Skill01 自分ブランド
パーソナルブランド そんな言葉を巷で耳にするようになりました。自分の能力をきちっと見極め、自分の価値をブ
ランドとして売り込んでいく、だいたいは、そんな意味合いです。
売り込むかどうかは別として、自分の能力を見直すのは良いことでしょう。自分自身をブランド化することについて
考えてみます。題して、自分ブランド。
■ ブランドって何でしょう?
「ブランド、好きよ、安ければ」 バスで見つけたアウトレットモールの吊広告です。ファッションに限って言えば、ブランド
には高く手に入りにくいイメージがあります。
また、企業によっては、会社のブランド化を考え、
「品質に裏付けられ、顧客が永く大事にしていけるもの。その価値観を顧客の目線で提供すること」と明確に定義
している企業もあります。
品質や信用を通して満足感を相手に与えるもの、かつ、誰にでも手に入れられるものではない それがブランドの
ようです。
しかし、ハーレーダビッドソン。バイクですが、決して品質は良くない、会社が倒産しかけたこともある。
でも誰がどうみてもブランドです。量産できない一種の文化、もしくは価値観の提供。ブランドにはそんな側面もあ
るようです。
いろいろ考えると、ブランドと言われるものの共通点が3つ浮かびました。
@ 際立っている(≒ 他と差別化できる特定分野での能力)
A 一貫している(≒ 明確な価値観、頑固一徹)
B 手抜きがない(≒ 正しいもの、適切な行動、誠実)
■ 人に認められたい?
大抵の人は、周囲の人に存在を認められたい、仲間でいたいと思っている。これはヒトという生き物の習性のよ
うです。でも、何かの能力が突出した人以外は、 上司、部下、同僚、友人、その他周囲の方々が自分の能力を
十分には認めてくれていないと思っているのではないでしょうか。
自分には能力がある。それにこんなに頑張ってるのに適切な評価を受けていない。ほとんどの方はそう思うこと
が一度や二度ではないでしょう。
でも、大事なことを忘れてはいけません。 顧客の目線です。ブランドという観点で考えるなら、相手がどう思うか
が全てです。能力があるだけでなく、相手が期待する成果を示す。 しかも一度だけでなく、必要なときにはいつ
でも成果を上げられることを証明して初めて、特別な人間としての存在意義を認められるのです。
人がどう思うかなんて関係ない。私もそれに1票。 ここで言うブランドは所詮レッテルです。コーチングではレッ
テルを剥がすことを奨励しています。
いっぱしのブランドを築いてきた方々も、きっと、人の目を気にしたのではなく、やりたいことを頑固一徹にやって
きただけでしょう。
でも、レッテルを逆手にとって、素晴らしいレッテルを貼らせる。それも嘘偽りのない中身のあるレッテル。
セルフコーチングとしては面白い気がします。お客様(自分以外)がどう思うかは、これからの世の中では重要で
すよ。
■ STEP1 自分の履歴書
人は、個性を持っている。その意味で、すべての人間はブランドになれる可能性を持っています。でも周囲はブ
ランドと思ってくれるでしょうか。
自他ともにブランドと認められるための第1歩は、自分の才能を確認することです。
下記項目を自分の履歴書として書き出してみましょう。
@ 特技と言えるものがあるか、それは実務にどう役立つか。
A どんな能力があるか、その能力はいつでも発揮できるか。突出してるか。
B 過去にどんな成功をしたか、今も同じことが出来るか。
C 過去にどんな失敗をしたか、2度と繰り返さないか、何を学んだか。
D どんな資格があるか、資格に見合う実力を維持しているか。
E どんな業務を経験したことがあるか、今もその経験が活かされてるか。
F どんな長所があるか、その長所をもっと伸ばし、効果的に活用できるか。
G どんな短所があるか、その短所は封印できるか。逆に武器に出来ないか。
H 自己満足ではないか、あなたの長所・特技は相手にはどう見えるか。
できる限り箇条書きに書き出してリスト化して下さい。
書き留めることは、現状認識の最も効果的な方法です。まずはペンを握ってメモって下さい。
■ STEP2 強みを引出す
どうですか、あなたには、売り物にできる、魅力がありましたか。たいしたものは無い。それでも十分です。
STEP1の履歴書(リスト)を見直して下さい。失敗だって、短所だって、きちっと自覚して再発防止が出来れば、
2度と同じ失敗をしないことが、すでにあなたの強みなのです。
自信を持つこと、もうそれで自分ブランドへの第1歩が踏み出せています。得意だと思うことは徹底的に、磨きま
しょう。
そして、どういう状況、条件のもとで、その能力が効果的に発揮できるのか、再確認し、先ほどの履歴書に加筆
しておきましょう。
言いましたよね。能力は、発揮できて初めて認められるのです。
■ STEP3 自分ブランドを作る
どうやら、自分ブランドの土台は
@際立ち(能力) A一貫性(スタンダード) B誠実さ(スタイル)
の3要素を固めることで作れそうです。
@ 仕事における自分の強みに徹底的に磨きをかける。
A 自分の価値観、ものごとの判断基準を明確にし、それに基づいた一貫した態度(スタンダード)を常に保つこと、
つまり行動の軸をもつこと。
サッカー中田選手の言葉がわかりやすいです。
軸 = 『迷ったら帰るべき場所、原点となるルール』です。
B 陰日なた無く、正しいこと、公平なことに徹する。
つまり、研鑚進歩、言動一致、正道・信義 ほとんど社是です。
では、自分のいろいろな長所・特技のどこに磨きをかければいいのでしょう?
