過去のコラム(Column01〜30)

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Column30  2005/4/16up            


 
■ パーソナルな50cm

  満員電車っていやですねえ。座れたって、口の臭い人の隣りにでもなれば鼻に臭いが付いちゃいます。

  でも、他人とくっついていると、暑い・臭い以前に気分が悪くなります。 なぜでしょう?

  人は群れる生き物であると同時に、他人との距離を保ちたい生き物だからなのです。

  大雑把に言うと1m〜2m以内に知らない他人がいると落ち着きません。 自分のテリトリーが必要なのです。
  わかりやすく言えば、うっとうしい ということ。
  親しい人でも最低30cm以上は離れていないと落ち着かないらしいです。 もちろん恋人は別として。
  
  あなたの人との接し方、必要以上に近づいていませんか。
  気づかないうちに相手のテリトリーを犯すことで、コミュニケーションがちぐはぐになるなんてこともあるのです。
  私は、テリトリー(縄張り)という言葉は嫌いなので、パーソナルスペースと呼んでいます。

  先週を振り返ってみて下さい。
  ちゃんと相手と話しているつもりなのに、なんだかしっくりこないことはありませんでしたか。
  自分が相手に近づきすぎているとき、恐らくあなたは一生懸命話しています。 つまり相手の話を聴けてない。
  距離が近づきすぎたときは要注意です。 会社の同僚となら、50cm位は距離を置きましょう。

  また、あなたの周囲で、会社の机の上に小物を並べている方がいれば、その方は特に自分のテリトリーを大
  事にする方です。 ちょっとは気を使ってあげましょう。

  以前ご紹介した右前からのアプローチ。 そして今回の50cm。 
  たったそれだけ意識するだけで、周囲とのコミュニケーションがスムーズになることだって有り得ます。

  今週1週間、ちょっとだけ気にしてみましょう。







Column29  2005/4/7up              


 
■ フィードバックの無いほう・れん・そう

  「ほう・れん・そう」って知ってますよね。 そう、報告・連絡・相談です。

  この季節、新入社員を迎えた多くの方が、ほう・れん・そうの重要性を語ったことでしょう。

  先日、友人と愚痴タイムを設けた時のことです。
  「ほう・れん・そう、ほう・れん・そうって言ってるけど、本当に大事なのはコミュニケーションだよな。」 友人が言います。

  「報告や相談をしたって、その内容に対してきちんとした指示がなければいやになるよな。」 彼は続けます。

  もちろん、ほう・れん・そうの励行は大事です。でも、
  この時代、下手をすると、休暇願いをメールで送って済ませる者だってお目にかかれます。報告や連絡だけならメール
  で十分事足ります。 今時の新入社員に必要なのは具体的なほう・れん・そうの方法を示すことです。

  「フィードバック無くしてほうれんそう無しだ。」彼、
  「そう、コミュニケーション無くして改革無しだ。組織機構の改革の前にコミュニケーションの活性化だな。」 私。

  「で、どうやって活性化する。」 「どうやってかね。」 言葉につまります。

  「地道にやっていくしかないね。」 私は言いました。そう、地道にコミュニケーションスキルを広めていくしかない。
  でも、時間をかけ過ぎていては時代の変化には付いていけません。

  ビジネスコーチングが会社を変える日が来るのを夢見て、もっと頑張ってみようと心に決めました。







Column28  2005/4/4up              


 
■ まあいいか、命までは取られるわけじゃない

  もう17年も前の話です。
  私が会社で異動になる時に、入社2年生の後輩に引継ぎをしました。

  彼は、引継事項で判らないことがあると必ず言いました。 「まあ、いいか」
  私は、「まあ、いいかじゃないよ。ちゃんと理解しなきゃ後で困るぞ。」 と何十回も言いました。

  そんな彼も、今では管理職です。
  先日、彼と2人で飲んでいて、彼の学生時代の話になりました。
  彼曰く、「学生の頃は、俺引きこもってたんですよね。 今でいう「うつ」ですかね。
  で、会社に入って、結構楽しくて、いろいろやれて、何とか今までやって来れたんですよね。」

  今の私には、「まあ、いいか」は自分を追い詰めないための大事な口癖です。

  今日も言いました。 「まあいいか、命まで取られるわけじゃない。」

  17年前から、それが口癖だった彼は、今バリバリの経理マンです。







Column27  2005/3/30up              


 
■ 心から耳を傾ける

  昨晩のNHKのニュースが目に止まりました。

  小泉首相と俳優リチャードギアとの会談(?)にて、記者から面白い質問が一つ。

  「抵抗勢力とダンスを踊るコツは?」 この質問に対し、ギアは、
  「相手の言うことに心から耳を傾けること。」 と、いとも簡単に答えました。

  あうんの呼吸が存在しない国では、コミュニケーションは常に真剣に取り組むべき課題なのだと思いました。

  小泉さんがどう受けとめたかは知りませんが、会社でも全く同じことが言えます。

  抵抗勢力のみならず、常に周囲の意見に耳を傾けること・・それができれば、必ずしも誰もが満足する結果では
  なくとも、話しをきっちっと聴いてもらえたという満足感は残ります。

  そんなことをしたら、きりが無いよ。そうおっしゃるあなた。
  今週1週間でよいですから、あなたの接する相手、例えば他部門の方の意見をじっくり聴いてみてから業務上の
  決断をしてみてください。
  なんなら今日だけでもいいです。何かが変わった気がすると思いますよ。 きっと。







Column26  2005/3/28up              


 
■ 現代流 背中を見て覚える (効果的に技を盗む)

  今の世の中、何もかもがすごい速さで変わっています。
  仕事の進め方や企業内での事務処理方法だって同じ。 お客様へのアプローチ方法なんてその最たるもので、
  接待が直接売上増加につながる時代ではなくなりました。
  提供するサービスの質とコストが勝負の要でしょう。

  そんな時代に、上司や先輩が部下や後輩に対し、「俺の背中を見て仕事を覚えろ」 と言うのは非常にばかげて
  いると思いませんか?
  背中をみている間に時代が変わりかねません。

  マニュアル化できる最低限の必要なことはさっさと教える。あとは、色々応用できるように、自分で考えて判断し、
  行動できる人間に育てるしかないでしょう。

  若手社員もそういう環境に慣れ、マニュアルを求めてばかりです。
  時には、マニュアルがないといって苦情まで来る始末です。
  でも肝心なのは、マニュアルではなく、自分で考えること。

  ビジネスコーチングでも、部下や後輩にこと細かく指示するのではなく、自分自身で考えさせるのが、基本とされ
  ています。とは言っても効果的に考えさせるためには、相手が自分で考えるためのヒントや気付きを与えること
  が必要になるわけです。

  しかし、何と言っても手っ取り早いのは、
  やっぱり誰かの行動を見て、自分の成長のイメージを掴むことです。
  モノマネではないですが、あんな人間になりたいというターゲット。

  例えば、営業マンなら、部下の優秀なベテラン営業マンを一人選んで、新人を同行させ、べテランがどういう行
  動をしているのかを、新人営業マンに観察させます。
  後で、その行動がどういう成果につながったを確認させます。ベテランと新人とで、ディスカッションさせてもいい
  でしょう。

  そんなの当たり前だ。 との声も聞こえてきそうですが、当たり前のことを、意識して効果的に行えてますか?

