ブックレビュー(自己啓発本編)ほとんどは我が家の屋根裏部屋に潜む本たちです
Coaching all days by Amadeus Factory
直線上に配置


■ かなり影響を受けた本


           

 ●「普通人型リーダーが最強の組織を作る」
  コーチングを知る前の私のバイブル。カリスマでも威張った管理型でもなく、部下を仲間として育てていくパートナーシップ
  型リーダー。そんな考え方に初めて出会いました。リーダーは管理者ではなくビジョンを語る人、変化に適応してチャンスを
  掴み組織を変革する人になれ、そんな内容です。

 ●「メンターリングの奇跡」
  これもコーチング以前の私のバイブル。社員の育成に必要なのはよき見本となるメンターの存在。仕事の直接の指導担当者と
  は限らず、社会のこと、自社のことその他もろもろをアドバイスしてくれる先輩との関係を指導の一環として構築したらどう
  なるか。私の出向先で採用させていただきました。

 ●「組織を救うモチベーターマネジメント 個人の潜在力を組織の顕在力に変えるリーダーの条件」
  屋根裏部屋からひっぱり出してみると、付箋とマーカーだらけでした。私にモチベーションの源泉は何かを教えてくれた本で
  す。15年位前の当時(2002年)、コーチ21の系列であるディスカバー21の書籍を扱っている書店はほとんどなく、入手
  にも苦労しました。今では幾らでも似たような内容の本はありますが当時はこれだけ。これも私の部下指導のバイブルでした。

 ●「ものづくり無敵の法則」
  ものではなくものがたり、つまり「こと」を大事にせよ。ビジネスとは何か、ビジネスに大切な何かを教示してくれる本です。

 ●「ビジョナリーカンパニー2」
  かつての一流企業で、今も残っている企業は、行き先の決まったバスに乗客を乗せるのではなく、乗せた乗客に行き先を決め
  させてきた。社員を育てるのではなく、優秀な社員を集めた企業だけが、社会情勢の変化に対応して生き残れる企業である。
  うーん、そうか。でも難しいなあ。てな感じでした。



      

 ●「ザ・ビジョン」
  FULL STEAM AHEAD! とは「全速前進せよ」という意味です。ビジョンの3要素である「有意義な目的」、「明確な価値観」、
  「未来のイメージ」など企業におけるビジョンの大切さをストーリー仕立てで教えてくれる本。これを読んでから自分自身の
  1年後、3年後、5年後、10年後のビジョンを考えるようになりました。

 ●「見える化・強い企業を作る見える仕組み」
  仕組みが見える。結果が見える。ルールが見える。見える化ができないやつの仕事は自己満足でしかない。これも一時期の私
  の考え方の基本。本書では5つのカテゴリー(問題、状況、顧客、知恵、経営)の見える化を提唱し、それぞれの事例をかな
  り豊富に紹介しています。定番のヒヤリ・ハットの見える化から始まり、病院の患者の声に対する回答の見える化、JRの事
  故の歴史の見える化。なんて事例もあります。

 ●「アイデアのヒント」「アイデアマンのつくり方」
  アイデアは天才のものではなく、既存の要素の組み合わせであり、日常を変えなくてはアイデアはやってこない。・・知りた
  がりになる。笑われることを恐れない。型にはまった生活から抜け出す。色々なものを組み合わせる。情報をかき集める。い
  ったん全部忘れる。ひらめいたら実践する。などの考え方を例えば13の半分は何かという問いに6.5という真っ当な回答だけ
  ではなく「ThirとTeen」「XVの上半分でVV=8」など色々な答えがあるというような考えを広げるヒントとともに語ります。
  そしてアイデアマンそのものを育てるには、部下を自分のためのメンバーではなく自分と働くパートナーとして扱い、失敗す
  る自由を与える、バカなことをする、褒める、頭から却下しない、任せる、問題の設定を変えるなどの方法論を展開します。
  これを読むと人と同じ考え方・行動はできなくなり、時々変な眼で見られます。



そしてコーチング本。私を熱中させ、このHPの前身であるブログを始めさせた本たち。

          

 ●「もしもうさぎにコーチがいたら」「絵で学ぶコーチング」「コーチングマネジメント」
  コーチングを日本に広め、ビジネスとして確立したコーチ21の伊藤守先生の3冊。「もしうさ」を読んでコーチに転職した
  方は大勢いますよ。「もしうさ」でコーチングを知り、「絵で学ぶ」でコーチングを理解する。さらに同じく伊藤先生の「コ
  ーチングマネジメント」でもっと深く理解するという難易度設定です。但し、米国のコンサル文化が発祥のコーチングには、
  その実践に課題があります。やる気のあるリーダー、やる気のある部下、やる気のない部下にコーチングは役立ちますが、や
  る気のないリーダーはコーチングが使えないのです。やる気のないリーダーには後述のEQ(心の知能指数)を高めてもらう
  手法が必要と私は思います。

 ●「やりたいをやるに変えるコーチング」「ストレスをパワーに変えるセルフコーチング」「コーチングのプロが教えるほめる技術」
  コーチングとは何ぞやを掘り下げ、コーチングスキルを最大限に活用して、人をそして自分までもを行動に導く実用的な3冊。
  ところで火事場の馬鹿力って知ってますよね。そうストレスもうまく使えばパワーに変えられるんですよ。



■ ストレートに役に立った本

          

 
「初めて部下を持つ人のためのリーダーシップ10のルール」「リーダーが困った時に読む本」「新米リーダー10のスキル」「ポータブルコーチ」
  リーダーになったら、まず読むべき本。この手の知識に向き合おうとしないでチームがどうこうとか部下がどうこうとか言う
  な!・・と真面目に思いましたよ。ポータブルコーチは10年くらいは手元に置いてしょっちゅう見てました。著者が日本人
  ではないのでこれらの本には日本の職場独特の例が足りないかな。

 ●「ファシリテーションの技術」「ファシリテーション入門」
  ファシリテーターとして、会議やプロジェクトをどう進めていくか。手をとるようにわかる本です。著者、堀公俊さんのセミ
  ナーにも参加しちゃいました。



       

 ●「勝てる会社の人材戦力」
  成果主義を活かし、いかに社員のモチベーションを高めるか。インセンティブ、自己申告、社内FA制度、マイスター制度、
  社内公募、メンタリング、キャリアカウンセリング、リファンド(学習補助)、コンピタンシー評価など、今では一般的にな
  ったり、既に廃れたりしている手法を丁寧に解説。

 ●「勝ち組の人材マネジメント」
  人を経営資源と考えるスターバックスはコーチングはもちろん、どのような行動が出来るかというコンピテンシーに基づく評
  価制度を採用しています。能力や実績ではなく、行動で評価する。そして社員をコーチ、ファシリテーターとして育ててゆく。
  素晴らしい。

