過去のコラム(Column261〜300)

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Column300   2010/2/21up                 


 
■ 「きっと誰かが見ている」 の効果

  「一生懸命やっていれば、見ている人は見ているよ。」
  頑張っているけど、中々芽が出ないかける方にかける定番の言葉です。

  思うにその真意は、 見ている方が手を差し伸べてくれるのを期待しろというのではなく、 今の実力をもっと
  伸ばせば、成果が認められる機会も増えるし、運とタイミングが合えば、より大きな成果を出せるはず。
  ということでしょう。

  当然ながら、この言葉の背景にあるのは、君は優秀なのだから、あきらめずに今の努力を続けていれば、
  いつかきっとその努力が報われるだろうという安易な推測です。

  であれば、「人が見てようが、見てなかろうが、もっと努力して実力を伸ばせ。」 のほうが、中々芽が出ない
  方へのストレートでやる気を出させる声のかけ方のような気もするのですが、 きっとそんな励ましでは、効
  果は少ないでしょう。

  また、たとえばもっとストレートに、
  「自分の努力は君自身が知っているからいいじゃないか。」 と言ったら、決してやる気は出ないでしょう。

  それは何故か?
  そう。 人は、他の方から誉められたり、その存在を認められたりして、はじめてモチベーションが高まる生
  き物なのです。

  試験の成績だって同じ。
  自分が一生懸命勉強したという事実 (つまり自分の努力) だけでやる気が出るのではなく、 誰かのつけ
  た採点結果として点数や合格という結果に対して、「よっしゃ!」 と頑張る気が起きるのです。

  きっと誰かが見ている。 ⇒ 評価される。 ⇒ 努力が認められる。
  そんな三段論法の想いを本人に抱かせる言葉が、モチベーションを高めるのに効果的なわけです。

  また、今までの頑張りを誉められるだけより、将来を期待されていることを実感するような言葉をかけられ
  たほうが、自分の未来に希望をつなげるわけです。

  もう一つ言うと、人のやる気は無限ではありません。
  試験なら、2回も3回も続けて落ちたらやる気はなくなるし、 当初はみなぎっていた自信も地に落ちるでし
  ょう。

  仕事でも失敗が続けば、新しいことをやろうなんて気は失せます。
  「七転び八起き」 などというものすごいモチベーションは、常人には維持できないのです。

  逆に、ものすごい成果ではなくても、小さな成功、成果が確認できれば、モチベーションは高まります。
  自分の成長が確認でき、自分の未来の成功の気配を感じられるからです。

  整理します。
  ● 自分の存在 (成果、努力) を認められる。
  ● 自分の成長が確認でき、将来の成功を感じられる。

  その2点が、人のモチベーションを高めるのです。

  ・・・・ とはいえ、結局のところ、自分自身が頑張るしかないような気もするのですが。








Column299   2010/2/1 up               


 
■ 頭の中のしがらみにがんじがらめ

  勝間和代さん、福沢恵子さんの共著「会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール」という女
  性向けのモチベーション本を読みました。
  出先での会議と会議の間が1時間半ほどあり、そんな時に時々時間つぶしに入る近所の図書館のビジネ
  スコーナーでたまたま見つけ、ざっと斜め読みしただけではありますが。

  女性が会社で頭角を現わすため、成果を上げるため、ひいては人生を自分のものとするためにどんな考
  え方で行動するべきか。 ・・・・ なんて内容でしたが、一般人の常識とはまるで逆。

  そりゃそうです。普通の会社員では終わらないための指南本ですからねえ。

  でも、この一般人とは違う考え方をし、成果につながる行動をするというのは、多くの方にとって、かなり難
  しいことのように思えました。

  棚に本を戻しながら、私の頭の中を廻った想いも、
  この本に書いてあることは全て正解。でも、それが出来るくらいならやっているよ。 なんて感じです。
  ・・・・ あっ、私は女性でもないし、若くもないですけどねえ。

  たとえば、誰にでも好かれる必要はない。というビジネスであれば当たり前とも思える考え方も、勝間さん
  なら自然に出来るのかもしれないけど、ごくごく常識的な生き方をしている方には180度ひっくり返ったよ
  うな逆の行動を強いるはずです。

  その行動が自然にできる方と、苦労しなくちゃ出来ない方の間には大きな違いがある。
  私はそう思います。

  そんな意味で、この手のモチベーション本、HOWTO本って、読むにはとても面白く、多くの方にとっては目
  からウロコなはずですが、 とはいえ、実際の行動変革にはつながらず、全く役には立たなかったりするの
  ですよねえ。

  それって、個人ではなく、企業でも同じ。
  たとえ、ユニクロがすごく頑張って売り上げを上げていても、他の企業にはそのまねはできないのです。
  企業にはいろいろしがらみがあって、急に舵を切って方向転換することはできません。

  そして、個人の物事の考え方にも、頭の中にがんじがらめのしがらみがあって、たとえ目からウロコが落ち
  ようが、何とかしなくちゃと思っても、何にも変わらないのです。

  自分の人生をどうしたいか。目指すゴールは何か。 そんな想いを強くすることが先決なのでしょうね。








Column298   2010/1/27up               


 
■ 誰かが何とかしてくれるという想いが企業を滅ぼす

  JALも行くとこまで行きましたね。 でも何で、あれだけの大企業が行き詰っちゃうのでしょうかねえ。

  トップの指導力の不足。時代の読み誤り。 一応民間企業ですが、親方日の丸。
  ・・・・ まあ、理由は幾らでもあるでしょう。

  でも、各種メディアによる従業員の方々や経営状況などの説明を聞いていて、私が思い当たることは一つ。
  幹部や社員の皆さんの当事者意識の不足です。

  空港の立派なカウンターや大量の旅客機、巨大な整備工場。そこで働く方々は自分の会社の経営難が公
  的資金導入や上場廃止にまで至ると思っていたとは思えません。
  勝手な想像ではありますが、誰のせいだとか、何でこんなことになったんだという思いが社内に渦巻いてい
  るのではない でしょうか。

  誰かが何とかしてくれる。
  そんな気持ちは経営幹部にすらあったのではないでしょうか。実際、公的資金導入により消滅は免れたわ
  けですしね。

  実は、こんな当事者意識の無さを示す心理学的説明があります。
  ドイツの心理学者マクシミリアン・リンゲルマンが実証した社会的怠慢 (集団的怠慢) がそれです。

  難しく言うなら、物事を一人で行うときと比べて、複数人、大人数で行うときは、各人の力の出し方は小さい
  というものです。
  1対1の綱引きでは本気になれても、10人対10人なら手抜きをするやつがいて、10人の力を足しても8と
  か9にしかならない。 そう考えると分かりやすいでしょう。

  でもこれは、意識的な手抜きというのではなく、心理的怠慢のなせる技なのです。
  逆に言うなら、人の行きかう雑踏で他人が倒れても、進んで助けはしない方でも、自分しかいなければ、助
  けようとする。 まして、それが知人なら当然のように助ける。 ・・・・ という心理なのです。

  そして、私なりの解釈では 「人は特別な一人とならない限り、積極的行動は出来ない。」 です。

  そう、真に企業を動かせる経営者や大株主にでもならない限り、自分の会社の危機を正しく認識して手を打
  つことは出来ないのです。

  「もっと当事者意識を持って欲しい。全員が本気になってこの危機を乗り越えよう。」
  この時期、そんな幹部のスピーチを耳にした方は多いと思います。でも、このスピーチを受けて、本当に積極
  的に行動出来ている方って大勢いるのでしょうか?

  大事なのは、社員一人一人を 「特別な一人」、1枚の歯車や部品ではなく重要、中枢の機能 として認識し
  ていることを企業が示し、本人に自覚させることでしょう。

  口で言うのは簡単だけど、それが出来ないから企業は衰退する。 そう思います。








Column297   2010/1/9up               


 
■ WIRED (ワイヤード)

  先月、我が家のインターネットが光になりました。 
  ADSLから光に、いいえ違います。 ISDN回線から光に変えたのです。

  ISDN (INS64) はADSL や今の光と比べると古い回線方式のように思われがちですが、そもそも、光ケーブルを
  使用しています。 一般の電話回線とは違うのでADSL化できず、回線スピードはえらく遅いのです。

  しかし、1契約で電話2回線、3回線として使えるメリットがあるので、手放せなかったのです。
  でも、最近になって光回線が安くなったのと、IP電話とは別の通常の電話番号を2回線契約可能、しかもポータビリ
  ティが可能になったので、パソコンを乗り換えたのを機に乗り換えたのです。
  NTTの回線は休止にしちゃいました。

  まあまあ、便利かつ快速になって満足しているのですが、ひとつだけ問題が ・・・・ 。
  ワイヤードになっちゃったのです。

  えっ! 何! ワイヤードって。
  そう、この回線変更によって通信機器がやたらめったら増えちゃって、機械、コードだらけになっちゃたのです。

  ISDN回線の時はTA(ターミナルアダプター)というモデムの様な機器たった1台で、電話2回線とインターネット
  1回線が使えていたのですが、Windows7になったら、困ったことにこのTAが対応していなかったのが光に変え
  る動機の一つでもあるのですが、そんなわけで今は、6台の機器が必要になっちゃたのです。
  
  ONU(終端装置)、スイッチングHUB、ホームゲートウェイ(2台)、無線ルーター他のPCとのプリンタ共用目的
  のデバイスサーバ(プリンタ共用目的)。・・・って何のことか判りませんよね。
  これが、ひっちゃかめっちゃかにコードでつながって、ワイヤード。

  何か、人生を縛られちゃっているような、綱をつけられちゃったような。そんな感じです。
  言うなら、がんじがらめ。

  科学が進歩すると、機械にがんじがらめになる。 ・・・・ 機械がなければ生きていけない。
  便利さと引き換えに大事なものを失ったような。そんな気がします。








Column296   2010/1/9up                


 
■ こんな時代こそ

  新年、おめでとうございます。
  でも世間は何か、暗い新年ですね。 元気なのはTVの中のお笑い芸人ばかり。 かき入れ時ですからねえ。

  こんな時代だと、コミュニケーションの重要性なんて忘れがちですよね。 しのごの言わずにとっとと成果を上げろ、
  なんてね。

  まあ、うわべでは、「チームワーク」 だとか 「社内全力を挙げて」 なんてハッパをかける方も多いですが、ハッパを
  かけるだけで、コミュニケーションそのものは不十分。
  中には、「社内のコミュニケーションが重要だよ。」 とおっしゃる方もいますが、そんな方に限って、一方通行のコミ
  ュニケーションしか出来なかったりもします。

  号令をかけるだけじゃダメ。 簡単な理屈だけど、もう一歩踏み出すのは誰にとっても難しいですよね。
 
  どんなコミュニケーション方法が、より効率的にチームワークを発揮させるのか、社内の総合力を発揮させるのか?
  どんな言葉が相手のやる気を引き出すのか?
  これって結構重要だと思うのですけどねえ。 ・・・・ こんな時代だからこそ。

  ともあれ、厳しい世の中。 とりあえず、ハッパをかければ即戦力として成果を上げてくれる社員は必要です。
  パレート図でも有名なアルフレード・パレトの20:80の法則を当てはめれば、20%の社員の成果が会社の成果
  そのものとも言えます。
  会議の流れを決めるのは20%の出席者の発言である。とか、何かことを進める上で問題があれば、すべての問
  題に対処しようとするのではなく、大きな問題にだけ対処すれば概ね改善される。
  ・・・・ これが20:80の法則の意味するところです。

  でも、長い目でみると、企業においては残り80%の社員を育て、全体としてのパフォーマンスを上げていくことは
  重要です。
  コミュニケーションに限らず、目先のことだけ考えるような企業は結局は生き残れないような気がするのです。

  厳しい時代。 そこのとこをしっかり考える企業と、そうでない企業。大きな分かれ道なのかもしれません。








Column295   2009/9/12up              


 
■ ストロークで潤滑する

  先日、社内研修を受講しました。
  研修内容は、いかに、部下の能力を拡大するかという感じのものなのですが、この手の研修って、どんな素晴らし
  い内容であっても、指導する側の気持ちがガラッと切り替わらなければ、効果はないのですよねえ。

  スキルやテクニック、そしてちょっとばかりに気づきだけではなく、目から鱗が落ちるようなすごいショックがないと、
  時間の無駄なのです。

  例えば、部下とのコミュニケーションが大事だとは判っても、「しのごの言わずに言われたことをやれ。」 なんて気
  持ちがある方は、結局は相手の心の中にある想いを聴くことはできず、双方向の対話なんて成立しないのです。
  声をかけることと、相手の想いをしっかり聞くことは全然違うことですからねえ。

  でもこの先生は、「ストローク」 というおもしろい概念を紹介していました。 先生曰く、ストロークとは相手の存在の
  承認であり、 具体的には、挨拶するとか、相手の肩を軽く叩くとか、言葉や態度でのふれあいで、 肯定もあれば
  否定表現もあるそうです。

  この後、難しい説明が続いたので、ほとんどの方はキョトンとしてましたが。

  実は、私もストロークに関する自分なりの解釈があります。
  ストロークとは宥和 (ゆうわ)、つまり、人と人との関係の潤滑剤であり、例えば、挨拶や、人の話をしっかり聴くこ
  と、 意見がぶつかる会議でも、自分と相手の主張の中の同じ部分を明確にすることそれにより、自分と相手がつ
  ながっていることを確認する行為。なんて思ってます。

  まあ、同じようなことですが。

  私にとっては、ストロークを思い出しただけでも有意義な研修であったかもしれません。








Column294   2009/9/12up              


 
■ まだまだいる、最後まで話を聞けない人

  自分のHP上に書いた初期のコラムを見ていたら、
  「部下や後輩の話を途中で遮ってしまい、きちんと最後まで聞けない方がいるが、それで相手の話が分かったような
   気になっていたら、どんなに良い情報・前向きな意見も手に入れられなくなる。」 と書いたものがありました。

  このHPは、ブログでのコーチングやモチベーション、メンタルヘルスに関する投稿をまとめたものなので、 ライブドア
  ブログを使用していた6年前くらいの書き込みのはずですが、時代が大きく変わっても、そんな方はまだまだ大勢い
  ますね。

  一緒に飲んでいて、すぐに自分の話で、話題をさえぎるような方はもとより、A案、B案とまとめた提案書の説明の場
  面で、冒頭だけ聞いて自分の意見を言っちゃう方や、 「結局言いたいのは、○○ということなんだろ。」 と結論を言っ
  ちゃう方。 いますよねえー。

  本人の性格なのだからどうしようもない。それが結論かもしれませんが、その方との間では、きちんと話をする習慣
  がなくなっちゃいます。はぶかれてしまった説明の中に重要な部分があっても無視されちゃうので、とても危険です。