まずは、あなたが、自分ブランドを作る目的は何か? 考えてみて下さい。
仕事で認められること。尊敬されること。仕事にやりがいを見出すこと。
何でも結構ですが、自分自身の答えがあるはずです。その目的を果たすのに最も近道となる能力に磨きをか
けてみましょう。
★★ 会社のブランドと個人のブランドが一致する ★★
磨きをかけた自分ブランドと企業としてのブランドの方向性が一致する。とても良いことです。活躍の場が与え
られるかも知れません。両者が一致しない場合、個人ブランドは尖(とが)ってるとか、エッジ(極端)とかで片付
けられかねません。
「君は時代より先を行っている。」 そう言われては身もフタもない。
そんな専門性も付加価値も相手に認められなければブランドとは言えません。
メッキではない本物の価値。あなたも探してみて下さい。
■ STEP4 弱点を克服する
短所、弱点のない人はいないでしょう。弱点は放って置いて、得意な部分を伸ばしていくことに集中する、それ
も一つの手です。でも、短所や弱点を表に現さないようコントロールできるなら、さらには武器に変えることがで
きたなら鬼に金棒です。
自分自身にとっては、気づいていないこと、ささいなことでも、周囲の人にとってはその人を判断する決定的な
要因となる、短所とはそんなものです。つまり問題なのは、自分ではどこが短所かわからないことです。
周囲の人に聞く。それは難しいでしょう。日頃、同僚や部下とそこまで本音で語れる関係を築いていますか。
コーチングには良い手があります。
意見や感想は挟まず、事実として現れた行動とその影響のみを指摘します。
例えば、あなたの部下が自己主張が強く、周囲と協調できない場合。
「今の言い方だと、単に攻撃しているように聞こえるぞ。」とか
「彼らの言い分も聞かないと僕には問題の背景が十分わからないな。彼らも納得してるようには見えないよ。」
とか
相手に忠告を受入れる素地がある場合を除き、「君は自己主張が強い。それじゃダメだ。」などと性格を非難し
ても改善には至りません。行動は矯正できても、性格は直せない。本人だってそう思ってます。
部下ではなく、あなた自身の弱点はどうすれば分かるのか。 セルフコーチングとしては難しい領域です。
あなたの上司が良きコーチであることに期待しましょう。
弱点を教えてくれるような真の友人を仕事の場でも作ること。 必要ですね。
■ STEP1 自分の失敗のせいでお客様が怒っている
理由は何であれ誠実にあやまるのが基本です。
まずは、お客様の怒りは全て自分にぶつけていただきます。 ただし、相手の言葉に納得してないような顔を
して一本調子の相槌だけでは、誠意も関心も無いように受け取られます。
「お怒りはもっともでございます。」 「おっしゃる通りです。」と同意する言葉をはさみながら耳を傾けましょう。
次に、お客様が落ち着きを取り戻すのを待って、失敗の内容を再確認し、あらためて非を認めます。
「本当にもうしわけございません。○○を失念しておりました。多大なご迷惑をおかけしお詫びの言葉もござい
ません。」
最後は、お客様の納得する、筋の通った方法で事態を収拾し、お客様が満足することを心がけます。
書いてみると、当たり前のことばかりなのですが、自分が発注側の立場だったときに、失敗をした相手つまり受
注側がどういう態度だったかを思い出してください。誠実に謝ってくれた上に、こちらが納得する対応をしてくれ
たでしょうか。
私自身はそういう記憶はほとんどありません。
経験からすると、失敗をした取引先は、
すぐには、自分の否を認めない。 あきらかに自分の側に否があるとわかると、たいていの場合、言い訳に終
始する。だいたいはそんな感じです。
催促でもしない限り一番大事な部分、謝ること、対策を提示することはまずありません。後ろ向きな状態です。
だからこそきちっとした対応をするのです。それがクレームを信頼に変える第1歩なのですから。
■ STEP2 部下の失敗のせいでお客様が怒っている
部下の失敗は上司の責任。部外や社外へあなたが表明する態度は明確にしましょう。
そして重要なこと。お客様からひどく言われてあなたが傷ついても、同じ仕打ちを部下にしてはいけません。
人にされていやなことを人にしない。上司と部下の関係でも同じです。あなたも怒っているなら、冷静になれる
のを待ってから、部下と失敗の原因、対策をきちんと話合いましょう。
仮に、部下に失望した部分があったとしても、十分目が行き届かなかったことと、部下の能力をよく把握してい
なかった責任は上司にあります。 仕事の失敗は仕事で返してもらう。いいじゃないですかそれで。
部下の失敗は部下の成長につなげる。そう思えば、客先に怒られることも極めて前向きで意味のある行為に
思えてきませんか。
(もちろん、部下も前向きであることが前提ですが。)
■ STEP3 お客様との約束を守れないことが判明した。
これには色々なケースがあります。
約束した納品に生産が間に合わない。約束した金額が社内で否決された。等々。
しかし、できないものはできない。まず、約束の内容を正確に確認しましょう。
書面で約束したのか。 約束を守れない可能性を明確に伝えて納得してもらっていたのか。
怒られれば済むことなのか、違約金を払うのかがビジネスとしては重要でありますが、これは契約や経営的
判断によるので、ここでは触れません。
信頼という点では、自分がどう思ったかではなく相手がどう受止めたのかが重要であり、それはコーチングの
基本です。口頭で安請け合いした場合でも、相手が確実にOKだと解釈してしまったのなら、書面での約束し
たのと同じです。
お客様の損害を最低限に抑える為、出せる情報は可能な限り、しかも迅速に提供し、誠意を尽くします。
これは、STEP1 と同じです。
また、埋め合わせをするためにできる提案を用意する等、会社としてGOサインが出れば出来ることは検討して
おくことも必要でしょう。
どれだけ親身に相手の立場、気持ちになって考えられるかが、その後の相手との関係を決定します。
■ STEP4 譲歩しなければ他社と取引すると迫られた
例えば、無理な値引き要求。おどしか本音かは別として、クレームの域ではありません。
ここでも受けるか断るかは経営判断なので、割愛しますが、誠意を持って、可能な妥協案、優遇策を模索す
る姿勢は必要です。その上で、不調であればどうするかです。
合意できなくても、決してケンカせず。友好的な関係を残したまま取引を解消します。相手が乗り換えた先に
失望することだってあるし、将来取引が復活することだって十分有り得ます。
もう顔を見たくない。相手の担当者にそう思ったとしても。いつかまたお取引きしたいですね。と言って紳士的
に別れたいものです。信頼だけは残しましょう。
■ STEP5 お客様のクレームが正当でない
例えば、お客様自身の発注漏れや当社への伝え忘れ。
正当なクレームの場合と同じく、誠意ある対応をすること、相手の立場、気持ちを考えることは同じです。
「それはお困りでしょう。」
「協力できることはさせていただきます。」
でも、最初からない存在しない非は絶対に認めてはいけません。存在しない非を認めることは、信頼を得
ることにはつながりません。
あなたが悪くないことを悪かったことにすれば、これからも同じことが続くでしょう。また、関係した部下のプ
ライドは確実に傷つきます。
問題の原因が相手にあることを説明する場合、「ミス」という言葉や、「○○していただければ良かったので
すがミス」と言って相手が愚かであるような表現はしてはいけません。
「普通はこうです。」 「何度も申し上げたように・・」 という言い方も相手が悪い、理解してくれないと決め付
けているようで感情を逆なでします。
要は相手の感情の逃げ道を残すことが肝心なのです。
■ STEP6 社内のクレーム
取引先からのクレームを前提に話をしてきましたが、社内のクレームでも、考え方は全く同じです。
今まで説明したことの基本を再確認しましょう。
・不快な思いをさせた不手際はきちんとわびる。
・相手の言い分はしっかり聞く。ただし、相手のペースに巻き込まれず、相手の訴えの中身に冷静に耳を
傾ける。
・相手の気持ちになって考える。協力できることは協力する。
・具体的な解決策を提案する。
・曖昧な表現はしない。 ×「たぶん」 ×「一応」
・非がないことの非を認めない。それでも相手の困っている部分を理解する。
・早急な対応、今後に繋がる対応を意思表示する。
「さっそく調べてご報告します」 「今後十分注意致します」
もちろん信頼が必要ないなら、こんなことをする必要はないですが、信頼関係があれば、相手が自分を
助けてくれることもあるでしょう。信頼は、人間関係の基本です。お客様との関係でも、下請けとの関係で
も同じです。もちろん上司と部下の間も。
Skill03 やりたいことをやってみよう
「答えは部下自信が持っている」 こんなフレーズが過去何度か出てまいりましが、今回は「自分」に焦点を
あて、自分の中にある答えを引出し、自分のゴールをどう達成していくかについて探っていきます。
誰でも、確信的にやってみたいことについては、それが資格取得であれ、旅行であれ車の購入であれ、費
用や方法に関してホームページで調べてみたり、資料を取寄せて見比べてみたりして、かなり積極的に行
動すると思います。
でも、おぼろげにやりたいとは思うことではあっても、どうしても取りかかれないこと。夢だとはなからあきら
めてしまっていることは有りませんか。
単純に考えれば、やれない理由を見つけて、潰していけば、実現につながるはずです。
でも、どうしても取り除けない障害はいくつもあります。そこで納得してしまえば、夢は夢で終わります。
それでは、10のクエスション。自分に聞いてみてください。
1st Question やりたいことって何? それ、本当にやりたいの?
