過去のコラム(Column361〜400)
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Column400 2015/9/27up
■ 見えてくる違い
更新が滞っておりましたが、実は最近、社内の異動により職場が変ったのです。それだけではなく、
病気になったり、車を買い替えたり、お向かいと裏の空き家が解体工事を始めたりと、夏の終わり
以来、ここ数年来で最も忙しく、精力的な活動を強いられているのです。
でっ、前の部署に顔を出す度に、新しい部署は通勤が遠くオフィスが狭いなんてたわいのない不平
を言わせていただいておりますが、まあサラリーマンには異動がつきもので、多かれ少なかれ存在
する事業所毎の違いも、異動によってはじめて実感するわけで、今暫くは気になってしまうのでし
ょうね。実際、過去には2時間以上の通勤も経験していますが、通勤時間そのものが問題なのでは
なく、途中の込み具合や職場での立場も勘案して何時に家を出るか、何時までに到着するかが問題
だったりします。
とは言え経験上、色々な意味で居心地の良い職場というのはあるもので、通勤やオフィススペース
もないがしろには出来ないものの、私が最も大事だと思う部分、つまり問題にすべきだと思うのは
職場の活気や雰囲気、ものの言い易さ、意志の疎通のし易さ、所属員の価値観の共有などなのです。
そしてそのベースとなるのはやはりコミュニケーション。
自然と会話が生まれるオフィスレイアウトで、周囲の方々に思ったことをきちんと伝えられて、面
倒くさがらずに聞いてもらえて、それに対して前向きなフィードバックがある。
職場によってはそんなことは夢の夢・・のような状況かもしれませんが、それが既に実現できてい
る職場も世の中にはあるかもしれない。また、中には取引先まで含めて、ものが言いやすい職場も
あるかもしれない。よね。
皆がパソコンや書類、もしくは機械に向って黙々と働き、就業時間が終われば、個人の時間に戻る
為にさっさといなくなる職場と、時には就業時間中に仕事以外の会話をしながらも、職場の同僚の
考え方が分かっていて、業務の方向性が共有できているような職場とどちらがいいかと言えば、答
えは不要ですよね。
でも、上辺だけでない、職場の本質的違いに気づく機会ってあまりないですよね。
隣の芝生は良く見えるとは良く言ったもので、同期社員のいる職場や、友人のいる企業の上辺だけ
の話を聞いてうらやましいと思ったりしたことはありませんか?
仲間内の会話では大概の方は、ある意味謙遜も含めて(自慢したくないので)、自分の職場や上司
の悪口を大げさに語ったりしますが、話を聞いたほうは、どこにでもある不平は聞き流し、話の中
に垣間見える友人の職場の良い部分を、上辺だけ聞いてうらやましがったりします。
まあ、本質的にどんな違いがあって、どんな良い部分があって、どうすれば自分の職場がそれに近
づけるのかと考える方は中々いないですよね。ふつう。
あっ、ふつうって言葉は、何人中、何人がそう思うのかと追求すると、根拠のない一般化でしかな
いことが多く、あまり好きな言葉ではないのですが、本日の話の流れではしっくりくるので、使っ
てみました。私の周りではそんな発言は一度も聞いたことないくらいのイメージです。
話を元(どこが元なのかも曖昧ですが)に戻しますと、職場の居心地の良さのKEYはコミュニケ
ーションであると確信する私は、新しい職場でも色々試していこうと思っています。
そう、前向きに。
Column399 2015/7/3up
■ スキルより「想い」が大切
先日、とある研修に参加したところ、講師の方から社員の育成、活用にはコミュニケーシが重要との
説明がありました。講義内容の詳細は端折りますが、まあ最近よく見かけるような講義内容です。
私がこのHPを作成する切っ掛けになったのと同じようなエピソードの紹介もありました。私のケー
スで言うなら、12年ほど前、出向先社内の役職層の方々全員に部下と十分なコミュニケーションが
出来ているかとアンケートをとったところ、ほとんどの方が十分出来ていると回答したのに対し、そ
の上司の部下の方々に上司と十分コミュニケーション出来ているかと質問するとほぼ全員がNOと回
答したのです。予想はしていましたが上司・部下の想いの乖離に驚きました。
そして11年前、このHPを立ち上げた頃にはコーチングなんて誰も知らなかったのに、今では多く
の方がコーチングやコミュニケーションの効用や重要性を謳っています。
でもでも、世の中の上司と部下の関係は10年以上経ってもほとんど変わっていないように思います。
今回の研修で私の隣に座った方は、私と2人で行うコミュニケーションの最中に、私の言葉を遮って
まで発言したがっていました。おいおい、何しに来たのかという感じです。
そう、コーチングに関わらず、各種スキルを知っているのと実際に効果的にそのスキルを駆使できる
こととは別のことなのです。
コミュニケーションとは雑談でも一方通行の自己主張でもなく、相手の意見をしっかり受止め、理解
し、質問し、更に理解を深めることが出来る双方向の意志の疎通なのです。
また、コミュニケーションは多くの気づきを両者にもたらします。時にはコミュニケーションによっ
て自分の考えに気づくことだってあるのです。きっとそんな機会は多いでしょう。
そしてコーチングは、双方向の対話を生み出すコミュニケーション技術(スキル)であり、意識して
スキルを使うか、自然にスキルが使えるかは個人の素養によりますが、いずれにせよ、相手と理解を
深めたいという想いがあることが効果的なコミュニケーションを行う必須条件なのです。
話を最初に戻すと。コミュニケーションに限らず、「想い」が無い方々にいくらスキルを説明しても
何にも改善しません。時間の無駄とまでは言いませんが、困難な道のりでしょうね。
周囲の方々とどんな関係を築きたいのか、何故そうなりたいのか、そして、その相手に対してどんな
興味を持ってコミュニケーションをとれるのか、考え直してみてください。
「人の性格は変えれないが、行動は変えられる。」それがコーチングの基本的な考え方でもあります。
ちなみに私は、同僚、先輩、後輩、家族、友人とのコミュニケーションに躓き、いき詰まりを感じる
時、ずばりこのHPの中にヒントを探し、見つけます。
自慢でも何でもなく、ここには私自身が既に忘れている十年以上のノウハウがあるからです。
Column398 2015/5/17up
■ 富士山のイメージが異なる
目が見えない方は富士山という言葉を聞いても、遠くから眺める映像、つまり横から見たイメージで
はなく、月のクレーターのように上から眺めるイメージを描く。週刊現代のネット記事でそんな記述
を見つけました。
些細なことではありますが、コミュニケーションという切り口で考えるとちょっとインパクトのある
記事でした。
皆さんは富士山と聞くと、おそらくは横から見た三角形の映像を思い描きませんか?
まあ、多くの方がそうだと勝手に仮定しますが、あきらかにそうではない方々がいらっしゃるわけで
す。我々が思い描く富士山やその他の山の三角形のイメージは実際に山を見たことがあるからこそ描
くイメージなのです。
生まれつき目が見えない方は、実際の山はもちろん山の写真を見たこともないので、そのイメージを
描きようがないのです。でもグーグルの航空写真のようなイメージを描くというのは以外でした。
もしかしたら山以前に、土地の高さを等高線で描いているのでしょうかねえ。
育った環境などによって形成される物事の考え方のベースをコンテキストと言いますが、コンテキス
トが違うと物事の価値観や受止め方が異なってくるので、伝えようとしたことがきちんと伝わりにく
い。
コミュニケーションを考える上で常識的なこの事実も、多くの方はあまり意識してはいないでしょう。
だからこそ、意志の疎通は難しいのです。
仕事の場面で「あれどうなった?」なんて会話をしている方を見かけると、おいおい「あれ」じゃね
えだろ。と思ってしまいます。
ただでさえ、意志の疎通は難しいのに、あれや、それという表現はタブーでしょ。ね。
まあ、話す言葉が違ったり、肌の色が違いでもすればきっと自分とは考え方が違うのだろうなと思っ
て、相手にきちんと理解してもらうにはどのように伝えればいいのかななんて考えながらコミュニケ
ーションをするのでしょうけど、服装も含めて外見が自分と同じ方に対しては配慮が足りないのでし
ょうね。
富士山のイメージは誰にとっても同じというわけではない。
それを肝に銘じてコミュニケーションしますか。
ちょっと大げさですが。
Column397 2015/4/20up
■ カラーパス効果?
とある記事に書いてあったのですが、何かを意識していると、それに関する情報が色々と入ってくるこ
とをカラーバス効果(色を浴びる効果)と言うそうです。
んっ・・。このHPを見ている方はもちろん、コミュニケーションやモチベーションの活性化に興味の
ある方なら言うでしょう。それってカクテルパーティー効果って言うのじゃなかったけ。と。
ある意味常識であるカクテルパーティ効果という言葉を使わないこの「とある記事」は、私の知る限り
では極めてコミュニケーション下手と思われるお役所関連の広報誌に載っていたのです。
このお役所の主催するとある説明会に出席すると、何が言いたいのか意味不明で、眠くなるのを通り越
して、拷問のようですからねえ。
せっかくだからカラーバス効果を解説すると、例えば、今日のあなたは青が幸運を招く色だと人から言
われれば、その方はついつい青が目についてしまう。と言うような意味です。
それって、後ろを見るなと言われるとつい見てしまうのと同じであり、興味のある情報は自然と入って
くるというのとはちょっと違うような気がしませんか。つまり自分が興味が有るか無いかではなく、他
力で意識させられているのではないでしょうか。
それに対し、カクテルパーティ効果とは、騒がしいパーティ会場の中でも、自分の求めている情報は耳
に入ってくる。つまり情報のアンテナは高くかかげようという意味であり、主体は自分なのです。車を
買おうと色々調べていると、街を走る車にもついつい目がいってしまう的なことです。
そしてコーチングでは、コミュニケーションにおいては、双方向の会話を成立させるためには、相手の
興味がある話をしてきちんと会話のキャッチボールを行うことが出発点だよ。しかも、興味のあること
が何かを知るためにはしっかり相手を観察することも必要だよね。というのがこの話の落ち着き先です。
ここで終わるとつまらないので、ちょっと話の筋はずれますが、続けますね。
買わない宝くじは当たらないという言葉がありますよね。今日はついている(≒宝くじが当たる)とい
うのにも、それに向けた行動(≒宝くじを買う)があるのです。
つまり「つき」は、何にもせずとも起こってしまう単なる「運命」とは違います。
この業界(モチベーションやコミュニケーションについて語る人々)は、カクテルパーティ効果を「つ
き」や「運命」とは違う扱いをしているようですが、私は情報のアンテナを上げるのと、宝くじを買う
ようなつきを高める行動は、具体的行動をするという点で同じことではないかと思っています。
でも、実はですね。以前、ある懇親会のビンゴゲームの商品で宝くじが数枚当たって仲間と分けたので
すが、私の1枚が当たっちゃったのです。たかが2千円でしたがされど2千円。行動は伴わなかったよ
うな気もしますが、まあ懇親会に参加するという行動はあったでしょとモチベーション業界の方に言わ
れそうです。
そういえば、カラーバス効果という表現の是非はどこかにいっちゃいましたね。まあいいか。
Column396 2015/4/8up
■ まだネットなんか信じているの?
「肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ」
50年前の大河内東大総長の有名な言葉が、実はJSミルの引用だったことがネットで話題となってい
ます。石井教養学部長が今年の卒業式で明らかにしたそうですが、石井さんはネット情報を鵜呑みにす
るなという意味合いで語ったらしく、私にしてみれば、えっ、いまだにネットの情報なんか信じている
人がいるのかなってな感じです。
名前や出展を明記している情報だってあやしいのに、誰が書いたか解らない情報なんて参考程度の意味
合いしかないでしょ。私はそう思いますし、このHPだって自分の覚え+誰かが参考程度に見てくれれ
ばいいなという感じです。
たとえば、ネットで極めて正確な情報として黒いリンゴや赤いバナナが発見されたと掲載されていたと
しても、それは例外的な事象を掲載しているにすぎず、ほとんどのリンゴは赤いし、ほとんどのバナナ
は黄色いのが客観的事実です。そんなネット記事を見て、リンゴは黒いと信じる方はいないでしょう。
でもあなたが見たことがない果物に関してだったら信じてしまうかもしれません。
でも驚いたことに、私の職場の入社2年生の社員は、とある処理の根拠を私が尋ねると、ネットの記載
が根拠だと説明しました。文字通り開いた口が塞がりませんでした。
彼が参照したのはネットと言っても社内ネットなのですが、それだって結構間違いがあります。
担当部署に確認して判断基準となる規則を確認するように私が彼に指示するとキョトンとしておりまし
た。決め付けはいけませんが、卒論だってネットのコピペ(コピー&ペイスト)で作成する方がいる世
代ですからねえ。仕方ないのかもしれませんが、あまりにも幼稚です。
社内規則にしても今ではネット検索できるのですが、それだって、改定内容の更新し忘れがあります。
そういえばyahoo知恵袋にしても、少なくとも私がよく知っているようなジャンル(例えばバイク)
ではアドバイスのほとんどはいい加減な内容か、○○かもしれないという程度の内容で、たまたま事実
を知っていた私にすればアホかと思う内容も多いのです。もちろん参考になる記載もあるのですが、多
くはありません。ある時など私の質問に対し、これを見るといいよと掲載されたURLが私のHPだっ
たこともあります。おいおい解らないから聴いてるんだよってな感じです。
とは言え、多くの方は悪意があるわけではなく、誠意をもって自分の知っていることをアドバイスして
いるのです。
ネットは安易に収集できる広大な情報源ではありますが、新聞だって信じられない現在、多様な情報源、
人的情報や書物からの情報も入手して深堀し、総合的に判断すべきと思います。どうでしょう?
※ちなみにジョン・スチューアート・ミルが言った言葉は、以下の通りです。
満足した豚であるより、不満足な人間である方がよい。
満足した愚者であるより、不満足なソクラテスである方がよい。
そして、愚者や豚の意見がこれと違っていても、それは彼らがこの問題を自分の立場からしか
見ていないからである。
「肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ」かなりの意訳ですが、今だったらハラスメントかも知れま
せんね。
Column395 2015/3/28up
■ 六十にして耳順う(みみしたがう)
先日、耳順(じじゅん)という言葉をはじめて聞にしました。元プロ野球選手の古田さんの講演会での
話しです。
その昔監督だった野村さんが就任最初のキャンプで選手を集めて言った言葉だそうです。人は中々他の
方からのアドバイスをきちんと聴けないが、きちんと聴いて実行できなければ野球選手として成長でき
ないというような意味合いで使ったようです。
この話は有名なようで古田さんが講演会ネタとして他でも語っているようです。
で、ちゃんと調べると、語源は論語。
「六十にして耳順う(みみしたがう)」のようです。
「子曰く、十五にして・・・」の一部だと言えば、きっと皆さんもどこかで聞いたことがあるでしょう。
正しくは、
子曰、
「吾十有五而志于学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲、不踰矩」。
もちろん孔子の言葉です。
十五にして学に志し
三十にして立ち
四十にして惑わず
五十にして天命を知り
六十にして耳順う(みみしたがう)
七十にして心の欲する所に従へども、矩を踰えず(のりをこえず)
更に分かりやすくするなら、
15歳で学問を志し、30歳で自立し、40歳で心の迷いがなくなり、50歳で自分の使命を知り、
60歳で人の話を素直に理解できるようになり、70歳で人の道を踏み外すことがなくなった。
というような意味です。
俺もそろそろ耳順(=60歳)だな。という使い方も出来そうな気がしますが、野村監督は選手との初
顔合わせにおいて、自己紹介もなく、ホワイトボードに「耳順」と書いて、「意味の分かるやついるか
あ」と叫んだそうなので「耳順=成長、そして結果」というような思い入れがあったのでしょうね。
情報が氾濫する今、若者はネットで集めた真偽不明の情報を鵜呑みにして、親や上司も含めた諸先輩の
話しを馬鹿にしてきちんと聴かない傾向があるようにも思いますが、今こそ、ネットだけでなく、先輩
や指導者の言葉の中の、真に大事な情報を見極めて、自分の成長に生かすことが必要だとも言えます。
ところで、20歳ではなにもないのでしょうかね。
最近の日本では、18歳から選挙権を与えようという動きもありますが、30歳くらいでないと一人前
じゃないよ・・という思いは現代に通じる気がします。
Column394 2015/3/18up
■ 気づく力
2016年4月の大学新卒採用のスケジュールは広報活動が2015年3月解禁、選考は8月からと、
昨年の採用活動よりそれぞれ3ヶ月、4ヶ月の後ろ倒しになっているようで、企業にも学生にも中々厳
しいスケジュールのようですね。まあ政府の考えは大学3年生まではしっかり勉強できる環境にしてあ
げたいということなのでしょうけど、裏目に出つつあるような気もします。
企業が求める人材について何度か取り上げてきましたが、本日もポテンシャル採用をする大手日本企業
の求める人材は何かという記事を発見しました。この手のネタは最近流行りですね。
ポテンシャルとは、直訳すれば今ある現実の能力ではなく、潜在的能力や将来の可能性ということにな
りますが、採用におけるポテンシャルとは、たぶん実務経験に順ずる知識や意欲、行動力を持っている
ことを言うのでしょうね。将来の可能性が有ると判断するための材料、基準は必要でしょうからね。
まあ、その記事では、ポテンシャル採用を行っている大手企業に共通する条件は以下の6つだとしてい
ました。
(1)チャレンジ精神
(2)チームワーク力
(3)コミュニケーション力
(4)リーダーシップ力
(5)主体的行動力
(6)グローバル素養
皆さんはどう思いますか?
