尻を叩く
「これしかないよ日本の人事」 ・・・ 宗 文洲さんの本をまた読んでしまいました。
語り口が判りやすいので、つい読みたくなってしまうのですよねえ。
この方の話はストレートで、書いてあることがよく判るのです。そう、自分達のやってきたことが、概ね間違っている
ことが判ってしまう内容なのです。
本人は、日本では、中国人だからこその考え方のようにいわれるけど、既に自分はかなり日本的だとおっしゃって
おります。
ソフトブレーンの会長である宗さんは、もちろん中国人なのですが、日本でのビジネス歴もかなり長く、グローバル
スタンダードと比べた日本文化の悪い面が手にとるように判るのでしょう。
そして、その著書の多くで、多くの会社や、私自身もが、理想として考えている会社像や人事制度像と同じようなも
のが、正しいものとして描かれています。
・・つまり、答えは、すでに皆知っている内容。だから判りやすいのかな。なんて感じもちょっとします。
でも、大事なことが一つ。
その理想像と、現実とのギャップをどうしたら、解決できるのか?
日本的なままじゃダメだと皆判っているけど、ではどうしたら良いのか?・・その答えがないのですよね。
読めば読むほど責められて、逃げ場の見つからない我々は、どんどん追い詰められるような気がします。
日本人が当たり前のように思ってしまっている悪い部分。でも直せない悪い部分。責められただけではどうにもな
りません。
多くの方は変えなきゃって、思ってますよ。
宗さん、日本人の尻を叩く。そんな読後感でしょうか。
Column228 2007/9/27 up
■ 重要と緊急の優先順位
重要な仕事、緊急な仕事の優先順位がつけられない方をよく見かけます。
優先順位がつけられないというか、緊急な仕事より、重要な仕事を先に片付けようとする方が多いのかもしれませ
ん。急ぎで誰かに頼んだ仕事が、頼まれた本人にとっては重要と思われる別な仕事の後回しになって、中々、終
了しないとか。
催促しようものなら、
「すみません。こっちの仕事にてこずっちゃって。」 なんて返事がきたりもします。
たとえ、仕事が遅れても、頼まれた側には、悪気はありません。
・・だって、重要な仕事に取り掛かっているのですから。
いっそのこと、優先度合いを記号か数字に置き換えて、
「この仕事は、Aクラスだよ。」とか
「この仕事は、ウエイト90なので、今かかえているウエイト50の仕事より先に片付けてくれ。」
なんて言わないとダメなのかな、と思ったりも。
しかし、重要性と緊急性は単純には比較できません。
たとえば、重要性と、緊急性の関係には、
・ 重要で、急ぎの仕事、
・ 重要で、急ぎではない仕事、
・ 重要ではなく、急ぎの仕事、
・ 重要ではなく、急ぎでもない仕事 というようなマトリックスがあるはずです。
重要や緊急の度合いも、重要か重要でないかだけでなく、
重要度 1〜5、 緊急度 1〜5 なんてことなのかもしれません。
〆〆〆
何か、話がやたら複雑になりましたが、要は、もしあなたが仕事を幾つも抱えているなら、片っ端から手をつけよう
なんて思わずに、ちょっと冷静になって、抱えた仕事の優先順位をしっかり見極める必要があるということなのでし
ょう。
また、仕事を依頼する側も、「やっといて!」なんて軽く言うのではなく、相手が、重要度、緊急度の判断が出来る
ような指示をするべきです。
〆〆〆
世の中には、パレートの法則とか80対20の法則なんてものもあり、優先順位の高い20%の作業をこなせば、成
果の大方は達成できるなんて考え方をベースとした行動もあるわけです。
まあ、私のやり方だと、さらに残りの80%のうち、本当はやらなくても済んでしまう20%なり30%の仕事を見つけ
出します。
その大前提が、全ての仕事に優先順位をつけることなのです。
机の前のボードには、この数ヶ月でやらなければならない仕事が記された紙を貼って、つねにニラメッコしていま
す。
皆さん、優先順位つけてますか?
Column227 2007/9/17 up
■ 仕事は楽しめるか?
リーダーシップやモチベーションに関する書物を読んでいると、仕事は楽しくやったほうがいいと書いてあることが結構
あります。
仕事の進め方においては、当然ながら、人から言われて行動(作業)するより、自分で必要と思って行動(作業)するほ
うが、やる気が出ますし、きちんとした結果が出せるでしょう。
つまり、外発的動機より内発的動機のほうが強いということ。
そんな内発的動機をもっと拡大して考えれば、自分の成長のために、とか、自分が任された仕事だからとか、前向きな
生き方につながりそうな考えが思いつきます。
ところが、ところが、スポーツ選手だって、役者だって、自分の仕事であるスポーツや舞台を楽しんではいないようです。
雑誌の対談を読んでもしかり、スポーツ雑誌のインタビューを読んでもしかり、その道で成果を上げて、有名になった
方々の多くは、毎日、つらい思いをして、日々をしのいできたというような発言をしています。
趣味であったものが、仕事になったとたんに辛くなった。 みたいな発言です。
子供の頃から親にやらされて、辛かったなんてバイオリニストの記事もありました。
仕事を楽しむことなんか出来ない。モチベーション本に書いてあることは理想でしかない。そんな思いも浮かびます。
実際のところ、仕事が楽しいという記事を見たことはありますが、大概は、頑張っている女性を紹介する新聞記事など
で、忙しくかつ楽しく過ごす中でいい年齢になってしまった。というような書き方。
しかも、インタビュー記事ではないので、本人が本当にそう思っているのかは分かりません。
〆〆〆
でっ、実は私自身が仕事を楽しむ方法を見つけて、実践しております。
すごく単純明快。 仕事の一部分を仕事から切り離して、趣味にしてしまうのです。
薄々感づいた方もいるでしょう。
このHPや、私のブログ、社内で流しているメールマガジンは、すべて仕事から始まった趣味なのです。
趣味ですから、勤務時間中にはやりません。 仕事ではないので、仕事上のノルマはありません。
ちなみに、「コーチングとティーチングの基本」というネタも、子会社勤務時代に社内メルマガとして社内の全役員・管
理職に配信したものであり、ブログではそれを8つに分解して、さらに解説を広げたものを掲載しています。
逆に、ブログネタをまとめて、1本のメルマガとして社内配信するパターンもあります。
まあ、そうなると、趣味を楽しんでいるわけで、仕事ではないのですが、仕事上の成果にもつながっておりますし、
辛いことはありません。
当然ですが、どんな仕事でも趣味に出来るわけではないので、例外的かもしれませんが。
まあ、しぶしぶやるより、ニコニコやったほうがいいでしょ。
私はそう思います。皆さんはどうですか?