  コーチングスキルのほとんどは当たり前のことばかりです。 効果的に実行出来るかどうかが大事なのです。

  盗めることは、盗ませる。
  新人に同じことがそのまんまできるとは限りませんが、自分にあったやり方を考えるヒントにはなります。

  効果的に技を盗ませる。それが現代流の「背中を見て覚える」です。







Column25  2005/3/27up              


 
■ ご利用は計画的に

  「ご利用は計画的に」 御存知アイフルのCMです。
  自分の周囲をペンキで塗って逃げ場が無くなってしまう、 髪を切りすぎてパンクミュージシャンのような頭になって
  しまう。無計画であればこその結果です。

  このサイトでは、目標=ターゲットを明確に持つこと、ビジョンを常に頭に描き、目標を見誤らないこと、目標への進
  捗を確認することを奨励しています。 

  ここでいうビジョンはすなわち計画です。
  ステップでも良いし、マイルストーンでも良いし、何らかの形で目標に向かう自分の姿、そして目標に到達できた時
  の自分の姿 or 仕事の成果を明確なビジョンとして持つ。
  それがターゲットを自分のものにすることになり、確実な目標達成につながります。

  コーチングでは、さらに、ビジョンをイメージとして意識することを勧めています。
  強いイメージとして意識できれば、ビジョンは常に頭に残ります。そしていつでも思い出せる。

  私はアイフルのCMを見るたびに、目標に向かっていく自分の姿やイメージ化されたビジョンを持つことの重要性を
  思い出します。







Column24  2005/3/26up             


 
■ 明確な言葉で意思を伝える

  血圧検査をするときに、よく言われる言葉。「気を楽にして下さい。血圧上がっちゃいますから。」
  と言われても、どうやって気を楽にすればいいのかわからない。
  血圧があがっちゃっまずいと思うとかえって緊張したりして。

  「深呼吸してみてください。」 そう言われて、その通りやってみれば落ち着くこともできます。

  コーチングの考え方からすると、自分で考えさせるという部分も重要ですが、単にコミュニケーションとして考えれば、
  ストレートに 「深呼吸してください。」と言うほうがわかりやすいのです。

  ようはケースバイケースなのですが、
  まずは、相手が理解できる言葉を使い、確実に意思伝達をするということが、部下指導、いいえ、部下とのコミュニケ
  ーションにおける第一歩です。

  とは言うものの言ったつもりがニュアンス通りに伝わっていない。頼んだ仕事が違った形で出来てきた。
  そんな経験はありませんか?

  そんな経験の有る方、自分の言動を振りかえって見て下さい。
  「おい、あれどうなった」とか
  「あの件、向こうとやったか」とか言ってませんか。

  あれとか あのとか 向こうとかが、相手にちゃんと伝わると思いこんでいませんか?
  そんなことはほとんど有り得ません。

  あれってなんだっけと一瞬考えて、ああ、あれかと違うことを思い浮かべているのかもしれません。
  明確な言葉で相手に意思を伝えることは、きちんとしたコミュニケーションの第一歩です。
  あれでもそれでもなく、○○のプロジェクト、□□の発注の件ときちんと言いましょう。

  そして、語尾も明確に。 最後が聞き取れない方は結構います。

  今日から使えるコーチングスキル。 それは、明確な言葉で相手に意思を伝えることです。
  コーチングなんて新しいもの と思っている方、簡単でしょ。







Column23  2005/3/17up              


 
■ 選ばれるグッドリスナー

  今、ソニーのTOP人事が話題となっています。
  実は、私が興味を持ったのは、ストリンガーさんの会長・CEOではなく、 中鉢さん(現副社長)の社長人事。

  プレステの立役者でもある上、会長大本命だったのに本体の役員からは退任することになった久夛良木氏 (同じく
  副社長(当時))は自分の思いですばやく行動する方。いわばトップダウンの人。

  対して、中鉢さんはマスコミ的には目立っていませんでしたが、人の意見をじっくり聴いて的確な判断をするグッドリ
  スナーぶりが有名な方です。

  そして、社外取締役が力を持つソニー本体にあって、グッドリスナーの中鉢さんが選ばれました。
  もちろん、色々な人事案があり、せめぎあいの中、客観的基準によって合意に達したのでしょう。

  マスコミの評価は、「何故?」ですが、自らを日産のコーチだとも言うカルロスゴーン氏までが社外取締役に名を連
  ねソニーが客観的に出した結論は、十分有り得ることだったのだなと納得しました。

  コミュニケーションの原点は、しっかり聴くこと。
  大企業も生き残りのためには、あたり前のことをきちっとやらなければならない時代になったのです。 きっと。







Column22  2005/3/5up               


 
■ 幽霊をみたことがあるか?

  実は心理学の話です。
  最近、ストレスやメンタルヘルスについてもうちょっとだけ深く知りたいと思い、ユングの心理学について調べたの
  ですが、ユングは、オカルトや超常現象を心理学として研究していたそうです。彼自身霊感があり、ユング以上に
  霊的であった従妹が開催する交霊会にも参加していたそうです。

  そこで、思い出しました。
  私が入社当時住んでいた新入社員寮では、数年の間、幽霊を見たという者が続いていたのです。
  もう大分昔の話ですし、本当に何人もの方が実際に幽霊を見たかどうかは疑わしい部分もありますが、先輩から
  伝わる話として、当時はまことしやかな噂になっていました。

  そして、実は、私も幽霊らしきものを見てしまったのです。 しかも、入寮中に2回。

  自分にも多少は霊感があるのかなと思い、それにしてはあれっきり幽霊を見ないなとその後ずっと思っていたの
  ですが、今になって思い至ることがありました。

  当時の私にはストレスなんて皆無のような気がしていました。加えて怖いもの知らずの私はよく言えばプラス
  思考。まあ今思えば、そもそもストレスという言葉自体を知らなかったと思います。