自社に採用する新人の基準として適当でしょうか?
私には若干の違和感があります。
この6つの要素を一つ一つみるならば、確かに必要な能力だと思いますし、若手から中堅に育とうとし
ている社員に求めるものではあります。でも、どちらかというとこれらの要素は管理職予備軍への評価
項目に出てくるような要素、採用の為の規準ではなく昇格させようとする社員を判断する基準とでも言
えばしっくりくる要素です。
もしこの6要素を新入社員に求めるのなら、それは専門能力ではないものの、もはやポテンシャルでは
なくオールマイティの即戦力のような気がします。
だって、チャレンジ精神があってリーダーシップもある者ばかりいて、彼らが主体的に行動したらチー
ムワークなんて生まれないでしょ。例えばメンバー全員がエースの野球チームやサッカーチームなんて
考えにくいですよね。
司令塔もいれば、攻撃力のあるメンバー、防御に強いメンバーもいる。そういうのがチームでしょ。
で、実はいつものようにここまでが長い前置きです。
私が新入社員にも管理職予備軍にも求める要素があります。それは今回のタイトル「気づく力」です。
チームがどんな状態にあるか気づく
皆がどう思っているか気づく
仕事がうまくいかない可能性に気づく
自分に能力が無いこと、有ることに気づく
何とかしなければと気づく
頑張れば能力が向上することに気づく
自分が成長していることに気づく
頑張っている人に気づく
成長している人、成長していない人に気づく
いいかげんな仕事に気づく
素晴らしい仕事に気づく
自分に目標がないことに気づく
やりたいことに気づく
自分が幸せだと気づく
方向性は色々ありますが、これらの気づきに共通することは、周囲や自分自身をしっかり観察出来てい
ることが必要だということです。暑い・寒い、美味しい・不味い、痒いなど五感に関わることなら観察
もせずに気づくでしょう。でも、人は興味のないことには中々気づかないものです。
例えば、駅から会社までポストが何個あったかなんて覚えてますか。
でも、車を運転する人なら会社までに信号が何個あったかを、記憶をたどって思い出せるでしょう。
目の前を興味のあるスポーツカーが通れば覚えているけど、地味な4ドアセダンが通っても全く記憶に
はない。何なら、スポーツカーを美女やイケメンに置き換えても、電車で隣の人がやっているゲームに
置き換えても結構です。そう、人は興味のあることには気づくけれど、興味のないことには気づけない
のです。
よって、色々なことに気づくためには、色々なことに興味を持って、自然と観察している自分がいなけ
ればなりません。秘密諜報部員でもあるまいし、四六時中意識して周囲の全てを観察するのは難しいで
しょう。当然ながら行間を読むのごとく、目に見えないことだってありますし。
気づき=自然の観察眼。それが私が新入社員にも、管理職予備軍にも求める要素であり、どんな環境で
も生き残こり、時にはリーダーとしてチームを引っ張り、時にはリーダーを補佐し、よき先輩であり、
よき後輩でもあり、自分自身の成長も周囲のメンバーの育成も実現していくオールマイティの要素なの
だと思います。
Column393 2015/3/16up
■ 人の意見に左右されない
いやあ、鳩山さんにはいつもびっくりさせられますね。
常人とは考え方も行動も全く異なりますね。まさに宇宙人。
まあ、このページで政治論議をする気はないので、賛成も非難もしませんが、このような事態を知った
時、政府が言うことが正しいのか、当事者の誰かが言うことが正しいのかと判断するのに大事なことは、
マスコミも含めた誰かの意見に誘導されず「客観的」になることです。
客観的になる第一歩は立場を変えて考えてみること。
これは日常の生活や、ビジネスの場面でも同じです。
鳩山さんは一般的な西側の言論とは真逆で、クリミアでのウクライナから離脱する可否を問う選挙、ロ
シアへの編入が正しいと言っているわけですが、まあ何度かこのHPでも説明した話として、例えば、
日本政府や本土の国民からないがしろにされ米軍基地を押し付けられ続けた沖縄県民が怒って沖縄が日
本から独立すると言い出したら、我々はどう考えれば良いでしょうか。
沖縄以外の一般的な日本国民なら、沖縄は日本の一部だと考えているでしょう。
でも沖縄の方々はどう思っているのでしょうか。
立場を変えてみないと真実は見えては来ません。
また、沖縄にだって、米軍駐留反対を叫ぶ方々とは別に、米軍に守ってもらえてありがとうという運動
をしている方々がいたりもします。
アメリカの本音は北朝鮮のミサイルの射程が伸び、中国の航空戦力が増強されつつある現在、沖縄の海
兵隊を射程圏外のグアムに日本の費用で移転できればよいなというところでしょうにね。
でも、沖縄が独立して更に中国の庇護下にでも入ったらどうなるか、とまで考えるとウクライナの出来
事は他人ごとではありません。
ウクライナから見れば、クリミアの離脱は許せない、でもロシアから見ればそもそもウクライナの離脱
は許せない。ウクライナはクリミアが自国の一部と思っているし、ロシアはウクライナが自国の一部と
思っているからです。歴史的に掘り下げてみても両者の主張はきっと折り合わないでしょう。
考えようによっては鳩山さんは、堂々とロシアに味方出来ないものの北方領土交渉の糸口を失いたくな
い阿部さんの密使だったりしてなんて勘ぐったりもできます。・・まあその線はないでしょうけど。
さて、政治問題からは離れますが、日ごろ、職場の会議や仲間内の意思決定の場面で、あなたは地位の
高い方や、いつも判断の早い方、声の大きい方の意見に引きづられたり、正しいと思い込んだりするこ
とがありませんか。地位の高い方の意見や判断がいつも正しければ、企業が投資判断を誤ったり、ライ
バルに市場を奪われたりすることはないでしょう。
もしかしたら、皆の前では意見を言い出せなかったあなたの考えが正しいことだって有り得るのです。
大事なことは、意見を主張する方の、その意見の根拠を冷静に見つめることです。例えば、皆が●●と
思ってるという意見を言う方がいたら、皆って誰と誰、何人中何人と具体的に検証するののです。
また、自分が当事者の場合など、自分の感情に引きづられたり、自分の意見が正しいとの想いが前提に
立ち、冷静な判断が出来ない場合もあります。そんな時は、是非、その会議に参加している自分を外か
ら見つめているようなイメージをもって、議論の中身、本質を見つめなおしてください。
そんなこと難しいと思う方は、TVか、映画でも見ているような感じで、自分の意識を議論のフレーム
から一歩外側に追いやってみてください。客観的にも冷静にもなれるかもしれません。
保障はしませんが。
今回はかなり脱線しましたが、人の意見に左右されない冷静な判断こそが、あなたを助けることは間違
いありません。
Column392 2015/2/27up
■ プロスペクト理論
プロスペクト理論というものをご存知でしょうか?
いいかげんな解説を見つけて読むとなるほどと思えるのですが、もう少し調べようとすると、難しくてよ
く解らなくなってしまいました。プロスペクトとは期待とか見通しという意味であり、人の期待値に関す
る理論のようです。
結論からすると、確率に対する人の反応は一定ではない。というような理論のようです。まあそれだけだ
と解りにくいので調べると、実験例が幾つか出てきて、例えば価値の大きさは金額の大きさには比例しな
いということが説明できるようです。言ったとおり、ややこしくなったでしょ。
でっ、解りやすくするために実験例を紹介します。
とあるイベントに参加したのだが、
@参加御礼として必ず5万円がもらえる。
Aサイコロを振って奇数なら10万円もらえるが、偶数なら1円ももらえない。
@かAのどちらかを選べるとしたらあなたはどちらを選びますか?
@は5万円が期待値。
Aは10万円が確率2分の1で手に入る。よって計算上は5万円が期待値。
どちらも似たようなものですが、このような質問に対して多くの方は@確実な5万円を選ぶそうです。
ところがところが、
あなたが10万円の借金を抱えているとして、
@無条件で5万円を免除する。
Aサイコロを振って奇数なら借金10万円は免除する。偶数なら1円も免除しない。
この場合は、多くの方がA不確実な10万円を選ぶそうです。
借金のあるなしで価値観は変わる。
そんないいかげんな説明は一見判り易いのですが、借金はあくまで例であり、この実験が示すところは、
もう少し奥深いのです。
最初の設定ではプラス5万円が期待値。それに対して借金の設定では借金の減額、つまりマイナス5万円
が期待値なのです。
つまり、前者は10万円のプラスを50%の確率で得るよりも5万円プラスを100%得る方が価値があ
る。それに対して後者は10万円のマイナスを50%の確率で負う方が5万円のマイナスを100%負う
より価値がある。つまり、人はプラスとマイナスでは期待する価値は同じでも意思決定は異なる。
ということだと言うのです。
実のところ後者において、10万円のマイナスが50%の確率なら逆に10万円のプラスも50%の確率。
なので、あれ前者も後者も同じじゃないかと思えるのですが、実験結果では同じ金額でもプラス、マイナ
ス、つまり5万円は同じでも、得するのと、損しなくて済むのとでは期待値が異なるとも言えるのです。
うーん。解らん。
で、言い換えると、利益が2倍でもプラスの価値は2倍にならない。損害額が2倍でもマイナスの価値は
2倍にならない。ということになるようです。つまり、価値の大きさは金額の大きさには比例しないのだ
ということ。
なおさら解りませんねえ。借金を抱えた者は一攫千金を狙う。これでいいじゃないですか。ね。
Column391 2015/2/4up
■ 組織は変わり続ける
ネットでトヨタとグーグルについて、採用・教育・組織などの違いを比較する記事を発見しました。興味
深かったのでちょっと引き合いに出させていただきます。
両社の違いをひとことで言うなら、人をじっくり育てるのか、いきなり成果を求めるのかの違いのようで
す。
トヨタは過去の学生時代にどのような経験を積んだかを考慮して採用。先輩がきっちり指導するチーム型
組織の中で時間をかけて育成し、適性に合わせた配置・異動を行い、能力だけでなく人望なども含めた定
性評価をする。
一方グーグルは現に成果に繋がる能力があるかを見極めて採用、個人を尊重した意見の言いやすいフラッ
トな組織の中で仕事を通じて学び、実際に成果を上げたかどうかで評価し、だめなら退場させる。
大きな違いですね。
トヨタも一度は会社の風通しを良くする為、役職階層を減らしたフラット型組織に改革した経緯がありま
すが、現在は係長をチームリーダーとした小集団型の組織を基本としているようです。
そんな話を聞くと何だか身につまされます。
組織のフラット化は、一人のリーダーが多くのメンバーを抱えることにも繋がります。もし、リーダーに
適した人材が沢山いて、何とかチームを小分けに出来たとしても、こんどはチームが増えて、一人の部門
長の下に沢山のチームが生まれてしまいます。更に部門長適任者が大勢いて部門長も増やせて、目の行き
届く程度のチームを配下に抱えることができたとしても、こんどは部門毎の壁が増えてしまいます。大企
業によくある悩みですよね。
かつてカルロスゴーンさんはそんな組織間の壁を無くすためにクロスファンクショナルチームを作って部
門を串刺しにした意思疎通を実現し、日産をV字回復したとされていますが、皆さんの目から見て、果た
して今の日産は魅力的な製品を世の中に送り出しているように見えるのでしょうか?
身につまされると言ったのは、私の勤務先でも組織体制が変わったり、評価制度が変わったりすることが
何度もあったからです。
まあ良く言えば、企業は時代に合わせて変わり続けなければ、生き残れないということでしょうかね。
Column390 2015/1/27up
■ たとえリスクに備えても
最近、多くの企業でコンプライアンスやら個人情報保護をはじめとするリスクマネージメントが言葉とし
ては一般化してきましたが、ではきちんと職場のリスクが認識され、対応策が出来ているかというと微妙
なところです。
工場などでの作業中の事故に関するリスクアセスメントとなれば労働基準監督署が力を入れて指導をして
いますが、企業や事業所が抱えるリスク全般となれば、自ら洗い出しをして対応出来ているかどうかを考
える必要があるでしょうね。
この場合、企業活動においてどんなリスクがあるのか、発生可能性(頻度)×発生した場合の影響を考え
るとともに、リスクの発生の可能性を最小限に抑える為に何をするか、また万が一発生してしまった場合
にどのような対処をするのか、などを検討する作業が必要になってきます。
とまあ、詳しくは専門書でも見ていただくとして、私も10年ほど前、子会社にいた際は、東京海上(当
時)の方が出版した専門書を参考にこの手の作業をやり、毎年メンテナンス(リスクの再評価)をしてい
ました。
各部門からメンバーを募り、大地震、テロ、未来のビジネスモデルの変化からはじまって、情報漏えい、
客先・下請倒産、社員の疾病やベテラン社員の定年に至るまで色々なリスク事象について検討したもので
す。正にきりがないくらい。
しかししかし、実際に我々に降って沸いたのはリスクとして誰も予想もしなかったとんでもない事態でし
た。利益が好調だった出向先子会社が不調だった親会社に吸収合併されたのです。
果たしてそんなことがリスクなのか?
でも実際にそのような事態になってみると、もう歳だから今更親会社に行きたくないというベテラン社員
もいたのです。処遇の問題や担当業務の拡張など、まあ呑気にやってはいられないのは事実ですが、今更、
長年培った自分の仕事のパターンを変えたくないという方が何人もいたように思います。
そんな出来事を振り返ると、まああれこれリスクを考え、リストアップてみても、実際に起きる事態はそ
のリスト中にはなかった。文字通り想定外なことがあるわけで、皆でブレーンストーミングしようが、ベ
テランに聴こうが、起こりうる全てのリスク事象を網羅することは不可能です。
だからこそ、多くの有名企業、大企業が消えうせていったのです。
そんなだから、リスクを考える作業に飽き飽きしてしまった同僚も大勢います。
じゃあ何にもしないのか?
そういうわけにも行かないですよね。
何にもしないで後悔するより、やれることはやったけど、想いが届かなかった。
そのほうが良いのか、悪いのか?
ま、やれるところまではやってみますか。
Column389 2015/1/20up
■ イメージの効用
最近のネット記事で、成功哲学について書かれた50冊の本の中で多く取り上げられた8つの習慣という
ような記事があり、成功をイメージすることが第一位に選ばれていました。一位といっても50冊中18
冊にすぎませんけど。
その記事では、脳は現実とイメージを区別できないので強い成功イメージを持ち、それを繰り返し毎日、
紙に書くか、声に出していると脳が現実と勘違いするうんぬんと書いてありました。
このHPでも、頭の中のイメージが行動を左右するというネタを何度か取り上げ、自分の目標や夢、仕事
などの完成形の具体的なイメージを頭の中にビジョン(映像)として描くことが大切だと説明してきまし
た。
つまり、イメージは具体化する。ということです。
自転車やバイクはハンドルを切るのではなく、行きたい方向を見れば体がそれに従うとか、またF1題材
とした映画RUSHの一シーンにもあったようにレーシングドライバーはマシンに乗っていない時でもコ
ースを走る自分をイメージして操作のタイミングを体に覚えさせる等、イメージとして頭に入ってきたも
のは具体的行動につながっていくというのは事実だと思います。
そして、俺には出来るんだと日々念じてみたり、実際声に出すことも自らの意識を高め、目標に近づく第
一歩だと私も思います。
また、偽薬効果とかプラシーボ効果というのを聞いたことはありますか?