Column226 2007/9/9 up
■ ハイタッチ、ハイコンセプト
左脳は言葉や数字を認識し、右脳は絵や音楽を認識する。 そんなことを一度は聞いたことがあると思います。
でも、知っていましたか? 右脳は左半身をコントロールし、左脳は右半身をコントロールしている。 と。
事故で右脳に障害が起きると、左半身が動かなくなったりもするそうです。
まあ、右・左の違いは別としても、左脳は逐次的に処理し、右脳は全体的を瞬時に処理するという機能の違いがあるの
は事実のようです。
つまり、左脳は、順序良く推論し、分析能力がすぐれた脳。
右脳は、総括的な思考をし、パターン認識や感情・非言語表現の理解に優れた脳。 ということ。
例えば、モーツアルトは胎教に良い、なんて言いますが、
モーツアルトは楽譜とニラメッコして作曲したのではなく、頭に浮かんだ音楽をそのまま楽譜に落とし、右脳的作曲をし
たからだとも言われています。 右脳で作った音楽は聴く人の右脳を刺激するということのようです。
あっ!そうそう。
私のハンドルネームがamadeus_factoryなのは誕生日とイニシャルがモーツアルトと同じだからです。
・・・どうでもいいですが。
実は、この右脳、左脳の話は、
「ハイコンセプト・ 副題 新しいことを考える人の時代」(ダニエル・ピンク著、大前研一訳)という本に書かれていたの
です。
そして、コミュニケーションにおいても、右脳は大きな役割を果たします。
左脳のみで考える方は、相手の話している言葉を受け止め、その意味を考える。それに対して、左脳のみではなく右
脳を使ってバランスよくコミュニケーションを行う方は、相手の言葉だけではなく、相手の表情や態度などの非言語(ノ
ンバーバル)の部分を理解し、相手の気持ちを感じとる。ということです。
コーチングでは、相手への意思の伝わり方は、言葉が30%、それ以外部分が70%と言われます。
しかも、言葉のうち 80%程度は実際の言葉そのものよりも、声のトーンやしゃべり方です。つまり、相手に伝わる意
思のうち、実際の言葉で伝わるのはせいぜい6%ということ。まあよくて10%でしょう。
右脳 ・ 左脳の話と兼ね合わせると、
右脳を使って、コミュニケーションをしない方には、相手の言葉の部分しか聞こえていない(見えていない)。
相手の気持ちのせいぜい1 割くらいしか、理解出来ていないということになります。
「ハイコンセプト」 によると、
相手の気持ちの機微が分かる能力、相手と共感する能力、日常の出来事にその目的や意義を追求する能力、
自らに喜びを感じる能力、自分以外の人が喜びを見つけるのを手助けする能力。
それを「ハイタッチ」 と言うそうです。
でも、これからの世の中で求められるのは、さらに一歩進み、
パターンやチャンスを見出す能力、芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話の出来る能力、
一見バラバラな概念を組み合わせて新しい構想や概念を生み出す能力。
それらを「ハイコンセプト」 と言うのだそうです。
まあ、ハイコンセプトは誰かにまかせるとして、
このHPも、ブログも「ハイタッチ」を追求していきたいと思います。
Column225 2007/9/8 up
■ 鷲の人、龍の人、桜の人
キャメルヤマモトさんの「鷲の人、龍の人、桜の人」という書物を読みました。
副題は、「米中日のビジネス論理」 です。
鷲の人、龍の人、桜の人とは、つまり米国人、中国人、日本人ということです。 わかるでしょ。
各国の方々の行動論理について、どこどこの国の方は意見をはっきり言うなんて一般的に言われる違いの
レベルではなく、もっと根本的な違いを解説しています。
まず、米国人について。
米国人は基準を大事にする。そして、せっせと基準を作っては、世界中に自分達の基準(アメリカンスタンダ
ード)を押し売りして広め、それを徹底的に守らせようとします。
基準を守らない者を決して許しません。
国内ならすぐに訴えられますし、外国なら時には軍隊まで使って守らせようとします。
MBA
ムーディーズの格付け
市場開放
401K
マクドナルド、スターバックス
ヤフー、グーグル
そしてアメリカ流の民主主義
すべて世界に押し売りされたアメリカンスタンダードなのです。
では、中国人。
中国人は1対1の関係、信頼を大事にする。
その関係は、特別な圏子(チュエンツ=仲間)となって繋がりを持ちます。
この圏子は、職場とか学校のクラスとかそういう単位ではなく、同じ趣味であったり、同じ勉強をして情報交換
した中であったり、とにかく「類は友を呼ぶ」式の集まり、サークルなのです。
圏子の仲間で仕事の情報交換をするだけでなく、家族ぐるみで食事をしたり、遊びにも行きます。
職場を変るのは構いません。というより頻繁に転職してレベルアップを目指します。
でも、転職・転勤遠くへ引っ越して圏子の関係を失えば、仕事もままならなくなくなります。
また、彼らの行動基準はリスク分散です。国や会社が自分を守ってくれるわけではないことは歴史的に承知
してます。
子供が何人か入れば、外国で学ばせたり、外国に嫁がせたり、特にリスク分散には余念がありません。
そして、日本人と同じく面子も結構大事にします。
日本人は場の空気を読み、そこでの和を大切にします。
そんなの古いよ。 そう思う若い方がいたとしても、多くの日本人に当てはまるのは事実。
ある意味我々のDNAなのですから。
まあ、日本人についての詳細は、自分を振り返って下さい。
面白い本ですよ。
Column224 2007/9/3 up
■ プランド・ハップンスタンス・セオリー
プランド・ハップンスタンス。
この言葉、簡潔に言えば、「計画されたかのような偶然。」という意味の言葉なのですが、
つまりは、
もし、あなたが前向きに行動すれば、意図していなかった出来事が、偶然のように起こり、まるで計画されたか
のようにあなたのプラス経験となってくる。ということ。
つまり、偶然は必然である。・・・そんな意味合いなわけです。
この言葉、実は、今読んでいる「人事が変われば、会社は変わる」 という本に書かれていたのですが、キャリア
開発、キャリアカウンセリング用語なのです。
好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心 の5つの要素を使って、プランド・ハップンスタンスを作り出すことで
人生の質を深めようという考え方があるようです。
必然といえる偶然を作り出す。
うーん。なんだかこの説明にものすごく惹かれてしまいました。
自分の行動を応援してくれる言葉のような気がします。
「プランド・ハップンスタンス」、困難にぶつかる度に、何かを始める度に、一人言としてつぶやきそうです。
・・・・・。
Column223 2007/8/29 up
■ 学びは、リーダーのスタートライン
先日、ご紹介した「頑固な羊の動かし方」と言う本は、初めて部下を持つことになった方が、どうやってマネージメ
ントを行なうかを、学んでいくストーリーなのですが、ちょっと触れたように、私の周りでは、リーダーになったから
と言って、部下をどう管理および育成していくかを自分から学ぼうとするような方を見かけません。
当然ながら、新任管理職の方には、問題解決やコーチング等、会社が定めた社外研修を幾つか受講していただ
いておりますが、決して、自主的にそのようなリーダーシップを学ぼうとしている方を見かけることは無いのです。
もちろん、世の中には、改めて何かを学ばなくたって、リーダーの素質がある方は幾らでもいるでしょう。
でも、部下に背中を見せて仕事を教えるなんて堂々と言うようなリーダーシップでは、 どんな企業、チームだって
大問題でしょう。
つまりは、リーダーのスタートラインに立てていないリーダーが多いのではないでしょうか?
そもそも、経理マンになるのに経理の勉強、営業マンになるのにマーケッティングというような専門的知識を自腹を
切って学ぼうという方も、特別な職種の方を除いては、ほぼ見たことがありません。
教育の為の費用補助制度もあるだけに残念な限りです。
要は、与えられた仕事、与えられた地位を漫然と行い、時の過ぎ行くままに過ごしていくというのが一般的なわけ
です。
まずは基本を学ぶ、
そして、自分にあったリーダーシップや指導方法、管理方法、仕事の進め方を考えていく。
そのような考え方が、リーダーのスタートラインなのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
適当にやってみて、何となくうまくいく、・・・とてもそんな時代ではありません。
軍隊だって、幹部候補生学校 (士官学校) なんてものがあるでしょう。 ねえっ!
Column222 2007/8/26 up
■ 99.9%
またしても書評です。 今回は「99.9%は仮説」という本。
思い込みで判断しないための考え方・・という副題にあるとおり、物事はそれが本当に事実なのか?