 ●「相手を納得させる わかりやすい説明のテクニック」
  あなたは上司に長々と話をした後にやっと結論を伝えたりはしていませんか? 自分の話し方、身振り、手振り、イントネー
  ションをちょっと工夫するだけで、あなたの話はしっかり相手に伝わるようになります。また報告書だって書き方一つで紙く
  ずにだって、説得資料にだって変わるのです。ケースに合わせた解説が満載。今回読み直してみて「言い淀み・口癖は、まず
  は自分にそれがあることを認識しないと直らない」という部分を身近な言い淀む方に教えたくなりました。いつでも手元に持
  っておきたい1冊です。

 ●「上司になったら覚える言葉」
  「大丈夫!」その一言が部下を落ち着かせる。「どうしてはじめようと思ったの。」くじけそうな部下に。「君はどうしたい
  の」自信のない部下に。・・ちょっとした言葉の持つ重みを感じさせる本です。



■ 勉強になった本

            

 
「なぜ、占い師は信用されるのか?」「ビジネスコールドリーディング」「コミュニケーションの為の睡眠誘導」
  石井裕之さんのコールドリーディング本3冊。人は操られている。ならば操る側になりたいものです。催眠誘導は人のなんと
  なくという意識にうったえるテクニック。

 ●「パワーマインド 自分を高め交渉にかつ悪魔の心理術」
  細かな行動や演出による自分のイメージ操作からスタートし、自分をしっかりアピールし、自分の意見を通していく為のスキ
  ル紹介。世の中にはトランプさんや阿部さんが赤や青のネクタイをしている理由すらわからない方々が大勢いるのです。皆あ
  なたの餌食ですよ。

 ●「EQリーダーシップ」
  ビジネスに成功した者は必ずと言っていいほど他者の感情を理解する能力に優れている。成功者の方々は心の知能指数EQを
  活用し、人の心を理解して、人を動かしていくという考え方を教えてくれます。またEQはIQとは違って訓練で伸ばせるよ
  うです。EQに関する基本中の基本の本なのですが、ちょっと難しい本でもあります。

 ●「EQ心の鍛え方 成功を生み出す66の法則」

  EQってわかりにくい本が多いですが、この本は比較的わかりやすいです。EQ能力を高めるためにすべきことって具体的に
  は掴みきれないのですが、この本とコーチングの入門本を重ね合わせるといろいろ見えてきます。コーチングを実践すること
  が人の心の動きを理解することでもあり、逆に、そもそもEQ能力が低い人には、コーチングは無理でありどちらも密接に結
  びついている。両方を平行して学ぶことが、応用への近道ではないでしょうか。

 ●「若者はなぜ3年で辞めるのか」
  自らの将来が見通せない。職場の仲間になれていない。自らの存在意義が感じられない。そんな悩み故、多くの新入社員は3
  年で会社を辞めてしまいます。では辞めさせないためには真逆の印象を与えればいいのだと私は気づき、実行しました。それ
  がコーチングです。



           

 ●「ぼくはアスペルガー症候群」
  最近ではASD(自閉症スペクトラム)とも言うアスペルガー症候群である著者が語る真実。多くのアスペルガーの方がそうで
  あるように著者も子どもの頃から単なる変人と思われてきたが、自分自身がアスペルガーであることに気づきなんとか周囲に適
  応しながら生きてきた。皆さんの周りにも必ず何人かいる変人が実はアスペルガーであることにも気づかせてくれます。

 ●「あなたのその気分うつかもしれません」
  実例が色々掲載されていてかなりわかりやすい本。心理学者の方が単に理論を紹介する本とは全く違います。病院や治療のこと
  はもちろん、治療費や確定申告のことまで書かれています。自分自身の気持ちがすっきりしない方、周囲に心を病んだ方、病み
  そうな方がいる方、企業のメンタルへルス担当の方、部下のいる方にとって、とっても役立つ本です。

 ●「図解雑学ユング心理学」「図解雑学フロイトの精神分析」
  ユングが解き明かしたコンプレックスの理屈やうそ発見機の原理、フロイトの夢判断、無意識の行為や言い間違いの理屈など、
  心理学の基本を素人にも解るように解説してくれる2冊です。社会人として一度は読んでおいたほうが良いです。

 ●「他人の心をつかむ心理テクニック」
  コミュニケーションの活性化という切口で色々本を読んだ中で最も読み易く分かり易い本。後になってセクシー心理学等で有名
  なゆう先生なのだと分かったのですが、心理学からアプローチした、かなり柔らかめの人との付き合い方強化本といったところ
  です。誰でも理解できるし、例として出てくる女性を落とす為などではなく、部下指導教本として使えます。

 ●「しぐさと心理の裏読み辞典」
  この手の本って結構多く中身が頭に残る本って少ないですが、匠先生の本はきっちり残ります。引き合いに出させていただくと、
  似たようなことが書かれている前出のゆうきゆう先生の心理本は軽く仕立てて読みやすいのに対し匠先生はかっちり仕立てて読
  みやすい、人の気持ちを理解することは、人間関係として絶対にさけて通れないところです。この本のおかげで、人の行動の意
  味がちょっとずつ読めるような気がしてきました。

 ●「好かれる人のしぐさの法則 できる人には言葉以外の何かがある」
  しぐさで相手の気持ちがわかる、しぐさで自分の印象を演出できる。本音がばれる。行動パターンは性格を現わす。心理学者渋
  谷昌三先生の解説満載。基本を理解出来れば人間関係や仕事に大いに役立ちます。



          

 ●「スターバックス成功物語」
  シアトルのスターバックスに転職したハワードシュルツがいかに困難を乗り越えスターバックスを巨大企業にしたか。社員は経
  営の道具ではない。その一言に代表される経営哲学と文化を作ってきた発展の道のりを解説。

 ●「私でももっと面白いほどわかる決算書」
  決算書には危ない会社、伸びている会社を見抜くヒントが満載。でも、自分の勤務先の営業利益は知っていても、純利益が売り
  上げに対してどれくらいあるのかを知っている会社員ってほとんどいません。営業利益が20%でも、純利益が2%なら100
  万円の売り上げに対して2%の値引きをしたら利益がなくなってしまうことを知らないのです。決算書は重要な情報源ですよ。

 ●「ソーシャル物理学」
  自分一人より、仲間と考える、組織外と情報交換するなど人の交流のネットワークの多様化は発想に明確な変化を及ぼす。そし
  て、アイデアの多さ、交流の密度、アイデアの多様性がイノベーションを引き起こす可能性を飛躍的に高めます。アイデアの流
  れを生み出す探求ポイントは、@成功した他人の真似をする社会的学習+個人的学習。A情報源を多様化する。B他人と反対の
  行動をし、独自の情報源を持っていると思われる賢人を見つけ彼らに学ぶことだ。カリスマ的仲介者とも言えるリーダーはメン
  バーの全員に計画的に発言を促し、コーヒーコーナーや休憩室で色々な立場の者と会話を行い、誰かから得たアイデアを他の誰
  かと交換する。問題解決の方策はコーヒーコーナーや休憩室で見つかる可能性が高い。メンバーの休憩時間を同じにしてコミュ
  ニケーションを増やしたコールセンターの生産性が高まったとの事例も。集団知のあり方、発展のさせ方、ソーシャルネットワ
  ークの効果などを学術的研究により立証した本。ちょっと難しいけど、研究の部分を省けば、そのエッセンスは数ページで全て
  が語れる内容である気がします。