@仕事でも遊びでも、ほとんどあきらめていることを思い浮かべて下さい。
A人は言葉に出したり紙に書いたりすることで、おぼろげに思っていることをしっかり認識できます。思い
浮かべたことを全て紙に書いてみて下さい。
B自分があきらめている(もしくは取り掛かれない)リストをじっくり見て下さい。本当にやりたいことはあり
ますか。どの位やってみたいですか。
一番やりたいと思ったことにターゲットを絞りましょう。
2nd Question それがやれた状態ってどういう状態? 具体的には?
Q2、Q3は、何をどんなレベルまで実現したいのか出来るだけ掘り下げて、自分のやりたいことを具体化
し、イメージとして明確にするステップです。
例えば、Q1 の答えが『英会話を習いたい』であれば、
@自分にとって『英会話を習いたい』が実現した状態ってどんな状態か、具体的に思い浮かべてください。
→ 英会話教室に通っている状態
A英会話教室に行くことが最終目標?
ちがうでしょ、本当にやりたいことは何?
というように、やりたいことをさらに具体化してください。
→ 外国人と英語で日常会話ができる状態
Bもっともっと具体化
→ 具体的などこかの国の街角で、あなたが現地の方と流暢に会話している状態を、街の様子や会話
の相手が具体的映像として、色や、流れている音楽、場合によっては日差しの暖かさや、街の匂い
まで思い浮かぶようなイメージとなるまで具体化し、脳裏に焼き付けて下さい。
※ビジネスの舞台がターゲットでも、全く同じです。徹底的に具体化してください。
3th Question それが出来たら何が楽しいの。
どんな気持ち?
@Q2の『どこかの国で、具体的な誰かと話している』イメージを思い浮かべ 自分はその時何が楽しい
か、何に満足しているのかを考えて下さい。
A海外を肌で感じる、現地に溶け込む、人との交流、楽しい時間、何でも結構です。今のあなたの生活
にはない、出 来るだけ新鮮で、具体的な満足、喜びを考えて下さい。
Bその満足・喜び も Q2でのイメージとともにいつでも思い出せるように何度も何度も想像してみて下さ
い。
4th Question 何でいままでやらなかったの? 障害は何?
@そんなに満足できることなら、今までやらなかったのは何故なのか?
実行に移せなかった自分の状況、気持を分析してみて下さい。
【物理的な障害】
● 余裕がない
・時間に余裕がない
・金銭的に余裕がない
・具体的に考える余裕がない(時間、心の余裕)
● 具体的な障害がある
・何かが犠牲になる(仕事、家族)
【心の中の障害】
● もう一歩踏み出せない
・何かおっくう
・今のままでも満足、居心地がいい
・うまくいくわけない
・一人でやるのはちょっと気恥ずかしい
A障害を乗越えるためヒント (でも、答えは自分の中にありますよ)
仕事、時間 → ・本当にやりたいことに使う時間を明確にする、でも、本来の仕事はきちんとやるため
にスケジュール管理する
心 → ・うまくいっている自分を想像する
・求めている結果のイメージを常に思い出し、ゴールに向かって一歩ずつ前進する
・信頼できる友人、アドバイスをもらえる人に話す
・自分に宣言する、家族に宣言する
・満足するのを遅らせる
全般 → ・やりたいことを、自分の成長・キャリアアップと結びつけて、そのための時間、その
ための投資と考える
やりたいこと = 将来のため、今やるべきことです
5th Question 具体的な手順は? 考えてみよう
●イメージするゴールを起点に、何をすればゴールに到達できるか逆戻りしながら考えてみましょう。
QCでいう系統図法です。
(例えば)
英会話を流暢にしゃべれるようになる
← 外人の友人を作り会話する ← ○○に紹介してもらう
← 英会話夜間教室に6ヶ月間通う ← 週2日、夜の時間を確保する ← 毎朝1時間早出
← 資金確保
●できるだけ具体的に、手順(方策)を考えてみて下さい。
6th Question 自分でできることは何? 人に頼むことは何? 整理してみよう
@特に、仕事に関してやりたいことを実現するなら、自分の力だけではできないことは多いはずです。
やりたいことの実現に、どんな人脈、情報、道具等のリソースが必要となるのか、再確認してみて下
さい。
A人に頼むことも、きちんと紙に書き出してリスト化することで、明確に認識できます。
7th Question 頼める人は誰? 道具はどこにある?
Q6で書き出した項目は、手に入るでしょうか。一つづつ確実につぶしていって下さい。
●リソースは色々な形であります。
自分自身の過去の成功体験や、社内の成功している者の実例から、うまくいったプロセスを引出す
こともできます。
●自分の仕事や夢に人を巻き込んで戦力とする為には、相手にも同じゴールをイメージしてもらうの
が理想です。
それが無理でも、自分がゴールを達成したいという熱意を理解してもらうことは最低限必要です。
8th Question 何か他に方法はあるの?
ゴールに到達するための方法が思いつかない場合もあるかも知れません。
●イメージするゴールが 仮に『どこかの国の街角で、現地の方と流暢に会話すること』であれば、
それを達成するプロセスは、英会話教室に行くことだけではないはずです。 他の手段についても
考えてみて下さい。
●仕事の場合も同じです、できるだけ視点を変えて、ゴールへ到達する方法を考えてみて下さい。
●同じ効果がある別なゴールを目指すことも可能かもしれません。
9th Question いつまでに何をするの?
●だいたい、ゴールまでの道筋が見えてきたら、次は、どのステップを何時までに達成するか、タイ
ムリミットを決めます。
●実際に活動を開始したら、スケジュール通り進捗しているか、逐次確認して下さい。
●思い通りに進まない場合でも、ゴールのイメージを思い出しながら、1歩ずつ前に進みましょう。
Last Question どこまでできたかな?
●1週間後の自分、1ヶ月後の自分、3ヵ月後の自分が今日現在の自分と比べて、どれくらい前進し
たか(成長したか)を確認しながら、やりたいことを進めてください。
●一歩一歩が楽しみになる。ゴールに到達すればもっと楽しいことが待っている。だってやりたいを
やるに変えたのですから。
どうですか、想いは実現しそうですか。
書いていて今更ながら思ったのですが、コーチングは、理論の部分に頼っている部分がかなり多い
ですね。
きっとプロのコーチは、自然な話術の中で、相手にそれを納得させたり、勇気付けたりして実行させ
ている。
理屈は理屈だよと反論する相手なら、前には進みにくいですね。
「何かを強制するわけじゃないよ。ただ会話をしたいだけだよ。」
・・・そんなおおらかさと包容力が上司には必要なのかも知れませんね。
Skill04 会議やめますか、やりますか
以前、時間の効率的利用を解説する中で、会議を効率化する要点を幾つか上げましたが、今回はもっ
と会議の中身、運営に突っ込んで、会議の必要性を考えてみたいと思います。
■ 会議やりたいですか?