と疑って、正しい判断をしなさいという本です。
タイトルは 「99.9%」 ですが、中身を読む限り、世の中は100%仮説と言っているような内容です。
そして、世の中のほとんどのことは、例え、既に一般化している科学的な理論であっても、仮説に過ぎず、完全に
は解明、 証明されていないことばかりだし、飛行機が飛ぶのだって、全身麻酔が効くのだって実は科学的裏付け
が不明確と言うのです。
それこそ、有名なガリレオが 天動説を否定して地動説を唱えて、相手にされなかった話は有名ですが、タイミング
的に面白いのは、科学には曖昧な基準、判断も多く、冥王星が惑星だというのも怪しいとして書いています。
・・・すでに、惑星ではなく、単なる小惑星に格下げになっていますよね。
地球温暖化についても、CO2排出量が増えているから温暖化したというのは、あくまで証明されていない仮説で
あり、温暖化になったからCO2が増えたのかも知れないと。
つまり、温度上昇とCO2増加の相関関係が実証されているだけなのだから、常識とされていることの反対側を検
証することも、忘れちゃダメだよということ。(決して、現在の有力な説を否定しているわけではありません。)
また、科学であろうとなんだろうと、全て仮説に過ぎないので、世の中で正しいとされていたことが、ある日突然、
正しくなくなったり、正しくないとされていたことが、正しいことだという常識に変ったり、と世の中の考え方そのもの
も不変ではないとも。
そしてよくある話として、犯罪を犯した者の知人が、「まじめそうだった。そんな風には見えなかった」と言うのも、
結局のところ、その方の一面のみを見て、「まじめそうだ」と仮説を立てていたのに過ぎない。としております。
実のところ、そりゃそうだろう。と思うことばかりで、それほど感銘を受ける本ではなかったのですが、
どうしても、常識 (だと思っているにすぎない考え)、 固定観念等にしばられてしまう方には、考えを改めるための
手引きとなるでしょう。
Column221 2007/8/22 up
■ 頑固な羊
最近、書評めいてきました。 実は昨日また、図書館で本を借りて読みました。
タイトルは 「頑固な羊の動かし方」。
初めて部下を持つ方を先生が指導する内容の小説仕立てですが、2時間あれば楽に読める内容です。
リーダーシップや、指導に関するHPやブログを書いていると、今更、小説仕立てなんてという気もしましたが、結構読み
やすく、面白い本でした。
羊飼いが、一人で100匹以上の羊を、杖を使いながら面倒みるのを例に、判り易く解説しています。
杖は叩くためにあるのではなく、誘導し、境界を教える為にあるのだ。なんて感じです。
まさに新任管理職・リーダーの方が読むべき本。
でも、リーダーになったからって、指導方法の本を読む人って私の周りでは少ないです。
学校の先生じゃないんだから。 なんて言い分けをしょっちゅう聞かされます。
日本的な企業においては、仕事をこなす能力があるのと、部下・組織・チームを管理 (マネージ) する能力があるのは、
別のことだと理解せずに、管理職に昇進させちゃう会社が多いのでしょうね。
つまり、管理職としての能力があるから、管理職にするのではなく、仕事の成果に対するご褒美として、管理職にしてし
まう。 だから、管理職になっても、部下の指導も管理もうまく出来ない。
・・・・当たってませんか?
特に最近は、仕事の成果に対して、お給料のUPで報いることも難しい世の中になってきました。
年功序列 = 誰でも就職して一定の年数を経れば昇進させるという考え方も、難しい世の中なので、 成果に対する
報酬が昇進であるのは、雇用者側から見れば理にかなっているのかもしれません。
でも、そのために、企業の中堅リーダーの指導力が低下してきているのは事実のような気もします。
米国の大企業ように、MBAを修了し、経営学やマネージメントの基本を知った方が、幹部候補生として採用されるのが
一般的なのは、会社や、チームを 適切に 「管理」 することの大事さを理解しているからなのでしょうね。
Column220 2007/8/19 up
■ オンリーワン戦略の土俵
とある本を読んでいると企業戦略について面白い記述が。
一時期、コアコンピタンスなんて言葉が流行っていました。多角経営をして斜陽を迎えた企業が多い中、本業を大
事にし、企業の人・物・金をそこに集中すべしという考え方です。
私も 「コアコンピタンス経営」 なんて本を読んだくらいです。
しかし、企業戦略において大事なのは、まずはじめに、戦う土俵を選ぶことだと言うのです。そしてその土俵でのオ
ンリーワンとなること。
強いライバルのいる業界で、幾ら企業の力を集中して頑張とっても、叩きあいの消耗戦になってくるので、たとえ生
き残っても、企業は力を使い果たしてしまうことが多いとのこと。
例えば、IBMは、コンピューターメーカーという自分が作ったような土俵からも撤退し、コンサル企業として大きく土
俵を変えています。・・・確かに。
企業が本気で戦える土俵はせいぜい30年しかもたない。
決して、手を広げ多角経営しろということではなく、常に自分が主役として戦え、シェアを取れる土俵を探せというこ
とのようです。
イトーヨーカドーもとっとと、セブンイレブンに集中し、ショッピングセンター事業から撤退しないと、ダイエーの二の
舞を踏むとも書かれていました。 厳しい世の中です。
また、大手電気メーカーなどは、ニッチな人気商品を売り出したメーカーの後追いであっても一定のシェアが取れ
る販売店系列を持っていて、すぐに同様の新製品を出してシェアを抑えてしまうという構造を長く維持していたのが、
最近では、量販電機店を主戦場とした販売合戦での消耗戦となり、非常に厳しくなってきているようです。
つまり、単独でシェアを取れる土俵が見あたらなくなっているのですね。
ソニーなど、プレステのようにソフトまで抑えて初めてシェアが取れたわけで、それもパソコンや家電と結びつけよ
うとすると、パソコン、家電は本体で儲け、ゲーム機はソフトで儲ける為、値段設定が異なっていることを見誤り、売
れなくなってしまうような現象も起きてしまうわけです。
21世紀は、かなり厳しい世の中になってきてると思いませんか。
私の勤務先の場合、どう考えても本業を捨てることは有り得ないのですが、
周辺事業にも本気になれていないという問題を抱えています。 攻めと守りのテンポが遅いのかも知れません。
とっても心配ですねえ。
Column219 2007/8/18 up
■ ロングテール
ロングテール。 最近ちょっぴり流行っている言葉です。
「ロングテールの法則」 なんて呼んだりもしています。
話の背景として、パレートの2対8の法則というのがあり、物事は大事な2割の部分を頑張れば全体の8割の結果に繋
がるという考え方があります。
特にQCを習ったことがある方なら、1から10まで全ての問題点に対処するのではなく、攻めどころを見つけて対処す
れば概ね問題は解決するというパレートの法則と言えばご存知でしょう。
商売も同じ。 2割の攻めどころを一生懸命やろうということになるのですが、 ロングテールの法則はちょっと違います。
皆が攻めない残りものの8割にも商機があるという考え方です。
しかも、じっくり長く売っていけるロングテールである。というのです。
それを可能にしたのが I T 。 というか、最近のネット通販。
例えばアマゾンドットコムのようなネット通販では、売れどころの2割が売れるのはもちろん、書店の店舗販売では在庫
も無く 売れないような8割のいわばニッチな商品にも注文がじわじわと来るようです。
当然ながらこの8割を在庫として持つのは商売の原則に反しますので、注文があった時点で出版元に発注するので、
納品に多少時間はかかりますが、通販なら、注文しておけば配送されますから、客にとっては気が楽です。
アマゾンの場合、1500円以上送料無料ですし。
確かに私もよく利用していますし、絶版に近い本を探したことも何度かあります。私もアマゾンのロングテールを支えて
いるのかも知れません。
ロングテールについて書かれた本を、最近良く見かけますが、QC的な攻めどころとしてのパレートの法則が21世紀に
なって崩れつつあるのを感じます。
世の中は確実に変化してきている。 そんな感じです。
Column218 2007/8/11 up
■ 本を読む理由
皆さん、最近読書していますでしょうか?
