過去のコラム(Column301〜360)

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Column360     2014/5/12up               


 
■ 真実を見極める感性

  5月10日の朝日新聞によると沖縄で盛んな反米軍基地運動とまっこうから対立する反・反米軍基地運動
  が活発になっているとか。
  とはいえ、反・反米軍の方々は反米軍の方々に抗議するとかではなく、反の方々が基地周辺で海兵隊帰
  れと横断幕+シュプレヒコールをする横で、我々の島を守ってくれてありがとうという横断幕を掲げている
  ようです。もちろんどちらの横断幕も英文です。

  反・反の方々は中国の脅威に対して、米軍の存在価値が一部の政治家以上に判っているのでしょうね。
  日本の政治家、特に前政権の民主党時代には首相自ら、米海兵隊の抑止力効果に疑問があるような発
  言をしていたくらいですからねえ。

  ちなみに米海兵隊の抑止力とは沖縄や尖閣などを中国から守るものという解釈はすでに時代遅れであり、
  東アジアの平和(というか民主主義)を守るものであるという解釈をしないと、世界的には馬鹿にされるよう
  です。まあもはや一国がどうのこうの言ったって一国が出来ることには限りがあるということでしょうかね?

  現政権、自民党の方々の発言も沖縄とか日本の領土を守るという認識から、徐々に、東アジアの現状・権
  益を守るという表現に変わってきているように思います。
  ・・そうでなければ、日本そのものが世界で認められない時代になってきてますからね。

  とはいえ、集団的自衛権議論ではまだまだ、日本人が危険でないのに武力行使を許すのかなんていう反
  論もあって、政治家はもちろんマスコミも、時代に追いついていない気がします。

  とはいえ、色々な意見を述べる方がいるのも民主主義のいいところなんですけどねえ。

  で、実はここまでは前振り・・ 長すぎてすみません。
  最近、朝日新聞の記事や論説が反政府に偏っているのではないかという意見をネットや書物で頻繁に見
  かけます。

  私自身は長い間、朝日新聞の書き方は中立だと思ってきたので、 だからこそ朝日は読むに値する新聞
  だと思っていたのですが、何か最近は朝日新聞は反政府論調が目立つとか、日本の国益を阻害する方
  向に民意を誘導しているという方の発言を頻繁に見かけます。
  まあ言われてみれば最近の朝日はそうかもしれません。

  朝日新聞によると、安部政権はまさに右傾化しているというような論調が多いので、逆に朝日新聞は中
  国を利するのか、実は左翼なのかというような意見がネット上にはあったりも。

  マスコミの存在意義は特定の意見を言うことではなく、事実を報道することであると私は思っているので
  すが、例えば某10時台のニュースでの古館さんや、その前の久米さんの発言なんて完全に政府=悪、
  大企業=悪ですからねえ。
  久米さんが降板した切っ掛けとなった清掃工場のダイオキシン騒動なんてまさに、全く事実に基づかな
  い憶測のみの意見で、近隣農家に風評被害を与えちゃっていましたものねえ。
  古館さんもなんだか同じ雰囲気で勝手な意見を言ってますよね。ニュースを見た方々はきっと、それを
  間に受けますよね。

  ちなみにテレビ朝日の筆頭株主は朝日新聞というのもなんだかつながりを感じますが、古館さんや過去
  の久米さんの発言は彼ら個人のキャラクターだったような気がします。

  で、話は戻りますが、今回の反・反米軍基地運動に対する朝日新聞の書き方も、反・反の方々が中国の
  脅威に対して、沖縄を守るために米海兵隊辺野古基地の県内(県外ではなく)移設が必要という思いを持
  っているということを伝えながらも、問題点を幾つか挙げて彼らの活動を暗に非難している感じに記事を
  仕上げています。・・まっこうから否定をしてはいませんが。

  逆に、新聞によっては朝日新聞とは真逆の右翼ぽい表現があったりと、マスコミは決して中立的ではない
  し、事実のみを報道しているわけでもないということは、皆さんも自分の目で確かめたほうが良いように思
  います。

  まあ、私が今回言いたいことは単純です。
  真実を見るためには、たった一つの報道や意見を信じてしまうのではなく、色々な意見を見聞きして、自
  分自身の感性で、事実は何なのかと考え、見抜くくせをつけ、その上で自分はどうすべきかと考えるべき
  ではないか。ということです。
  でなければ、間違った方向に誘導され、後で気づいた時には手遅れなんてことになりかねません。
  それが私やあなた個人のことで済むのなら、まあいいですが、日本国民全体の将来につながることに関
  するミスジャッジに誘導されていたら怖いなという感じがします。

  もし、ここで皆さんが、何を信じればいいのか判らないという思いを持ったなら、話を政治や報道から、身
  近なコミュニケーションに移すともうちょっとピンとくるかもしれません。

  例えば、会議や集会の場面で、「皆○○と言っているよ。」とか「誰でもそう思っている。」
  ・・・なんて風に意見を誘導するようなやからがいたら、
  「皆って何人中何人ですか?」とか「誰でもって。誰と誰と誰ですか?」と聞き返してみれば、実は皆とい
  うのはごく少数のことだったり、誰でもってほん少しの方だという真実が見えてきます。

  繰り返しますが、政治でも日常のコミュニケーションでも大事なのは、 真実は何かという思いを持ち、そ
  れを見極める目・聞き分ける耳、そして感性を持つことです。








Column359     2014/4/18up              


 
■ コンテキスト(考え方のベース)を考慮する

  最近、外交問題がひっきりなしにニュースネタになっていますね。
  しかも解決はおろか、にっちもさっちも行かないことばかり。

  おそらく、対中・対韓(歴史感、領土)、対北朝(拉致)、対米(TPP)、対ロ(北方領土、クリミア)などメディア
  が取り上げること以外にもたくさんの外交問題がひっきりなしに起きているのでしょうね。
  しかもそれぞれの問題が複雑に絡みあっているのでしょう。

  まあいつものごとく、ここは政治を取り上げるページではないので、細かな中身はさておきますが、ある意味、
  諸外国とのコミュニケーション不調ともいえる現在の外交を評する面白い記事をネットで発見しました。

  日中問題について中国人の知人たちと話す機会のあったコンサルタント業の方のコラムなのですが、曰く、
  一般の中国人の方々(といっても知人3人のようですが)は日本への敵視がそんなにあるわけではないし、
  中国政府はやり過ぎだと思っている方も多い。
  でも彼らが口を揃えて指摘したことは、「日本政府は、日本と中国のどちらが正しいかを主張するばかりで、
  それによって問題が解決すると勘違いしている。どのような言動とることが日本にとって最適なのかを全く考
  えていないように思える。不思議な国だ。」というようなことです。ふ〜ん。

  我々日本人からすれば、日本政府、というか阿部さんの行動は正しいと思っている方も多いでしょうし、日本
  政府は領土問題、慰安婦問題では正しいことを主張していると思っている方は更に多いでしょう。

  でも、親日家ではないものの日本の主張には多少の理解を示している中国人の方々が、
  「そんなことを主張したって何の得にもならない。日本は何考えているの?」という感想を示しているのです。

  大きな隔たりがありますよね。

  この隔たりの原因は、以前にもご説明した日本人と中国人のコンテキスト(Context)の違いによるものでし
  ょう。コンテキストとは文脈、脈絡、状況、背景などと直訳されますが、コーチング的に言うなら、「個人個人
  の考え方のベース(素地)」 です。

  たとえば専業主婦の方と、バリバリの仕事人間とでは、たとえ夫婦であっても考えが一致しづらいでしょう。
  また、政治家と漁師、大人と子供、東京の方と沖縄の方、経営者と一般社員なんて違いによっても、そもそ
  も同じ単語に対する解釈すら異なってしまう場合もあるのです。

  まして中国と日本。同じような外見をした東洋人どうしではありますが、お互いのコンテキスト(考え方のベ
  ース)を考慮せずに、自分の立場を主張するだけでは何の解決も生まないのかもしれません。

  かといって、中国側が自国の言動を日本に合わせてくるとは思えないですよね。

  「人の振り見て我が振り直せ」なんて言葉がありますが、政治、外交はともかく、普段のコミュニケーション
  においても、相手の言葉そのものだけでなく、考えのベースに思いを巡らせながら真意の理解に努めるこ
  とが大切です。

  「うちの部長は何無理言ってんだ。」とか「うちの部下は何故やりもしないうちからあきらめているんだ。」な
  んて思いながら会話をするのではなく、「どういう事情が彼にそんな発言をさせているのだろう?」と考えな
  がら相手の真意を考えていくことが、たとえ面倒に思えても、結局はお互いの合意を得るための近道にな
  るのです。

  相手のコンテキスト(考え方のベース)を考える習慣、大切ですよ。








Column358     2014/3/28up             


 
■ 前向きな行動を引き出す話術

  先般、言葉によりスポーツ選手を本気にさせるコミュニケーション術に関する講演に参加する機会がありました。
  講師は著名なスポーツトレーナーである岩ア吉純さんという方です。

  講演の内容は、試合前の選手たちにどんな言葉をかけて送り出すのか、試合中の選手をどんな言葉で応援する
  のかというものです。講師の方はその話術を「ペップトーク」とおっしゃっていました。

  講演を通して気づいたことは、この話術にはコーチングの要素が満載されているということでした。

  まあ、それはさておき、説明によると、ペップトークの基本中の基本は選手を送り出す際にかける言葉はポジティ
  ブであるべきとのことです。

  簡単に言えば、
  「負けるな!」(ネガティブ) ではなく、「勝て!」(ポジティブ)。
  「ミスするな!」(ネガティブ) ではなく、「おまえなら出来る」(ポジティブ)。・・ということのようです。

  なでしこジャパンの佐々木監督は、例のワールドカップの決勝戦でのPK戦を前に、選手に対して、「はずすな」と
  は言わず、「楽しんで来い」と声をかけてPKに送り出したとか。そういえばその話って結構有名ですよね。

  何故、ポジティブな言葉を使うと良いのかというと、ネガティブなイメージは一旦頭に入ると何故か頭に棲みついて
  しまい、中々払拭できないからだそうです。
  だから、お子さんを叱る際も、「お前は本当に駄目なやつだ。」なんて決して言ってはいけないのです。
  そんなこと何度も言ったら「自分は駄目な人間だ。」という思いが相手の頭に染み込んでしまいます。

  ちなみに、講演でも説明がありましたが、一般に知られている「期待を込めてポジティブな言葉をかけることにより、
  実際に期応えてしまう」ピグマリオン効果とは逆に、ネガティブな言葉をかけてやる気を奪うことをゴーレム効果と
  言うそうです。
  それは知らなかったなあ。

  ちなみに、最近よくトイレで見かける表示 「綺麗に使っていただいてありがとうございます。」は、「汚すな!」より
  はるかに効果があることが実証されているらしいですよ。

  そして、相手に行動を起こさせるという目的で声をかけるなら、具体的行動をイメージできる言葉をかけるのが効果
  的だそうです。

  つまりは、
  「廊下は走るな」ではなく、「廊下はゆっくり歩こう」。
  「転ばないように気をつけて」ではなく、「足元に注意して」。
  「三振するな」ではなく、「ボールをよく見て打て」。
  ・・・という言葉をかけるということ。

  よって、駅の放送も、「駆け込み乗車はおやめください」ではなく、「ゆっくり歩いて、次の電車をご利用ください」と
  するべきだそうです。・・・なるほど。でも実践されてはいないですよね。

  まあ、これだけだと自分で考えさせるというコーチングの手法とは若干異なりますが、

  ● コミュニケーションの土台はラポール(相手との信頼関係)。
    そのためにすることは、会ったら挨拶する、褒める、敬意を払う、関心を持つ、共感する、まめに接する、クイッ
    クレスポンスなど。
  ● 行動の結果はもちろん、行動そのもの、相手の存在そのものを承認する。
  ● 耳だけでなく、目と心で聴く。

  という手法がコミュニケーションで実践すべきこととして講演の中で紹介されており、まさにコーチングだよねこれ、
  なんて思った次第です。

  そして、セルフコーチングと同じく、セルフペップトークなるものもあるそうです。
  「俺なら出来る。」「俺なら勝てる」と自らに言い聞かせ、自分のイメージを作っていくことで、それが徐々に真実に
  なるという考え方です。

  どちらかというと、スパシーボ効果のようなものですよね。
  スパシーボ効果とは、本当の薬ではなくても薬だと信じて呑まされていると、あるはずのない効果が出てくるという
  ものです。

  コーチングではよく、自分の調子の悪い部分を戦闘機で攻撃するイメージを日々もっていると、実際に効果がある。
  ・・という事例が紹介されていますが、イメージが自らの免疫力、治癒力を高めるということなのでしょうかね。

  まあ、呼び方は色々ありますが、前向きに行動するための手法。 皆さんもやってみませんか?








Column357     2014/3/19up             


 
■ 自分の頭でしっかり考えよう

  先般、TVタックルでもおなじみの慶応大学教授、というより外交ジャーナリストの肩書きのほうがしっくりくる手嶋龍一
  さんの講演会に参加する機会がありました。
  しかも私が理事を努めている団体の関係先が主催していたため、仕事の一環としての参加となりました。
  たまたまですが、このHPの「最近読んだ本」でも紹介している例の元外交官佐藤優さんと手島さんが共著している書
  籍を何冊か読んでいたので、私にとってはとても興味深い講演となりました。

  内容的にはソチオリンピックやウクライナ・クリミア情勢をキーとして、日・中・韓・米の関係へどのような影響があるか
  とか、TVニュースや新聞などのマスコミがきちんと報道できていないと思われる国際情勢や各国間の外交、靖国参
  拝を始め、阿部内閣の言動が与える影響などに関する手島さんなりの見立てを披露していただきました。

  そういえば、この「見立て」という言葉は、つまりは分析という意味合いではありますが、最近では古舘さんもニュース
  で使いだしており、手島さんの影響を受けているのだろうなんて、私は勝手に想像しています。

  それにしても、もしかしたら一般の皆さんが「ウクライナやクリミアなんて地球の裏側の出来事だよ」程度に考えてい
  る出来事が、我々日本に多大な影響を与えかねない、いや確実に影響を与えるというような内容は、それに近い内容
  の著書を既に読んでいてさえ、ぞくぞくする内容でした。

  世間の国際情勢評論家を名乗る方々がニュースで解説していることに対し、情報源をも説明し、真っ向から否定する
  内容もあり、予備知識なく講演会に参加した一般の方々の中には、冷や水を浴びせられたような気持ちになった方も
  いたことでしょう。

  例えば、ウクライナはロシアにとって旧ソ連時代からの科学、軍事の研究・生産拠点であり、それを失うようなことは
  軍事力を行使してもプーチン大統領が防ぐはず。・・とか、
  靖国参拝に対するオバマ大統領の「失望」という表現は中国・韓国との関係悪化に失望しただけで、参拝に失望した
  わけではないなんていう一部の評論家のもっともらしい分析は全く的外れであり、オバマさんは本当に怒っている。
  ・・・という指摘。

  いったいこの先日本はどうなってしまうのだろうか、我々も真剣に考えなくてはという気にさせてくれる講演でありまし
  た。

  例えば、靖国参拝に賛成する方が過半数に達しているような国内の調査結果が幾つもあるようですが、単純に賛成
  ・反対ではなく、そのような日本国民の思いを踏まえた上で、諸外国とどのように付き合っていくべきなのかを皆が真
  剣に考える国にならなくちゃなあ。・・なんて思ってしまいました。

  実際、そんな講演の後に帰宅してTVをつけると相変わらず、お笑いやら、食べ歩きだの、まあそれ自体悪いもので
  はないし、気晴らしにはなりますが、どのチャンネルでも呑気に似たような番組が洪水のように毎日毎日、公共電波
  に流れる様には、日本のマスコミは大丈夫かな と呆れてしまいました。

  また、ウクライナ情勢の報道は結構流れていますが、確かに手島さんが言うように、日本の将来と結びつけて解説
  される報道も見かけないですし、これでいいのかなあという感じ。

  皆さん、どう思いますか?
  いや、どう行動していくべきと思いますか?

  まあ、目の前に見える、聞こえることだけを真実と思うのではなく、色々なことを自分の頭でしっかりと考えたほうが
  良さそうですね。

  ちなみに、
  手嶋さんや佐藤優さんが好んで使う「インテリジェンス」という言葉は、単なる「雑多な情報(インフォーメーション)」
  とは区別して諜報活動と訳されることがありますが、手嶋流では「重要な判断を下す材料となる情報収集」というよ
  うに使うそうです。・・なるほど








Column356     2014/2/21up             


 
■ 当事者意識を育てる

  社員の仕事に対する当事者意識が薄い。 一人ひとりが真剣に考えて行動して欲しい。
  業績が低迷している企業の多くでは、そもそもの原因と思われる経営層のリーダーシップの欠如・などはさておいて、
  業績低迷の原因の一つとして社員の「当事者意識」を上げ、社員や管理職にハッパをかける例をよく見聞きします。
  時には、ドラッカーの言う起業家精神なんかが強い当事者意識の例として引き合いに出されたりもします。

  もちろん、当事者意識のない社員なんて世の中に五万といるでしょうし、実際、業績低迷の理由かもしれません。

  しかし、しかし、当事者意識のなさが業績低迷の真の原因であれば、社員が当事者意識を持てない理由を掘り下げ
  てみて、その理由をやっつけ、退治しないことには始まらないのではないでしょうか?
  でも、ハッパはかけることはあっても、具体的に対処したという話は、TVで話題となるような企業を除いてはほとんど
  聞 かないよね。

  ちょっと大げさですが 、
  多くの経営者はきっと精神論でなんとかなると考えているのでしょうね。
  新商品開発、技術開発、市場開拓、コスト削減、そんなかんだの困難なボトルネックの全てが当事者意識でなんと
  かなるはず、だと。まるで旧日本軍だね。

  では、では、何で社員は当事者意識が持てないのでしょうか?
  今どき、終身雇用なんて当てに出来る時代ではないし、企業の原資も限られて、中々十分な処遇は期待出来ない。
  頑張ってもいいことないなあ。なんて・・ う〜ん。それも一つの理由かな。

  でも、私が気づいた、社員の当事者意識をつぶしてしまう理由はもっともっと単純明快です。
  皆さん職場では、仕事の方向性を決めているのは誰ですか、あなた、上司、同僚。いやいや合議で決めている。
  まあ、色々あるのでしょうけど、やっぱ最後に決めるのは職場のボス、職制上の上位者、部門長とか、社長とかです
  よね。
  つまりは、結構時間をかけて、色々議論して積極的な意見を言っても、最後に決めるのは結局、上司。

  職場にはヒエラルキー(階級制度、上下関係)ってものがあるので、それが当たり前ではあるのですが、
  それなら、長々と会議をする必要も、議論する必要もないですよね。
  今までの価値観とは異なるアイデア、斬新なアイデア が選ばれるのではなく、既存の延長線上にあって安心でき、
  上司がOKしたアイデアが、一見議論は十分に行った、皆で決めたという証拠作りの為の会議を経て採用される。
  というのが現実でしょうか。
  
  おいおい、それではモチベーションなんてなくなっちまうだろ。そう思うことが頻繁にありませんか。
  そうなんです。あなたの言う通り、それがズバリ、当事者意識が持てない理由ですよ。

  多くの職場では上司や部門長は当然ながらベテラン社員です。 当然、彼らの意見は経験に裏打ちされており、
  安心出来るものが多いです。でもでも、今の業績不振を招いたのも、そもそも上司や部門長や経営層の判断や行
  動が原因だったのではないでしょうか?

  今の世の中、何をやっても商売はうまくいかないよ。
  そんな言い訳も聞こえてきそうですが、世の中には厳しい時代でも経営者の強力なリーダーシップによって業績を
  向上させている企業はあります。
  また、そんな言い訳をする連中ほど、社会環境・経済環境の向上により自社の業績が上向けば、自分の手柄のよ
  うな顔をしてしまいます。

  話は戻りますが、では、どうすれば社員の当事者意識を取り戻すことが出来るのか?

  理屈からすれば簡単、社員の意見が企業経営・企業行動に反映されればいいだけです。
  これはきっと報酬UP何かよりも、ずっとモチベーションを向上させます。
  とはいえ、そもそも意見を反映させられる機会もそんなに多くはないようにも思えます。
  今まで通りの仕事の方向性の決め方をしているのならね。

  今まで通りではないということは、上司や部門長などの上司者が会議の結論に口をはさまない。ということになりま
  すが、皆さんに出来ますかねえ。

  例えばブレーンストーミング。自由に意見を出し合う手法であり、多くの企業では昔から流行っていますよね。でも
  ブレーンストーミングのキモは、人の意見を否定しないことですよ。それがどんなにしょうもない意見であってもね。
  出来てないでしょう。
  名前はブレーンストーミングと言いつつ、上司や先輩社員、単に経験豊富な社員、声の大きな社員の意見が通る
  ことは多いですよね。参加者はもう白けちゃってますよ。
  ブレーンストーミングは意見を無理やり言うだけ言わされて、最後は否定され採用されない会議のことだと思って
  いる方って結構多いですよ。ホント。

  否定的な言葉が並んでしまいましたが、 実は、当事者意識を引き出す方法は単純です。
  くだらない意見と思えても可能性があれば採用し、実行してみる。
  若い方、経験が不十分な方も、彼らの技量をきちんと見極めた上で、ある程度の権限を与えて仕事を任してみる。
  まあ、言うなら失敗を恐れずやらせてみるということです。

  会議のみならず、仕事への参加意識、自分の考えで、仕事が前に進んだという思いが少しづつ社員の当事者意
  識を引き上げます。

  そんなに簡単のいかないよ。そう思う方はそれまでです。
  私は以前、事務処理ばかりやっていてつまらなそうに勤務していた女性社員に、使用頻度の落ちた厚生施設 (リ
  ゾートマンション)の売却をやらせてみたことがあります。
  もちろん、勝手に売り飛ばしていいものではなく、社内手続きが必要ですが、ある程度サポートしながら、情報収
  集と、売却先と売却価格の決定は任せました。まあ、職場にいるベテランがやればもっと高く売れたかもしれませ
  んが、簿価より高く売れれば良しという条件をつけたので、細かな部分ではベテランの先輩方がサポートしていま
  すが、主導権は彼女がとり、彼女は事務仕事の範疇を飛び出して色々と動き回った末、きちんとそれをやっての
  けました。

  私が役員会の承認を経て、彼女の作った売買契約書に印鑑をつき、彼女に渡した瞬間。
  それがまさにそれ以降の彼女の当事者意識が開花した瞬間でもあったのです。

  別に大きな仕事や危険な仕事を任す必要はありません。
  きちんと意見を聴いて支障のない限りはその意見を採用したり、今までなかった権限をちょこっと委譲する。
  その積み重ねが当事者意識を生むものと思います。








Column355     2014/2/15up             


 
■ その議論、大雑把過ぎませんか?