  とは言え。 振り返れば、実際にはかなりのストレスがあったはずです。
  知らない土地での初めての社会人生活。 しかも、2人1部屋の社員寮。 24時間監視状態のようなものです。

  わかりましたか。・・・そう、ストレスが幽霊の虚像を私に見せたのではないかと今になって思い至ったのです。
  新入社員寮で、毎年幽霊を見るものがいる。 何か分かる気がします。

  その後、社会人人生も長くなるにつれ、いろいろなストレスを経験しましたが、私はその都度強気で乗り越えま
  した。生活の中に色々な楽しみを見出すことが、今でも私の平常心(自分ではそう思ってます)や、強気を支え
  ています。

  前にも言いましたよね。ストレスには慣れることができるのです。
  だから、その後、私は幽霊を見ていない。という理屈づけもできるような気がします。

  私と同じ部屋で、私より数年前に同様な体験をした先輩もいるといううわさも聞きました。(所詮はうわさです。)
  とすると、自分でも気づかないような、内面的な心の緊張が、幽霊にシンクロしてしまった。と訂正してもいいの
  ですが。結局、真相は全くわかりません。







Column21  2005/3/5up              


 
■ 右・左、アプローチはどちらが有利

  ゴルフの話ではありません。
  人に話しかける時、上司に報告する時、右・左、どちらからアプローチすると受け入れられ易いでしょうか?

  「えっ、そんなの差なんてあるの」 なんて言っている方は、何度も機会損失をしてきた可能性があります。

  答えは、右側。 人の心臓は若干左寄り、左側から近寄る相手には自然とガードが固くなります。 本当らしい
  です。 心理学上の事実とか。

  しかし、最も良くないのは、真正面からのアプローチ。 会議等で真正面に座った相手に大きな理由もなく敵対し
  てしまうことすらあるそうです。思い当たる節はありませんか。
  もちろん、きっかけはあるのでしょうが、対立がエスカレートし易い位置関係だそうです。
  重要なプレゼンをする場面では、出席者の顔ぶれと位置関係くらい考えるべきなのです。いつも辛らつな意見を
  言う相手とは真正面にならないように注意しましょう。

  優秀なコンサルタントは、クライアントの真正面には座らないそうです。
  面談の場面で、相手をリラックスさせ、話し易くしたいのなら、右隣り、もしくは右前に座りましょう。

  会議での位置関係ではもう一つ重要な要素があります。
  会議室での自分の定位置を作ることです。 いつものなれた場所、これも心理学上、あなたが優位に立てて落ち
  着ける場所となり、プレゼンを成功させる要素の一つとなります。

  商談の際にも、自分の行きつけの店や自分の会社に商談相手を誘導したほうが成功しやすいのは、ばりばりの
  営業マンなら誰だって知っている事実です。







Column20   2005/2/25up             


 
■ 「運動しろ」 では痩せられない

  最近太り気味で悩んでいる そんな方に 「運動すればいい」 と勧めるのはコーチングではありません。
  コーチングに限らず、部下指導がうまくいかない理由の多くは、あなたが思いついた助言・指導や、あなたの経
  験に裏付けされたやり方を教えることにあります。
  あなたの部下や後輩は、あなたではないのです。 彼らにあったやり方というものがあるのです。

  「運動すればいい」 とか、「プールへ行ったらどうか」 と言われて、その通り実行して痩せた方って私の周りでは聞
  いたことがありません。禁煙だって同じ、人に言われてできるものではありません。
  部下や後輩に向いたやり方は何なのか、それを探るのが部下指導です。  コーチング的に言えば、自分自身で考
  えさせるです。

  「コーチングは部下に何かを教えること、なんでそこまで面倒みるのか」 という勘違いをされている方も実際は多い
  ようです。
  また、コーチングみたいな新しいことはできないという考えをされたり、自分のやり方を押し付ける、もしくは自分の
  やり方を盗ませるのが指導だと思っている方が、管理職だと胸を張れる時代はバブルとともに終わったのです。

  間違いないです。 そんな方の率いるチームは、本来持てるポテンシャルの3分の1も発揮できていないでしょう。
  
  ライバル企業と日々しのぎを削る今の時代、他社とのちょっとした差が命取りです。
  本来のポテンシャルを100%発揮するチームを作るためにも、部下の能力を活かすことを考えてみましょう。

  そして、相手が新入社員でも無い限り、どう行動するかは部下自身が考えればいいのです。
  だって、今の時代、自分で見つけたやり方でなければ、長続きしませんよ。運動や禁煙と同じです。







Column19  2005/2/24up       


 
■ イルカのコミュニケーション

  このサイトではイメージカラーとして水色を使用しています。色々な水色が使われていますが、本当に求めている
  のは透明に近いブルーです。(田中康夫さんの小説のことではありません。)

  空気中というか通常の生活においては、声やしぐさによるコミュニケーションはともすれば相手には伝わっておりま
  せん。
  自分の存在すら伝わらないことだってあります。でも、水の中ではちょっと動いただけでも相手に波動が伝わり、お
  互いの存在が確認できます。それどころか海やプールにいけば、相手に水をかけたりしてはしゃぎたくなります。

  空気中より、液体に満たされた水中のほうが、ずっとコミュニケーションがしやすいのです。

  つまり、液体に満たされていることがかろうじて確認できるくらいの薄いブルー。
  それが私のコミュニケーションのイメージでもあります。プールのほうが水の動きが感じられそうですが、
  人の居ない静かな海のブルーの方がしっくりくるような気がします。

  もちろん、人間なんかより魚やイルカのほうが、水中でのコミュニケーションが得意に違いありません。
  特にイルカは、ソナー(水中聴音)のように声を使ったり、 一説によるとテレパシーで仲間と会話をしているとも言
  われています。
  言葉が無い生き物のほうが、コミュニケーション能力が備わるのかもしれません。そう言えば、蟻や蜂だって言葉
  があるとは思えないのに組織行動できてます。

  動物のことはここまでとして、
  このサイトがやろうとしているのは、会社や家庭が透明に近いブルーの液体(コミュニケーションの媒体)で満たさ
  れ、誰もがストレスのないコミュニケーションが自由に出来るようになるお手伝いをすることです。

  といってもできるのは、ヒントの提供だけですけど。







Column18  2005/2/17up              


 
■ 人の話を聴けない医者

  先日、風邪が長引き、気管の辺りにこもったような感じだったので、医院にいったのですが、実は風邪の引き始めに診て
  もらった医院以来、混んでたり休診だったり、会社近辺だったりで、薬が切れる都度、違う4つの医院に診てもらうこと
  になってしまいました。

