Skill23   相手に伝わる説明のテクニック



  相手に説明していることが中々うまく伝わらない。 そんな思いをしたことはありませんか。
  そんな時、自分の中では理路整然と話しているつもりでも、相手からすれば、何を言っているのか分からないのかも
  知れません。
  今回は、普段の話し方や説明方法をちょっと振り返り、相手に伝わるように話すにはどうすればいいのかを考えてみ
  ます。


 ■ それって、専門用語では?

  電算システム導入の打合せに出席していて、説明の内容が分からなくて困ったことはありませんか。

  その道の専門家の方は、どうしても専門用語や業界用語を使いがちです。 でも専門外の方、特に顧客相手に説明
  しようとするのなら、極端な専門用語は外国語と同じです。ご法度でしょう。

  ファミリーカーのショールームで、
  この車は加給圧が○○Kgまでブーストし、トルクは5000回転で50Kg/mです。
  何て言われたら帰りたくなりませんか。
  加速性能の良さを示したいのなら、ターボで○○馬力です位で十分です。

  実は、我々はこれと同じことを、周囲の方にしているのかも知れません。


  相手にきちんと伝えたいことがあるのなら、相手の仕事や生活の背景に思いを巡らせて、今あなたの使っている言
  葉が、相手にスムーズに伝わる言葉なのか? 相手は理解出来ているのか? と考えてみることが必要です。

  以前、学生の面接の際、学校で何を学んでいるのかと訊ねると、
   「P2PとWeb2.0がどうのこうの」 と喋り出す学生がいました。

  そんな時の私の次の質問はいつも、「今までの就職活動で、内定まで進めなかった敗因を分析しましたか?」
  というものです。
  助言のつもりなのですけどねえ。

  
〆〆〆
  言葉の理解は人によって違います。 伝えたいことがあるのなら、相手に合せた言葉を使いましょう


 ■ 感覚語を使っていませんか?

  皆さん、飲み会の席で、つい言ってませんか? 「とりあえずビール2、3本」
  2本か3本かはっきりしろ!・・・店員さんの心の声が聞こえそうです。

  時には、本数が明確なのに、曖昧な表現をすることもあります。 「5本くらい。」 ・・・・くらいは不要です。

  曖昧なのは良くないと、反省はしますが、つい毎回やってしまいます。


  実は、こんな曖昧なもの言いを「感覚語」と言います。
  「出来るだけ」「ほとんど」「すぐに」「ゆっくり」「すごく」「時々」等、文字通り、感覚的で曖昧な言葉です。

  飲み会の席ならいいですが、仕事で使っていると、後々問題になったりもします。

  仕事の指示の場面で 「出来るだけ早くやってくれ。」 とか、
  部下からの報告が 「ほとんど出来ています。」 だったり。

  出来るだけ早くって、今週中なのか、今日中なのか、1時間以内なのか?
  ほとんど出来ているって、99%なのか、80%なのか、50%なのか?
  受止め方は人によって大きく違います。

  「急ぎで頼むよ。」 と依頼した仕事が3日、4日たっても完成しない。
  「ほとんど出来ている」 と言ったのに、見せろと言ったら、半分程度。

  仕事の場面でのそんな 「ずれ」 は、感覚後を使う限り無くなりません。
  あなたの周囲でも日常茶飯事なのではありませんか?

  こう書いていると、 だいたい、日常茶飯事って、一日に1回なのか数回なのか、一週間に1回なのか?
  それすら曖昧だと言うことに気付いたりもします。

  
〆〆〆
  仕事の場面では、具体的な数字を上げて確認しましょう。


 ■ きめつけ言葉、思い込み言葉には注意が必要

  後になって、あの時何であんな判断をしたのかと思うことはありませんか?

  「皆がそう思っている。」 「○○がいいに決まっている。」
  会議の場面での声高なそんな発言は、説得力がありそうで、周囲の同意を得やすいものです。

  でも、ちょっと待って下さい。ミスジャッジを招かないためには、皆って誰と誰なのか、○○以外の選択肢は十分
  に検討したのかと、冷静な目で判断することが必要です。

  人は、同じ考えの方や、同じ趣味の方と群れやすいものです。 また会社であれば、当然ながら同じような経験を
  した方ばかりであり、仕事上の価値観・判断基準も似かよってきます。

  その為、つい自分達の周りで交わされる意見や考え方が世の中の主流であると思いがちなのです。

  でも、他の集団からみれば、まったく主流ではなく非常識な考えであったりすることも起こるのです。

  
〆〆〆
  重要な判断を行なう際には、自分達の集団には属さず、冷静で客観的な意見を言える方の判断を参考にすること
  も必要です。

  また、あなたが人に説明する際には、
  皆が・・の人数的裏づけや。○○に絞り込む過程での他との比較を示せば、説得力が高まるはずです。


 ■ 数字の使い方を工夫してみよう

  感覚語も決めつけ言葉も、問題はその数字の曖昧さにあります。 であれば、逆に数字の使い方次第で説得力を
  増すことが可能なのです。

  例えば、番組の視聴率は45%です。と言う場合でも、
  決して、日本人の45%が実際にその番組を見ているわけではありません。

  2万世帯中、9千世帯が見ていました。と言えば事実が強調され、視聴率45%です。 と言えば数字の大きさが強
  調されるわけです。

  強調したい部分は何かと考えて、それに合せた表現が有効なのです。

  商品のダイエット効果を強調したいのなら、 体重が8%減りましたと言うよりは、体重が5Kg減りましたと言った方
  が訴求力があるはずですし、60Kgが55Kgになったと言えばより現実感が高まります。