私は、通勤ラッシュのストレスを和らげる方法の一つとして、本の世界に入り込むことにしていますので、出来る
だけ読もうと考えています。
実は、視力が落ちてきている方には、ちょっと遠めに本を持ち、目を凝らしながら本を読むと眼球の運動になっ
て視力回復にも効果があるらしいです。
私の読むジャンルは、小説文庫本、教育指導やメンタルヘルスの参考本、経済・経営書。
出来るだけ数をこなして読もうと考えているのですが、BookOffでも購入できる文庫本はよいとしても、その他
の本は結構費用がかさみます。
特に、経済・経営書は新しさが命ですし、新しい本は、BookOffにはないし、図書館でも予約がいっぱいです。
また、書込みや印をつけたりしないと理解出来なかったりもするので、なけなしのお金をはたいて購入に踏み切
るのです。
まあ、趣味だと思えば安いし、何かの役に立つかもしれない。少なくとも知識は広がります。
・・・いらない知識だったりもしますが。
そして先日、読みそびれていた何年も前の本を読みたくなって、勤務先近辺の図書館に行ってみるとお目当て
の本があり、いそいそと借りてきました。
まあ、何年も前の経済書だから流し読みでいいし、買うのももったいないと思っていたので、かなり得した気にな
りました。
ところが、貸出期間は2週間。本日からは勤務先も夏休み。
昨日までに、その本「レクサスとオリーブの木」を返却しなくてはならないので、あせって読み進め、やっと読み
終わりました。ブログやホームページを更新する時間も不足気味でした。
「レクサスとオリーブの木」は、
片や、世界中から部品を調達し、他国に建設した工場でトヨタレクサスのような科学技術の集合体を、しかもロ
ボットに作らせている企業があるこの世の中で、砂漠に植わったオリーブの木の所有をめぐる争いがある国が
いまだにあるという、グローバル化・IT化した社会と、 それを拒否する社会の対比を実証的に示し、9.11の発
生をも予感させる内容です。そしてこの作品は、9.11を経て、「フラット化する世界」に繋がっています。
でっ、今読もうとしているのは、「あなたのTシャツはどこからきたのか」(ピエトラ・リボリ著)。 これもれっきとし
た経済書です。Tシャツがどう作られて手元に来たのかを、原料から、生産、販売、配送までの流れを、グロー
バル化の流れにあわせて追っていく内容らしく、楽しみです。
実は勤務先所在の区立図書館に在庫があるのを発見し、勤務先直近の図書館に取り寄せ予約をしたのです
が、なんと昨晩遅くに取り寄せ完了のメールが入りました。
って。来週は夏休み、取りに行けないではないですか。取り置き期間は1週間。ちょっと困りましたねえ。
うーん、1回予約取消しをして、再予約したら、取り置き期間が延びるかなあ。
実はぶ厚い経済・経営書を読むときは、テーマを決めており、似たようなものを続けて読み流れを追います。
ここ最近の興味はグローバリゼーション。
・・・これもやっぱり、何か役立つ気がして。
Column217 2007/8/2 up
■ 祭りに有って、仕事に無いもの
花火と夏祭りの季節です。
でも何故、皆、お祭りに熱中するのでしょうね。
うちの娘は夏祭りに目を輝かせており、近隣で開催されるものには、全て行こうとしていますよ。
昨日、仕事で会った勤務先の町内会の方々も、活き活きとして神輿巡幸の準備をしておりました。
主催者の方々は、当然ながら無給ですが、自分の楽しみとして熱中しているのだから、かなりの魅力があるのでしょう。
もし、仕事の場面で、参加メンバーがこれだけ熱中できたら、かなりすごいことが出来るよな。 なんて、お祭りに行く度
に思ってしまいます。 本日出会った町内会の方々も、暑い中、パワーに溢れていました。
お盆だっていうのは分かるけど、だいたいなんでこの暑いのに神輿を担ぐ気になるのか、 なんて、思ったりもする私の
ほうが、祭りの熱気の中では浮いてしまいます。
では、お祭りに有って、仕事に無いもの は何なのでしょう?
・ 誰にも強制されない
・ 1年に1回のイベント
・ 強い仲間意識 (特に深川祭りは町毎の対抗なのでライバル意識もあります)
・ 町全体が祭りの雰囲気
・ 本番の華やかさ
・ 本番では皆が仕切り役
さあ、仕事に取り込めるものは、どれかな。 ・・・・・ なんて思ってます。
Column216 2007/ 7/28 up
■ 我々はアップロードしていた!
今日はちょっとだけ難しいお話。
かの企業マネジメントの大家、経営学者P.ドラッガーは、2002年に書いた「ネクスト・ソサエティ」にて、更
なる技術革新が起き、急激に雇用・労働形態が変化し、高度な競争化社会となる世界が近い将来にやって
くると予測していました。
2005年11月ドラッガーが亡くなった後も、多くのビジネスマンが、いったいどんな技術革新が起こるのだろ
うと議論をしたものです。
ところが、ところが、
最近本屋でよく見かけるジャーナリスト、T.フリードマンの「フラット化する世界」は、何と、その新しい社会
が既に始まっていると、証拠付きで書かれているのです。
ちょと、びっくり。
この2人の名前や書名を知らなかった方は、このまま読み進める前に是非、ウィキぺデイアか、アマゾンで
調べてみて下さい。※ちょこっとだけ調べると、話がぐっとわかりやすくなります。
ウィキペデア P.ドラッガー T.フリードマン
アマゾン.com ネクスト・ソサエティ フラット化する世界
ちなみに、フリードマンは経済学者のフリードマンとは別人で、著書「レクサスとオリーブの木」で欧米先進国
とアラブの確執を取り上げたジャーナリストであります。
まあ、経済学や I T 関係のホームページではないので難しい話は避けますが、
I T 技術 ・デジタル技術の革新、パソコンやネット回線の急速な進歩と一般化、中国や旧東欧を含めた各商
圏の結びつき ・ 開放、企業競争の激化等 が兼ね合わさって、ここ数年で産業革命以上の激しい変化が訪
れつつあるそうなんです。
確かに、
Ipodのような超小型携帯デジタルプレーヤーなんて、数年前は誰も持っていなかったし、携帯電話でTVを
見ることも3年前は出来なかったはず。先週は77歳になる私の母が、自分の携帯で撮った画像の印刷の仕
方を私に尋ねてきました。
そこまで言えば、随分世の中が進歩したなと皆さんも気付くかもしれませんが、企業レベルでの技術革新は
そんなレベルではないようですよ。
だって、ホンダに行けば、人型ロボットが社内を案内してくれますし、ゼロックスは、市販はしていませんがビ
ニールのような透明な紙に、デジタルドキュメントを表示する技術を開発したと新聞発表していました。
極めて近い将来、電車の中でおもむろに、丸めた透明ビニールをA3サイズに広げて TVを見始める方が、
目撃されるのかもしれませんね。
そう言えば、TV会議なんか、最近は私でさえ普通に使っていますけど、そんなレベルではなく、国を超えて、
時間や距離の障害をほぼ皆無として、世界中が 「繋がりつつある」 証拠が幾つもあるそうです。
たとえば、中国の大連では、ネットでの日本企業の下請けを、まるで東京の発注者の隣に座っているかの
ようにこなす方が山ほどいる上、彼らのほとんどは日本語が日本人並みにしゃべれるそうです。
インドでは、米国のネットを通じた下請けや家庭教師をするために、自分達の英語を米国の標準なまりに直
す社内研修をおこなう企業まであるようです。実際アメリカではインド在住のインド人によるネット家庭教師が
流行っているそうです。
つまりは、世界はすでに平らで、
誰もがすくそばにいるかのように繋がっており、故に、全ての個人が対等な競争を繰り広げる時代になりつ
つあるのです。
ちょと前置きが長かったですが、そんな内容の本を読みながら、私は気づいたのです。
「そうか、俺もアップロードしてたんだ。」 と。
えっ、アップロード。何のこっちゃ。
いぶかしむ方々にちょっとだけ解説します。
一般には、
サーバやネットからデータや画像を取り込むのがダウンロード。
逆に、サーバやネットにデータや画像を載せるのがアップロード。・・まあ、そのとおりですよね。いまや常識。
そうフラット化する世界におけるアップロードとはホームページやブログ、mixi等のSNS。
また、アマゾンの書評やkakaku.comの口コミ。 ウィキペディアのように皆が作っていくコミュニティのようなも
のを指しているのです。
(※2010年注)
そうこう言ってるうちにツイッターも一般化して、距離だけでなく、時間軸も大きく変わった感じですね。
(※2015年注)
いやいや、スマートホンの普及によるラインやFacebookの一般化はもとより、放送時点に捉われるTVという概
念すら、ネットTVや4番組同時録画のレコーダーの登場により大きく変わりつつあるように思います。
そして、そのコミュニティが形成した成果。例えば、Windows に対抗する、リナックス のような無償ソフトを皆
で改良して誰もが使えるようにして、これも無償提供するようなものを、「フラット化する世界」ではアップロー
ドと言っているようなのです。
まあ、そんなに大袈裟ではないけど、情報提供した内容に皆が意見を書き込める ブログなんかは、立派な
アップロード行為の成果でしょう。
私も以前は、アマゾンの書評や、kakaku.comのOA製品の口コミ情報に頻繁に書き込みを行なっていたし、
俺もアップローダーだなんて思ったりしています。
当然ながら誰かにアップロードされた情報が、本当に正しいものなのかという疑問は多いにあるし、マナーの
問題も考えると、かなり疑問も残りますが、フリードマンの言うように、21世紀は個人が世界と繋がった時代
のようなので、ルールをわきまえた上で、便利なツールをせいぜい使わせていただきますか。
そうそう、フリードマンは、
時速250キロの新幹線車内や田舎町でもネットアクセスが可能な日本の高度なワイヤレス文化にアメリカ
が追いつくのは8年かかると言ってましたが、皆さんは、日本のそんな状況は当たり前だと思っていません
でしたか?