  つまり、診てもらった医師も4人。その都度、風邪を引いてからの病状や今まで飲んだ薬について話さなければいけない
  と当然のように思っていたのです。
  が、私の話、つまり症状の経過をきちんと聴いてくれた医師はたった一人だけ。若い頼りなさそうな医師でした。

  「そうですか、中々治らないんですね。辛いですね。どんな薬を飲んでたんですか、 そう、で、今はどんな感じですか。
   一番つらいところはどこですか。」  共感力たっぷりです。私の話も熱心に聴いてくれます。

  しかし、残りの3人の医師といえば、
  「そう、風邪が長引いてるの。ふ〜ん。(イライラした様子で私の話を遮り)で、今どこが悪いの、診てみようか。」 
  「うーん、喉ももう赤くないし、熱があるわけでもないね。どこが悪いの。 まっ、薬を5日分出しとくから様子をみて。」

  3人が3人ともそんな感じです。
  経過をちゃんと聴きもしないで、聴診器をあてただけで病名を決めるには、風邪と言う曖昧な病名は便利です。
  患者が多くて忙しいのは分かりますが、私の経過説明を聞かないのなら、精密検査でもしないかぎり、風邪のウイルスな
  のかどうかは分からないはずでしょう。
  へんな病気だったらどうしてくれるのでしょうか。 だって2週間以上長引けば、それはもう風邪ではないと言うでしょ。

  1人の若い医師以外は共感力のかけらもないし、少なくとも絶対コーチになれるような人間ではない。
  もちろん医師から見れば、私はお客様ではなく、ただのたいした症状も無い患者なのでしょう。 (1人の医師を除き)
  当然のことながら、私の風邪も、治りそうな気がしてきません。 (コラム15で、病は気からと書いたばかりなのに。)
  そして、もう2度と行くかという 気持ちにもなります。

  でも実は、そんな方ってまわりにいっぱいいませんか?
  皆さん、自分にも、3人の医師のような、思い当たるような言動があるなら、是非、若い医師のような相手の気持ちにたっ
  た言動に変えるように努力しまししょう。

  これからの世の中、あなたが医者か経営者でもない限り、仕方なくあなたの言動に付き合ってくれる方は、日に日に減っ
  てきますよ。 間違いありません。

  実は、共感力たっぷりのちょっと頼りなさげの医師のクリニックは、受付もかなり親切かつ低姿勢の若い男性がおり、待
  ち時間も教えてくれる徹底したサービス精神があり、患者=お客様 の精神のようです。・・・でも混んでます。







Column17  2005/2/16up              


 
■ リンゲルマン効果が会社を殺す

  リンゲルマン効果って聞いたことありますか? 心理学用語で、人の深層心理にある集団的怠慢効果のことを言うそう
  です。

  例えば、電車の中で、誰かが、第三者に因縁をつけられているとします。でも誰も、声をかけ、助けようとはしません。
  もちろん、倒れて死にそうにでもなっていれば、一番近くにいる方が、声をかけるかも知れませんが。
  
  でも、エレベーターの中で互いに知らない3人が乗り合わせて、1人がもう1人に殴られそうにでもなっていれば、残った
  1人となった方のほとんどは、殴られている者を助けようとするそうです。

  電車の例で言えば、行動したくないわけではなく、誰かが駅員を呼びにいっている、誰かが警察に電話しているはずと
  いう希望的観測(というより想像)による個人レベルの怠慢が原因となっているようです。

  人は集団の中に埋もれてしまうと、特別な理由が無い限り行動を起こせない。それがリンゲルマン効果です。
  
  特別な理由 = 隣に座っている でもいいですし、顔見知りでもいいのです。 自分が特別な一人であれば行動が起
  こせるのです。

  例えば、事故防止対策において、「皆で確認する」という曖昧なものより、担当者の○○がどことどこを確認するとしたほ
  うが事故防止効果が高いのは言うまでもありません。

  振り返って、ここ何年かで終焉を迎えてしまった大企業について考えてみると、優秀な社員の多数いる大企業にあって
  も、その多くは、リンゲルマン効果によって滅んだのではないかと想像できます。
  ワンマン社長がいる企業であれば、 決定的な営業的判断ミスや、そもそもリスクに賭けた結果として、会社が滅ぶこと
  もあるのでしょうが、ある程度権限が分散し、互いが牽制効果を持つ昨日までの大企業にあってさえ、産業再生機構の
  お世話になる羽目になっております。

  あなたの会社は、リンゲルマン効果の危機にはないですか?







Column16  2005/2/12up               


 
■ 病(やまい)は気から  プラス思考で風邪は退治できる(?)

  「病(やまい)は気から」 一度は聞いたことのあるセリフですよね。

  今、私の会社が入居している建物は、結構古い建物で、断熱や空調の効きがいまいちで、社員は風邪を引くたびに建物
  の古さを引き合いに出しております。 今年は特に建物自体も冷え込んでいる感じで、あっちでもこっちでもマスクをして、
  咳き込んでいる社員を見かけます。

  その中で、先日、元同僚で、今は別の関連会社に勤務する女性と、食堂の列で一緒になりました。
  彼女は以前、よく風邪を引いては、彼女のチームが勤務する当時の狭いオフィス(今とは別の建物)が、風邪が蔓延する
  原因なのだと嘆いていました。 私は、彼女のチームのリーダーの要望でそのオフィスの空調機を入れ替えたり、加湿器
  を設置したりもしましたが、 そのチームは毎年、暖かくなるまで風邪が蔓延しておりました。
  
  よくよく考えてみると、今の私の勤務先と同じ状況です。
  ところが、食堂の列で彼女は言いました。 「この3年、全く風邪を引いてないんですよ。このビルも快適ですよ。」 

  おそらく、今の彼女と同じ勤務先の誰もが、このビルは古くて、快適ではないと思っているでしょう。
  事実そういう声も聞こえてきます。

  「調子を崩していた時は狭い部屋でじっと作業をしている毎日だったけど、異動して、変化のある毎日で、動き回わること
  も多くなったら、何故か風邪も引かなくなったんですよ。気分もいいし。毎日楽しいんですよ。」
  そう言う、彼女は以前よりずっと楽しそうで、明るく見えました。

  私自身は、ここ数年、風邪を引いては、中々治らないので困っておりますが、今の建物の環境の悪さ、そして自分が年
  をとったことも原因だと自覚しております。
  でも、彼女と話終わってから、「病(やまい)は気から」という言葉を思い出しました。

  よし、「病(やまい)は気から」を自分をプラス思考に変えるための口癖の一つに加えよう、そう決心しました。
  風邪が治るかどうかはわかりませんが。







Column15  2005/2/9up              


 
■ リハーサルで正しく伝える

  リハーサルという言葉は誰でも知っている言葉でしょう。ご存知のとおり、行事の前に、流れを試してみてタイミングを確
  かめたり、ダメだしを行って本番に備える行為です。

  例えば、会議でプレゼンをする時や、深刻な話を伝える時には話の流れや説明の仕方を試してみたりもするでしょう。
  大事な説明も、間違った流れで説明して、一旦、間違ったイメージが植え付けられてしますと、そのイメージを取除くの
  はとても困難です。 正しい流れを確認しておくことは、多少めんどうでも、必要なことなのです。

  では、部下や上司と面談する前にリハーサルをしたことってありますか?