  
〆〆〆
  あなたの説明において強調すべき部分は何処なのか? きちんと考えた上で、説明方法を工夫してみましょう。


 ■ やさしい言葉が理解を助ける

  悪玉菌・善玉菌、血液がサラサラになる、気持ちがブルーになる、グレーゾーンだ、スイスイ解けた。
  数字での説明とは逆に、非常に正確さを欠いたこんな表現が、なんだかしっくりくることがありませんか。

  血液は実際にはサラサラやドロドロになったりはしません。凝固しにくかったり、凝固しやすかったりするだけなの
  ですが、サラサラ、ドロドロという表現により、私たちの理解は非常にスムーズになります。

  ピロリ菌が悪で、ビヒズス菌が善と言い切れる裏付けも詳しくは知りませんが、 悪玉菌・善玉菌という表現も非常
  に分かりやすいでしょう。

  
〆〆〆
  正確さが必要ではない場面では、表現をやさしい言葉に置き換えることで、相手の理解がスムーズになる。
  そんな使い分けも相手の理解を促すためには効果的なのです。


 ■ 相手のタイプに合わせた言葉使いも大切

  専門用語・業界用語、感覚語、決めつけ言葉・思い込み言葉を使いがちの方は、 多くの場合、それがくせになっ
  てしまっています。
  でも単純に、専門用語や感覚語がいけないと言うわけではなく、説明する相手によって言葉や論法を使い分ける
  ことが必要であると理解して下さい。

   ○ 資料を良く読み、数字など事実の裏付けをもって冷静に考える方
   ○ 直感的で、難しい話ではなく、話の流れや全体像を掴みたがる方
   ○ 分析力があり、文章より、グラフや数表での説明が理解しやすい方
   ○ 論理的で、自分の考えに合せて判断する方

  そんな相手の性格を理解しないで、誰にでも同じような説明をしていたのでは、説得できる相手も説得できません。

  
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  相手の性格、仕事の背景等を振り返ってみて、どんな説明方法が有効なのかを考えてみましょう。


 ■ 相手の仕事内容、生活体験を考える

  例え話が相手の理解を助ける。 そう思って、話を工夫してみたけど、どうもしっくりこない。
  そんな経験のある皆様、その例え話、相手に理解出来ているのでしょうか?

  例えば、
  東京ドーム3個分の広さ。と言われれば何とか想像もつきますが、
  東京ドーム100個分の広さ。と言われると想像しにくくないですか?

  新宿区位の広さです。と言い換えればだいぶ想像しやすくなりますが、それだって、関西居住の方には分かりに
  くいでしょう。

  同じく、
  新幹線並みの速さなら想像出来ますが、チータ並みの速さでは意味不明。
  実際にチータが走るのを目の前で見たことなんてないでしょう。

  
〆〆〆
  例え話は、相手の興味ある分野や、仕事の内容、生活体験を考えた上で使いましょう。


 ■ 道順を伝えるように

  あなたは、突然道を訊かれて、道順を理路整然と説明出来ますか?

  自分はきちんと説明しているつもりでも、相手が思い出せるのは、きっと二つめの角くらいまででしょう。
  私も、知らない街で人に道順を訊ねても、歩いている途中で分からなくなることがよくあります。

  三つめの信号を右。 くらいは覚えていても、そのあとの目印で、右に曲がるのだったか、左に曲がるのだったか
  思い出せません。
  だいたい目印は、セブンイレブンとサンクスのどっちだったか? ・・・何て感じです。

  この原因は、教える側が頭に描いている地図と、教わる側が頭に描いている地図が違うこと、つまり目的地に関
  する共通のベース (コンテクスト) がないことに原因があるらしいです。

  これは、道順に限らず、仕事の説明や、身の回りの出来事を人に説明する場合も同じです。
  共通のベースがないのに、一方的に自分の考えや想いをしゃべっても、 相手にはほとんど伝わっていないので
  す。

  もし、きちんと相手に理解してもらいたいなら、相手の理解を助けるための話の骨子をまず伝え、 話の流れに関
  する共通のベースを作ることが必要です。

  例えば、
  全体像、方向性、結論・最終形、要点、目的など大事な部分を先に説明し、その上で詳細の説明をします。

  「今日の会議の目的は○○の方法を決定することです。」 (目的)
  「このプロジェクトは○月までに●●となる方向で進めたい。」 (最終形)

  道順なら、まず全体像を示したり、基準となるものを示すことも理解を助けます。

  「○○へは東西線から千代田線に乗り継いで行きます。大手町で乗換えて、 千代田線は□□駅で下車して下
   さい。」 (全体像〜詳細)
  「常に、太陽を左に見て、まっすぐ行ってつき当りを右。」
  「駅に向かって、右。」 「あの塔に向かって右手。」

  
〆〆〆
  相手と自分の間に、何かしらのコンテクストを作ることで、理解はいつもより確実に前に進むはずです。


  相手に伝わる説明のテクニックというよりは、問題点の羅列になっってしまいましたが、幾つかのヒントをご理解
  いただけましたでしょうか?