大きな変化は、すでに起きているのです。
でも、英語できないと、世界と繋がっていませんね。 これ私がこの本の論点に疑いを持つ重要なポイント。
また、インド人、東洋人、アフリカ人は、決して西欧人の奴隷ではないし、 人件費の低さを利用したこうした
国々の活用は、人件費の高騰と 彼らの権利意識の醸成によって失われると思います。
・・・まあ、そんなことはこのホームページの論点ではないので、ここではどうでもよいけどか。
皆さん、アップロードしていますか?
この先、世の中どうなっちゃうのでしょうかね。
Column215 2007/7/16 up
■ コーチングの対象
コーチングに興味を持ったことがある方ならご存知でしょうが、コーチングとは、「自発的な行動を促すコミュニケー
ション術」 であると言われます。
コミュニケーション術と言うからには、自分がコミュニケーションする全ての相手が対象であり、親にだって、彼女
にだって使えるのですが、コーチングを社員に学ばせようとする会社の多くは、上司から部下への指導方法として
学ばせたいというターゲットが目だってしまうため、企業向けのコーチング研修を主催する方は、概ね、管理職向
け、リーダー向けの研修として企画・案内をしています。
その為、受講者の方の多くも、コミュニケーション術というより、部下後輩指導術として学んでいるような気がします。
実はここに企業がコーチングをうまく活かしきれていない、原因があるような気がします。
実は、私の勤務先でも、社員にコーチング研修を受講していただいており、管理職層のほとんどが受講を終了し、
今年からは、一般職 (非管理職) の方にも受講していただいています。
会社として受けていただくのですから、当然ながら目的は、社内のコミュニケーションを活性化することなのです
が、決して、部下指導や後輩指導だけが目的ではないのです。
と言うより、「指導がうまくなる」 とか 「指導方法のマスター」 という目的では全くなく、
社員の方々が上司・部下、先輩・後輩、同僚同士 という関係を超えて、
@ 自分自身を客観的に見て、自分の考えをしっかり持つ。
A お互いが思ったことを素直に主張する。
B お互いが相手の話をしっかりと聞いて、思い込みや決め付けではなく、相手の気持ち・考え・立場きちんと理解
する。
・・・その上で、励ましあっていける会社にするのが目的なのです。
私の勤務先は、やたら人数の多いマスプロ的な企業でもありませんし、社員それぞれが、自ら率先して頑張らな
ければ伸びてはいけないでしょう。また、業界的にも、将来 I T 技術の更なる革新が起こり、人々がオフィスでは
なく、自宅で勤務するような世の中となったら、急激に縮小して行き場を失ってしまうかもしれない業界なのです。
そんな中で、社員全員が、自分の成長のための目標を持ち、実際に成長を実感しながら仕事をすることが、本人
自身、そして会社そのものの成長と幸せにつながるものと思っています。
コーチングは単なるコミュニケーション術ではないし、上司から部下、リーダーからメンバーへの指導でもない。
コーチングは皆が前向きに生きる文化そのものであり、前向きな考え方を実行するためのスキルである。と私は
思っているのです。
先日、社員の方がコーチング研修を受講した報告書を読んでいると、
「私には部下もいないし、チーム内に後輩もいないので、使い道がない。」 という感想が目立ちました。
講師は、今やコーチ21の社長となった桜井一紀先生であり、すごく判りやすいと社内からの受講者にも評判だっ
たのですが、 残念ながら、部下を持たない当社から参加者には、上司から部下、先輩から後輩という関係でのコ
ーチングとしか、受け止められなかったようです。
桜井先生はこの業界では第一人者ですし、研修を受けれるだけでもラッキーだと、私なら思ってしますが、
もう少し、コーチング本来の前向きな精神を伝えていただきたかったところです。
実は、過去に受講した管理職の方の中にも、スキルとしては分かるが、自分の指導スタイルとは違うという感想を
述べられた方が複数名いますし、今回唯一管理職で受講した方は、同僚や得意先・関係先とのコミュニケーショ
ンに応用したいとの感想を述べており、受け止め方は人それぞれ、とも思いますが、
コーチングはスキルではなく、文化。それだけは繰り返し主張したいところです。
Column214 2007/7/7 up
■ 段取りの敵、後ろ向きキャラ
先日、段取り力について、お話ししましたが、仕事や会議で最後の詰めをしようとすると、必ず抵抗をする連中がいます。
関係部門と根回しや調整をしておくように言うと、 「そこまでやらなくても大丈夫ですよ。」
会議資料の誤りを直しておくように言うと、 「皆、気がつきませんよ。」
質問に備えて、準備しておくように言うと、 「そんな質問、出ませんよ。」
そんな、後ろ向きな抵抗はいつでも、どこでにでもいるものです。
無駄になるかも知れない作業を極端に面倒くさがる。 言わば後ろ向きキャラです。
色々、手を抜く理由を見つけるその手腕には驚嘆します。
でも、どれも実は、大したことない作業なので、
段取りとして準備しておけば、咄嗟の場合の対応がスムーズだし、気持ち的にも安心できるはずです。
それが理解出来ない分けではないのに、後ろ向きキャラの方々は必ずと言っていいほど抵抗を示します。
「君は郵政民営化反対派か?」 と言いながら、結局はやらせますが、ブツブツ言ったりも。 最後の抵抗なのでしょう。
そんな後ろ向きキャラも、仕事を任されて、自分の責任で段取りし、経験を積んでくれれば、細かな段取りは強い味方だと
気づいてくれるはず。 と思ってもみましたが、
任したら任したで、手抜き作業。 問題があれば、苦情続出です。
でも、後ろ向きキャラは、苦情が来たら来たで、「ほっといて大丈夫ですよ。」 てな感じで、懲りてはいません。
自分の仕事を、自分の責任できちっとこなした。
そんな喜びやスッキリ感を感じさせてあげたいなとも思うのですが、難しいものです。
こうなると私が標榜しているコーチング的に、相手に自分で考えさせて、納得ずくでやらせる方法は、残念ながら効果的で
はありません。
結局のところ、後ろ向きキャラに対しては、
会議やプロジェクトの目的はこれこれ。
仕事をどういう流れで、ゴールに導くいたらいいか。
そのための問題点は徹底的に排除して、スムーズにゴールを目指そうよ。
なんてことを毎回しつこく伝えるよりも、単に何にも指示をせず、どうなろうとも手を出さずに黙っていることが効果的なの
かな、なんて思っております。
Column213 2007/6/24 up
■ 新宿鮫が貫く意志
なんだか書評が続いていますが、大沢在昌の刑事小説 「新宿鮫」 を読み終わりました。
初刊は17年も前の作品。そういう意味では、バブル真っ只中の小説です。
そもそも昔、
真田広之さん主演の映画も見たし、舘ひろしさん主演のスペシャルドラマも2作くらいやっていたのを見ました。
当然、10年以上前のことですが、小説として読むと、全く違う内容でした。
全く違うと言っても、映画やTVのストーリーは原作にかなり忠実です。
でも、推理ドラマ、ポリスアクションというイメージしか受けなかった、映画やTVとは違って、小説の活字は、ドラ
マの裏側を訴えてきます。
活字の中に読みとれた、
主人公が警察組織の縦社会と横社会のつながりの両方に背を向けて、正しいことは正しいのだと信じて、捜査
に打ち込む姿勢が、映画・TVでは、単なる組織の異端児 という表現で終わっているような感じです。
真田さんの演技には、そんな演出を補ってあまりある良さがありましたが、舘さんの演技力では無理。単なる刑
事ドラマ。
自分の利益のためなんかではなく、正しいことは誰がじゃましようが、組織のはみ出しものになろうが、正しいこ
となのだから絶対になしとげる。・・・そんな強い意志をもって、仕事をこなしていく。
そんな人、自分をはじめ、身近にはいないですからねえ。
たかが小説、されど小説。ちょっと感動しました。
あなたは、そんな意志を貫けますか?