  原発反対! いや原発賛成!
  世間では政治家や有識者による議論が絶えませんねえ。

  政治的発言はこのページの主旨ではないので、私が賛成か反対かは述べませんけど、実は心配なことが一つあり
  ます。

  そもそも、反対の対象となっている「原発」とは 「ウラン」、 「プルトニウム」など 放射性化学物質の「核分裂反応」
  による発電、もしくは再処理燃料を使用した増殖炉等による発電のことを指しているのだと思います。
  危険ですからねえ。
 
  しかし、おそらくは 一般の方の理解は単に「原発反対」、もしくは「核反対」であり、ウラン反対、プルトニウム反対、
  核分裂反対なんてことまでは理解してはいないでしょう。
 
  その中で、核分裂ではなく、ウランも プルトニウム も使用せず、核分裂と比較すれば安全性の高い「核融合反応」
  による発電についても一緒くたにされているような気がします。

  現在実験中で、将来有望、かつ安全な発電事業として研究者が注目する「核融合反応」 による発電事業まで 葬り
  去られるのではないかと危惧されます。

  これだけだと、何のことだ、核分裂も核融合も一緒だろと思われそうなので、ちょっとだけ解説します。

  原発が何故危険かというと、放射性物質であるウランを燃料とするが故に、核分裂が暴走したり、放射能の漏れ出
  しによる被爆や汚染の可能性があるからですよね。

  ところが、現在、研究が進められている核融合反応による発電の燃料は「重水素」と「リチウム」であり放射能とは縁
  がなく、核融合反応も理論的には暴走しないようなのです。

  そればかりか重水素は海水から取り出せるため無尽蔵であるという、まあ研究者の言葉を借りれば夢のような発電
  のようです。・・その研究・実験が日本でも行われているというのは私も最近知りました。

  そんなかんだと考えると、単に「原発」 というのは、あまりにもかなり大雑把で一括り過ぎますよね。
  「原発反対」「原発賛成」なんていう争点も報道も、大雑把すぎますよ。

  にも関わらず、「核」や 「原子」という言葉が使用されるが故に、原発反対の言葉に抱合、誤解され、研究がついえ
  てしまうのではないかと危惧しているのです。

  核融合発電の実用化にはまだまだ何十年かかかりそうですが、石炭、石油、天然ガス、場合によってはウランま
  でもが枯渇する未来において、安全で光や風力よりもはるかに高出力な発電をおこなうための基礎研究は続けて
  いただきたいものです。

  同じように、世間や皆さん自身の色々な議論を振り返ってみると、もしかしたら大雑把過ぎて、本質が十羽一から
  げに誤解されている議論がたくさんあるかもしれませんよ。








Column354     2014/2/11up             


 
■ コミュニケーションと成績の関係

  コーチAのメルマガを読んでいると面白い記述がありました。
  生徒の学業成績は教師とのコミュニケーション量に比例しているというのです。コーチAの専務でもある桜井
  さんが以前雑誌で見かけた記事に書いてあったようです。

  コミュニケーションの内容(定義)、コミュニケーション量の計測方法や、調査対象によっても分析結果は変化
  するのでしょうけど、教師とのコミュニケーションにより学業に向けたモチベーションが向上する生徒は確かに
  存在するだろうなあと思ってしまいました。

  しかし、興味を持ったのはそのことではなく、上司とのコミュニケーションが多い部下は業務成績が向上する
  のかという私自身の思いつきです。

  まあ、理屈だけ考えるなら、バリバリ仕事をする社員は上司とのやり取りも頻繁にならざるを得ないので、上
  司とのコミュニケーションも自ずと増えるようには思えます。
  そこで考えてしまうのは、コミュニケーションが多いから業務成績が良いのか、業務成績が良いから、結果、
  コミュニケーションも多かったのかです。

  ニワトリが先か?卵が先か?

  しばらく考えた後、ふと、そんな机上の理屈から抜け出して周囲の社員の顔を思い浮かべてみると、
  そもそも優秀と言われる人材は、時に上司に相談もせずに突っ走ることもあり、必ずしもコミュニケーションが
  多いとは限らないことに気づきました。

  逆に、頻繁にコミュニケーションしていても自分からどんどん動くことが出来ない者は、優秀な業績には程遠
  いように思えます。

  コミュニケーションの内容にしても、
  「君はこの仕事をどのように進めたい?」「目指す結果はどんな状態かな?」
  なんて前向きな思考をあおる質問をしてくれる上司ばかりでもありませんよね。
  上司はコーチではありませんからね。

  そんな風に、何だかんだと考えていると、こと仕事に関しては、上司とのコミュニケーションの量が部下の業務
  成績に比例することはないように思えてきました。

  「強い当事者意識を持って仕事をしている。」
  「担当業務に対する興味が強い。」 
  「短気でありどんどん仕事を進めないと気がすまない。」
  「先を見通している。」
  そんな方のほうが確実に高い業績を上げる社員のように思います。

  どうでしょう。








Column353      2014/1/26up            


 
■ 完璧主義の言い訳

  皆さんの周りには、「○○さんは完璧主義だよ。」そんな風に批評される方がいませんか。

  そんな、周囲の方から完璧主義と評される ○○さんたちの ふだんの行動をじっくり見ていると、決して仕事や遊び
  に関する行動が隙なく完璧にこなせているわけではないのに気づかされることが多いのです。

  私の周囲の○○さんたちの行動を正しく表現するなら、多くのケースでは、「完璧主義」などではなく、「細かいこと
  に気づく人」とか「気が回る人」程度で十分であり、時には「要求が細かい人」という表現に落ち着きます。

  そして、そんな○○さんの多くは、仕事でも、趣味でも物事を深く追求し、じっくり考える方であったりもするので、
  結果、仕事が中々進まず、停滞を招いていたりするのです。
 
  当然ながら複数の仕事を同時に、迅速かつ完璧にこなすことも出来ません。

  おそらく○○さん自身には、何事もきちんと考えて進めなければいけないという思いがあり、それが本人の足かせ
  になっているようにも思います。

  逆に、完璧主義とは言われることはないものの、てきぱき行動し、多少の抜けがあっても次々に仕事を片付けてし
  まうような方は、おそらくは物事を深く追求しない方なのでしょうけど、「仕事が速い人」などと言われ、周囲の評価
  は高かったりもします。

  中には、深く考えずに行動し過ぎる方もいて、「楽天家」、「能天気」 などと評されてしまっては元も子もないので
  すが。

  実際に何でも完璧に出来る。そんな方は世の中には存在しません。たぶん・・・。
  本来は特定のジャンルで細かいだけ。そう考えるのが妥当な気がします。

  たとえば、メンタルヘルス的にも、完璧主義思考の方は、実際にそれが実現できないため、仕事が前に進まなか
  ったり、心の重荷になったり、マイナスイメージが強いのです。

  所詮、完璧主義は前に進めない者の言い訳に過ぎない。
  そんな風に考えれば、逆に気が楽になる。私はそう考えることにしています。








Column352      2013/12/2up              


 
■ 否定脳は客観性を育てる

  TVドラマの中で主人公が罠にまったり、失敗をしでかすに違いないシーンが出てくると、お茶の間で見ている
  あなたは、何でこんな簡単な罠に引っかかるのか、とか、どうみても危険なのに何でそっちへ行くのかと、あき
  れたり、アホな主人公だと思ったりすることはありませんか。

  もちろん視聴者にヤキモキさせるのはTVドラマの演出です。でもその時のあなたはTVの画面の外からその
  シーンを見て、主人公だけでなく、他の登場人物の動きも把握し、ドラマの登場人物にはない客観性を持つこ
  とが出来ているからこそ、危険に気づき、主人公の行動にヤキモキしたり、呆れたり出来るのです。

  オレオレ詐欺だって、冷静かつ客観的に考える余裕があれば引っかかるはずはないのですが、現実の被害
  者にとってはそんな余裕はなく、会ったこともない相手にまんまと現金を渡してしまうような事件が後を絶ちま
  せんよね。

  もしあなたが、実生活や仕事の中でもドラマを見ている時のような客観性を持ちたいなら、手っ取り早い方法
  は冷静な第三者の意見を聴くことなのですが、中々、人の意見をそのまま受け入れる方っていませんよね。
  しかも、正論であればあるほど受け入れがたかったりします。

  そして、人の意見には思い込みや勘違いなどの偏りがあり、複数の意見を耳にするうちに、どれが正しい意
  見なのかはわからなくなったりもしますよね。
  でも、商品を買おうかと迷っている時に、「残りわずかです。」とか「これは良い品ですよ。」「お似合いですよ。」
  なんて、店員から背中を押すように声をかけられるとついつい買ってしまって、後で後悔したりも。
  また、会議で声が大きな方や地位の高い方が「この案で行こう。」と言えば、ろくに検証もしないで右にならえ
  をすることもありますよね。
  店員のアドバイスは見え透いたお世辞だし、偉い方の意見はきっと正しいなんて思い込みにすぎないのです
  けどねえ。

  つまり多くの方々は、周囲の状況を冷静かつ客観的に観察し、確固たる判断基準に基づいて正しい判断、言
  動をするのが苦手なのです。よって、感情的になりやすい方はもちろん、普段冷静な方であっても予期せぬ
  質問や突然の出来事に対して100%適切な対処が出来るかどうかはかなり疑わしいのです。

  最近雑誌で、肯定脳、否定脳という言葉を目にしたのですが、世の中には目の前の出来事や人の意見を、
  まずは肯定して考える方と否定して考える方がいるそうです。
  あなたが人の意見を受け入れるのが物事を考えるスタートラインの肯定脳であれば、「せっかくのアドバイス
  だから参考にしよう。」となるのですが、逆に否定するのが物事を考えるスタートラインの否定脳の場合は、
  「人の意見なんてどうせあてにならないよ。」となるかもしれません。

  また、多趣味な方は肯定脳、趣味がほとんどない方は否定脳なんて考え方もあるそうです。 まず面白そうと
  思うのか、つまらなそうと思うのかという違いが出るのでしょうかね。

  で、あなたが出来るだけ冷静でいたいと思うのなら、目の前の出来事から一歩視点を後ろに下げてTVドラマ
  を見ているように、出来るだけ客観的に考える努力をするべきなのでしょうね。その時手助けをしてくれるのが
  否定脳。せっかくのアドバイスが正しいとは限りません。そんなはずはない。そんなに単純ではない。しい。と、
  普段の自分は肯定脳だと思う方もあえて否定脳になってみる。

  肯定脳≒楽観的、否定脳≒悲観的という捉えかたもあるかもしれませんが、
  むしろ、肯定悩=検証不足、否定悩=十分な検証という捉え方のほうが正しいように私は思います。

  客観性を持つということに話を戻すと、コーチングの効用の1つに「気づき」というものがあります。
  コーチは相手が自分自身では気づかない行動や良い点、悪い点などを、意見や批判ではなく、見たまま、聴
  いたまま、思ったままの客観的事実として本人にフィードバックします。

  「仕事が速くなったね。」「意見が出るようになったね。」「ニコニコしてるね。」「今日は具合が悪そうだね。」
  などなど。

  この時、肯定悩の方は素直に相手の言葉を受け入れ、否定悩の方はそんなはずないよ。と思うのでしょう。
  だからこそコーチ役の方にとって大事なのは、脚色もなく、意見もなく、単純に見たまま、聴いたままを
  相手にきちんとフィードバックすることなのです。

  時には、「今日は手伝ってくれて助かったよ。」「皆喜んでたよ。」とか、自分や周囲の思いを加えることもあり
  ますが、率直な事実のフィードバックを重ねることで、相手は無意識の自分の言動に関して、仕事が上達し
  た、役に立った、周囲を喜ばせた、などの客観的事実に気づくことが出来るのです。

  否定脳の話からはちょっと脱線しましたが、コーチングは自分自身にだって出来ます。
  そう、セルフコーチングです。自分自身にコーチングするために、絶対必要なのが客観性です。

  常に冷静にいたいと思うのなら、自分自身の現状を正しく見極めたいと思うのなら、否定脳を持って、自分の
  客観性をみがいてみてください。








Column351      2013/9/16up            


 
■ 褒めて伸ばす ・・・ 忘れていませんか?

  軽自動車に強いS社のTV・CMで、車を褒めて燃費を伸ばしたというシーンがありますよね。

  機械を褒めても性能は向上しないかもしれませんが、このCMって、人を褒めて能力を伸ばすという指導の原点を
  思い出させてくれる良いCMだなと思っています。
  S社では、研究開発の社員の出した成果をきちんと褒めているのでしょうね。・・・きっと。

  コーチングでは、成果と呼べるほどのことでなくても、今までとの違い、時には昨日との違い、ちょっとした進捗など、
  本人が気づかない程度のことであっても、相手にフィードバックすることで、自身の成長に気づかせることが指導法
  の一つとなっています。
  ある時は「褒め」であるし、ある時は「あなたのことをきちんと見ているよ。」というメッセージにもなります。

  でも、あなた自身の実際の環境を見回してみてください。
  あなた自身が褒められたり、周囲に見守られているというメッセージを感じることがあったり、あなたが誰かにそんな
  メッセージを発っするようなシーンが頻繁にありますでしょうか?

  実のところ、そんなシーンに出会うことは、中々ありません。
  褒めることは成長に効果があると思っていても、では何を褒めようかと考えると、中々理由が見つからず、褒めるのが
  難しかったりするからです。
 
  そこで、
  褒めようと思うとハードルが高くなってしまう皆さん。前述のコーチングの考え方を使って今日は一歩前進した、
  今朝は元気が良い、大きな声で返事が出来た。
  ・・・そんな昨日との違いを相手に率直にフィードバックしてみてください。

  人は人に見られている。
  人は人に良く思われたい。
  仲間意識を感じると頑張れる。
  そんな人と人との関係性を理解して、相手が満足するように接することはコミュニケーションの基本です。
  ○○君は頑張ってるなと思ったら、きちんと口に出して伝えてみましょう。








Column350      2013/8/8up              


 
■ 地方か、首都圏か? 田舎か、都会か?

  最近、とある企業団地の幹事を務めることになったのですが、そのおかげで、地元 (と言っても居住地ではありません)
  の商工会議所の方々との付き合いが出来ました。

  その延長線上でハローワークでの会合に呼ばれたのですが、 私のような立場の方々が大勢いて、 私はその他大勢の
  1人なのかと勝手に想像していたところ、14、5人ちょっとの会合で、民間人は私ともう1人だけでした。
  その他はハローワーク、監督署、近隣各市の商工会議所の代表の方々で、雇用問題について話合う場だったのです。

  どうやら、もう1人の民間人の方は中小企業の代表、そして私の立場は大企業の代表、というか代弁者のようです。
  そして当日の議題は、高校新卒者の就職内定率の引き上げ。

  出席者は順番に雇用対策の実施状況を説明しますが、 何ともやる気の疑われる内容ばかりでした。 ようは雇用側の
  実情がわかっていない様子。

  そして、私の発言の番。
  アベノミクス効果どころか、企業は、皆苦しい状況。 仕事はあっても利益はでない。
  採用といってもそんな中で、メンタル不全者の解雇も許してもらえないし、身障者の雇用率も引き上げが要求されていま
  すが、そもそも優秀な高校生が首都圏にいるのでしょうか? わが社も近隣各社も、茶髪じゃないまじめな高校生を採用
  しようと地方を廻って苦労しているのが実情ですよ。 ・・・・・ というような発言をしました。

  この発言に対し、各市の商工会議所の方々は、企業が地方廻りをしている実情が判って良かったとのこと。

  うーん。確かに地方には、茶髪じゃないまじめで優秀な高校生がいます。
  でも、昼間から人通りの少ない、青森の駅前を歩いていると、地方に産業を興すことのほうが重要なのにな。なんて思っ
  たりしちゃいました。

  日本って東西の首都圏と、一部の地方大都市だけがすべての国ですよね。田舎に住んでたら一人前の社会人じゃない
  みたいな。
 
  ちょっと寂しい国ですね。








Column349     2013/6/17up              


 
■ 日本は右傾化している・・に見るコンテキスト(思考の背景)の違い

  最近の阿部首相の発言や行動に対し、諸外国から、日本は右傾化しているのではないかとの発言がでているとの報
  道を目にした方は多いと思います。中国や韓国ばかりでなく、米国からもそんな声が上がっているようです。
  皆さんはこの報道をどう思いましたでしょうか?

  確かに右傾化している。 排他主義になりつつある。
  いや、日本は周辺国と友好関係を結ぼうと努力している。軍備も大したことはない。
  等々、意見はいろいろあるでしょう。

  ここは、事の真偽を議論するHPではないので、本当に右傾化しているのかどうかはさておくとしますが、それでも、おそ
  らく多くの方の受け止め方は、
  「今時、周辺国を侵略しようとなんて思っている日本人なんているはずないのに、どうして右傾化しているなんて思われ
   てるのだろう? 外国人は何でかたよった思い込みをするのだろう。変なやつらだ。」
   ・・・・なんてところなのではないでしょうか?

  きっと、「日本は右傾化している」は、
  ある観点からみれば正しいのでしょうし、また別の観点から見れば全くの誤解でしょう。
  正解、つまりモノの考え方は人の数だけあるのです。

  仮に、日本の右傾化が完全な誤解だとしたら、誤解されないためにはどうすれば良いのかと考えるべきでしょうし、実は、
  もっと大事なことがコンテキストなのです。

  コンテキストって何?

  コンテキスト (Context) とは、例えば橋本市長の言う、「文脈を無視して報道されたため、「慰安婦に反対」のはずが、
  「慰安婦に賛成」と全く逆の報道をされてしまった。」 といったような使い方の「文脈」がコンテキストです。
  だいたいが、前後関係、文脈、背景のいずれかでコンテキストの訳語としてぴったりくるでしょう。

  話をもとに戻すと、
  今回の右傾化の場合、コンテキスト、つまり「思考の背景」が、我々日本国民と諸外国の方々では違うのだと考えるべ
  きでしょう。

  政府の真意を十分に知らなくても「日本が軍備を強化するのは周辺国事情を考慮した防衛の為だし、靖国参拝も戦死
  者の弔いにすぎないし、今更、政府レベルで右傾化したり侵略思考を持ったりするはずない。」
  と自然に考えてしまう我々の思考の背景と、

  「日本は軍備を強化したり、戦犯を弔ったりと極めて右傾化しており、再び侵略を始めるかもしれない。」
  と考える諸外国の方々の思考の背景は全く違うわけです。

  実はここからが本日の本題なのですが、
  コンテキスト (思考の背景) は、同じ日本人同士であっても、育った環境や経験で大きく異なるものだし、むしろ、誰も
  が同じような考え方をしてたらおかしいくらいに思った方がよいかもしれません。

  では、どうしたらコンテキスト(思考の背景)の溝を埋めることが出来るのでしょうか?
  当たり前のことですが、相手との対話を増やすこと、相手を理解しようと努力すること、相手の立場になって物事を考え
  てみることで、溝は少しは埋まるでしょうね。
  でも何故か、その当たり前のことが中々できないのですよね。

  他に出来ること。それは、共通の経験・体験を増やすことです。
  国同士であれば、協力して事業を行うとか、文化・スポーツ交流を増やすとかですが、身の回りの方々との関係であれ
  ば、一緒に仕事をしたり、遊びにいったり、飲みにいったりすることだって役立ちます。

  昨今の企業では、スポーツ大会や社員旅行めいたものはほとんど無いでしょうし、飲み会に行かない社員もいるようで
  すから、難しい時代ですよね。いかに相手とのコミュニケーションの量、質を確保するかが重要な時代かもしれませんね。








Column348     2013/6/12up             


 
■ 活気がある社会は選択肢が多い

  AKB総選挙、安部首相、サッカー。何だか活気のあることが世間に増えていますね。
  でも、TVをつけるとくだらないおしゃべりしか出来ないお笑い芸人と、歌の下手な歌手ばかりが目だって、
  いつもげんなりします。

  でも、ふと思い出すと、うん十年前のTV番組もそんな感じでしたね。ネットなんか無いから特にくだらない
  TV番組に毒されていたような気がします。
  よく考えれば、好きだった音楽も、親からは何だかうるさい外国の曲と思われていたし。

  そう考えると、こんなに情報過多になって、昔とは違った世間であっても、繰り返し繰り返し似たようなこと
  が起こっているのに過ぎないのでしょうかね?

  でも、昔好きだったLPレコードかFMラジオでしか知らなかったバンドが今ではユーチューブで検索すれ
  ば当時のままの姿で見れますし、情報量は圧倒的に増えています。

  そんな、かんだと考えていて、昔との違いに気づきました。
  そう、今は、興味の選択肢が圧倒的に増えているのですね。
 
  関わり方によっては、広く浅くではなく、広く深く興味を持つことも可能です。
 
  いやあ、でも昔とか言っていますが、以前、今は成人した娘が中学生くらいの時、昔はどうのこうのと数
  年前のことを話していたので、びっくりしたことを思い出します。
  とはいえ、
  先週末にたまたま通りかかったショッピングセンターの楽器屋さんで、昔(大昔)好きだったジミ・ヘンドリ
  ックスのポスターが貼ってあるのを見つけて、若者には誰だかわからないだろうなあ。なんて思ってしま
  いました。
  カミサンもジミヘンなんか知らなかったしね。








Column347     2013/6/1up              


 
■ 出来ない言い訳の真理

  「出来ない言い訳をあれこれ並べるのではなく、どうすれば出来るのかというアイデアを出してくれ。」
  巷でよく聞くセリフです。
  昨今のような不景気な時代、経営層がそのような思考を社員に求めるのも致し方ないでしょうね。 先日見かけた文章
  でもほぼ同様なことが書かれ、出来ない理由は「壁」ではなく、解決すべき「ヒント」であるというような考え方が示され
  ていました。

  もちろん一理ありますが、一言で言うなら「言い訳をするな。」です。
  ・・・ なんとも保守的なこの考え方って昔からありますよね。そして何とか出来る方法を考えた社員のアイデアに難癖
  をつけて実現させないのも何故か同じ経営層なのです。しかも、経験が不足する若い社員が素晴らしいアイデアを考
  えても若さだけが理由で通らなかったりもします。

  うがった見方をすれば、経営層は自分で考えた方法をトップダウンで社員に実行させるのではなく、 社員に色々な戦
  略・作戦・利益創出方法をボトムアップで考え出させ、しかもその中で、「自分自身の考え方に近く安心出来る数少な
  いアイデア」 を採用するわけです。

  本当に良いアイデアを社員に生み出させようとするのなら、 「言い訳を並べるな」 なんて言うのではなく、風通しの良
  い社風を作り、年齢や経験ではなく、アイデアの中身をきちんと吟味する体制を構築すべきです。

  それが出来ない経営者が本当に企業を引っ張っていけるのかどうかは企業の事情にもよるとして、ある意味、言い訳
  に封をして、従来の考え方の枠組みからはみ出すような考え方を良しとする思考方法には大きな危険が伴います。

  「法規制に引っ掛かるからダメ。」
  「社内の規則や意志決定ルールに反するからダメ。」
  そんなこと言おうものなら、「お役所だ!」の一言で片づけられてしまうこともあるのです。
  多少よくても 「だからそれをクリアする方法を考えろよ!」 と言われるわけです。

  じゃあ、法律やルールの立場はどうなるのでしょうか?