  もちろん、面倒くさいとか、そんな簡単に変われないよと思えばそれまでですが、自分の説明方法・話し方を振り
  返って、ほんのちょっと修正するだけでもあなたの説得力は格段に増すはずです。

  例えば、「えーと」 という話し癖を止めるだけでも、相手にはかなりスムーズな話し方になったなと思われるでし
  ょう。

  一歩ずつでも、工夫してみませんか。







                                                  


Skill24   話し癖を直そう



  今回は、自分の主張をきちっと相手に伝えるため、自分の、「話し癖」を理解し、なんとかするお話。

  「あー」とか「えーと」という言い淀み。 これって、本人は、あまり気になっていないでしょうね。

  でも、会議での報告の場面などで、終始、「あー」「えー」と言っている方が、とっても気になりますよね。
  場つなぎとして、ごくごくたまに使用するのなら問題ないのですが。 頻繁にやられると話の内容に集中でき
  ませんよね。

  聞き手は、説明中の意味の有るある部分と意味の無い部分を選別しなければならないので、注意を奪われ
  てしまい、話の内容に集中出来ません。

  結果、真意が伝わらないなんてことにもなるのです。
  もちろん、間に「あー」「えーと」が入るので話も長くなりますし、的を得ていない印象を、確実に相手に与え
  ます。

  そう言われても、言い淀みが直らない方。
  癖ですから、いきなり流れるようにしゃべるのは難しいでしょう。

  そこで、言い淀みの間 (ま) は、「間」 として取っておき、声を出すのだけをやめてはいかがでしょうか?
  頭の中で 「えー」 と言うわけです。試してみて下さい。

  さて、
  話し癖には、「○○でえ」 と語尾を延ばしたり、語尾をちょっと質問調に上げるイントネーション癖もあります。

  イントネーション癖は幼稚さや落ち着きのなさを強調します。
  友達言葉としては良いでしょうが、ビジネスの場面では違和感があります。

  イントネーション癖の強い方は、公私のケジメが不明確。とも受け取られてしまうわけです。
  そんなことはない。そう思うのなら気をつけるしかありません。

  では、どんな話し方が良いのか?
  お手本にするのなら、ズバリ、アナウンサーのしゃべり方です。

  アナウンサーは徹底的に訓練されているので、話し癖はありません。
  ニュースキャスターの話の内容は、ストレートに伝わってくるでしょう。

  自分の主張を相手に明確に伝える。結構難しいことなのです。






                                                 


Skill25   無気力を退治する



  モチベーションを英和辞典で調べると 「動機付け」 と書かれています。
  故に、外発的動機付け (報酬等への満足) より、内発的動機付け (自分の達成感) の方がより強い動機となる。
  なんて言い方もあるわけです。

  でも、我々がモチベーションと言う場合、
  「動機付け」というよりも、動機より一歩手前の「気力」や「やる気」のレベルについて話している気もします。

  そこで、今回は気力・無気力について考えてみます。


 ■ 無気力の原因

  一度は聞いたことがあるかもしれない心理学実験のお話。
  檻に入れられた犬に、電気ショックを与え続けると、最初は暴れたり吠えたりした犬も、だんだんと抵抗しなくなり、
  しまいには、電気ショックを与えてもじっと我慢しているだけになるそうです。
  その後、檻から出して電気ショックを与えても、犬は逃げないとか。

  可愛そうな実験ですが、学習性無気力感を証明する有名な実験です。
  そして、実は人も同じ、常にやる気をそがれることをされ続けたり、失敗を重ね続けたりすると、やる気は永遠に失わ
  れてしまうのです。


 ■ 失敗は成功の元

  もし、失敗の繰り返しのせいで無気力なのであれば、今度こそはと、もう一回頑張るしかゴールへの道は有りません。
  しかも、ただ単に頑張るのではなく、思い出したくない失敗ではありますが、失敗に至った経緯を思い出し、失敗の原
  因を十分に分析して、再発防止策を徹底するべきです。

  次回は同じ間違いを繰り返さないよう、きちんと努力する。
  面倒くさいようですが、それが無気力から脱し、成功する近道なのです。

  成功より、失敗にこそ学ぶものが多い。そう思いましょう。


 ■ 小さな目標から達成する

  中々成果が出ないことは、人が無気力になる原因の一つです。
  例えば、すごく大きな目標、ずっと先の目標を達成しようとすれば、当然ながら成果は出にくいはずです。

  相当頑張っていても、それが成果という形になるには時間がかかります。 コツコツやるのが不得意な方なら、気力を
  持続出来ないかもしれません。

  でも、ちょっと小さな目標、目先に見えるような目標を立てれば、たとえ小さくても進捗感、達成感を味わえるでし
  ょう。

  つまり、エベレストに登頂するなんて目標は夢のような話でも、目の前の丘を乗越えるなんてことは、手の届き易い目
  標なのです。

  同じように、ずっと先の大きな目標までを、小さな目標で区切ってみれば、小さな達成感を味わいながら気力を維持し、
  やがて最後の大きなゴールに達して、大きな達成感を味わうことが出来るかもしれません。