Column212 2007/6/22 up
■ エンデュアランス号の忍耐
実は最近、
「エンデュアランス号漂流」という、英国人極地探検家シャクルトンの南極探検における遭難からの生還記(実話)を
読みました。
数年前に、リーダーシップの参考本としても話題とはなっていましたが、この本が書かれたのって1959年 (マグロ
ウヒルより初版)なんですよね。つまり、48年も前。
古い本だという頭があって、読んでいませんでしたが、先日たまたま本屋で手にとって、購入してしまったのです。
登場するのが、雪と氷と海ばかりなのにしては結構面白い、でも、遭難するまでの前置きが長いなというのが第一
印象。
決してリーダーシップ本ではないな、というのが次の感想ではありますが、著者のアルフレッド・ランシング氏が、極
めて客観的に、シャクルトンはじめ探検隊一行の行動を描写しているので、極限状況下での行動学というか、組織
をどう統制して、どう成果を上げたのかが分かる内容です。
ランシング氏は探検隊のメンバーではなく、日記等の資料や聞き取りから本にしたようです。
もちろん苦難を乗越えた生還には感動を覚えます。 そして、 エンデュアランス = 忍耐 という船名が意味深です。
オートバイの耐久レースをエンデュアランスレースとかエンデューロと言いますからねえ。
追い詰められた状況であっても、決して希望を失わずに前向きに行動することで、必ず道が開ける。そんな気分も
になりました。
もちろん、それはこの探検隊がラッキーな結果に恵まれたからであって、生還できなければ、こんな生還記も書か
れなかったでしょう。
シャクルトンはかっかしやすく、傲慢でもあり、冷静なリーダーというより親分です。
でも、そんな彼が、先行き(ゴールへの道筋)が見えない漂流・遭難の中で、28名の仲間全員を生きて連れ帰ると
いう、唯一明確な価値観をゴールとして強く描き、色々な性格の乗組み員を適材適所で使い分け、不満を抑えなが
ら、ゴールへのモチベーションを高めていく。
そんなシャクルトンの行動は、段取り不十分な行き当たりばったりには見えても、
全てに通じる段取り力を備えた真のーダーなのだと思いました。
Column211 2007/6/18 up
■ 目はどっちに泳ぐ?
目が泳ぐ、って言うけれど、嘘をついている方は、相手の目を真直ぐ見れないと言います。
もちろん、プロの詐欺師には、そんなことはないのでしょうけど、
自分自身に当てはめてみても、質問された内容の答えを考えながら話をしていたり、思い出した答えに自信が無い
時などは、実際に目が宙を泳いでいるような気がします。
ふむふむ、目が泳げば、嘘がばれる。 ・・・・ 実はそんなには単純ではないようです。
目はどっちに泳ぐのか? 実はそれが大事です。
心理学的には、
● 意表をつかれた時は、まばたき。
● 過去の体験、今まで見た風景を思い出す時は、視線が左上を向く。
● 今までに見たことのない光景を想像する時は、視線が右上を向く。
● 音楽など感覚に関するイメージが浮かんでいる時は、視線が左下を向く。
● 肉体的苦痛など身体的イメージが浮かんでいる時は、視線が右下を向く。
● 恐怖を抱いている時、服従の意を抱く時は視線が真下を向く(下目使い)。 という傾向が顕著にあるそうです。
つまり、視線を右上に向ければ、うそをついている。ということです。
もちろん、個人差はあるのでしょう。
でも、概ね、相手の視線を見れば、 こいつ、記憶が定かでないな とか、慌てているなという想像が出来るのです。
視線は、他にもコミュニケーションにおいて重要な役割を果たします。
講演会などで、講師に目を合せられると、今の話は良かったと思う傾向が強く、
目を合せられないと、つまらなかったと思う傾向があるそうです。
つまり、あなたが講師なら、会場全員に順繰りと、目を合わしながら話をすれば、受け入れられやすいのです。
1対1の会話においても、うなづくように視線を合わせれば、話が分かっていると伝わるし、ぎゅっとにらんだり、上
目使いをすれば、話を信じていないと伝わるでしょう。
さあ、あなたは明日の打合せで、視線をどっちに泳がせますか?
Column210 2007/6/9 up
■ 病院に行こう (病は気の敵)
昨日は、九段の病院に行きました。 実は、腰を悪くして3週間ほど入院している社内の方をお見舞いに行ったのです。
九段坂下 (東京メトロ東西線の駅です) から九段神社沿いに上り坂になった靖国通りを上がって行ったのですが、
大した坂でも無いのに、蒸し蒸しして暑い暑い。 そして、時折、ある桜の木陰の涼しいこと。
病院に着くと、
あっ、ここは昔、同期社員が現場事故で担ぎ込まれた病院じゃないか、なんて思い出したりしました。
もう何十年も前のことですが、人事部所属だった私が、深夜に病院に駆けつけ、手術室から出てくる友人をずっと待
っていた記憶が蘇ります。 何だかイメージの中だけでなく、実際にも古く、狭い病院です。
で、病室に行ってみると、
なんだか、顔色のいい (日焼けして黒い)、スポーツ刈で、鬚をはやしたかなり元気そうな方しかいません。
どう見ても、入院した社員の方ではありません。だいぶ若いし。
しかし、その方が手を降ってきたのです。 おっと、本人でした。
話を聞くと、
入院前は腰が痛くて、駅から2、3分の会社に来るのも、休み休み歩かないとつらく、また会社でもずっとつらい顔をし
ていたそうです。
それが、背骨の手術をしたとたんに凄く調子が良くなり、ここ1週間ほどは、30分から1時間の院外散歩をリハビリが
てらにしているとのことです。・・・日焼けした顔から嬉しそうな笑顔がこぼれています。
しかも、入院前は若干長髪 (と言っても60前の幹部の方ですよ) だったのに、スポーツ刈が日焼けに良く似合って
ます。入院して日焼けしたのでしょうか。 鬚も、決して無精鬚ではなく、スポーツマンぽく生えてます。
5,6才、いや7、8才は若返った感じです。
背中の痛みがほとんど無くなったので、見た目まで若返って、活き活きしてしまったようです。
うーん。まさに病は気から。 (ちょっと違うか!)