  法律にはよく言う「スレスレ」なんてものは存在しません。合法か、違法か2つに1つでしょ。黒か白。
  仮に抜け道となるアイデアがあり合法だったとして、 その方法は法的には許されるけど倫理的にはどうなのかと考え
  てみてください。

  典型的な例は脱法ハーブ。
  現行法では規制されていないけど、違法な麻薬とそうは違わない。・・・・どう思いますか?
  
  似た例で、ビールに代わる新ジャンルの酒類。
  課税の規制の枠外の新しいジャンルの酒を売りだすと、追っかけこのように規制される。まあ規制されるまでは合法
  です。 でも政府の意志は酒類への課税でしょ。

  この2例は対照的な事例であり、前者は裏社会が歓迎し、後者は表社会が歓迎するという極めて重大な違いがあり
  ます。

  でも脱法ハーブだって、新ジャンルの酒だって、「出来ない言い訳ではなく、どうすれば可能になるか考えろ。」 と発
  破をかけられた者が考えた産物とは思いませんか?

  エスカレータに走っちゃいけないとは書いてあるが、 急いではいけないとは書いていない。 だから走らず速足で下っ
  たが、転んでけがをした。 理由があって出来ないことを無理やり可能にすることは、そんな危険をいっぱい孕んでい
  るのです。

  コンプライアンスが問題になっている昨今、いまだに企業の不祥事は絶えません。
  何故でしょう? ・・・・ 出来ない言い訳ではなく、どうすればクリア出来るかを考えた結果なのではないでしょうか?

  法律を破れとまでは言っていない。そんな言い訳があるのかもしれません。でも、不祥事の多くは法律違反ではなく、
  倫理違反なのです。
  客が残したものを他の客に出してはいけないなんて法律はないけど、倫理的・道義的にはやってはいけないこと。
    ・・・ でしょ。 人としての道をはずれちゃってますよ。

  色々ある法律やルールなどの規制を守ることはすなわちコンプライアンスの遵守です。
  ルールの云わんとする本質を考えた上で、出来る方法を考えなくては今の世の中窮地に立たされます。

  実は少し前に勤務先で面白いやりとりをしました。
  会社の規則に書いてある内容には全く違反しないことを確かめたうえで、とある処理方法を変更し、関係者の手間を
  大幅に軽減することにしたのです。 手間が減って助かる方々は何百人もいます。 その新たな処理方法を正式文書
  で社内に通知したところ、本社から私にお叱りがあったのです。

  「何でルールを変更するんだ。規則に反しているはず。撤回すべきだ。」
  「規則には反していません。条文を何度も確認済です。」

  条文を読みなおした相手はこう言いました。
  「確かに規則の条文には反していないが、昔この規則を作った時の思想に反しているよ。」
  「規則を作った方は異動や定年でどんどん交代します。 本当に必要なことならその思想をきちんと文言にして、規則
   の条文に書いておくべきでしたね。」

  恐らく、規則を作った際に、くど過ぎて文言にはしなかったけど、相手の方の頭の中には今も残っている条文には反し
  ていたのでしょう。 しかし今ではこの新しい処理方法は一般化し、規則そのものにもこの処理方法で行うことという具
  体的な文言が付加されました。 そこまでがんじがらめに規制すると新たに良い方法が見つかった時に処理方法を変
  えにくいのですが、この方はきっちりしないと済まない性格のようです。

  話は再び戻って「言い訳をするな」ですが、
  「問題があってダメでしたよ。」 とはなから否定的に説明するのか、
  「これこれこういうやり方を思いついたのだけど、このような障害があるので何か良い方法はないですかね。」 と逆に
  問いかけるか、そんな話法の違いでも、後ろ向きと思われるか、前向きと思われるか、相手の受ける印象は大きく変
  わってきます。








Column346     2013/5/26up             


 
■ 不用意発言は真実の想い!

  最近、橋下市長の発言が賛否両論の話題となっています。米国の知識人までが嫌悪感を示しています。
  このHPで発言の正しさを議論するのは筋違いなのでしませんが、中々本音を言いにくい魑魅魍魎 (ちみもうりょう)
  の政治の世界に住む橋下さんが、反発を買いながらも本音をストレートに語ったことは ある意味興味深いです。

  ちなみに心理学的には、頭の中で思っていることは、とっさの場合に口から出てしまうというのは一般的なことです。
  だからこそ、政治家の不用意な発言という事件は頻発するのであり、しかも 「いい間違えた」 や 「撤回する」 では済
  まされないのも、そこにその政治家本人の真実の想いがあるからです。

  「慰安婦は当時必要だった」 とか 「女は子供を生む機械だ」 なんて冷静に考えれば、100%女性蔑視であり、公の
  場で、しかも責任ある方が発言するなんて許されないとは思いますが、そんな発言が多発するということは、困った
  ことに多くの男性陣の本音なのでしょう。

  対岸の火くらいに思っている男性の皆様、
  職場で 「だから女性は困る」 なんて発言してしまうのも全く同じことなのだと思ってください。 酒の席なら許されるな
  んてこともありませんよ。

  そのような考え方は女性蔑視という以前に、十把ひとからげの決め付けですから、自分の人間としての了見の狭さを
  露呈してしまいます。

  でも例えば、「若いやつは駄目だ」 と十把ひとからげで決め付けるのは、許されるかもしれません。
     ・・・・・ 誰でも若いときはあったのですから、一部は自嘲ともいえます。
  では、 「年寄りはだめだ」 はどうか、なんて考えていたら、面倒くさくなってきましたが。

  まあ大事なのは、とっさに何を言おうが、それは自分の発言であり、撤回は困難なのだと強く認識すること。
  また、咄嗟に何を言おうが、思い付きではなく、普段自分がきちんと考えていることが言えるように、普段からしっかり
  と色々なことを 考えておきましょう。








Column345     2013/4/6up             


 
■ 2:6:2の法則で敗者復活できるか?

  いやあ、桜も散ってしまいましたねえ。 だいぶ暖かくなりましたが、雨風の強い日が多いです。

  ところで、4月より法律改正で、65歳定年制が強化(?)されましたね。 すなわち本人が希望すれば65歳までは定
  年が延長されるか、再雇用されると。

  しかし、ここで問題となるのは、低パフォーマンスの方々が定年延長を希望した場合はどうなるのか、・・・ということ。

  日本の雇用制度は、弱い者の味方を原則としていますが、低レベルな仕事しか出来ない方や、時には満足に出社も
  できない方々はお役所からみれば弱い方々なのです。
  別に好きで、低レベルの仕事をしているわけではなく、仕方なく低レベルなのだということなのでしょうね。

  その真偽は人それぞれですが、企業にとっては重荷を背負うわけです。
  若い発展途上の社員を雇うコストを削がれかねないですからね。
 
  実はふと思うことがあります。
  世の中には、集団のパフォーマンスは優秀な2割の方、普通の6割の方、低レベルな2割の方に分けられるという考
  え方があります。 どんな集団でも概ねそんな割合で、所属メンバーの能力の発揮度が分布するわけです。
   例えば、AKBにも当てはまるような気がしませんか?

  この理屈は、優秀な方々だけを集めた集団でも、低レベルな方々だけを集めた集団でも、何故か当てはまってしまう
  ようなので、低レベルの方をまとめて一つのチームにすれば、その中の2割程度はちょっとは優秀さであるところを見
  せてくれることになります。

  その理屈で言えば、以前話題とした企業の追い出し部屋というのは、良いアイデアであることにも気づきます。
  リストラ対象を全員リストラするわけではなく、敗者復活戦が出来るかもしれません。

  現実にはありえないように思いますが、実のところ、ちょっとはましな2割を抜いて、残りの8割のメンバーだけの集団
  とすれば、またちょっとはましな2割が現れるということになります。
  何度も繰り返せば、どんどん皆ちょっとばかり優秀になってしまいます。

  ここまで空想を思い巡らせて、気づく人は気づくでしょうね。
  優秀な方、ちょっとはましな方を集めた集団からも使えない2割が現れるということに。








Column344     2013/4/1up              


 
■ ゴールで立ち止まるな!

  いよいよ4月。 入学シーズンです。
  受験を終えた学生の皆さんはノンビリ過ごしている時期でしょうね。
  でも不思議なもので、学校が始まると、同じく猛勉強し、同じ志望校に受かり、学力が伯仲しているはずの方々の間
  で、何故か優秀な方、普通の方、劣る方という差がついてしまいます。

  特に新高校生で顕著かもしれませんが、その原因はこの時期の過ごし方にあるようです。
  まあ誰しも、目指したゴールに到達すれば、それまで必死になっていたのを忘れて、力を抜いてくつろぎたくなるもの
  です。 その原因は、合格=ゴールライン と考えているからなのでしょう。

  もし、合格して入学迄の時期を力を抜かずに、それまでの学習のお浚いや予習をきちんと行って過ごすことを考え、
  入学式を迎えて高校生活が軌道に乗った時点をゴールラインと考えていたらどうでしょうか?

  ほとんどの方は、そんなこと考えるわけないよ! と思いますよね。
  でもそうは思わない方がいるからこそ、レベルが肉薄しているはずの方々の間で差がつくのです。

  もちろん差がつくのはそれだけが原因ではなく、自ら何を学ぶべきかを考えて学習してきた方と、塾や予備校が与え
  た課題や勉強方法だけを淡々とこなしてきた方 ・・・ なんて違いも大きいのでしょう。
  でも、差がつき始める切っ掛けはこのゴールラインの考え方にあるのです。

  似たような話として、コーチングでは、自らの成長目標を定めたら、決してゴールで立ち止まるなと教えます。
  ゴールは駆け抜けるものであって、立ち止まるところではないというのです。

  スピードを出していたのにゴールラインでいきなり急停止出来る方はいません。多くの方はゴールラインめがけて知
  らず知らずのうちに減速を始めているのです。 まさにゴールという時点で止まれるスピードに減速していては十分な
  成果はおぼつかないという考え方です。 また何かに向かって努力することは一時の行動とするのではなく、習慣と
  すべきという考え方もあるでしょう。

  受験勉強は大変です。 一生の習慣とするようなものではありません。
  でも、人生において無理のない範囲で前向きに努力することを自らの習慣としても、損はないのではないかな。と思
  います。








Column343     2013/3/27up             


 
■ 雑談は立派なコミュニケーション

  ジョンカビラさんの出演しているTV番組で、コミュニケーションとしての雑談を勧めていました。
  今の世の中、社内を活性化したり、 社員の能力を引き出したり、 お客さんをつなぎとめたりするのにコミュニケーシ
  ョンは必須ですが、いざコミュニケーションしようと思っても中々うまく行かない。
  そこで 「雑談」 をコミュニケーションの手段として採用する企業があるとの内容でした。

  番組のタイトルは 「さきドリ」 なのですが、コミュニケーションの一手段としての雑談は決して目新しいものではない
  ですよね。 まあ、企業が積極的に推進するのなら多少は目新しいかもしれませんが、コーチングでは極めて当たり
  前の手法です。

  この番組では、落語家の林家染二さんが学生向けに行ったセミナーの紹介もしていましたが、気軽に相手に声をか
  け、相手にの行動に深入りしないで、それを受け止める関西弁のやりとりが雑談として効果的という内容で、なるほ
  どと思ってしまいました。

  共通語で言うなら、
   「お出かけですか? どこに行くのですか?」
   「ちょっとそこまで。」
   「へえ、それはいいですね。」

  と何だか上辺だけのイマイチ会話なのですが、関西弁だといい感じ。
   (セミナーのネタなので関西弁は想像してみてください。)

  関西の方って、普通の会話も漫才の掛け合いみたいですものね。

  残念なのは、セミナーを受けた学生の反応が、「就活でも気軽に話せばいいのですね。」という受止め方だったこと。
  気軽に会話したほうが話がしやすいという説明の方にだけ目がいってました。

  その通りではあるのですが、そのセミナーには、「双方向のコミュニケーションとは、相手の言葉をしっかり受止めて
  から、相手に言葉を返すキャッチボールのような会話をすること。」 という極めて大事な含みがあることに学生が気
  づいていなかったこと。そして番組でも説明がなかったことです。

  実際の就職活動で気軽に話すだけでは、落ちちゃいますよね。大丈夫かな。 ・・・ という感じ。

  まあ、それはさておき、
  雑談とは相手のことを気にかけているよという意思表示であり、時には双方向のコミュニケーションのスタートライン
  です。

  職場でも家庭でも、黙ってすれ違うのではなく、ちょっと声を掛ける。
  挨拶だけでなく、時間があればちょっとだけ雑談する。必要ですよね。








Column342     2013/3/23up             


 
■ プチ・インテリジェンス

  「インテリジェンス」 というと、元々は思慮深い行動をする方の「知性」を指す言葉だったような気がします。
  「あいつは 『インテリ』 だからね!」 なんて、頭でっかちの方を馬鹿にしたりもして。 でも 「インテリ芸能人」 なんて
  言うと、褒め言葉なのか、芸の無さを馬鹿にしているのか微妙ですよね。
  但し、インテリはインテリゲンチャ (intelligentsiya) = 知識階層の略であって、 インテリジェンス (intelligence)
  = 知能、知性の略ではありません。まあ似たようなものですが。

  そして本日はインテリジェンスのお話。
  人口知能 = AI (Artfical Intelligence) なんて使われ方からしても、インテリジェンスは頭の中身のことを意味して
  いるのでしょうけど、最近では、国際間での情報収集や諜報活動を意味することが多く、しかもジェームズ・ボンドや
  イーサン・ハント並みのアクションを伴うスパイ活動 (Espionage) はたぶん映画の中だけの話で、現実には外交関
  係から一歩進んで情報を相互に提供しあったり、 時には一方的な協力者として誰かを抱き込んだり というような活
  動が世界は元より日本でも行われているようですよ。

  ちょっと前だと、海上自衛隊の幹部や在中国の外交官が中国に機密情報を流していた事件もあり、日本はやられっ
  ぱなしというイメージが強いです。また米軍将校が中国人女性に核の機密を流していたことが報道されていますが、
  話題にはなっていないものの、台湾や韓国の外交官が中国人女性に機密情報を漏洩した事件もちょっと前にあり、
  中国のインテリジェンス活動はかなりお盛んなようです。

  ところで皆さん、会議や職場などで、妙に耳の早い方がいたりしませんか?

  時には、こいつ何でそんなこと知ってるんだと情報の中身より情報収集力に驚いたりして。そう質の良い情報をい
  ち早く手に入れて、部門や企業そのものの活動を早め早めに展開して結果を出す。 もしくは危険回避を行う。
  それが現代のインテリジェンスの本質です。

  では、どうやって情報収集を行うか? 別にスパイ活動を行う必要はありません。
  まずは色々な立場の方と積極的に交流を持つことです。

  自分の仕事を部門内でだけコツコツとこなしている方には決して新鮮な情報は入ってきません。
  無理に情報を取ろうと思う必要は全くなく、常に周囲や関係部門の方々にきちんと挨拶し、「最近どうですか?」 と
  相手のことや仕事に興味があることをきちんと示したり、時には、「○○の件、何かあったら早めに対処したいのだ
  けど、動きがあったら教えて。」 とその物ズバリを伝えておくことだって必要です。
  すれ違いざまに 「やあ」 なんて言っているだけではダメですよ。

  次に、色々なことに興味のアンテナを立てておくのです。
  例えば、今朝通勤途中の交差点でどんな車が走っていたかなんて覚えていないのが普通ですが、車を購入しよう
  と思い興味を抱いている方には走っている新車が目について記憶に残っていたりします。
  これは人に対しても同じ。 部下や後輩を育てようと思うのなら、相手にきちんと関心をつことで、その人の性格や人
  となり、行動などが見えてきます。 逆に関心を持たなければ、効果的な育成は出来ないのです。

  また、モチベーション業界 (?勝手に名付けました) には 「カクテルパーティー効果」 という言葉があります。
  パーティの騒音の中でも、興味のあることは自然と耳に入ってくるという意味。
  耳の悪いはずの老人の地獄耳も興味のなせる技かもしれません。

  私はそんな情報収集を、プチ・インテリジェンスと名付けました。
  本社で用事が済んでちょっと時間の空いた時など、よし今日はちょっとプチインテリジェンスしとくか。 てな感じです。

  でも、国家間の情報戦は元より、自分の仕事に関する新たな情報にも興味はないという方。結構います。
  本人は、与えられた仕事をきちんとこなしていればそれで良しと思っているのかもしれませんが、周囲からすると何
  で簡単なリスク管理も出来ないんだ、使えねーナ、という感じでしょう。 少なくとも私はそう思います。

  そんな方は周囲から助かったよ と言われることもないでしょうから、 本人のモチベーションも更にダダ下がりする悪
  循環に至っていることでしょうね。

  妙に耳が早い方を、ゴシップ好きとか興味本位の人間と捉える方もいますが、ようは取捨選択する情報の質であり、
  仕事に役立てているかどうかです。

  自らのモチベーションを高めるためプチインテリジェンスをしてはいかがでしょうか?








Column341     2013/3/20up             


 
■ ものを教える難しさ

  これは本当にあった話です。

  以前勤務していた職場で、社内便の複数の行き先別にBOXを用意したのですが、 行き先によって処理が違うので、
  BOXの写真入りの案内を作ろうとしました。

  私は若い社員に案内文を作らせたり、写真を取らせたりしましたが、何度作らせても読みにくい文章なので、行間を
  調整したり、文章中のカッコを減らしたりと何度も手直しを指示し、やっとのことで 見やすい案内文になってきました。

  あとは写真だけです。
  でも、その写真が何とも見にくい角度でテカッていて、どう見ても連絡物を入れるBOXとは見えないのです。
 
  こちらも、形が判るように斜めに撮影しろとか、文字が読めるようにしろとか細かく指示しながら撮り直させて、やっと
  のことでいい感じになってきました。

  でも、ちょっと明るく写り過ぎていて印刷すると何だかわからないのです。 しかも、今なら標準搭載の画像ソフトで簡
  単に画像の明るさやコントラスト(メリハリ)を調整できますが、当時の画像ソフトの調整幅を超えた写り具合だったの
  です。

  私は、撮った画像を調整するのではなく、今と比べると画素数は少ないが、当時としては十分な機能のあるデジタル
  カメラ側、もしくは部屋の照明の明るさを調整して撮影するように指示しました。
  ストロボを使っているのではないかと思ったので、発光禁止にしろとも指示しました。
  でも、全く写り具合は向上しません。

  次に、私は、カメラをオートで撮影しないで、マニュアルにして明るさを調整するように指示しました。
  うーん。それでも全く写り具合が変わらないのです。 彼は「このカメラ壊れてますかね。」なんて言い出だす始末です。

  いいかげんしびれを切らした私は、カメラを貸せと言い、マニュアルモードに設定し、露出(明るさ)を2段階くらい下げ
  て撮影してみました。 すると狙い通りの判り易い写真が一発で撮れたのです。
   ・・・・・何だかとても解せません。

  その若い社員を呼び、露出を調整したのかと問うと、「露出って何ですか?」 とキョトンとされました。
  私は 「露出は撮影時の明るさ、光の入り具合だよ。マニュアルにして、いったい何を調整したの?」 と聞き返したの
  ですが、返答は 「ダイヤルをマニュアルにしただけですよ。」 との内容。
  当然私は 「・・・・・・。」

  私 「オートは自動、マニュアルは手動だろ! マニュアルにしたら手動で調整しなくちゃ何にも変わらないだろ。」 
  彼 「マニュアルって手動なんですか? でも手動って何ですか?」

  もう何を話しても無意味です。
  彼の世代にとって、カメラとは最初からデジカメで、基本はオート撮影。車だってオートマしか知らないのです。手動と
  いう言葉は彼の語彙にも概念にも最初から存在しないのです。

  文化の違い。それだけで言い表せるものでもないのですが、少なくとも私の教訓としては、相手が自分と同じ知識た
  経験をベースに生きていないことを前提に指導をしなくてはいけないということです。

  ちなみに、この文章を読んで、話が見えないという方は。この若い社員の世代なのでしょう。
  私はただただあきれて、「給料もらって働いてるんだから、デジカメだって説明書を読んで使えよ。」 と言うだけでした。
  最近では説明書なんて付属していないOA機器も多いのですけどねえ。

  異動した先で初めて出る会議の席で、他の出席者が話している単語の意味が全くわからないことってよくあります。
  皆は私が理解しているものと勝手に思っているようなのですが、実はその分野や部門だけで通用する用語や、さらに
  その略語だったりするのです。

  判りやすく指導しているつもりなのに、何だか全然向上しないような場合。
  まずは、相手のものの考え方、捉え方のベース、基本的な経験や知識が全く違うのではないかと疑ってみることも必
  要です。

  日本人は とかく、以心伝心 を大事にしますが、コンテキスト (共通認識) の違いに起因して、お互いが理解できない
  なんてことは世界では当たり前のことですからね。








Column340     2013/3/2up              

 
■ 適切な睡眠時間とは

  「一日最低7時間は睡眠がとれるように業務時間を配慮してあげて下さい。」
  「通勤時間を考慮すると、しばらく残業はさせないでください。」
  心身不調な方をカウンセラーの先生に面談していただくと、先生からそんな指示を受けることがあります。

  「心身不調な方は、ストレスで張りつめた緊張の糸をほぐすため、十分な睡眠が必要です。」
  そこまでは普通に理解できます。
  でも、いつもそこで思うのは、正常な人間が必要とする睡眠時間はどれくらいなのだろうという疑問です。

  自分の体験からすると、通勤に2時間以上かかっていた時は、平日の睡眠時間は4時間半くらいが普通でした。冬場
  の朝が寒いとか、電車が混んで辛いという想いはありましたが、眠くてたまらんとか、気が晴れない、疲れがとれない
  という辛さは皆無ではないものの、決して耐えられないレベルではありませんでした。
  むしろ、通勤時間を利用した読書や学習ができて充実した気持ちになった記憶があります。
  まあ個人差や、気の持ち方によっても違うのでしょうね。

  このHPでも「ノンレム睡眠(深い眠り)」、「レム睡眠(浅い眠り)」のことを書いていますが、その周期は概ね90分であ
  り、その切れ目、例えば4時間半、6時間、7時間半に目覚めると、すっきりと目覚められると言われています。
  つまり、5時間半の睡眠より、4時間半の睡眠のほうが目覚めがすっきりしたものになるという理屈です。想像するに
  この理屈には、恒常的な睡眠不足ではなく、疲れが溜まっていないという条件がつくのでしょうね。