  それがマイルストーンの考え方です。


 ■ 7割思考を持つ

  完璧でなければ気が済まない。うまく出来なければやる気がしない。 そんな考え方をする方も世の中にはいます。
  でも、どんなに優秀な方でも、行動に移せなければ、何にも出来ないのと同じです。

  7割の出来でもOK。 ・・・ 時には、そんな気持ちを持ちましょう。

  まずは行動に移す。完璧でなくてもやりとげる。 仕事の内容によってはそれが許されることだってあるはずです。
  気に入らない部分は、後で手直ししてもいいじゃないですか。 大事なのは、 無気力を正当化する言い訳を捨てること
  なのです。


 ■ ちょっとした成功に報いる

  「頑張れば誰かが見ている。」 そんな励ましを言う方も多いですが、人が頑張ったと認めるほどの成果はなくても、
  自分なりには頑張ったと思うことは結構あります。

  そんなときは、「今日は自分へのご褒美。」 ・・・・ こんなセリフ、TVのCMで聞いたことありますよね?

  ちょっとした頑張りには、自分で自分に褒美をあげてみてはどうでしょうか?
  だって自分の頑張りを一番知っているのは自分ですから。

  ちょっと足を延ばして美味しいコーヒーを飲みにいくでも、
  ちょっと高価なネクタイを買うでも、いいでしょう。
  要は、日常とはちょっと違い、かつあなたの趣味にあったプチご褒美を楽しみましょう。

  明日への活力が湧くかどうかはあなた次第ですが、少なくとも、無気力にはならないと思いますよ。


 ■ 人は楽な生き方を選ぶ

  楽をしたい。それは人の心の常。
  手間をはぶきたいという気持ちは多くの発明、工夫の根源でもあり、それ自体は決して悪いことではありません。
  でも、楽をしたいという感情が、必要に迫られなければ行動に着手しないという気持ちを産んでしまうのも事実。
  無気力というよりは、怠惰と言ったほうが適切かもしれません。

  夏休みの宿題に中々手がつけられなかったりするのも同じ感情が原因ですが、幾ら後回しにしても、最後は必ずや
  らなければならないのです。

  そんな時は、締め切りとスケジュール (マイルストーン) を明確にして、とにかく作業をスタートすることが懸命です。

  但し、大事なことが二つ。

  〆〆〆
  まず第一に、人は、無意識のうちに楽観視し、最良なケースを想定し、スケジュールを短めに見積る傾向があります。
  上司にチェックしてもらう日を締切日として、その後の手直し期間を設けるという工夫も必要でしょう。

  〆〆〆
  二つめは、最初に難しい問題から取り掛かろうとするな。 ということ。
  難しい仕事は、何となく取り掛かり難いものです。 着手を後延ばしするのではなく、 まずは、やりやすい部分を幾つ
  か片付け、その仕事が進み出してから難しい部分に取り掛かりましょう。

  面倒なこと、はじめてのことには、ちょっとずつ感覚を慣らしていくのは、行動の鉄則です。

  〆〆〆
  中には、実行を周囲の方々に宣言して自分を追い込むなんて方法もありますが、まあ、時と場合を十分に考えたほ
  うが良さそうです。


 ■ 気力が一日続かない

  前々回の 「身近なストレスに対処する」 でもご紹介しましたが、午前中は元気でも、夕方までは気力が続かないと
  いう方は多いようです。

  実は、午前中の気力が午後に萎えるのは、うつ病の典型的な症状ですが、別に病気ではなくても、疲れが溜まりだ
  す午後遅くに、気力が無くなり、無愛想になるのは、多くの方の心理的傾向でもあるのです。

  世の中には、5時から男なんて言葉もありますが、不思議なことに、仕事が終わって飲みにでも行けば再び元気が
  湧いてきます。

  つまり大事なのは、頭や行動を切り替えること。

  同じ仕事、同じ姿勢を一旦やめて、ちょっと別なことをしてみる。
  休憩する余裕が無ければ、別な仕事でもOK。明日の会議資料の整理だっていいのです。

  最初から、午後3時からは別な仕事をスケジュールに入れておけば、気力が無くなるのを未然に防ぐことだって可
  能です。


 ■ もう一つの柱を持つ

  もう仕事をやってられない。
  無気力というよりは、仕事から逃げたくなるような気持ち。 仕事に疲れが溜まると、そんな気持ちにもなりがちです。

  でもそもそも、仕事が楽しいなんて本当に思っている方なんて、そうはいないでしょう。

  TVや経済雑誌の人物紹介や女性誌のビジネスウーマン紹介などには、仕事を楽しんいる方が時折登場しますが、
  記事中の発言では、「日々つらいことばかり、楽しいというよりはやりがいを感じると表現したほうが適切。」 と言っ
  ていたりします。

  スポーツ選手や役者さんのインタビュー記事を見たって、楽しいなんて書いてあることは滅多にありません。
  それでも、日々努力と苦労を重ねてやりがいを維持し、ひとかどの生活をしているのです。