水を薬だと信じて飲んだら実際に治療効果があったとか、上司から君は優秀だと言われ続けたら本当に成
果を上げる人物になったとか。これらは心理学的事実であり、自ら信じることで体の反応や行動がそれに
応じてしまうのです。
でも、心理学者でもない私は、素人ながらも、脳が現実と勘違いするというのとはちょっと違うのではな
いかなと勝手に思っています。レーシングドライバーのイメージトレーニングのケースはある意味リハー
サルのような効果ではないかと自分なりには理解しています。練習を繰り返せば、頭ではなく体が覚える
みたいな感じです。
プラシーボ効果は、脳が勘違いする以前に本人が信じ込んでいるわけで、薬を飲んだという思いを背景に
実際に体が安定・沈静してして病が治ったり、俺は優秀なのだから冷静に行動さえすればうまくいくと信
じることで体や頭脳がきちんと反応するのではないでしょうか。つまり暗示の効果ですかね。
また、高価な品物を買うか買わないかで迷う時、店員にこれはお勧めですよとか、今じゃないと買えない
限定品ですよとか、まあ見え透いたプッシュをされると購入に踏み切ってしまうのは、その商品を買うと
いう行動がポジティブな行動なのだというイメージを強め、そのイメージが自分を後押ししてくれるのだ
と私は思っています。
世の中、一部の方々を除いて、人は中々行動には踏み切れないものです。
ポジティブなイメージを持つことだけが行動を後押しするのではなく、きちんとリハーサルしてその行動
に馴染んで落ち着くとか、自分自身が出来ると信じ込むか、誰かが背中を押してくれるか。そんな何がし
かの気持ちの後押しが必要なのではないでしょうか?
そんなことを今まで色々とこのHPには書き綴ってきたのですが、ではあなたの周囲にはそれを実践して
いる方はいますか?と聞かれれば、実のところ思い出せません。
多くの方が損している。とも言えますが、皆そんな効果があるとは信じていないのでしょうね。
やっぱりもったいないですねえ。
Column388 2015/1/14up
■ 時間軸を重視する
同じ結果を出さなければならないのなら、来週ではなく今週、そして明日ではなく今日やったほ
うが良い。私が自分のグループのメンバーに何度も何度も伝えていることです。
結局最後は同じことをやらなければならないのに、何度も催促されてやっと完了しているようで
は上司に「やっと出来たのか。」と不満げに受け止められることは必至です。
でも指示されてすぐ、もしくは指示されたときには既に完了していたならば、「早いね。」とか、
「自分から気づいてやってくれたんだ。」と褒められるし、その仕事は成果として気に留められ
るでしょう。つまり、作業的には同じなのに結果は大違い。
物事には優先順位があり、仕事を進める上でも優先順位をしっかり見極めてから進めることが大
事なのは当たり前。でも、優先順位を見極められない方って結構いるのです。
一言で片付ければ感性の問題ということになるのですが、そんな方だって、例えば自分が通信販
売で注文した商品が翌日の午前中には届くのと、1週間もかかってやっと届くのでは喜びも有り
がたみも大きく違うということはきっと理解してくれるでしょう。
実はこれ、仕事への感性の不足というよりは、上司や仕事の発注者が何を優先しているのか、ど
うなれば満足するのかを理解、把握する気づきや観察力の不足が原因なのだと私は思っています。
上司が何度も催促するのは、急いでいるからだけではなく、その仕事が前に進んでいるのかどう
かが心配だからという側面もあります。どうしても忙しくて、あなたにはその仕事を完了させて
いる暇がないという場合だって、仕事の方向性くらいは早めに考えて上司に報告しておけば、上
司だって安心出来て、何度も催促したりはしないでしょう。
仕事の優先順位を見極められない方はきっと、自分自身を中心に仕事を考えているのでしょうね。
例えば、仕事を依頼した方をお客様だと考えると、あなたはお客様のニーズを把握できないやつ。
もしくはお客様のニーズを把握しなければいけないのだということを理解していないやつ。と言
うことになります。
言われた仕事はしっかりやったはずなのに、なんだかいつもいい顔をされないというあなた。
「後工程はお客様。」という分かりやすい言葉があります。仕事を頼んだ方は、その仕事の結果
を待って次の仕事に取り掛かる後工程の方なのかも知れませんよ。
そんな気持ちでこの仕事はいつ何時までには中間報告し、何時までに結果を出さなくてはいけな
いと「時間軸」をしっかり考えてから、仕事に取り掛かるくせをつけてみてはいかがでしょう。
納期だって仕事の出来の一部ですからね。
やってる作業は同じなのになんだか喜ばれる。そうなりましょうよ。
Column387 2014/12/24up
■ プラスアルファの効果
赤色系は意志の強さを、青色系は誠実さを、直線的模様は率直さを、曲線的模様は柔らかさを強調
する。実はネクタイの話です。
TVやネットのニュース記事を見ていると政治家の方々は妙に赤や青のネクタイが多いのに気づき
ます。おそらく政治家の皆さんは色をうまく使ってイメージ操作や交渉を少しでも有利に進めよう
としているのに違いありません。
私は、社内の昇進面接のような場面に臨む方の練習をする際、ネクタイの色についてもアドバイス
をするのですが、ほとんどの方はネクタイの色にそんな効果があることを知りません。もちろん素
晴らしいリーダシップと業績を持ち合わせた方ならネクタイや服装なんて、その企業の基準に照ら
し合わせてこざっぱりしていれば十分なのですが、もし自分が当落線上にあるとしたら、自分本来
の姿プラスアルファの効果として、意志の強さや誠実さをアピールしても損はないでしょう。逆に
営業畑や管理畑の方で、そんなことも知らない方にはマネジメントは無理とまで断言しています。
私は服装について人のことを言えた義理ではありませんが、自分が似合うと思っている服装ではな
く、家族や同僚など周囲の人が似合うと思ってくれる服装を着るべきだという話を聞いたことがあ
ります。
一人で家にこもって仕事をするような職業ならともかく、あまり深く知らない相手と交渉したり調
整したりする上で、きちんと仕事が出来る人物と思われるかどうか、約束を守れる人物と思われる
かどうかの第一歩は外見だったりしますからこの話には一理あると思います。
社外との交渉という観点に的を絞るなら、ネクタイや服装の前に、会議室での座り方、灰皿やティ
ーカップの置き方も重要なのですが、これも知らない方が多いようです。
相手にNoと言いたいなら面と向って座る。逆にYesと言わせたいなら正対しないようちょっと
ずらして座る。灰皿やカップを相手との間に配置するのも相手との意識的な壁を作る効果がありま
す。知りませんでしたか?
分かりやすい例として、あなたが男性だとして、タクシーで女性を送る際、女性が無意識のうちに
自分との間にバックを置いたら脈はありません。
まあ、話を最初に戻すと、ネクタイの色による効果も考えない方に面接の指導をするのって、遊び
たい盛りの小学生や中学生に勉強しろというのと同じくらい難しいことのように私は思っています。
Column386 2014/11/23up
■ 効率的な学習法
「帰宅後すぐに、その日に何を勉強するかを決める」 ことを習慣にすると、勉強しなさいと言われなくても自分
から勉強するようになる子供が多いという調査結果がネットに載っていました。
ほとんどの子供は勉強しなくちゃいけないとは分かっているけど、じゃあ何をどう勉強するのか、という計画が
ないとズルズルと他のことに時間をつぶしてしまうのだそうです。
うーん。 調査結果だからうそではないのでしょうけど、 我が家の娘達がどうだったかと思い出すと、机に向か
う時間が長いかどうかは性格によるような気がします。
エビングハウスの忘却曲線 (人の記憶は20分で58%、1時間で44%、9時間で36%、1日26%まで減り、
その後はわずかしか減らない) というのをこのサイトでも紹介していますが、 暗記すれば良いようなものであ
ればこの理屈を応用して、例えば問題集で解けなかった問題を短い時間で繰り返し解き、更に翌日にも同じ
問題を繰り返し、解けなかった問題を頭に叩き込んでいくことで効率的な学習が出来るはずです。
私は国家資格取得の為の学習でこの理屈を役立て、一時は 「宅建合格虎の巻」 なるページもこのサイトに
作っていましたが、まあそんな理屈を娘に教えても興味を持ってはくれず、わが道を行くという感じでした。
職場でもそんな学習方法を紹介したことが何度もありますが、親切というよりおせっかいと思われるのがおち
なのでやめました。
学習方法については色々なHOWTO本が出ているでしょうけど、それを参考にしてうまく行ったという話は周囲
では皆無です。何故なら、人がうまく出来た方法が他の誰かに当てはまることはめったにないのです。だから
こそ、コーチングで大事なのは、「答えは相手 (本人) の中にある。」 という考え方なのです。
無理に何かを教えるのではなく、本人が上手くできた方法を思い出させ、再現させる。それがうまくできるコー
チがスポーツであってもビジネスであっても優秀なコーチなのでしょう。 きっと。
Column385 2014/11/21up
■ マネジメントは学ぶもの? 覚えるもの?
チームや企業のマネジメントに関する本って、本屋の棚にはすごく沢山並んでいるし、社会人向けの研修も色
々あります。もちろん企業内研修も色々有るのでしょうね?
で、実はふと思ったのです。米国の企業にそんな研修があるのかな・・・と。
もしくは、既に社会人になった方がそんな本を読むのかな・・・と。
まあ、訳本が日本の本屋の棚に色々有る位だから、米国にもハウツー本としてのマネジメント本はあるのでし
ょう。でも、そもそも大学院で経営学を学んだ後、新米社員から仕事を経験するのではなく、いきなりマネジャ
ーとして企業経営の一端を担う若者が米国には大勢いそうな気がするのですが、どうなのでしょうね。
外資系の企業の日本法人のまだまだ若い社長さんの経歴などに接すると、そんなイメージがどんどん強ま
ります。
よくよく考えると、判り易いイメージがありました。軍隊の将校です。新米だろうがなんだろうが、士官学校でき
っちり学んで卒業した若手将校は時には何十人もの部隊の指揮を執ります。 日本の軍隊、今の自衛隊だっ
てそうでしょう。
でも米国ではそういう文化が一般社会にも根付いているのではないでしょうか。
マネジメントの基本は組織に入って学ぶものではなく、学んでから組織に入る。
そして自らのマネジメントに磨きをかけて、一定の成果を上げてから転職・転籍しながら自らの能力も報酬も、
そして人生もレベルアップを図っていく。・・・というように。
まあ、米国のことはどうでも良いというか、単なる比較対象なのですが、我々が一生懸命、人を育てることに
力を注ぐという状況も、よーく考えると、正しいことなのかどうか自信がなくなります。
だって、これから育てるのですから、将来どう育つのかなんて最初から判るはずはありません。当たり外れが
大きいし、社員の採用はある意味博打ですよね。
でも実際に右も左もわからない学生しか入社しないのであれば、企業が育てるしかなく、つまりは上司や先輩
が若手社員に対し、知識・技能も、マネジメントやコミュニケーション術まで教育しなくてはなりませんよね。
かくして、日本的な企業はいつまでも日本的なまま、当たり外れが不明確な学生を採用し続けて、何割かの社
員は大した成果もあげず、机を暖めていくのでしょうね。
今回は結構後ろ向きな話に終始しましたが、この問題は、日本的な日本企業を景気の変動に弱い企業とし
て、さらに弱体化させるの不のスパイラルとも言えそうな気がします。
Column384 2014/11/13up
■ 時間の効果
「両面表示」 という言葉をご存知でしょうか?
心理学を応用した交渉術の一つなのですが、簡単に言えば、
「このお酒は高いけど、今しか手に入らないのですよ。」
「このプリンは賞味期限が短いけど、その分美味しいですよ。」
というように商品のメリット・デメリットを両方並べて表示すると、売上が伸びるという手法です。
この事例のように高くても売れるというのなら確かに 「両面表示」 の効果なのでしょうが、
「今なら安いよ」 とか、「放送後30分以内に限り5000円off」 とかいうだけなら 「期間限定効果」 と言ったほうが
正しいような気もします。
そういえば、先日読んだプレジデント誌のネット記事でも、最近の還付金詐欺のような事件も、人が期限を守ろう
という習性を悪用しているというようなことが書かれていました。
「3時までに手続きをしないと間に合わない。」 「今日が支払い期限です。」 みたいに期限を切られて要求をされ
ると、深く考える余裕が時間的にも無くなり、犯人の術中にはまっちゃうのだそうです。
皆さんは、オレオレ詐欺や、還付金詐欺の報道がされるたびに、何で、未だに騙される老人がいるのか? と不思
議に思っていませんか?
私もしょっちゅう不思議に思っていますが、「今日まで半額」 なんて言われたら、その商品の自分にとっての価値
を吟味する時間を奪われてしまい、ついついいらないものを買っちゃうのと全く同じ理屈で、「期間限定効果」 のな
せる技なのです。
もしあなたが、お得そうなキャッチコピーを目にすると、購買意欲を掻き立てられてしまい、中々冷静になれないよ
うでしたら「このキャッチコピーに自分の時間を奪われているのだ」 と腹を立てる習慣をつけると良いかもしれませ
んよ。
もっとも私の場合は、よくよく考えて、本当に欲しくなって翌日購入しに行くと、売り切れていたなんてことがしょっち
ゅうなんですけどねえ。 でも、言葉巧みな犯罪の場合は、期間限定効果以外にも、自分の子供を助けたいとか、
上司を名乗る方が電話を替わるとか、心の余裕を奪い、人を信じさせる巧妙なワナを幾つも仕込んであるのでしょ
うね。
ところで皆さん、子供の頃の夏休みの宿題はいつやっていましたか?
私はこの質問を勤務先の中堅社員のグループにしてみたことがあるのですが、ほとんどの方 (15人中12人位)
は、最後の1週間とか数日にやると応えました。 若干の方 (残り3人) は日々計画的にやると応えた まじめな方
だったのですが、実は質問した私は、最初の1週間で宿題をやっつけて、後は思い切り遊ぶという そのグループ
では珍しい人間だったのです。 まあ、私が一番せっかちで、宿題が終わってないとゆっくり休みを楽しめない気の
小さな人間だったということかも知れません。
ちなみに、この最後の1週間で頑張るという傾向は、「期間限定効果」 を逆手にとって、社員に締め切りを明確に
伝えることで一生懸命仕事をさせるという管理手法としても活用できるのです。
「この仕事は今週中に仕上げなければ効果が半減しちゃうよ。何とか頑張って今週中にやって欲しい!」 なんてね。
実は若手の部下に対して私は、「同じ仕事でも、指示されてすぐ仕上げるか、明日になるか、来週になるかで、依
頼者の受止め方 = 評価 は大きく変わるんだよ。」 というようなことを何度も繰り返し話し、時間の効果の大切さを
伝えようとしています。
当然仕事の優先順位を見極める目が育っていなければこんな話をしたって、うまくは立ち回れないでしょう。でも、
この話をしても私の指示した仕事をほっぽって置くような部下を、それ以降も教育していこうとは思いません。
THE ENDです。
Column383 2014/11/9up
■ 人材不足を解決するには
「社員が足りないよね。」最近どこの企業に行っても異口同音に聞こえるセリフです。
オリンピック招致決定以降の景気の上向きにより、仕事が増えた企業でも仕事が増えない企業でも、業界に関わら
ず人手不足が話題となっています。日本から働き手が国外に流出しちゃったわけでもないのに何故でしょう。
そもそも既定事実として日本の労働人口そのものが減っているようですが、なんだかその影響以上に、すごく急に
人手不足が顕在化した印象があります。
仕事(発注)が増えつつあるがそれをこなすだけの人員がいないのか?
人員数はある程度いるが能力を発揮できるレベルの方が不足しているのか?