  文字通り、深刻な話題を伝えるときなどは話の組み立てを考えたり、言葉を選んだりするでしょう。 でも、ちょっと間違い
  を正したり、簡単な指示をしようとするときに、わざわざ伝えることを再確認したりはしないのでは。

  でも、伝えたことが思っている通りに伝わらないということは結構あります。
  それどころか、自分の考えが整理されていないと、話の脈絡が矛盾してたり、結論が良く分からないなんてことは良くあ
  ります。  一部の人だけが知っていることを引用したりして、他のメンバーには理解できないなんてこともざらです。

  リハーサルとして、人に伝えたいことを頭に思い浮かべたり、紙に書いてみたりすることは、自分の中で明確なイメージ
  を作ることにもなります。
  
  考えや、言いたいことがきちっと整理されていないと、
  本当は、「○○の仕事を通して、□□を覚えながら、△△の結果を出して欲しい。それが君のためにも、我々のためにも
  なると思っているので、頑張って欲しい。」 と伝えたいのに、
  単純に 「○○の仕事をやって欲しい。」 と伝えてしまったりもします。

  難しく考える必要はありません。想いを正しく伝えるために「考え」と「言葉」を整理してみる。
  それで十分です。是非、習慣にしてみて下さい。







Column14  2005/1/25up              


 
■ ストレスと胃痛の関係

  胃炎、胃潰瘍とストレスの因果関係には、不明確な部分もまだ多いようです。
  また、胃潰瘍の原因菌としてヘリコバクターピロリ菌が発見されたにもかかわらず、まだまだ多少胃が痛いからといって
  ピロリ菌の除去費用が100%健康保険の適用になるわけではありません。

  医学的なことや、保険的なことは別としても、特定の勤務状態や人間関係からくるストレスが胃炎や胃潰瘍の発生にな
  んらかの影響を与えていることは確かなようです。
  でも、メンタルヘルスという言葉が流行っていることが裏付けるように、胃痛や胃炎・胃潰瘍よりも、ノイローゼやうつの
  ほうが世間では話題になっています。

  きっと、胃が痛いのなら自覚症状があるので分かり易いけど、心の病は、周囲の人には(まして自分では)発見しにくい
  ことが多いからでしょう。 つまりは悪化しやすい。

  しかし、自覚症状が明確な、胃が痛くなるような状況を思いだすと、ストレスについても非常に理解しやすいような気がし
  ます。

  でも不思議なことに、厳しい上司の下で、質的にも量的にも過大な業務を行ったからといって必ずしも胃が痛くなるわ
  けではありません。体は疲れていても何とか仕事をこなしてスカッとできたり、自分に自信がつくことだってあります。

  ことは単純ではないのです。 場合によっては、上司と部下との性格の組み合わせによるのではないかとも思えることも
  あります。

  いずれにせよ、自分は自己主張が苦手だとか、あまり社交的ではないと思うような方は、胃が痛むときこそ心の病が近く
  まで迫っていると考えたほうが良いのではないでしょうか。
  もちろんケースバイケースですが。







Column13  2005/1/20up              


 
■ ストックデールの逆説 (現実を直視する道を選ぶ)

  ベトナム戦争でベトコンの捕虜になったアメリカ海軍の大佐の逸話で、ストックデールの逆説というものがあります。

  釈放されるかどうかという以前に、明日処刑されるかもしれないという厳しい捕虜生活の中でジム・ストックデール大佐
  は、クリスマスまでにはきっと帰れるとか、1年も我慢すれば戦争が終わる というような楽観論は一切捨て去り、
  「永久に釈放されないかもしれない。でも希望は最後まで捨てない。」 と最悪の現実を直視しました。

  多くの捕虜が正気を失うなか、秘密の暗号で捕虜同士の連絡方法を作り、部下達を勇気づけました。決して楽観論で
  はなく、最悪の現実を認識し、生き残ることにのみを目標にしました。 彼は現実を直視する道を選んだのです。
  そして、8年後ついに、部下とともに無事生還を果たしました。

  現実に、
  クリスマスには休戦して帰れるかもしれないという楽観的希望を持った者たちは、クリスマスが過ぎるた びに憔悴し、
  正気を失っていったそうです。

  ジム・ストックデール大佐は解放後、将軍に昇進し、米国では英雄として扱われているそうです。

  時に、楽観主義はストレスを軽減します。それは事実。
  しかし、極限の苦難の前では、あえて逆の方法を選ぶことが功を奏することもある。
  先が見えず、かつ逃げることのできない戦いには、それなりのやり方があるということです。

  絶対にあきらめないという信念、そして意志の強さ、最悪の現実の中でも、生き伸びることを目標に命をつないでいく
  究極のプラス思考 がそこにはあります。

  もちろん冷静に考えれば、虜囚生活は8年ではなく、もしかしたら10年、15年になったかもしれないし、それまで体
  が持たずに死んでしまったかもしれません。でもたとえそんな結果になったとしてもストックデールの精神は屈強さ
  を失わなかったのに違いありません。
  

  ストックデールの逆説は、Column08でご紹介した 「ビジョナリーカンパニー」でも紹介されています。







Column12  2005/1/16up              


 
■ ルビコン川を渡る

  二度と後戻りできない決意をすることをルビコン川を渡ると言います。
  その昔、ローマ帝国時代に、ローマ軍の将軍は自らの軍団を率いた領土を広げるための何年もの遠征の帰りにローマ
  の城門に近づく前に、郊外のルビコン川で武装解除することを義務付けられたそうです。
  城壁の中には、栄華をむさぼる皇帝や市民がおります。
  武装したままルビコン川を渡るものは、即反逆罪とみなされ、親衛隊に攻撃されます。