まあ、気力から病気が治ったというわけではなく、病気が治ったので気力が出てきたという逆の話ですから、
つまり、病は気(喜)の敵ということですかね。
復帰したら、バリバリ仕事をするのでしょうね。
どこか、調子の悪いところがある方は、まずは病院に行ってみましょう。
Column209 2007/6/6 up
■ 鈍感力への抵抗
最近、私が嫌いな本。 「鈍感力」 です。
もちろん、本来は良い本なのでしょう。結構売れているし。
でも、私の周囲の方々で、「鈍感力」 を読んで、いい本だ言っている方は、例外なく、元々鈍感な方です。
自分の鈍感さは正しかった。 そう主張する方ばかり。
確かに、気配りばかりしていて、やりたいことも出来ないなんてことは、面白くないですし、仕事であれば、多少の抵
抗を排除してもやらなければならないことも有るかもしれません。
やらなければならないことが沢山あるように思えてしまうのも、気配りのし過ぎだったりするのかも知れません。
また、細かいことはどうでもいいやと思った方が、大事なことだけに集中して力を発揮できるかも知れません。
周りのことを考え過ぎて、うまく行動が出来ない方には、時には鈍感になることも必要なのでしょう。
でも、元々鈍感で全く気配り・共感の出来ない方に必要なのは、自分の発言や行動が周囲の方にどう理解されるか
と、考える気持ちなのではないかと思います。
「成功して偉くなる人間は、相手がどう思うかなんて考えずに、 部下に結果を求め、無理にでもやらせるんだ。」
かつて、私にそうお教えてくれた方がいました。
この考え方はある意味正しいとは思います。
結果を求められた部下は、どなられながらも必死で頑張るしかないし、仕事も覚えて成長するかもしれません。
でも、そこにあるのは恐怖政治と同じく、力による支配です。
頑張って仕事をこなした満足感があったとしても、仕事をやりとげた満足感より、恐怖から逃れられた満足感のほ
うが大でしょう。今日も、何とか生き延びた。 みたいな。
確かに、いっぱい気配りするより、鈍感になったほうが楽だなと思えることは多々あります。
でも、私にとって大事なのは、 「細かいことが気になる」 ではなく、 「気配り」 です。
今後も、鈍感力には抵抗を続けます。
Column208 2007/6/1 up
■ イメージトレーニング
F1ドライバーの雑誌インタビューを読んでいると時々出てくる言葉があります。 イメージトレーニングという言葉。
実際に本番マシンで本コースを走れる機会がルール的に制約されているF1ドライバーは、かつての記憶や実際に
足で歩いて確かめたコースの現状を思い出し、頭の中で走行をシュミレーションしてトレーニングするのだそうです。
どこそこのコーナーの入口でブレーキを踏み2速に落とし、どこそこまでねばる。
という具合のシュミレーション1周分をやってみて実際にタイムを計ったりもするそうです。
それを何度も繰り返し、現実の感覚に近づけていくわけです。
そんなことで効果があるのでしょうか。
もちろん、気温、路面状況やらマシンの仕上がり、すべてが本番とは大きく異なるでしょう。
でも、現に多くのドライバーがイメージトレーニングを実施してそれなりの効果を上げているようです。
さてさて、せっかくですから、当然のことレーシングドライバーなどではない我々の日常に、何か応用出来ないかと
考えてみました。
イメージトレーニングの効果は、本物をなぞった疑似体験。 ある意味リハーサル効果です。
でも、リハーサルの目的とは何でしょうか?・・・考えてみました。
リハーサルの第一の目的は、調整してきた事項の本番前のダメ出し。
つまりは、流れ(フロー)を確認することで、場面、場面を点(ポイント)で確認するのではなく、前後の繋がりを線(ラ
イン)でチェックし、問題点(切れ)がないか一つ一つ把握することです。
事前に問題点が把握出来れば、事前に修正も可能なわけです。
では、リハーサルの第二の目的。
それは、文字通り疑似体験。
誰でも、初めてのことには戸惑いますが、2度めのことなら慌てたりはしません。
3度目、4度めなら、更に落ち着いた行動が出来るでしょう。
疑似体験とはいえ、自分の行動の流れが十分シュミレーション出来ていれば、行動がよりスムーズになるのです。
○○までクルマで送ってよ。そう家族に言われた時、
あなたは、当日になっていきなりクルマに乗って、さて右だったか、左だったかと運転してスムーズに目的地に行き
着けますか。
私も、カーナビに頼るほどでもない市内なら、まあ大体の見当で行けるかな。と思ってクルマを運転しますが、
つい、交差点で曲がり忘れたり、一本手前の道で曲がったりすることがあります。
気付かないうちに、しょっちゅう行く別な目的地(駅とか)に行く行動を体がとってしまうのです。
でも、出発前に、○○の交差点は右、□□の交差点は左くらいの要点を頭の中で、交差点の映像を描いた上でシュ
ミレーションしておくと、大抵は間違えずに行けます。
これが疑似体験効果。 ・・・・ ですかね。
ほんのちょっとの疑似体験が行動をスムーズにするのです。
会社の帰りに酔っ払って、良く覚えていないのだけど、ちゃんと家に帰り着いていた。そんな経験はありませんか?
頭は、日常の行動を覚えてくれるように出来ているのです。
このライン(フロー)チェック効果、疑似体験効果をうまく使えば、会議の司会進行だって、就職面接だって、うまく
いくような気がしませんか。
例えば、会議の進行を、単にシュミレーションするだけでなく、自分が司会をしている様子や、発言者の発言内容を
整理している様子を思い浮かべながら、開会から、最後の議事のまとめまでをイメージ=映像として頭に思い浮か
べ、一通りなぞってみるのです。
本番で、あがったり、あわてがちな方など、特に効果があると思います。
そういえば、社会人になったばかりのころのクラブ活動(?)で、大会で勝っている様子をイメージトレーニングして、
試合にのぞんでいた経験がありますよ。(ちなみにレーシングカートです。))
必ず勝てるというわけではないけれど、スムーズに運ぶものでした。何か目標があればイメージトレーニングを活
用するのは効果があるのでしょうね。
そうそう、実際の行動をイメージする効果に加えて、うまく行った後の自分や仲間をイメージすることは目標達成に
かなりの効果があるそうです。
勤務先のコミュニケーションを活性化しようとしている私も、皆が言いたいことをスムーズに意見交換でき、それで
いてニコニコと仕事を進めている状況をいつもイメージしています。
ゴールやその先をきちんとイメージすることは、目標を達成する一番の近道です。
Column207 2007/5/30 up
■ 目はくちほどにものを言う
目はくちほどにものを言う。 なんてことを言いますが、そんな相手の目に表れる気持ちを読むのもあなたの目。
目は色々な情報とのコンタクト (=接触) の入り口になるのです。
例えば、早起きする私が、朝、スムーズに目覚めるためにやっていることは、カーテンの端っこを20cmほど開け
ておくことです。
朝陽が差し込むと、自然に目が覚める。自然な目覚めは、苦痛の少ないスムーズな一日にも繋がります。
ある意味、心の健康法でもあります。
そしてまた、自然な目覚めを呼ぶためには、スムーズに眠りに落ちることも必要です。
スムーズに眠りに落ちるためには、まず、当たり前のこととして、
午後 〜 夜 のコーヒー、寝しなの読書・刺激的なドラマは避けましょう。
まあ、人にもよるようですが、神経の高ぶりはスムーズな眠りを妨げます。
コーヒー (カフェイン) 以外の刺激は目から入ります。
そして、長時間のパソコン作業。
頭の緊張だけでなく、直接的に目から入る刺激が神経を高ぶらせます。 仕事で一日パソコンに向かっていると、
寝付きが悪くなったりしませんか。目は、刺激が直接的に入力される入り口となるのです。
午後の外出時には、サングラスをかける。
夜、特に就寝時刻の2時間前位から室内の照明を暗めにする。
そんな小技が、スムーズな眠りを作ります。
で、実はあまり良く知られていませんが、
日焼け止めを幾ら塗っても、目から入った光が日焼けの元にもなります。
えっ!って本当ですよ。
強い日差しにコンタクトした目が、脳にその情報を送ってしまうので、自分自身の目をうまく騙せば、脳を騙すこと
もできるというのが、私の自論でもあります。
そう、目は、脳と直結し、色々な情報を取入れ、脳はその情報を処理をしています。
脳がメラニンを生成するように体内に指示を出してしまうのです。
Column206 2007/5/25 up
■ 質問の背景
子供から、「何故、勉強をしなくてはいけないの?」 と質問があった時、最適な答えは何か?