  私の場合は、4時間半での睡眠、生活のリズムがスムーズに流れていたような気がするのですが、 実は私は睡眠のリズ
  ムを保つための工夫を幾つか行っていました。
  @夏はカーテンを少し開けて、夜明け頃の起床時間に太陽が差しこむように、冬は起きる時間にタイマーで照明が点くよう
    にしていたのです。
  A通勤中および昼休みには体が疲れていない限り寝ないようにしていました。中途半端な眠りが起きている時にも眠気を
    もよおす原因になるような気がしていたからです。
  B週末には十分寝貯めしていました。あっ、ちなみに睡眠は寝貯め出来るのでなく、不足分を補っているのに過ぎないとい
    う説もあります。

  でも、最近目にした国立精神・神経医療研究センターの研究成果では、1日4時間半程度の睡眠が5日間続くと情緒不安
  定になることが実験で確認されたという記述がありました。
  やはり、90分の倍数以前に、睡眠時間は十分とらないといけないのでしょうね。

  ちなみに、仕事で会うカウンセラーの先生は、「健康な方でも心身不調にならないためには7時間の睡眠が必要ですよ。」
  とおっしゃっていました。
  でも、同席していた方が、「7時間も寝てる人いないでしょ。」 と言い、
  他の方も 「寝過ぎじゃないか。」 と反応していました。

  すると、これまた同席していた産業医の先生は、「本当は8時間程度の睡眠が必要なんだよね。」 と言い出したのです。
  一般的な業務の時間外労働の1ヶ月の法的上限とされる45時間も8時間睡眠から割り出されたものだとか。

  「8時間も寝られるわけないよね。」 なんて皆で顔を見合わせながら、
  「つまりは1日2時間程度残業し、1時間ちょっとの通勤で、食事して、入浴して、なんて逆算しながら想像すると、
  8時間睡眠も可能なのかもしれませんね。」なんて話していると、

  「寝る前にドラマ1本くらい見る余裕はあるな。」なんて感想が同席者から飛び出し、
  「残業も通勤ももっと時間掛かっている人がいそうだよね。」と顔を見合わせる方もいたり。
 
  でも私は、90分の倍数ではないよなあなんて思ってしまいました。
  そして、結論からすると、最適な睡眠時間には個人差がある。ということのようです。

  10時間も寝れば頭が痛くなるし、まあほどよくぐっすり寝たなあと本人が思える睡眠時間がBESTのようですね。








Column339     2013/2/21up             


 
■ 信じることがゴールへの近道

  皆さん、神や仏の存在を信じていますか?
  もちろん、このHPは宗教や政治とは無関係なので、皆さんの信仰心を訊ねているわけではありません。

  でも、普段あまり神仏を信じない方でも、受験の前には神頼みするし、家を建てる前には地鎮祭をしたり、結婚式では神
  様の前で誓ったりしますよね。 信心深い方には申し訳ないですが、我々日本人の多く、 少なくとも過半数の方はそんな
  感じです。

  このHPでは何度か話題としていますが、実はコーチングでは信じることの効用を大切にしています。
  もちろん 宗教ではないのですが、 難病の方が自分の病を攻撃するイメージを具体的に持つことで改善されることがある
  というのです。 しかも、戦闘機が機関銃やミサイルで攻撃するようなかなり具体的なイメージを常に持つことで病気が良
  くなったというような症例が実際にあるそうです。

  どこの、誰それが、いつ、そんなことを体験したのかという説明はありませんが、まことしやかに語られています。

  まあ証拠がないので、病気についての真偽のほどは別として、梅干しを想像すればそれだけで唾が出るというのは心理
  学的事実のようです。 何なら試してみて下さい。
  ようは、頭の中の強いイメージや想像力が実際に体に影響を与えることがあるということです。 腹が痛いという子供が 母
  親にさすってもらえば痛みが治まるというのも安心感が与える心理的効果での治療なのでしょうね。

  そして、自分の目標は必ず実現すると信じ、 目標が実現した時の具体的なイメージを常に頭に描き続けることで、 自分
  を鼓舞することが出来、一歩一歩目標に近づいていくというのがコーチングの考え方です。

  補足するなら、ゴールのイメージを描くだけではなく、ゴールから逆算して今は何をすべきかと考え、順番にマイルストー
  ンをたどって着実にゴールに行き着くという考え方もあります。
  このゴールのイメージも、当然ながら戦闘機と同じようにイメージはかなり具体的かつ強烈でなければいけません。
  目標が達成できて、チームの仲間とお祝いしている状況を、 その場所や仲間の顔、会話の中身、 何なら乾杯しているビ
  ールやシャンパンの銘柄まで含めて具体的なイメージとして頭の中に刷り込むのです。

  ちょっと大げさな気もしますが、 そこまですれば、目標に向かって努力することは 苦ではなくなるかもしれませんし、常に
  高いモチベーションを維持して困難にも立ち向かえるでしょう。 ・・・ きっと。

  余談ですが、 最近パワーストーンを腕にしている方を何故か頻繁に見かけます。 信心深くない私はそれを見て、石の効
  果で何かを実現するというよりは、 自分自身が信じることの効果で 御利益 (ごりやく) があるのではないかと 勝手に想
  像しています。

  であれば、石でなくても、海で拾った貝でも、 親の形見の品でも何でもよくなっちゃいますが、 きっと信じるにたる根拠が
  あったほうがはまりやすく、調べれば 謂れが色々出てきたり、周囲の多くの方が持っているというパワーストーンの事実
  に説得されちゃうのでしょうね。

  そう、信じることさえ出来れば、力強くゴールに向かって進む原動力となるのですから。








Column338     2013/2/11up             


 
■ 「同じ」を探せば味方が増える

  ある意味、人は3種類に分けられます。・・・敵か、味方か、単なる第三者か。
  でも、職場やビジネスの場面で何らかの関係があれば、単なる第三者というのはぼ存在しないので、敵か味方かにな
  っちゃいますよね。

  「そんなに厳密には分けられないよ。」とおっしゃる方は、周囲の方や最近初めて会ったビジネス相手の印象を思い出
  してみてください。好意的か、敵対的かを上辺だけではなく、いざあなた自身が困ったときに助けてくれる相手かどうか
  と考えると、助けてもらうのは難しいかなと思える相手も多いはずです。

  でも本日は、あなたの周りは敵だらけ、だと言いたいわけではありません。
  あなたの味方を増やす方法を考えてみようというお話です。

  ビジネスの場面でなければ、初めて会った方との会話で、出身地や興味のある趣味やスポーツの話題をすることが
  ありますよね。別に合コンやお見合いでもないし、どこ出身であろうと、趣味がなんであろうと、一緒に帰郷するわけ
  でも、一緒にサッカーを見に行くわけでもないからどうでもいいはずなのに、何故か聴いてしまう。
  そして、何か共通の部分があると話が進みますよね。

  つまり、共通部分=「同じ」が赤の他人を自分と共通部分を持つ相手に、そして、ちょっとだけ気が許せる相手に
  変えてしまうのです。

  そんなの当たり前だよと思う皆様。そう、ここまでは当たり前。
  でも、難しい調整をする会議や商談の場面で、どうしても意見の一致をみないだけで、あきらめたり、誰かと対立した
  りしたことはありませんか?

  そんな時こそ、自分と相手の 「同じ」 を探すのです。
  「@からCまでは意見が一致しませんが、Dについては同じ考え方ですね。
   もう一度検討して、@からCについても歩み寄れる部分がないか、もう一度打ち合わせましょう。」なんて感じです。

  おっと、書いていて、2012年末の選挙の際にくっついたり離れたりした各党を思い出しましたが、
  ほんの少しの「同じ」を見つけることで、いわば、こいつは敵だと決めつける前に、味方にするための一歩を残せる
  のです。

  まあ、ビジネス交渉の場面なら、そもそもお客さんだってライバルだってあなたの仕事と接点があるから交渉をして
  いるわけで、それだけでも何かしらの相手との「同じ」が見出せるはずでしょう。

  万が一、一致する意見や共通する部分lが見出せなかったとしても、
  「このプロジェクトを成功させたいという気持ちは同じですよね。」なんてことくらいは言えますよ。 きっと。

  まあ本当のところは、「価値観」や「損得勘定」が一致しないと真の味方とはなれないのかもしれませんが、共通の
  関心事や共通の経験を持つことが確認できれば、お互いに安心感や居心地の良さを与えてくれる為、相手に好感
  を持つための大事な要素となるのです。

  かつて流行った(?)談合なんて、敵であるはずの競合相手との間で、同業者であるという単純明快な「同じ」を見
  出して仲良しクラブとなった 例かもしれません。同業者団体の懇親会やゴルフに参加すれば 共通の経験や思い
  出もできて「同じ」がどんどん増えますしねえ。本当のところは過激な競争で共倒れしたくないという心理が談合の
  元なのでしょうけど、「同じ」が多ければ、ライバルだからって蹴落とす気にはなれなくなるのでしょう。

  あと、第一印象でも「同じ」は相手との結びつきを高める大事な要素となります。
  例えば、外見やファッションの傾向が似ていれば、第一印象から好印象となります。
  スタートラインが好印象から始まれば、友人になったり、交渉がうまくいく可能性も飛躍的に高まります。

  逆に第一印象が悪ければ、価値観の違う相手だなというイメージを抱いてしまい、相手の話をきちんと聴く前に否
  定的になってしまいます。例えば、就職活動の場面でも、堅い服装を着ている面接官に対し、くだけた服装で面接
  に望んでしまうと、その時点であなたはマイナスイメージから面接をスタートすることになります。

  TPOという言葉がありますが、服装(ドレスコード)の共通性が、その場の空気を守るという要素は高いような気が
  します。
  別に全く違う傾向の服装で仲間が集まったって、誰にも迷惑を掛けないような気がしますが、服装の違いがその
  場の心地良さや安心感を奪うのでしょう。

  学生のうちから制服を着る習慣がある日本では、特にその要素が強く、「同じ」 が味方を増やす要素となる国民
  性が強いのかもしれません。 (これは勝手な想像です。)

  男女の仲においては、性格が違うからこそ惹かれあうなんてことも言われますが、だからこそ、性格の不一致が
  原因ですなんて離婚が多発するのかもしれませんね。 (これも単なる想像です。)








Column337     2013/2/7up              


 
■ 部下が上司に抱く不満

  上司、先輩と言われる皆様。 部下や後輩の能力をうまく引き出して戦力に出来ていますでしょうか?

  世間ではいまだに、部下・後輩をどう育てているかと訊ねると、「背中を見せています。」 とどうどうと答える方々が存
  在し、当然ながら、上司や先輩がきちんと仕事を教えてくれないと嘆く方も大勢見かけます。

  また、若い社員がほう・れん・そう (報告・連絡・相談) 出来ていないと嘆く方も多いですが、そんな方が、部下や後輩
  のほう・れん・そうに対して、きちんとアドバイスやフィードックが出来ていないことも往々にしてあります。

  もしあなたが自信を持って、「俺は部下・後輩をうまく使いこなしている。」 「後輩を順調に育てている。」そう主張する
  なら、自分が自分の上司をどう思っているか、過去の自分の上司はどうであったか などを思い出してみてください。

  話を最後まで聴いてくれないとか、決断してくれないとか、十分なサポートがないとか、あなただって長年上司に抱い
  てきた不満は沢山あるはずです。でも多少の差こそあれ、同じような気持を あなたの部下や後輩があなたに対して
  抱いていると思ってほぼ間違いないのです。

  「今時の若い奴は。」というよく使われるセリフが、ピラミッドの中で見つかったと言われるくらいですから、歴史は繰り
  返しているのです。

  コーチングスキルを使った社員育成の筋道は、
  新入社員でもない限り、手取り足取り一から十まで仕事を教えるのではなく、かといって放うっておくでもなく、本人
  に自分なりの成長目標を普段から考えさせた上で、上司が業務上の目標を明確に示しはするものの、仕事の進め
  方は本人に考えさせて、困った時には助けるという姿勢で必要最小限のアドバイスをするにとどめて、思考錯誤を
  させながら、能力向上を図っていくことです。

  とは言うものの、言うは易し、行うは難しです。
  同じような仕事の経験者である上司・先輩はついつい細かく口を挟みたくなったり、意のままに動いているか確認し
  たくなったりするものです。でも成長に必要なのは自分で一生懸命考えて、思考錯誤しながら目標をクリアしてい
  くことなので、定期的報告を求めて、仕事(成果)の方向性が間違ってないかを確認することはあっても、任せたは
  ず仕事に細かく口出ししてはいけないのです。

  そう思い返しながら、自分の指導法を振り返ると、あなたが不満を抱くような上司の行動が、あなたの後輩に対する
  行動と同じであることに気付くはずです。

  若者が多様な価値観を持つ今の時代、しのごの言わずに俺の背中に付いてこいというのは通用しません。
  時には、部下・後輩がどう成長したいのか? 自分の指導法は間違っていないか?とふり返ることも必要でしょう。


  以下は、とある調査で浮かび上がった、中堅社員が上司・先輩に抱く不満です。

   ● プレーイングマネージャーである上司は 担当者(プレーヤー)としては優秀だけど、管理職(マネージャー)
     としては指示が的を射ず、不十分。それなら自分で考えようと思ってやっていると、 口出しが多い。

   ● 優秀な上司は出来ない部下の気持がわからない。 出来て当たり前と思っているから部下を育てられない。

   ● 問題解決能力がない上司。相談しても、アドバイスはなく、批評されるだけ。

   ● 上司から仕事が遅いと言われるけど、回した書類は中々見ずに停滞させている。

   ● いいアイデアと言ってくれるが、決裁権のある上役まで上げてくれない上司。

   ● 部下の話を真剣に聞いていないので、報告しても覚えていないし、聞いてないと言い張る。

   ● 目標を一方的に指示するが、方法論はない上司。一緒に考えようという気がない。

   ● 上司に無理を言われて、根性で頑張れとハッパをかけられ、心身とも追い込まれている。

   ● 何も教えないでおき、こんなことも出来ないのかと怒る上司。

   ● 上司が喫煙ルームでの関係者も揃わないタバコ会議で物事を決めようとする。

   ● 飲みニケーションが大切と思っている上司。たまには必要とは思うが、共働き子育て社員や若い世代
     は突然言われてもいやがる。せめて突然誘うのはやめてほしい。

   ● 酔って昔の話をする上司や先輩には困る。特にバブル時代の話を自慢されても何と応えればよいの
     か。

   ● 女性社員と男性社員で仕事の与え方、任せ方が違う。 若い男性社員のほうが期待され、まともな仕
     事をさせてもらっている。

   ● 上司が女性を叱らないので呑気に働いている。 駄目なことはきちんと指摘してくれないと直らない。

   ● 上司が問題発生時に、責任回避し、解決策をアドバイスしてくれない。

   ● 自分たちの仕事の将来像に対するビジョンを示してくれる上司がいない。 ずっとこんな仕事をしなく
     ちゃいけないと思うとやる気も萎む。


  ざっとこんな不満が部下・後輩にはあるのです。きっとご自分が上司・先輩に抱く不満も似たようなもの
  でしょう。
  内容によっては、あえて教育のために上司がしている行動があるかもしれませんが、その意図が伝わ
  らなければ効果はありません。

  行き当たりバッタリで、部下や後輩に接していると、彼らの能力を十分に引き出すことは出来ないばかり
  か、前述のような不満の声が上がるでしょうね。

  どうやってチームを管理運営していくか? 
  どうやって部下・後輩のモチベーションを上げていくか?
  ○○君の得意なことは何か? 仕事のレベルはどの程度か? それをどこまで引き上げるか?
  成果を出した部下にはどんな声をかけるのか? 失敗した部下にはどんな声をかけるのか?

  ・・・・そんな想いを持ってチームを管理運営していくことが昨今の企業活動では重要なのです。








Column336     2013/2/4up              


 
■ 自分の殻の効用

  「自分の殻に閉じ籠る」 「自分の殻を破る」
  よく使われることばですが、本当の意味は何だっけ、と思い、岩波国語辞典を開き、「自分」で見ても、「殻」で見ても、
  「自分の殻」の意味は載っていません。手元に広辞苑はないし。

  まあ 「自分の殻に閉じ籠る」のだいだいの意味は、
  自分だけの世界や価値観の中で、自分の考えだけに囚われ、周りの人の意見を聴かない状態のことを言うのでしょ
  うね。

  自分の意志に関わらず閉じ籠っている方というよりは、自分の意志で閉じ籠っている方のほうがぴたっとくるような言
  い回しです。前者は自分ではそうとは気付かない井の中の蛙でしょう。

  何故、私が 「自分の殻」 の意味を気にしたかというと、心理学では、自らが空気の膜や卵の殻、もしくは宇宙服に包
  まれた状態を具体的にイメージして行動することで、自分が守られている気分になり、堂々と行動できるという考え方
  があるのです。
  最近はやりのエアという言葉を使うなら、Air Shell (空気の殻) とでも言えばいいのでしょうかね。

  私が勝手に思っている身近(?)な例は 「裸の王様」。
  いや、ちょっと違いますか。でもこのおとぎ話は、空想の衣をまとうことは昔から可能だったという例ではありますよね。

  「自分の殻」というのは当然ながら物理的に存在する 殻や鎧ではないわけですから、自分を守るためのAir Shellと
  同じ意味なのではないかと思ったのです。そして「空気の殻」というよりは「架空の鎧」といったほうが分かりやすいか
  もしれません。

  というわけで ・・・・
  何故、人は自分の殻に閉じ籠るのか?
  それは安心を提供してくれる架空の鎧であるから。

  自分の殻を破るのが何故大変なのか?
  それは安心、つまり 心の安住を捨てなければならないから。 ・・・・ 何て感じですかね。








Column335     2013/1/31up              


 
■ 追い出し部屋が思い起こさせること

  追い出し部屋って聞いたことありますか?
  複数の有名大手企業が余剰人員整理を目的とした「追い出し部屋」を設置していると報道され、話題となっています。

  希望退職に応じるか、もしくは、新たな技能を身に付けることを 目的とした 「事業・人材強化センター」 なる部署に異
  動するかを迫られた結果、同センターにて他部門の支援業務をさせられるというこのセンターの本当の目的は、企業
  業績の悪化が理由では 人員整理ができない現在の法制下で、社員を退職する気にさせることではないか、
  という「憶測」が流れたわけです。

  ネットでは賛否両論色々あるようですが、報道では本当に人員整理が目的なら法律に抵触する点が問題とされてい
  ました。

  仮に事実だとしても、企業側が、人員整理が目的だとは認めるはずはないし、企業幹部の本音は別としても、 内部
  告発やネット上への書き込みが一般化した今時、あえて告発を招き 企業イメージを損ないかねない行為が出来る企
  業幹部がいるはずもなく、何とか余剰人員を流動的な戦力として使えないかというのが本当のところのような気もしま
  す。

  まあ、希望退職を拒否し、そんな部署に放り込まれて担当業務も不明確な状態なら、疑心暗鬼になる方は多いでし
  ょうけどねえ。

  私が思うに、企業が戦力とならず 解雇も出来ない従業員を、戦力となる従業員とは 違う部署にまとめておくことに
  は、かなりの効用があります。
  つまり、やる気のなさが やる気のある者に伝播することを防ぐ 絶対的効果があるはずなのです。
  謂わば、 ドラマ金八先生で 不良生徒を追い出したい学校側が主張する 「腐ったみかん」 の理屈です。

  しかしその一方で、どんな集団でも2対6対2の法則で、集団を引っ張る者2割、普通の者6割、足を引っ張る者2割
  に分けられてしまうという統計的研究があります。
  100人の集団から20人のやる気のない者を除外しても、今度は残りの80人の2割、つまり16人くらいがやる気の
  ない者に落ちてしまう。という理屈です。

  したがって、プロ野球やプロサッカーのように戦力外を解雇できるならともかく、別集団として置いておけば、全体と
  してはどんどん戦力外が増えてくる理屈になります。

  もちろん、2対6対2の法則をまじめに追究すれば、戦力外の集団からも、その集団を引っ張る2割の人間が現れる
  ことになります。恐らくその2割の方々は企業の戦力となって戻っていくのではなく、企業側に、法律上の権利を主張
  して交渉を行おうとすることが予測されます。

  という話の流れから推察すると、戦力外の2割の社員は元の集団にとどめておくのが得策で、しかも、彼らを単純な
  戦力外として仕事を与えず放置するのではなく、単純な業務を集約して彼らの仕事としていくほうが 企業の経営効
  率からすると理にかなっております。
  NO WORK, NO PAY. この原則は貫くべきですからねえ。
  といっても、それが困難なほど、企業の業績は悪化しているのでしょうね。
  あきらかに、その責任は従業員にではなく、経営層に有る気がしますが。

  また、NO WORKという観点に見方を換えると、どんな企業にも5%くらいは仕事があっても働けない方が存在します
  よね。
  仕事がないから戦力外ということではなく、仕事はあるのに体や心の不調により勤務できない方々です。出勤出来
  ない場合には1年とか一定の期間の欠勤後に解雇となりますが、出勤はするけど仕事にならないという方も世の中
  にはざらにいます。
 
  彼らは病人だから助けてあげるべき という考え方には賛成ですが、企業が助けるべきか、国や市町村が助けるべ
  きなのかは 議論の分かれるところだと思います。

  人、モノ、金、そして今では情報も企業の大事な資産です。
  その使い方を誤れば、企業はあっと言う間に消えてなくなる時代です。

  企業が傾いてしまう前に、人を戦力外と考える前に、企業の経営層が出来ることは色々あったのでしょうけどね。
  「追い出し部屋」という言葉はそんな気持ち思い起こさせます。

  余談ですが、水槽の中のカマスの話を聞いたことがありますか?
  餌とガラスで仕切られ餌の小魚を追っても無駄なことを経験したカマスは、ガラスを外しても小魚を追わなくなって
  しまう。
  しかし、他所からそんな経験のない元気な1尾のカマスを水槽に放り込めば、他のカマスたちも再び小魚を追い出
  すという話です。

  元気なカマスは餌を追わないカマスたちへのカンフル剤となりえるのです。
  魚でもそうなのだから、企業でも出来ると思いますけどねえ。








Column334     2013/1/28up             


 
■ どうしても人の話を聴けない理由  このテーマ何度も出てきますね!