 ●「トヨタ式改善力 原価2分の1戦略への疾走」
  無駄を徹底的に排除するトヨタ式KAIZEN。でも改善が進化すると、無駄は形を変えて現れる。どんぶり勘定ではなくタイ
  ムリーかつ正確な数字の管理が原価低減を実現する。間接部門の原価は 低減すべき。など無駄とりをいかに徹底的に行うのかを
  解説する本。勉強にはなるけどちょっと難しい。

 ●「この世の中で一番知りたい「図説 儲けの手帳」公開します。」
  これはお客様にお金を使わせるためのマーケッティング論を16の事例から解説。ちょっと前からコンビや商店で独自商品を置
  き、ポップで商品の良さを解説したり、入荷時期を説明するのを見かけませんか。きっとこの本を読んだのでしょう。美味しい
  けど入荷が少ない、高いなんていう心理学でいう「両面表示」を応用した事例もあり、売るより伝えるに特化し、お客様との関
  係を築く手法を紹介しています。

 ●「問題解決に効く 行為のデザイン思考法」
  プロダクトデザインをそれを利用する人、見る人の行動から考え、改善することを説く本。間違いを招くデザインをバグ、行為
  が促進されるデザインをエフェクトという表現で説明。エレベータの開閉ボタンが解り難いに象徴されるデザイナーのバグを退
  治、改善する事例を多々紹介。ビジネスマンの発想の転換にも吉と見ました。でも多くのページを割いているワークショップの
  くだりは実践的過ぎて、実際のプロダクトデザイナー以外には不要な気もします。



結構面白いし、知識や発想の転換になった本 だけど、仕事の役に立つわけではない。

      

 ●「レクサスとオリーブの木」「フラット化する世界」
  200年以降、現在のIT化、グローバル化を予言する書が色々書かれました。そしてその予言の一部は当たっています。
  共にニューヨークタイムス記者のフリードマン著。2000年、東西冷戦後の世界。オリーブの木に代表される地域主義、レクサ
  スに代表されるグローバリゼーション。米国はグローバル化をけん引して世界を支配する。IT企業の急伸を見通したとも言
  えますが、た自信をなくした今の米国とはかけはなれた予言とも言えます。そして2002年。我々はダウンロードの時代から自
  ら持つ情報をアップロードする時代に突入した。世界はインターネットによりその距離を縮めてフラット化し、下請け業務は
  既に中国やインド、もしくは米国の片田舎でも行われる時代となった。インターネットは個人にグローバルな競争力を与え、
  働き方、ビジネスモデル、国家のシステムさえもが変わりつつある。企業は連合を作り、業務はアウトソーシングされるよう
  になる。うーんその通り。でもその当時としても既に当たり前の予測であり、目新しさはなかったです。

 ●「ネクスト・ソサエティ」
  ITとグローバリゼーションが世界を支配すると2002年にドラッガー先生はおっしゃった。知識に国境はない。万人に教育の
  機会があり、万人が知識を手に入れられ、厳しい競争時代がやってくる。企業は雇用規制に対応するため膨大な時間と予算を
  消費する。米国の労働組合はグローバル化から身を守るため保護主義化する。企業は成功していないものを体系的に廃棄し、
  サービスを継続的に改善しなくては生き残れない。しかし変化は脅威ではなく、チャンスとなる。

 ●「ビジョナリ―カンパニー」
  様々な業界のTOP企業がその業界のそこそこ一流の企業より抜きんでた理由は何か。すなわちきちんとした理念を持ち、進
  化し続けたからであると、多くの事例で教えてくれます。努力している企業がどんな活動をしているかがわかる面白い本です
  が、そこまで。それらの企業の中にも今は消え去っている企業があります。それでも生き残る企業については前出の「ビジョ
  ナリ―カンパニー2」で分析されることになったわけです。・・・この本は飛ばして最初から「ビジョナリ―カンパニー2」
  を読みましょう。



        

 
●「ザ・ゴール」、「チェンジ・ザ・ルール」「ザ・キャッシュマシーン」「ザ・ゴール2」「ザ・プロフィット」
  「ザ・ゴール」から「ザ・ゴール2」までは一部作者が違うもののシリーズです。「ザ・プロフィット」も非常に似ていて、
  ストーリー仕立てで企業の問題を解決していきます。「ザ・ゴール」はそもそもエリヤフゴールドラット博士の唱えるTOC
  と呼ばれる生産管理方式の解説書だったそうですが、読む者を引き込む面白さがあり、本として売れたようです。私も引き込
  まれました。でも自分の仕事に生かせるかと言うと、そんなことはありません。生産方式をきちんと論理立てて考えるという
  発想を促してくれる本程度で考えたほうが良いです。企業コンサルの中身をたかだが3千円もしない本で種明かしするはずな
  いですよ。


    

 ●「V字回復の経営」、「経営パワーの危機」「戦略プロフェッショナル」
  倒産寸前の系列企業を立て直してこいと送り出された社員の奮闘を描く物語。ストーリーは全く違うけど、「ザ・ゴール」と
  同様にストーリー仕立てで、企業の危機を救っていく内容です。後にミスミの社長となった著者の三枝匡さんは、経営コンサ
  ルとして幾つもの企業の再生を指南した方で、V字回復のストーリーはほぼ実体験といううわさもあります。実はミスミの社
  長となって1年位の頃に開催された三枝さんの講演会を聴講したのですが、常識に捉われない企業経営の話を伺がって、かな
  り発想の転換になりました。とはいえ、「ザ・ゴール」と同じく、自分の仕事に直接は役立たないですよ。



          

 ●「イノベーションと起業家精神 その原理と方法(下)」
  何故か、企業家精神と訳す本と、起業家精神と訳す本がありますが原題がアントレプレナー・シップなのだから起業家が正解
  だと思います。ものつくり大学の上田先生の訳ですしね。極めて大雑把に言うと企業の改革は今までの常識に捉われていては
  だめで、すべてをぶっ壊して、一から起業するような考え方でなくてはだめだと書かれています。起業家精神を発揮する条件
  として、変化を脅威でなく機会とみなす。成果を体系的に測定する。組織・人事・報酬について特別の措置を講じる。行って
  はならないタブーを理解する。が上げられていますが、結構難しい内容です。日本の企業がバブル崩壊後の不景気から中々立
  ち直れなかった時代に、この起業家精神という言葉がおお流行り。

 ●「なぜ、正しく情報は伝わらないのか − 戦争にみる情報学研究」
  9.11の攻撃前にCIAが入手していたというアルカイダのテロの情報が何故活かされなかったのか。戦争の分岐点を決定
  した情報の取り扱いに関する詳細な記述が続きます。例えば、パールハーバー。ルーズベルトが情報を握りつぶしたというよ
  うなうわさはもともとありますが、時代背景や、軍事事情の中で情報がどう扱われ世界の運命を変えたのかが細かく書かれて
  いて、引きづりこまれました。多少なりとも、戦争に関して興味があれば、一気に読んでしまうでしょう。面白い。その一言
  です。しかし、書店では経済書のコーナーにあったので、企業の情報の取り扱いが勝敗を決める的な展開を期待したのですが、
  時代のいたずらを解説する印象が強く、企業活性化の参考にはならないでしょう。賛否両論分かれるかもしれません。