  そして、仕事がいやになった方、仕事にやりがいを感じない方には、一つの共通点があるようです。
  自分の行動・結果が人に支配・コントロールされていることです。

  そんな時は、仕事以外にもう一つの柱を作ってみてはどうでしょう。
  上司、上役に言われてやるのではなく、自分の意思で行動出来、自分の努力と責任で結果を出せることを生活に
  組み込めれば、無気力感は確実に減ってくるはずです。

  趣味でも、習い事でも、資格への挑戦でもいいでしょう。 前向きに取り組めるもう一つの柱を見つけて下さい。
  生活に目的が出来ることで、仕事にも身が入るかもしれません。 (保証は出来ませんが。)


 ■ モヤモヤは言葉で整理する

  何だかモヤモヤ、イライラするけど、愚痴を聞いてくれる相手がいない。
  仕事だけでなく、プライベートで行動するのもおっくうだ。何となく無気力。・・・そんな方もいるでしょう。

  実は、愚痴を聞いてもらうということは、自分のモヤモヤの正体を言葉で整理することにもなります。

  モヤモヤの原因が整理されれば、自分が何かに怒っているのか、何かをしたくても出来ないのか、何が阻害要因
  なのか、ということを再確認出来るので、 少なくとも怒りのぶつけどころくらいは明確になります。

  でも、部下の愚痴を聞いてあげたくても、実は自分自身がその原因だったりするかも知れません。

  中々本音で話せる同僚や友人がそばにいなかったり、話し相手も忙しそうで、愚痴を聞いてもらえない。
  そんな方もいるでしょう。

  そんな時は、日記にでも広告の裏にでも、想いを言葉として整理してみるのが一つの方法です。

  今時、日記なんか書かないよ。
  そんな方はブログやSNS(mixi等のソーシャルネットワーク)だって、氏名も社名も完全に匿名ならば可能でしょ
  う。もちろん自宅で。

  いずれにせよ大事なのは、自分自身の気持ちや考えが言葉として整理され、デトックス (毒出し) されることです。

  さらに、毒出しだけではなく、言葉として整理されることで、客観的に対処法を考えたり、自分には落ち度はないの
  かと考えることだって可能になります。


 ■ 仕事の壁は味方を増やして対処する

  失敗ではないけれど、スケジュールを決めようがどうしようが、仕事がうまく進まない。
  そんな行き詰まりを感じたことは無いですか?

  仕事が思うように進まないから、やる気もだんだんしぼんでしまう。

  でも実は、仕事が進まないのは、仕事の進め方がマンネリ化して、難関を乗り越えるアイデアが不足していたり、
  助けてくれる仕事上の友人・知人が少ないことが原因だったりもします。

  そんな時は、仕事の進め方をいつもと変えて、自分の思考をマンネリから脱出させてみてはどうでしょうか?
  いつもと違う気付きが得られるかもしれません。

  また、日頃から社内外を問わず、 知人・友人への協力を惜しまず、 自然にサポートしてくれる味方・仲間を増やし
  ておくということも、流れを変える一つの方法です。

  簡単ではないかもしれませんが、無気力になる前に努力してみて下さい。


 ■ なりたい自分を考える

  自分の将来像が見えない。頑張っても、どんな自分になれるのかが想像つかない。 だから気力が萎えてしまう。

  会社の中でどんな仕事を経験して、 どんな自分になれるのか。
  将来やりたい仕事をマスターするため、 どんな勉強をすればよいのか。

  働く目的をはじめとした個人の価値観が多様化している昨今、自分の将来に不安を抱く方は大勢います。

  そんな時、まずやるべきことは、将来なりたい自分を想像してみることです。
  5年後、10年後、どんな立場で仕事をやりたいのか、どんな生活をしていたいのか、 今までの経験の中で、自分
  が得意だったこと、不得意だったことは何か?
  得意を伸ばし、不得意をカバーするためには、どんな努力をすればいいのか?

  つまりは、自分のキャリアを過去から未来に向かって考えてみるのです。

  もちろん、簡単に答えは出ないでしょう。でも、真剣に考えてみることは、自分の気持ちの整理にもつながります。
  また、アドバイスをしてくれる先輩(メンター)を見つけるのも、自分のキャリアを考える上での一つの近道となり
  ます。


  キャリア開発の用語として、面白い言葉があります。 「プランド・ハップンスタンス」

  あなたが前向きに行動すれば、意図していなかった出来事が偶然のように起こり、まるで計画されたかのようにあ
  なたのプラス経験となる。 つまり、偶然は必然である。そんな意味合い。
  無気力な方には決して縁のない言葉でもあります。

  好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心の5つの要素を心に持ち、前向きな行動を心がければ、必ずやプランド・
  ハップンスタンスが起こり、あなたの人生の質を深めてくれる。

  そう信じて行動すれば、あなたは既に、無気力とおさらば出来てます。






                                                   


Skill26  限られた時間を有効活用する



  アインシュタインの相対性理論によると、時間は不変の長さを持つわけではない。
  ・・・この手の話、実は大好きなんですよね。
  でも、今回はそんな難しい話ではなく、限られた時間を有効活用するための話です。

  「何か最近、齢のせいか、時間の経つのが速いよ。」・・・なんて発言をよく耳にしますが、私も全く同感。
  最近では、
加速度がついたように1週間、1ヶ月が過ぎ去るばかりか、1年だって、あっと言う間です。