悩みの本質は企業によっても、業界によっても違うのでしょう。
しかし概ねは、もとより各社ぎりぎりの人員で操業していたのが、団塊の世代の定年・離職が進みベテラン社員を中
心に人員不足が顕著になってきたが、今までは先行き不透明さを反映して新卒採用による補充も控えてきた。 そし
て下請け会社や期間雇用社員も仕事不足から廃業・転職が進んだ。そんなところに景気回復があり、業界によって
は仕事が増えたり、また仕事はあっても利益的には苦しかったり。
・・・IT業界なんかはちょっと違うかもしれませんが、そんなところでしょう。
実際に人材不足を感じている企業は帝国バンクの年初の調査では4割弱とのことですが、業界や企業規模によって
はもっと深刻だと想像できます。
また最近、若者に夢がなく現実的になったなんてこともよく言われます。
若干ニュアンスが異なりますが、私も、がむしゃらに働いて仕事を覚えようとする若者が減り、なんだか与えられた仕
事だけをすればいいやという雰囲気の若者が多いよう気がします。
たぶん、仕事を通じた成功を求めるのではなく、仕事と私生活を別のものとして考え、私生活を大事にする若者が増
えたのかなという感じで、まあそれはそれとして良いことなのですが、覇気がないようにも思えてしまいます。
企業としては、人数を揃える必要があるのはもちろん、質の高い人員、モチベーションの高い人員が必要。と言いた
いところでしょう。
であれば、金銭や地位などの処遇で人を引きつけるのにもに限りがある昨今の厳しい経営状況の企業でこそ、コー
チングスキルをうまく活用するべきでしょう。
人は組織の一員であることで安心を生み、ちょっとした頑張りや進捗が認められることがやりがいが芽生えます。そ
んな単純な人間心理をうまく活用し、人材を活かしていくことが人材(人財)不足を解決する効率的なマネジメントな
のだと思います。
そんな甘いことではなく、社員はしのごの言わせずうまく使え。なんて声をいまだに聞きますが、双方向のコミュニケ
ーションをベースとして相手をよ〜く観察してやりがいや能力を引き出していくコーチングと比較すると、面倒くさいこ
とをやりたくないという気持ちが管理者や年長者の側にも蔓延しているのかなと思ってしまいます。
Column382 2014/11/2up
■ 理屈だけでは組織は動かない
経営者の理屈だけで企業が動かないという意味ではありません。
組織やチームの運営に関するノウハウ本が巷には沢山ありますが、どうして皆、理屈ばかり書きたがるのかなと思
ってしまったのです。まあこのHPも理屈が満載されていますし、コーチングも理屈が多いので何をかいわんやでは
ありますが、実際、リーダーがノウハウ本通りに行動したからといってチームはそう簡単には変わりません。
例えばノウハウ本には、積極的に個々のメンバーに声をかける。メンバー個々人の適性や興味に合った仕事を与
える。チーム内で意見交換できる場を作る。・・・等々、理屈としては正しいノウハウが色々書かれています。
しかし、チームと言っても興味も性格も人それぞれ、モチベーションやチームワークを向上させると言ったって、そ
もそも誰もが仕事に生きがいを見い出したいというわけではないし、誰もが他のメンバーと仲良くしたいと思ってい
るわけではありません。自分の意見ばかり主張する者もいれば、思っていても何にも言わない者もいます。まして
個々人の適性に合った仕事のみを与えるなんて出来るはずがありませんよ。・・私はそう思います。
理屈のみで人やチームを育てることは無理だと断言しましょう。
そもそも、やりたくない仕事でもきちんとこなさなくてはならないからこそ給料がもらえて、評価されるのです。
過去何度も言っておりますが、楽しく仕事をしたいのなら会社への入場料を払っていただきたいところです。
では、どうすればチームは育つのか?
ここで私が何を言っても、それですら理屈でしかないのですが・・・・。
もし、リーダーを育てたいのなら、次席クラスのメンバーにかなりの権限を委譲して、自分の考えでチームを仕切ら
せてみる。
但し、権限委譲の範囲や、個別の業務の期日や方向性、途中報告の時期などは極めて明確に指示しておく。
ここ、暴走させないためのキモです。 任せるのと放置するのは全く違うのですから。
また、個々のメンバーを活性化したいのなら、メンバー個々人を普段からよーく観察し、好きな仕事でも嫌いな仕事
でも頑張っていたらそれに気づいていることを言葉や態度で示してあげることが必要です。
そして、些細なことでも意見がないか聞いてみる。
当然ながら自分からは意見を言わない方はいますが、大勢の前では意見を言わない方でも、時と場所さえ選べば
自分の意見や本音を言えることがほとんどです。
但し、大事なのは相手にあった時と場所。これもよーく相手を観察しないと決して分かりません。まあ、きちんと見
てもらえている。意見を聴いてくれる。そんな感情はモチベーションに直結します。
そしてそのベースとして必要なことは、チームの誰であれ、相手を一人の人間として丁寧に接することです。
・・・・これ案外出来ていないんですよね皆。
もしかしたらあなたも、イライラしているからといって、メンバーをぞんざいに扱ったり、横柄な態度をしたことはあり
ませんか。
あなたにとっては理由があることでも、相手にとっては理不尽な振舞いかもしれません。そんな方はどんなに自分
の仕事がうまく出来ても、チームの力は発揮できませんよ。
自分を見守ってくれている、必要なときは支援をしてくれる。自分はそんなチームの一員である。人を動かすのは
そんなささいな想いなのですから。
Column381 2014/10/28up
■ 一日24時間考える
「君はこのプロジェクトのことどのくらい真剣に考えているの?」
「いやあ〜・・・。」
中々、仕事の進捗が見えない部下に聞いてみましたが、返答に困っているようです。
「別に責めているわけじゃなく、仕事との関わり方を聞いてみたかっただけだよ。」そう言うと、
「何とか実現したいと本気で考えています。」との返答が返ってきました。
実際、責める気は毛頭なく、 彼のプロジェクトへの取り組み姿勢に何か問題があって前に進まないのではない
かと気にかか
っただけでした。
「真剣に」 とか 「本気で」 という言葉は結構曖昧な言葉であり、本人にしかその真意は分かりません。
まあ私の曖昧な質問に対し、彼の曖昧な返答が返ってきたというわけです。
「じゃあ、このプロジェクトのことを一日に何時間くらい考えているの?」と具体的に質問すると、
「はあ、・・そうですねえ。 う〜ん。」とまた困った様子です。
「じゃあ、勤務時間中、どれくらいの時間をこの仕事にかけているのかな?」更に具体的に質問を投げると、
「1時間〜2時間くらいですかね。」と返答がありました。
「その時以外にはどんな感じでこの仕事と関わっているのかな?」
「他の仕事をしているので、それ以外では別に関わりはないですが。」
「そうかあ。実は僕は、この仕事がどれくらい進捗しているのかをずーっと気にかけてるんだ。
他の仕事をしていても気にしているし、食事の時もだし、夢にも出てくるから時間で言えば1日24時間かな。」
「はあ」
相手は困った様子です。
「決して例え話などではなく、それほど真剣にプロジェクトの成否を気にしているということだよ。」
「・・・・」
「だから、もし君からうまく進まない理由を報告されたらどうアドバイスしようかと、具体的に何パターンも考えて
いるんだよ。でも、この仕事は君に任したのだから僕が主導権を握ることはしないと決めてるんだ。成功も失敗
も君のものだからね。」
彼は何とか実現したいの「何とか」の部分をもっともっと真剣に考えるべきで、それでこそ、このプロジェクトを実
現できるのだと私は思っています。
実際に24時間同じことばかり考えている者はいないと思うかもしれませんが、もし自分が全財産を投じて何か
事業を行おうとするとしたら、おそらく24時間寝ても醒めてもその事業のことを考えるでしょう。
自分の今後の人生が「今」の決断や行動にかかっているのですから。
繰り返しますが、私は決して彼を責めているのではなく、次はどの程度のプロジェクトを彼任せられるのかと考
えているだけなのです。
Column380 2014/10/11up
■ 社員を活かしているか?
またしてもプレジデント誌に載っていた資格取得の話が題材です。
前回は社員への資格取得奨励の話でしたが、今回は採用試験の際に資格を取得していると有利かどうかという
アンケートがネタとなりました。
細かな数字は記事を調べていただくとして、アンケートの結果、「採用で資格があることを有利」とする企業よりも
「資格取得に向けた挑戦心や努力を評価する」とした企業がかなり多く、さらに「何ともいえない」という企業がそ
れ以上に多かったようです。
すなわち、新卒採用の場合、業務に必要な資格をどんぴしゃりで持っている社員を採用する企業よりも、学生時
代に何かしらの資格取得に努力したなどの人柄・人物によって社員を採用し、入社してから教育していくという発
想の企業が多いと想像出来ます。
「なんともいえない。」の意味を私なりに想像してみると、業務に直結する資格は持っていたほうが良いが、だか
らといって即戦力というわけではなく、入社してから取ってもらっても良いし、それ以上に人物が大事ということ
ではないでしょうか?
でも、このようなアンケートは質問項目によって結果が大きく左右されています。
何かの傾向を正しく表わしているものではないように思えるので、今回もたいした意味はないなと思ってしまいま
した。
私の想像はあくまで想像であり、これも意味はないのですが、実は過去に何度かご紹介した「ビージョナリーカ
ンパニー2」という書籍が語る内容に通じるものを私は感じました。
その内容とはすなわち、かつての欧米大企業で今も生き残っている企業の共通点を調べると、事業やプロジェ
クトの方向性を決めてからその道のプロフェッショナルを集めた企業は、過去に素晴らしい業績を残していても
今は消滅している。逆に、企業やプロジェクトの方向性、事業内容を決められる優秀な人材を集めて、彼らに時
代や状況に合わせた方向性を考えさせた企業が今も大企業として生き残っている。というものです。
言い換えれば、行き先の決まったバスにその行き先を目指す乗客を乗せてしまうと、目的地や周囲の状況が変
わった時にバスは動けなくなる。自分たちでその都度行き先を決めることの出来る乗客を乗せたバスは何があ
ろうと彼らがその時点で最適と考える目的地に到達できる。・・ということです。
なんか、話が2回りも遠回りしました感がありますが、このアンケート記事から読み取るべきことは、優秀かつ適
応性があり融通がきく社員は、企業にとって、特定の資格などよりずっとずっと大切なものだということです。
・・・読み取りすぎですかね?
例えば皆さん、自分の勤務先がどんな発想で社員を採用しているのかと考えてみてください。
日本企業の多くは、「採用してから育てる」ですよね。それにしては社会や経済の状況によって急速に衰える企
業が多いです。採用してから育てても、結局、会社の方向性はTOPが決めているというのがその理由でしょう。
せっかく優秀な人材が大勢いても彼らには個別のプロジェクトを任せている程度で、人材を活かしきれていな
いのかもしれないですね。
Column379 2014/10/10up
■ 再びコンテキスト(物事の考え方の背景)に関して
先日、新聞の投稿にて、日本と中国の文化の違いを明確に伝えるものがありました。
日本で育った中国系の女性が祖父母の住む中国に葬儀の手伝いで一時的に戻った時の話です。投稿者は
中国人の両親の元、生まれてからずっと日本で暮らしており、物の見方も考え方も知らぬ間に日本的になっ
ていたようです。
ある日彼女が祖父に言いつけられた仕事をする際に何人かの親戚が手伝ってくれたそうです。彼女は当たり
前のように親戚たちに御礼を言いました。これを読んでいる皆さんが一般的な日本人であるなら、彼女の行
動は極めて自然な行為と思うでしょう。でも祖父は「御礼なんか言ったら変だからやめなさい。」と彼女に言っ
たそうです。
中国(少なくとも彼女の両親の故郷)では、身内に御礼を言う習慣はないのだそうです。 その習慣が良いか
悪いかは微妙ですが、家族はそれぞれが役割を持ち、助け合ってその役割を果たしているのでお互い様。
何かをしてくれたからといって御礼を言う習慣は無いのだと、祖父が説明してくれたそうです。
今はともかく、以前の中国ではデパートやレストランの店員がお客様に親切に笑顔で接したり、御礼を言う習
慣は無かったという話を聞きますが、その背景には家族が何かをしてくれても御礼は言わないところにあるの
だろうなと、勝手に想像してしまいました。きっとそうでしょ。
我が家ではカミさんがご飯を作ってくれたら御礼を言うし、皿洗いを手伝ったら逆に御礼を言われる。そんな
いつもの風景が距離的には近い中国では変だと思われるなんてびっくりです。たとえ変だと思われなくても、
日本的な文化の押し付けは煩わしいと思われるかもしれませんね。
中国で商売をしてたら現地の関係者に騙され資金を取られたなんて実際の話を知人から聞いたこともありま
すが、騙される方が悪い。御礼を言うのはおかしい。飛躍しますが尖閣は中国のものだ。
・・なんて開き直られる国と日本がうまく付き合うのは難しいだろうなと、何だか最近の日中間の国際的な出
来事にも納得。
でも、この投稿の話から得られる教訓は、日中間の話ではなく、 誰かときちんと意思疎通しようと思うのなら、
その方の考え方の背景(コンテキスト)にまで思いを巡らせるべきだと思います。
たとえ日本人同士だって、何だか話が通じないとか、誤解されていたということはありますよね。何かしら物
事の考え方の背景に違いがあるかもしてないと予測した上で、会話を進めないと行き違いはなくならない。
この投稿を読んでそんな気持ちを新たにしました。
Column378 2014/10/9up
■ 新しいことを学ぶ姿勢を保てるか?
会社で、若い社員を見ていると、新しい仕事を覚えたり、新しい知識を得ようと努力しており、頑張っている
なと思う者がいます。
また新任管理職でも、部下を持ちチームを動かす術(すべ)を覚えて、今まで以上に能力を発揮し、力を
つける者がいます。
どちらも、はたから見れば伸び盛り。将来が楽しみです。
でも逆に、仕事もある程度覚えて、現状に満足し、のんびり過ごしている方を社内で見かけることも少なく
ないのです。
そんな方の中には、頑張っている社員を支援せず、新しいやり方を拒否したり、評論家然としてささいな部
分に文句をつける方もいます。時には、後輩たちが一目置く仕事に必要な知識・技術やノウハウを持ち、
適度に後輩指導などもするものの、決してリーダーシップをとらず、難しい仕事にも手を出さず、もうちょっ
と頑張れば成果が上がるのにと思われる場面で何故か頑張れない方もいます。
いずれにせよ共通するのは熱意がないこと。
どんどん成長している企業でもない限り、会社のポストは限られているので、今更頑張ってもしょうがない
よな。と思う時期が来るのは致し方ないのですが、 若者や中堅が育てば育つほど、 現状に満足して伸び
悩んでしまう方は人数も増え、目立ちます。
会社側の考えは単純です。
ポストは限られているし、処遇UPにも限度がある。それにも関わらず、社員には何歳になっても更に新し
い知識を身につけ、指導力を発揮したり、チームの底力として成果に貢献して欲しい。
・・・そんなところでしょう。
でも、熱意のない方が前向きな意見を言ったり、新しい仕事への協力を買って出ることはありません。
そんな方に限って、過去の栄光を引きずっており、昔はこのやり方でうまくいったと自慢しがちですが、今
となっては過去のやり方ではうまくいかないのです。難しいところですね。
「年をとっても常に新しいことを学ぶことは社会人の義務である。」
「そのまま、成長も、指導力も頭打ちで伸び悩むなら、組織の中に居場所はなくなる。」
そんなメッセージを、相手のプライドを傷つけずに伝えられればいいのですが、中々そうもいきませんし、
おだてて頑張ってもらうのにも限界はあります。
年功序列の処遇が残る企業であれば、ポストや処遇が頭打ちだからといって、欠勤でもしない限り、給与
が現状より下がることはないでしょう。
でも上司の立場の方々は、評価の時期にはきちんと面談を行ない、中々言いにくいことではありますが、
敢えて、「何歳になっても成長していただきたいし、指導力を発揮して欲しい。それが出来ないなら、頑張
っている方々の評価を良くせざるを得ないので、相対的にあなたの評価を下げざるを得ない。
でも再び頑張ってくれれば、評価を戻すことも可能です。」そう明確に告げるしかないでしょう。
そんなストレートには言えないよ。そう思う方はそもそも管理職として失格でしょう。
頑張っている方に不公平ですから。
Column377 2014/10/7up
■ 復活を期待する減点法
人を評価する時に加点法で評価するか、減点法で評価するか。リーダーシップや部下の育成を考える際、
話題になる選択。
いわゆる人事評価上の話ではなく、自分の心の中のスコアボードにおいて人をどう捉えるかの話です。
モチベーション向上や指導法に関する文献やネット記事の多くに、加点法でその人の良いところを見つけ
て、その良い部分を更に伸ばしていくべきであると解説されています。何故なら人は褒められるとやる気
を出す生き物だからです。
またコーチングではもう一歩進んだ指導法として、褒めるほどのことではなくても、本人が一歩でも二歩で
も前進したことを客観的にフィードバックすることで、自分自身の進捗に気づき、やる気を引き出せるとして
います。
これには私も賛成ですし、実践しています。
でも中には、減点法で評価するリーダーは部下の能力を引き出せないとか、結局はチームとしての成果を
上げられないのでダメだとまで断じる記事があります。本当にそうなのでしょうか?