 ●「NYPD No.1 ネゴシエーター最強の交渉術」
  仕事をはじめ色々な人間関係で役立つかと思い飛びついてしまいました。読み物として結構面白いし、ニューヨーク市警はこ
  んな交渉術を使っているんだと実録本として興味深い内容です。一気に読めます。でも実際の人間関係における応用という点
  では難しいですね。せっぱつまった犯罪者と交渉するわけではないですから。

 ●「おとなの小論文教室」「あなたの話はなぜ通じないのか」
  心の火種を消さない為に自分をうまく表現しよう。「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載が本になった「大人の小論文教室」。続編
  と思ったらコミュニケーションスキルの解説「あなたの話は・・・」。自分の想いを相手に正しく伝える為の一工夫が目白押
  し。コミュニケーションのゴールは通じ合うこと。その通り。

 ●「問題な人」
  これも心理学者渋谷昌三先生の書。理解できない若者、下品な人、頭にくる上司・部下などイライラさせられる人々に対する
  ストレスをどうやって和らげればよいかの指南書。人間関係に疲れた方への処方箋です。読んでいるとうんうんとうなづくこ
  としきり。



■ 参考になったけど、しばらくたつと忘れてしまう本

              


 ●「部下のやる気を2倍にする法 できる上司のモチベーションマネジメント」
  和田秀樹さん他4名の共著。希望の法則、充実の法則、関係の法則の3章に分けて、チームをいかにマネージメントすると良
  いかがかなり細かく事例も上げて書かれています。色々読んでる私には参考にすべき項目が幾つもありましたが、普通の方が
  読んでも10ページも行かないうちに嫌になるかも。難しい部分を省いて内容を半分くらいにするとすごくいいのに。

 ●「なぜAさんは好かれてBさんは好かれないのか」
  「なぜか好かれる女性50のルール」の著者赤羽建美さんの本。好かれる人と嫌われる人の態度・行動・ものの言い方はどう
  違うのか、人からどう見られているのか、好かれるAさんのようになるための24項目の紹介。すっごく参考になるのですが、
  自分の態度や性格は決して変えられないし、行動も自ら変えるのは非常に難しいですよね。・・・コーチでもいなければ。

 ●「その他大勢を味方につける25の方法」
  その他大勢なんだかんだは本文には出てきません。仕事の成功、失敗は人間関係にかかっている。人が自分を知りたい、関係
  を築きたいと思えるような人間になる25の法則を、準備、つながり、信頼、投資、相互作用の項目に分けて紹介。自己中心
  的にならないためには。問題を起こすボブにどう対処すればよいか。人間関係のスキルのバイブル「カーネギーの教え」と解
  りやすいことから解り難いことまで。米国ではベストセラーになったらしいが、日本人向きではないかも。

 ●「会社で意見が通る人、通らない人」
  議論をするな、議論しようのない案を作れ。本命の意見の前に小さな意見を積み重ねろ。交渉を避けたら永遠に意見は通らな
  い。挨拶を軽んじる人には味方が出来ない。なぜ上司は思いつきの指示を出してくるのか。無責任な意見は自分の首をしめる。
  など結構面白い解説が続くが、何故か心に残らない残念な本。

 ●「もうひと押しができない!やさしすぎるひとのための心理術」
  軽い、軽すぎる。面白い。面白すぎる。あっと言う間に読める。ゆうきゆう先生の心のあやつり方の指南本。相手を逃がさな
  い誘い方(ハンドルネーム)。言い間違いで心が見えてくる(ミストウォーカー)。不安な気持ちを一瞬で回復させるには(
  エアーズロック。)モテルは才能ではなくテクニック(路地裏のコイン)。交渉も告白も簡単にする左右の心理学(女神の左
  手・悪魔の右手)。警戒されずに相手を説得するには(B面のメロディ)。自信をつける魔法の言葉(キャンドゥ・キャンデ
  ィ)。それぞれのスキルに愛称がついているんです。やあ軽すぎて読み終わったら忘れちゃうよなあ。

 ●「心のサプリ」
  こちらもゆうきゆう先生の本。朝読むサプリ、満員電車に乗りたくない。昼読むサプリ、つまらないおしゃべりに嫌気。夕方
  読むサプリ、約束をドタキャンされた。そんな気分をちょっとは晴らすサプリが満載。

 ●「たった一言の心理術」「うつがスーッと晴れる本」
  それぞれ大御所 多胡輝さん、斎藤茂太さんの書。「たった一言・・」は、NGワードや役に立つ言葉を色々解説していますが、
  全然一言ではないですし、良いことが書いてあるのに読みにくい。「うつが・・」は、心がグレー(ブルーか)になりそうな
  時の対処法が網羅されていますが目新しさに欠けます。



■ うーん。私には役立たないけど、いいこと書いてあるんです。

         

 
まずはコーチング、もしくはコミュニケーションに関する残念本たち

 ●「EQコーチングのスキル」
  高度に競争社会となった未来では、高い付加価値をもった組織、個人しか生き残れない。おっと冒頭からドラッカーの引用。
  その為に企業はコーチングの導入を急ぐ。EQに関する書籍には理屈っぽく解り難いものが多い中で、分かり易い部類の本で
  す。コーチングがうまく機能しないのは何故か?このへんも的確な説明です。でもEQ的な能力を高めてコーチングを効果的
  に行うための答えはこの本からは見い出せません。すごく尻切れトンボです。本棚の飾りがまた1冊増えたような気持ちです。

 ●「カルロスゴ―ン流リーダシップコーチングのスキル」
  答えは会社の中にある。メンバーへの期待。考えと行動は完全に一致させる。コンフリクトの場を作り、より良い答えを導き
  出す。明確なビジョンを掲げる。それがカルロスゴ―ン流のコーチングとしていますが、それってコーチングではないでしょ。
  この本は正しくはコーチングスキルを一部含むゴ―ン流のリーダーシップの解説本です。

 ●「パワーコーチング」
  既存のコーチングは日本人には合わない。部下を説得するのではなく上下のけじめはきちんとつけた上で、自分で動ける部下
  にする。コーチングに心理学を応用した手法を細かく解説。部下を褒めたり、動かす為のキラーフレーズ(殺し文句)も沢山
  紹介しています。ちょと変わっているけど、コーチングがうまくできない方の実践に効きそうな内容。でも一度普通のコーチン
  グを始めると途中では切り換えられないんですよねえ。だって変でしょ、急に態度が変わったら。

 
「ケーススタディに学ぶコーチングに強くなる本 ― 現代の上司の必須のコミュニケーションスキル」
  コーチング本を何冊か書いている本間正人さんの本。企業におけるコーチングシーンを想定した事例や会話例を中心に紹介。
  会話部分も結構長くて、入門者には参考になるでしょう。