「一生懸命勉強すれば、いい学校に入れるし、いい学校に入れれば、いい会社の入れるからだよ。」
こんな答えは、子供には意味不明です。
いい会社ってどんな会社か? もっと難しい質問です。 いい会社に入るより、野球選手かアイドルになるほうがいい。
なんて考えもあるかも知れません。
野球選手になるより、いい会社に入るほうが可能性が高いよなんて言っても、理解してもらえるでしょうか。
そもそも、いい会社という選択肢に絞り込んでしまうことが、子供の将来の可能性を否定していることにもなります。
「何故、勉強をしなくてはいけないの?」 この質問への最適な対応は、質問の背景を考えることにあります。
同じく、
「何故、この仕事をしなくてはいけないのですか?」 部下からのこんな質問も同様です。
その背景は、
勉強をしたくないから、仕事をしたくないから、なのではないでしょうか。
であれば、
「勉強が嫌なの?」 とか 「この仕事が嫌な理由でもあるの?」 という質問を返し、相手の気持ちの背景をもう少し探って
みることも出来ます。
「子供は勉強をするものだ。」 とか、
「仕事が嫌なら会社を辞めるしかないよ。」 と言ってしまえば、話はそこまでです。
質問をすれば、
「新しいゲームをやりたい。」 とか、
「同じようなプロジェクトを頑張ってまとめたのに、 結局、却下されたことがあります。」 というような、真の理由が見えて
くるかもしれません。
〆〆〆
人が質問をするのには、理由がある。
そう考え、上っ面だけの返答をするのはやめましょう。
Column205 2007/5/13 up
■ ゴールを目指せ
昨日は中学校の運動会を見に行きました。
小学校に比べ、単調で面白みにかけますが、すべての競技が勝ち負けを決める競技なので、生徒の皆さんはそれな
りに頑張ってます。
徒競走のゴールとなる地点で見ていたのですが、面白いことを発見しました。
一生懸命頑張って走っているのに、ゴールラインの布テープに達する寸前に、スピードを落とす生徒が多いのです。
ゴールの50cm位手前で、抜かれる生徒も結構います。
先頭で走ってきてゴール寸前でスピードを緩める方は2人に1人位、
さらに、2番手の方にゴール寸前で抜かれる方は、4人に1人位の割合でいます。
ゴールテープが怖いわけでもないでしょう。
どうやら皆さん、ほっとした顔に変わり、ゴール後に停止できるようにスピードを緩めているのです。
ゴールは駆け抜けろ。
先生がそう指導していれば、皆さん最後まで、全力疾走するでしょう。 勝負が決まるまで力を抜くなということです。
これって、仕事の場面でも同じことが起きているのかな、なんて思ってしまいます。
コーチングではよく、ゴールで立ち止まるなと教えます。 ゴールで立ち止まれば、ほっとしてしまい、次のスタートま
でに時間がかかってしまいます。
文字通り気を抜かずゴールを駆け抜けていくことが,モチベーションを維持するコツなのです。
Column204 2007/5/5 up
■ 人の話は素(す)で聞こう
人の話は、あの人は○○な人だという先入観を捨て、素 (す) な状態で聞いてこそ、相手が本当に伝えたいことが聞
こえてくる。 なんて話を社内のメルマガにもよく書くのですが、どうしても、社内には、決め付けが横行しています。
「彼は結局、○○と言いたいのだろ。いつもそうだからね。」 なんて感じです。
「おいおい、彼はまだ話し終わってないだろ。」 と言っても、
まあ、最後まで聞いてみるか、と思ってくれる方は少なかったりもします。
ある意味、
決め付けは、過去の相手を見て、相手を知ろうとする行為です。
相手の話をきちんと最後まで聞くことは、現在の相手をしっかり見る行為。
こうやって、文字で書けば、どちらがより良い行為(考え方)なのかは、冷静に判断できますが、皆、何故か自然と決
め付けちゃいます。
例えば、こんな決め付けもあります。
「皆、そう思ってるよ。」 というような自分を正当化する発言。
何となく、正しい言い方のようなのですが、
「50人の部員のうち、誰と誰がそうだと言ってるの? その意見は、何%になるかな?」 と質問すれば、
人数を指折り数えて50人中、5人、10%に過ぎないかも知れません。
でも、大抵の場合、
「皆って、実は少数意見じゃないか。」 とはならず、
「そうだ、そうだ。」と決め付けに引きづられてしまいます。
会議などで発言が少ない場合、
誰かが意見を言った時点で、それが正しいことのようにも聞こえてしまう効果もあるのでしょう。
こうして考えると、
人の意見を常に素(す)な気持ちで聞ける方は、
正しい判断をする為のツールを一つ持っているのだとも言えます。
Column203 2007/4/30 up
■ アロハガールのコミュニケーション
たまたま点けたTV番組でコミュニケーションについて考えさせられました。
タイトルは「アロハガール」だったか何だか、ハワイでのサーフィン暮らしを紹介するような番組。
その回の中での話。
米国人の父親、韓国人(だったか東洋人)の母親を持つ、ハワイに住む女性が、子供の頃から、父親は積極的に自
分に話かけてくれて、スキンシップもしてくれた。でも、母親はべたべたしてはくれなかった。
そして、自分(アロハガール)が大人になって考えてみると、 母はベタベタはしてくれなかったけど、家のことを一生
懸命やってくれていた。
米国人の父親とは違う、東洋人の母親流のベタベタしないやさしさ、それが今になって判った。 との内容。
ベタベタするだけがコミュニケーションではない。 なるほどと思う内容でした。
うーん。 当然ながら、家族であれば、いつか分かり合う機会が巡ってくるかもしれません。
でも、仕事の関係だったり、一回しか合わないだけの関係だったらどうでしょう。コミュニケーションの機会は永久に失
われるかもしれません。
別にこの米国人の父親のようにベタベタする必要はありませんが、東洋人の母親の表立っては表現しないけど深い愛
情のようなやさしさは、仕事の関係では理解されない可能性が大でしょう。 残念ながら。
もちろん、我々は東洋人ですが、
人の価値観も多様化し、相手の心を積極的に理解しようという東洋的な感情は通じにくい世の中になっているのかもし
れません。
思っていることは積極的に表面に出す。
その上で理解しあう。
今の世の中に必要なのは、そんな自己表現なのではないでしょうか?
Column202 2007/4/22 up
■ 間違いに気付かせる
間違いは指摘するものではなく気付かせるもの。
コミュニケーションに関する書物には、概ね、そんなことが書いてあります。 どういうことでしょう。
上役に対して、「それは間違いじゃないですか。」 と面と向かって指摘できる風通しの良さは多くの方の望むと
ころですが、中々そうもいきません。
算数のように答えが一つで、きちんと割り切れるものであれば良いですが、仮に仕事の進め方に関することで
あれば、たとえ本当に間違っていても、本人がそう思っていなければ、間違いを指摘しても、すんなりとは受け
入れてくれるとは限りません。
そこで、
面と向かって間違いを指摘するのではなく、本人が気付くようにうまく誘導できれば、スムーズに間違いの修
正をしてもらえる可能性が高くなるわけです。
でも、上役だけではなく、部下や後輩だって同じです。
もちろん、上司から「間違ってるよ。」と指摘されれば、間違いを修正するでしょう。
でも、毎回、毎回上司から間違いを指摘するよりは、自分で、きちんと仕事をチェックできるように育てるべき
です。
また、ある程度経験のある者なら、例え上司から言われても自説を主張するかも知れません。
「ごちゃごちゃ言わずにやり直せ。」 と命令すれば、修正はするでしょうが、納得感は有りません。
ふてくされているくらいはどうでもよいですが、(時には問題となりますが)自分の誤りを理解していないよう
では、再び同じ過ちを繰り返すでしょう。
「間違っているじゃないか。」 何て言い方は止めて、
「○○に□□の処理をしたら、△△に問題が起きないかな、確認してみてよ。」
というように誘導してみてはいかがでしょうか?
もちろん、
「いつもやってるけど、大丈夫ですよ。」 というような返答も有り得ますが、
「忙しいところすまないが、この件は、万全を期したいので頼むよ。」 と言い返せます。
細かな作業で、毎回、万全を期したいというのは変ですが、大きな仕事なら、責任者が、そう思うのは当
然です。
2重チェックする慎重な人間だと思われてもいいかも知れません。
それならそれで、部下は毎回きちんとチェックするでしょう。
Column201 2007/4/15 up
■ 減点法でも、加点法でもなく
人を見るときに、その相手の悪いところばかりあげつらう方がいます。
つまりその人のものの見方は減点法なわけです。
これに対して、その相手の良いところを見つけて、彼はここがいい。と考えるのは加点法。
どっちが良いのかというと、何となく、加点法のほうが良い。というように思えます。
悪いところあげつらってもキリがないし、良いところを見つけて誉めてあげたり、伸ばしてあげたほうが、本人も
やる気になる。まあ、私もずっとそんな考え方でした。
しかし、結局、悪いところは、指摘しないと、ずっと悪いまま。
また、加点法だと、悪いところもあるけど良いところもある方と、
悪いところはほとんどないけど、めだって良いところもない、でもコツコツやっている方、
このどちらの方を、高く評価すれば良いのでしょうか?
しかも、悪いところもあるけど、良いところもある方は、往々にして、上役の方には良い面ばかりを見せて、部下
や後輩には悪い面を見せていたりもします。
減点法ではなく、加点法。
なのではなく、全てをきちっと見つめて、フェアーに判断する。 そんな見方が必要なのではないでしょうか。
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