  例えば、
  「A案のリスクは△△ですが、B案より成果が期待できる。それを理解した上で提案します。」
  なんて部分が省かれて、そのリスクが現実のものとなった時に、「何で説明しなかったんだ。」
  なんて言われても後の祭り。

  まあ、リスク云々だけではなく、話そうとする側はそれなりに会話を組み立てているのに、いつも中途半端。
  となれば、モヤモヤっとした感じが積み重なってきます。

  このモヤモヤが会話の未了感というやつで、言ってもしょうがないやとか、聞かれた時だけ応えようなんて、コミュニ
  ケーションを阻害する気持ちを生み出します。

  普段の自分のコミュニケーションを振り返り、つい、人の話を遮る傾向があると気づけたなら。
  「早く結論を言え。」 その言葉をもうちょっと我慢して、相手の話を最後まで聞いてみて下さい。








Column293   2009/8/29up              


 
■ 当事者意識にはベースが必要

  当事者意識を持って欲しい。
  企業の業績が落ちたり、トラブルが続出したりすると、訓示等で頻繁に使われるメッセージです。

  自分のこととして業績や経営を考えたり、トラブルを他山の石とは考えずに問題解決を考えて欲しい。
  もちろん、その思いはわかります。 でも、私はこのメッセージには非常に疑問が有ります。

  「当事者意識を持つ」 というのは、本人の意識の方向性の問題です。
  ある意味、あなたは、意識を○○に向けて下さい。 と命令するのと同じ。
  また、社員は経営者と同じ思考回路を持つべきだ。 というのとも同じです。

  よく引き合いに出される話として、「3人のレンガ職人」 の話があります。
  レンガ積み作業の目的をたずねられると、
  一人は壁を作っていると言い。
  もう一人は家を作っていると言い。
  最後の一人は、新婚夫婦の幸せの為の新居を (もしくは皆の心のよりどころの教会) を作っていると言います。

  当然ながら最後の一人が最も全体像を捉え、親方としての当事者意識も持ち合わせた人物です。

  壁を作っていると言った新米のレンガ職人にだって、いつかは親方となる夢があるでしょうから、親方と同じ意識で作
  業を行なったほうがいいかもしれません。

  でも、現代において、例えば、とことん分業化、専業化された工場のラインに向かっている人間に、経営幹部のような
  当事者意識を持って欲しいと訓辞をして、何か具体的効果を期待できるのでしょうか?

  末端の社員にまで、企業の業績に当事者意識を持って欲しいのなら、会社の公開株を社員に持たせるとか、経営幹
  部への道が開けていることを示すほうが効果は大きいでしょう。

  単純な 「当事者意識を持って欲しい。」 というメッセージには、
  何だか、お国のためにとか天皇陛下のためにという次元の話のように、太平洋戦争中の日本軍のような精神論しか
  感じません。

  そういえば、スターバックスでは、アルバイトであっても従業員はパートナー、 すなわち経営のパートナーとして扱っ
  ているようです。
  アルバイトだって研修を受けれるし、 生産性ではなく行動を評価されるし、 店長にだって、それ以上にだってなれる
  道があるわけです。

  「当事者意識を持って欲しい。」 はそんなベースのある職場でこそ、意味を持つハッパがけになるのだと思います。







Column292   2009/8/23up               


 
■ ひと夏のやる気

  ひと夏の経験。 夏の出来事。 そんな言い回しがありますが、
  確かに、夏を 「一つの区切り」、「一つの期間」 にした取り扱っている映画、ドラマ、小説などではよく見かけます。

  学生なら、夏は休みで自由な期間。 宿題さえやっちゃえば、何をしようが自由な日々だし、大人にとってもバカン
  スの日々。夏が終われば普通の生活に戻っていく。 そんな、文字通り 「暑い」 イメージが夏を物語の題材にさ
  せるのでしょうかね。

  もちろん、冬や秋、春が題材になっているものもありますが、ある意味、夏は短いからこそ、自由・奔放なイメージ
  のある強烈な題材なのでしょう。

  前置きが長くなりましたが、夏は短いけど、燃え上がって本気になりさえすれば、何か一つの大事なことを終える
  のに十分な期間であるということです。

  であるならば、 夏でなんかなくたって、あなたが本気に燃え上がれば、短い期間だって出来ないことはない。
  そんなロジックを思いついたのです。

  ずーっとやれと言われれば嫌なこと、大変なことだって、1ヶ月、本気 (もしくは死ぬ気) になってやれれば、しか
  も、自分からその気になって取り組めれば、何だって出来るはず。 ・・・・ そんな感じです。

  実際、本気にならなければいけない期間が半年や1年、2年だと、ちょっとツライし、本気が持続しない。 そんな
  方って多いのでは。

  コーチングではよく、「人の 「やる気」 は有限である。」 と言います。
  あなた自身のやる気を効果的に引き出すには、ターゲットとゴール(終了日)を明確にし、夏を思い出して本気に
  なる。 短絡的な考え方ではありますが、案外そんなやり方がベストなのかもしれませんね。








Column291   2009/7/20up               


 
■ この不景気の原因 (なげく前に、きちんとおさらいしてみましょう)

  今回は、今、我々を悩ませているこの不景気の原因に関する考察 (イヤ、実は受け売り) です。
  不景気の原因を解説する番組をNHKでやっていて、3週にわたって見ちゃったのです。

  その番組の解りやすい解説によると、 この100年に一度の不景気も、実は、起こるべくして起こった不景気。 しか
  も、伏線は色々あった。・・・・ ということのようです。

  何年も前に、TVや新聞の報道で取りざたされた経済的な色々な事件。
  それらは皆、伏線として今の状況。 つまりこの不景気につながっていたようです。

  例えば、どこぞの国内証券会社の海外駐在員が巨額の損失を出してしまったとか。
  外資系のはげ鷹ファンドが日本国内の不動産を買いあさったとか。
  米国のサブプライムローンに破綻の兆しが見えたとたん、投資家は原油先物市場に投資先を代え、今年の石油価
  格高騰を招いた。 ・・ とか、とかとか。
  会社の存在価値 イコール 発行および所有株式の時価総額という概念が横行したことが生んだ例の悲劇、そう、ホ
  リエモン事件もその一つ。

  う〜ん。そうだったのか。・・・・ つまるところ、現在の不況の大もとの原因は 「金融危機」。
  しかも、投資家から資金を集めて投資するという従来の図式がネジくれたことに起因していたのです。

  では、どうネジくれたのか?
  サブプライムローンだろ。知ってるよ。 ・・・・ その通り、破綻の切っ掛けはサブプライムローン。
  でも、何故サブプライムローンが切っ掛けとなったのか。

  1990年代の終わりから2000年代序盤にかけて、日本がバブル崩壊から十分に立ち直れていなかった頃、米国
  を中心とした新しい金融常識が生まれ、成長していたのです。
  新しい金融の世界では、「誰かの借金 = 他の誰かの出資」 という図式が成り立ち、借金を買い取った金融機関が、
  それを、夕方のスーパーの売れ残りが急にメインの商品になったかのように、新しい商品 (出資のネタ) に加工して
  売りさばきまくったのです。 金融デリバティブ商品というやつです。

  そこでは、「資金を集めて、事業に投資する」 という古い金融常識は捨てられ、「借金を商品として投資家に売る」 と
  いう新しい金融常識 (つまり大きなネジくれ) が生まれたのです。
  つまり、ある意味、『現実には存在しない虚構の商品 (価値) を売る』 という形体の商売が横行し、巨額の利益を上
  げ、それに味をしめて更なる、大きな虚構の価値を売りまくったわけです。

  「虚構の価値」 とはいえ、多種多様な業界の多くの企業に満遍なく貸し付けている限り、危険は分散し、貸付先が倒
  産して回収できなくなるような、 いわゆる貸倒れの発生頻度が極めて少ない安全な商品ということになります。
  それは、過去の企業の倒産事例から計算した安全度をものさしとした、きちんとした安全設計の商品だったはずなの
  です。

  しかも、米国の法律改正により、銀行と証券会社の商品の壁が曖昧となったことも相まって世界中のお金を集めつ
  くすような一大マネーゲームへと発展してしまったのです。

  この流れが、『返えせない借金は、更に新しい商品として売ってしまえ』 という金融機関の新たなる常識を生み、最
  後には、例の借金を返せる当てのない低所得者向けの融資、サブプライムローンへと資金が集中しました。
  低所得者への投資という、古い金融常識では有り得ない、新しい投資先、新しい金融商品の誕生です。

  つまり、サブプライムローンの貸し手という名の出資が金融商品として売りまくられて、出資者たちは、返すあてのな
  い低所得者への出資なのだという最大の欠点に全く気付かず。 もしくは気付いても、それは堂々巡りしているから
  大丈夫なのだと錯覚していたのでしょう。 そして、雪だるま式に膨大な資金へと膨れ上がった。

  もちろん、景気が永遠に右肩上がりであれば、サブプライムローンにも何の問題もありません。
  最前線の金融マンたちは、米国の好景気は永遠に続くと錯覚していたわけです。
  日本のバブル崩壊は彼らの教訓ではなかったのでしょうね。

  当然、企業向け融資は安全に思えたし、 個人向け住宅融資だって、万が一、利息の払えない者がいても、家を差し
  押さえて高く売ればいい。 という図式も安全弁としてなりたちます。 ・・・・ 景気さえ右肩上がりなら。

  しかし、金融デリバティブ商品が世界中に蔓延した結果、 何故か高速道路が渋滞するのと同じ様に、ちょっとした景
  気の停滞が、企業にも、個人にもちょっとした停滞を招き、 新しい金融の常識に従った 「取り立てられない借金は他
  へ売れ」 という考えも行き詰ってしまったようです。 予期せぬ大渋滞の発生です。

  金融世界はこの時点で、返ってはこない出資という最大の欠陥を露呈してしまったため、にっちも、さっちも行かない
  米国金融・証券会社の崩壊を導いてしまった。・・・・ ということのようです。

  つまり、この複雑怪奇な世界での価値観は、
  「企業や個人が将来に向けて生みだす お金に換算できないものも含む可能性」への投資ではなく、
  「企業や個人が現時点で所有する形の有る無しに関わらず金額に換算できる物の価値」 への投資だったのです。

  では、問題の片鱗は幾度もあったのに、何で止められなかったのか?
  実のところ、誰かの借金を商品として他の誰かの出資として売りつける手法を編み出した 当時のドリームチームとま
  で言われた方々の一部は、景気の拡大を前提とするこの手法には非常に危険があると感じていたそうです。
  最近のインタビューにもイケしゃあしゃあと応えていました。

  特に個人向け、低所得者向けの貸付を商品化してサブプライムローンとした際には、企業の倒産に関する統計デー
  タはあっても、個人の、しかも低所得者の破産に関する統計はなかったため、強く抵抗を示したメンバーもいたようで
  す。
  サブプライムの商品設計では個人の破産率5%と見積もられたそうですが、実際には、2006年時点での貸付先の破
  産が30%を超えてしまったそうです。
  我々の耳にサブプライムという耳慣れない言葉が聞こえてくるより1年も2年も前の話です。

  それでも何故、止められなかったのか。 ・・・・ 答えは簡単。
  米国政府 (というより連邦準備基金FRBのグリーンスパン議長) が、現実の物を売るより、虚構である金融商品を売
  ることが、米国経済の発展につながるとして徹底的に推奨したからなのです。
  米国政府お墨付きのこの動きが世界中を巻き込んだのです。

  グリーンスパン氏は、昨年後半の議会での証言で自分の誤りを認めています。

  うーん、わかったような気はしますが、でも、何で世界中がそれに巻き込まれたのでしょうかねえ?
  きっと、米国が世界で唯一の超大国であった。もしくは世界中の誰もがそう誤解していた事実が生んだ不景気なので
  しょうね。

  土地は永遠に値上がり続ける。そう信じた結果の日本のバブル崩壊。 それと、すごく似たようなことが、世界的規模
  で起きたわけです。
  歴史はきちんと学ばなければいけないということでしょうか?
  まあ、米国の教科書には日本のバブルのことなんか書いていないのですよね。 ・・・・ きっと。

  今にして思えば世界的不景気の根本的原因ともなったふざけた金融商品を開発した方々は、別に破産もしていない
  し、のうのうと生きています。








Column290   2009/6/21up              


 
■ 耳の奥でふと

  耳の奥でふと、携帯メールの着信音が。
  ぼうっとしてたのだろうか、驚いて、ポケットから携帯を引っ張りだして確認すると、東京での会議に早く来いという督
  促のメール。

  気づくと、私のいる部屋はちょっと薄暗い会議室。 しかも、誰かが発表をしている会議中。
  その上、東京などではなく、4月に異動になった自分が今所属する東京近県のオフィスだ。
  いかん、いかん。寝ていたのだろうか。

  会議中なので今からは行けない旨をメールで返すと、すぐさま折り返しメールが、
  「法務的トラブル解決のための会議で、開催通知も出してあるはず、スグ来い。」 と。

  ドタバタしている私を無視して平然と進む会議の席を見回して、私はふと気づく。
  ・・・ 今出ている会議って、もしかして俺が司会じゃなかったっけ。
  まあいい。 誰かの説明の番なのだろう。 でも何の会議だっけ。もう一つの会議が気になって身が入らない。

  それにしても、いまさら1時間以上かかる東京の会議には出られない。 ええい、やっぱ無視だ。
  そもそも、何のトラブルだっけ。そういえば毎日送られる大量のメールの中で、開催通知を見た気もする。
  もしかして、ダブルブッキングか?