のっけから質問、 あなたは、会議って好きですか?
ほとんどの方は、あまり好きではないと応えるのではないでしょうか。
皆さんのイメージの中の会議は、例えば、時間潰し、忍耐力のテスト、一方的伝達を聞く場、報告をして
否定される場、議論がなかなかまとまらない場 等なのではないですか。
しかも、悪いイメージほど強く残っている。
では2つめの質問。 あなたは、会議をやりたいですか?
もちろん一つめの質問の続きですから、ほとんどの方はNOでしょう。
それでは、3つめの質問。 あなたは、会議が必要だと思いますか?
そもそも、会議が多い会社は、愚鈍な会社 というイメージも強いのでは?
しかし、私はそうは思いません。確かに結論も出ない会議を朝から晩まで年がら年中やっている会社な
らほとんど終わっています。が、意味のある会議を効率的にやっているなら、話は違います。
では、意味のある会議を効率的にやることを考えてみましょう。
■STEP1 会議の目的を明確にする
情報伝達、情報共有、意思決定。会議の目的はいろいろあります。
情報伝達だけが目的なら会議は不要かも知れません。幾らだって手段はあります。もし、トップの意志を
熱意とともに明確に伝える。それが目的なら忙しい中、社員が集まる意味があるかも知れません。朝礼型
会議はそのいい例です。決して議論の場ではありません。
意思決定の場として会議を使うなら、結論を出すことが必要です。そして、限られた時間内に議論を尽くし、
結論を出すなら、効率的に会議を進めることが必要です。
いずれにせよ主催者は、会議の目的を明確にし、目的に沿った出席者を召集し、目的を達成するための
進行、時間割を事前に企画することが必要です。目的が明確で、出席者もそれを理解していれば、議事が
脱線しても、引き戻すのことはたやすいはずです。
段取り8分、よく聞くこの言葉は、まさに会議にぴったりの言葉です。
■STEP2 会議を管理する
会議の目的を阻む敵は何でしょう。目的の不理解からくる横道への脱線。 出席者の準備不足からくる意
見の不出。
例えば、出席者がその場で考えながら意見を言う会議は、議論をしているようではあっても、最も時間を費
やし、本 質ではない議論に会議を導きかねません。
また、特定の出席者同士で、細かな議論をして結論を出さなくては先へ進めない状況にもなりかねません。
どちらもよく見る光景です。下手をすると、会議で出た結論を後になって覆す方もいます。その時は思いつ
かなかったという理由です。つまり準備不足。
★ Work1 会議の目的を事前に通知する
★
目的の不理解があるなら目的を理解してもらいましょう。
1)会議の招集通知には、会議の大筋の目的、決めなくてはならない項目を箇条書きで記載します。会議
の目的は、召集通知のみでなく、当日の冒頭でも明確にします。
2)次に、事前に考え、検討しておく項目を明確に記し、各部門が用意できる回答・選択枝等を準備しても
らいます。
3)特定の部門間での事前調整が必要なら、調整を行っておくよう通知します。会議中に特定の出席者同
士のみの議論に時間を費やすことが防げます。場合によっては、事前の小会議を開催してもいいでし
ょう。
4)根回し
1)〜3)について、単に開催通知に記載するだけでは、十分に意図が伝わらないなら、ある程度の根
回しを行います。根回しを嫌う方もいるでしょうが、メールや紙では伝わらない真意や溝をを、主催者
のあなたの行動で埋める、
それが根回しです。
激しい論争が予想されるなら、想定する結論を複数提示し、それに対する意見、特に、+−のポイン
トを事前に確認したり、当日までに用意してもらうことも可能です。
★ Work2 時間を管理する★
1)本番の会議では、限られた時間をどう使うかを明確にしましょう。
時間割を記載したレジメを配付することも、時には効果的でしょう。
格段に「そろそろ、次の議題に移ります。」や「結論を出しましょう。」 が言い易くなります。
2)人は、幾つものことを説明されても、覚えているのはインパクトのあった1、2点のみです。
発言は要点のみに絞ることを出席者に徹底しましょう。
(資料配付で十分なことも多いのです)
3)当たり前のことですが、長時間の会議は集中力を無くします。会議の内容によっても違いますが、
長くても1〜2時間がいいところでしょう。仮に情報伝達だけで3時間もかかる会議の召集通知が来た
ら、私なら無理に理由を見つけてでも欠席します。
十分な発言ができなければ、議事録をもらえば十分でしょう。違いますか?
4)会議を管理することは、プロジェクトを管理することにも繋がります。
@今回の結論は何か(遅れは何か)
A次の会議はいつか
Bその時までにどんな作業を行い
C何を準備して次の会議に臨むか
会議の終了時に明確に確認することが、プロジェクトの時間(スケジュール)管理にもなります。
■STEP3 会議の後味を考える
意思決定が目的の会議をきちっと終わらせる基準は何か。
@明確な結論を出すこと。これにつきます。
しかし、
A出席者全員が意思決定に参加したと思えれば、会議が更に意味のあるものになります。
全員参加とよく言いますが、社員の意志決定への参加意識を日常の中で醸成するのは難しいことです。
会議の出席
者全員が事前に打合せ内容を理解し、自分の意見を持って会議に望み、議論をし、結論を出す。それさ
えできれば、会議がその役割を果たします。
@、Aが達成できれば会議の後味はかなりいいものになるでしょう。
そのためにも、開催目的の事前通知(Work1の1)、2))は重要なのです。
会議の度に胃が痛くなる。そんな方は世の中に多いようです。会議をいやがる多くの方が口にする理由
は、会議が自分の行動や発言を非難される場になっていること、かつ前向きなアドバイスをもらえる場で
はないことを上げているようです。
そこで、業務の報告会等の会議なら、
Bブレーンストーミングと同じように人の発言を否定しないこと、
Cマイナスをプラスに変えられるようなアドバイスを与えることを会議進行上のルールとすれば、報告者
にとって、その会議は有意義なものとなります。
会議は否定される場ではない。そんな後味も大切です。
■STEP4 会議で意見を述べるには
出席者の立場で考えてみましょう。出席者として会議を意味あるものにするには、前述の通り、議題に関
して明確な意見、場合によっては部門を代表する意見を明確に伝えることです。
そのためには、召集通知に具体的記載がなかったとしても、主催者に会議の主旨を確認することが必要
です。取りあえず出席してみようなんて考えでは、時間が無駄になるだけです。
そして重要なポイント。発言が少なければ少ないほど、明確な論旨の発言に重みが出ます。意味のない発言
や、脱線には注意しましょう。
■STEP5 会議を戦いの場に変えない
会議や打合せで反対意見があることは、一方的に会議が終わるより、創造的であり歓迎すべきことです。
しかし、中には感情的に反対意見を言ったり、一方的に自分の結論を主張する者がいたりします。
大事なのは、感情ではなく、理屈として誰もが納得できる結論を出すことです。
そのためには、
1)感情を発散させる
司会者は、「まずは、思っていることを全部言ってみて下さい。」等、言い分を聞く姿勢を示します。
出席者が冷静に自分の話に耳を傾けていると思えば、多少は感情が発散し落ち着きやすくなります。
(少人数の打合せか多人数の会議かにもよりますが)
2)意見をまげないからといって非難しない。
個人攻撃ではなく、自分の意見を述べている限りは、どちらかを非難したりせず、発言内容の事実に
こそ目を向ける。