  
そして、気づけば、○○才。あれをやっておけば良かった、これも、それも。・・・・なんて後悔することも多いです。

  まあ、そんな反省もあって、限られた時間を無駄にしない為、私が心掛けていることをご紹介します。
  
ヒントは、急ぎの仕事を付箋にメモしてパソコンに貼り付けたこと。
  
画面上の付箋機能ではなく、紙の付箋をキーボードの周囲にいっぱい貼っていたのです。

  
まあ、よく見ると、仕事で使うパソコンのスケジュール管理ソフトにも、TO DO リストなんてものがありますが、
  そもそも、入力するのも面倒ですし、入力しても見なかったりもして。

  
そこで登場するのが 「付箋」。
  
まず、やらなければいけないことを、思いつく端からドンドン付箋に書いていきます。

  
わざわざ、時間をとって考えるのではなく、仕事でもプライベートでも、思いついた時に付箋に記入します。
  
もし、電車の中などで付箋もペンもなければ、思いついたことを携帯で自分宛にメールしちゃって、後ほど付箋化
  するのです。
  
携帯のメモ機能なんて使いませんよ。私はメモした事自体を忘れちゃいますから。

  
そして、肝心な部分。
  
仕事のことは会社のデスクで、プライベートなことは自宅のデスクで、優先順位付けするのです。

   @ 急ぎで、やらなければいけない事
   A 時間を見つけて、やったほうが良い事。
   B 時間があったら、やってみたい事

  と 3ランクの優先順位分けをして、ボード(というか、ただのA5くらいの紙)に貼付けます。
  優先順位の順に、上からダーっと、やって下さい。

  ランクの区切りには隙間を空けて貼っ付けるのです。

  
そして、貼っつけた付箋の頭の方に、仕事なら納期、プライベートなら希望の実施日をメモし、その日付順に並べ
  替えるのです。

  
後は、付箋が増えたら、時々並び順を見直したり、 期日までに出来ない時は、納期を変更したりします。

  
付箋は減ったり、増えたりを繰り返し、買い物リスト的な付箋も混じったりしますが、1、2ヶ月経ってみると、
  ほとんど入れ替わってます。

  
付箋がゼロということにはならないですが、私の場合は、そんなに枚数はないですよ。
  
ボードとなる紙が汚くなったら、全体を見直したりもします。

  
まあ、時間が経つのは相変らず速いけど、あれやっとけば良かったなと思う回数は減りました。
  
かなりアナログな方法ですが、私なりには満足。

  
どうすか。


  < 80:20の法則 >

  限られた時間を有効に使う第2弾。
  前項では、付箋を使ってやるべきこと、やりたいことを優先付けするお話しをしましたが、
  とはいっても、何でもかんでもやろうとすると、中々時間は足りません。 じゃあ、どうすればいいのか?

  実は、私の職場のデスクには、3つの書類箱が置いてあります。
  @ 最優先で処理する書類箱  A 短期保留 (可能になったら処理する) の書類箱  B 長期保留の書類箱

  そして、長期保留の箱の中の書類の多くは、いずれ捨てられる運命にあります。

  これぞ、パレトの80:20の法則。

  
QCサークルをやったことがある方なら、パレート図って聞いたことありますよね。
  
これを考え出したイタリアの経済学者パレト(=パレート)は、問題点の20%を解決すれば、物事は大筋で改善
  され、問題は乗り越えられるというような考え方を示しました。

  
トヨタ自動車など品質向上を目指す企業は、この考え方を基本に品質改善を図っています。

  
この考え方はさらに、
  
会議の発言は出席者の2割に集中し、つまりは2割の方が会議の行方を決めている。
  組織の業績は、優秀な2割の方が、残りの8割への寄与をしている。
  
というような考え方に繋がっているのです。

  
つまりは、仕事においては、やらなければいけないと思い込んでいることのうち、2割のことを確実にやっつけ
  れば、ほとんどで出来たも同じような効果を上げる。
というような考え方に帰結するのです。

  
実際には、2割でも3割でもいいのですが、物事の趨勢を決める2割を見つけ出し、確実にこなしていく。
  ということです。

  
限られた時間を、あなたがやるべき仕事と思っていること全部に費やそうとすれば、中々前には進めないでしょう。
  
でも、とりあえず、決めどころだと思う2割か3割をターゲットに行動してみて下さい。

  
えっ!やってみたが、やるべきことがまだまだ残っていた。
  
・・・ うーん、そんな時は、更に残ったうちの2割か3割をやっつけて下さい。


  < 20:60:20の法則 >

  実は、20:60:20の法則なんて考え方もあります。

  
あなたがリーダーなら2割の理解力の高い者は、あなたの言うことをきちんと理解してくれる。
  
残りの8割のうち、6割は判り易く、根気よく説明すれば、おそらく理解してくれる。
  
しかし、最後の2割は何をしても無駄。 切り捨てるべき。

  「理解する」 を 「味方になる」 と言い換える場合もあります。

  
とはいえ、企業においては、切り捨てていい者などいないので、私はこの考え方にまでは賛成しないのです
  けどねえ。



  < ロングテールの法則 >

  また、ロングテールの法則なんてものも派生しています。
  
商品には、2割の売れ線 (ヘッド) に対して、 売れない 8割の尾っぽ (テール) がある。

  
新しいビジネスモデルは、売れ線2割を店舗で売ろうとするのではなく、売れないと思われる8割をネットなどで、
  長く売っていくというものです。

  
店舗には売れ線の2割を買いにくる者しかいないけど、広く、色々な階層にアピール出来るネットでなら、8割の
  商品を売ることが出来る。 
という考え方です。

  考え方は色々あるものです。 
どすか。






                                                 