  コーチングで言うところの双方向 (2WAY) の会話とは、
  まずは相手の話を口を挟まずしっかり聴き、相手の話したいことをその感情も含めてきちんと受け止めた上で、相手
  の思考を広げるような質問を投げかけて、キャッチボールのようにやりとりする対話です。
  そして、そのような対話を促す行為、思考を促す行為そのものがコーチングなのです。

  このホームページでコーチングスキルを色々ご紹介している私が、コーチングスキルの講習を受ける機会が先日あ
  りました。と言っても、講習の目的はコーチングスキルの習得ではなく、きちんとした評価面談手法の習得であり、そ
  の為には対話技術が必要ということのようです。

  その講習の中で、2人一組で相手の話をしっかり聴く練習がありました。
  講師の方からは、聞き手は相手の話をうながし、最後は共感を示して締め括るようにと釘をさされてから練習が始ま
  り、まずは私の番。
  相手の話にうなづいて相槌を打ち、「それで」と話しを促し、「大変でしたねえ。」と共感しました。
  私が知っているコーチングスキルをお手本的に示し、彼の練習の手助けになればと思っていたのです。

  そして相手の番。
  私が少し話すと、自分の場合はこうだった。自分ならこうする。と話し出し、また私が少し話すと「気にしないほうがい
  いですよ。」と無理やり締め括くろうとします。

  そこで私には、彼は先生の言っていたことを少しでも聴いていたのかという根本的な疑問がつのりました。
  というか、忙しいので、切り上げて帰ろうかなという気持ちも沸いてきました。 ・・・ ホントですよ。

  練習終了後、講師の方が何人かに感想を聞きましたが、だいたい似たような感じで、十分に話せなかった方のほう
  が多かったようで、全く練習とはなっておりませんでした。

  こうした現象(?)が起きてしまう背景を考えてみると、
  どうしても人の話を聴けず、自分のことばかり話したがる方は、実のところ私の周りに大勢いるのです。
  というのも、企業というのはその性質上、自分の意見を押し通した者勝ち的な雰囲気が色濃くあり、それができる者
  が優秀と看做されてきたからです。社内だけではなく、下請けなどの取引先や官公庁などの関係先はもちろん、客
  先に対してさえ、自分の意見を押し通せた者が「出来るやつ」的な扱われ方をしてきたのではないでしょうか?

  また、部下や後輩への指導方法として、個々の能力を引き伸ばすというのではなく、上司の指示にきちんと従わせ
  てチームの成果を上げさせるということが優先されてきたのではないでしょうか?

  そんな経験をしっかりしてきた方々に、人の話を最後まできちんと聞きましょう。などと言っても無駄です。
  だからこそ、きちんと指導、育成し、その成長や実績を評価するための講習であったわけではありますが、出席者
  は手ごわかった。ということなのではないでしょうか?

  また、他にも人の話を聴けない例はあります。

  私の家庭においても昨日、耳が遠くなった私の母から、電話の音がよく聞こえるようになる機械を探してくれと頼ま
  れ、ネットで調べた候補を説明したのですが、その最中何度も私の話を遮って、本題とは異なる話をしようとするの
  です、何か説明すれば脱線の繰り返しだったので、私は手をパーに広げて前にかざし、「今は私の説明を聞くべき
  タイミング。私の説明を聞く気がないのなら、欲しい機械はいつまでも手に入らないよ。」と釘を刺しました。

  いつもそんなやり取りが原因で母はへそを曲げてしまうのですが、今回は自分から機械を探して欲しいと言った
  手前、母はしぶしぶ了承して、今回ばかりは私の話をしっかりと聴いてくれました。

  また一般的にも、
  歳をとると人の話が聴けなくなるとよく言いますが、歳をとったからこそ、自分はもうろくしていない一人前の人間だ
  と主張したくて、つい口を挟んで意見を言いたがるのだろうと私は思います。

  母の場合も、親孝行だと思って好きなだけ話させてあげればよい。というのが正解なのでしょうけど、あまりにも頻
  繁に口を挟んで欲しくない時に、的外れな口を挟まれてしまうのです。
  私の母も、ただ単に会話 (そう2WAYの対話です) を楽しみたくて、口を挟むのだろうと思うようにしていますが、
  少なくとも私の話を遮った時点で、会話は一方通行 (1WAY) となってしまうのですからねえ。








Column333     2013/1/18up              


 
■ 想いを行動につなげる

  今更ながらですが、
  最近仕事をしていて、人の行動には下記の3つのパターンがあることに頻繁に気付かされます。
  例えば、「経費を削減する方法を考えて欲しい。」 というようなことを関係者全員に伝えた時に、
    @何も考えない者
    A思いつきレベルのアイデアは言うが、具体的行動がない者
    B実効性のある良いアイデアを考え、具体的行動にまでつなげる者 と3種類の行動が見られます。

  もちろん私は全員にBの行動をして欲しいのですが、多くの方は@、数名がA、そしてBの行動をするのは1人かせい
  ぜい2人というのがよくあるパターンです。 皆さんの職場ではいかがでしょうか?

  当然ながら、「思う」ことと 「行動する」ことの間には大きな隔たりが有ります。
  頭で思っていただけでは成果は生まれませんし、まして何も考えないのでは、買わない宝くじは決して当たらないという
  のと同じようにスタートラインにすら立てません。
  最近見たドラマで「人を殺したいと思う」のと「実際に殺す」のは大きな違いだと刑事が犯人に告げるシーンがありました
  が、正にその通りです。

  会社組織の場合、リーダーが何か問題提起をした時に、メンバーが自ら考え、動いてくれるのが理想の組織だと思いま
  す。
  実際、アイデアや行動が勝負の明暗を分けるような性格の職場なら、その行動が職場の成果だけではなく、本人自身
  の成果に直結することをメンバー自身が理解しており、多くのメンバーが真剣に考えて、行動を起こそうとするのではな
  いでしょうか。

  結局は、問題を自分のことと捉えるか、他人のことと捉えるかという当事者意識の有無に行動が左右されるわけです。

  では、何にも考えないメンバーを自分で行動出来るメンバーに変えるにはどうすれば良いのか?そもそも可能なのか?
  どうやって当事者意識を持たせるのか? そっちに興味が移りますよね。

  雑談の場では、行動出来たら幾ら、成果があがったら幾らと対価を決めてそれを給料とすればいいんだよ。なんて話
  も出ます。時間ではなく成果で雇う・・・それでは業務委託や請負になっちゃいますよね。
  また、組織が大きくなればなるほど、個人の成果が組織の成果に与える影響は小さく、報酬や処遇で報いようにも融
  通が利かなくなります。

  こんな話をしていると、そもそもまず第一に、現に頑張って成果を上げている者に報いるべきであり、今頑張っていない
  者に報いる方法を考えるのはおかしな気もしてきます。

  そこでコーチングの手法で考えるなら、成果とまではいかなくても、 少しでも進捗・進歩のあった者にはそれを言葉で
  フィードバックし、もし助かっているなら、助かったよと明言する。そんな対話がやる気を生むということになります。

  私もそれを実践してきましたが、ここで留意すべきことは、短期的効果を求めても無駄ということです。 また単に声を
  掛けるとか話を聴くということではなく、云わば、相手の存在そのものをきちんと認めて、一緒に頑張ろうという気にさ
  せることです。
  時間はかかりますがあきらめずに継続することが必要です。

  自分で考えたアイデアが実現でき、自分も周囲も喜んでいる。
  そんな機会を与えられれば、本人のやる気も職場の雰囲気も一気に変わります。








Column332     2013/1/14up             


 
■ 商売の時流を見極める目

  最近は 「物」 ではなく、「文化」 や 「生活様式」 を商品として売る企業が消費者や顧客に選ばれ、生き残る時代だ。
  というような話を先日書きました。 ・・・ ではそうではない企業が全て消え去っているかというと、そんなわけでもあり
  ません。
  創業から100年以上たっても考え方を変えず、同じものを売り続ける老舗の中にも生き残っている企業はあります。

  まあ、細々と生き残っているのでしょうけど、自分たちの商売にきちんとした軸を持ち、それを守ろうとする姿勢には
  ある意味、清さを感じさえします。

  しかしそんな企業には、他社がまねできない商品の独自性があるか、 あるいは、他社がまねすればものまねだと一
  目でわかるほどの知名度がある商品を扱っていたりします。 そうなると競争相手なんて中々いないわけで、なんと
  か生き残ることができるのでしょうね。
  とはいえ、多くの企業は常に新しい商品を開発し、ライバルと競っているのが現状です。
  「安かろう、悪かろう」であったアジアのライバルだって、次第に品質を向上させ立派な競合相手となっています。

  そんな中で大事なのは、
  時流を見極める目をきちんと持ち、常に未来を見据えた事業展開を考えるということではないでしょうか。
  でも文字や言葉づらでならこの当たり前の理屈も、 あなたは実際の商売の中で時流をきちんと考えていますかと
  問われれば、そうは言っても目先の対応に追われて中々難しいよと思っていたりしないでしょうか?

  時流とは
  例えば、新たな商品やサービスなどのビジネスモデルが登場し、最初は売れないけれど、徐々に消費者や顧客に
  支持されて売り上げを伸ばす。 そのうちライバルの登場により苦戦し、何とか生き残る。しかし今度は新たな技術や
  価値観に基づく商品やサービスが登場し、現在のビジネスモデルが終了してしまう。
  ・・など単純化すると、導入期⇒成長期⇒成熟期⇒下降期というような時系列の流れです。

  もしくは、他のビジネスの活性化や衰退にともなって、関係するビジネスの需要が左右されるという時流もあります。

  そんな流れの中で今、自分の商売はどの位置にあるのか?
  今やっていることが、いったいいつまで出来るのか?
  そのような考えを持っていないと、過剰な投資など、経営判断のミスを重ね、あっというまに企業が消えて無くなるわ
  けです。

  私が思うに、
  多くの経営者が「時代が悪い」と嘆いているのは、実は 「時流が悪い」或いは、「時流を読み間違えた」というのが正
  しい解釈ではないでしょうか?

  ここでもう一つ大事なことは、今の商売の時流が終焉を迎えてから、新しい商売を考えるのではなく、終焉を見越し
  て次の事業の仕込みをおこなっていくということです。これも文字や言葉で言うなら当たり前なことですが、多くの企
  業はそれが出来ずに消え去っているのが事実です。
  例えば最近なら、フィルムという商品は技術の進歩とともに不要となったし、主食として米を食べる習慣も薄れてい
  るでしょう。
  それが時流です。

  フィルム会社の全てが倒産したわけではないし、稲作農家が全滅したわけではないですが、うまく時流の乗換えが
  出来ずに嘆いている方は多いのでしょうね。
  そうした方のほとんどは、世間や時代のせいにして嘆いているのでしょうけど、全ては時流を読めていない自分の
  せいなのだと気づくべきです。そんな方時流を読めない方が、新しい商売に手を出すから、失敗を重ねるのです。
  ・・・きっと。
 
  いずれガソリンで動く機械も見かけなくなる時代がくるでしょうし、郵便や現金という概念もいつかは過去のものと
  なるでしょう。
  場合によっては、通勤という概念や、外国製という概念すらなくなるかもしれません。
  その時に泣かないために、今何をすべきか? 考えてみて下さい。








Column331     2013/1/9up              


 
■ ZAPPOS (ザッポス)は文化を売る

  最近、前にもましてHOWTO本や企業経営関連の書籍が流行っています。
  電子書籍の時代がやってきたとはいえ、まだまだ、書店はにぎわいをみせているようです。
  実店舗なら、ちらっと内容を確認出来るし、自分への投資の一環と位置付けることが出来る方は、つい高い本にも
  財布の紐が緩んでしまうでしょうね。まあ経験上、HOWTO本が実際に役立つことは、まずないのですけどね。

  書店の店頭では、ちょっと前ならスティーブジョブズの自伝とか、聞いたことのある有名企業が、いかに消費者を
  虜にし、業績を伸ばしたかを書き記した書籍がずらっと並んでいます。
  この手の本を、自らの人生に役立てようと思って開くのか、単なる読み物として開くのか、それは人それぞれです
  が、私は目から鱗が落ちるようなことが書いていないかと思って開くことが多いです。もちろん、事業家でもない私
  の人生に役立つとは思っていませんし、もし本当にすごいNOWHOWが書いてある本なら、数千円で購入出来るは
  ずはないでしょう。

  前置きが長くなりましたが、
  そんな書店の店頭で、見慣れない書籍名=会社名の書かれた書籍を発見しました。「ザッポスの奇跡」。
  ザッポス(ZAPPOS)というのが急成長した企業名のようですが、私は聞いたことはありませんでした。きっと日本
  では商売をしていないのでしょう。
  気になって調べてみると、靴を中心とした米国の通販会社のようですが、その突飛な手法・サービスでファンを増
  やし、急成長したようです。
  詳しくは、書籍でもネットでも見ていただくとして、通販ゆえのサイズの心配を逆手にとって、何足でも試着OK、
  1年間返品OKという摩訶不思議な販売手法により大成功し、それを真似できない通販大手のアマゾンに買収さ
  れたことで、巨人アマゾンに勝ったというような評判を得たようです。

  台湾系米国人トニー・シェイ率いるザッポスにはマニュアルがなく、社員が自分の裁量で顧客の要求に応え、型
  破りなサービスを提供しているようなのですが、この辺りの話を聞くと、かつて話題となったノードストローム(米
  国のデパート)のサービスを思い出す方も多いでしょう。
  自社で顧客が要求するサービスが提供できなければ、そのサービスを提供できる店や企業を調べて情報提供
  する(ノードストロームは手配までしてくれる)。・・ などはその例です。

  とはいえ、ザッポスの1年間何足でも試着OKというのはなんとも破天荒ですね。ある意味「賭け」です。
  まあ全ての商売は 「賭け」 とも言えますが。

  ところで、急成長した企業の共通点って何だと思いますか?
  それは「物」ではなく、「文化」や「生活様式」を商品として売っていることです。
  Column328でもちらっと話しましたが、アップル、ユニクロ、ジャパネットはもちろん、ザッポスも単に物を売るの
  ではなく、その商品を用いた新しい生活という価値を売っているわけです。
  しかも、時には皆の不便・不満を解決し、時には他社には決してまねできない徹底的に差別化された手法を用
  いて。

  今は、従来の手法で「物」を代理店、販売店経由でのんびり売っている企業が次々と市場から消えていく時代
  なのですよね。








Column330     2013/1/7up              


 
■ 相手に話をさせない営業マン

  先日、新たな取引先候補企業の営業の方と打合せがありました。
  私は、とあるサービスの売込みを受ける立場です。

  その営業マンの方は丁寧な物腰の方だったのですが、その方の話の内容は何だか遠まわしで丁寧すぎて、中々本
  題に至りません。
  サービスの性質からすると、当方の話を色々聴かないと以降の商談には繋がらないはずなのですが、相手の方が
  延々と自分の話しをしています。 まあ、20から30話して1聴く、そんな感じです。

  商談とはいえ、お互い貴重な時間を割いての打ち合わせ、この営業マンは何故要点を言わないのかな?
  なんて疑問も浮んできました。

  色々な可能性を探り、最適な提案をしたいのなら、当方が今抱える問題やニーズを色々聴かないとはじまらないは
  ずなのですが、その辺はさらっと流してしまいます。 何だか、悩みも聴かずにアドバイスをしようとしている。
  そんな感じです。

  途中から、私の頭に浮んだ想いは、この会社は当社とは取引をしたくないのだなということです。
  紹介者の手前、直接的に商売をしたくないとは言いたくないので、脈絡のない話をしているのではないかと。

  結局、私のほうから、「サービスのご提案をいただける可能性がないのなら今日はこの辺で」と伝え、話を遮ったと
  ころ、迷うことなく、「では」とあっさり引き上げていきました。同席していた紹介者(他の取引先)も呆れ顔です。

  相手の本音がどうかは聴きませんでしたが、おそらくこの営業マンと会うことは2度とないでしょう。

  私は営業マンではないですが、業務上の相談を受けアドバイスをするような場合は、10聴いて、2質問し、
  さらに5聴いて1アドバイスするくらいの感覚で打合せをしています。
  しかもアドバイスの内容は相手自身が話した内容をフィードバックするように努めています。
  人から言われたことより、自分で考えたことのほうが具体的行動に繋がる気がしますから。

  先の営業マンは、普段どのような営業をしているのかといぶかしんでしまいましたが、名刺の肩書きは中々立派
  でした。やはり断るつもりで来たのでしょうかね。








Column329     2013/1/2up              


 
■ 物事を明確に定義する

  年末年始。 あいかわらず、池上 彰さんが色々TVで解説していましたね。
  説明が判り易いので、つい、見ちゃいます。
  
  池上さんの番組を見ていていつも気づかされるのは、番組のゲストは勿論、視聴者の我々も、色々な用語や出来事
  をウル覚えで知ってはいても、言葉の正確な意味や出来事・事件の本質を理解してはいないということです。

  何となく知っている。何となくTVや新聞で見たり聴いたりしたことはある。でも正確には理解していない。
  それが尖閣問題だったり、ユーロ危機だったり、総選挙だったりします。
  まあ、正確に知らなくても困らないこともたくさんありますが、例えば年金制度や消費税のように自分自身に直接関
  わってくることだと、どうでもいいやでは済まされません。

  でも実は、仕事の場面を振り返ってみると似たようなことがたくさんあります。
  会議の出席者の中で、正確にプロジェクトの方向性とかお客様もニーズを理解している者がほとんどいなかったり、
  仕事を進める上でのルールや枠組みを知らない者が地位の高さや声の大きさで議事をしきっていたり。
  何でも知っているような顔をした連中が、実はそうではない。故にミスジャッジ。そんな出来事、身近にありませんか?

  物事の定義を正しく知る。
  当たり前のようで、中々出来ていないことですが、自分の意見を正しく相手に伝えたり、周囲への説得力を増したり、
  正しい判断をするためには必要なことです。
 
  身の回りの言葉や出来事を正しく理解する。
  それを常に意識するだけで、あなたの説得力、判断力は倍増するかもしれません。








Column328     2012/12/31 up            


 
■ 「クレーム・不満は宝の山」の肝

  クレームや不満は宝の山。皆さんの会社でも一度くらいはそんな話を聞いたことがありませんか?
  顧客からのクレームに迅速かつ適切に対処すれば、信用につながる・・・とか。
  消費者や顧客の不便・不満を解決できる商品やサービスを提供できれば、他社との差別化が図れて、選ばれる
  商品、選ばれる企業となれる・・・とか。
  話としてはかっこ良いし、真理をついていると思います。

  実際、急成長しアマゾンに買収されたことが話題となった靴通販ザッポス (米国) は、通販だと試着出来ないとい
  う消費者の不便・不満を完全に逆手にとって、最長365日間まで何足でも試着OKを売りにした通販戦略で成功し
  たようです。

  クレーム・不満は宝の山。この言葉をきちんと理解し、実践し、成功した企業は他にもあるでしょう。

  ここで第一の質問。
  あなたが勤務する企業では実際にクレームや不満を宝に変えた例がありますか?
  そう問われると私も、うーん。と唸ってしまいます。
  物事の考え方の視点を変える言葉としては理解しているけど、何か実践例があったかなあ。という感じです。

  では第二の質問。
  仮に、あなた自身が、顧客の苦情から商品やサービスの良いアイデアを思いついたとして、それを実現する体制
  はあなたが勤務する企業にありますか?
  さらに、うーん。と唸ったりして。

  確かに、消費者や顧客のクレーム・不満は宝の山だけど、新しいアイデアを受け入れ戦略につなげる素養のない
  組織では、宝の山はそのままゴミ箱に直行でしょう。
  つまり、社員を焚きつけといて後押しはしない。・・社員にハッパをかけるネタとしては不適切な気もします。

  では、クレーム・不満を宝に変えるのに、何が必要なのでしょうか?

  結論からすれば、従来の商品・サービスを前提として付加価値や変化を考えるような仕事の進め方をやめ、常に
  ゼロから消費者や顧客が欲しがる商品・サービスを考えることが必要なのだと思います。

  最近、実際の物品や単なるサービスを商品として売るのではなく、生活スタイルや文化を売ることで成功している
  企業が目立ちます。スマホ、スタバなどはその成功例でしょう。消費者も、電話 (通信) やコーヒーを買っている
  のではなく、ネットで繋がる世界、くつろぎのひと時を買っていると思えば、ちょっと高い代金も妥当に思えてしまう
  かもしれません。

  すなわち、大事なのは、現に消費者や顧客が欲しがっているものを理解するだけではなく、おそらく欲しがるであ
  ろうものを商品・サービスとして考え出すことです。

  液晶TVの3D化のように、新しいサービスとして売り出したものが、単に不要な機能(技術)が付いた高い商品とし
  て受け取られるおそれもあり、技術力の誇示だけでは商売は成り立たないことを肝に銘じる必要もあります。

  「クレーム・不満を宝の山に変える」 の肝。何かヒントをつかめましたでしょうか?
  うーん。

  ではもう一つ。スマホもスタバの共通点は 「時間つぶし」、「時間の有効活用」 にヒントがあるような気がします。
  しかも中毒患者のようにいりびたる 「時間つぶし」。

  余談ですが、ジャパネットもビデオやパソコンではなく、その使い方までを含めて売ることで成功したような気がしま
  すが、目玉商品の液晶TVの売れ行き低下により厳しい状況になっているようです。各家庭に液晶TVが行き渡った
  あとのことが戦略から抜けていたのかもしれませんね。








Column327     2012/12/27 up            


 
■ メンタルケアはリーダー・管理職の義務

  年末年始。勤務先社内だけでなくプライベートな友人との飲み会の季節でもあります。私も25年来の友人と飲んで
  いたら、一人が何だか浮かない様子。聞いてみると、部下に心の病の方がいて日々悩まされているとのこと。

  彼にとっては初めての経験。しかし、私にとっては過去何度も経験し、一度に複数の部下が心の病になっていること
  もありました。でも友人への私の助言は簡潔。相手に併せたケースバイケースの対処が必要、もしカウンセリングを
  受けていないのなら早めに受けさせるべき。・・それのみでした。
  心の病って、人それぞれ原因も症状も異なるし、 職場の雰囲気が判らなければ素人がなんともアドバイスしようが
  ないと私は思っています。治療するにしても、本人が「自分は今正常ではない」ときちんと自覚しないと始まりません。
 
  まあ、素人の私が唯一断言できるとしたら、発症した職場にいる限り絶対に治ることはないということだけです。それ
  だけは経験上確実。仕事内容が原因なら仕事を変えない限り、人間関係が原因ならその人間関係を絶たない限り
  治りません。
  カウンセリングの先生方は皆さん患者の「職場復帰」を目指し、「もう大丈夫。ちょっとずつ仕事に慣らさせて下さい。」
   そう言って患者を職場に戻しますが、元の職場に戻り、再び以前の業務を担当した本人は1週間から長くても1ヶ月
  以内に出社しなくなります。同じ会社の同じような職場に復帰させようとする限り、十中ハ九再発してしまいます。
  うつ症状が落ち着くことはあっても完治することは稀なのです。

  とはいえ長い経験の中で、完全復帰できた方も数名知っております。
  彼らに共通することは、元々パワフルな人材であり、誰もが認める厳しいプロジェクトに携わり、睡眠もままならない
  状況の中で社内や関係先から仕事の内容を責められ続けて長期間心身をすり減らし、最後には出社出来なくなっ
  たというものです。
  このような潜在的パワーのある人間は、同じ社内であっても、担当プロジェクトが変わるなど、本人を取り巻く状況
  が一変すれば、復職して再びパワフルに働くことが出来るようです。そもそもパワーがある人材が潰れるような仕
  事が悪いわけです。
  当然ながらごく稀なのですが。

  また職場での予防に観点を移すと、上司が部下のうつ病発症予防としてすべきことは 「本人の能力をきちんと見極
  め、日々観察を怠らず、過大な仕事を長期間与え続けないよう注意する」 ことだと私は思うのですが、これが出来な
  い上司の方って世の中にゴロゴロいますよね。
  そんな上司に限って、心身不調な部下の話を聞くために飲みに連れて行き、部下に自分の正論を押し付けて、もっと
  頑張れとハッパをかけたりします。アルコール、正論、頑張れ。この3つは心身症には大敵なのに。
  ・・・心の病になる社員が減らないわけです。

  でも最も困るのは、本人の能力が極めて低い場合、そもそもその企業の業務内容や社風に全く合わないような場合
  です。
  心の病というより性格が合わないというのに近いのですが、最近ではディスチミア症候群(うつの一種)のように仕事
  をいやがるのは性格の問題だとされていたものが実は病気であったという研究者の考えも発表されたりもしています。

  治る可能性がほぼ皆無の場合、本人が転職するのが本人にとっても周囲にとっても一番幸せなのですが、大企業
  にすがりつきたい、他に行き場がないなどの理由で居座れば、上司としては低レベルな仕事を与え続け、それすら
  満足にこなせないことにイライラするしかないのです。
  強く怒ればパワハラ、無理に転職を勧めたら違法だと訴えられかねません。しかも長い間低パフォーマンスの方は
  会社の規則も熟知していて、解雇事由となるような休み方は決してしませんしねえ。

  ところで、心に何かしらの問題を抱える方は、世の中にどれくらいいるのでしょうか?
  ネットで調べてみると、とある医療機関の調査では100人いれば8〜9人が現に何らかの心の障害があり、うつ病に
  至っている方が3人位はいるらしいです。しかもうつ病症状の方の7割は相談・治療を受けていないようです。
  潜在的な方も含めれば更に多くの方が病んでいるでしょうし、企業関係に調査を絞れば罹患率はもっと高まるでしょ
  うね。まあ10人に1人位が心身不調なくらい今や不思議なことではないのです。

  もしあなたが職場のリーダーなら、基本的なメンタルヘルスの知識くらいは理解し、早めに調子の悪いメンバーを見
  つけて、カウンセラーや心療医による治療につなげることが必要ですし、今の時代リーダーや管理職の最低限の義
  務だとさえ言えます。








Column326     2012/12/19 up            


 
■ 歯車として生きますか?