中には、相手を否定し、自分を優位に見せることに重きをおく者もいます。彼らは、会議を戦いの場とし
相手に勝つことで自己主張を行う性格なのです。
この例で大事なのは、どちらの意見が全体最適なのかです。あなたの意見が否定されているなら、
3)相手の主張の正しい部分は、適切に評価する。その上で、違いを明確に主張する。相手を否定する
のではなく、相手の意見と自分の意見の違いを明確にし、どちらが全体最適かの判断材料を他の出
席者に与えます。
4)あなたにとって勝ち負けが問題なのではない。絶対に譲れない部分以外は可能な限り譲歩し、相手
に勝ったと思わせておく。あなたが争いを好むなら別ですが、部門や会社、従業員にとって最適な結
論を考えてみましょう。
Skill05 時間の無駄を排除する
■ 一日が25時間あったら
1日は24時間です。その中で睡眠をとり、食事をし、通勤をし、仕事をする。仕事優先で時間を考えない
といけないのが、我々の現実ですが、もっと時間に余裕をもって暮らしたいと誰もが思っているのでは
ないしょうか。あともう1時間でいいから、一日が25時間あったらと思いませんか。
仕事に余裕を持つ、勉強をする時間が欲しい。目的はなんでも良いですが、一度、自分の24時間を
見直してみて、時間が効率的に使われているかチェックしてみてはいかがでしょう。
■ STEP1 時間をやりくりする
時間を浪費する原因を排除する方法を考えてみましょう。
1)集中する
作業をしている時に割りこまれ、作業が進まなくなることは多いものです。
でも無下に出来ない相手も多いものです。
→ 本当に集中したい時には、30分でも一時間でもいいから個室を確保してこもる。
→ 緊急以外の電話を取り継がないでもらう。
2)計画を立てる
今抱えているプロジェクトをどう進めるか、今日一日の作業を何から始めるか。スケジュールや優先
順位が明確でないと、作業はすすみにくいものです。
→ スケジュール、想定するゴール を出来るだけ明確にする。
→ 100%全部に力を注ぐのではなく、優先順位の高い作業から取り掛かる。
→ 手配は9時までに行うとか、作業に関する最低限のスケジュールをルールとして紙に書いて整
理するだけでも2度手間が減ります。
3)ぎりぎりにならなくても動く
「かつお」 や 「のび太」 でなくても夏休みの最後に宿題をやる方は結構多いものです。人事から出
せと言われた書類を締め切り間際に作っていませんか。
最初にやるか、最後にやるか、計画的に進めていくのか、学校の宿題ならば新学期に宿題が出来て
さえいれば良いのですが、仕事はそうはいきません。
一つが終了する前に、次々に新しい仕事がわいてきます。
→ スタートからではなく、ゴール側から計画を立てます。そのためには、達成すべきゴールを明確
に意識して下さい。ゴールに向けてどういうスケジュールを組むかを逆に考えていく。
常に、自分が計画途上のどこにいるのかを意識して行動しましょう。
4)完璧主義はやめる
限られた時間の中で、全てをこなすのは誰にだって不可能です。でも完璧主義は性格・習性なので
簡単には変えられません。
→ 「完璧」 ではなく 「進歩」をめざすようにしましょう。いいじゃないですか、今日は一つ進歩した
= 完璧に一歩近づいた証拠です。 進歩を重ねていれば、きっといつかは完璧になれますよ。
5)自分で全てやろうとしない
完璧主義に通じます。自分ですべてやらないと、自分の思い通りの結果にはならない。あたりまえ
です。チームで分担すること、部下に任せることが苦痛な方もいるのです。
→ 心に余裕を持ちましょう。多少の違いは気にしない。目的が達成できればいいのですから。
→ あなたの部下や後輩を信じて仕事を任せましょう。多少のミスや失敗は教育の機会だと思えば
いいのですから。 「成長したね」 と肩を叩いてあげれればいいじゃないですか。
6)たくさん抱えすぎない
Noと言えない人は仕事に埋もれてしまいます。
何でも受けてしまう方は、結果として、全て中途半端になるかもしれません。
→ 頭の中のスケジュール表には仕事が幾らでも詰め込めます。今抱えている仕事の手順、スケ
ジュールを紙に書き出して整理し、無理だと自分が納得してればNoと言えるでしょう。
→ もし、あなたの部下があまりNOと言わない性格なら、ノーと言ってもいいのだと明確に伝えま
しょう。後でできませんでしたと言われても困るし、頑張り過ぎてノイローゼになっても困るでし
ょう。
7) 時間を大切にする
会議や打合せ、ちょっとした席はずしの時間が長引くことはありませんか。一分一秒を大切にしま
しょう。
→ 「30分だけ打合せしよう」 「何時までにこの資料を作って」等 時間を区切る習慣をつけましょう。
自分自身の時間の使い方について、チェックが終了したら、部下の方々についても観察してみてくだ
さい。誰かが時間に追われていらいらしたりしていませんか。
あなたの部下が時間に追われて困っているようであれば、上記を参考にアドバイスできるかもしれま
せん。
■ STEP2 アイデアで時間をやりくりする
時間をやりくりするための工夫をもう少し、ご紹介します。
1)今日何をするか、今週何をするかを決める
ただ単に、作業項目をスケジュールに組み込むのではなく。今日なしとげること、今週なしとげるこ
ととして、自分自身に対して宣言してみてください。より効率的に作業を進める動機付けです。
2)目的意識を明確にする
これも動機付けですが、浮いた時間、空いた時間をどう使うか、目的意識をもって時間を生み出し
ていく。子供が欲しいものを買うためにお菓子の缶に百円玉をためるイメージです。
3)行動を見直す
例えば、早起き。できたらやってるよと言われそうですが、早起きには三文以上の徳があります。
30分早起きで1時間分は効果があります。もともと何時に出社してたかにもよりますが、空いた
電車に座って勉強し、会社に着いたら人にじゃまされず一仕事片付けて、定時からは効率良く仕
事をする。既にやってる方は多いです。
昼休み、5時から1時間 等いつでもいいのですが、行動を見直してみる。
いつもとちょっと変えてみる。 それだけでも時間をうまく使うヒントがあるかもしれません。
おまけですが、
■ STEP3 仕事中毒にならないために
時間が足りなくて困っているあなたは仕事中毒になっていませんか。
以下の質問で、自分の仕事中毒度をチェックしてみて下さい。
1) 残業しないで帰ることに罪悪感がある
2) 明日で間に合う合う作業も、今日中にやらないと不安だ
3) 土日休日にすることがないと会社に行くことがある
4) いつも時間に追われ、 じっくり考えて仕事をすることがない
5) 残業しながら仕事をしているとつい愚痴が出る
6) 最近の気晴らしといえば、上司や同僚と飲みに行ったことしか思い出せない
7) 家族といる時や、就寝時にふと仕事を思い出すことがある
8) 打合せや待ち合わせに遅刻することが多い
9) 最近スカッとしたことがない
10) 困難な仕事をやりとげた自分が誇らしい
10項目のうち半分以上が該当するならあなたは立派な仕事中毒です。
ストレスも溜まっているに違いありません。
時間をとってリラックスしろと言っても中々難しいでしょうが、今日一日だけでも仕事のペースを落と
してみたり、昼休みにちょっとだけ散歩したり、5分だけでも体を動かしたり、ちょっとだけ気を抜いて
みてください。
Skill06 プロとしてのコミットメント
■ STEP1 コミットメント ・・・・ノルマではなく立場の表明
日産のカルロスゴーンCOOの登場以来、よく耳にする言葉があります。
コミットメント=関わり、公約、責任という意味ですが、