  無視を決め込んで、ぼぉーっとしながら、いま出ている会議のなんだか判らない説明を聞いていると、今度は通話
  の着信音が鳴りだした。

  携帯を開いて、出ると、「早く来てくれ、お前がいないと、結論が出ない。この会議にはお前が必要だ。」 と。
  同期の社員の声だ。 まくしたてる彼の顔や薄くなった髪が目に浮かぶ。 こいつの担当なら下請関係のトラブル
  だろう。と当たりがつく。

  でも、なぜ私に。 今では、いや元から、彼の担当地域は私とは管轄も違うはずなのに。
  「無理だ。そっちの法務担当がいるだろ。」 そう答えて、電話を切った。

  しかし、再び電話が鳴りだす。
  イライラしながら会話終了のボタンを押して切る。
  それでも、5秒と待たずに更に再び携帯が鳴りだす。

  会議の出席者が全員こちらを見ている。
  だいたい、普段社内では携帯は持ち歩かないのに、何だってポケットに入れていたのか。無性に腹が立ってきた。

  「しつこいな。」 私のイライラは頂点に達し、携帯の裏蓋をはずして電池を引き抜く。
  「OK。これで終了。」 勝ち誇った表情と、お詫びの表情を混ぜこぜにして出席者を見渡した。

  皆、あきれた顔をして私を見ている。
  発表者も発表を中断してスクリーンの前に立ち尽くしている。 そもそも、電源を切れば良かっただと気づいたの
  は、その後だ。

  しかし、しかし・・・・なんと。再び電話が鳴りだした。 いったい何故 (なにゆえ)?
  ついに、私は電話を叩き壊そうと決心し、机に放り出していた携帯を手に取った。

  その時。
  なんと、なんということか・・・・ 目が覚めたのです。 しかも、目覚まし時計の音で。私は自宅のベットの上。
  時間を見ると午前4時50分。 ここ最近の起床時間だ。
  すごく眠い。

  私の目覚まし時計は、時間を5通りセット出来るタイプで、いつもは3分ごとにずらして鳴らしている。
  でもって、切っても切っても、3分経つと、「お時間です。お時間です。」 と電子音が叫ぶタイプ。

  そういえば、疲れて起きれないような気がして、昨晩は5回鳴るように仕掛けたのを思い出した。
  うーん。夢だったか。 実にリアルな夢だ。

  ・・・・ でもこれは今朝、本当に起きた (夢見た) 出来事なのです。
      やっぱ、ストレス溜まっているのかなあ。
      誰か夢判断でも、してくれないかなあ。








Column289   2009/6/13up               


 
■ コミュニケーションがコンプライアンスを救う

  先日、社内のコンプライアンス研修に参加したのですが、5時間の長丁場に耐えきれず、途中、脳が活動停止状態と
  なりました。 いかんいかん。

  研修の中身は、実際の法律の解説ではなく、なぜ法令や社会のルールを守らなければならないのか、法やルールを
  無視するとどういう結果をまねくのか、どうやって社員にルールを守らせるのか、 というような内容でした。

  批判するつもりはないですが、同じような主旨の説明を角度を変えて何度もするので、理解しようとする脳も酸素が足
  りなくなってきたのです。

  しかし、しかし、外部の先生が受け持った時間に、興味深い説明がありました。

  まず、「コンプライアンスの基本はコミュニケーションだ。」 とのこと。
  でもって、このHPやブログ版の 「コーチングalldays」 でもご紹介してきたようなコミュニケーションスキルを色々と紹介
  してくれました。 ほとんどはサワリ部分のみですが、当然ながら私にはよく分かる内容です。

  つまるところ、「コミュニケーションしやすい環境であれば、法令違反する前に誰かに相談できる。」 という理屈であり、

  「問題がないか?」
  「この方法で仕事を進めていいか?」
  「危険な兆候があるがどう対処すればいいのか?」
  「自分の考えで処理してもいいのか?」

  そんな仕事の悩みを一人で抱え込んでしまうから、法令違反、ルール違反を招くのであって、周囲に相談できれば、
  問題は適切な方法で解決していくはず。 ・・・そんな論法でした。

  もし、私が補足する立場なら、「コミュニケーションがコンプライアンスを救う。」 とでも言いたかったところです。

  とはいえ、口で言うのは簡単ですが、実際に社内のコミュニケーションを活発にするのは至難の業です。 コミュニケー
  ションスキルだって、慣れなきゃうまくは使えません。

  その点を質問しようと思ったのですが、質問の時間はありませんでした。 ・・・珍しい研修。

  とはいえ、何だか私が異動後の新しい部署でやることが見えてきたような気もしたので、私にとっては研修成果があ
  ったような気がします。

  コミュニケーションは仕事にかかわらず、人が生きていく上での原点。
  そんな思いを再び今いる社内に広げよう。 そんな感じです。








Column288   2009/5/3up                


 
■ 不良親父の前向きさ

  忌野清志郎さんが亡くなりましたねえ。
  有名になるとマイルドになってしまうロックミュージシャンが多い中で、永遠の不良のイメージが強かっただけに残念!

  ミュージシャンで不良親父というと、 R・ストーンズのミックジャガーやキースリチャードを思い浮かべるかたもいらっ
  しゃるでしょうけど、忌野さんが最初に流行りだした頃は、私が音楽に興味を持った頃でもあり、 身近な不良兄貴と
  いったイメージだったのです。

  とはいえ、忌野さんは、スポーツ自転車に凝ったりして、健康的な不良親父でもあり、そんな前向きさも、いい感じだっ
  たのです。

  あっ、念押しですが、不良親父って、最近流行りのチョイ悪親父とは違いますよ。
  チョイ悪親父は、何かおしゃれなだけが売りな気がして、まあ齢をとっても色気を忘れないということなんでしょうけど、
  私にとっては存在意義がちょっと ?ですねえ。

  大事なのは、齢をとっても、年齢を感じさせないこと。 しかも見かけではなく、行動で。
  つまり、いい大人になったからといって、マイルドになるのではなく、常に前向きであること、自分の信じる方向に行動
  出来ること。 だと思うのです。 そして、それが出来る人間が 私にとっての 「不良親父」。
 
  さてさて、忌野さんも亡くなったことだし、私は、常に自分が正しいと信じることが出来ている立派な不良親父では、決
  してないのですが、前向きには生きたいと思ってますし、不良親父めざして頑張ります。








Column287   2009/4/20up               


 
■ 若さとスピード

  今月から新しい部署に異動しました。
  何と通勤時間が2時間。 ちょっとばかりしびれますねえ。
  遠いのもつらいですが、総務マンとしては一番乗りを目指しているので、今まで同様に早起きなんです。 これもしびれ
  ます。

  でも、新しい所属部署は、若さとスピードが溢れています。 実際の年齢も若い方が多いですが、多くの方が極めて前
  向き。 何か、私まで気持ちが若返るようです。 そこに一番乗りするだけでも自分自身にやる気が湧いてくるのが判り
  ます。

  100年と言われる不景気をどうやって乗り切ろうか。 所属メンバーの方々には、そんな気持ちが一杯なのです。
  4月は誰にとっても、転機の季節。 頑張ろうという気にさせられました。








Column286   2009/3/29up               


 
■ 一味違う勝負師 (冷静になることの大切さ)

  いやあ、先週はWBCのニュースばかりでしたね。 だいたい当日は、勤務先社内でも、TVの周りに人が集まってたい
  へんでした。 おいおい、いいのかという感じ。

  韓国に負けが続いていた時には、 「何で侍ジャパンなの? ・・・・ これじゃあ、足軽ジャパンじゃないか?」
  なんて思ってましたが、やっとどうどうと 「侍」 と言えるような活躍をしてくれましたねえ。

  ところで、原監督のインタビューは、初期の対戦の頃から結構しっかりしていて驚いたのですが、イチローの最後のイン
  タビューにも面白いところがありました。

  最後の決め所の打席で、本来なら緊張の極みとなるところ、イチローには、「自分自身が自分の打席を実況中継してい
  るの声」 が聞こえてきたそうです。 つまりは、極めて冷静で、客観的になれたということですね。

  コーチングのスキルにも同じようなものがあって、
  会議や交渉の場面で相手と言い争ってしまったり、話がかみあわない時に、自分と相手のいるその場面をTVや映画の
  中のシーンのように、一歩下がった目線でみると、自分の感情の昂ぶりもおさまって冷静になれ、論点も明確に整理で
  きてくる。というものです。

  まさに、イチローの打席はその状態だったということです。 やはり本当の勝負師。 天才は一味違うのですね。








Column285   2009/2/17up               


 
■ 人の話をきちんと聴けない

  「人の話をきちんと聴けない方が多い。」 ・・・・ 会社で仕事をしているとそんな話を頻繁に聞きます。
  主には、自分の話ばかりしようとする方が多かったり、上司、年長者等が、部下や後輩の話を最後まで聴かず、口を挟
  んでしまうことに対する愚痴ではあるのですが、 実際、そのような人の話をきちんと聴けないコミュニケーションスタイル
  をとる方は、概ね、自己主張が強かったり、相手への決め付けをしたがる方だったりもします。

  結果、話をきちんと聴いてもらえない方のフラストレーションが募るばかりでなく、議論をつくしていないことによる、
  ミスジャッジや 不和の発生により、仕事を頓挫させることにも繋がります。

  おおげさなようですが、さあプロジェクトも大詰めだという状態になってから、メンバーが 「思っていた方向性と違う。
  このまま進めても納得いかないので手を引く。」なんて言い出すこともままあるのです。

  相手の話を最後まできちんと聴く。双方向で話をする。 というのは コーチングをはじめとするコミュニケーション術として
  は最も初歩的なことなのですが、それな簡単なことが出来ない方が大勢います。

  そもそも、そういうコミュニケーション姿勢は、本人の態度の問題、性格の問題だから、今更変えるのは難しい。 最近は
  そんな風にも感じていましたが、ネタとして何度か引用させていただいている経済紙 「週刊ダイヤモンド」 に掲載されて
  いる教育者 陰山英夫 先生 のコラムに面白い記述がありました。

  昨今、授業中の生徒さんたちの講義を聞く態度が悪いといわれているが、よくよく分析し、試してみたところ、態度が悪
  いのではなく、聞く能力が不足しているのだと。

  あっ、私はこういう場合は「聴く」という字を使うのですが、陰山先生は「聞く」という字を使用してます。
  「聴く」には相手の話に耳を傾ける姿勢を示す言い回しであり、「聞く」は自然に耳に入ってくることまで含む広い言い回
  しだと勝手に解釈しています。

  話を元に戻すと、 陰山先生は、自分の話す内容ではなく、 CDで流した小学生向け書き取り問題の内容を学生に書き
  写させたところ、間違いが多かったことで、学生たちに 「聞く態度」の問題ではなく、「聞く能力」 が不足しているのだと
  納得させたそうです。
  また、黒板に書いたことをきちんと書き写すことが出来ても、 先生の話のポイントをノートにまとめることが 苦手な学生
  が多いそうです。

  「態度が悪いから聞いていない」 と決め付けてしまうと、指導方法はなかなか見つからないが、
  「聞く能力が不足しているから聞けていない」 のだと気付けば、解決法は見えてくる。
  陰山先生は、そう書いていました。

  ふーん。なるほど。 と、何だか私も問題点が見えて来ました。
  上司や先輩が部下、後輩の話を聴けないのは態度の問題ではなく、能力の問題。 か?

  まあ、単純には置き換えらず、 地位や立場による態度も問題も大きいし、 じゃあ年長者に今更聴く能力の教育をする
  のかという問題にも行き当たりますが、実際に、聴く能力が不足しているのであれば、 逆説的に考えて、
  「聴く能力を補う説明法や会話法を話す側が徹底する」 という方法だってあります。
  であれば、話す側が効果的な話し方やプレゼンテーション手法をきちんと学べば良いということにもなります。

  短絡的だよといわれるかも知れませんが、プレゼンテーションもコミュニケーション手法の一つだし、
  コミュニケーションの原点は 「自分が話したことではなく、相手に伝わったことが全て」 という言葉にあります。
  ビジネスマンならずとも、誰に言われることもなく学ばなければならないのです。

  実を言うと話す側のコミュニケーション手法についても、何度か紹介したことがあります。
  例えば、
  単純な方法で言うと、複数の相手の目を順繰り (方向も大事) に見てからを話をするとか、
  途中で一拍、相手に考えさせる時間をおくとか、
  注意を引きたい話の部分ではわざと手を動かしたり、姿勢を正したりするとか、
  相手が呑めない難しい要求をしてからそれより簡単な本来の要求に切換えて要求を通すとか、とか色々あります。
  まあ、一部は交渉術でもあります。

  こんな方法をもっと普通の会話の中に取り込んで、 話を聴けない相手に話を聴かせる工夫を考えて、 社内で一般化
  するというのも 面白いかななんて思ったりも。

  なんて考えていると、詐欺師って、人をうまく丸め込んですごいななんてことまで空想しちゃいました。
  えっ、 詐欺師の技を学ぶつもりじゃないですよ。








Column284   2009//7up                 


 
■ ミスジャッジ

  先般、マスコミ報道で景気判断をする方が 43.3% もいて、経営判断のミスジャッジにもつながるかもしれないと書き
  ましたが、その話の中での最大の問題点・危険性は、マスコミ報道によるどこか他所での出来事を、 そのまま、 今現
  在の自分の立場に当てはめてしまうことです。

  そして、同じように、企業内の会議の場面でも、立場の上の方、主張の強い方、時にはただ声が大きい方の言い分に、
  出席者全員が流されてしまうことも、結構あるようです。

  例えば、自分自身が最近出席した会議を振り返ってみて下さい。
  出席者の1人 A部長が、「皆、○○だと言ってます。」 というような報告をした際、 ほとんどの方は、社内の傾向、時に
  は、世の中の傾向が○○なのだと信じてしまいます。

  何故なら、出席者の方々は、A部長がうそをつくような方だとは思ってはいないし、部長なんだから、きちんと仕事の出
  来る方だと思っているからです。

  でも、良く考えてみて下さい。
  A部長の言う 「皆」 は、A部長の部下のBさん、Cさん、それにA部長と同僚のD部長のことなのかもしれません。
  Bさん、Cさんは、違う意見であってもA部長の意見には逆らえないかもしれないし、D部長は、A部長と同じような経験
  を積んでいて考え方も似ているのかもしれません。

  となれば、「皆、○○と言っている。」 の 「皆」 は、極めて限定的な意見である可能性があります。

  あくまで、例ですが、
  「うちの社員は皆、焼酎が好きですよ。」 という主張なら、出席者は、
  「そんなはずないだろ、ビール好きだっているし、酒は飲まない者もいる。そもそも個人毎に違うじゃないか。」
  と疑いを持ちますが、

  「最近は、皆パソコンで納税処理をしてますよ。」 なんて、
  実際に細かな調査でもしてみないと判らないはずのことを言われると、
  「自分以外は皆そうなのかな。」くらいは思ってしまうのです。

  こんなミスジャッジも、経営に関することであれば、重大な問題を引き起こす原因となりえます。

  一旦、冷静になって、
  「パソコンで納税をしている皆とは、誰と誰のこと?」 とその場で聞き返すことが出来れば、
  「何だ、君と君の仲いい友人だけじゃやないか。」 というように冷静な判断をすることも可能なわけです。

  そして、このようなミスジャッジに至らないために覚えておくことが、もう一つあります。
  前述したように、同じ環境で長年過ごしたり、同じ仕事、同じ業界にいるような方々は、段々考え方が似てくるというこ
  とです。

  つまりは、「皆そう思うよな。」 あなたがそう聞けば、あなたに年の近い同僚が全員同意する可能性だってあるのです
  が、それは決して、あなたの考えが世間一般の常識だというのではなく、あなたの周囲の方々に、あなたと同じ様な
  考え方の方が多いということにすぎないのです。

  こんな状況は、会社や仕事でなくても、趣味の仲間の間でも起こりうるのです。
  類は友を呼ぶ。そう言うでしょ。

  ミスジャッジ。怖いですよ。








Column283   2009/2/5up                


 
■ 43.3%の思い込み

  先日、手元に届いた 「週間 東洋経済」 を開くと、主にマスコミ報道を通じて景気判断をしている人の割合は43.3%と
  いう、世論調査の結果に関するコラムがありました。

  なるほど、なるほど、これで、最近の私の最大の不満の原因が裏付けられました。
  というのも、私の勤務する業界の関係指標を色々調べても、まだまだ、金融・証券、製造業ほどには状況が悪化しては
  いないのです。そりゃあ、取引先が悪化しているのですから、こちらも悪化するでしょう。でも、私の分析では、悪くなる
  のは、これからです。

  以前も書いたのですが、そんな現状分析を元に、社内の会議資料を作ったところ、役員、部門長の方々が、口をそろえ
  て、言い張るのです。 「状況は悪化している」 と。

  「何を根拠にそんな勘違いをしているのですか?」 と、居並ぶ幹部の方々に言うわけにもいかず、
  「2、3ヶ月後には悪化が進むとは思いますが。」 と結びましたが、
  どうにも納得が行かない状態だったのです。

  ジェットコースターのように、ものすごいスピードで経済や社会の状況が変わっていく現在。 時間軸を間違えては、決し
  て、正しい判断は決して出来ません。
  今可能なことも、来月、来週には出来なくなる。逆に、来週、来月には打てない手も、今なら打てるかもしれない。 そう
  考えるべきなのではないでしょうか。

  業界が違えば、景気悪化の進み方も違いますし、たとえ今後、マスコミが景気が回復しつつあると言っても、それを間
  に受けてはいけないのです。
  と、思うのですけど、43.3% の方々が本当に、マスコミが報道していることと、今、自分の業界に起きていることとイ
  コールだと思っているのなら、景気はますます悪化するでしょうね。

  ・・・大丈夫かなあ。ホント。








Column282   2009/2/4up                


 
■ 「究極の質問」は役に立たないスキルか?