 ●「THE Art of Coaching 仕事上手になるコミュニケーション術」
  企業内にいかにコーチングを広めていくかのストーリー。ファシリテーターとしての段取り手法も紹介。面白いけど実用的で
  はないですし、実際の仕事に応用もできません。。


            

 ●「コミュニケーションを中心とした心に響く教え方 絶妙な教え方の技術」
  大学のコミュニケーション学の先生が書いた本書は非常に理屈っぽい部下指導書。有名なジョハリの窓も出てきます。Win-Win
  の関係作りで上司がやってはいけないこと、ボディーランゲージの使い方、失敗した部下への指導法など部下指導に関する色々
  な要素が解説されていて、一つ一つがごもっともなのですが、コーチングの方がはるかに解りやすいです。

 ●「コミュニケーション力が人の倍つく本 説得力、交渉力、提案力50のヒント」
  心を伝える、きちんと聴く、きちんと話す。通常の挨拶に一言加える。心は形にして伝える。敬語の正しい使い方。また、視線
  のやりどころ、相槌の工夫や、腹式呼吸まで含めた仕草での伝え方など結構掘り下げたコーチングです。マニアック過ぎるかも。

 ●「15秒でツカみ90秒でオトすアサーティブ交渉術」
  15秒で好感度を与えるスピーチ。90秒で相手の心を動かすトークをする。相手からYESを引き出す交渉術。苦手な相手に
  NOという技術。ネタとしては面白いが、実行するのは難しい技が色々紹介されています。一歩間違えると自分の中身の無さを
  露呈しちゃいます。

 ●「伝える力」
  池上彰さんのコミュニケーション本。日銀とは何か説明できますか。から始まり、爆笑問題の危機管理、綾小路さんの毒舌。落
  語に学ぶ。など、まあ役立ちそうで役立たないことが満載され、著者の名前で売ろうとした本という印象を受けました。

 ●「ストレス知らずの対話術」
  こちらも有名なコミュニケーション学の先生、齋藤孝さんの本。まず教科書のようで非常に読みにくい。結構役立つことが書い
  てあるのですが、ストレスの要因を難しい言葉で解説したりもするので内容も難しいです。

 ●「女のセンスを生かせなくて会社が伸びますか」「女性を活かす会社の法則」
  今では当たり前となった女性活用。でも10年前は斬新でした。「女のセンス・・」男女の違いは能力ではなく、環境の差。女
  性目線で女性の活用を実行した著者が女性の感性、センスを活かすべきと説明。「女性を活かす・・」女性を活用する会社は社
  員がイキイキして業績も良い。人不足で女性を活用しなければ企業や日本の産業は生き残れないという時代となった今、もっと
  早く学ぶべきだったとなげく企業も多いかも。



          

 ●「仕事は楽しいかね」
  目新しさだけが目についたストーリー仕立ての自己啓発本の走り。仕事に行き詰る主人公が偶然出会った老人に問題解決のヒン
  トを色々と教えてもらう形式で、企業の問題解決手法を解説。まあ全く役に立たないです。

 ●「嫌われるやつほど仕事ができる」「上司が鬼とならねば部下は動かず」
  それぞれ特定の状況では真理なのですが、いまでは流行らない。というより周囲がついてこれないです。チームワークの阻害要
  因を作ることを奨励する様な独善的な内容。

 ●「図解 部下指導 こうすれば人は育つ」
  部下の育て方、仕事の処理法、やる気の引き出し方、難しい部下の育て方などを図解を用いて説明。図解がかえって解り難くく
  してますよ。部下の課長を鍛える・・なんていいテーマもありますが、教育計画の立て方を図解で説明する必要あるかな。

 ●「今の3倍仕事が速くなる!時短術の決定版 何故か仕事ができる人の時間術」
  一般的な、完璧主義は捨てる、から、決断力を磨くには最悪のパターンを想像する。自分にしかできないことに時間と労力を使
  う。など色々書いてありますが、今まで時間の有効活用を気にもしたことがなかった方が読むような初歩的な本です。でも勤務
  先で項目をもっと減らして、内容もこれをもっと簡単にしたようなガイドブックが配られましたよ。

 
●「プロフェッショナルサラリーマン リストラ予備軍から最年少役員に這い上がった男の仕事術」
  上司を仕事の仕入れ先と思う。花形部門の行列には並ばない。グループ会社の取引でも値切る。マニュアルをバカばかにしない。
  ライバル社の商品でも案内する。1か月分の給料の10%を封筒に詰めろ(自己投資用に)。など上昇志向を持つ会社員が参考
  にすべき仕事術が書かれており、読み物としては結構面白い。半分くらいは実際にやるべきだし、残り半分は思ってもやっちゃ
  だめだよというようなことです。



          

 ●「人を育てる100の鉄則」
  注意は一時にひとつ。報告をしつけよ。人を長所から見よ。応援して自信を与えよ。出来ません厳禁。要求水準を高くせよ。な
  どちょっと上から目線の100の法則。解説も結構詳しいです。

 ●「段取り力 うまくいく人はここが違う」
  齋藤孝さんの本。トヨタ流の段取り。イメージトレーニング。列車ダイヤ。アポロ13号。キシリトールガムの出来るまで。な
  ど結構面白い切り口で段取りを語ります。段取りの指南本というよりは発想の転換を図る本。体裁がちょっと読みにくいです。

 ●「判断力の磨き方 常に冷静かつ客観的な選択をする技術」
  和田秀樹さんの本。完璧主義、二分割思考。自動思考。スキーマ。属人主義。集団心理。など心理学的考察で判断ミスの原因を
  解説します。また企業の失敗の事例も多々紹介。読み物としては面白いですが、知っていることばかりでした。心理学本を読ん
  だことが無い方には新鮮でしょう。きっと。

 ●「突破力 仕事の壁はこうして破れ」
  堀紘一さんの本。仕事、人間関係、キャリア、人生における身近な色々な壁を取り上げ、その壁を破る方法を語っているのです
  が、他の本でよく見かける内容の寄せ集めになってり、誰に読ませたいのか若干判り難い内容です。

 ●「この一冊で、考える力、話す力が面白いほど身につく!」
  ミスしても相手にいい印象を与える怒られ方。やり手アイデアマンの発想法が身につく魔法の習慣、あがり症の人もたちまちス
  ピーチ上手になる映像暗記法。など裏技満載。この本も内容がちょっとあっちこっち跳びすぎてるかな。

 ●「ブルーオーシャン戦略 競争の無い世界を想像する」
  読んだことも忘れていました。我が本棚にはないので図書館で借りたのでしょうね。ほとんどの業界では技術もノウハウも一般
  化し、どんな新しい技術やサービスであっても熾烈な競争、消耗戦にさらされる。そんな状態から抜け出し、誰にも真似できな
  い技術・サービスを提供する新たな市場(ブルーオーシャン)を生み出し、唯一の企業になるべきである。多くの実例を紹介し
  ていますが、一例として上げられた日本のNTTドコモですらも、ライバルとの競争に晒されています。その辺を反映した続本
  も出ているようです。



            