カルロスゴーン氏におけるコミットメントは、「自分はそれをなしとげる人であるとの宣言」
つまり、「ノルマ」ではなく「立場」の表明になっております。
そこまで強い意思表明をするかどうかは別として、コミットメントをすることにより、自らの目標の達成
・未達成を真剣に考えることができます。
(例えば)
● ゴールを具体的なイメージとして捉える。
● 常にゴールとゴールまでの距離(ギャップ)を確認する。
● 行動と成果の関係をきちっと把握する。 等
ゴールを強く意識して行動していれば、どんな結果であっても、ある程度の達成感が残るでしょう。
そこにあるのは、次の活動へのコミットメントです。
コミットメント ≒ 「全てに関わり責任を持つこと」 でもあるのです。
まずは、自分自身に対してコミットメントしてみましょう。
■ STEP2 完結させる
コーチングでは、完了させることの重要さがよく話題にのぼります。
会話や行動を中途半端にすると自分自身に、相手にもやっとした不満感が残ります。
そこでの不満は、例えば以下のような状況のことです。
●会話がいつも一方的な投げかけで終わり、成立しない。
●話の途中で相手がどこかに行ってしまい、中途半端になる。
●厳しい目標が設定されていて、いつも未達成なのが常態化している。
●組織目標達成に向けた活動もルーチン化し、目標も甘く達成感がない。
コミュニケーションなら、理解してもらえない不満。・・それ以前に、きちんと聞いてもらえない不満。
= 会話がなりたっていないモヤモヤ感。でしょうか。
この人に話しても無駄か と思われてしまえば、次の会話のチャンスも失われてしまいます。上司と部
下の関係であれば信頼も薄くなるでしょう。 ストレスだっていっぱい溜まります。
となれば、コーチングの基本的スキル「積極的に聴く」 「効果的な質問をする」の出番です。
会話が会話として成立するようになればストレスも減るでしょう。
また、「ビジョン」を明確にして、目標に向けて計画を立てていくこと、カルロスゴーン社長のように、コミッ
トメントし、自分の行動を確実に完結させていくことによってもやもやはなくなるでしょう。
■STEP2 ターゲットとなる20%を探す
私達の日々の行動やエネルギーには限界があります。 コーチング的に考えると、自分自身や部下、
チームが高いパフォーマンスを発揮することを望むなら、尻を叩いて100いっぱいに頑張らせるのでは
なく、一日の仕事やプロジェクトの中でターゲットとなる20%の仕事を見つけ、そこに注力していくことを
指導するのが効果的だということになります。
20%のターゲットを見つけるためには、
1日や、1週間、1ヶ月、上期等で、あなたが業務上するべき作業、あなたがやりたい作業をリストアップ
することが必要です。
リストの中で、
@絶対にやらなければならないこと
Aやるべきこと
Bやったほうがいいかもしれないこと
Cその他
に各作業を優先順位付けして分類する。主観で大雑把に分けて、あなたのゴール達成基準に応じて検
証する。
@が10〜20%くらいになるのではないでしょうか。30%になったって構いません。
@から順に手をつけてみましょう。
実際には25%とか30%の部分が実行できた時点で、全体の目標が達成されるのかも知れません。
(20%とという数字そのものにこだわる必要はありません。
■STEP3 ゴールを自分のものとする
成果(パフォーマンス)を上げる最後のかなめは、自分自身です。会社やチーム、ましては上司のゴー
ルではなく、自分自身のゴールとして目標に向かっていくことが、パフォーマンスを最高に発揮する近
道です。
2割の行動で、ゴールが達成できているのか、それを明確にするためには、ゴールの達成基準が明確
であることが必要です。さらに言うなら、自分自身のゴールがあることが必要。
ゴールを自分自身のものとする そのためには、自分で納得し、自分でゴールを設定することが前提
です。
@ もし、あなたが上司なら、 「答えは相手の中にある」
A あなた自身ことなら、 「答えは自分の中にある」 です。
今日一日のゴール、今抱えているプロジェクトのゴール をあなた自身、部下自身が納得するまで、徹
底的に考えてみてはいかがでしょう。
Skill08 NOにも言い方がある
世の中には、何でもNOと言ってしまう方(つまりスタートラインがNO)と何とかYESを探そうとする方
(スタートラインがYES)がいます。バランスがとれたYES、NOを言えるのが一番良いのですが、中
々そうもいかず、性格に左右される部分も多いような気がします。
例えば、上司にNOって言えますか。NOと言えない方には仕事が溜まり気味、残業すればいいやと
か日曜出勤してやるか等、なんとかやりくりしている方ってあなたの周りにもいるでしょう。
■ STEP1 NOと言えない理由
何故、NOと言えないのでしょう。
● 親切だから ≒ 性格的に人をサポートするのが好き
● 人にいい顔したい ≒ 協調的な性格
● 上司に逆らえない
● 自分以外にはできないと思っている ≒ 自信過剰
● NOと言うと相手が困ると思っている
● NOが相手を傷つけると思っている
他にも理由はあるかもしれません。でも、あなたが何人かの部下や後輩を取りまとめて仕事の指示
をする立場にない限りは、仕事が溜まってしまい、中には納期ぎりぎりで充分チェックできていない
成果物も出てくるかもしれません。仕事の質の低下です。
質の悪い仕事では、結果として相手の依頼を達成できていません。何よりも、あなたの精神衛生上
良くない。
■ STEP2 他部門にNOと言う
あなたの部門でしか出来ない作業は別として、自部門でできることを頼んでくる方も結構多いもの
です。
これに対処するには、仕事を引き受ける基準を明確にすることです。基準が明確でないと「前回は
やってくれたじゃないか。」と言われかねません。
特に管理部門の場合、他部門からはサービス部門と思われがちです。
例えば以下のような基準を設けてみてはいかがでしょうか。
他部門にYESという基準(例)
● ○○と△△はいつでも引き受ける。でも納期は3日後。
● □□については、余力のある時だけ。
● ××は各部門が自分でやること。
■ STEP3 部下にNOと言う
「エッジな部下を動かす」の項の中で、部下へのNOの言い方を解説しました。
要点のみ、おさらいしてみましょう。
部下にNOと言うときのポイント
● はっきりNOと言う(NOと決めたら曖昧にしない)
● NOの理由を明確にする(具体的根拠で納得性を高める)
● 相手の言い分をしっかり聞く(NOに満足感を残す)
● 常にNOではない(いい意見は受入れる)
● YESの可能性もきちんと追求する(本当にNOでいいのか)
■ STEP4 上司にNOと言う
誰でも上司にNOは言いにくいものです。でも、前述の通り、無理をして引き受けた仕事の結果が不十
分なら、かえって迷惑をかけることにもなります。
★ 出来ない事実を伝える ★
物理的に不可能なら、ありのままを言うしかないでしょう。あなたの上司にはあなたも含めた部下の業
務配分をコントロールする義務があるのです。日頃から、上司とコミュニケーションが取れていれば、
あなたやあなたのチームの忙しさを知った上で無理を言われることはないでしょう。
しかし、私用とのバッティングであればそうもいきません。また、上司の依頼も業務そのものではなく、
客先の接待への同席だったりするかもしれません。
上司の依頼が、業務命令か、単なる要望なのかは関係ありません。サラリーマンである以上は仕事
は常に優先事項です。
大事なことは3つ。
1)あなたの私用は最優先事項か?(緊急事態か?)