  以前も似たようなことを書きましたが、再び役立たないスキルのお話し。
  実は、大手コーチング会社からスキル紹介のメールが定期的にくるのですが、直近のメールを見て驚きました。

  部下が目標を達成しない。部下の提案やアイデアが引き出せない。 
  そんな場合には、究極の質問をすると良いというのです。

  例えば、
  「今日一日で仕事を取ってこなければ給料を半額にする。 と 言われたら君はどんな行動をする?」 というものです。

  ぎりぎりに追い込まれ、短い時間軸の中で何かをしなければならないとしたら、斬新なアイデアが思い浮かぶはず。
  という訳だそうです。 ・・・・ このセリフに驚いたのです。 以前、自分がある社員に言ったセリフと非常に似ています。

  数年前、とある社員の昇格試験面接の際に同じような質問をしたことがあるのです。 詳細は言えませんが、彼の担
  当している物件は売上が低迷していたのです。 そこで、彼が今後、昇格に値する行動を取れるのかどうか知りたくて
  質問したのです。
  「今月中に君の担当物件の業績を向上しないと、クビにすると言われたら君はどんな手を打つのか?」 と。
  言葉は違いますが、昨日、私のところにメールで送られてきた内容と全く意味合いは同じです。

  私の質問に対する前述の彼の返答は、「●●課長 (彼の上司) の指示に従います。」 というものです。

  昇進試験の場での不甲斐ない返答にあきれながらも、
  「それじゃ、上司がいい対策 (アイデア) を出せなかったら、君もクビになっちゃうよ。」 と言うと、

  次の彼の返答は
  「◎◎部長 (さらに上の上司) に指示を仰ぎます。」 だったのです。

  開いた口が塞がらなくなったとは、こんな時に使う言葉でしょう。

  私は、あまり行動的ではない彼でも、発想を変えれば、何かしらの行動が出来るのではないか、そうでないと合格
  はさせられない。 そう思って自分の発想転換方法を応用した質問をしただけですが、そんな質問は役立たずだった
  わけです。

  実は、勤務先社内で、社員を活性化させるために何か出来ないかと話し合うような場面では、毎回、この時のことが
  話題になるのですが、結局のところ、本当に危機的状況が目の前に現れなければ、だれも本気にはなれない。
  という不本意なことで皆の意見が一致してしまいます。

  商売っけのあるこのコーチング会社は、毎週毎週スキル紹介をしてくれるわけですが、この会社からのメールを見て
  真に受けるような方は、決してコーチやリーダーとしてスキルを発揮することは出来ないでしょうねえ。

  あっ!物事を前向きに考えたり、常に何かをやってみよう思う方が、自分自身で発想や物の見方を変えるには、発
  想の転換て、いい方法なんですよ。私もしょっちゅう応用して、自分自身に問いかけてますしねえ。

  例えば、
  「そんなこと出来るわけない。」 「そんなこと起きるはずがない。」
  という枠組みを一旦はずして、「出来る」 「起きる」 という前提で問題点の解決を考えてみてから、最後に、出来る
  はずないことを実現する方法、もしくは代替方法を考えてみる。 という発想法です。

  人に問い掛けるのではなく、自分自身に問い掛ける分には面白いですよ。








Column281   2009/1/29up               


 
■ コミュニケーションの目的

  いまだに、自分の部下や後輩にきちんと指導が出来ない管理職、中堅社員の方を見かけますが、そんな方に、
  「部下や後輩ときちんとコミュニケーションをとって下さい。」 と言っても、
  十中八九 「ちゃんと、声はかけてるよ」 なんてアホな回答が返ってきます。

  良くて、「仕事の指示は細かくしてるよ。」 とか、「サッカーの話題で盛り上がってるよ。」 なんてレベルです。

  もちろん、頻繁に声をかけるのも、仕事の指示を細かく与えるのも、雑談で盛り上がるのも、コミュニケーションの入口
  としてはOKですし、全く会話がないよりはずっと良いでしょう。

  しかし、上司が部下と、先輩が後輩とコミュニケーションをする目的を考えてみて下さい。

    @仕事をしてもらう為  A効果的に仕事の成果を上げてもらう為

  もちろんその通りではあるのですが、それでは、今現在の部門やチームの成果を生み出すだけでしかありません。
  視線を未来に向けて考えていただければ、

    B仕事を覚えてもらう為   もう一歩進んで、 C成長してもらい、チームの戦力を向上する為

  というようにコミュニケーションの目的は明確になってくるはずです。

  @、Aくらいの目的であれば、上司、先輩が正しいと思う仕事のやり方を、部下後輩に一方的に押し付けて、叱咤しな
  がらとにかく 「作業」 をしてもらえば何とかなるかもしれません。
  つまりは 「作業指示」 のレベルのコミュニケーションということです。

  でも、効果的にB、Cの目的を達成する為には、コミュニケーションの手段が一方通行の会話でしかないのは、なんと
  も心もとない状態です。 失敗しないように、細かく指示したり、マニュアル通りの作業をさせれば、今回は失敗しないけ
  ど、将来に向けた成長もないのです。

  失敗すれば失敗の原因を考えさせる。うまくいけば、その方法を再確認させて、次回に応用させる。 つまり、相手に自
  分で行動の原因や結果を考えさせるコミュニケーションができれば、本人の成長に向けた教育効果は高くなるはずな
  のです。

  こんな話、よくよく考えれば、当たり前なのですが、失敗が成長につながるという話と、相手に考えさせるコミュニケーシ
  ョンの話が多くの方の頭の中ではつながらないのです。

  「考える」 ということは、仕事を単純作業ではなくし、本人の仕事への興味を増大させるでしょうし、興味が増せば、仕事
  への知識も理解力も伸びてくるはずです。
  例えば、車を買おうと思えば、通りを走っている車が非常に気になって目にとまるし、自分で色々調べることで車の知識
  も増える。 そんな理屈です。

  まあ、色々書きましたが、

  「俺には俺のやり方がある。
   なんでこちらから色々質問したりして、部下が自分で考えるようにしむけなきゃいけないんだよ。」
  そんな言い分で新しい考え方を拒否する方は大勢います。

  でも、それにも一理あるのです。
  実は、人の脳は、既存の情報と、新しい情報とを比較する作業を自然に行う仕組みになっているそうです。つまり、既存
  の情報と新しい情報に一貫性があれば正しいと認識し、違いがあれば異なるものと認識し、異なるものは拒否する傾向
  があるようなのです。 これは、いつもとの違いに気づいて危険を察知するための仕組みのようです。

  従って、新しい考え方、人の意見、改革案などを拒否し、抵抗勢力となってしまうのは、心理学的には普通の行いなん
  だそうです。

  逆に考えれば、新しい仕組みや考え方を導入する側も、既存考え方、流儀の方を、抵抗勢力だと思ってしまうのも、同じ
  脳の仕組みによるものであり、相手の既存の考え方の良い部分を理解し、自分の側からも歩みよるという考え方を難しく
  してしまっているのです。

  コミュニケーションって難しいですね。








Column280   2009/1/24up               


 
■ 初心に返る知恵袋

  最近、yahoo知恵袋を見るのが楽しみになっています。
  車、バイク関係の質問を見ることが多いのですが、何でこんな初歩的なことが判らないのだろうと思うような質問が結構
  あって、それに丁寧にアドバイスする方もいて、何だかうまく出来ているなという感じです。

  時に私も、つらつら見ながら、自分の得意分野のことをアドバイスしたりもしますが、同じ質問に対して、私以上の知識
  によって、より適切なアドバイスをする方もいて、そんな方が存在することも、当たり前と言えば、当たり前なのに、驚か
  されたりもしています。

  そうそう、もちろん、私が質問して、アドバイスを受けることもあります。
  思うに、誰でも最初は初心者。 諸先輩方に教わることは沢山ある。

  そんな感じでいたほうが、知恵袋をうまく活用できるし、そんな考え方は、ネットから飛び出した普通の生活や仕事にも
  当てはまるのかなとも思います。

  人に教わる気がないと、眼や耳に入ってこない情報って沢山あるような気もします。
  時には、自分にとって大事な情報を逃してしまうことだってあるはずです。

  自分が何でも知っている気にならない。
  自分が必ず正しいなんて思わない。
  心の奥ではそう思っていても、普段の行動がその思いとは異なってしまう。

  そんなこともあるのではないでしょうか。

まずは初心に戻ろうという気持ちを常に抱きつづけることは、難しいが故に、結構大事なことかもしれません。








Column279   2009/1/16up               


 
■ 適正価格は誰にとっての適正か?

  最近、不景気で売れ残ったマンションを買い取って、従来の相場の1割程度値下げして売る再販マンションの売れ行き
  が好調だそうです。
  土地を手に入れてマンションを建てた開発会社からしてみれば、今後価値が下落する可能性のある不良在庫を抱える
  よりは、たとえ安くても現金に買えてキャッシュフローを確保するほうが得策と考えているのでしょうね。
  1割引といっても 元の値段が高い買い物ですから、 お買い得感が強いのか、積極的に広告をしなくてもモデルルーム
  の来場者は通常物件の倍以上だそうです。

  ここで気になるのは、不景気不景気といいながらも、やはり、あるところにはお金がある。 ・・・ ということですね。
  適正な値段、買い得感、値ごろ感のある価格設定であれば、 たとえ高価な買い物であっても、財布の紐を緩める消費
  者はいる。 また、商品そのもののニーズはある。ということです。

  では、適正な価格設定とは何なのか?

  例えば、ガソリンを1リットル200円で売ろうが、50円で売ろうが、ガソリンスタンドの側からしてみれば、適正な価
  格、もしくは、競争を意識した適正以下の価格なのかもしれません。

  仕入れコストを差っ引いて、欲しい利益はこれくらいだから、この金額で販売する。 それが売る側の論理でしょ。ね。
  でも、それって、消費者から見たら、決して適正価格ではありません。
  もし、適正価格の代替品があるのなら、代替品に切り替えるところでしょう。

  当たり前過ぎて申し訳ないのですが、
  この製品 (orサービス) の提供する価値に対しては、これくらいの出費を認める。 それが消費者の適正価格です。

  例えば、デパートに行ったって、何でこんな価格設定なのだろう、どこが価格に見合った高級さなのだろう。 とか、
  仮に高級さに見合った価格設定だとして、自分の利用目的からしてこの価格でこの製品を購入する必要があるのだろ
  うか と思うのが消費者の理屈です。

  また、自動車を例にとれば、ベンツがどんなに価格に見合った性能、品質、高級感があったとしても企業が外回りの営
  業マン用にベンツを購入することははないでしょうし、自動車販売会社も、商用の顧客にベンツを売ろうとはしないでし
  ょう。

  でも、冷静に考えると、 デパートの例とベンツの例は全く同じなのです。
  マニア等、特別のマーケットがあって売れると言うのなら別ですが、 消費者が欲しくもないものを商品棚に並べたって
  売れるはずはありません。
  それが判らない経営者は、商売がうまくいかないのを不景気のせいにするのでしょうね。

  不景気、不景気とそこらじゅうの企業は嘆いていますが、今一度、適正価格を考え直す時期なのかもしれません。
  しかも、そんなの判ってるよ。 と思う企業ほど判っていないのかもしれません。そんな気がします。

  相手の気持ち、相手の目線になってみる。・・・・ どんな場面でも重要なことです。








Column278   2009/1/15up               


 
■ 不景気下の就活の行方

  そろそろ就活も本格化する時期ですが、不景気を反映し、 今年の就職活動は相当厳しくなる というような報道が増え
  ています。

  これに対して、企業側のコメントとして、 売り手市場から買い手市場に転じて、 優秀な学生を確保する絶好の機会だと
  いうようなコメントが目に付きます。 果たして本当にそうなるのでしょうか?