  機械の歯車。指示命令を受け、言われるがままに働く方の比喩として使われることがありますが、そんな歯車のような
  方々だって、自分の意志を持たないわけではないし、そもそも歯車は機械の動力を伝達する重要な部品であり、精度
  が求められる部品でもあります。

  我儘で自分勝手に行動する方はその行動故に目立ちますが、世の中には自分で考え、自分の意志で行動するのが
  面倒だと思い組織の歯車になりきる方が大勢います。

  まあ歯車人間が大勢いると言っても、若い世代では全く話が異なり、どうも最近、TVドラマの悪影響で「企業に勤める」
  ということそのものを誤解している若者が大勢いるような気がします。
  いや最近に始まったことではないかもしれませんが、入社してまだ右も左もわからないうちから、格好良い業務や大き
  な仕事を任されなければ、こんなつまらない業務、単純な仕事は嫌だと主張する方が結構目立ちます。
  最近ではそんなつぶやきをネットに書き込んでしまう方も大勢います。

  TVドラマや映画の世界だと、組織(というより上役)の意向に逆らったり、チームワークを無視して行動する型破りな主
  人公が大きな成果をあげたりしてカッコ良く描かれますが、現実の社会に存在したら相当に迷惑な方でしょうし、周囲
  からそっぽを向かれるでしょうね。

  世の中の大多数の方は表向き大人しく、日々変わり映えしない行動や仕事をコツコツと繰り返しており、ルールは破
  る為にあるのではなく、守る為にあり、破れば罰則を受けるというのが、概ね社会の真理なのです。
  とはいえ、歯車人間が一番。などと会社や上司は言ってはくれません。

  もしあなたがサラリーマンなら、大事なのは、歯車にように正確に動くのでもなく、自分勝手に我儘を通すのでもなく、
  組織の大筋の方向性の中で、自分のやりたいことを見出し、成果を上げたり、リーダーシップを発揮したりして自己実
  現を試みることなのだと教わるでしょう。・・ちょっと前までなら。

  今の世の中、そんな中庸で、ある意味みみっちい考え方で頑張ったくらいでは会社は決して「頑張ったね」とは言って
  くれないし、社員が普通に努力したくらいでは、会社そのものが他社との競争に敗れて潰れてしまうことだってありま
  す。
  そんな意味で、企業が歯車のような社員やまじめに働きちょっとした成果を上げる優等生を求める時代はあきらかに
  終焉に近づいている気がします。

  もちろん、入社してすぐ好き勝手をやろうとするような社員を歓迎しているわけでもありません。基本となる秩序を十分
  理解し、大きな成果を上げるためなら、きちんとした根回しをした上で、うま〜くルールを逸脱していく。しかし法律まで
  は破らない。
  きっと、そんな社員が求められているのでしょうね。

  でもそんなスーパーマンなら、一企業の枠から飛び出して、活躍しちゃうのでしょうね。
  歯車人間、組織の枠組みから外れる人間。あなたならどちらの道を選びますか?・・・・・。








Column325     2012/10/4 up             


 
■ 周りを見ればきりがない

  最近、通勤が大変だと言う とある女性の嘆きを耳にしました。
  仕事が大変、人間関係が大変というのではなく、通勤時間が2時間前後で耐えられないというのです。

  実を言うと、私も昨年までしばらく2時間通勤をしていました。
  しかも事情があり7時までに会社に入っていたので、5時過ぎには家を出ていました。 実際は、朝は1時間50分程度、
  帰りは2時間15分位の通勤時間だったと記憶しています。

  会社って、単純な電車の乗車時間を問題にするけど、朝早くや、夜遅くは乗り継ぎが悪いかららねえ。と同情しました
  が、ふと考えてみると、彼女は別に朝4時過ぎに家を出ているわけでも、夜9時過ぎに会社を出ているわけでもありま
  せん。

  新入社員の彼女に詳しく話を聞くと、 自分の同期入社の女性たちは、もっと楽な通勤をし仕事も楽だというのです。
  まして、自分も学生のときは通学が楽だった。・・と。

  同情はするものの、会社は楽をしてお給料をもらえるところだと思っている点は間違っているとも思います。
  たぶん、同世代の男性会社員の多くは、つらい思いをしながら、仕事を覚えようと必死になっているでしょう。
  冷静に考えると、彼女に同情することは、女性にはつらいよねと言うことになり、明らかな男女差別になってしまいます。

  もし、女性だから長い通勤に耐えられないのだと結論づければ女性社員は必要ないという考えにまで至ってしまいます。
  もちろん、子育てをしているOLには配慮することは必要なのでしょうけど。それにしても子育てしていない女性からみれ
  ば、ずるいと言われかねませんしねえ。

  自分の周りの同性の社員と比べるのか、ばりばりやっている境遇の違う社員(女性かもしれない)と比べるのか、それ
  は本人の自由です。が、せっかく社会に出て、自分で自分の可能性を狭めている気がしてなりません。
 
  もちろん、彼女がどう思うかであって、正解なんてないのでしょうけど、周りを見ればきりがないと思いませんか?
  となりの芝生は青く見えるものですから。

  ちなみに、寒くなるこれからがつらいのだと思うのですけどねえ。








Column324     2012/10/4 up            


 
■ 今年も全国労働衛生週間です! 心と体について考えてみましょう。

  今週(10/1〜10/7)は、全国労働衛生週間です。
  というわけで、一応、衛生管理者の私も勤務先の安全衛生大会で主旨説明を行いました。
  その中からの引用ですが、近年の衛生週間のお題目の骨子は、「心と体の衛生管理」 なのです。 夏場の熱中症も一息
  つき、心も体も大事にしていこうというわけです。

  そんな骨子の中でも驚きなのは、日本の自殺者はここ10年、年間3万人に達しているそうです。
  先月末の新聞記事だと、シリアの内戦が始まって以来の死亡者数が3万人だということですから、戦争もしていない日本
  の自殺者数って、凄過ぎだと思いませんか。

  その8%強、2500人前後が仕事関係が原因だとか。 厚生労働省も体だけでなく心も大事にしたいわけです。
  ちなみに男女別では、約2:1の比率で男性の自殺者が多いようです。

  原因別では、健康問題、家庭問題、経済・生活問題が、仕事関係より上位に来ます。男女問題なんて更に下位、最近話
  題の学校問題はずっと下という状況です。
  でも実際に真の原因が報告されているのでしょうかなんて気はしますよね。

  とはいえ、近年は、自殺の原因が職場にあるとして労災認定されるケースも増えているようですから、企業にとっても切実
  な問題と言えます。

  心の病を早期に発見するヒント、ストレスを解消するヒントはこのホームページにも沢山載っていますので、是非ご参考
  にしてください。

  しかし、全国労働衛生・・ と大きく銘打っておいて、何で1週間だけなんですかね。
  準備期間と銘打って9月一杯使っていますけど、何だか10月になったとたん活動が下火になった感があるのは私だけで
  しょうか。








Column323     2012/9/11 up            


 
■ モチベーションの源泉

  人のモチベーションを向上させる要因は何か?
  給与、地位を含めた処遇。サラリーマンならまずそう思うところでしょう。

  そんなこととは関係のない子供だったり、企業であっても原資やポストが限られている場合なら答えはもっと
  単純明快、人に褒められることやお礼を言われることだと気づくでしょう。良く頑張った。助かったよ。ありがと
  う。・・などなど。

  では最近、あなたは誰かに褒められたことがありますか?もしくは、誰かを褒めたり、お礼を言ったことがあり
  ますか?
 
  良く考えないと思いだせないあなた。
  残念ながらあなたの周りには、褒めてやる気を引き出すというごく当たり前の文化が根付いていないのです。
  だからといって嘆く必要はありません。 逆に考えれば、現状を改善する余地があるということなのですから。

  また、「頑張ったね。」と「助かったよ。」の間には大きな違いがあります。
  人から頑張りを見てもらえていた。相手に感謝された。どちらも周囲との関係が明確になる言葉であり、自分
  は一人じゃないと認識するには十分な言葉ですが、言い換えれば、「あなたは頑張ったね。」と「私(たち)は
  助かったよ。」の違いがあるのです。
  後者はIメッセージとかWEメッセージと呼ばれるもので、あなたは自分自身だけでなく、私(たち)にも良い影
  響、良い結果をもたらしたんだよと相手に気付かせるメーッセージなのです。

  ちょっと理屈っぽくなりましたが、「君は私(我々)の仲間だよ。」とさりげなく言われたようなものなので、偏屈
  者ではない限りは上気分となるはずです。

  とはいえ、ここまでは納得できても、周囲や家族を見回しても、頑張ったねとも助かったよとも言うような場面
  や機会はやはり少ないと思う方も多いはず。そんな方は、「頑張った」、「助かった」の基準を見直してみてく
  ださい。ハードルを下げれば、褒める機会も増えるでしょう。

  それでもそんな機会がないという方は、
  「良いことをしたり、成果を上げたら褒める。」という考え方を、「進捗が少しでもあったら、相手にフィードバッ
  クする」という考え方に置き換えてみてください。
  いつもより早く出社したら「早いじゃないか。」、頼んだ仕事が出来たら「助かったよ。」
  ミスの多いメンバーが、きちんとした書類を提出したら「きちんと出来てるね。」など、
  率直な感情や事実をフィードバックしてみましょう。

  無理に褒めたり、おだてようというのではなく、関心を持って見守ってくれている。きっとそんな気持ちが伝わ
  るでしょう。

  このような手法をコーチングでは「褒める」ではなく、「承認 (アクノリッジメント)」と言いますが、まあスキルだとか
  テクニックだとか複雑なことは考えず、「関心を持って周囲に接しよう」くらいに思っていただければうまくいく
  でしょう。

  ちなみに、コーチングを学んだ方が数人集まってオフ会なんぞ開こうものなら、延々お互いを「承認(アクノリッ
  ジメント)」する会話が飛び交います。誰かに自分の発言や行為の中身を承認してもらうことは 本人にとって
  のフィードバックとなり、「この行動は良い行動なのだ」という重要な気付きを得られるからです。

  話を戻しますが、中には、
  自分が周囲を褒める機会は増えたけど、相変わらず自分は褒めてもらえない。という方もいるでしょう。

  でも、大事なのは褒めてやる気を引き出すこと、関心を持って周囲に接することを文化としてあなたの周囲
  に根付かせることです。それにより、組織やチーム、家族や仲間内のやる気がでればあなた自身のモチベ
  ーションは確実に向上するはずです。

  あなた自身が人に褒められたり、感謝されたりしなくたってあなたの目的は達成されています。








Column322     2012/8/25 up            


 
■ 永遠のテーマ

  企業で社員教育を計画したり、実際に講師をしていると、必ずといって悩むテーマがあります。
  いわば永遠のテーマ。
  それは、企業、つまり雇用者側が押し付ける教育では、中々社員の身には付かないし、まあ、1カ月経って、きち
  んと内容を覚えている方は10人に1人もいない ということです。・・ 決して大げさではありません。

  それに比べ、自腹で仕事とは直接関わりのない資格を取ろうとすると、真剣になるし、とくにうん十万円も費用が
  かかると、何としてもマスターし、資格をとろうと必死になるでしょう。
  私も、若い頃、自動2輪の限定解除や船舶免許を必死で取りましたし、40台の時にも自分から挑んだ宅建の資
  格取得では本気になりました。

  実のところ、企業が社員に何かをマスターさせようと講師を準備するのにもかなりの費用がかかっていますし、
  勤務時間中に集合教育を開催しようものなら、目に見えない経費(=勤務から離れることでの逸失利益もしくは
  人件費)は膨大なものです。
  それでも、受講者はよっぽど魅力のある研修でないと、真剣になるどころか、居眠りせずには受講できないのが
  常です。
  そのため、講師の方は、一方的な講義ではなく、ディスカッションをはじめとする受講者参加型の教育を企画す
  るわけです。

  この永遠のテーマに挑もうと、以前出向していた子会社時代には、会社の強制ではなく、仕事の延長線上にあ
  るノウハウマスターや資格取得のため教育受講費用を毎年、会社が負担する制度を作りました。
  年間4万円を限度としたのですが、たとえば2年に亘って受講すれば8万円は負担してもらえる勘定です。
 
  結果、社員が利用したかどうか。
  う〜ん。中には、制度を利用してメンタルヘルス系の講習を受ける方もいましたが、社員の利用頻度は極めて低
  かったのです。仕事の延長線上の資格、という点が既に会社のお仕着せだったのでしょうね。

  こんな議論に結論を出してしまう書物があります。
  「ビジョナリーカンパニー2」という本です。 この本、1冊目の「ビジョナリーカンパニー」と続編にあたる「「ビジョ
  ナリーカンパニー2」では、書かれている内容が大きく方向性が異なります。
  「ビジョナリーカンパニー」は偉大な企業はどんな考えで会社の方向性を決めているかという内容。
  「ビジョナリーカンパニー2」は,過去有名であり、現在も生き残っている偉大な企業の共通点は何かという内容
  です。

  では、その共通点とは ・・・・ 。
  社員を企業の方向性に合わせるためにきちんと育てようと頑張った企業ではなく、
  優秀な社員を集めて、彼らに企業の方向性を決めさせた企業。社会環境の変化に合わせて、社員が自ら企業
  の方向性を考えることの出来た企業が今も生き残る大企業だというのです。
  永遠のテーマに対する答えがあるとは思いませんか?

  優秀な船長の元、行き先の決まった船(もしくはバス)に乗り込んだ者を教育して立派な乗組員に育てた企業
  は、一度は大企業となったものの、その多くは消えてなくなった。しかし、優秀な乗組員を集めて船(もしくはバ
  ス)に乗せ、状況に合わせて彼らに新たな行き先(目的地)を柔軟に決めさせていく。
   ・・・それが今も生き残り、成長し続ける世界的企業の共通点だそうです。

  なんだか、むなしさを感じる話ですが、私としては経験上も同意できる話です。でも、・・・。
  魅力的な教育を考えている暇があったら、新たに優秀な社員を集めたほうが良い。確かに、変化の早い今の
  世の中に合った理屈です。でも、採用を経験する立場からすると、よっぽど企業に魅力があるか、高待遇でな
  ければ優秀な人材は集められませんし、そもそも採用時に本当に優秀な人材かどうかは、就業経験のある方
  を対象として実績を示してもらうことでしか、確認できないでしょう。きっと、ヘッドハンティングを主体に社員を
  集めないと難しいでしょうねえ。

  少し長くなりましたが、
  もしあなたが、社員を教育する立場、社員を採用する立場であれば、やみくもに今までの仕組みを継続する
  のではなく、一工夫すべきだということだけは、確かなようです。








Column321     2012/7/1 up                      


 
■ しばらくはコーチングの講師を休業

  実は勤務先で、業務の合間に、中堅社員20名弱を対象に、2週に一度の割合で、「コーチング研修」と称し、コミ
  ュニケーション手法やモチベーション向上の為手法、つまり、このHPの内容そのものを講義しておりました。
  でも、1年ほどたって、一旦休業することに。

  実はネタはまだまだあるし、徐々に効果も上がってきていますが、思うところがありました。

  コーチングや指導力向上、前向きな生き方がその講義や、このHPのテーマなのですが、自ら前向きに生きようと
  思っていなかったり、部下・後輩指導のスキルを覚えたいと思っていない方に、コーチング手法や各種HOWTO
  を押し付けるのは効果が薄いし、不本意でもあります。

  そもそも、どうしても出席しようとは思っていないでしょうしねえ。
  私なら他の仕事を調整しても出席しますけど、受講者の方々はそうは思ってはいないでしょう。きっと。

  コーチングスキルは非常に簡単かつ身近なものですが、自主的で前向きな気持ちがなければ、うまく活かすことは
  できません。せいぜい、そんなスキルがあったなという程度のうる覚えの知識が増えるだけです。
  まして、上役の私からの講義は押し付けられ感が強いでしょうね。

  人は興味があることなら、ネットでだって、雑誌でだって、一生懸命調べます。
  車好きの方は、やたら車に詳しいし、それは生活や考え方の一部にもなります。

  コーチングも同じ、私がHPやブログを作ったり、研修ネタを一生懸命作るのは、義務感からではなく、それが好きだ
  からです。

  私にとっても受講者にとっても、仕事の一環とはいえ、コーチングスキルの押し付けは、趣味の押し付けと同じ。
  そんな気がするのです。

  前向きに生きたいなら、その門戸は人に開いてもらうのではなく、自分から開く。
  このHPで伝えたいのは、まさにそんな生き方なのです。








Column320    2011/11/6 up              


 
■ 褒めてやらねば、人は動かじの真意

  やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ。
  人を育てる方法をシンプルに伝える山本五十六の名言 として有名ですが、実は元々は米沢藩主上杉鷹山の言
  葉なんです。
  
  しかも、その全文は、
  やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ。
  話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
  やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。    というものです。

  あれ、これってコーチングの思想そのものじゃん。
  そう思った方も多いでしょう。
  褒める、承認する、話を聴く、任せる自分で考え、動ける人間に育てるために必要な接し方は、今も昔も同じように
  考えられていたということでしょう。

  この考え方を、具体的に箇条書きしてみると、
    @ 模範を示す
    A 目標に向かわせる
    B 実際にやらせてみる
    C 結果をフィードバック
    D 良い点、進歩を褒めて自信を持たせる
    E 改善点をアドバイス
    F 新たな目標達成に向けた本人の考え方を聞く
    G 良いアイデアは認める
    H 任せて、自分の考えでやらせてみる
    I 前向きの頑張っていれば、努力に感謝する
    J 信頼して任せる

    なんて風になります。

   @、Eあたりはティーチングに当たりますが、
   あくまでコーチングをベースに人を育てる手法とわかります。

  山本五十六の言葉を名言として引き合いに出して訓辞する方は、多く見かけますが、
  せっかくの良い指導方法なので、中身をきちんと、理解して、行動に移せるレベルで伝えることも、時には必要な
  気がします。








Column319    2011/10/2 up              


 
■ 運命と偶然の違い

  成功、出会いやトラブルなど特別の出来事が起きた時、ことが落ち着いてからふと振り返ってみると、何らかの
  「前兆」があったと気付くことはありませんか?

  決して予期していたわけではないし、まして確信してもいないけど、ちょっと予感めいた出来事があった。
  ・・・なんて感じで。

  労働災害だと、ハインリッヒの法則とかいう、重大事故の発生前に29件の軽い事故があり、その前に300件の
  危険 (ヒヤリ、ハット)があったとか言われるくらい統計的な話もあるようですが、そんな直接的な話でなくて、
  例えば、古い友人Aさんとバッタリ出会う前に別な友人との間でAさんの話題が出たとかいう程度の、起こった
  出来事とは直接には関係なさそうな伏線など。

  はたして、「予感めいた出来事」と 「起きた出来事」に関連はあるのか?
  ・・実はここまでが前置きです。長々とすみません。
 
  例えばテストで勉強したところが出題されて、「今日はツイテいる。」という場合、「ツキ」の前提として勉強すると
  いう努力があったのですから、「ツキ」を呼ぶための努力があったわけで、努力なしでも起こる「運命」とは別のも
  のと思えます。

  同じく、宝くじは買ってこそ当たる可能性が生まれるわけで、前兆や予感とまではいえないまでも伏線があるの
  です。

  キャリアカウンセリング用語でプランド・ハップンスタンス・セオリーという言葉がありますが、興味のあることに
  対し好奇心や持続性など前向きの要素を高めて行動することで、計画されたかのような偶然の出来事が起こ
  るというものです。
  云わば、「偶然は必然である」という理屈であり、プランドハップンの場合も、「ツキ」や「偶然」を呼ぶ前提として、
  「前向きな行動」という努力があったわけです。

  ちなみに運命とは「人の意思を超越して幸・不幸をもたらす力」だそうです。
  つまり、運命的な出来事の前提として、前向きな行動や努力がない場合を指すわけです。
  しかも運命という場合には、マイナスな出来事も含まれます。

  はたして、あなたに起こった特別な出来事はツイテいたのか、運命なのか?