  絶対に後戻りできない状況、そんな決意をせまられる場は、経営者でもなければないのかも知れません。

  「会社の将来を決する重要な判断? われわれサラリーマンにはそんな場面は訪れないよ。 決して。」 そんな声も聞
  こえてきそうです。

  会社の雌雄を決する、営業的判断。確かに決断そのものをするのは経営陣かも知れません。
  でも判断材料を準備するのは、我々社員の役目なのではないでしょうか。

  例えば、自動車会社が発表する新車、多額の設備投資をして世に送り出しますが、車のデザインや設計をしているの
  は社員やデザイナーです。 この車が消費者のニーズにあって売れるという分析をするのも社員です。
  経営者にルビコン川を渡るかどうかという決断をさせるのは、社員なのです。

  よく、役付職に昇格する方に言います。 「これからは経営者の視線でものを見てくれ」 と。
  
  「経営者の視線って何ですか? 我々に権限が与えられるわけではないでしょう。」 そんな疑問を投げかける方も中
  にはおります。

  経営者は一人では決断できないのです。決断するための材料もない。ルビコン川を渡るかどうか、決断させるのは我
  々の役目、そう考えてみませんか。 「組織の歯車になるな。」 これもまったく同じ意味だと思います。







Column11  2005/1/14up              


 
■ 産業人メンタル白書

  社会経済生産性本部が昨年発表した「産業人メンタル白書」によると、企業における心の病は確実に増加しているよ
  うです。回答した企業の67% (従業員3千人以上の企業では実に96%)に1ヶ月以上の休業者がいるとのことです。

  心の病のもっとも多い症状はうつ病。86%と圧倒的でその率は確実に増えてきています。10年前の調査では、従業
  員数が多い企業ほどうつ病での病欠者が多かったのが、昨年の調査では、企業規模に関わらず一般化しています。

  年代別では30代(49%)、40代(22%)に心の病が集中しているようです。

  もっとも、30代だから危険だとか、20代だから大丈夫なのかということではなく、仕事を任される年令層に集中して
  いるということではないでしょうか。10年前と比べて特に心の病の割合が増えているのは30代だそうです。

  そして重要な部分。

  この3年間の不調者の増加が抑制傾向にあると回答する企業は、上長に対して「部下の仕事の質の管理」を第一に求
  めている企業ではなく、「能力発揮のための部下育成」を求めている企業に多かったそうです。
  少なくとも、企業側は部下育成が不調者の抑制に役立っていると思っているということです。

  これを裏付けるように、30代の人間の仕事の負担感では、「物理的負担感(仕事の量)」ではなく「精神的負担
  感」が上位にあるようです。
  言いかえれば、心のサポートをきっちり行えば、頑張れるということです。

  自分のチームにどうしても無理をしいる必要があるなら、心のサポートをしっかりする。あたりまえのことですが、
  あなたは、できていますか。







Column10  2004/12/24up              


 
■ Uボートのストレス

  「Uボート」という潜水艦映画を知っていますか。ある日同僚とストレスの話をしていたところ、前夜にやっていたこの映画
  が話題になりました。

  狭い海峡で、米海軍の駆逐艦の爆雷攻撃を受けるドイツの潜水艦。 乗組員はパニックになります。
  次の一撃で死ぬかもしれない。狭い艦内で激しい攻撃を受ける極限の状況の中で、優秀な機関長が正気を失いハッチ
  を開けようとします。ハッチを開ければ浸水して全員が死にます。 艦長はつい先程までは優秀な乗組員で
  あった機関長を射殺しようとします。

   ・・・・「あれをストレスって言うんだ。」
      「そう、あれがストレスだ。何があったって仕事で殺されるわけじゃない。」
                                         ・・・・ 私たちは言いました。
 
  そう、仕事に殺されることはありません。でも、仕事のストレスで死んでしまう人はいます。

  ここで私は気づきました。ストレスの原因に慣れていなければ、ちょっとしたストレスであっても、 とてつもなく
  つらいものに感じることがある、と。
  あなたにとって、たいしたことではない要因も、あなたの部下にとってはすごくつらいことなのかもしれません。

  部下がストレスへの苦痛を訴えた時、「何言ってんだ、そんなつらいはずないだろ。」 という前に、 部下の過去の経験
  を考えながら、部下の言い分、何がつらいのかをじっくりと聴いてあげましょう。

  逆も言えます。
  ストレスには慣れることが出来る。正確に言えば、ストレスの「原因」に慣れることが出来ます。
  しかし、ストレスへの慣れは危険を伴います。 慣れれば辛い(からい)ものが平気になるのと同じように、 刺激に
  麻痺してしまう可能性があります。 辛い(つらい)のも平気になるかもしれません。
  でも、感覚は平気になっても、体はもたないでしょう。 ある日突然The ENDです。







Column09  2004/12/10up             


 
■ 3人のレンガ職人

  3人のレンガ職人についての話があります。
  旅人がせっせとレンガを積んでいる3人の職人に質問します。  「何をしているの?」

  3人の返事は各々異なります。

    職人@  「レンガを積んでるんだよ、見ればわかるじゃないか。」
    職人A  「壁を作っているんだよ。頑丈な壁だよ。」
    職人B  「家を建ててるのさ、新婚さんが住むのさ。」

  3人の答えは、目標(家を建てる)、計画(壁を作る)、実行(レンガを積む)というビジョンを実行する上で必要な3
  つの要素を表しています。

  3人の答えはまた、それぞれの仕事への思いの深さを現してもいます。
  誰の考え方が正しいとか、望ましいという正解があるわけではなく、考えは人それぞれ、自由ではあるのですが、
  もし、私が率いるチームが困難な仕事に立ち向かおうとしているのなら、メンバーには職人Bのような考えや視点
  を持っている者を集めたいと思います。・・・・ 現実には中々難しいのですが。  


  実はこの話は、  『普通の人型リーダーが最強の組織を作る』 (山川裕正 著) や『ザ・ビジョン』 (ケン・ブランチャード著)
  などで取り上げられている、リーダーシップや計画性、ビジョン等を語る上でよく使われる逸話です。
  話によっては、新婚さんの家ではなく、教会だったりします。

  でもせっかくコーチングの話をしているので、私なりの解釈を付け加えます。
  3人の職人はたまたま思いついた答えを言っただけかもしれません。
  
  旅人は、質問を工夫すれば、3人の行動(実行)ではなく目標を、職人@や職人Aからも聞き出せたかもしれません。

   「何ができあがるのかな?」 とか 「最後はどうなるの?」 とか、簡単な質問でいいのです。
  効果的な質問をすることで、相手に目標や計画を考えさせる。 それがコーチングなのです。