  企業側の立場として、推測すると、学生が集まるのは、景気が良かろうが悪かろうが、人気業種。景気の影響を厳しく
  受けるような業種に就職したいと思うような学生がいるのだろうかという気になります。

  不景気をものともしない人気業種だって、 やみくもに採用を増やすことはできないでしょうから、 言葉は悪いですが、お
  こぼれが、他の業種に回ることは期待できるでしょう。

  多少とも自分は優秀だと思うような学生が、本当の意味でのおこぼれとなって、就活市場の隅々に回ってくるのは、今
  年も後半になるのではないでしょうか。
  つまりは、 今まで優秀な学生が集まりにくかった不人気業種では、 説明会等への参加人数は増加するものの、 今ま
  でと同じように、 企業の下調べすら不十分な学生が、 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる式に集まってしまうような気がしま
  す。

  麻生総理のハローワーク視察じゃないですが、とりあえず内定が欲しいというだけの学生に、自分のやりたいことを明
  確に主張出来なきゃだめだよと言ったって時間の無駄でしょう。 企業側から見て、パイは大きくなるのでしょうが、おい
  しいパイが増えるわけではないのです。

  就活は、いわばお見合いです。
  短い時間と限られた時間の中で、お互いのニーズが一致しているかを正しく見極めることが大事なのです。

  つまりは、企業側が恐れているのは、 若者の希望、夢、やりがい等と、企業側が与える仕事や、やりがいとのミスマ
  ッチであり、せっかく採用し、育て始めた若手社員が早期に辞めていくことなのです。

  中々思い通りにならない中で、 企業は、若手社員、新入社員は何を求めているのか、学生は何を求めているのかと、
  出来る限り若者の目線で、社内の教育方法を考えたり、やりたいことは何かと面談したりと、それなりの努力をしてい
  ます。
  出来るだけ若者、学生の目線で物事を考えようと努力してきたわけです。

  売り手市場から、買い手市場に変わる。そうは言っても、果たして学生が、企業側の目線で就職活動に挑むなんてこ
  とがあるのでしょうか。

  そこのとろを真剣に考えない限り、企業側と、学生側の思惑のミスマッチは続くのでしょうね。








Column277   2009/1/12up               


 
■ やる気は有限である

  やる気を引き出すためのお話しです。
  この景気の悪い世の中、多くの企業は、業績低迷に直面しても社員のやる気を低下させず、より一層奮い立たせて、
  業績向上につなげることにヤッキになっているはずでしょう。
 
  が、「やる気は有限である。」 という、結構単純な理屈を判っていない上司の方は多いようです。

  世の中には、頑張って頑張って、7回失敗してもやる気を失わず、8回目に成功できる方は殆どいないはずであり、多
  くの方は、数回失敗したら別の方法を考え、それでも失敗したら、イヤになっちゃうでしょう。
  それはごくごく自然なことなのです。 何故なら、前述のように人のやる気は有限であり、努力に結果がついてこなけれ
  ば、ストレスがほとんど残っていないやる気を奪ってしまうのです。

  決して上り調子ではない今の世の中、リーダーであれば、チームメンバーの有限なやる気をいかに効率的に引き出す
  かと言う観点で仕事を考えていかなくはならないのです。

  例えば、あなたのチームを登山チームを例にして考えて、まず、いきなり山の頂上に到達するのを目指すのではなく、
  10時までに5合目に到達することを目標として、 チームが5合目に到達したなら、その時点までの努力を十分に褒め
  称える。

  次に6合目、その次に7合目、・・・・ 最後に頂上というように、
  だんだん険しくなる登山の難しさに合せて、目標を区切ってしまうのである。

  目標を達成する都度、 次の目標へとハッパをかけるわけですが、 一つ一つのゴールを達成した際のねぎらいは決し
  て忘れてはいけません。
 
  じゃあ、ずっと褒めつづけるのか?・・そんな疑問も湧いてきますが、
  褒めるのではなく、 区切られたゴールに到達した事実を チームメンバー同士で確認すると解釈してもいいかもしれま
  せん。

  ○○の努力が目標達成に貢献した、○○の失敗が目標達成を難しくしたが、○○の努力がそれを補った。
  そんな感じでうまく出来たこと、出来なかったことをゴールのたびに確認する。そう思ってはどうでしょうか。

  言い換えれば、 ゴールの度にメンバーの成長を確認し、失敗した部分については、 改善を次の成長目標として確認
  するのです。 自らの成長の確認は、必ずや、やる気の源泉となるはずです。

  たとえ失敗し、くじけそうになっても、 もう一度頂上までめざそうなんてことではなく、 5合目のゴールを再度目指すの
  だと思えば、気も楽になります。

  しかも、この考え方には、一歩踏み出すのに臆病な方や、後ろ向きな方をその気にさせる効用もあります。
  この山の頂上を目指そうよと誘えば、自分には無理だといやがる後ろ向きなメンバーだって、 5合目を目指そうと誘え
  ば付いてくるかもしれませんし、 5合目に到達できたら、 6号目を目指すことくらいどうってことないという気持ちにもな
  ってくるものです。

  また、仕事上の話として聞こえたかもしれませんが、 自分自身のやりたいことを実現する方法として考えることだって
  出来ます。
  実現したい目標から遡って、 その為に何をすべきかという行動をブレークダウンしながら、 だんだんと簡単な行動、つ
  まりは目標へと区切っていくのです。

  たとえ、だいそれた計画であっても、 最初に踏み出す一歩は 簡単な目標にしておけば、 だんだんと自分自身のその
  気を高められるものです。

  「今年こそは」 と思うことがあるのなら、試してみてください。








Column276   2009/1/6up                


 
■ あなたのメッセージは間違っていないか?

  コミュニケーションではあなたが伝えようと思ったこと、話したことではなく、相手に実際に伝わったことが全てである。
  なんてことを私は常々言っておりますが、実際、人というのは、相手と会話する時には、言葉がきちんと耳に入るかど
  うか、その言葉を正しく理解するかどうか、だけではなく、無意識のうちに、相手の身振りやしゃべるトーン、話をする
  場面なども総合して、相手の伝えようとするメッセージを理解するものなのです。

  言語学者のアルバート・メラビアン によれば、言葉は人に意志を伝える上で、全体の7% 程度の役割しか担ってい
  ないというそうです。

  となれば、会話の中で、正しいメッセージをきちんと相手に伝えようと思うのなら、言葉だけじゃなく、目に入るもの、
  耳に入るもの、それまでの経過やタイミング等、もっともっと、全体的な印象を考えた上で、メッセージを作っていくこ
  とが必要なのです。

  と言っても、難しく考えることはありません。
  誰だって、人を怒るときは怖い目つき、褒める時は優しい目つき。そのくらいは自然に自分の表情を使い分けている
  でしょう。まずは、それをきちんと意識して効果的に行えば良いだけなのです。

  とはいえ、やっぱり昨今の世の中は、人に誤ったメッセージを伝えていることが多いようです。

  もし、意欲にあふれた若者が会社に入社して、上役から 「まあノンビリやろうよ」。なんて言われたら、
  たとえ 「あせらず、地道に力をつけてくれ」という意味だったとしても、「やる気のない会社」というメッセージに化けて
  しまうかもしれません。

  同じような誤ったメッセージの例は、世の中にゴロゴロしていることでしょう。

  例えば、社員、特に正社員までを解雇すると発表した企業。これって、今いる社員および、その企業への就職を希
  望していた学生、そして一般消費者への強烈なメッセージとなったはずです。
  このメッセージは、「会社の将来をきちんと考え経営合理化を図っている企業」という本来の意味からはずれてし
  まい、社員に冷たい企業、人を大事にしない企業という明確なメッセージに化けてしまったのではないでしょうか。
  今後、優秀な人材が集まるのでしょうかねえ。

  前述の通り、コミュニケーションは実際の言葉では、伝えたいことの7%程度の意味しか伝わらないのです。
  この例の場合、そのメッセージを発する背景、タイミング、対象が極めて重要なのです。

  皆さんも是非是非、自分の発言が相手に正しく伝わっているかどうか、今の自分のコミュニケーションのし方を点
  検してみて下さい。








Column275   2008/12/31up               


 
■ 己 丑 (つちのと うし)

  来年は丑年です。
  牛にはどっしりとしたイメージがありますが、来年の干支である己丑(つちのとうし)には、混乱を正し、どっしり構え
  て、新しい方向へゆったり動き出す。という意味があるそうです。

  実はこれ、私のところに定期的にメールを送ってくださるSMBCコンサルティングさんの「新年スピーチ事例」からの
  受け売りなんですが、確かに、この急激な不景気の中、運良くリストラされたりしないで済んだならば、じたばたせず、
  次の飛躍のために力を蓄えた方が良いのかもしれませんね。

  私も既に、勤務先の経営層の年始挨拶の為の、案文を考えましたが、
  「厳しいのでもっと積極的に頑張れ。」 と言うのか、
  「あきらめずに、この不況をチャンスととらえて、前向きに行動しろ。」 と言うのか、
  「あせらず、じっくり基礎を固めて、景気回復を待て。」 と言うのか、
  考え方は、企業の業態によっても全く違うはずですが、

  私の作った年始挨拶文の素案は、「皆、もっと本気出してくれ。」という意味合いを、スピーチに相応しい別な言葉に
  置き換えて、「自らの使命をきちんと再確認して、与えられた役割を確実に果たして下さい。」という表現にしてみま
  した。

  まあ、気持ち的には、「やる気のないやつは帰れ!」という意味合いにしたかったのですが、
  それじゃ、ちょっと過激ですしね。

  とはいえ、正社員だってリストラされかねない現状の世の中で、確実に生き残っていくために、社員個人個人は何
  をすべきかというヒントを、経営層から伝える形にしたかったのです。

  皆さんは 己丑 をどうすごしますか?








Column274   2008/12/20up               


 
■ 当事者にする難しさ

  日経ビジネスを読んでいたら、松下電機の役員をしていた方で、事故を起したガス暖房機の回収の指揮を執っていた方
  の話が載っていました。

  TVでさんざん、欠陥があり一酸化炭素中毒となる危険のある暖房機 を回収をしていることを広報しているのに、その現
  物が自宅に設置してあったとある高齢者の方は、それが自分のガス暖房機のこととは思いもしなかったというのです。

  そんな方に、「危険なのはあなた自身なのですよ。」 とどうやって理解してもらえばいいのか。

  最近のオレオレ詐欺でもありがちですが、自分はそんな詐欺にはひっかからないとの思い込みが多く。 結局は騙され
  てしまう。 なんてことも。
  さんざん、マスコミで取り上げられ、ATMコーナーに警察官が立っていようが、自分が軽々と詐欺にあっていることには
  気づかない、また認めようとはしない方は 結構存在するのです。

  暖房機とオレオレ詐欺は、その広報が流れた時点で、既に欠陥暖房機を所有している点と、 まだ詐欺には引っ掛って
  いないという点で大きく性質は異なるのですが、自分がその当事者になるかもしれない、既に当事者であるかもしれな
  いとういう感覚がないことが共通点です。
  両者も、高齢者の話ではあるのですが、決して高齢者に限った話ではないようにも思えます。

  まあ、私の80近い母親も、結構頑固で、自分は詐欺になんか合わないと言うばかりではなく、 自分の間違いは、何で
  あれ決して認めようとはしません。
  きっと、オレオレ詐欺に遭いそうになって、誰かが注意したって、言うことをきいたりはしないでしょう。
  人を子供扱いしないで。なんて言われてお仕舞いです。

  高齢者は、特にそんな傾向が強いのではないかとは思いますが、若い方にだって人の忠告に耳を貸さない方はいくら
  でもいます。

  同じ事を自分で気付けば納得できるのに、人から言われると納得出来ない。
  高校生が親から子供扱いされて納得出来ないのと同じです。
  まして、もっと年齢がいっていれば尚更難しいでしょう。
  
  また、欠陥温風器の話で、自分が当事者とは納得できないのは、リンゲルマン効果のせいもあるかもしれません。

  リンゲルマン効果とは集団的怠慢効果とも訳されるもので、 自分だけでなく、大勢の方がその場に居合わせると、救
  いを求めている方を助けられないというものです。
  人は、自分しかいなければ、行動できるのに、大勢の中の一人になると、中々行動できないのです。

  まあ、人にうまーく当事者意識を持ってもらうには、
  「あなた自身のことですよ。
   別に子供扱いしているわけではありませんよ。
   でも、あなた自身が行動しないといけないのですよ。」

  ということを、うまく言い換えて、納得してもらうしかないのでしょうね。








Column273   2008/12/16up              


 
■ 頭をひねらなきゃ、知恵は出ない

  最近、ネットを見ても、本屋の店頭に行っても、会社で購読している経済雑誌を見ても、勝間和代さんの写真やポスタ
  ーを見かけないことが全くありません。マスコミ媒体への露出頻度が多くなっているようですね。
  勝間さんのバイタリティーある活動は、 多くの女性のお手本になっているようですが、 実は、経済学者池田信夫氏が
  勝間さんの著作 「あなたの知的生産性を10倍アップする方法」 について、 誰でも真似できるわけではないと 非難し
  たとかしないとか。

  勝間さんは、「年収10倍アップ勉強法」 を書いたり、ノート活用法を紹介したりと、効率的な活動を自分の成果につな
  げる事例の紹介することが多いようですが、「あなたの知的生産性を10倍アップする方法」 もまさにその一つ。

  池田信夫氏は、そもそも勝間さんの知的生産効率は他人の10倍もないだろう。という点、
  知的生産技術は、職業、ライフスタイルに依存するので、すべての人の生産性を10倍に変えることは出来ない。とい
  う点。
  この2点で勝間さんを非難し、HOWTO本になんか頼らず、自分の頭で徹底的に考えるべきだと結んでいます。

  まあ、勝間ファンなら怒り出すところですが、実のところ、池田氏の意見には、当たってる部分もあるし、というか、正し
  い分析だなとは思いますが、別に非難なんかせずに放って置けば良いし、HOWTOとしての勝間さんの各種の技は、
  自分自身で頭をひねって考える上では、大いに参考になると思います。

  池田氏を非難しては、池田氏といっしょになってしまうわけですが、実のところは逆で、最近の私には、HOWTO本っ
  て何なのだろうという思いが強いのです。

  私には、仕事を通じて明確に信じている一つの考え方があり、
  世の中には、人の意見に耳を貸す者、貸さない者の2つの人種がいて、交渉の仕方、OKの貰い方、NOの言い方、
  相手の立て方、除外の仕方、サポートの仕方、等々の接し方が、それぞれ、この2つの人種によって異なるのだと思
  っています。

  人の意見に耳を貸せる方がHOWTO本を読めば、たとえそこに書かれているHOWTOが自分の手法とは合わなくて
  も、何らかの参考になる点を見出したりや、自分の手法と組み合わせて、新しい手法を考え出すことも可能です。

  そもそも、世の中の著名な発明家の多くは、オリジナルのアイデアを考え出した方ではなく、 他の発明家のオリジナ
  ルなアイデアに工夫を加え一般化した方なのだそうです。

  そもそも、人の意見に耳を貸せない方は、HOWTO本など読まないでしょうし、もし、そんな方に、無理にHOWTO本
  を読ませたって、何これ、こんなやり方うまく行くわけないよと一蹴するでしょう。

  また、もう一歩深く分析すると、 人の意見に耳を貸す方の中には更に2種類の方がいて、 単に人に頼る方、そして、
  自分なりに一生懸命頭をひねって考えた上で人の意見を参考にする方がいるのです。

  もちろん、HOWTO本を生かせるのは後者に属する方であり、著名な発明家も後者だったのではないかと思うのです。

  実のところ私も一時期、結構、HOWTO本を読み漁りましたが、多くのHOWTO本は、私にとっては全く参考になりま
  せんでした。 どこかの誰かが実行したことが全て私に実行できるわけではないし、そもそも、理屈や理論の紹介だけ
  では、参考にしようにも、参考に出来ないのです。