 ●「コア・コンピタンス経営 未来への競争戦略」
  コア・コンピタンス。一時期結構流行った言葉です。これからは業界の変革が起きる。未来の競争の為に、過去の成功は忘れ、
  今、戦略を立てるべき。ストレッチ戦略、レバレッジ戦略などを紹介しながら、客の価値を高めるコア・コンピタンス(他社に
  は真似できない技術、スキル)に経営資源を集中せよ。

 ●「ノードストロームウェイ 絶対にノーと言わない百貨店」
  顧客が望めば、よそで買ってでも商品を提供する。個人の創造性は自由の産物であり、従業員に対し、顧客がハッピーになるな
  ら法律違反にならない何をしてもよい自由が与えられている。命令への服従ではなく業績で評価される。そもそもルールが少な
  く、ルールをやぶる恐れはない。などノードストロームの経営方針をわざわざ一冊の本としてます。

 ●「千円札は拾うな」
  落ちている千円札に目を奪われているようでは成功はおぼつかない。タイトルがインパクトを与えたものの、それ以上の中身は
  ない本。3年後の100億の為に今の40億を捨てる。大成する男はお金と時間の使い方が違う。などお金は貯めるものではな
  く、効果的に使うものという思想が根底に見られます。既存の価値観を変えるにはよいかも。

 ●「99.9%は仮説」
  ○○に違いない。皆そう思ってる。それってほぼ想像です。世の中のほとんどの発言は決めつけと仮説に支配されている。皆っ
  て一体何人中何人のこと。仮説に頼る危険、探求の必要性を訴える書。

 ●「図解、わかるナレッジマネジメント」
  今では一般化したナレッジマネジメントの基本と実例を丁寧に解説。暗黙知をどのように見つけるか、いかに社員の共通の知見
  として企業に残すかのノウハウ集。

 ●「グループ連結経営」
  像にダイヤ磨けない。だからこそグループ制の経営には意味がある。多くの実例を元にグループ経営のノウハウを解説。ソニー
  のカンパニー制、コマツの人材流動化、社内ベンチャー、フリーキャッシュフローによる企業評価などを解説。

 ●「業績倍々ゲームの会社を作る 算数とハートの経営」
  機械レンタル会社アクティオの創業者小沼光雄さんの本。時代のニーズを的確に理解し、危機をチャンスに変えながら、急速に
  成長し続ける企業経営者の哲学の紹介。


      

 ●「いいひとをやめれば人生はうまくいく」
  午堂登紀雄さん著。電車の広告を見て、読んでみようかと図書館で借りました。まあ無駄な本。何の役にも立ちません。人を
  気遣ったり、人に好かれたり、そんことやめて好きなことやって、言いたいことを言えば、自分の能力が発揮されて、周囲か
  らも実力を認められて、一目おかれて人生うまくいく。・・・そんなはずないでしょ。人は自分の価値観や行動を中々変えら
  れないということに気づいていないか、置き忘れた方が書いた本です。そうすれば、いいひとがやめられるのか?・・・その
  辺りが薄い薄い。無理っしょ。



            

 国際政治とインテリジェンスの第一人者佐藤優さんの本。自己啓発のジャンルに入れるの変かもしれないけど、
 色々読んだ中で自己啓発にもなるものは取りあえず、ご紹介します。


 ●「人に強くなる極意」
  世界はびびらせることで成り立っている。時代の変化の中で生き延びていく為に、怒らない、びびらない。飾らない。侮らな
  い。断わらない。お金に振り回されない。あきらめない。先送りしない。という8つのテーマで解説。自分は何にびびってい
  るのかを知る。自分を大きく見せたいという意識が利用させる。シンプルさを追求すると人間関係も楽になる。事務作業のイ
  ージーミスほど致命的。借金の仕方ひとつで人生を棒に振る。佐藤氏ならではの知見が面白い。

 ●「ずるさのすすめ いまを生き抜く極意」
  大切なのはいかに負けるか。生き残る人の上手な逃げ方。・・人と比べない。問題から目をそむけない。酒に飲まれない。失
  言しない。恩をあだで返さない。嫌われることを恐れない。約束を超えた信頼関係を築く。人を見た眼で判断しない。などな
  どこれも元外交官佐藤氏ならではのすごみのある解説が読めます。

 ●「日本でテロが起きる日」
  佐藤優さん著。昨今の世界的なテロ多発は決して他人事ではない。その背景、日本が狙われないわけがない事情の解説。何で
  我々は他人事のようにニュースを見ているのでしょうね。ちょっと怖いですよ。人が多い所にいくのに身構えちゃいます。

 ●「知性とは何か」
  佐藤優さん著。日本には反知性主義が蔓延している。実証性や客観性を軽視する反知性主義は自分が欲する方向で世界を理解
  しようとする。つまり、元々何が正しいかどうかが解りづらい国内情勢、世界情勢の中で、我が国んもはじめ指導者たちは、
  政治力、時には武力を背景に自分がやりたいようにやりはじめている。沖縄問題に対する阿部政権に対する警鐘です。

 ●「新軍事学入門」
  小峰隆生さん編集。小峯さんがインタビューで飯柴智亮, 佐藤優, 内山進, 北村淳, 佐藤正久ら名だたる方々に世界の軍事事
  情に関する教えを請う形式で、日本の置かれた状況を明らかにしていく書。読むと夢も希望もなくなりますが、日本の置かれ
  た政治、国民性などの制約の中で出来ることは何かと教えてくれています。佐藤優さんお勧めの本。

 ●「グローバルジハード」
  松本義弘さん著。これも佐藤優さんが解りやすいとして勧める書。世界情勢把握の為の鍵となるイスラム過激派の動向を知る
  為の書。アルカイダは本部が倒産しても活動が継続されるフランチャイズのようなもの。組織ではなくグローバルな反乱。身
  の回りの者が感化されることが危険。今後の世界的なテロ活動がどうなるかが予測できる本。日本人にとっても他人事ではあ
  りませんよ。

 ●「地政学で考える日本の未来 ― 中国の派遣戦略に立ち向かう」
  櫻井よしこさんが、虎視眈々と領土拡大を狙う中国の企みを解説します。そもそもルールや正義を重んじる日本人は、裏切り
  や嘘・ねつ造を賢い知恵と考える中国人の怖さを全く理解出来ていないと櫻井さんは考えています。
  チベットそしてウイグルを自国領と主張して、援助、解放と嘘をつき、結果乗っ取ってしまい、チベット人、ウイグル人の人
  権はおろか、言葉も生活も、そして命までもを奪った中国の次なる野望は、台湾を、南シナ海を、尖閣諸島を、そして沖縄ま
  でもを奪うことであると。また中国は尖閣に資源があるからという理由だけで狙っているのでは決してありません。中国はし
  っかり計画を立て、長い時間をかけて大きな野望を実行しつつあるのです。地政学から考えると、南シナ海、尖閣(東シナ海)
  を押えることは台湾を封じ込めるとともに、小笠原、サイパン、グアム、パラオ、ニューギニアとつながるいわゆる第2列島
  線に進出し、太平洋に勢力を伸ばす礎となります。それに対して日本政府は一体何をやっているのか。この本を読むと、日本
  の将来は極めて暗澹たるものだと確信します。国際情勢に不安があるとか、心配だというレベルなどではないのです。普段、
  朝日新聞を国賊と非難している櫻井さんは、沖縄地元紙が「沖縄県民は日本は友人だが、中国は親戚と考えている。また75
  %の沖縄県民が日本からの独立を望んでいる。」と偏向的な報道を行い、民意を曲げて伝えていることを非難し、中国大使で
  あった丹羽氏が大使時代に日本は中国の属国となっても良いという意味合いの発言(※やくみつるも同様の発言をしています)
  をしたこと、そしてそんな人物に中国外交を委ねるようなレベルの政府であることに大きな危機感を持っています。
  我々はどうすればいいのかと切実に考えさせられる本です。