Skill27
  思いを伝える文章の書き方



  あなたが小論文を書くことがあった時の参考にでも、お読み下さい。


  最近、私の部門から論文の昇進試験を受ける方A君の指導をしているのですが、何度書き直してもらっても意
  味不明な文章しか書けないA君に、ホトホト困っています。

  試験当日に、「利益向上のため」とか、「価値ある企業とするため」に、「あなたは何をするのか」というようなテ
  ーマが与えられるのですが、察するところ、会社側が論文から読み取りたいのは、「あなたは将来、会社のために
  どんな素晴らしい働きをしてくれるの。」 ということに他なりません。

  A君には、昨年のテーマで練習してもらっているのですが、どうにもこうにも、彼の文章は意味不明。
  「ねえ、この部分はどういう意味?」 A君に聞くと、詳しく解説してくれるのですが、文面からは読み取れません。
  「採点者の横に付いて解説する気でもいるの?」 とA君に真顔で言っちゃいました。

  頭で思っていても、その内容が文章に表現されていなければ、論文試験は0点です。
  まして、同じ部門に所属し、上司でもある私にさえ意味不明な文章であるなら、尚更0点に近い文章でしょう。

  論文は話の流れが重要ですが、課題解決論文なので、流れは単純明快なはずです。
  例えば、
     @ 自部門や自分自身の会社における役割・使命は何かを示す。
     A テーマに対して自部門や自分の担当業務における課題・問題点は何かを明確にする。
     B その課題を解決する自分なりの対策を提示する。
     C その対策をどうやって実行していくかの具体的計画を記述する。

  つまりは、起 (使命)、承 (課題)、転 (対策)、結 (具体的実行)と、うまく流れを整えればいいだけなのです。

  しかも、文章がこの流れにそっているかを点検する方法があります。
  話の流れをCから@へと逆にたどってみて、
     Cの具体的計画を実行したら、Aの対策を実行したことになるか、
     Bの対策が実行できたら、Aの自分の課題が解決されることになるか、
     Aの課題が解決されれば、@の自分の使命が達成され、かつ与えられたテーマの「利益向上」 やら、
     「企業価値向上」 といった企業目標が達成されるのか、

  と点検してみればいいだけです。

  でも、多くの方は論文を書くことには慣れていないので、Cを実行しても、@が達成出来ない文章になってしま
  いがちです。
  その為、大抵の小論文は、採点のために読んでいても、つながりがよくわからない文章であることが多いのです。

  A君にも、「ねえ、何でCを実行すると、@が実現出来るの?」 と聞くと、またぞろ詳しい解説が始まります。
  「だから、その解説は文章に書いてないでしょ。0点だよこれ。」

  そんな会話を繰り返しながら何度書き直してもらっても、彼の「使命」 を果たし「企業の目標」 が達成される計
  画 (文章) にはなりません。このまま指導しても、A君の文章は、指導した私の考えた話の流れに合せて修
  正されるだけで時間の浪費。私はそんな思いをいだきました。

  また、「例えば、あなたの専門性を活かして課題を解決しなさい。」 というテーマだったらどうするの とA君に
  聞くと、「専門性かあ。」 とA君は、頭をひねって悩んでいます。

  「あのさあ、今ごろ考えるなよ。君の専門性を生かして課題を解決するような文章を書かなきゃ意味ないだろ。
   ・・・・ まあいい。で、君の専門性って何だと思うの?」 と呆れ気味に聞くと。
  A君は、「うーん。」 とうなってます。

  「じゃあ、そもそも専門性って何だと思う?」 「専門的能力。」
  「おいおい! 専門性って、A君が他の人とは違って能力を発揮できることじゃないの?」 「じゃあ、海外勤務。」
  「それは単なる経験だろ。そこで、君が身につけた能力は何なの?」 「・・・・。何かな。」


  
****
  何を言っても無駄なのであきらめて、文章の中身ではなく、文章の書き方の大きな問題を指摘しすることにし
  ました。

  問題は大きく3つ、
  1つ目)
  A君は、文章の流れの中で、例えばBという意味のことを、途中でCやDという言葉に置き換えてしまっている
  のです。 B ≒ C や B ≒ D であったとしても、文章の中では B は B として表現することが必要です。

  例えば、「車が好きだ」 と書いていたはずの文章が、途中で「バイクは魅力的だ」 とか、「自転車は健康的だ」
  という文章になってしまっていることを想像して下さい。
  本人の頭の中では意味が繋がっていても、読む方には意味不明です。

  「言葉を統一しなくちゃ、誰が読んでも文脈は理解出来ないよ。」 とA君に言いました。

  2つ目)
  課題解決の論文なのに、対策が具体的でない点です。
  例えば、企業の生残りを賭けた必達の目標に対する具体的手段が、「提案する」 の一言では、単純過ぎですよ。

  「誰」 に、「何」 を 「どう」 提案するのか? また「どうやって」 それを納得させるのか?
  納得してもらった後の実行は「誰」 が「どのよう」「いつまでに」実行するのか?
 