  例えて言うと、アクセルは右でブレーキは左、ギヤはこのレバーで選んでね、と言われただけでは車は動かせません。
  安全確認をして、ギアをドライブに入れて、ブレーキから足を離してゆっくりアクセルを踏むと車は動き出すよ。・・程度
  の説明は最低限必要でしょう。

  でも、多くのHOWTO本はテクニックを昆虫図鑑のように紹介しているだけであり、特に経済雑誌やネットのコラム等
  での紹介レベルの内容は、図鑑以下だったりもします。

  池田氏の言うところの、購読者を増やすための掲載でしかないのです。

  「今日から使えるテクニック」 なんて、飛びつきたくなるような見出しがついている記事や書籍も頻繁に見かけますが、
  「あなたが頭をひねる参考になるテクニック」 なんてものはありません。

  勝間さんや、リバレッジリーディングの本田さんをはじめ、 著名な方は、かなりの数の書物を読んでいることが紹介さ
  れているし、書籍にかける費用は自分の資産になるのだ的な発言もこれらの方には多いようですが、 本屋の店頭で
  眺めて、これだ。 と思って買って帰り、 じっくり読むにつれその内容の無さにあきれるというパターンの多かった私は、
  最近では、本を買いあさってバンバカ読むのはやめ、図書館で借りてざっと目を通し、 気に入った本だけネットで購入
  するという手法をとっています。

  多くのHOWTO本は、1万冊売れたら、1000人位をその気にさせて、実際には、10人位にしか役立ってない。そん
  な図式になっているような気がします。 (数字は適当ですが。)

  自分が頭をひねる為の参考になる本。HOWTO。
  それは本屋にもネットにも、そうおいそれとはころがってはいないのです。








Column272   2008/12/6up               


 
■ コミュニケーションスキルは後天的に身に付くか

  最近、経済雑誌やら、新聞のコラムやらを見ていると、仕事上のスキルに関するコーナーやらコラムが流行って
  いるようで、職場の部下指導、後輩指導では、コミュニケーションが大事。なんてすごく当たり前の文面をよく見か
  けます。

  例えば、総務マンであり、人事マンでもある私自身が、管理職として必要な能力を3つ上げろと言われれば、課題
  解決力、コミュニケーション力、関係構築力の3つを上げますが。やはりその中でもコミュニケーション力は最重要
  と思っています。

  また、管理職として重要なことは、前向きな社会人として生きるためには誰にでも重要。私にはそんな考えもある
  ので、勤務先の社員教育としてコーチング研修を主体としたコミュニケーション教育を導入していますが、結構壁
  にぶつかることがあります。

  会社には、部下とくだらない雑談をしたくらいで、「コミュニケーションが出来てる。」なんて思っている管理職が多
  いのです。彼ら管理職の「コミュニケーションが出来ている。」は私に言わせれば、全くの思い込み。

  雑談はコミュニケーションの入口としては有効ですが、所詮は「入口」でしかありません。
  そんな上司を持つ部下の方々に ヒアリングしてみると、
  「仕事の相談が出来ない。」
  「仕事の進め方を聴いてもきちんと答えてくれない。」
  「やりたい仕事や学習があるのだけど、相談相手がいない。」なんて意見が普通に反ってきます。

  でも、コミュニケーションで大事なのは双方向の意思疎通。
  「コミュニケーションは雑談することなどではなく、相手の話や考え方をきちんと聴いて、相手本人が自分から行
  動しようとする気を起こさせること、そして本人の行動を支援することですよ。」なんてまじめに説明して、会話方
  法を教えてみたところで、実行出来ない方にはやっぱり、双方向のコミュニケーションは出来ません。

  つまりは、コミュニケーション能力は、後天的に身につけることは出来ないのではないか。そんな壁を強く感じる
  のです。

  もちろん、生まれつきコミュニケーションが出来る方がいるわけはないので、社会人になるまでに、学校やら、ス
  ポーツやら、友人やらとの会話の中で、まずは人の話を聴くというコミュニケーションスタイルを身につける方が
  いたり、逆に一方的に、自分の意見をまくし立てて自己主張する人がいたりするわけです。

  前者であるか後者であるかは、もはや個人の個性の話であって、企業における教育などでは変えることはほと
  んど出来ないのです。

  であれば、 誰にでも同じようなコミュニケーション教育を形だけ行うことは無駄。最近はそんなことも思ってい
  ます。
  大事なのは本人が既に持っているコミュニケーションスタイルの中の、あきらかな問題点に気付かせてあげた
  り、今のコミュニケーションスタイルをうまく使って、チームを効率的に引っ張っていくことを教えることなのかな
  とも思っています。

  ***
  もう一つ、コミュニケーションについて管理職の方々に教えるとしたら、「相手のタイプよってコミュニケーション
  の方法は変えなくてはダメだ.。」ということでしょうか。

  タイプの分け方は、色々な其の道のプロが、多種多様な分類をしているので、細かいことはHOWTO本にでも
  任せるとして、まあ、単純に区別すると、やはりここでも、自分からどんどん意見を言える方、人の話を聴いて
  から発言する方がいるということ。

  となれば組合わせは4つあるわけで、たとえば、一方的に自分の意見ばかり言う管理職が、人の話を聴いてか
  ら発言するタイプの部下と会話をすると、うまく行くのかというとそんなはずはなく、コミュニケーションは常に一
  方通行になってしまいます。
  そんな上司には、「人の話をしっかり聴け」 といっても無駄なので、「自分の発言と発言の間に1分間だけはだ
  まって相手に発言する時間を与えろ」というような、具体的なアドバイスを与えるのです。

  この組み合わせの場合に、部下の側の方にアドバイスを与えるとしたら、「打合せ前に、自分の言いたいことを
  メモにしておき、それを発言するイメージを思い描きながら、3分間頭の中でリハーサルしなさい。」という感じで
  す。

  お互いに人の話を聴くタイプの場合、中々会話がはずまないので、「お互いに事前に自分の考えをメモしてか
  ら打ち合わせを行うように。」なんてアドバイスになります。

  そんな具体的なアドバイスをしたほうが、 一般論としての効果的なコミュケーション方法を紹介するより、よっ
  ぽど、身に付くし、効果があるのです。
  もちろん、それでも、実践しない方は、もう面倒見ません。

  ***
  以前、読んだリージョナルカンパニーという本にあったのですが、
  大成長し、今も生き残っている世界的企業に共通の条件は、社員を教育して優秀な人材に育てた企業ではな
  く、最初から優秀な社員を採用した企業であると書かれておりました。

  当然ながら世の中には、後天的教育で、育つ方も、力をつける方もいるのでしょうが、コミュニケーション一つ
  とっても、そもそも素質のある方を採用すべきなのだということです。

  ダメなやつはダメ。・・・そんなレッテルを貼るわけではありませんし、
  実際に、素質のある方だけ採用するなんて不可能なので、社員教育は永久に続くのですが。








Column271   2008/12/3up                


 
■ 長距離走者の気持ちの切り換え

  先日、地元で開催された駅伝の中継を見ていたところ、解説者の高橋尚子さんから、気持ちの切換えに関する興味深い
  話がありました。
  よく言われる話ですが、マラソン等の長距離走者は、競技を優位に進めていく上で、長丁場の中で、自分との闘いに勝つ
  こと、つまりは、いかに、勝利へのモチベーションを保って走りつづけるかが重要だそうです。

  その中で大事なのは、単調な走りの中で、いかに自分の気持ちを切換えるか。
  ライバルやペースメーカーとなる選手がそばを走ってたり、コーナーがあったり、坂道があったり、と変化があればいいの
  ですが、そうとばかりはいきません。

  そこで、長距離走者は、脱ぎ棄てられるものを幾つも身につけておき、それを、脱ぎ捨てることで、気持ちの切換えを図る
  そうです。
  とはいっても、真冬であっても薄着なユニフォームですから、簡単ではありません。

  グローブを脱いだり、サングラスを取ったり、脱げるものは脱いでいくそうです。
  サングラスなんて棄てちゃうわけにもいきませんから、沿道の関係者に投げちゃうそうです。

  高橋選手は、沿道に父親を見つけて、サングラスを投げたら、随走していたオートバイに当たってしまったそうです。

  ****
  そう考えれば、私たちも日頃の生活の中で、気持ちの切換えが必要な時、色々と方法はあるな。なんて思います。
  例えば、会議の前にきちっと上着を着て、普段はしていないネクタイを締めたり。時には、勝負タイと言われる真っ赤なネ
  クタイを締めるのもいいかも。

  ちょっと気分が乗らないとき、だらだらしてきた時、コーヒーを一杯。なんていうのも、気分転換の一つですが、気持ち
  を切換える方法を色々用意しておくのも面白いかもしれませんね。








Column270   2008/10/29up              


 
■ 的外れなアドバイス

  総務・人事関係の月刊誌をみていたら、社員指導のちょっと的外れなアドバイスが載っていて、かなり驚いたので、
  ネタにしました。

  その記事は、ワハラ社員をどう諭すかというような主旨のHOW TOなのですが、それこそHOWTO本から無理やリ
  ひっぱてきたような解釈が並んでいて、そりゃ違うだろ、との思ったわけです。

  まず、大声で後輩を怒鳴りつける社員が、怒鳴り方によってはパワハラになると書いてあったのですが、
  怒鳴った社員は「怒鳴ることが当然と思っている」のか、「イライラしていた」のかという分析をしていたのですが、当然、
  そういう理由もあるのでしょうが、例えば何度教えても仕事を覚えない社員や、幾ら注意してもどうしてもスケジュール
  を守れず、他のメンバーの作業に支障を与える社員に対しては、私だってちょっと大きな声でしっかり叱ることは多々
  あります。

  それって、決して怒ったり、感情的になっているのではなく、ことの重大さを伝えるためのテクニックなのです。

  もちろん、当の本人を別室に呼んで、
  指示が守れない理由や、自分で立てたスケジュールそのものを守ろうともしない理由や原因を問いただした上で、
  「問題点があるのなら、何故解決しようとしないのか、
   君一人が困って済む問題じゃないので、真剣に対応を考えなきゃだめじゃないか。」と何度も何度も言ってきかせて、
  最後には声も大きくなるわけです。

  「その位、こちらは真剣に考えている。」と理解してもらい、きちんと対策を考えてもらう為であり、決して、相手の性格
  を否定したり、逃げ場のないような責め口上を並べているわけではありません。

  「指導」と 「パワハラ」との違いは何かと言えば、
  「指導」は相手を一人の大人の人間としてその存在を認め、決して人格を否定したり、相手の逃げ場を奪って精神的
  に追い詰めてはいけない。また、相手に問題の原因と対策を考えてもらうためのコミュニケーションをきちんと行うこ
  と。
  「パワハラ」はその逆。しかも相手に感情的な怒りをぶつけること。
  と、私は解釈していますし、社内のコンプライアンスやメンタルヘルス研修の講師としても同じように説明しています。

  ところが、
  今回問題にしている記事には一切そんな解説もないのです。非常に片手落ちに、怒鳴った社員を問題にしています。

  また、驚いたのは、対策として、怒鳴った理由を聞くことは、まあいいとしても、
  自分自身の後輩指導の成功例、失敗例を怒鳴った本人に教えること、そして、コーチングの本を彼の机にさりげなく
  置いておく。と書いてあったのです。

  失敗例はまだしも、成功例を伝えても、指導する側(怒鳴った方)も、指導される側(怒鳴られた方)もそのケースとは
  違う人間です。
  仮に相手を人格的に否定するような怒鳴り方をするような方は、自分なりの指導法 (怒鳴って、しごいて、仕事を覚え
  させる)が確立された方です。人の成功例になんて耳は貸さないでしょう。保証しますよ。

  また、コーチング手法の社内普及は私も宗教のように自社内でやっていましたが、
  「人の話をきちんと聞いた上で相手に自分で考えさせて相手の行動を促がす」という コーチングのスタイルは、人を
  頭ごなしに怒鳴るような方には、真逆であり、決して受け入れられない指導スタイルなのです。

  コーチング手法を指導法としてスムーズに実践出来る方は、もともと人の話を聞く素養のある方のみです。
  また、色々な指導法を学ぼうという意志のある方でもなければ、HOW TO本を置いておいたってしょうがないでしょう。

  こんな馬鹿な、怒鳴った方への指導法を記事として、お金を出して総務・人事の専門誌を購入している企業の担当者
  に読ませる出版社にも、執筆者(社会保険労務士の方ですが)の方にも、私としては相当、頭でっかちなのだろうなあ
  と、びっくり仰天したわけです。








Column269   2008/10/27up               


 
■ 反感を買う言葉

  2ヶ月ほど前の日経新聞を整理していたら面白い記事がありました。
  夫の子育てを促がそうとして反感を買った言葉。専業主婦へのアンケート結果です。

  「○○さんの旦那さんはよく手伝うらしい。」
  「やるって言ったよね。」
  「いい加減にして」
  「私も大変なの」
  「別れるわよ」
  「今はこういう時代」

  「○○さんの旦那」「今の時代」はどちらも人を引き合いに出して比べる言葉です。
  人と比べられても、自分は自分。いい気分ではないでしょう。

  「やる」と言ったとしても、出来ないのだから仕方ない、それに「私も大変」と言われても、自分には仕事だってあるの
  に無理言うな。そんな思いも生まれます。逃げ場のない責め方で追求されても、じゃあやろうかという気にはなりませ
  んよ。

  「いい加減にして」「別れる」・・マジギレ、最後通告ですね。 おどしが聞かない相手には、どうぞ。と言われるでしょう。

  逆に、子育てを手伝ってもらうのに効果的だった言葉は、
  「ありがとう」
  「子供がうれしそう」
  「助かるわ」
  「さすが」
  「仕事も大変なのに頑張っている」
  「頼りにしてる」

  誉めてやる気にさせる。これはコーチング的には、「承認のスキル」です。
  夫婦なら「ありがとう。」で十分ですが、親子や先輩後輩の関係であれば、どちらかというと、「誉める」というより、
  うまくできたら「うまく出来たね」とか、「今回はここまで出来たね」と、成長や進捗を客観的にフィードバックすると、
  相手は自分の成長を実感し、さらなるやる気を起こすのです。

  「仕事も大変なのに頑張っている」も同じように、お世辞というより、事実のフィードバックとしての効果が大きいの
  です。

  しかも、私は嬉しい。子供は嬉しい。
  I や We での表現は、
  相手の行動の結果がどうなったかを、お世辞ではなく、客観性に示す効果があり、「承認」の基本中の基本のス
  キルなのですよ。つまりはコミュニケーションの基本です。

  知ってか、知らずか、コミュニケーションの基本に沿った言葉が夫のやる気を引き出した。
  そんな感じですね。








Column268   2008/10/26 up             


 
■ 教育投資の集中って難しい

  すべての若手社員、新入社員を一人前の戦力に育てあげたい。企業としては、選抜して雇ったからには、そう考えるのは
  当然だと思いますが、実際には、どんなに教育して育てようとしても、十分なレベルには到達しない方々はいます。

  一流企業であれば、その割合は少ないかもしれませんが、人気業種でも大企業でもなく、採用に苦労する企業であれば、
  その割合は結構高いかもしれません。

  それが、理由かどうか判りわかりませんが、産業能率大学が実施した調査によると、調査を行った従業員300人以上の
  企業の4割が社員を選抜して次世代リーダー教育を受けさせているそうです。 実施予定も含めれば、6割以上です。す
  ごい割合ですね。

  人、物、金という企業にとっての三大資源を効率的に活用するという観点からすれば、教育投資を将来の可能性のある限
  られた人員に集中するのは致し方ないとは思いますし、パレトの20 : 80の法則( ≒2割が全体を動かしている。2割を
  強化すれば全体を改善する原動力になる。) にも合致します。

  まあ、一般的な教育ということではなく、幹部候補生教育という意味合いでもあるでしょう。
  でも、同世代の社員の中から何%くらいを選抜するのかは、企業によっても違うのでしょうけど、選ばれなかった方々
  は、どう考えるのでしょうかねえ。

  君はもういいんだよと言われたような気になったりして、それでもモチベーションを維持出来るのかな。
  という気がします。

  もっと気になるのは、その選び方、どうやって選んだとしても、その基準に漏れて選ばれなかった方々の中に、輝く原石は
  無かったと本当に言い切れるのでしょうかねえ。
  表面上だけうまく立ち回る方、試験の成績だけ良い方って世の中に大勢いませんか?