私が思うに、全てはケースバイケース。
世の中には褒めて伸びる者が多いのは確かです。でも、何とか良いところを見つけて褒めても結局は成果
を上げられない方や、褒めようが、賺(す)かそうがやる気を出さず、何かの計略かと穿った見方さえする方
もいます。
また叱るかどうかは別にして、本人が気づいていない間違いはきちんと指摘する必要があるし、内容によっ
ては本人に再発防止策を考えさせることも教育として必要です。それ故、プラスの部分だけでなくマイナス
の部分にも眼を向ける必要があるわけで、マイナスの部分に眼を向ければおのずと心の中のスコアボード
で減点することになるでしょう。
テレビドラマの世界では、落ちこぼれて学校中から見放された野球部員達を、彼らはダメだという先入観に
捉われない新任の先生が熱血指導で立ち直らせ、やる気とチームワークを引き出して、成果につなげると
いうストーリーを見かけますが、現実の世の中はそう簡単ではありません。
何故なら、多くの場合、「彼はダメだ」というのは先入観ではなくその時点での厳然たる真実なのです。
おそらく過去何度かのチャンスを与えられてもやる気も結果も出せず、ダメなやつだとレッテルを貼られて
しまったのでしょう。
コーチングでは「レッテル貼り」は良くないこととされていますが、これは「その方の一面だけ見て、試しもし
ないでダメだと決め付けてはいけない」という意味であり、何度試してもダメならほとんどダメなのです。
「コーチングは生ぬるい、甘やかしてもしょうがない。」そう考えてコーチング手法を嫌う方に時折出会いま
す。コーチングでは時に、部下をお客様にように丁寧に扱っているようにも見えますし、やる気のない者に
時間をかけていれば生ぬるいと思われることもあるでしょう。確かに一理あります。
でも、門戸は閉じてはいけないのです。 過去はダメだったけど、今なら出来るというケースだってあります。
失敗を繰り返した方は、それだけ賢くなっている可能性もあります。でも復活するチャンスが無かったのか
もしれません。
コーチング手法で指導する上で大切なことは相手をしっかり観察すること。
そして自分自身の考えや、能力に気づかせてあげることです。もし、自ら前進できるようならその機会を与
える。それが至れり尽くせりだというのならそうなのかもしれません。
でも、いままで減点した以上の加点で返してくれる可能性もあります。
また加点法のみで相手を見ようとする方は、失敗した時にでも、成果を上げれなかった時にでも、相手の
良い部分を探そうとするかもしれません。「今回は結果を出せなかったけど、結構いい線いったよ。」
「失敗したけどノウハウが出来たよ。」・・果たしてそれで良いのでしょうか。
「いい線行ったが、ダメはダメ。 失敗した原因をきちんと見直して、次は成功を期そう。」このほうが、モチ
ベーションを維持できませんか?
復活を期待する減点法。 あなたの指導法に加えてみませんか?
Column376 2014/9/27up
■ 残業と志 (こころざし) の関係
サラリーマンは時間で雇われているのか?・・・どうなんでしょ。
大概のサラリーマンは、年棒契約でもない限り、間違いなく雇用契約や労働協約に残業がある旨が謳われ
ているでしょう。
法律でも時間単価係数やら残業時間の上限が定められています。 当然、管理職でなければきちんと残業
手当てが支払われるはずだし、管理職だって深夜残業については手当が支払われます。
そして、純粋に時間で雇われる労働者なら生産性(時間内にどれだけ頑張ったかどうか)が評価されれば
良いわけですが、「成果 (結果)」はもちろん「行動 (プロセス)」や時には「能力」に対しても評価が行われた
り、なんだか企業によって色々評価項目があるようです。
そう考えると、業務が単純労働でない限り、時間で雇われているとは言い切れないですよね。
中には帰宅後や、休暇の時だって仕事のことを考えている方だっていると思いますし、仕事(作業)を持ち帰
るという方だっているでしょう。在宅勤務契約でもない限りそうした時間はカウントされていないでしょうしねえ。
何でそんなことが気になったかというと、ヤフーのトップ画面の経済のところに「なめている?残業代求める
若者」なる見出しがあったからです。記事を覗くと、日本生産性本部の調査によると、残業はいとはないが、
それに見合った処遇(手当)を求める若者が増加しているとのことでした。
手当てがもらえるなら残業してもよい69.4%、手当てにかかわらず仕事だから残業する23.7%という結
果だそうです。
まあ、法律上は着替える時間や体操する時間だって勤務時間だから若者の考え方がそうなるのは当然で
しょ。というのが私の最初の感想。
でもこのような若者の傾向にネット上での反発が多いとのこと。記事では法律の定めなのだからまだ仕事を
覚えていなかろうが、右も左もわからなかろうが、働かせた分は支払う義務があり、それをしなければブラッ
ク企業と言われかねないと書かれていました。
う〜ん、「今どき、企業だって法律を理解しているよ。当たり前のことだけ言ってどうしたいの?この記事。」
という後味が私には残りました。
確信犯で悪意があるブラック企業でない限り、企業は記録された時間分の残業手当はきちんと払うでしょう。
問題はその質。
だらだら残っていても仕事は進まないし。もっと早くやっておけば済む仕事を締切間際にやって残業したとか。
だからと言って本人が働いたと記録すればカットは出来ません。一人前には程遠い新米社員が能力向上の
為に時間外に指導を受ければそれだって残業手当の対象です。
正確には上司が指示していないのに残っていても残業にはなりませんが、多くの企業では、そこまで厳密
に管理は出来ていないでしょ。
思うに、問題なのは法律問題などではなく、若者がはなから時間労働者的な考えしかもてない世の中にな
ってきたということではないでしょうか?
良く言えば、仕事の時間と自分の生活を切り離してワーク・ライフバランスをきちんと考える傾向が強まった
とも考えられます。
先日の「ゆるい就職、大丈夫か?」で書いた、雇ってから教育するか、資格・能力のある者を雇うのかという
企業としての考え方にもつながる話です。雇ってから教育する形態をとっているのなら、所定時間内・外に
関わらず教育も給料の対象であり、企業側も被雇用者側もそれをきちんと理解しているでしょう。
そしておそらく、ネット上の反論の大部分は、こうした雇用形態に対する反論などではなく、若者の心構え
や志(こころざし)に対する反論です。「やる気あんのかお前( まい)ら?」 的な。
でも企業で頑張って出世しようとか、いい仕事をしたい、大きな仕事をしたい という思いを持ちにくくなった
のは企業側の責任のように思います。
景気の回復につれ、求人も増えると思いますが、企業の雇用形態はどうなっていくんでしょうね。
Column375 2014/9/25up
■ 見えている景色が違う
以前、コンテキストと言葉を紹介しました。直訳としては「文脈」、「前後関係」という意味ですが、「物事を理解する
ためのその方の考え方の背景」という意味合いもあります。
「コンテキストが異なれば、物事に対する捉え方、考え方が異なる。」というような使い方をするわけです。
まあ大雑把にいえば、日本人と米国人では物の考え方が異なるように、育った環境が違えば考え方は異なるし、
もっと細かく言えば、「一人一人経験してきた人生によって同じ状況を前にしても見える景色もそれに対する反応
も異なる。」ということになります。
でっ、コンテキストがどうしたのかと言うと、
あなたが誰かに仕事の指示をしたり、会議で何かを説明したことも、コンテキストが違えば、あなたが思っている
ままには相手に伝わらないのです。そして何度も言うように、「コミュニケーションでは、言ったことではなく、伝わ
ったことが全て」 だということ。
ちょっと位話しただけで指示や主張が相手に正しく伝わったなどとはゆめゆめ思うなよ。と言いたいだけです。
故に、どんなに色々説明しても、思ったとおりには動いてくれない同僚や部下がいるとしたら、馬鹿なやつだとか
物分かりの悪い奴だなんて思わずに、あなたとその方にはコンテキストの違いがあると考えたほうが良いのです。
会議で十分話し合ったのに、何故か実行段階でクライアントと齟齬が生じた。下請けにきちんとやってくれと言っ
たのに 自分からすれば不十分な内容だ。そんなビジネス上の不満や不一致もコンテキストの違いが原因かもし
れません。
数値化できるものはできるだけ数値化して伝える。視覚化できるものはできるだけ視覚化して伝える。
要望はできるだけ具体的に書き出す。
そんな当たり前のことができてないないだけで、物事の成果は大きく変わるのです。
まさか、床屋で「モミアゲはどうしますか?」なんて聞かれて「普通で。」「じゃあ普通にカットします。」なんて会話
で済まして、ちょっと思ったのと違うかななんていつも思っていませんか?
あなたの普通を見慣れている床屋さんならOKだし、はじめての床屋さんなら奇跡を期待するしかないですよ。
モミアゲくらい1週間もすれば伸びますが、仕事の成果に次はないかもしれませんよ。
IT関係では、コンテキストには「制限情報」という意味があるそうです。正確な意味は調べてもらうとして、まあプ
ログラミングにおける制限というような意味でしょうか。コンテキストがあなたの思考を制限している。とも言えま
す。
十人十色。世の中には全く同じ考えの人間はいないくらいに思って思考したほうが安全ですよ。
Column374 2014/9/23up
■ 女性活躍推進
日本国内でも遠からず、企業役員の女性枠ができそうな雰囲気がありますよね。
でももっと切実なのは管理職への女性登用。
いきなり強制して罰則ありなんてことにはならないでしょうけど、東京オリンピックの頃には管理職の3割程度は
女性にしようという目標を阿部さんは掲げているようです。
そもそも、そんなに対象者がいるのか。そっちのほうが問題のような気がします。・・いやあ、困った。
社員の平均年齢が若く、バリバリ働く女性が大勢いる若い企業ならともかく、歴史があって、役員も管理職も男
がほとんどという企業では、3割を女性管理職にするのは難しいですよねえ。
今どきは歴史ある企業だって、男女同権を社外に示すためにも女性登用を行っている例が多いとは思います
が、そんな企業では、真に男女同権で、女性だって優秀なら普通に試験を受けて管理職になれるのでしょうか。
おそらく、それ以前の話として、管理職への道が開けている一般職の多くは男性で、そうではない事務職のほと
んどは女性というような 入社段階での区別があるのではないでしょうか。
男女差別ではないにせよ歴前とした区別がある。そんな企業はまだまだ多い気がします。
で、今回の話題としたいのは、管理職になりたがる女性はまだまだ少ないと思えることです。
では、管理職と一般職など非管理職との違いは何か?
部下がいて責任があること。管理職手当てがあること。そして残業手当がつかないこと。だよね。
昔だったらこれに交際費が使えることなんていうのがあったかも。
責任が増大するにも関わらず、残業手当がなくなることにより、成りたての管理職なら確実に手取りは減りま
す。
しかも、若手管理職、正確にいえば最下層の管理職であれば、プレイングマネジャーとして自ら率先して、残
業もいとわず、バリバリ仕事をこなせなければ成果はあがりませんし、部下もついてきません。 部下の中に
は成果が出ない方もいれば、私的悩みがある方もいて、彼らの指導だってお悩み相談だって業務のうちです。
ワーキングマザーであれば、それに加えて子供の心配やお迎えも必須でしょう。そんなのイヤですという女性
が大勢いたって不思議ではありませんし、それが現実のように私は思います。
今どき、正規雇用の社員であれば、育児休業したって職場復帰が可能な企業がほとんどですが、実際に権利
としての育児休業をすれば業務経験が途切れます。会社は差別しないと言ったって、実態としては区別せざる
を得ないですよねえ。
社内外の関係先とのコミュニケーションをずっと維持して10年バリバリ働いた者と、それが一旦途切れて再構
築中の者、男女は関係なくどちらか一人を登用するとなったら企業はどちらを選ぶのでしょうか?それは差別
なのか区別なのか。
だからこそ、女性登用枠が必要なのかもしれませんね。でも、一歩間違えれば、企業の戦力は若干の低下を
招くのです。
イヤまあそんな現実を感じてしまうと、適度に働いて、きちんと休めて、働いた分きちっとお給料がもらえる。
そのほうが良くなっちゃうのは普通の考えです。成果を上げて適切な評価を受けることに満足する方はいても、
肩書きに魅力を感じる女性もほとんどいないですからね。
例えば、子供がいる女性管理職に地方支店のポストが空いているから行ってくれと言ったら、確実にいやがり
ますよね。企業としてはもうそこで区別するしかない。大概の男性管理職(いや管理職でなくても)に来週から
海外に赴任してくれと言われたら断りませんからねえ。
上記が私の勝手な思い込みで大きなお世話ならよいですが、決して的外れではないよと言ってくれる企業も
多いと思います。
もちろん、女性が戦力としてバリバリ働き、女性管理職候補が大勢いる企業もあるでしょう。例えばカタカナ名
の企業の多くや、厚生労働省系、図書館系などの職場では普通に職場のリーダーシップをとる女性が大勢い
そうですが、社会全体から見れば少ないでしょう。だからこそ女性枠なんて話が出るのです。
そもそも役員や管理職に女性枠を決めて登用させようと政府が考えるのは、欧米の目を気にしてのことだけ
のように思います。付け加えるならまあ労働者の不足。
そこで、思うのは女性枠を作るよりも何よりも、政府が本気で託児所の整備を進めたり、企業には所謂パート
雇用の賃金改善や正規社員のパートタイム勤務の選択肢を増やしたり、女性が働きやすい環境の整備を今
以上に促し、一歩一歩着実に女性の仕事と生活のバランスを改善していくしかないように思います。
もちろん企業側には給与費の増大など辛い部分があるかもしれません。でも社内に託児所を整備せよと言わ
れるよりはずっとましです。
しいて企業側がやるとしたら、トーマス・フリードマン(経済学者ではなくジャーナリストのほうのフリードマン)著
の「フラット化する世界」で紹介されているような、コールセンター業務や航空チケットなどの発券を在宅で行う
ような仕事の仕方を他の業種でもうまく展開できたら、自宅で育児に縛られる女性を活用でき、交通費も、事務
所費も軽減できてメリットがあるのになあ なんて思ったりもします。
こういう業務って管理職登用とは正反対のようにも思いますが、女性が求めているのは管理職の肩書きでは
な、働きやすく子育てしやすい環境だと思いますので。
長々と書きましたが、目標を決めるより前にやるべきことはたくさんあるように思う。と言いたいだけです。
Column373 2014/9/20up
■ コミュニケーションの原則
もてない方の3つの特徴とはなにか?・・・そんな記事を発見しました。
@相手が興味ない話をする。
A相手の話しを聞いていない。最後まで聞かない。
B発想がネガティブ
うーん。もてるかどうかという以前に、コミュニケーションの大原則を無視している状況ですね。
コミュニケーションはある意味キャッチボール。
まずは、相手の興味のある話題で意識を会話に向けてもらい、相手が話しているときは、口を挟まず最後
までしっかり聞く。
それがコミュニケーションのキャッチボールをよどみなく続けるコツです。
時には、相手が興味のないことをきちんと伝えることも必要ですが、きちんとキャッチボールできる関係が
確立していないと、自分の意図していることがきちんと相手に伝わらない原因にもなります。
では何故、コミュニケーションはキャッチボールでないといけないのか?