  では、
ツキを呼びよせるために何が出来るか?
  私なりに考えてみたことを書き連ねてみます。
    ● 迷ったら行動する。
    ● 常に前向きなイメージを思い描く。
    ● 継続は力なり。
    ● まずは身近な目標に向けて努力する。
    ● 興味のアンテナをあげる。
    ● 一つ一つの行動の意味合いを考え、意識して行う。
    ● 新たな試みは最初はゆっくり、じっくり基礎を築き、徐々にペースを上げていく。
    ● 友人の輪を広げる。
    ● 人には親切にする。


  興味があったらやってみて下さい。必然と言える偶然が起こるかもしれません。

  ※実はこの内容は勤務先所属部署で40分ほどの講義として行った話の要点を摘んだものです。
    こんな話を会社でまじめに行うというのも面白いでしょ。皆目を丸くして聴いてくれましたよ。








Column318    2011/7/10 up              

 
■ 行間を読めない理由

  アスベルガー障害 ・・・・ 聞いたことありますか?  以前ご紹介したことがありますが、

   ● 社会常識やマナーを知らない行動をする
   ● 興味のあることは熱中して頑張るが、それ以外のこ とはさっぱり
   ● 物事へのこだわりが強く、 臨機応変な対応がうまく出来ない      そんな特徴のある行動障害を指します。

  精神障害、つまり病気というよりも、そういう頭の働きだそうで、周囲から注意されても本人には全く悪気はないし、自
  分が何が悪いのかと理解できないところがやっかいなのです。

  更なる特徴としては、
   ● 指示されたことは一生懸命こなす
   ● 興味があればやるが、そうでなければやらない
   ● 注意しても、直らない
   ● 言葉を額面どおりに受け取る
   ● 些細なことにこだわる    なんてところがあります。
 
  実を言うと、ちょっとしたトラブルを起こした方と話していて、あれっ彼の状態って、アスベルガー障害の特徴とすべて
  一致している。と気づいたのです。

  トラブルの解決の為、彼をカウンセリングの先生に診せましたが、所見も、彼自身に、悪いことをしている意識は全く
  なく、そもそも何が問題なのかを、社会のルールや、周囲の迷惑の状況を細かく説明しないと、行動は改善しません
  よ。とのことでした。

  しかも、これは行動の特徴であって、別に心の病などではないので、心療内科の治療の対象でもないとのことで、彼
  は絶対に人の話の行間は読めませんよ。と付け加えられました。
 
  もし、そうであれば、どう対処をすればいいのでしょう。
  腫れ物を扱うように、もしくは幼児を扱うように接する。なんてことを周囲の方々全員に求めるのは無理があります。
  私は、行間が読めないので、何事もきちんと一字一句説明してください。と書いた札をぶら下げることも出来ないで
  しょう。

  しかし、前述のアスベルガー障害の方の特徴を生かすなら、
  きちんと理由を含めて指示をして、本人がそれに興味を持てれば、かなり積極的に行動が出来るのです。
  しかも、腫れ物を扱うように接するのではなく、周囲の方が、きちんとした双方向のコミュニケーションの必要性を理
  解していれば、この障害を持つ方の問題は大幅に軽減されるようにも思います。
 
  日本企業ではまだまだ難しいですが、異人種、異文化の方々が大勢働いていて、常識なんてものが存在しない社
  会、会社で働いて、誰もが、ぎもんに思ったことについて率直な意見を言えてる場所があれば、アスベルガー障害
  の方も、かなり普通に見えてしまうのでしょうね。

  ちなみに、前述の彼と話していると、中々会話が成立しません。
  私から色々質問しても、中身のある返事をしないのです。
  どうやら彼の中のルールでは、質問をするのは自分、周囲の方はそれに明確に応える義務があるという図式となっ
  ているようです。

  やれやれ、と思うか、人の多様性(ダイバシティ)だよと認めるか。
  理屈では後者ですが、頭の中はどうしても前者となってしまいますね。








Column317    2011/5/2 up               


 
■ 散歩で体と脳の活性化

  ふと気になって、脳を活性化する方法を調べていると、砂糖がいいとかバナナがいいとか色々でていたのですが、食べ
  物でというなら、 ご飯などの炭水化物が、脳に長時間ブドウ糖を供給できるので脳の活性化には良いようです。

  まあ、ちゃんと朝ごはんを食べなさいということでしょうかねえ。
  しかし、それではちょっと当たり前すぎて、詰まらない。

  で、もう少し調べると、いつもと違う道を歩く。 と いうのがありました。
  通勤や散歩の時に、そのつど違う道を歩き、新鮮な景色、新鮮な街を脳に経験させると、脳が刺激されて、活性化すると
  のことです。

  であれば、せっかくのゴールデンウィーク。
  ちょっと、散歩の足を伸ばして、いつもとは違う街を歩いてみるか。
   ・・・ ということで、カミさんと二人で歩いてみましたが、

  車では何度も通っている道の、一本裏の道を通って海まで行ってみようかとあいなり、片道約7〜8Kmほどの道のりも、
  裏道を通ると、こんなとこ、近所にあったのかというスポットが続出。
  脳への刺激の連続です。

  本当に脳が活性化されたかどうかは別として、新鮮な体験をしました。
  足もパンパンになったので、きっと、体の活性化にもなったでしょうね。








Column316    2011/4/24 up              


 
■ 頑張れと言わない

  最近よく耳にする言葉。 ・・・・ 「頑張れ!」

  いい言葉なのですが、震災でストレスを感じている方々には、耳に痛い言葉、いや、心に痛い言葉なのです。

  頑張れ! ・・・・ 心身とも元気な方には、元気づける良い言葉でも、 ストレスで心が不安定な方には逆効果。

  だって、頑張れなんて言われなくても既に精一杯頑張ってるし、これ以上どうしろ言うの。 なんて状態になるでしょう。
  皆が応援しているのに成果が出ないとしたら、逃げ場もなくなります。 そう思いませんか。

  心の負担もうなぎのぼり。なんて感じになっちゃうかもしれません。

  言葉でなく具体的な支援をし、そっと見守って、 でもって、少しでも成果がでたら、 「頑張ったね。」 と声をかける。
  そんなやり方はどうでしょう。
  心身ともつらい方の重荷を増やさないために。

  ****
  心身症の方にやってはいけないことがもう一つ。
  酒にさそうことです。

  どうです。最近元気が無いなと思うような同僚や部下がいたら、元気づけようと、酒にさそったりしていませんか。
  普通はそうしますよね。もちろん、1日や2日、些細なことで元気がないのならいいかもしれません。でも、うつの症状に
  ある方にアルコールは禁物です。症状を悪化させる原因にもなりうるからです。

  ****
  やってはいけないことは他にもあります

   ● 自分の経験談ばかり話す    「俺はこうやって乗り切った」
   ● 話を聴かずに、すぐ指示する  「こうやればいいんだよ」
   ● 理由をきかずに叱る      「だめじゃないか」
   ● 話を聴かずに逆に愚痴を言う  「俺だって大変なんだ」
   ● 部下の問題を軽視する     「お前だけが大変なんじゃない」

 
  一方的なコミュニケーションは、相手を追い込むということです。
  元気のなさそうな方が周囲にいたら、まずは、その行動を良く観察して下さい。 困っているようなら手伝えることを見つけ
  て、本人の負担が軽減され 休養できるようサポートする必要があります。
  もし、あなたが具合の悪い肩の上司や先輩なら、話を聴いて対処できることは色々あるでしょう。
  でも1週間、2週間つらそうな症状が続くようなら、心身症、つまり病気である可能性も高いのです。そうなると医師や
  カウンセラーの出番 (範疇) でしょう。

  もちろん、日々の会話があれば、相手の変化にもすぐ気付くでしょうし、 問題の軽さ、重さも把握できるでしょう。
  ストレス管理という意味でも部下や同僚、後輩との双方向のコミュニケーションはかかせません。








Column315    2011/3/26 up              


 
■ 先が見えない不安を乗り切る (正しい希望の持ち方)

  日本はどうなっちゃうのかねえ。・・・。同僚が数名集まると、すぐ、そんな話題になります。
  首都圏にいても、計画停電が重くのしかかり、近県の野菜ばかりか、地元の水道水も心配な状態になってきました。

  本日も、車にこびり付いた花粉を落としていると、めったに聞いたことのない防災無線が途切れ途切れに聞こえてきま
  した。 どうやら 私の住む市においても、水道水に許容範囲以上の放射能が検出されたので、1歳未満の子供がいる家
  庭は小学校で水を配給するので、容器を持参せよと言っているようです。・・いよいよ、ここまで来たかという感じです。

  この先、どうなるのか?  答えのない疑問が、誰にでも浮んでいるのではないでしょうか。

  こんな時思うのは、何度もご紹介した 「ストックデールの逆説」 です。
  誰かが助けてくれる、と期待や希望、夢を忘れなかった者ではなく、現状を受け入れて、その中できちんと生きていこう
  と決意した者だけが、正気を維持して生き残れた。という、ベトナム捕虜となった米軍人の経験談です。

  また、安全で楽しい日々が戻ってくる。・・・そんな夢がなくちゃ、生きていけないよ。
  もちろん、多くの方が同意する考え方でしょう。 当然、大地震に端を発した今の状況は必ず改善されるでしょう。
  でも、元の状態に戻るのには、かなりの時間を要します。夏になれば、冷房も使えない日々がくるかもしれません。皆
  が暑さを我慢できなければ電気そのものはダウンしてしまうでしょう。

  たまたまTVを見ていると、被災地で助かった老人が言っていました。 つらいけど戦争中に比べればずっとましだよ。 と。
  またある老人は漁船を流され途方にくれながらも、自力でかならず船を取り戻して漁に行けるようにすると、自分を鼓舞
  していました。 どちらも、根底にあるのは開き直りです。

  ストックデールの逆説も、単純に夢を捨てろと言っているのではありません。他力本願で、今のつらい状態が無くなると
  思っている者のほとんどは 途中でくじけてしまう。開き直って 現状を受け入れて開き直れば生きていける。 と言ってい
  るのだと思います。
 
  闇雲な夢を見るのではなく、自分の力で達成する将来を思い描く。
  その将来のために、きちんと努力を続ける。それが今の我々に必要な正しい希望の持ち方のような気がします。
  ある意味、受験勉強のようなものですね。








Column314    2011/3/21 up              


 ■ いざという時に動けるか 

  生きててよかった。
  大地震の発生から1週間が過ぎ、被災地の悲惨な情報を耳にするにつれ、心底実感しております。

  今回の地震の揺れは、私の勤務先さいたま市にて 震度5弱〜強。 16階建てのビルのたかだか6階のオフィスにい
  た私にとっても、ムチのごときしなりをもって揺れを吸収しようとするビルの激しい動きによって、もう駄目かと思わせ
  るほどの揺れをもって襲いかかりました。外で見ていた同僚からは、 隣のビルとぶつかりそうなくらい揺れていたと
  のこと。

  いやあ、ほんと、びっくりしました。
  どうやら3、4階くらいまではあまり揺れていないのに、上の階にいくにつれ大きくしなっていたそうです。

  そして、この地震の初動において、まず実感したのは、社内の震災対応マニュアルの分厚さです。
  一旦揺れが収まった後、 安全確保のために、どんな行動をすれば良いのか、 また、ある程度落ち着いた後の初動
  として何をしなくてはいけないか。
  マニュアルには色々なことが仔細に書いてありますが、 色々なケースを想定したマニュアルは分厚過ぎて、中々見
  つかりません。

  というか、いざ本番となると、外出している社員も多く、色々な活動を同時進行できるほど人数が足りないのです。
  まず周囲の安全確認と、建物から退避するかどうかの判断、つぎに従業員の安否。
  ちょっと落ち着いたら配下の事業所の所属員の安否・被災状況。
  そして、関係先(お客様)の被災状況・・・というように、限られた人数で、順番に進めていくしかありませんでした。
 
  しかし、とんでもない状況の中で、落ち着きを示し、バリバリと能力発揮したりする方もいて、これまたびっくり。
  逆に、何もできないし、何の協力もしようとしない方もいます。
  災害というのは、能力と本性をあばきますね。

  いざという時にきちんと動けるか。・・・・・人を見極めるうえで、大事なことなのでしょうね。








Column313   2010/11/13 up             


 
■ 目に見えないパワーの真贋

  最近、パワースポットという言葉を頻繁に見聞きします。
  実際の効果を確認できているわけでもないのに、ほとんどのケースでパワースポットイコール素晴らしい場所という扱い
  です。 場所だけではなく、御神木や神社の石なども同じ。
  きっと多くの方がパワースポットには気力を回復したり、心をいやしたりという何がしかの精神的効果があると信じている
  のでしょうね。

  しかし、これがある種の鉱石や宝石の売買、すなわち霊感商法となると、悪者扱いの取り上げ方をされます。
  効果を信じているからこそ購入する方々がいるのにもかかわらず、オレオレ詐欺と同様の扱い。
  神社だって効果不明のお札、お守り、破魔矢やらを売っているわけで、霊感商法と同じく効果を信じて購入するわけです
  から、実際には効果の有無は確認しようがないことを前提にすれば、パワースポットと霊感商法の違いって、だましたか
  どうかではなく、商売っけの大小、つまり値段の大小のような気がします。

  あっ、別に霊感商法を庇っているわけでも、神社を非難しているわけでもありません。

  パワースポットの中には商売と観光的な意味合いを除けば商売とは関係ない場所だってあるし、古代より聖地と呼ばれ
  るような土地はあったのでしょうからね。

  そういえばかなり昔、
  知人がとある宗教、私からみればうさんくさいけど結構信者のいる名のとおった宗教に入り、「信じる者は救われる」そん
  な言葉の通り病気を治してもらったのです。もちろん、高いお布施と引き換えでしたが。
  これって本当に神様の効果だったのでしょうかねえ。

  当時は私も疑いの目でみていましたが、コーチングや心理学の本を見ていると、「病 (やまい) は気から」 の言葉とおり、
  自分は治るんだと信じたり、病を攻撃するイメージを持ち続けることで、病気が改善するという例があるそうです。
  もちろん臨床医学的な話としては現時点では?なのかもしれませんけど。また、病気でなくても、この仕事は絶対成功す
  る。 そう信じないでおいて成功する仕事もないでしょう。

  では話を元に戻し、パワースポットの効果の源とは何なのか?
  磁力、ラジウムのような放射能、それとも神が宿っているのか?

  思うに、パワースポットにいるということ自体が、人の気持ちに影響を与えているのでしょうね。
  また、そんな気持ちにさせやすい景色やロケーションであったり。

  まあ、信じてみますか?








Column312   2010/9/5 up               


 
■ 価値観は人格の数だけある

  会話1)
  娘 「バンドがやりたい。」
  親 「バンドなんてやって何になるの、そんなこと言ってないで勉強しなさい。」
  娘 「<(`^´)>」

  会話2)
  娘 「バンドがやりたい。」
  親 「やりたいことはやればいい。でも勉強はきちんとやるのが条件だよ。」
  娘 「勉強なんかしたって、役に立たないよ。」
  親 「勉強は、常識を身につけるため、将来の可能性を広げるためにやるんだよ。
     それに、成績がきちんとしてれば、周囲はバンドもまじめにやっていると思うよ。」

  人生なんて本人の物。
  そう考えてしまえば、どちらの会話も、正解には程遠いかもしれません。そもそも正解なんてないし。 でも、どちらの会
  話が、より相手の意欲をなくすかといえば、会話1でしょう。

  頭ごなしに否定されたら会話する意欲そのものがなくなってしまいます。
  コミュニケーションブレイクダウン。

  これは職場でも同じ、親が子に思うのと同じく、上司は部下を未熟者と決めてかかっています。
  あなたの職場では、頭ごなしに否定されている方を頻繁に見かけませんか?

  意見や、その前提となる価値観、性格は人それぞれ、千差万別です。
   コーヒーが好きな方もいれば、紅茶が好きな方もいる。
   にぎやかなのが好きな方もいれば、静かなのが好きな方もいる。
   コツコツやりたい方もいれば、一攫千金を狙う方もいる。
   社交的で顧客とうまく接する方もいれば、商品やサービスの中身で勝負という方もいる。

  そんな多様性が形成されている社会や職場の中で、頭ごなしに否定することは、相手の人格を否定することにも繋がり
  かねません。

  「そんなやり方じゃダメだよ。うまくいくはずない。」
  そんな指導的に放った意見、ベテラン社員であるなら同意できるような意見であっても、相手が人格を否定されたと思っ
  てしまえば、両者の信頼関係はそこまでです。

  「そんなやり方でうまく行くか」、「行かないか」は、経験させて覚えさせるのがベストですが、昨今、ビジネスの場面
  ではそんな余裕はないでしょうからねえ。

  やはり、
  価値観、考え方は一つじゃない。と、親や上司が冷静になってそう考えることが出来れば、
  相手を頭ごなしに否定することもなくなり、双方向のコミュニケーションが維持できるのでしょうけど、世の中、なかなか
  ねえ。 ・・・・ だって、そんな親も上司もいないでしょ。

  『子どもや部下は、考え方は未熟でも、一人前の人格を持っている。
   意見や価値観は人格の数だけある。』

  誰が何と言おうと、このことだけは真理だと思うのですけどねえ。








Column311   2010/9/3 up                


 
■ 本性が見える日々

  やっと9月になりました。
  でもいぜんとして暑い日が続いております。
  そんな折も折、実は困ったことに、勤務先のエアコンが故障してしまいました。
  フロアーの1/3ほどが冷房なし。しかも私の座るエリアです。

  2日ほど我慢して修理完了。と思いきや、再び故障。部品取り寄せに1週間ほどかかるとか。船便かっ、という感じ。
  古い空調機ゆえ、部品を製造でもしているのでしょうか。

  扇風機を大量導入し、涼しいエリアから風を送ってますが、これだけ暑い日々が続くと、効果が薄いですねえ。
  オフィス内を涼しいエリアから歩いてくると、途中で突然暑くなる。そんな感じです。

  そのような日々が1週間ほど続いております。

  こんな時、よく分かるのは、社員の皆様の暑さへの耐性。
  自宅では、普段の夏なら全く、今年も寝しなくらいしかエアコンのお世話にならない私は、まあ、暑いですが、耐えられる
  レベルです。

  しかし、暑い暑いと大騒ぎする方もかなり多いです。
  そんな皆さんは、この夏の自宅では終始エアコンを入れっぱなしとのこと。そうなると体がエアコンの冷風を欲してしまう
  のでしょうね。 なにしろ、健康のためには、エアコンの使用は最小限に。なんてことはとても言えない夏ですからねえ。

  暑さに堪える辛い日々が繰り返されているのですが、日も立つに連れ、暑がっていた方々の何名からは、暑さに慣れた
  よ。なんてセリフも。

  実は1週間がたち、社員がオフィス内で熱中症にでもなったら恥ずかしい、イエ、あくまで社員の健康を気遣って、イベン
  トや工事現場などで使う、スポット空調機がレンタルで数台導入され幾分か涼しくはなりました。 でもこれがガタガタとう
  るさい。 電車の行きかうホームか、工場かという具合です。

  会議室に本体を押し込んで、ジャバラの送風口だけ室内に出す。という手法を編み出して、なんとか騒音を低減させてい
  ますが、それでも、ビルの機械室並みの騒音はありますね。

  そして、室温は恐らく28度から29度くらいになりましたが、 この辺りの室音って耐えられる方と耐えられない方が、 は
  っきり分かれますね。黙々と仕事をする方、耐えられないからと会議室に異動する方。年齢は関係ないみたいです。

  厳密に温度調整しているオフィスなら、クールビズで28度設定しているでしょうから、 それとそう変わらない室温ではあ
  ります。でも、涼しさに慣れちゃっていますからねえ。今年は熱中症もはやっているから、 政府やマスコミもあまりクール
  ビズって言わないし、ガンガン冷やしていましたからねえ。私なんか寒くて怒っていたくらいで。

  まあ、そんなこんなで、皆さんの本性(というか暑さへの耐性)がじっくり見える夏です。








Column310   2010/8/29 up               


 
■ ストレスの時代

  先日、暴力団対策の講習に出席しました。
  事業所の総務関係者が数年に一度出席しなければいけない講習です。
  その中で、弁護士さんの講義があったのですが、実体験にもとづく興味深い感想を述べておりました。

  暴力団は、暴対法施行以降、逮捕されやすくなっており、逮捕されれば仕事にならない為、実際に暴力をふるうことは
  めったになくなった。逆に最近は、一般の方がちょっとしたことで暴力を振るって逮捕されるような事案がやたら増え
  ている。・・・と。

  ごく普通の社会人の方が、ちょっとしたきっかけで、キレてしまい、暴力沙汰を起こしてしまう。

  昔からそんな事件はいくらでもあるような気もしますが、
  「殺伐とした世の中になりつつあるのを実感しています。」とおっしゃるその弁護士さんの言葉を聞いていると、
  確かに各種報道でも、そんな事例を見聞きすることは多くなっているような気がしてきました。

  皆さんも、やたらカッカしている方を、街や電車の中で見かけることが増えていませんか?