  さらに、付け加えるなら、
  職人たちにリーダーがいれば、自分たちが何を作っているのか、どんな方法で作るのかを考えさせることも可能です。
   「丈夫な壁を作るためには、どうやってレンガを積めばいいかな?」
   「新婚さんが住みやすい、明るく、暖かい家にするためには、どんな窓にすればいいかな?」 とか。全体を考えさせ
  るような質問をする。それがプロジェクトや業務 (ここでは新婚さんの家づくり) への参加意識を高めることにつなが
  ります。

  是非、あなたの部下にも言わせましょう。 「俺は新婚さんの家を作ってるんだ。」 と。







Column08                         


 
■ 「ビジョナリーカンパニ−」

  こんなタイトルの本があることを聞いたことはないですか。
  欧米で長く生き長らえ、今も成長する企業に共通なのは何かという部分を調査研究した本です。
  調査結果は単純明快でした。  「優秀な人材を集めた」ことにあるそうです。
  そしてこの本が最も言いたいことは、集まった人材を教育した企業ではなく、はなから優秀な人材を集め、彼らに会社
  の舵取りをさせた企業が安定した成長を今も持続させているということです。

  過去急成長した世界的に有名な企業の多くが、人材育成に力を入れ磐石たる基盤を築いていたにも関わらず、時代
  の変遷に飲み込まれ消えていったそうです。 

  でも、だからといって、社員の教育を怠っていいはずはありません。 「優秀な」 の優秀さの意味をどう考えるのか
  が大切なのだと私は思います。

  あなたは、自分の部下が優秀だと思っていますか? 迷わずYESの方もいれば、眉をしかめる方もいるでしょう。

  仮に、部下が優秀だと思っていないあなた。 
  部下の才能の全てを否定できるほど、部下のことを知っていますか?

  環境が変わって能力を発揮した者、仕事を任してみたら結構できる者。 あなたの廻りにそんな方がいたことはありま
  せんか。 世の中にはそんな方もいます。
  常に最大のパフォーマンスを発揮できることだけを「優秀」と定義するのではなく、機会が与えられたらパフォーマンス
  を発揮できることも 「優秀」 の定義に加えてみてはどうでしょう。

  もちろん機会を与えるのは、上司であるあなたの役目です。







Column07                        


 
■ ノードストロームの権限委譲

  「 権限委譲 」という言葉があります。
  文字通り 「上司の権限の一部を部下に委ねる」ことでありますが、組織としての話ではなく部下育成として考えてみ
  ると、また面白い。

  CS(顧客満足)での有名な話として、 ノードストロームというアメリカのデパートの事例を聞いたことがある方はきっ
  と多いでしょう。 売り場の販売員がお客様を満足させるためなら、自分の考えで行動し、費用を使ってもよいという
  仕組みがあります。  (もちろん「枠」はあるのでしょう。)

  これをCSとしてではなく、「権限委譲」という切口でみてみると、通常のデパートや職場とは異なる大きな権限を販売
  員に与えることで、販売員自身が「お客様を満足させる方法を一生懸命に考え」、本人のモチベーションが著しく向上
  し、ひいてはデパートそのものの信用や業績の向上につながっています。

  どんな成果につながったかは別として、そこには、「権限を委ねる」 = 「自分で考えさせる」 という明確な図式が
  あります。
  「 権限委譲 」 をコーチング的にいうと、 「目的は与えるが、プロセス、やり方は本人に任せる」 マネジメントとい
  うことになります。

  また、 「任せる」 ≒ 「相手の能力を認め、信頼する」 ことです。

  権限委譲には、相手に考えさせるコーチングの手法が色々と役に立ちそうです。







Column06                        


 
■ OLマニュアルはすごい

  『OLマニュアル』 って知ってますか。褐、修出版社から発行されているA6版110ページくらいの月間誌です。
  女性社員の間で回覧されてたりしますが、書店から会社に届いた今月号を何気なく手に取ってびっくり。

  特集記事 「ノンバーバルのコミュニケーションに強くなれ」
  ・まるっきりコーチングです。言葉以外の表現、身振りしぐさや表情をどう効果的に使うか。
  ・基本から体験談まで20ページもあります。

  更にめくってもっとビックリ。 「リーダーが覚えておく魔法の言葉」
  ・言葉がコミュニケーションをどう効果的にするかの解説
  ・これは私も先週読んだばかりの秋田さんというセールスレディ出身の人材育成カリスマの方が書いた本
  ・の要約そのものです。

  まさかもうないだろうとめくってみて更にビックリ。 「ココロのエクササイズ」
  ・保険組合だより的ではありますが、自分自身のストレスをどうやわらげるかの解説がわかりやすく書かれ
  ・ています。完全にストレスコントロール手法の解説です。

  コーチングという言葉は一切使われておりませんが、コーチングスキルに関する、構えることもなく学べる立派な入門
  本となっております。 しかもすごく読みやすいから、斜め読みであってもきっと、OL社員はちゃんと目を通しています。
    (自分のスキルにしているかどうかはわかりませんが。)

  別にコーチングとは意識せず。  仕事を効果的に進め、会社での生活を快適に過ごすために人との付き合い方の簡
  単なコツを幾つか覚えておく。  そんな風にOLは武装しています。

  「コーチングなんて新しいものできないよ」 なんて言っていたら確実に遅れをとってしまいます。







Column05                       


 
■ 全ての部下に愛されるシュワルツコフ

  14年前の湾岸戦争の際、アメリカ国内で英雄視されたシュワルツコフ司令官(当時)の退官時のインタビュー記事で面
  白いことが新聞に載っていました。

  「司令官として最も努力したことは何か?」 との質問に対し 「全ての部下に愛されるように努力した。」  と答えたそう
  です。

  50万人近い軍隊を動かし、時には部下を死に至らす作戦を命じた司令官が、信頼されるようにではなく、愛されるよう
  に努力した。 上意下達の軍人の頂点の人間ですら、相手の気持ちを中心に考えるようです。

  コーチングは決して新しい手法ではありません。 今まで誰もがやってきた指導や人との関わりの中の良い部分を、主
  にコミュニケーションに焦点を当てて、意識的に実行する。 それだけのことです。







Column04   2004.11.1              


 
■ 「ブランド生かせぬジャガー」   2004年11月1日の日経産業新聞記事についての考察です。

  いわずと知れたイギリスの高級自動車メーカー ジャガー。 その屋台骨はかなり傾いているそうです。最近では、F1
  にも進出し、一般の方々の手が届き易い価格設定の車種も販売しています。  何が、問題なのでしょう。
  1989年にフォードの傘下に入ったジャガーは、利益追求のために、価格競争、大量生産を戦いの場とする道を選んだ
  のです。
  マニアックなオープンカーの生産を縮小し、小型車、ディーゼル車をどんどん作りだしたとたん、元々ジャガーを購入し
  ていた層の顧客離れが起きました。  とは言っても一般消費者が日常品として買うような車種もない。
   ジャガーは、ブランドに不可欠な、明確な価値観に基づいた一貫性を失ったのです。

  それまで、ジャガーがユーザーに提供してきた価値観は何だったのでしょう。そもそも、ジャガー社内に、明確なブラン
  ドの定義があったのかどうかわかりませんが。

  自分ブランドも、自分をどう磨いていくのかという定義が必要かも知れません。







Column03                        


 
■ 次は何をするの?