2)あなたの上司の依頼は業務に通じること、もしくは、あなた方の結束やミュニケーションを深める
のに役立つことか?
3)そしてあなたの価値観(行動基準)は何か?
もちろん立場立場で考えなくてはなりませんが、 答えは、あなたの中にあります。
客先対応も将来の受注につながる重要な仕事です。
断わざるを得ない場合も、代替方法を提案する。納得性を高める(STEP5参照)等の誠意は必要です。
でも同じ状況で、あなたが上司で、部下がNOと言うのを悩んでいるとしたらどうでしょう。 あなたの
部下が今後もずっと能力を発揮してくれることを期待するなら、部下自身が最優先と考えることをあな
たも優先してあげましょう。
あくまで、業務に支障のない限りですが。仕事の借りは仕事で返してもらう。
いいじゃないですかそれで。
■ STEP5 客先にNOと言う
相手が客先なら、面と向かって「出来ません」とだけ言っても、納得しないでしょうし、2度と仕事が来な
いかも知れません。
基本的な考え方は、部下にNOと言う場合と同じくNOと言われた側の納得性を高めることにあります。
★ NOにも言い方がある ★
まずは、依頼してもらったお礼、次に物理的に無理な理由というように相手を立てた言い方をするこ
とは最低限必要です。
例えば、
「ご依頼をいただいて光栄です。が、作業時期が重なる仕事を既に引き受けておりまして、責任を持っ
て対応させていただけない事態が考えられます。」
もし、社内調整できる可能性があるのなら、実際に調整してみることも必要です。しかし相手だって、
他に頼む場合の時間の余裕は欲しいはず。
「1日だけお時間をいただけないでしょうか。」
2日でも、3日でもいいですが、しばらくとか、2・3日だなんて曖昧なことを言ってはいけません。期間
は明確にしましょう。誠意は示さなければなりませんが、誠意と曖昧さは別です。
決して期待を持たせ過ぎず、NOというタイミングは早めに作り、NOならNOと明確に伝えます。
最近では、会社帰りに呑みにさそっても、付き合いたがらない若者が多くなっているようです。
呑みにケーションに価値を見い出さず、5時までに仕事を頑張るという考え方の方も増えています。
企業の将来が不透明な現在ではそれも一つの考え方ではありますが。ちょっと寂しいですね。
しかし、先日、若手向けのモチベーション啓蒙本(著者は女性)を見ていたところ。以下のくだりが、
「呑みにケーションの良し悪しではない。周囲とコミュニケーションを深めるチャンスは前向きな人間と
して最大限に利用すべき。」と。
前向きな方々へのチャンスは用意してあげましょう。
Skill09 教わり上手になる
まずは、おさらい。
コミュニケーションの原点は双方向の会話です。
上司の側からの会話と部下の側からの会話。先輩と後輩、親子、男女だって同じ。
双方からの会話があって初めてコミュニケーションと言えるのです。 一方的に喋るだけでコミュニケ
ーションが取れていると思うのは間違いです。
コーチングでコミュニケーションについて解説する際に、よくキャッチボールが双方向の会話の例とし
て取り上げられます。 投げては返し、投げては返す。
相手が返す前に2球め、3球めを投げてはいけません。 相手は受け止めきれずに退散するでしょう。
うまくキャッチボールにならないなら、相手に何球も投げさせて、まず投げる楽しみを理解させる。
それがじっくり聴くということです。
今回は、あなた自身が教わり上手になって、相手の会話やノウハウを引き出すことを考えてみます。
■ あなたが話したくなることって何ですか? <相手の得意分野>
もちろん興味のある話題を振られれば会話に参加したくなりますが、さらに一歩進んで、得意なこと
について聞かれれば、話したくなりませんか。
すごいと思われたり、尊敬されているなと思えたりすれば、自尊心がくすぐられて必要以上に話した
くはなりませんか。
誰だって同じです。 相手の得意なことをじっくり聴くことが会話を生み出します。
相手が得意なことを観察しましょう。それが、あなたが学ぶべき点なのですから。
大事なのは謙虚になること。周囲の色々な人から、自分が学ぶことがあると思うことです。
上司でも、先輩でも、同僚でも。いいえ部下や後輩からだって学ぶべきことはたくさんあるはずです。
例え、失敗ばかりしている者からだって失敗した原因を学ぶことができます。
それは必ず、あなたにとってプラスになる筈です。
■ 相槌にも打ち方がある <共感の相槌>
相槌は、相手の言うことを聴いている、理解できていることの表明です。
相手に安心を与え、会話を引き出します。
でも何かを教わろうと思うなら、もう一歩相手との距離を縮めることが必要です。 相手の言うことを
自分の体験のように受け止める。 つまり共感のある相槌。
例えば、汗だくになって来社してくれた方が、「外は暑いよ。」 と言えば、
「暑かったですか。」 ではなく 「暑かったですね。」 なのです。
しかも、口先で言うのではなく、一緒につらさを感じること。それが共感です。
■ とっつきにくい相手からの教わり方
世の中にはとっつきにくい相手もいるものです。
時には相手によって接し方を変えることも必要です。
★ 自信家で、常に相手を否定する相手に対しては、
「あなたの知恵を貸して欲しい」等、教えを乞う態度で接する。
★ 無口で、じっくり考える相手に対しては、
テーマを明確にした上で、考える時間を与えながら聞く。
★ おとなしく、すぐに聞く側に回ってしまう相手に対しては、
否定せずに相槌を打ちながら、何でも話してもらう。
★ 話し好きの相手には、・・・・・勝手に話させておきましょう。
■ そして礼節 (教わる姿勢)
誰に対しても通じることは、礼節です。
教わったのなら、お礼を言いましょう。 しかも喜びを交えたお礼の言葉です。
「こんどの仕事に役立ちそうです。」 とか 「問題解決に一歩近づきました」 とか
簡単な喜びの言葉を付け加えることで、また助けてあげたいなと思ってもらえたら幸いなのです。
でも、口から出任せはダメですよ。世の中は助け合いです。お互いのちょっとしたサポートに仕事が支
えられていると言っても過言ではないのです。心からお礼を言いましょう。
まさか、ふんぞり返って人に教えを乞う方はいないと思いますが、人にものを頼むときは心持ち下から
見上げる視線がその気持ちを表現します。
相手だって、教えて欲しいという態度がにじみ出てればいやとは言わないはず。
但し、卑屈に見えることもあるのでご注意ください。
■ コミュニケーション術を役立てる
コミュニケーション上手は教わり上手です。
コミュニケーションスキルを活用して教わり上手になる方法を考えてみましょう。
★ レッテルを貼らない ★
コーチングの基本の一つです。 この人はこういう考え方しかできない。そう決め付けた瞬間あなたの
興味は失われます。 話しを聞いていても眠くなってしまうのではないでしょうか。
相手の可能性を信じましょう。
★ 自分の考えと違うと思ったからといって否定しない ★