  例えば、
  遅いのを追い抜くと、カッカしているのが判るような走りで追いかけてくる車。 おいおい、レーサーかよ?
  ・・・ なんてやつは、昔から存在していた気がします。

  でも最近では、ラッシュ時の駅で歩きの遅い方を追い抜くと、抜き返してくる方もいます。
  いちばん驚いたのは、邪魔なので、よけて抜こうとしたら、ガード (ブロック) する方が時々いることです。
  いいおじさんが手を広げて妨害するのです。中には、何で抜くんだと文句をつけてくる方。
  おいおい、ランナーかよ? という感じ。

  イヤ、ランナーなら抜かれたからって、文句はつけないよね。
  ようは気にくわないことがあると、赤の他人に大してアクションを起こす、いい年の方が多い。

  他には、携帯電話を打ちながら極めてゆっくり歩いている方。
  そして、人にぶつかっっても 「すみません。」 も 「失礼。」 も言えない方。
  そんな方々がやたら増殖しており、朝晩の駅や電車はイライラだらけの大混乱です。

  実際、電車で私の隣の空席の狭いスペースに座るのに、一声かけてくれる方も最近ではメッキリ減って年配の女性く
  らいのもの。時代が変わったのでしょうね。 街は、トラブルとストレスでいっぱいなのです。

  推察するに、子供の頃から、自己中心的で、一見周囲の反応には無関心で、ストレートな感情表現、行動をする。
  そんなやからが外見だけは大人になって社会にまん延してきた。 でも、行動は子供のまま。

  しかも、表に現さないだけで、実は周囲の自分に対する反応や扱いには神経質。で、誰も自分の思い通りにはならな
  いので、皆がイライラしている。 そんなところでしょうか。
  ストレスの時代の正体は、実は自己チューの時代。そんな気がします。

  こんなイライラとストレスを最小限にするには、
  まあ、世の中こんなものだ。 と割り切って生きていくか、
  さもなければ、田舎で人と関わらない暮らしをするしかないのでしょうね。








Column309   2010/8/17 up              


 
■ セロトニンはストレスを消せるのか

  夏も真っ盛りですが、実は私の起床時刻 (午前4時40分位) は徐々に薄暗くなってきております。
  昼間が最も長いという夏至 (6月21日前後) をとうに過ぎているのだから当たり前ではありますが、 実は、盆休み前
  と盆休み後ではその差が歴然だったので、「アレっ」 てな具合に起床時の薄暗さに気付いたのです。

  まったくの余談ですが、「地球は正確な円軌道で太陽を回っているわけではない。」 という天文学的な理由により、毎
  日均等に日の出が遅くなるわけではないようです。
  ともあれ、 昼間は38度近い暑さだというのに、もう暫くしたら夜明け前の起床を強いられるのかと思うと、昨冬の寒さ
  を思い出し、ちょっと憂鬱になりました。

  で、今朝も通勤電車に長時間揺られながらふと眼を覚ますと、車内の広告が目に入りました。
  『脳からストレスを消す技術』 ・・・ 中々刺激的なタイトルです。 そんなことが可能ならすごい。

  楽々1.5の視力を活かし遠目で広告を読むと、「セロトニン (脳内伝達物質) の分泌をうまくコントロールしてストレス
  をなくす。」 というような内容です。太陽を浴びるとか、リズム運動とか、涙を流してリセットするとか、とか色々な文字
  が躍っています。

  うーん。 セロトニンというのは一言で言えば、「心と体の平穏に貢献する物質」。
  ノルアドレナリンやドーパミンという人の感情や体に影響を与える物質の分泌をコントロールしています。

  また効率的にセロトニンを生成、分泌、リサイクルするためには、トリプトファンというアミノ酸やビタミンB6を食物
  より摂取し、太陽をきちんと浴びること、リズミカルな運動をすることなどが効果的であるとされているのです。

  詳しい解説は以前、「セロトニンを科学する」 という文章をメンタルヘルスのところに掲載しましたので、興味ある方は
  参考にしていただくとして、この広告だけみる限り、私の文章で言っているような内容の裾野をもっと広げたものなの
  かなというような印象です。目新しいのは涙を流してリセットするという部分でしょうか。

  とはいえ、私は精神分析医でも学者でもカウンセラーでもないので、コラム以外については色々な書物をひも解いて
  知った事実を受け売りとしてまとめて自分の意見を付け加えた文章が多く、メンタルヘルスやセロトニンに関しても色
  々調べており、今更、この広告の書物を読む必要も私にはないなと、勝手に結論づけただけです。

  また、「知識を知っている」 ことと、「具体的に実践してその知識を活用出来る」 ことの間には大きな差があり、実際、
  私のストレスは皆無ではないし、うまくコントロールできているとも思えません。 しかし多くのダイエット知識がそうで
  あるように、「知識」 を 「実践」 に変えられるようなHOWTO本って中々ないんですよねえ。

  そもそも、私が早起きをしているのも、 単純に今の勤務先が遠いからではなく、 以前より、朝日を浴びて目覚めるこ
  と、早めに家を出て歩ける部分はリズミカルに歩き、また余裕をみつけて散歩をする等によりセロトニンを充分に分泌
  させ、心と体の平穏を維持しようと思いたったからです。 ・・・・ なんてことを思い出してしまいました。

  であれば、夜明け前に起きても無駄ではあるのですが、 勤務先が遠くなった為、暗いうちに電車に乗るようになり、
  一駅歩くとか、夜に散歩するという習慣もなくなってしまいました。 もしかして、最近の疲れは、慢性的なセロトニン
  不足のせい。なんて気もしてきました。

  「早起きの初心に帰って、セロトニンを増やしてみるか。」  なんて思った暑い朝でした。








Column308   2010/8/16 up               


 
■ お手軽な世の中

  先日たまたま、盛田隆二さん著の「夜の果てまで」 という小説を読みました。
  この作家の作品を読むのは初めですが、内容は、20年位前の大学4年生が主人公の恋愛小説です。

  で、この小説を読んでいてハタと気づくことがありました。
  ストーリーの本題である人妻への恋とは別に主人公の就職活動が描かれているのですが、主人公は面接の対策と
  して受験先の企業研究をきちんと行い、志望動機や、学業との結び付き、就職後の将来展望など、想定される質問
  にかなり本格的に準備しているのです。
   ・・・ しかも、小説レベルの活発な恋愛活動の合間を縫って。

  うーん。私の、学生を採用する企業側としての実体験に基づく最近の学生さんのイメージは、就活において、非常に
  薄っぺらいその場しのぎの会話・回答しか出来ず、話す内容は資料からコピーしたかのように誰も似たものばかり。
  でもって、ほとんどの学生が 「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」 式に会社訪問している 。
  ・・・ というような情けなく、「やる気あるのか?」 というイメージです。

  「大学で学んだことを就職してどう活かすのか?」
  「将来、当社でどんな活動をしたいのか?」

  なんて当たり前の質問に薄っぺらーい回答しか返ってこないわけで、不景気を反映した就職難などと言う前に、学生
  側のやる気を疑ってしまうわけです。 ・・・ そんなんじゃ、何社回っても内定取れないよ。 という感じで。

  もちろん本当に優秀な学生は、もっと立派な企業を回ったり、それ以前に普通のサラリーマンとして企業に就職する
  ような時代でもなくなっているのかもしれません。

  でも小説の中とはいえ、
  この主人公は面接官の質問をあらゆる角度で想定し、志望する新聞社の過去の新聞記事に徹底的に目を通し、印
  象に残る記事の内容を理解し、自分なりの解釈を加えて引用できるように準備しています。更には新聞販売店に足
  を伸ばして不満を聞き、業務改善提言のネタにすることまでしています。
  ネットの受け売りを自分の分析や意見のように話す今時の学生たちとは大きく違う。そんな感じです。

  とここまで考えて、「そうか、今はネット頼りのお手軽時代だからな。」 と思った次第です。

  皆さんの職場でも、情報収集しろと命じられれば、ネットで集められる範囲の情報をまとめて済まそうとする社員が何
  人もいませんか。でも、本当に重要な情報は、ネットの中には転がっていないのです。
  お手軽ではない部分の成果にこそ、その人の才覚や努力がわかるものがある。と思えます。

  お手軽な世の中だからこそ。

  あっ、そうそう、この小説の主人公は第一志望の新聞社の内定をもらうのですが、人妻と駆け落ちして就職を棒にふ
  っちゃうのです。








Column307   2010/8/7up                


 
■ 夏祭りの恍惚

  いやー暑いですね。
  でも、この暑い中、御神輿をやっているのに出くわしました。 しかも、平日の勤務先周辺で。
   ・・・・にぎやかなものです。

  以前の職場は深川祭りの熱気にあてられる場所にありましたが、現在の職場は大宮氷川神社の例大祭の真っ只
  中といったロケーションです。

  日にちを決めておき、平日でも堂々と行うお祭りって結構あるようですね。

  まあ、神社の暦に合わせた行事なので、分からないでもないですが、街ぐるみで平日に道路を封鎖しているこのお
  祭りにはびっくりしました。
  まだ日が照りつける夕方の駅前タクシー乗り場が出番を待つ神輿とその担ぎ手で埋め尽くされているのにもびっく
  り。 新幹線も停車する幹線駅の駅前なのですけどねえ。

  しかも、周辺のバス路線も露店と歩行者天国になっていました。・・・平日ですよ。

  皆さん、仕事は大丈夫なのかと心配になっちゃいます。
  地元の商店の方々だけとも思えない大人数ですからねえ。すごい熱気。

  で、「お祭り」については、何度か書いていますが、
  誰かに強制されるわけでもなく、強い仲間意識(他の町との競争)のもと、1年に1回の華やかなイベントに、見物客
  としてではなく、当事者として熱中している状況は、「仕事」とは対極にあるものと思っています。

  まず、動機、やらされ感などは全く、真逆のものでしょう。
  何とか共通点を探すなら、大きな仕事がうまく行った時の達成感は「お祭り」と近いのかもしれません。でも、何の報
  酬も、褒め言葉も期待せずにやっているお祭りには次元が違う高揚感があるように思えます。
  だって、神輿をかついでいる方々、それを大きな団扇であおいでいる方々の表情は、恍惚としていますもの。

  毎年この時期になると、夏祭りの恍惚。というかモチベーションを仕事に取り込めたらすごいことになるな。なんて思
  っちゃいます。

   ●自分から希望して参加。
   ●強い仲間意識 (と競争)。
   ●自分がやらなきゃという当事者意識。

  きっと、この3要素が仕事に折り込めたらいいのでしょうね。

  であれば、
   ○上司からの指示・命令はしない。
   ○チームとしての成果を競わせる。
   ○チーム内では誰もが仕切り役となれる組織。

  なんてことをすればよいわけですね。(と、言葉でいうのは簡単だけど。)

  実は、今年はここまで考えて、ふと気づくことがありました。
  確か、企業経営コンサルタント出身の三枝匡さんが会長をやっているミスミという機械部品会社が、そのようなこと
  をやって社員を競わせて業績を大きく伸ばしていたはずだと。
  大昔、三枝さんのセミナーを受講したことがありますが、その企業経営の考え方は、当時としては目からうろこの数
  々でした。 現状は知りませんが、三枝さんが経営の指揮をとって以降、ミスミは社員に自主提案型のプロジェクト
  を仕切らせることで急成長したと聞いております。

  夏祭りの恍惚を、その仕組みを理解した上で企業経営に活かす方がいるのですね。








Column306   2010/7/14 up              


 
■ やる気を奪うやらされ感(アンダーマイニング現象)

  中学生の娘が突然言い出しました。「どこかにギター無かったっけ。」

  何のことか分からない私は素っ頓狂に声を上げました。 「はあ〜。」

  どうやら、私が以前使っていた古いギターに興味があるようです。
  私は天井裏にもぐりこみ、フォークギター、クラッシックギター、エレキギターの3台を取りだして言いました。
  「どれを弾きたいの。」 ・・・・ まるで3本の斧を拾い上げる池の精。

  娘の興味はどうやらエレキギター。 バンドをやりたいとまで言いだしました。
  再び私の素っ頓狂な声、「はあ〜、キーボードのほうがいいんじゃない」。

  実は、娘は好きな流行り曲が流暢に弾けるくらいにはピアノが出来るのです。
  我が家には、アップライトピアノに加え、かなり色々な音色が出せ、録音機能まである電子ピアノもあります。

  まあ、興味があるならと思い、ギターのホコリを落とし、点検してみると、結構細かいところが痛んでいます。何しろ
  記憶をたどると32年前に購入したギターです。

  きちんと音が出るように整備するのには、6本の弦はもちろん、幾つかの部品交換、配線のし直し等、手間と時間
  を要しました。 その間、練習用に弦の交換のみで済むこれも36年くらい前のフォークギターを与え、基本の練習
  法を伝えたのですが。
  ・・・・エレキギターがきちんと整備でき、音もちゃんと出るようになった時、娘は言いました。
     「やっぱドラムがやりたいんだよね。」

  どうやら、仲良し4人組でバンドをやりたいと半分以上は夢のような相談していて、うちの娘はやるならドラムと思っ
  ているようです。

  「家にドラムは置けないだろ。」 私。
  「近所迷惑よ。」 カミサンも同意。

  背景には、吹奏楽部で打楽器を担当していることもあるようです。
  高校で同じく吹奏楽部にいた上の娘も、ドラムは叩けます。 ・・・ 家ではやりませんが。

  娘は、ギターの練習をきちんとやる気はないようです。
  「どうせ本気じゃないのだから放っておけば。」 カミサンは言います。

  そんな時、ふとネットで、楽器に関する書き込みを見ていると、
  キーボードの機能に関する親からの相談があり、回答者は、「安かろうが高かろうが親に買ってもらった楽器では、
  決して本気にはならないから、最低限の機能のある安い機種にしたほうがよいよ。」と答えていました。
  長く大事にして、本気になれるのは、自分で努力して手に入れた楽器。 というわけです。

  この書きこみを見ながら私は、 「アンダーマイニング現象」 という心理学用語を思いだしました。
  自分の意志 (内発的動機) では頑張れることも、ご褒美 (褒め、報酬といった外発的動機) を目的として行動す
  るとやる気がなくなるという現象。
  単純に言えば、好きでやっていた仕事や勉強も、上司や親に言われてやると気が進まなくなる。つまり、『やらさ
  れ感がやる気を奪う』 と言うことです。

  どんな楽器をやりたいかは娘本人の自由だし、それが実現できるか出来ないかは本人の熱意次第。そう思った
  方がよさそうです。

  ところで、整備されたギターの立場は?








Column305   2010/7/14 up              


 
■ 環境に体を合わせるか、体を環境に合わせるか 

  梅雨ももうすぐ開けそうですが、あいかわらず蒸し暑い日が続きますねえ。
  今年は、寒かったり、暑かったり、蒸したりと、年初から体力を蝕む気候続きです。

  たまたま見ていた雑誌に載っていましたが、 体力を奪うのは暑さより湿度だそうです。 ここのところの蒸し暑い
  夜には、皆さんのつらさもひとしおでしょう。 ワールドカップも相まって、寝不足気味が続いたという方も多いので
  はないでしょうか?

  でも最近、勤務先社内で会話をしていると、寝苦しいから毎晩、朝まで冷房をつけっ放しだよという方や、そもそも
  自宅でも一日中冷房をつけているよという方が多いのに驚きます。 特にマンションなどは、建物の躯体自体が熱
  を保持しますので、夏場は冷房なしではつらいのでしょうね。

  多くの方が、季節や気温・湿度といった 「環境」 に 「体」 を併せていくのではなく、 冷暖房機器によって、「環境」
  を 「体」 に合わせてしまっている結果として、 勤務先社内でも、 「そんなに冷房をガンガン効かせなくてもいいの
  に」 とおっしゃる方がいる半面、「暑くてたまらんのでもっと冷房を」 と言う方も多いので、
  「チャレンジ25」 だの、「冷房温度は28度C」 なんてスローガンを掲げても到底実行出来ない状況です。

  私自身は冷房をつけながら寝ると体が冷えて、翌朝がつらいので、なんとか寝苦しさに耐えてはいます。
  また風通しのよい部屋もあるので、寝室が暑ければ他の部屋でと工夫すればなんとかなりますが、雨が降り続く
  夜には窓をずっと開けておくわけにもいかないですからねえ。
  7月になって、さすがに寝しなには冷房を入れる夜もありますが。

  暑い季節になってから、長距離通勤の電車で良く寝れるようになったのも、きっと寝不足の証拠なのでしょうね。
  で、朝、会社に到着してどっと疲れていると思い出すのは、アリナミンのCMなのですが、子供の頃の我が家には
  親父の愛用していたアリナミンの錠剤が常にあり、たまに飲んでみると胸やけしたことが記憶として蘇ります。
  刺激の強い薬だったのですね。

  よって、疲れるとアリナミンのCMを思い出し、更に嫌な気分になるという連鎖反応が起きてしまうわけです。

  以前は、仕事や二日酔いの疲労で、リゲインとかユンケルとかの栄養ドリンクやパウチに入った何とかゼリーも結
  構飲んでいましたけど、最近は栄養ドリンクやサプリメントなしにしのげているので、私の食事や体力も以前より安
  定しているのかもしれませんね。
  ここ数年で軽い運動をしたり、食事も工夫してだいぶ痩せたのが功を奏したと思っていますが、風邪も全くひかな
  くなりましたから、やはり体調はいいのでしょう。

  とはいえ、今月はダルイ。・・・まあ、少なくとも私は、環境に体を合わせていると言えるのでしょうね。








Column304   2010/4/4 up               


 
■ 心機一転の時

  何か、暖かくなりきらない春ですね。 とはいえ、もう4:月。 そろそろコートともおさらば出来そうな頃合いです。

  ところで、気のせいか、今年の4月は、街や駅で新入社員らしき若者をあまり見かけません。
  私の朝が早すぎるのか? 今年は不景気で新入社員が少ない年なのか?
 
  まあ、真実は判りませんが、いずれにせよ、4月といえば、気分一新の季節であることに違いありません。
  新入社員に限らず、新しい職場に配属されたり、上司や部下が代わったり、企業によっては年度がかわったりと、
  再スタートを切るのにはうってつけ。

  特にそんな切っ掛けが見当たらなかった方も、もし、なんだか煮え切らない季節を過ごしていたのなら、 4月だ
  から、そんな理由で、 考え方や行動を見直してみてはいかがでしょう。

  4月だから、・・・ そんな理由じゃあ、気分は変わらないよ。とおっしゃる方。
  別に、気分を一新しようなんて大それたことを考えなくてもいいじゃないですか。 4月からの自分自身やチーム
  の行動計画を描くだけでも、何かが変わってきます。

  取りあえず、何かをやってみましょう。








Column303   2010/3/15 up              


 
■ 地面に足を付けるということ

  『 最低 ・ 最悪の結果を予想しておく。 』
    ・・・・ どんな結果であってもモチベーションを失くさないための方法だそうです。

  一見、 最善 ・ 最良の結果を想い抱いていたほうが、
  将来に向けた夢を描けて、モチベーションが上がりそうですが、最善の夢を抱いて盛り上がったモチベーション
  は、最悪の結果を前にすれば一気にしぼんでしまうでしょう。
  夢が大きすぎれば、2度と立ち直れないかもしれません。

  とはいえ、これから新たな仕事に着手しようとしている時に、鼻から最低 ・ 最悪の結果を予想しているようでは、
  「みんなで頑張ろうよ」 なんてやる気は全く起きません。 もちろん、ケースバイケースなのでしょうね。

  言うなれば、最善・最良・最高の結果をターゲットとしつつ、失敗する可能性も十分にある場合は、最低・最悪の
  結果を予想し、心の準備をしておく。ということなのでしょう。
  もし仕事であれば、最悪のケースを予想して対処できるように準備しておくことも必要でしょう。

  また、多少モチベーションが落ちても、すぐに気持を切り換えてモチベーションを回復できる方なら、わざわざ
  そんな神経質な想いを抱かずに、気楽な想いを抱いていたほうが、心の健康のためにはいいはずです。

  実はこの考え方は、以前にも何度か紹介した、ベトナム戦争で捕虜となった米軍人ストックデ―ル氏が、 劣悪
  な環境下で仲間がどんどん倒れていく状況で、今年中には戦争が終わって米国には帰れるのではないか、来
  年の夏には帰れるのではないかと希望を抱いた仲間が次々に発狂していく中で、正気を保ち、仲間を統率して
  ていった根本の考え方であり、 『今の状態は永遠に続くに違くかもしれない、でも何とか生き抜いていこう。』 
  というような信念なのです。

  でも、長く仕事をしていると、そんな考え方が正しいと思うことは多々あります。
  生きていくためには仕事はしなくちゃならないし、いつか誰かが手を差し伸べてくれるなんて夢を描くのではなく、
  今の仕事、今の生活の中で、楽しみを見つけていくべき。 ・・・そんな気がするのです。

  ただし決して、「夢を見るな」 ということではありません。
  「地面にきちんと足を付けて生きろ」 ということなのです。








Column302   2010/2/27 up              


 
■ 内発的動機付けの効用

  面倒な仕事や役割、主業務以外のワーキンググループへの参加をいやがる社員を時折みかけます。
  世の中では、直接評価や報酬に結びつかない行事、 例えば忘年会の幹事を断る社員や、 更には忘年会
  そのものへの参加を拒む社員も増える傾向にあるそうですが、これは個人主義の偏重なのでしょうかねえ。

  協調性がないと一言で片づけるのは簡単ですが、会社や上司の意向に従って、担当業務に関わりのない
  ことでも一生懸命やれば、定年までの地位と報酬が保証されるのは既に過去のこと。 個人の価値観を大
  事にしたり、担当業務に関わらないことを任されるのをいやがるのは、残念ながら 価値観が多様化する現
  代にマッチした行動でもあります。

  とはいえ、実際の業務では困りものです。
  個人主義が強いことと、責任感が無いことを混同しているとも言えますが、忘年会への参加を評価ポイント
  にする訳にもいきません。 ・・・・ そもそも強制ではないのですから。

  しかし、よく考えてみると、報酬等の見返りを求めるのは、仕事への外発的動機付けでしかありません。
  仮に、忘年会の幹事をすれば、マネージメント力が高まるし、 多くの方とのコミュニケーションができて、自
  分の為になるよと人から言われても、それすら外発的動機付けです。

  これに対して、行事そのものが面白い。 仲間と幹事をすることが楽しい。 ワーキンググループでの想像的
  仕事によって能力が拡大し知己も増えた。またやりたい。 ・・・・ なんて、本人自身が思えば、それは内発
  的動機付けになり、 報酬や高評価等の見返り等の外発的動機付けがなくても 新しい仕事や ワーキング
  グループをやりたがるはずです。

  実は、採用面接にくる学生さんに、どんな会社に入りたいのかと聞くと、
  仕事を任され、自分のアイデアで仕事をやりたい。 その成果が会社の成果として認められ、かつ自分自身
  の成長にもつながると嬉しい。そんな会社が良い。というような回答が多いのです。

  実際には、若いうちに仕事が任される機会は少ないし、任されたとしても成果として現れることは少ないでし
  ょう。 でも、この回答には、人の「やる気」に関する真実があるような気がします。
  ・・・・ 間違いなく、内発的動機は外発的動機よりやる気を高めるのです。








Column301   2010/2/25 up              


 
■ カマス的無気力に対処する

  心理学では有名な実験。
  カマスのいる水槽に餌の小魚を放ち、両者の間に透明な仕切りを置くと、カマスが小魚を追っても無駄なの
  を学習してしまい、たとえ透明板をはずしても小魚を追わなくなるそうです。

  つまり、カマスは無駄な努力をしないことを覚えてしまったのです。
  同じ失敗が何度か続けば、動物は努力を止めます。 人だって同じです。

  この実験の話を聞いて、私は何年も前に携わったプロジェクトを思い出しました。
  「無駄な努力はしたくない。」 そのキックオフ会議での発言です。
  100%無駄だと分かっているのなら、やらないほうが合理的。誰でもそう思うでしょう。

  でも、その努力が、大きな成果につながる可能性があるのなら、話は180度異なり、この発言は「無気力」
  を示す発言となります。

  問題なのは、多くの場合、無駄となるか、成果となるかは、着手前には分からないということ。
  当然ながら、成果が出る可能性は数字では表せません。

  上記の発言の主は、このプロジェクトは決してうまくいかないし、誰も成功を期待してはいない。と言います。
  彼には彼なりの経験に裏付けられた根拠があり、出席者のほとんどが彼に同意しています。 プロジェクト
  を引っ張ろうとする私は、今回は私がリーダーとしてまとめる。過去の失敗は忘れて挑戦してくれないかと
  説得しました。

  今にして思えば、会議出席者のほとんどは、カマス的無気力状態。 そうなった責任は、彼ら自身ではなく、
  過去のリーダーにあります。 実は、このプロジェクトも基礎資料をまとめた段階でストップがかかり、結果、
  彼らのカマス的無気力を高めることとなりました。

  でも、このプロジェクト以降、似たような出来事を何度か繰り返し、明確に分かったことがあります。
  慢性的なカマス的無気力にも、ちゃんと解決策があるということです。 それは、いやでも何でも行動しても
  らい、何らかの成果、つまり成功体験を体験してもらうことです。 たとえその成果が小さくても、本人が前
  進を感じられる成果であれば、カマス的無気力は終焉を迎えます。

  また、カマス度を高めてしまったのにも関わらず、メンバーの方々が動いてくれたのは、強制 (鞭) でも 報
  酬 (飴) でもなく、彼らの業務上の様々な問題に積極的に参加し、仲間として認められたことにあります。

  成功体験を積ませるのも、仲間として認められるのも一朝一夕にはできませんが、一歩でも二歩でも努力
  することが、カマス的無気力状態から社員を救うのです







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