根本的な疑問を持つ方に、ちょこっと解説します。
自分と相手との間に上司・部下、先輩・後輩、親と子、サービスや商品を提供する側と顧客のようなと完全
には対等ではない関係が存在する場合、時に、上意下達で指示を伝えたり、一方通行(ONE WAY)で意
見を言ったり批判したりすることがあると思いますが、
それでは指示を受けた側、意見を言われた側、話を聞いた側の「納得感」は得られにくいのです。
誰だって、「いいから黙ってやれ!」と言われただけでは100%の能力を発揮しようとは思わないし、それ
こそ意図が十分に伝わらず、期待した結果にはなりにくいと思います。
「納得感」という言葉を使いましたが、コミュニケーションでは、相手が話したことをその意味も含めてしっか
り受け止めて理解することが必要です。まずは相手の投げたボール (言葉) をしっかりキャッチするわけ
です。
当然、口を挟んで話を中断させたり、勝手に想像した結論を話の途中で言ったりしてはいけません。
自分のボール(言葉)がその意味合いも含めて相手にしっかりキャッチされたことが判れば、しゃべった側
には、しっかり話しを聞いてもらったという「納得感」が生まれ、安心して会話が続けられます。
そして、お互いに興味のある内容であればこそ、耳を傾けることができるのです。
いつもネガティブな話ばかりでは聴くのも面倒ですしね。
そして、相手側は、しっかり聴いて理解した内容を元に質問なりアドバイスをする。それに相手が応える。
そうやってコミュニケーションのキャッチボールは進んでいきます。
そんなの当たり前じゃないか。・・・そう思う皆さん、相手の話の途中に口を挟んだことはないですか?
知っているのと実際にできるのとでは大きく異なりますよ。途中で口を挟むのは、相手の話が全く理解でき
ない時だけにして下さい。
それ(@〜B)以外にも大事なことはあります。
人の話を聴くときは、仕事の手を止めて、きちんと相手に体を向けて、若干前のめりになってください。
余所見しながら、ふんぞり返って話しを聞いているようでは、相手は話す気を失しないますよ。
そして、時々ふんふんと相槌をうって、話を聴いていることも示します。
そこまで努力してはじめて、コミュニケーションは成立するのです。
コミュニケーションがきちんとできないとモテはしないですよ。
Column372 2014/9/13up
■ 資格取得奨励の効果
プレジデント誌を見ていると企業が国家資格等の取得を奨励するかどうかというアンケート結果が考察とともに
掲載されていました。
大方の日本企業では概ね資格取得を奨励しているようですが、外資系企業と新興ベンチャー企業では奨励し
ていないという結果だったようです。そりゃそうだろうなと何となく納得した気がしましたよ。
詳細の内容はプレジデントを見ていただくとして、自社で資格取得を推進する立場にある私には、掲載された
アンケート回答者の本音の部分には正に同感するポイントがありました。曰く、会社に奨励されて頑張って資格
を取得したものの、その資格が実際の業務に生かされたことは全くなかったというような内容です。
何だか、身につまされませんか?
もちろん、社内での役職昇格に必要な要件だったり、資格手当てが出るということであれば、本人としては利益
のあることですし、会社の営業上、当該資格の保有者が必要だとか、資格保有者でなくては業務が出来ないも
のなど直接的な資格であれば、上記のような声は上がらないのでしょう。
でも、社員の能力向上を目的とした資格取得、そしてその奨励にはどんな意味があるのかと思ったりしません
か?
どうせ資格取得奨励をするなら掛け声だけではなく、効果的に進めるべきでしょうしね。
まあ、資格と一言で言っても、国家資格、民間資格など色々ある中で、私の考察では、多くの日本企業にとって
はこれらの資格は社員の能力の水準や日ごろの学習の結果、つまり努力の水準を示すものであり、その結果、
業務を行う上でなくてはならない資格でない限り、アンケート回答者の声のように、さんざん資格を取れと言っ
ておいて、一旦資格取得がしてしまえば、その資格が業務に生かされることはないというケースが多いのではな
いでしょうか。
それに対し、外資系企業では、現に業務に必要な資格や能力の水準を示す資格を持っている方が、それを前
提とした即戦力として採用されることが多いのではないでしょうか。・・あくまで想像ですが。
でもそれが事実だとすると、仕事に直接的に必要な資格や、よほどの能力を示す資格でなければ、社員がわ
ざわざ資格取得に時間をかけることもなく、極めて合理的です。
考えれば、外資系企業でなくたって、例えば配送トラックの運転手として、運転免許がない方は採用しないで
しょう。
業務に直結する資格を入社してから取得させる企業と言うのは、社員を採用してから育てようという考え方の
企業なのでしょうね。
また、業務に直結しない可能性もあるけど、資格取得を奨励する企業は、社員の能力向上を期待することに
加え、前述のように社員の能力や努力の水準の一部を資格取得に対する意欲や成果で見極めようとしたり、
業務上必要な資格を最低限お必要人数以上に確保しておこうと考える企業なのでしょうね。
さすがに、業務とは全く関係ない資格の取得は奨励しないでしょうからね。
でも、私が子会社の人事総務担当だった時には、明確にモチベーション向上につながる資格取得や教育に関
する資金を援助する仕組みを立ち上げたりもしました。例えば会社として階層教育等で受講させているものと
は別に私はコミュニケーションとか企業法務の社外研修を受けたいと申請する方がいれば、内容を確認の上、
年間4万円を限度に費用を負担するという仕組みにしました。
資格取得のための講習受講でもOKだったのですが、決して資格取得奨励ではなく、モチベーション向上と知
識拡張の奨励という意図でした。結果としては、残念ながら、特定の方だけが何度も利用し、それ以外の方は
興味ないやという感じでしたけど。
この子会社の時には、営業に必要な国家資格保持者に資格手当てを毎月支給するという制度を立ち上げて、
それまで低調であった資格取得意欲が一気に高まった経緯もありました。会社の利益ではなく、自分の利益
に直結することが明白であれば、人は努力するもののようです。
実は、私が取得している資格も、会社から奨励されて苦労して取得したものは仕事上の役には立たず、業務
上必要な資格は比較的楽に取れるものであったりします。
社員に資格を取らせて、企業としてはどうしたいのか?何に役立つのか?本人にはどんな利益があるのか?
どんな企業でも、それを明確にしてから資格取得奨励をしないと、声を張上げるだけでは結果も効果も得られ
ないように思います。
Column371 2014/9/8up
■ ゆるい就職、大丈夫か?
最近、ダイバーシティマネジメントと称して、社員の多様性を認めようというな世の中の動きがしばしばマスコミで
報じられています。
とはいえ、主に社員の勤務時間を中心とした雇用体系、勤務体系を整えたり、女性活用に限定した捉え方をして
いる企業が多いように思います。
スマホやパソコンで誤変換したら「台場シティ」なんて言葉が出ますが、まさに「台場?それ新しいプロジェクトか
?」なんて反応を示す方が普通にいるぐらい企業内での捉え方は幼稚です。
ダイバーシティマネジメントを主導する立場だと思われる政府だって女性閣僚や女性官僚を増やせば何かやっ
てるように見えるでしょくらいの理解での動きにしか思えません。
しかし、ダイバーシティマネジメントという考え方の真意はおそらく、やりがいや価値観などに対する色々な考え
方だったり、色々な身体的特徴や性格の方々に働く場所を提供したり、企業としてうまく活かすこと、そして色々
な国籍の方の労働力をうまく活かすことなど、まさに人の多様性を認めることなのではないでしょうか。
色々な考え方の中には、勤務日・時間もあるだろうし、出世したい方、そうでない方もいるだろうし、色々な身体
的特長には、男性・女性の差だけではなく、障害を持つ方もいるでしょう。 歳をとっても働きたい方だっているか
もしれません。
世の中、技術者や労働者が不足していると困っている企業がある一方で、働きたくても職場・求人がない、低賃
金単純労働しかないとか、日本で認められる資格がないとか、色々な方がいるわけです。それらをうまく結びつ
けられないかというのがダイバーシティマネジメントなのではないかと勝手に理解しています。
で、実は、ネットを見ていると、最近 「ゆるい就職」 なる求職者向けの説明会があったとの記事がありました。
読むと、バリバリ、ガツガツは働きたくないという方向けの説明会のようですが、週3日勤務つまり週休4日など
の募集を求めて新卒・既卒の若い方々がかなり集まっているようです。週4日もある休日をどう使うのか、そん
な疑問もありますが、勉強、趣味、旅行などまさに価値観は多様なようです。
甘ったれているのじゃないか。・・そう思う私はもう古い世代の人間なのかもしれません。
でも、勉強にも趣味にも旅行にもお金はかかるし、週3日勤務の給料ってしれてるよね。考え方がゆるいよな。
なんて思ったりもします。
説明会を企画した側は、スキルや能力があれば週3日でも採用したい企業がある。若い社員が集まりにくい中
小企業にはニーズがある。と分析しており、いたってまじめのようです。
今はそんな時代なんだねと思った皆さん。そりゃあ古いですぜ。
もう30年も前の話ですが、私の学生時代のゆるいことが好きな友人は、趣味や学校で学んだ好きなことの延
長で仕事をしたいと考えて、新卒で週3日勤務の企業に就職しました。工業デザイン系の仕事で、実力もない
友人は楽しそうに勤務しておりましたが、それも最初のうちだけで、仕事を覚えて多少なりとも働けるようになる
と、週3日では仕事が終わらないようになり、要は休日出勤と残業でカバーする毎日。結局やめてしまいました。
それ以降は転職をしたり、起業して失敗したりの連続で苦労しています。
また別の友人は20年ほど前、10年近く勤めた印刷会社での先行きに不安を感じ、外資系生保会社に転職。
いわゆる出社は週1日のみで、営業活動をいつ、どれくらいするかは本人の自由という契約のようでしたが、
当然成績、そして処遇に直結するため、平日休日朝晩の区別なく新たな顧客候補を回っておりました。まあ新
規契約さえ取れればあとは仕事をしないでもいいわけですが、そうもいかなかったようです。同じ生保会社に中
途入社した方々は数年でほとんど退社してしまい、成績優秀な方、すなわち休まず夜討ち朝駆けで客先を周
る方のみが生き残っているそうです。その結果、競争はさらに熾烈さを極めているとか。
どちらもの例も基本的な時間はゆるいけれど中身は濃いという結果だったのですよねえ。やっぱり世の中は甘
くない。表面上だけなら「ゆるい就職」というのは以前からあったのです。
前述の説明会に集まった若者たちは、休みをどう有効に使おうかとまじめに考えている方も多く、主催者側が
色々余暇の使い方を説明したらしいですが、実際に採用する企業側はゆるいだけで済ましてくれるのかなん
て思っちゃいます。
そうは問屋がおろさないのでは、そんな気がするのですけどねえ。
Column370 2014/9/5up
■ やる気は伝染する
お給料や処遇は別として、人のモチベーションを下げる要因は何か?
そう言われたらあなたは何と返答しますか?
頭ごなしに否定される。そもそも意見を聴いてもらえない。せっかくの提案を検討もせず思い込みだけで無理
と思っている。頑張っても何も変らない。明らかな成果を上げても褒められない。成果に気づいてもらえない。
・・私が思いつくのはそんなところです。
一見すると、成果が上がる以前の問題のケースと、成果が上がってからの問題のケース に二分出来るような
気もしますが、これらはつまるところ同じようなのれんに腕押しの状態なのです。一言で言うなら「無視」。
カマスに感情があるのなら無視というよりは無力感ですかね。
理由はどうであれ、努力しても無駄だと思えば頑張る気力は失せてしまうものです。
以前、これに似た状況を水槽のカマスを例に紹介しました。
水槽に硝子の仕切りを入れ、片方にカマス、もう片方に餌の小魚を入れて泳がすと、最初は元気に小魚を追
いかけようとしたカマスも何度も硝子板に遮られるうちに小魚への興味を失ってしまうそうです。
さあ、ここで面白いのは、硝子の仕切りを取り除くとどうなるかです。
自分の目の前を小魚が泳いでいても、カマスは決して食べようとはしないのです。何か我々のモチベーション
みたいですね。
では、彼らカマスに再び小魚を追わせるための有効な手段は何か?
餌を追う普通のカマスを他所から連れてきて、ポチャンと水槽に落とせばよいのです。一匹のカマスが小魚を
追いかけ喰らいつく。
それを見た他のカマスは小魚が食べれることに気づき野生(?)を取り戻すのです。
では、皆さんの職場でカマス・・いや社員のやる気を引き出すにはどうすれば良いのか?
そもそも論として、良い提案は採用する。成果を上げた社員は褒める。等々頑張ったら何かが変ることを示せ
ば良かったはずなのですが、良い提案もないし、成果も上がらないし、中々難しいよなんて思っていたりしま
せんか。
そこで、「褒める」 とか 「成果」 のハードルをぐっと引き下げてみてはいかがでしょう。
そんなすごい提案でなくても、方向性が良さそうなアイデアは採用し、皆で協力して肉づけして実現していく。
大きな成果でなくても、ちょっと進歩した部下や仲間にその事実に気づいたことを言葉で伝える。 等
ほんのちょこっと頑張った方がいたら、皆で気にかけて、あげれば良いのです。
それさえも中々難しい職場なら、
いつも遅刻ぎりぎりでオフィスに駆け込む部下。ほんのちょっと早めに来たら、「おっ、頑張ったじゃん。」
請求書の処理でミスが目立つ後輩。ほんのちょっとミスが減ったら、「上達したじゃないか。」
そんなレベルからはじめてみてください。
単純に言えば、「無視」されているからやる気が起きないのですから、「無視」せず、部下や同僚、後輩の行動
に興味を持てばよいのです。なおかつそれが本人に判るようにする。
そして誰かがほんの少しやる気を出せば、そいつが他所からきたカマスのようにやる気を伝染させてくれるで
しょう。
そう、やる気は伝染するのです。
Column369 2014/8/29up
■ 組織は変えられるか?
経済や社会情勢の変動がある度、ちまたでは、経営刷新だとか組織改革、人事制度改革に関する話題が増
え、モデルケースとなるような企業がマスコミで紹介されたりしますよねえ。
しかし、多くの企業では選挙で政権与党が入れ替わるレベルの刷新が行われることはなく、組織改革や人事
制度改革が大きく効果を上げたいうことも聞いたことがないです。
名ばかりでなく、本当に改革が行われるケースと言えば、日産だとか日本航空だとか大企業が本当に倒産の
危機に瀕し、かつ関係先の裾野が広く潰せないため、銀行やら、出資会社やらが、時には政府主導の元に手
を差し伸べた場合に限られているような気がします。
そんなケースであれば、従来とは全く異なる考え方をする経営陣への交代が行われる結果、企業は大きく変
われるわけです。
社会的影響が極めて大きい企業が潰れるか潰れないかの瀬戸際ですからねえ。
つまり、組織が大きく舵取りを変えるためには、組織を支配する「人」が代わらないといけない。それは大前提
のように思います。
ちなみに最近読んだネット記事では、人は何歳になっても成長できるはずなので、年をとったり、企業の経営
層だったとしても、まだまだ変わることができるということが書かれていました。
でも私は、そりゃあ可能性からすればゼロではないだろうけど、ある程度の地位に上り詰めた方や年令を重
ねた方の考え方が変るなんて、実際問題として難しいよなあ。などと思いながら読みました。
だって、そのレベルの方々にとって自分を変えるということは、輝かしい過去を否定することと同じですから。
きっと多くの方が同じように思うのではないでしょうか?