  と具体的でないと、決して課題は解決出来ません。

  そんなアドバイスをすると、A君は、
  「提案し、関係部門と連携して実行する。」 というように文章を変えてきました。
  「関係部門ってどの部門? そことどんな連携をするの?」 と私。
  連携って結構抽象的な言葉です。

  「連携しただけで自然に問題が解決出来て、目標が達成出来るのかな?」
  同じようなセリフを何度繰り返したことでしょう。

  3つ目)
  単純明快、字数オーバー。
  最初から字数オーバーで練習していたら、決して制限字数以内では書けません。
  「本番で文字数を詰めます。」 A君は言いますが、そんなこと考えていたら文脈の大事な部分を詰めてしまう危
  険が大です。

  「短い字数で意味が通じるようにしなきゃ、本番のテーマに合せたアレンジが出来ないよ。」
  そんな風にアドバイスもしましたが、何度言っても字数はオーバーしたままです。

  
****
  何か、疲れてきました。そもそも昇進試験を受けさす価値があるのか? ふと、そんな思いがよぎります。

  A君に必要なのは、会社はかくあるべきだ、という思い。そして、その、かくあるべき姿を達成することが、自分が
  果たすべき使命・役割なのだ。という明確な認識。そのために自分は○○を自分の力で周囲を動かして実行するのだ
  という主体性と具体的実行力なのではないでしょうか?。

  また、
  そんな想いを持ち、自ら実行に向けた努力をすること自体が、昇進するための条件なのではないでしょうか?

  小論文は、「自分の思い」 を伝える文章です。「思い」 を正しく伝えるためには、流れを明確にすることが大事な
  のですが、それ以前に「自分はこうしたい」「自分はこうするんだ」という「思い」がなくてははじまらないのです。

  まあ、そこまで追及すると、A君は部門推薦を受けれなくなってしまいます。
  どうなることやら。


                                             


Skill28
  NGワードに気をつけろ


  かつて、私自身が頻繁に使う言葉で「了解しました。」というセリフがありました。
  目上の相手からの指示、要望に対して、細かな口は挟まず、まずはやってみようという意志の表れでした。

  しかし、とある会議の席で、業務報告をした方が会議出席者のトップの方から問題点を指摘され、是正事
  項を幾つも指示された際、「了解しました。」と何度も繰り返していたのを目撃しました。
  この時の「了解しました。」は取りあえず無線機で返答しているだけのように薄っぺらく、具体性にかけ
  るような響きがあり、このセリフは駄目だなと思ってしまったのです。

  この場面で使うのなら「承知しました。」とか、「直ちに検討し直します。」かなあという感じでした。
  「了解しました。」は言葉としては間違ってはいませんが、コミュニケーションは相手に伝わったことが
  全てです。ビジネスの場面では「彼に任せておけば大丈夫。」という印象を与えるセリフを選ぶべきでし
  ょう。

  なんてことを考えていたら同じようなことを紹介している記事がありました。

  その記事では目上の方に悪い印象を与える言葉として3つの言葉が紹介されていて、
  「了解しました。」ではなく、「承知しました。」「かしこまりました。」
  「参考になりました。」ではなく、「是非そうさせていただきます。」

  そしてもう一つ、
  「なるほど。」ではなく、「ためになりました。」
  と紹介されていましたが、目上の方に「なるほど。」というようなヤツは既に終わっていますね。

  世の中にはタブーな言葉が他にも色々ありますが、特にビジネスの場面でのタブー言葉は、信用低下を招
  きかねません。
  特にまだ学生気分の抜けない年齢層の方々は、上司や先輩に対して、友人との間で使うような言葉を知ら
  ず知らず使ってしまうこともありがちです。本人は気付かづとも、上司や先輩からすれば、なんだコイツ、
  学生気分が抜けないヤツ。と思われかねません。

  また、以下の言葉も同じようにNGワードだと思います。
   とりあえず。(いいかげんな仕事をするように聞こえる)
   実は(と言いつつ目新しい話がない)。
   つまり(と言いつつ要約されていない)。
   無理です。できません。(考える前に否定している。)

  話の途中で「えー」を何度も繰り返す人や、「○○でぇ」と語尾を上げる方を時折見かけますが、時には
  話の中身以上に気になったり、きっと説明内容のレベルも低いのだろうと思い込まれたりもして、ビジネ
  スの場面ではマイナス効果ばかりが目立ちます。

  しかも、口癖というのはよほど意識していないと中々治らないものです。
  自分の考えを相手にきちんと伝えるというコミュニケーションの基本に則れば、今一度、自分がNGワー
  ドを使っていないか、変な話癖がないかと振り返ってみることも必要でしょう。

  ちなみに、私は録音で自分の声を聴くと、いつも、これ誰の声と思ってしまいます。自分の声色ですら、
  自分が思っているものと、相手に伝わっているものは違うのです。

  繰り返しますが、コミュニケーションは相手に伝わったことが全てです。
  話の中身はもちろん、自分の話し方も点検してみましょう。





            


Skill29


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