 
●サピエンス全史−文明の構造と人類の幸福−
  著者ユヴァル・ノア・ハラリはイスラエル・ヘブライ大学歴史学教授です。かつて流行ったような人類の創成期の謎を遺構や
  神話を元に解き明かそうとした類の結果として想像の域を出ない書物とは一線を画します。もちろん人類が登場した250万
  年前から数千年前くらいまでの話は想像の域を出ることはないのですが、可能な限り学術的な検証を踏まえた記述となってい
  ます。また、この本を読み進めながら思ったことは「前評判とは全く違い、読み応えがあり手ごわい書物」です。
  「我々、ホモサピエンスは神話や宗教という架空のものを信じる能力によって結集し、ネアンデルタール人など他の人類を滅
  ぼして地球上唯一の人類となった。」まあそんな太古の話が面白く書かれているのだろうと思っていたのですが、実のところ
  タイトル通り、我々ホモサピエンスの現代までに至る「全史」が書かれているのです。
  そもそも、この本の存在は知っていましたが、じゃあ大枚4000円以上払って読もうかと思った切掛けは、コンピュータの
  能力が人類を超えるというシンギュラリティの話で著名な神戸大の松田卓也教授の講演を聞いた際、認知革命(7万年前)、農
  業革命(1万2千年前)、産業革命(2百年前)、シンギュラリティ(2045年)などの話の引き合いに出していたからです。

  では内容のほんの一部をかいつまんでみましょう。人類の登場は250万年前。最後発の人類である我々ホモサピエンスの歴
  史はたった20万年程度に過ぎない。そして3万年前にネアンデルタール人が滅亡、1万3千年前にはホモフローレシエンシ
  スが絶滅し、ホモサピエンスが唯一の人類種となった。そして、7万年前から3万年前の間にホモサピエンスに認知革命が起
  こり、船やランプ、縫い針の発明などの他、伝説や神、宗教という概念もこの頃に初めて現れている。ホモサピエンスは周辺
  世界や自らの社会内の大量の情報を伝える能力、部族の精霊など現実には存在しないものを信じ、伝える能力、そして大人数
  の見知らぬ者同士がまとまりを持ち複雑な行動をすることを可能とし、4万5千年前にオーストラリア大陸、3万5千年前に
  日本、地球温暖化で氷が解けた1万2千年前にアメリカ大陸へと広がり続け、他の人類種を滅ぼしてしまった。
  まあ、ここまではこの本の前評判から想像できる内容でした。

  しかし、何せ全史なもので、話はより複雑で多岐にわたっています。ご存知の通り、今では地球上の人類は1つの種、我々ホ
  モサピエンスしかいませんが、必ずしもホモサピエンスはそれ以前の人類の進化系ではなく、最も遅く表れたホモサピエンス
  と他の人類は混雑して暮らしていたが、結局は他の人類種は淘汰され絶滅した。混雑の名残として、現代のホモサピエンスに
  はネアンデルタール人のDNAが7%程度含まれているそうです。へえ〜そうなんだ。
  狩猟採集民の頃のホモサピエンスは、、食糧をもとめて活動範囲を広げながら、他の人類種を滅ぼしただけでなく、大型動物
  をも瞬く間に滅ぼしてしまいました。認知革命の頃、地球には体重が50Kg以上の大型地上哺乳類が200属程度いたのに、
  農業革命の頃には100属に減ってしまったそうです。  
  おそらくは突然変異が原因で起きた認知革命。コミュニケーションにより集団を動かすのは150人が限界とされているらし
  いですが、それ以上の顔も知らない他人を結集させる為に、神話や宗教という架空のものを信じ、行動のよりどころにするこ
  とが出来るようになったのです。時がたって生み出された国家や有限責任会社、貨幣、保険なども同じくホモサピエンスの認
  知革命が生み出した架空の存在です。
  狩猟採集民の時代、食物は一般的に不足しており、食べ物を探して歩きまわる生活をしていました。甘いイチジクの木の実な
  どカロリーの高い食物を見つけたらその場で食べられるだけ食べるという本能は現代の私たちにも、つい甘いケーキんどを見
  ると食べたくなる大食い遺伝子として刻み込まれています。しかし、現代人のように週40時間も50時間も働かないし、掃
  除や洗濯に手間がかかることもありません。
  1万2000年前頃、農業革命起き、繁栄をもたらしたと言われていますが、農業は大集団を維持するのにはよかったが、史
  上最大の詐欺だったとも言われます。ホモサピエンスが世界中に広がった小麦や稲、イモを栽培化したのではなく、逆にホモ
  サピエンスがそれらに家畜化され、小麦の世話に来る日も来る日も勤しみ、家畜由来の感染症、農耕向けの体ではなかったた
  めヘルニアや関節炎にも。農業は病気や苦難、そして搾取をもたらしました。ホモサピエンスの協力のネットワークが強大と
  なった王朝や帝国の時代には平等主義に基づくことなどありませんでした。奴隷。白人と黒人や先住民。男性と女性。ヒンズ
  ー教のカースト。そんなヒエラルキーが最近まであったのです。
  それ以前の狩猟採集生活のほうが生活に余裕があり幸せだったのかもしれません。より楽な暮らしを求めたら、大きな苦難を
  呼び込んでしまったということです。
  サピエンス全史は、王国の時代、宗教による支配、500年前の科学革命、資本主義、コロンブスに代表される大航海時代以
  降、コルテスや東インド会社などによる他民族の征服、搾取・殺戮。200年前の産業革命、帝国主義、社会主義、現代の平
  和、サイボーグ化による人類の未来、新たな生命体などと実のところ未来についてまで語ってくれています。
  読み応えありすぎです。

  大方こんな内容ですが、もう少し詳しく知りたい方は、以下の要約もお読みください。

  ***********
  ホモサピエンスは他の種の人類を絶滅させただけでなく、行く先々で多くの動植物をも絶滅させてきました。またコロンブス
  に代表される大航海時代以降には、他民族の搾取・殺戮を繰り返してきたのです。特に産業革命後、国ではなく、信用経済に
  よる資金を集めた東インド会社などの民間企業が軍隊を持ち世の中のことを知らない人々を征服し、搾取してきたのです。