  国家資格の試験を受けたことのある方も多いと思います。 会社によっては、社員が必ず取得しなければならない資
  格もあると思います。 忙しい中受験される方々は苦労されることと思います。

  恐らく、皆様の部下の中にも、何かの試験が終了し、ほっと息を抜いている方が一人位はいるのでは。 しかし、ゴー
  ルは立ち止まるところではありません。 ゴールがそこにあることを見込んで、早めに減速を始めたり、 ゴールで立ち
  止まって、それからゆっくりと次を考えていたのでは次のターゲットを定めて再スタートできるのはずっと先になります。

  ましてせっかく自分の体に馴染んだ、時間を作って勉強する習慣を忘れるのは何とももったいない。とは言っても、試
  験も終わったことだし何も考えずに命の洗濯をしてリフレッシュする必要も有ります。 もちろん部下の私生活を強制す
  る権限もありません。
  でもいいじゃないですか、試験も終って、家に帰ればのんびりとTVも観れるし、 もうビールを 飲んで寝ちゃっても気が
  とがめることもないのですから。
  無理を言う必要は全くありません。簡単な一言をかけることが、コーチングです。

  「次に、何かやりたいことあるの?」  そんな質問を一言すれば十分です。

  スタートが遅くならないように、次に何をするかを考えるきっかけだけは与えてみて下さい。

  「次は何をやりたいの?」 「次は何をやるの」 は本来は会話がつながる質問ですが、相手の中に答えがすでにある
  かのような急かす雰囲気があります。

  まずは、「まだ考えてないです。」と会話が終わってしまうような質問で十分です。
  「次か・・。」 と気づけばいいのですから。







Column02                        


 
■ 最後まで聴かない罪

  皆さん、部下や同僚と会話している時に相手の話を遮ったことはありませんか。
  まだ相手が話している最中に、「それは、○○が□□なんだよ。」 とか 自分の意見は違うとか、たまたまその話題
  を知っている という理由で相手が話している途中で差し挟む何気ない一言。
  相手が言いたかったことって何だったのか、本当に理解出来ていますか?

  理解出来ていると思うなら、それはあなたの思い込みか想像に過ぎません。
  だって相手は、まだ話し終わってないのですから。

  私なら、聴いてもらえないと思えば、どんなに良い情報・前向きな意見を言い残していても、話の続きは次の機会に
  ゆっくり話そうと考えます。 そして次の機会は永遠に来ないかも知れません。

  まずは、最後まで聴く。沈黙は、部下を言葉だけで思い通り操ろうとする意思のないことの表明でもあります。







Column01   2004/9/2              


 
■ ゴールを目指す

  昨晩、TVをつけたら「シックスセンス」という映画をやっていました。前にも見たのに、ついまた見てしまったの
  ですが、その中でいいセリフが出てきました。

  精神科医の主人公(ブルース・ウイリス)が、悩んでいる子供の患者(ハーレイ・オスメント)に言います。

    ・精神科医 「ひとつ考えて欲しい。先生とどんなゴールを目指すのか。」
    ・子  供  「僕、やりたいことなんてないよ。
             やりたいことではなくて、やりたくないことを言ってもいいの?」

  話の前後を言わないと何だか分かりませんが、極めてコーチング的なセリフです。
  ゴールを明確にしようとする精神科医。ゴールはわからないけど、子供なりに現状を明確にしようとする患者。
  やはり、コーチングというのは、カウンセリング好きのアメリカ文化なんですね。







Column00                       

 
■ 何でこんなホームページを作っているのか

  モチベーションの低い方をコーチング手法で指導し、やる気を引き出すことは可能です。
  でも、やる気のない方をコーチに育て上げるのは困難です。 それが企業におけるコーチング導入の最大のネックです。

  社外セミナーでコーチングスキルを学んだ方々の感想は明確に2分されます。
  例えば、
    Aさん  「いい研修だった、役だちそうですね。 ちょっとずつやってみます。」
    Bさん  「コーチングはいいものかも知れないけど、私のスタイルには合わない。今更、新しいやり方はいやだよ。」

  Bさんタイプの方は、チームで成果を上げていくために努力する気が無いのかも知れません。
  また、もしかしたら、自分のやり方に相当の自信があるのかも知れません。

  実は、Aさんタイプの方にだって、部下に声をかけてみたものの、あまり会話が続かなかったとあきらめてしまう方が多く
  います。

  コーチングスキルは決して新しいものではなく、日々使っていけるコミュニケーションのヒントです。
  なんて言っても、もう、
  「コーチングは新しいもの、中々難しい。」
  というイメージが社員の頭の中ににべったりと染み付いてしまっているわけです。

  部下なんて叱咤激励すればついてくる。 仕事は俺の背中を見て覚えればいい。 そう思う方だってまだまだ大勢います。
  部下への共感が重要だと説く方もいますが、じゃあどうやって共感させればいいのか。・・・・・・ やっぱり難題です。

  そこで、私が考えたのは、まずは、部下の為ではなく、自分自身の為に何ができるか と考えてもらうこと。
  そのためのヒントの提供。
  ちょっと前向きに生きるため、仕事や人間関係をスムーズにするため、ストレスで悩まないためのヒント。

  それを社員に伝えることにしました。
  そして、始めたのが社員向けのコーチング入門Mail通信。つまり社内メルマガです。

  気づけば、それが40通もたまりました。
  そして、新規に配信対象となる社員の方もいました。新規の方にいきなり40号というわけにもいかないので、バックナン
  バーを集めたサイトを作り、見てもらおうと思ったわけです。 前向きに生きるためのヒント集、そんなところです。
  ちょっと趣味の世界に入りすぎた感はありますが。 ・・・・もちろん社外の方も大歓迎。

  ヒントとなるか、読んで終わるかはあなたの受止め方によりますが。







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