でも実は、コーチングでは明確な考え方があります。
人の性格や考え方を変えることは極めて困難。 でも行動を変えることは出来る。というものです。
この考え方からすれば、地位のある方でも、年令を重ねた方でも、その「行動」を変えることは可能という
理屈になります。つまり人が交代しなくても、人の行動が変われば、組織は変えられると。
但し、大前提があります。
@過去の自分や企業の成功体験を捨てること。
A現在の問題点を明確にできる分析力を持つこと。
B掛け声だけでなく行動に移せる実行力を持つこと。
まあ、ここで話題にしているレベルの方々ならBは問題ないでしょう。
Aについては幾らでもブレーンに頼めることでしょう。
一番大変なのは@となります。
そして、@、Aを進めていくために大事なことはとブレークダウンしてみると、肝心なことは「人の意見に耳を
貸せるかどうか」であるような気がしました。
例えば、「あんたの考え方はもう古いよ。」真っ向からそう指摘された時、あなたは素直に話が聴けるでしょう
か。
うーん、少なくとも私の周囲にはプライベート、ビジネスとも見回してもそんな素直な方は存在しませんよ。
だから組織は中々変われないのです。
しかし、プロのコーチを雇う気が少しでもあれば、コーチはコンサルタントとは全く異なり、ビジネスについて
自分の意見を言うことはなく、相手の頭の中にある考えや事実を引っ張り出す手助けをするだけですから、
何かを変えることが可能かもしれません。
答えはあなた自身の中にあるのですから。
Column368 2014/8/28up
■ 指示の仕方で成果は変わる
若い方に仕事を指示していると、指示した私が思っている状態と異なる形で業務が実行されることが頻繁に
あります。
「あの仕事どうなっているの?」
「いつやってくれるの?」
何て会話をしていると、やりましたよと言いながら示してくれるものが、私が思っているものと全く違う形で仕
上がっているわけです。
日頃、「報告・連絡・相談(ほうれんそう)が大事だよ。」なんて伝えていても、こうした違いは度々起こるもの
です。
実のところ、ここで「意志の疎通がないのでは?」とか、「使えない部下なのでは?」と指摘されて、
「その通り」だと思っているようではこの状況は決して改善しません。
だからと言って、コト細かく仕事の指示をしているようでは、若手が育つことはありませんし、経験の多い部
下に頼んだほうが早いし確実だと思ってしまうようでは、組織やチームとしての戦力アップを図ることは無
理でしょうね。
まあ、一言で言うなら、若い社員の方々の仕事のセンスが乏しいわけですが、経験の乏しい者に仕事のセ
ンスを求めるのは酷なものです。自分だって若いときは使えないと思われていたかもしれませんしね。
優秀なサッカー選手を集めた日本代表だって、十分に力を発揮できないことがあるのですから、チームリ
ーダーやマネージャーの立場にある方でしたら、不満を言う前に改善策を考えるべきです。
また、最初の指示だけで任せっぱなしにして、終わってから、「これじゃダメだよやり直し。」では若手社員
のモチベーションは決して上がりません。21世紀は背中をみて仕事を覚える時代ではないのですから。
大事なのは、仕事の指示の仕方。
最初に方向性や納期を指示する。指示してから早い時期に、結果系をどうイメージしているかをフィード
バックしてもらう。
そして、最終段階に至る前にどのように進んでいるかを中間報告してもらうのです。
そもそも「報告・連絡・相談(ほうれんそう)」というのはこのような仕事の進め方を言うのであって、「最近の
若い者は相談も報告もない。」なんて怒っているようでは自ら「報告・連絡・相談(ほうれんそう)」を放棄し
ているようなもの。何も改善しません。
初期に結果系のイメージを確認して必要なら修正。そして中間報告を受けて修正。狙い通りに仕上がった
ら褒める。
・・結局のところほとんど指示しているのと変らないのですが、指示された本人からすると一から十まで細
かく指示された感はなく、アドバイスを受けて仕事を仕上げた感が残るでしょう。
面倒くさい。・・・そう思う方もいるでしょう。
当然面倒くさいですが、やり直させて時間がかかるよりは確実ですし、何度かそんなステップを踏めば、
いずれ、上司の意図する方向性を理解するようになるでしょう。
でも、「やってませんでした。」そんなことが頻発する若手社員は、成長以前の問題です。
忘れていたならきちっとメモを取れと怒ってもよいし、色々仕事がある中で、優先順位をつける方法を教
えるべきでしょうね。
Column367 2014/8/17up
■続、真実を見極める感性
何度も言いますが、このHPは政治的信条を語るものではありません。
ロシアが8月12日から日本の北方領土で軍事演習を行ったことが報道されました。
皆さんはこの報道を見聞きしてどう思いましたか?
本来は日本の領土なのにひどいやつらだ。
現実にはロシアの領土だから仕方がない。
ウクライナ問題で制裁を課した日本へのいやがらせだ。・・・概ねこんなところですかね。
でも、皆さん、よ〜く考えてみてください。
そもそも、欧米および日本などのロシア制裁は、マレーシアの民間機をウクライナイの新ロシア勢力が撃墜し
たことに関し、ロシアが武器や技術での支援をしたからでしたよねえ。
とまあ、確定した事実のように言ってみましたが、皆さん、そもそも誰がマレーシア機を撃墜したかは明確には
なっていなかったのではないでしょうかね。
ごく最近のことですよ。いつ、親ロシア勢力やロシアが撃墜したと確定したのだっけと思い出してみてください。
そう、そんな報道は全くないのに、皆さんの頭の中では、何故か親ロシア勢力やロシアが悪いことになってい
るのです。
その原因は明白です。マスコミがそう決め付けた報道をしているから。もっと言えば、欧米、そして日本政府
までがそのような態度をとっているからです。皆さんは何だかそれが唯一の事実や正しい判断のように思い
込んでいるのです。
もしかしたら正しいし、実は正しくないかも知れないのに関わらず。
米国がイラクに侵攻した時と図式は全く同じです。
欧米が決め付けたことを日本政府はもちろん、一般市民も真に受けてしまっているのです。確かに何も進歩
はしておりませんよねえ。
似たような例があります。イスラエルとハマス。
何だかイスラエルは悪者で加害者、ガザ地区に住む一般人は被害者。そんな図式での報道が繰り返されて
いるうちにそれだけが唯一の事実のように思えてきていませんか?
先にロケット攻撃したのはガザ地区に巣くうハマス。イスラエルはそれをやめさせて平和を取り戻したい。
ガザ地区の一般市民とハマスの区別はつけられない。・・そんな報道はほとんどありませんよね。
ちなみにイスラエルの考え方は単純明快。世界中が敵になっても自分達の身を守るために戦う。
長い苦労の歴史がそんな考え方に至らせたのでしょうね。
一定の地域において、強者は悪、弱者は善。そんな図式にマスコミの報道は支配されているような気がしま
す。集団的自衛権は悪。オスプレーは悪。辺野古移設は悪。
マスコミの報道姿勢はそんな感じですが、事実かもしれないし、そうではないかもしれない。何十年も後に
なって結果が明らかになるのでしょうね。
だからマスコミには事実の報道のみにとどめ、意見を言わないで欲しいなと思うことしきりです。
判断は我々がすればいいのです。フィルターのかかっていない沢山の生情報を元に。
しかし、客観的な情報が色々と報道されることがないのなら、我々も客観的に判断することはできません。
それでなくても、紛争というのは、事実を覆い隠す動きをするものです。
ちなみに、ウクライナでのマレーシア機墜落事件には日本では全く報道されない情報があります。
事件発生時、ウクライナ軍のスホイ25攻撃機が飛行していたこと。ウクライナ軍が地対空ミサイルシステ
ムを稼動していた。
マレーシア機がその40分後に同じ空路を飛行していたプーチン大統領専用機と似ていた。(どちらも白い
機体に赤青のライン)プーチン大統領機が飛行する空路にロシア軍の指導を受けた親ロシア勢力がミサイ
ルをぶっ放すのは不自然である。
米国は結局、親ロシア側がミサイルを発射した証拠を出せていない。
そもそも、ウクライナが紛争地域を飛行禁止区域に指定しなかったことが極めて不自然ですしねえ。等々。
国内の報道を見聞きしているだけではこれらの情報はフィルターにかかって、入ってはきません。
なおかつ、大事なのはこれらの話が事実であったとしても、ガセであったとしても、それだけでは真実は判
らないということです。
話を元に戻しますが、
親ロシア側が悪いのか、親欧米勢力が悪いのか、それが判明しない限り、ロシアへの制裁をするべきで
はないように思いますし、ロシアへの制裁により北方領土は我々から更に遠ざかってしまったのです。
それが良かったのかもしれないし、そうではないのかもしれない。 これもきっと将来なってから明らかに
なるのでしょう。
もっと、もっと事実を知って、その上で判断したいですね。ほんと。
まあ、正しい判断をするのに必要な情報が十分に入らない今の世の中では、正しいかどうか判らない情
報のみに流されない感性を持つべきでしょう。
Column366 2014/8/10up
■ 口先だけではない女性活用が企業に出来るのか?
巷では、企業の女性管理職や女性役員の登用を増やすとか、管理職については一定の割合を義務化する
とか、そんな女性活用の話題が飛び交っています。
業界によっては人手不足が深刻化する昨今、女性が働きやすい職場を作ったり、登用の場を増やすのは
良いことだとは思います。 時代の流れでもありますけど、口先だけでなく、実質的に女性に活躍していただ
くことは一般企業でも可能なのでしょうか?
女性を活用すると言っても、政府が提唱するように、闇雲に人数枠を決めたりするだけならば、本人の能力
や意志に関わらず、単に長時間バリバリ働かされたり、名ばかりの管理職に登用されたりする可能性もあり、
何だか疑問だらけです。
恐らく、本来の観点は男女に関わらず、人の考え方や生活様式の多様性を認め、働く気のある方々に活躍
の場所を提供しようというものだと思うのですが、政府や大企業の言う女性活用はその観点からは大きくず
れているような気もします。
男女に関わらず、出世欲がない方であれば、残業せずにそこそこ働いて、いい給料がもらえれば それが
一番なのではないでしょうか。子育てする時間、介護をする余裕、人によって欲しいものはケースバイケー
スなので、女性管理職の枠を増やすことは巷の問題は解決しないでしょう。
正規雇用でない場合、男女に関わらず、低賃金であったり、そもそも働く場所がないなど、問題は色々あり
ます。
そして雇用問題の中には、 企業が元気になり、業績が恒常的に伸びていれば解決するような要因も多い
のですが、実際には元気な企業ばかりではなく、仮に今は上向いていても、明日はどうなるかわからない
というのが今の社会情勢でしょ。
企業の明日がどうなるかわからないのに、正規雇用を増やしたり、社員の処遇を良くするのは中々難しい
でしょうね。
実際、社員が多い企業の場合、どんな職場でもだいたい5%程度はきちんと勤務できない社員がいます。
心の病、体の病気、そもそも根本的な能力不足など、もろもろの理由で、5%程度の人員が能力を発揮し
ていないわけです。しかしハローワークはそんな社員を解雇することは許し、ある程度の給与は支払わざ
るをえないので、企業としてはコストとして受け入れざるを得ない実情があります。
近所の企業の方々との情報交換でも、社員不足の問題と、働かない(働けない)社員の問題はいつも話題
に上がりますよ。
女性活用に話を戻すと、 例えば私は男性中間管理職ですが、私の仕事を女性管理職が出来るかと検討
してみると、個別の業務をルール通りに処理するということなら、慣れさえすれば男女の関係なしにできる
でしょう。
では、人間関係とか、業務と業務のつながり、 他の部門や社外の関係先とのつながりの中での役割や業
務の処理を考えるとどうでしょうか。女性の多くは「やってられないわ」と怒り出したり、「そこまでは私の仕
事ではないです。」というような反応を示すのではないでしょうか。
企業にはきちっと割り切れない仕事、ルール通りにいかない仕事、一筋縄ではいかない人間関係がゴロゴ
ロあります。
私の知る限り、多くの女性は仕事の場面での割り切れないことに拒否反応を示します。いや男性だってそ
んな方は多いです。
女性が男性に比べて我慢強くないということではなく、企業のしがらみにはまっていないからこそ率直に意
見を主張出来るのでしょう。
そんな率直な部分を生かした仕事を用意できれば、女性活用もスムーズに進むのでしょうね。
でも、多くの企業で社員に要求される仕事の処理能力の大半は、割り切れないことを呑み込んでうまくやれ
るかどうかにあると言っても過言ではありません。コンプライアンスが絶対視される昨今ではなおさらです。
それが出来ない方は、心の病に一歩ずつ近づいていくようにも思います。
仕事がきち、きちっと片付いて、スカッとして楽しければそれにこしたことはないですが、かつて友人の1人
が、「仕事が楽しいなら、会社の入り口で社員から入場料をとらなくちゃな。」と言いました。
つらいからこそ給料が支払われるのであり、その辛さの中にも、困難を乗り越えて一仕事片付けた時の爽
快感など、何かしらの楽しみを見出す。それが男女関わらず、仕事に取り組む姿勢に求められることなの
ではないでしょうか。
そもそもどうして女性の活用をしたいのかと考えてみてください。
企業のイメージアップの為、政府が推奨するから、男女に関わらず働く機会を均等に提供すべきと理解し
ているから、労働力が不足しているから、女性の感性や女性ならではの良さを活かして企業の経営効率
や業績改善をしたいから・・・。
目的は違っても、形だけでなく、真に女性を活用できなくては、その行為は確実に企業の新たな固定的な
コストとなります。
今一度、女性の内面の良さ、男性との違いを真剣に考えてみることが、企業には必要な気がします。
Column365 2014/8/1up
■ 自宅警備員は頑張っている?
人に指示するならネガティブな言葉よりポジティブな言葉、曖昧な言葉より具体的行動を示す言葉を使用した
ほうが効果があるという話を先日掲載しました。
「ミスするな!」ではなく、「おまえなら出来る」 、「廊下は走るな」 ではなく、「廊下はゆっくり歩こう」。
「気をつけて」ではなく、「足元に注意して」。「三振するな」 ではなく、「ボールをよく見て打て」 というような感じ
です。
しかし、今朝ニュースを見ていてびっくり。
最近、「リア充」なんて言葉をネット以外でもよく見かけますが、新たに「ぼっち充」なんて言葉も出てきたとか
で、色々解説していたのです。
「リア充」は現実の生活が充実しているという意味のネット用語ですが、「ぼっち充」は、友人もなく一人ぼっち
でもネット上での人との繋がりがあったり、一人で楽しめる店や遊びを知っていて充実感のある生活をしてい
るという意味のようです。
昔からそんな略語や隠語は幾つもありましたが、最近は2chの影響で特に増殖している気がします。バーチ
ャル世界の言葉であるネット用語、特に2ch用語をわざわざTVで紹介して、「現実社会に持ち出すな!」と言
いたいところです。
略語や隠語が多い2ch用語。
本来、限られた方々の間だけで通じる言葉です。発音することすら想定していないバーチャル世界の言葉で
すから、ネットから飛び出してマスメディアの影響も手伝って、現実の世界で使用する人が現れれば、現実
世界の意思疎通は確実におろそかになります。
新し物好きのマスコミ、マスメディアとしては面白いネタなのでしょうけどね。単なる若者言葉のつもりで一部
の一般人が現実社会で使いだせば、確実に意思疎通から締め出される方々が出てきます。
ちょっと前だと、若手社員が会社の業務日誌や議事録の文章に、(笑)などと書き足してしまうのに呆れて怒
ったり、仕事の場面では、「超」とか「うざい」とか言うなよと注意していましたが、とっくにそんな時代は通り越
しているようです。
油断してたら、社内のネット会議で、誰かの音声での発言中に、画面表示コメントとして「kwsk」(=詳しく話
して)とか「ksk」(=加速して)とか書くやつが出てくるかもしれません。
現に、私が以前いた部署で複数の営業所を結んだネット会議の司会をしている際には、音声で流れる業務
報告を遮らないように、「持ち時間を超過しているのでまとめをお願いします。」、「次の報告者の方資料アッ
プロードの準備をしてください。」とか、
はたまた、「逆光で顔が真っ黒なので後ろのカーテンをしめてください。」 というような文字によるコメントを画
面に書き込んだりしていました。その際、略語は使っていませんでしたが、略語を使うこと自体は短い文字
で意思疎通が出来て便利なのは確かでしょうね。
出席者全員に判る略語を使う分にはよいですが、2chの多くには直接的意味以外に侮蔑の意味合いを含ん
でたりもするので非常に危険です。
例えば、「メシウマ」という2ch用語は、単に食事が美味いという意味ではなく、「今日も人の不幸で飯が美味
い」という意味合いで使われます。
まあ、今すぐネット用語が現実社会を混乱させることはないでしょうけど、2chでもないまじめな政治記事に
対する閲覧者のコメントとして、「ネトウヨ」(=ネット右翼≒特に中国、韓国、北朝鮮などを非難する方々)
とか「ぶさよ」(=左翼)、「DQN」(=ヤンキー風、馬鹿(発音:ドキュン))なんて言葉を普通に見かけるように
なってきました。
記事そのものがいたってまじめでも、コメントする読者がそうとは限らないのです。
国際政治関連の記事のコメントとして、誰かが中国を批判する意見を書き込めば、「ネトウヨ帰れ」、「ぶさよ
はROMってろ」なんて意味不明なやりとりが延々と続いたりするのです。
ちなみに 「ROMってろ」 は、書き込みせず閲覧だけしてろという意味です。
最初はなんとなく文脈から意味を想像していた私も、メシウマ(=人の不幸で今日も飯が旨い)、メンヘラ(=
頭がおかしい)なんて言葉が出てくると、調べなければ意味不明ですし、前述の通り侮蔑や更なる意味合い
があったりするのでややこしいです。
具体的に指示する、明確に伝える とかいうのとは完全に逆行してますよね。
ネットの中でも更に一部の方々の間だけで使われるならよいですが、それが一般化しつつある、先取りして
使えば格好良いなんて思う方が多いと、きっと世の中が混乱しますよね。
でもさすがに「ふじこ」とか、絵文字ですらない「←」は意味が想像できないですよねえ。自分で調べてみて
ください。
もしかしたら、言葉はネットによって進化しているのでしょうか?