  普遍的で宣教を行う宗教が現れたのは紀元前1000年紀。最初の一神教として知られているのは紀元前1350年にエジプ
  トのアテン崇拝は他の神々の崇拝を阻止しようとしましたが、ファラオの死後、色々な神を信じる考え方が復活しました。
  イエスが始めたユダヤ教の小さな宗派であったキリスト教は西暦500年頃にはローマ帝国の国教となり、せっせと宣教活動
  が行われ、今では誰もが知るところとなっています。
  一神教とは縁を切った人間至上主義として有名なものとしてナチスがあります。今日では科学的に誤りとされている白人やア
  ーリア人がすぐれた人種だという考えは1933年の科学知識からすれば常軌を逸しているとは言えなかったのです。ナチス
  の最大の野望は人類を退化から守り斬新的進化を促すことであり、退化したホモサピエンスは隔離され殲滅しなければならな
  いと主張したのです。ナチスは1945年に滅びましたが、白人至上主義そのものはアメリカでは1960年代まで、オース
  トラリアでも1973年まで続きました。

  この500年に人類は驚くべき科学的発展をすると同時に、西暦1500年には5億人程度だったホモサピエンスは70億人
  に達しました。
  1492年コロンブスによる最初のアメリカへの旅から1519年コルテスのメキシコ上陸の間にスペイン人はカリブ海の島
  々を征服し、圧政を敷き、先住民を奴隷として働かせました。アステカ帝国はコルテスの率いたたった550人のスペイン人
  に征服されてしまったのです。10年後、ピサロはわずか168人でインカ帝国を征服しました。アステカもインカも無知で
  支配地域以外への興味を持たず。自国のみが唯一の帝国であり、世界の全てだと信じていたため、庭先で起きていることを全
  く知らず、科学の進んだヨーロッパ勢力が侵略してくることなど予想もしなかったのです。
  同じように、オスマン帝国、サファヴィー帝国、ムガル帝国、中国などアジアの大帝国はヨーロッパ人が発見したあらたな土
  地には関心を示すことはありませんでした。

  しかし、ヨーロッパ人は世界への興味を持っていました。1768年ジェイムズ・クック船長は金星の位置を測定することで
  太陽と地球の距離を割り出すという使命を持ってイングランドを出発しタヒチへ向かいました。この船にはいくつもの科学分
  野の科学者が乗船し、オーストラリアやニュージーランドの膨大なデータを持ち帰りましたが、クックはオーストラリアなど
  自分が発見した陸地や島々をイギリス領として宣言し、それは新たな植民地開発と先住民の文化の根絶と殺戮の出発点となっ
  たのです。

  過去500年間に人々は進歩という考え方により、今より良くなる将来に信頼を寄せることが出来るようになりました。この
  信頼が信用(クレジット)という考え方を生み出したのです。この信用に基づく経済活動で私たちは将来のお金で現在を築く
  ことができるようになりました。

  グローバルなパイは拡大するに違いないという考え方は、後にアダムスミスの国富論(1776年)を生み、利益を生産に再
  投資することが経済の成長につながるという考えを普及させ、資本主義を生み出しました。資本主義は今や経済学説を超える
  存在となり、一つの倫理体系となっています。

  国王や銀行家はコロンブスのような探検隊への投資を厭いませんでしたが、こうした探検隊は必ずしも成功するとは言えず、
  不確実なものでした。そこで、大勢の投資家から資金を集め、自己資本のほんの一部を危険にさらすだけのリスクで、うまく
  いけば大金がころがり込むという有限責任の株式会社という考え方が生まれたのです。この制度はどの王国、帝国よりも効率
  的に探検や制服の資金を調達しました。

  1568年ヨーロッパ一の強国であり世界各地に植民地を持つ帝国であったスペインの片隅にある属領であったオランダはス
  ペインに反乱を起こしましたが、投資先としての信用を大事にしたオランダは豊富な資金を集め、結果スペインに取って代わ
  りました。信用(クレジット)という考え方が王国、帝国の権威に勝ったのです。それはオランダ政府が行ったことではなく、
  たとえば1602年設立のオランダ東インド会社(VOC)のような株式会社が行ったのです。VOCはアジアと貿易を行い、
  武力によりインドネシアを征服し、200年近く支配しました。
  その間、オランダ西インド会社(WIC)はアメリカ大陸に進出しましたが、1664年にはイギリスに植民地を奪われまし
  た。アメリカに大英帝国の植民地を建設したのも同じく株式会社です。そしてイギリス東インド会社は武力によりインドを植
  民地化したのです。
  インドネシアの支配がオランダ政府移ったのは1800年。インドの支配がイギリス政府に移ったのは1858年になってか
  らのことです。

  16〜19世紀に1千万人のアフリカ人が奴隷としてアメリカに連れて来られて惨めな暮らしを強いられましたが、それは営
  利事業としてヨーロッパ人が莫大な利益を甘受するために行われました。資本主義はその強欲さから膨大な人間を死に至らし
  めました。19世紀になっても資本主義の倫理観は改善せず、ベルギーによって搾取された今後のプランテーションではノル
  マに達しないものは腕を切り落とされるという罰を受けたそうです。1885年から1908年に600万人のコンゴ人の命
  が失われています。

  2014年現在の経済のパイは1500年前よりはるかに大きいですが、アフリカの農民やインドネシアの労働者が身を粉に
  して働いて手にする食料は500年前の祖先より少ない状態。近代経済の成長も大がかりな詐偽といえるようです。

  熱を動きに変換するという大躍進は9世紀の中国での火薬の発明の後に起こりました。中国の錬金術師による火薬の発明から
  コンスタンティノープルの城壁を破壊する大砲の発明には600年、さらに熱を使って動く機械の発明には300年を要しま
  した。1700年頃のイギリスの炭鉱で蒸気機関は水汲みポンプとして使われだして、さらに蒸気機関は織物工場で使われ、
  1825年には炭鉱用の蒸気機関車が生まれたのを皮切りにイギリス中に広がりました。産業革命の始まりです。

  産業革命により人類の生産性は爆発的に向上し、産業革命は農業への機械の導入による生産性向上という第2次農業革命をも
  もたらしました。

  現代の我々から見れば、科学革命や産業革命、資本主義は一見、我々ホモサピエンスの暮らしを豊かにしたように思えますが、
  それは被支配民となった人々や産業化され自由や命を奪われた動物の犠牲のもとに成り立っています。では我々は平和な暮ら
  しを手に入れたといえるのでしょうか。現代でも暴力や戦争・テロによる死者は多いですが、交通事故や自殺による死者のほ
  うが遥かに多いのが事実です。ヨーロッパの諸帝国の崩壊・撤退により、国家間の武力紛争はかつてないほど減少し、皆無で
  はないものの征服・併合を目的とした多国への侵略は限定的になり、人類の弱肉強食の掟は覆されたのです。これほどまでに
  平和が広まった時代はなかったとは言えるでしょう。グローバル化によりどの国も単独では経済が成り立たず、国として成立
  しなくなったからです。

  生命の法則は変わりつつあります。遺伝子工学を使った生物(動物・植物・菌類)の操作、サイボーグ工学、自己増殖するコ
  ンピューターウイルスさえ生物と言えるのかもしれません。ホモサピエンスが新たな道に踏み出しつつあるのは確かです。

  以上、「サピエンス全史」の要約です。