  実をいうと、人事担当として、社内の方々に費用のかかる外部研修を受けてもらう時に悩むことがあります。たとえば、人
  事指定のセミナーを、A君は受けさせて、B君は受けさせないというわけにはいかないのです。

  入社○○年から○○年の階層の方に受けてもらう、 とか、○○業務担当の方に受けてもらうという、階層別や職能別の
  切口は可能ですが、本人の能力に応じて、A君とB君を区別するには、客観的な基準が必要となります。 A君は成績が
  良くて、B君は成績が悪いなんて基準は公表しずらいのです。

  となれば、6人にセミナーを受講させたいところ、10人に案内を出すなんてことにもなり、 教育費用が6割増しなんて
  ことにもなるのです。

  その結果、10人全員が、セミナーを受講し、なんらかの知識向上や能力UPにつながっていればいいのですが、受講者
  にアンケートを取れば、時間が無駄だったなんていう方も実際にいるのです。

  であれば、10人全員のレベルにあったセミナーを受講してもらい、10人全員がモチベーション向上につながった、
  という線で手を打つしかありません。もっと、伸びるはずの6人には物足りないかもしれませんが、致し方ありません。

  実のところ解決策として、希望者がもう一つ上のレベルのセミナーを自主的に受講できる制度を作ったのですが、自主
  的に受ける方ってめったにいないのですよねえ。いても、せっかくの権利だから使わなくっちゃという方が受けちゃっ
  たり。

  教育投資の集中。難しいですよ。








Column267   2008/10/23 up             


 
■ コミュニケーションの垣根

  米国のドラマや映画を見ていると、小部屋にいる職場の上司(ボス)に報告をするために扉をノックをするシー
  ンを頻繁に見かけます。それがガラス張りの部屋だったりすることもありますが、部門の責任者は小部屋を与
  えられるのが米国企業や官公庁の常識なのでしょうかねえ?

  以前読んだ、「アイデアの作り方」という書物には、新任早々の広告代理店の社長が、 社員とのコミュニケー
  ションを図る方法として、まずはじめに自分の個室のドアを取っ払ったというエピソードが載っていました。
  そう、社員ともっとコミュニケーションをしたいと思うのなら、たとえ重役であっても、ドアどころか部屋を出て、
  社員と区切られていない同じスペースにデスクをおくべきなのでしょう。

  普通に考えるとそんな当たり前なことが素晴らしいエピソードとしてアイデアの本に載るくらいですから、米国
  では一般的に、仕事に関しては、コミュニケーションより、こそこそと部屋の中でする作業を重視しているのだ
  と思えてしまいます。
  きっと、日本にだってまだまだ、そんな企業は多いのでしょう。

  部門の責任者たる者、内緒の打合せやヒソヒソと電話をする為の部屋が必要。
  そんな考えもあるかもしれませんが、 であれば、必要に応じて使用出来る小部屋を用意しておけばいいので
  あって、 社員とのコミュニケーションを活性化する為に、社員との間に垣根も壁もないオープンなスペースを
  作りたいのなら、逆に自分自身の行動も、社員から見られることを恐れてはいけないのだと思います。

  実のところ、部門どうしの境界を明確にする為に、たとえ同じフロアーにいる部門であっても、キャビネットや書
  棚によって、垣根を作ってしまうことがありますが、この垣根は即ち、コミュニケーションの垣根だと理解するべ
  きです。

  心理学的には、 同じテーブルに向かい合った二人の間に、コーヒーのカップや、灰皿を置くだけでも、コミュニ
  ケーションを阻害する心理的垣根となりえるのです。

  私の勤務先では、部門長が個室を持たないだけでなく、社員は、役員室にもほぼ自由に出入り出来るし、社長
  も個室には入っていません。とはいえ、それだけでコミュニケーションが活発になるわけではありません。

  偉い方々も、社員が仕事をしている間を歩きながら、会話をしていくことが必要なのだと思います。もちろん、社
  員が大勢いればそれも難しいでしょうが。コミュニケーションの垣根を無くすためにはそれなりの努力が必要だ
  と理解するべきなのです。








Column266   2008/10/21 up             


 
■ 効果的なコミュニケーション

  最近、「「明日は休みます。」なんてメールを上司に送りつけるだけで連絡を済ます方がいて困る。」というような
  話を時々耳にしますが、そこまでひどくないにしても、メールや報告書の送付だけで意志疎通を図ろうとする方
  を見かけるのは確かです。

  もちろん、良く知った仲の間での急ぎの連絡はそれで十分でしょう。
  仕事の場面であっても、とりあえずはそれで事足りることはよくあります。

  でも、全てをメールで済まそうというのは、やっぱりいただけません。
  そこで、今回は、直接面と向かって話すことの重要性を理論的に考えてみます。

  皆さんは、「メラビアンの法則」というのをご存知ですか?
  コミュニケーションにおいて、人に伝えたいことが伝わる割合は、言葉が7%、声 (口調・トーン)が38%、ジェス
  チャー(表情・身振り)が55%という法則なのですが、これはアメリカの心理学者アルバート・メラビアンの実証
  的研究結果によるものなのです。

  つまり、相手からすれば、目で55%、耳で38%、言語そのもので7%の理解をしていることになります。

  そう、あなたが、相手と面と向かって話していても、言葉そのものが理解されるのは、伝わること全体を100とす
  ると、その7%。

  決して、話した言葉の7%しか伝わらないとという意味ではないのですが、あなたの伝えようとしていることは、主
  に身振り手振りや、あなたのしゃべり方、イントネーション。時には視線や雰囲気によって、相手に伝わっている
  ということです。

  実際、同じセリフを言うにしても、ニッコリ笑って言うのと、冷たくにらんで言うのでは、相手の受止め方も違いう
  でしょう。

  例えば、「忙しいから後にして。」なんてセリフを言う場合、 表情やイントネーションの差によって、「あなた何か
  に構っていられない。」と「ちょっと待ってね。」ほどの違いが生まれてしまうはずです。

  もし、メールだけで済まそうとして、下手に誤解されれば、炎上しちゃう事態だってもありえます。
  相手に正しく自分の意志、思いを伝えようとするなら、表情や身振り手振りにあたる部分をうまく表現しなくては
  ならないのです。

  えっ、絵文字。・・・そうですねえ、親しい間柄なら、それも1つの手段かもしれません。
  でも、職場で、主にビジネスのみの付き合いの方に、絵文字を送るわけにもいきませんしねえ。

  「書類の締め切りもうちょっと待って下さい。(^_^;) 」 ( ⇒ 申し訳ないですねえ。)
  「わかりました。来週でいいですよ。(^o^;)」 ( ⇒ まあいいよ、多少余裕あるし。)

     なんて ⇒ のように受け止めてくれるのも仲間うちだからでしょ。

  まあ、話を戻すと、相手と、面と向かわないということは、あなたの意志を7%しか伝えようとしていないこと、
   そんな程度の意思疎通でコミュニケーションを済まそうとしていることです。

  つまりはコミュニケーションを軽んじている人間だと、相手に受取られても仕方ないのです。

  そして、「何だかいつも、人に、自分の思いや考えがきちんと伝わらない。」 なんて思う方。
  きちんと伝えたいと思うことがあるのなら、身振り手振り、イントネーションをうまく使う練習をしてみて下さい。

  例えば、上から見下ろして話すのと、下から見上げて話すという違いだけでも、命令口調、お願い口調の使い分
  けが出来ます。
  何も実際に、人の下から見上げなくたって、あなたの顔の上下ひとつでそんな使い分けは可能なのですよ。

  コミュニケーションの奥深さ。 是非、色々試してみて下さい。








Column265    2008/10/20 up             


 
■ 反対意見を否定しない大切さ

  実は、先日、社内のコンプライアンス研修の講師をしました。
  社員の方々全般に関係する法令や社内の規則について、色々と条文の解説をしたのですが、実のところ伝えたか
  ったのは、細かな条文ではありませんでした。

  何故なら、法律や規則の条文を全部覚えてもらうことは、不可能。チェックリストを作って配ったのですが、それだ
  って、代表的な事例に過ぎません。

  もちろん、法律は、知らなかったでは許してくれないものですが、まず、大事なのは、色々なルールの本質を自分
  から理解して守ろうという思いを持って欲しかったのです。
  そんな気持ちがあってこそ、不正の芽を断てる。そんな気持ちです。

  また、更に大事だと思うことは、「反対意見が出た時に、それを頭ごなしに否定しない。」 という姿勢なのではない
  かとも思っています。

  たとえば、赤信号は渡らないという簡単なルール。しかも法律です。
  あなたは、一人だと渡らないかもしれないけど、上司や先輩が渡ってしまえばついていくかもしれません。
  そんな大袈裟なと思うかもしれませんが、信号は判り易いたとえであり、あなたの仕事で身近な法律を思い出して
  みてください。

  コンプライアンス的に考えれば、上司や先輩が自然に法律を犯した時、あなたはそれに従うのか、拒むのかという
  判断を迫られるわけです。

  つまりは、
  自然な疑問や反対意見として、「法律違反ですから、従えません。」と言うあなたに対して、
  「いいから、ついて来い。」 と、反対意見を抑えてしまう上司や先輩であってはいけないということです。

  疑問に思うことはどうどうと口に出して言える。仕事上の階級や仕事の経験が上だからといって、それを頭ごなし
  に否定したり、議論に蓋をしたりせずに、お互いの主張をきちんと確認し合う。
  そんなコミュニケーションが出来れば、不正や不正隠しなんて減ってくるのですけどねえ。


  ****
  実は、もう1つ大事だと思うことがあります。自分達の考えが常識かどうか、常に疑うことです。

  内輪だけのルールは、その輪の中では普通に思えても、輪の外側から見れば、滑稽だったり、時には社会のル
  ール、法律に反していることもある。ということです。

  何故なら、同じような仕事や生活を長く経験してきた者同士は、自分達の考え方の方向性や道徳観が似かよっ
  てくるのです。さらには他の方々との交流が少なかったりすると、自分達の考え方が世の中の主流だと錯覚して
  しまう傾向にあるようです。

  「普通そう思うよね。」の普通は仲間内の間だけの「普通」だと、あえて意識しながら物事を判断しなければ、適
  正な判断は出来ないということです。

  そんな気持ちを込めて講師を行ったのですが、真意は伝わったかなあ。








Column264    2008/10/18up             


 
■ 若手社員のモチベーション

  最近、「若手社員が3年で辞める理由」等、新入社員の離職の多さを問題とした書物や雑誌記事が多いですが、大
  抵の書物・記事では、そこにある問題を、「報酬」ではなく、職場や仕事そのものに、仕事の「やりがい」とか、仕事を
  通じて「成長する実感」とかが欠如していることに原因があると捉えています。

  言うなれば、この会社にこのままいても、時間の無駄という若手社員達の思いにつながってしまっているのでしょう。
  そうなればモチベーションは下がりまくります。今時転職くらい考えても全然不思議じゃないですよね。
  だって、まだまだ若い社員なんですから。「能力もないくせに、自分を試してみたいとか言うな。」なんて言ったって
  無駄です。

  実は私の勤務先でも、転職の道を選ぶ若手社員はポツポツいます。

  営業マンになってバリバリやりたいと望む若手社員はいますが、業種や部門別の採用をしているわけではないので、
  望み通りの部署に配属されるわけでもないし、古い企業なので、入社1、2年の社員がいきなり仕事を任されたりも
  しません。

  そもそも、入社1、2年めの社員にそんな能力も実力、知識も経験もないでしょう。

  だからこそ、ちゃんと成長してもらいたいという思いで、社内の色々な仕事を経験してもらうのですけど。
  きっと、本人の思いとは裏腹なのでしょうね。

  とはいえ会社側にとって、若手社員に対し、仕事のやりがいや、成長の実感を与えることは決して困難なことではな
  いはずなのですが、実態としてうまくいきません。何故なのでしょう?