映画「舟を編む」で、辞書の編纂方針を議論するシーンがありましたが、2ch用語、ネット用語が本当に一般
化すれば、一過性かどうかを吟味した上で、辞書に掲載せざるを得ないのでしょうねえ。
ちなみに私が傑作と思う2ch用語は、「自宅警備員」(=ニート)です。
自宅警備員という表現には、「ニート=無駄飯食い」という一般社会の常識を、「ニート=いるだけで役に立っ
ている」と180度変えてしまう素晴らしさ ・・いや奥深さ が詰っているんですよねえ。
「スペックは?」
「25才、自宅警備員。」なんて会話を画面で見て、
決して、「頑張ってんだ」なんて思わないでくださいよ。
Column364 2014/7/26up
■ 心が折れる原因 スキーマに対処できるのか?
ネットの記事を見ていると、心が折れやすい方の共通点を考察したものがありました。
色々あった中で、
「自分自身に完璧を求めすぎている(100点主義)」
「過去の失敗を振り返ってばかりいる」
「自分の欠点ばかり見ている」
「具体的ではない不安や心配に悩んでいる」
「物事を決め付けがちで視野が狭い」
なんてものが他のメンタルヘルス記事でもよく取り上げられている要素だと思いました。
その記事では、どうやってそんな思考や行動に対処するかということも書かれていましたが、
私の感想は、「軽々しく書いてるけど、対処なんかできるのかなあ。」 という感じです。
実はこれらは皆、このHPでも紹介しているスキーマ (自動思考) の事例としてあげているものばかりです。
スキーマとは先入観や、思い込みとも言えるもので、偏ったスキーマを持つ方は、
「私は仕事でミスをした。もう私の人生は終わりだ。」 なんて破滅的な思考に自分を追い込みます。
そんな偏ったスキーマは心理学的には「認知のゆがみ」と言うものなのですが、本人的には当たり前の思考で
あるところが困ったところなのです。
楽観的なスキーマを持つ方なら、「仕事で失敗した。でも命まで奪われるわけじゃない。次回頑張ろう。」と思う
ことも可能なのですが、それが出来ないからこそ、世の中には心の病を抱えた方とその予備軍がわんさかいる
わけです。
ちなみにスキーマ(自動思考)そのものは、決して病気などではありません。
例えば、椅子を見て座るものだと思えるのはスキーマのおかげです。同じようにスプーンを見て食事の道具だ
と思って使うのもスキーマのおかげなのです。 同じ生活様式を持つ人々には生きていくベースとなるある程度
似たようなスキーマが宿っているのです。
悪いスキーマの例を分類してみると、
「完璧主義(100、0思考)」、「過度の一般化(皆そう思ってる)」、
「結論の飛躍」、「過大視」、「あるべき思考」、
「自己関連付け」、「レッテル貼り(決め付け)」
などがありますが、
冷静になって客観的に物事を考えて、
「本当にそうなのか」、「根拠は何か」、「そんな必要があるのか」
と現状を分析することさえ出来れば、自分の悩みから開放されるはずなのですが、それが出来れば苦労しな
いのですよねえ。
対処するたって一人では出来やしませんぜ。・・てな感じです。
きっとそんな時にカウンセラーとかコーチが付いていて、
「今回の失敗が、どのように破滅につながるですか?」なんて質問をしたり、
「いつもダメって、何度うまくいかなかったの?実は大丈夫なこともあったのでは?思い出してみましょう。」とか、
「皆があなたのことを●●と思っているって、誰と誰がそう言ってたのですか?他の方はどう言ってるのですか?」
なんて掘り下げたり、要は、客観性な思考を促し、悩みの種を具体化して検証することが出来れば、その悩み
や心が折れる原因が解消できる場合もあるのです。
先の記事でも、具体化することを対処法として上げていましたが、悩んでいる方には自分自身ではそのような思
考が出来ないのですよ。
このHPのコンセプトでもありますが、人の性格を根本から変えるのは難しいけど、行動を変えたり、気持ちを整
理することは可能なはずです。
プロのカウンセラーやコーチに頼らずにそれを実現するのなら、家族や上司にコーチ役をお願いしたいところで
すが、私自身はプロでもないのにそれが出来る方に出会ったことはありません。
コーチングの難しいところです。
ちょっと脱線しますが、実のところ今の世の中「大きな声や素早い行動で相手を制したほうが勝ち」みたいな雰
囲気があって、「いい大人なら▲▲な行動をすべき」とか、「俺は■■が正しいと思うよ」なんて発言をする方が
多いように思います。
すでにその発言や思考が「あるべき思考」や「決め付け」であり、自分のスキーマの押し売りみたいなものなの
です。
そんな方々がコーチの真似事をしても相手を追い込むだけなのです。
また同じ理由で、相手が話している途中で口を挟みたくなる方が 世の中にはゴロゴロしていますが、そもそも
人の話を最後までしっかり聞けない方にカウンセラーもコーチも務まりません。
企業だって、上司だって、
「大きな声、素早い行動の方」と、「じっくり相手の話を聞き、自分自身の意見はあまり言わない方」とどちらを評
価するのでしょうかねえ?この違いは人を育てない方と、育てる方の違いでもあるのですけどねえ。
昨今、人を育てることの大事さを理解した上でコーチング手法を取り入れようとする企業や記事で紹介する新
聞雑誌やネットがすごく増えているようですが、その割には、企業が評価する人物像は前者=人を育てない方
なのですよね。全く不思議なのですが。
チーム・組織としての活性化、パワーアップの為には人を育てることは大事だけど、直接的に利益を生み出す
方はもっと大事ということなのでしょうね。
あと、話を元に戻して、最近気づいたことすが、
私が知っている心が折れてしまった方って皆、自分が悩んでいること、心配事があることにあまり気づいてい
ないのですよね。
中には自分が心の病になっていることに気づいていない方も大勢います。
「何か困ったことや、大きなストレスでもあるの?」なんて質問したって、本人だって気づいていないのだから、
中々原因はわかりません。しょうがないので最近の出来事を総ざらい思い出してもらって、その中から、悩み
や心配など心の重荷になっていそうなことを探っていくしかないのですよね。
ましてや、心が折れかかった方が、自分自身の心の問題に気づいて、早めに対処するなんてことも至難のわ
ざです。というかほぼ無理です。
でも、この時点で家族や上司など周囲の方にはできることがあります。なんだか本人の雰囲気が変、行動や
発言が変、暗くなったなんてことに気づいて、プロの治療に繋げるのです。
仮に心が折れる原因と思われる強いストレス要因が発見できたとしても、解決できることもあれば、解決でき
ないことも沢山あります。本人が冷静になってそれらのストレスの脅威を客観的に理解し、折り合いをつけて
いく。それが出来るか出来ないかで人生は180度変わってしまうのですよねえ。
心が折れた方、折れかかった方とは、ストレスに追い込まれて、心の逃げ場を奪われた方なのですよね。
中には飲酒やギャンブル、金銭の浪費を擬似的な逃げ場にしている方も見かけますが、それは破滅への道
ですよ。
スキーマ(自動思考)そのものは、病気ではないと言いましたが、だからこそ、既にその人の中に形成されて
いるスキーマと違う思考や行動に導くことは難しいのです。
心が折れた方、折れかかった方に対して、「このくらいの失敗大丈夫だよ。取り返せるよ。」なんて言葉を事
実に基づいて投げかけ続けるしかないのでしょうね。
Column363 2014/7/24up
■ ハイタッチは元気を生む薬
いやあ、梅雨明けして暑くなってきましたね。なんとも夏らしい。まっ、もうすぐ8月ですからねえ。
そしてこの暑い中、私の職場では毎朝朝礼があります。そんな会社、いくらでもあるのでしょうが、私の職場
にはちょっと変わったところが一つ。
今は機械整備をする部署にいるのですが、朝礼の終りに、作業服や安全靴、ヘルメットといった個人装備を
2人一組で指差しして確認しするのです。そして、最後の締めとして相手の顔色を確認してからハイタッチ!
顔色が悪い = 体調が悪い方は熱中症になりやすいですからねえ。ホント。
まあ熱中症だけではなく、今朝は仲間の顔に何か変化がないかとお互いに確認するのも仲間意識を高める
のには役立ちます。
その際、「イェイ」 ではなく、「ご安全に」 と大声を出します。
さすがに朝から飛び上がってハイタッチというわけには行きませんが、元気の良い掛け声がそこら中から聞
こえてきます。70〜80人で毎朝だよ。
元気が周囲に渦巻いている感じです。
日々お互いの顔を見ていると、
あれ、今朝は元気ないんじゃない。・・・とか。
よく見ると無精ひげはえてるよ。・・・とか気づきもあります。
まあ、そんなかんだで、日々確認していると、
何だかいつも声が小さい方とか、おざなりに手を合わせるだけのハイタッチをする方もいるんですよ。これが。
そんな方は体操をしてもおざなりです。
コミュニケーション下手なのか?
仕事がやる気になれないのか?
こっ恥ずかしくて、嫌なのか?
悩みでもあるのか?
人それぞれですが、とりあえず、顔だけは確認できます。無理に元気を出させても意味はないので、私は
それで十分とも思っています。
皆さんの職場、特にオフィス業務の職場の方。想像してみてください。自分の職場で全員がハイタッチする
様子を。
何なら、いつもの職場の仲間たちが、飛び上がりながら「イェイ」と叫んでる姿を想像してください。どうです
か?
あっ、想像するときは、ちゃんと知っている仲間や上司、後輩の顔をはめ込んでくださいね。リアルになる
から。職場に元気が渦巻きそうでしょ!
そうそう、思い出しました。これ、切っ掛けはうちの職場で企画した講演会で講師の方が参加者にハイタッ
チをさせて、コミュニケーションの下地作りをしたことにあります。
こういうのをアイスブレイクと言います。
周囲の方と中々コミュニケーションが始まらないとき、ハイタッチをしたらお互いに笑顔で話す切っ掛けに
なりますからねえ。
ハイタッチは元気を生む薬。そんなとこですかねえ。
Column362 2014/6/15up
■ 仕事のセンス2 (プロセスと結果)
仕事のセンスのある者は、細かく指示しなくても、目的を理解した上で適切な手段を自分で考えて迅速に実行するこ
とができる。仕事の目的をきちんと理解していない者は、仕事をやったつもりになっているだけである。仕事のセンス
がありそうな相手であれば質問でアイデアを引き出して成長につなげることも可能である。
・・前回はそんなお話をしました。
理屈は単純なはずなのですが、実際の世の中では、ひとりよがりな若者が多く、自分の考えが常に正しいという、何
の根拠もない空想を描いている者が目立ち、仕事のセンスが無い者が多いなと思ってしまうこの頃です。
テレビドラマではわざとそんな若者を格好良く描いてますよね。上司や先輩の指示を無視し、ルールを守らない新人
が熱意で結果を出すなんてストーリー。その影響でしょうかね。
そして何故か、仕事の目的とそれを実現するための手段が理解できていない者に限って、手段はどうでも結果を出
せばいいんでしょ。というように考えをスライドしがちです。
そもそも、目的がきちんと理解できていないのだから、正しい結果を出すことは難しいのですが。
そんな方々が理解すべきなのは、仕事おいて結果は大事だが、プロセスも重要だということ。
もちろん目的を達成する為の手段は色々あって、優秀な者は色々考えて最適・最速な手段を考え出すでしょう。
しかし、そこで大事なことは、多少労力や時間がかかっても、関係者への配慮・納得感とか、今後の継続性、再現
性やメンバーの成長など、目的や結果に至る途中のプロセスも重要なのです。
まあ、最近の安部政権の動きを見れば、結果も重要だけど、そこに至るプロセスの大切さもお分かりいただけるで
しょう。
手段はどうでもいいのではなく、最適な手段、最適なプロセスであることが重要なのです。
仕事のセンスがある者は、結果に至る最適なプロセスを考えることが出来る。 そう思いませんか?
Column361 2014/6/13up
■ 仕事のセンス1 ( 目的と手段 )
職場では、その人の仕事のセンスが垣間見えることが度々あります。
例えば、「掲示物を貼る」という極めて簡単な作業によって、新人の仕事のセンスが顕著に分かります。
簡単な作業といっても、「掲示物を貼る」ことは単なる「手段」であって、何かを広く伝えるのが「目的」です。その
何かが安全だったり、ルールだったりしますが、いずれにせよメールや連絡文書を1回流して終わりではなく、
日々眼に入り、気に留めておいて欲しいことを掲示するわけで、当然ながら、文字のサイズ等のデザインや貼る
場所そのものも重要です。
にもかかわらずそんな仕事を指示すると、新人ばかりかベテラン社員ですら、読めないサイズで掲示したり、他
の貼紙に埋もれるように貼ってしまう方がいます。もちろん指示してから行動するまで何日もかかるなんていう
のも論外です。
そんな方々にやり直しを指示すると、決まって言い訳が返ってきます。
何故なら、彼らは掲示物を貼るという作業そのものは出来ており、彼らの中では指示された作業が完了している
からです。
しかし、指示した側にとっては、目的が達せられないのであれば何も出来ていないのと同じ。どんな言い訳であ
っても口答えとしか受け取ることは出来ないのです。
まあそんな部下・後輩では面倒をみるのがイヤになる上司・先輩もいるでしょう。単純作業ならアルバイトにさせ
たほうが安上がりですしね。
成長意欲がありそうなら、「この仕事の目的は何だと思う?」その一声をかけてあげるのも手ですが、その程度
のことに自分で気づかないようでは成長は望めません。
また、ベテラン社員に下請会社を評価してくれと指示すれば、単純に単価や納期を羅列して欲しいわけではな
く、 財務体質や協力度合い、将来性なども考慮し、将来に亘って付き合っていけるパートナーかどうか分析し
てくれということです。
そこまで理解して行動できるかどうかで仕事のセンスが分かります。
新人には細かく、ベテランには大雑把に指示するわけですが、「目的」は何かと考えて、効果的な「手段」を迅
速に実行するかどうかによってその人の仕事のセンスは一目瞭然です。
その都度細かく指示すればいいじゃないか?・・と思う方もいるでしょう。
もちろんそんな場面は幾らでもあります。でも自分で考えることが出来ない社員は成長しないでしょう。
だからこそ、新人でも多少仕事に慣れてくれば、「●●を効果的にやるにはどんな方法がよいと思う?」 と質問
してアイデアを引き出すこともあります。
自分で考えた方法で仕事の成果を上げ、「うまくいったね。」と褒められれば モチベーションの上がる社員はた
くさんいますよね。これはコーチング手法でもありますが、敢えてコーチングと言わなくても、 若手を育てるつも
りがあれば誰でもやってますよ。
とはいえ、「センスがない者を幾ら仕込んでも時間の無駄。」残念ながらこれは経験則でもあります。
コーチングにおいても、コーチングが生かせる相手か、そうでないかを見極めることは大前提ですから。
では、結果が良ければ、プロセスは問わないのか?
そんなことを真顔で質問する方が時々いますが、・・「仕事のセンス2」 に続く
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