  原因を想像しながら、しばらく身近な部署を観察してみると、そもそも、先輩社員がバリバリ仕事をしていないし、成
  長しているようにも見えません。若手社員に仕事を系統立ててきちんと教えている先輩もいない。
  若手社員の目には、「なんだか、やりがいを持てそうな職場ではないなあ。」と映っているのだろうと思えてきました。

  しかし、自分の経験の中で仕事の進め方を見つけたような先輩社員達は、自分のノウハウを系統立てて後輩に教
  えるなんてことは中々うまくは出来ないし、実際、「背中を見て覚えてくれ。」なんて真面目に言っている方もいます。

  新入社員の指導計画を出してもらっても、鼻をかんで捨てたくなるようなどうしようもない計画を出してくる先輩だって
  決して少なくありません。何の要素をいつまでに教えるかというある意味工程表的な計画書なのですが、残念ながら、
  具体的に教える要素が全く書いていなかったりもします。
  例えば、「得意先同行」とか「伝票チェック」とか書いてあったりするのですが、それは教えるべき要素ではなく、何か
  を教えるための手段です。先輩社員たちはそんなことが判っていないのです。
  そもそも、自分自身の仕事や後輩指導のスタイルを時代や環境に合せて変えるということもほとんど出来てはいな
  いようです。

  彼ら先輩社員達の共通の言い分は、「人事部門でちゃんと教育してから配属してくれ。」とか、「もっと優秀な社員を
  採用してくれ。」です。ようは、お荷物の若手社員の教育を放棄して、自分の仕事に専念したいのです。
  あまりにも馬鹿げていて、開いた口が塞がりません。
  専門職種の契約社員なら、そんな話が出てもしょうがありませんが、彼ら先輩社員だって、社内で、何らかの形で育
  てられて今があるのだとは思えないのでしょうかねえ。

  まあ、なげいていても前には進めません。若手社員にやりがいと成長の実感を与える為に何かをしなければなりま
  せん。

  しかも、その為には、先輩社員自体を変える必要があります。

  しかし、先輩社員を変えると考えるその前に、どのように変えるのかという前提も必要だと思います。

  まあ、言うなれば、
  先輩社員自体にバリバリと仕事をしてもらいたい。
  先輩社員に、もっと後輩の教育に、熱心に、かつ系統立ててやってもらいたい。
  先輩社員には、後輩は、育てて、戦力にするものと思ってもらいたい。・・そんなところでしょうか。

  そんなの、本人の問題なので難しい。ハイ難しいのではありますが、何かをやってみようということで、私は、先輩社
  員にとって欲しい行動をマトリックス化してみたのです。

  まず、行動の要素を、
  @行動力、A率先性・主体性、B顧客思考、Cチームワーク、Dネットワーク、E組織感覚
  の6つの特性に分けました。

  でもって、
  入社○○年次なら、@はどういうレベルの行動、Aはどういうレベルの行動というように目標とする行動レベルを
  5段階かつ、各目標レベルを若干下回る、ほぼ達成の2段階として、10段階のマトリックスにしました。

  例えば、@行動力の8段階目(8年生)なら、
  前例や慣習のとらわれない行動、挑戦意欲の高い行動、突発事項への対処、リスクテイキングを考えた行動があ
  る程度出来る。となり。

  E組織感覚の10段階目(10年生)であれば、
  上司を積極的に補佐、組織内に影響力を持ち、広い視野で組織全体の利益を考えた行動、後輩の仕事への意欲
  を高め、成長に向けたサポートを行う。となります。

  A主体性の3段階目(3年生)であれば、
  与えられた計画に沿って進んで行動、指示命令を受けてテキパキと動く。となるのです。

  この6要素、各10段階のマトリクスについて、社員は、上司と自分とで現状どのレベルか、今年はどのレベルの行
  動を目標とするか、そのために半年間でどんな業務を担当し、どんな行動を取るかを話し合ってもらいます。

  その行動目標は、目標シートとして人事部門(つまり私のところ)に提出してもらって、半年後に検証し、評価の対
  象とするので、上司も社員もどのくらい目標に近づいているかを確認しながら仕事をすることになります。

  もちろん、机上での論理のようには、簡単にはうまくいきませんが、面談の仕方まで含めて、社内指導を実施して
  いるのです。

  とはいえ、そこまでやっても、指導をしない人は、やっぱり指導しないな。との思いもあります。
  でも、そうなれば、部下、後輩のいない仕事に変わってもらうしかありません。

  「何で、僕の部下(後輩)が異動でいなくなるの。」
  「では、あなたは部下・後輩にどんな指導をしてたのですか。」 そんな問答もしょっちゅうなのですよ。

  まあ、時代も経済も、大きく変わってますから、どうしても、自分のやり方が、変えられないという方は、とうてい
  解雇は出来ませんが、何らかの形で戦線から離脱してもらわなくてはなりません。

  若手社員が辞めるのか、変われない先輩社員が辞めるのか。  どちらかを選択しなければならないのなら、
  可能性がある若手社員を残したいものです。

  きびしい世の中です。








Column263    2008/10/11 up              


 
■ 人の強み、弱みを探る

  リーダーの役割とは?
  HOWTO本、リーダーシップ本をひも解くと、実に色々なことが書いてありますが、リーダーと言うからには、部
  門や課、チームやグループを率いており、部下やメンバーがいるわけです。
  そして概ね、そのチームを正しい方向、つまり目標とする成果に導くのが、リーダーの役割 とされております。

  もちろんリーダーのスタイルにも、
  叱咤激励して自分の指示に従わせるとか、本人をやる気にして目標に向かわせるとか、色々とあるわけです。

  課長のことをマネジャーと言ったり、リーダーと言ったりもしますが、マネジャーとリーダーの違い。 これもよく言
  われますが、ようはメンバーの仕事の管理(マネージメント)をする立場なのか、やる気を引き起こす(リード)の
  かという点が違うの
  でしょう。

  となれば、リーダーシップに求められるものは、
   @ チーム (メンバー) の目標を明確にする。
   A その目標に至る道筋を明確にする。
   B 目標達成に向けて、常に、メンバー各自のやる気を引き出す。

  というようなことになりますが、
  当然ながら、目標達成を結果として求められるわけであり、うまく行かない場合は、きちんとチームとしての敗因
  分析を行い、次回に役立てることも必要でしょう。

  さてさて、
  となれば、前述のようにリーダーのスタイルには色々あるにしても、部下やメンバーをうまく使ってチームとして
  の戦力を最大限に引き出すのもリーダーの役割でしょう。

  ところが、私の周囲にいるリーダーたちは、メンバーの指導をしようとはしません。
  どうせ無駄だよ、アイツには出来ないよ。とか、使える部下と交代させてくれないか。十中八九そう言うのです。

  でも、人には必ず、強みと弱みがあります。もちろんそれ以前に向き、不向きもあるでしょう。
  向いていない仕事で成果を上げるのは確かに難しいことです。でも、ある程度一般的な仕事であれば、メンバ
  ーの強みを活かせる部分を担当させてみて、やる気を引き出すべきだと思うのです。
  でも、そんなことをリーダー達に一生懸命説いてみても、面倒なことはしたくない。という返事が返ってくるばか
  りです。

  そもそも自分の部下・メンバーの強みなんて十分理解はしてはいないのでしょう。

  私は、部下を持ってしばらく経つ若手管理職の方で、チームワークやチームの成果が今一な方には、部下の
  行動をじっくり観察してみて下さい。とアドバイスします。

  管理職の方は、部下の仕事の成果には関心があるのは当然ですが、部下の行動そのものには興味がない場
  合が往々にしてあるのです。

  例えば、評定をさせれば、
  ○○業務を一生懸命やって成果を上げている。
  中々成果につながる行動が出来ていない。
  自分から仕事を拡大しようとしない。
  ・・・なんて一見、 部下を観察しているようなコメントが多いのですが、
  自分のチームの構成員一人一人が、何に興味を持ち、どんな能力を持っているかを正確には知らないことが
  多いのです。

  例えば、
  初めてバナナをエスキモーに、どうぞお食べ下さいとバナナを差し出しても、いきなりむしゃむしゃとは食べれ
  ないでしょう。分厚い皮が食べれるのかどうか判りませんからねえ。

  でも皮を向いてあげて、どうぞといえば、 きっと、即、食べ始めるでしょう。
  そして、バナナをおいしいと思っているのか、まずいじゃないかと思っているのかは表情を観察すれば判るは
  ずです。

  彼(エスキモー)はバナナを食べることが出来ない(能力が無い)わけでも、バナナが嫌い(不向き)なわけで
  もなく、単に食べ方を知らなかっただけです。

  仕事も同じです。
  能力が無い、向いていないは、上司やリーダーの先入観かも知れません。だからこそ、仕事をやらせてみて、
  行動をよく観察し、本人の強み弱み、向き不向きを見極めていくことがリーダーの役割なのだと私は思ってい
  ます。

  その上で、強みが活かせる仕事、向いている仕事を任せれば、本人だって成果が上って、やる気にもなるで
  しょう。

  人の強み、弱みを知る。 ・・・・ 大事なことなのです。








Column262    2008/10/7 up              


 
■ 人は怒ると、何故、脳溢血になるのか?

  TVドラマや映画でよく見かける、怒った拍子に脳溢血になって死んでしまうシーン。
  いったい、何故、怒ると死ぬなんてことが怒るのでしょう。
  これを解き明かす言葉がアドレナリン。 どうやら、人は他者から刺激を受けると、アドレナリンというホルモンが多く分
  泌されるようなのです。

  例えば、アドレナリンが体を駆け巡ったなんて表現。皆さんきっと、アドレナリンという言葉を一度くらいは聞いたこと
  がありますよね。人の体は色々なホルモンの分泌によってコントロールされているのです。

  アドレナリンやセロトニン、ドーパミン等、色々あるのですが、アドレナリンは人の体を戦闘態勢にするホルモンのよう
  で、他者から攻撃を受けたという反応や感情が脳に伝わると、アドレナリンが大量に分泌されて、人の体は各種機能
  を攻撃&防御のモードに調節していまうのです。

  どう、攻撃&防御体制になるかというと、
    各部の反射神経が高まる。・・・攻撃&防御が俊敏になるわけです。
    痛みを感じにくくなる。・・・闘い続ける為に、ちょっと位の傷では痛みを感じません。
    内臓の機能が低下する。・・・戦闘に機能を集中するため、ダメージを減らすためです。

  そして、そして、なんと、
    血が凝固しやすくなる。・・・当然ながら怪我をした時に出血を抑えるためです。

  アドレナリンの分泌によるこの機能が、毛細血管を詰まらせやすくするわけなのです。
  つまり、怒りすぎると、脳溢血が起きるという人の体のメカニズムは、攻撃を受けると、体が戦闘態勢になるというメ
  カニズムのせいなのでした。

  もともと、コレステロール値が高いような方や、年齢が高く血管の柔軟性が低下している方は、あまり怒らないほう
  が身の為なのです。 感情を冷静に保る努力を怠れば、文字通り毛細血管がキレてしまいかねません。

  でも、各種ホルモンが体に与える機能は、他にもわんさかとあります。
  健康の為、ホルモンのコントロール。考えてみて下さい。








Column261    2008/9/28 up             


 
■ トップダウンがモチベーションに与える影響

  「営業部門の役割は何か、どんな計画で業績を上げるのか?」
  「開発部門の使命は何か、何を生み出していくつもりか?」

  民間企業の管理職であれば、日々そんな言葉で、自らのミッションをどう認識しているかとか、どのくらいやる気が
  あるのかということを問われていることでしょう。

  しかし、現実の問題としては、
  口にした目標をいついつまでに達成すればボーナスは給与1年分、達成しなければボーナスゼロという制度が有り
  でもして、よほど業績に対する報酬が明確でないと、頑張った場合と、頑張らなかった場合の報酬の差はそんなに
  大きくないのです。

  もう少し付け加えるなら、大方の企業の成長は滞っている上、法改正による定年延長制度や再雇用制度の導入に
  より、頑張った社員へ与えるべき報酬やポストにも限りがあり、 よほどの成長企業でない限り、成果に対する十分
  な報酬が見込めない世の中なのです。

  つまりは、当の管理職本人が、 口では、あれをやります、これを達成しますと言ったところで、コミットメント(宣言)
  とまで言えるほどの効果を産み出す原動力もなく、誰もがめざましい成果を上げるなんてことは起こりません。

  それが昨今、言われつづけている、成果主義の構造的弱点です。

  ****
  まあ、見方を変えて、イタリアの経済学者ヴィルフレード・パレートの法則(20:80の法則)に従うなら、20%のエ
  ースが、会社の成果のほとんどを叩き出しているという理屈が成り立つので、+αの報酬をもらう資格があるのは
  20%の社員のみ、ということになります。

  となれば、そもそも成果主義というのは、一部の社員の為のもの。
  その他80%の社員は頑張る気なんか起きないでしょう。

  ****
  とはいえ、それでも、くじけずに頑張っている社員が皆無というわけでもありません。
  たとえば、上位20%には入らなくても、まあ、上位30%〜40%位には入る方々。
  しかも年齢的には、+αの報酬や地位ではなく、自分自身の成長に目がいく層の方々。

  彼らは、具体的な報酬を目標として成果を上げているわけではなく、「頑張ってくれて助かったよ」とか、「君のお陰
  だよ」と言われることに、やり甲斐や、自分の成長を感じている、文字通り「成長株」の年齢層です。

  しかし、彼らだって、もう少し年齢が高くなれば、明確な報酬がないことを理由に、モチベーション下げてしまうかも
  しれません。

  しかも、残念なことに、世の中は、
  「頑張ってくれて助かったよ」とか、「君のお陰だよ」と言ってくれる上司ばかりではありません。

  ****
  まあ、そんな不満を、
  目標達成により、自分自身の成長を確認できることで我慢出来たとしても、昨今思うのは、梯子をかけておいて、
  梯子を取り去る方々の多いこと多いこと。

  つまりは、経営陣や上層部、そしてあなたの上司の方々が、こんなことやってくれと口では言っておいて、具体的
  には応援してくれないという現象です。時には、何でそんな計画を立てたのかと怒られてしまいます。
  若手社員だったら、あんたが承認したんでしょ。っと、まじめに言い返えすところでしょうね。

  そんな不満を耳にすることが、結構多いこの頃なのです。
  皆様の周りでも、日常茶飯事なのではないでしょうか。

  例えば私も、会社の将来の安定に目指して、社内の管理職のリーダーシップ強化や、法務知識強化やらを提案
  し、上司やTOPの承認のもと、あれやこれや努力しています。
  ・・・コーチングの導入もその1つ。
  でも、経年の努力によっても、中々、具体的な成果が出るものではありません。
  ましてや、成果を数字で示すとなると難しい。

  そんな時、多くの方々は、
  「中々効果の出ることではないが、会社として必要なので、各部門でも協力してくれ」とは中々言ってはくれませ
  ん。

  それどころか、「どうして数字で結果を示せないのか」と私を責めるのが普通です。

  世の中には、数字で明確の示せる定数効果ばかりではなく、傾向値やアンケート結果でのみ示せるような定性
  効果もあるくらい、皆さん当然知っているのに、部門の活動を評価するような場面では、それが役目だとばかり
  についつい責めてしまうのでしょうね。

  でも、そうなれば、数字で示せない効果は確実に上がっているのにも関わらず。
  私のやっている計画に協力してくれる方も激減します。
  私は、完全に梯子をはずされた恰好になるわけです。

  そんな時、たとえば経営TOPが、幹部社員の前で私の活動を応援してくれたら全く効果が違うのに、なんて嘆
  いたり、まあ、そのように仕事の流れを仕込まなかった私が未熟だったのか。と自分を責めたりもします。
   ・・・難しい限りです。

  これからはきっと、(いや、これまでも)
  社員が自分で考えて計画したボトムアップの活動を、トップダウンで支援するような企業体制が、モチベーショ
  ンや成果にどんなに好影響を与えるかを理解している企業のみが生き残るのでしょうね。







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