考え方は人それぞれです。自分の考えと違うからといってすぐ否定したり、口を挟んだりするのは間
違いです。
そんな方がコミュニケーション上手になることは有り得ませんし、相手の明確な勘違いでもない限り、
否定することには意味がありません。
とは言ってもそんな方はつい相手を否定してしまいます。 でも、解決策はあります。
否定したくなったら、そのような考えに至った相手の気持ちや立場を考えるくせをつけるのです。
もっと単純に、否定したくなったら5つ数えるでもいいのです。
取り合えず10日間、否定をやめてみて、周囲とのコミュニケーションが好転するかどうか観察してみ
て下さい。
★ 主張したいことも相談として持ちかける ★
主張というと一方的になりがちです。
相談として持ちかけ意見を聞きながら調整する。反発しかねない内容でも相談を受け自分が判断に
加わったとなれば受け止め方が違います。
これは部下に対しても同じです。一方的に指示命令するのではなく一緒に考えたことを任されたとな
ればモチベーションもアップします。
★ 向かい合わない ★
以前ショートコラムとして解説した内容です。
そう、真正面で向かい合って座るのは敵対したり、相手の間違いを正そうとする時だけにしましょう。
相手の右斜め前それがベストです。
部下指導と言うよりはセルフコーチングな内容ですが、ノウハウを教わるだけでなく、調整作業をす
る際にも同じ考え方で行動すればスムーズになると思います。 参考にしてみて下さい。
Skill10 第一印象があなたを変える
■ プロローグ 初対面で好かれる方、嫌われる方
仕事柄、初対面でセールスに来られる方や就職活動をしている学生さんにお会いすることがよく
あります。
セールスと言っても、全くの飛び込みではなく、既存の取引先の新担当者であったり、話しを聞き
たい業種の方のアポに応じたりしているわけで、少なくとも私のほうには時間を割いて話しを伺お
うという意志はあるわけです。
学生にしても同じ。いい方なら採用につなげたいと思って会っているのです。
ところがほとんどの場合、お会いしたその瞬間、私の頭の中に×(罰点)や○の文字が浮かびま
す。
罰点が浮かんでしまうと、話しを聴いていても何故かマイナスな部分が目だってしまいます。
まだ、挨拶をした程度なのに、相手にマイナスイメージを抱いてしまう、第一印象が相当にマイナ
スだからこそだと思います。
第一印象が与える先入観にすぎないのかも知れませんが、人の心はその先入観に左右されてし
まいます。
時には、相手の方がわざわざマイナスのイメージを見せるために来たのではないかと思ってしま
いそうになることもあります。
逆に、第一印象がプラスイメージであれば、相手も熱心に話を聞いてくれるかもしれませんし、コ
ミュニケーションの奥行きも深まるかも知れません。
今回は、第一印象を逆手にとってコミュニケーヨンを深める方法を考えてみます。
■ STEP1 第一印象って何?
では、第一印象って何でしょう。
恐らくは、相手の外見(服装、顔つき、髪型、ただずまい)+挨拶の仕方 そんなところでしょうか。
あなたは、自分が人に与える第一印象を理解していますか。
俺は中身で勝負。
そう思っている方は、相手のことを考えていないのです。 仕事その他で長い付き合いになるかも
知れない相手がムサいより、爽やかであった方が気分がいいでしょう。
まずは自分が初めて誰かに会う時に、どんな服装や態度なのかを日頃の自分を振り返って思い
出してみて下さい。
こざっぱりしてますか? 疲れが浮かんだ顔をしていませんか?
■ STEP2 身だしなみを整える
新聞記事に優秀な営業マンの心掛けが載ってました。
いわく、少し早めに面会場所に到着し、鏡でネクタイや髪の乱れをチェックし、汗が引くのを待ち、
約束時間近くになってから先方に顔を出すとのことです。
もちろんケースにもよりますが身だしなみは第一印象の重要なポイントです。
VIPとの面会の際は相手の企業の性格や社風に合わせて、着ていくスーツやワイシャツ、身に付
ける小物まで気を使うという方もいるそうです。
ここで大事なのは、やはり相手のことを考えるということです。
落ち着いた社風の企業にキンキラキンの格好はしていかないでしょう。
相手の気にさわる外見が出来るのは、TPOへの配慮や相手の社風の下調べ等がない証拠です。
仕事のパートナーとして相応しいとは思われにくいでしょう。
よほど優秀な仕事やサービスが出来ることが最初から判っていれば気にならないかもしれませ
んが。
特に気をつけたほうがいいのは、若い方の髪型や服装。
同世代の仲間や女性には受けるようなファッション。例えばドラマに出てきそうなファッショナブルな
ぼさぼさ感は要注意。年配世代との付き合いが無い証拠でもあります。
もしあなたがデザイナーやアーティストではないなら、年配世代がどう受け止めるのか考えてみた
ほうが無難です。
■ STEP3 自分に似合う色、明るく見える色って知ってますか?
学生は就活(就職活動)本を見てないのかなと思って本屋の就活本を手にしてみました。
すると、載っているじゃないですか、服のこと。
業界に会わせたスーツ、ワイシャツ、ネクタイの色。自分を明るくみせる色。等
皆さん本屋に行かないんですかね。さもなければ自分に自信があるのか世間知らずなのか。
1000円ちょっとで手に入る情報なんですけどね。
本屋には、性格別に似合う色、自分の性格を明るく見せる色、自分の気持ちを表現する色を解説
したものまでありました。面白いので本屋でパラパラとめくるくらいしてもいいかも知れません。
(へえー、そんなのあるのという感じです。)
■ STEP4 精悍さって何? 爽やかさって何?
例えば、夏にお会いする場合、精悍そうな方なら上着を着てなくても気にならないのに、暑くてつ
らそうな顔の方に対しては、逆に何故上着を着ないのかと気になります。
(こちらは大抵きちっと上着を着てるのですが。)
もちろん相手は外から来ているので、暑そうなら、上着を脱ぐように勧めます。
もちろん、ビジネスで人に会う目的は、暑くてつらいんだと説明するためではありません。
自分は素晴らしいサービスや商品、他にない価値観を提供することが可能なのだと説明するため
なのではないでしょうか。
暑さ寒さを表現する暇があったら、自分の説明を聞いてくれる相手に会えたことの喜びや、自分が
すばらしい商品の開発・販売に関わっている喜びを表現したほうがずっと良いはずです。
では、どうやって。・・・大したことではありません。
いきいきした顔、ちょっとした楽しそうな顔をすればいいのです。そのためにも普段、仕事へのやり
がいや生活に生きがいを感じることが必要です。
そんなに簡単じゃない。・・もちろん、はじめてこのサイトを読む方には難しいかも知れません。
でもヒントは何度も解説しています。
仕事の成果を自分の成長として考え、そのための目標を設定していく 等々。
ようはプラス思考を持つことです。
■ STEP5 そして最初の挨拶
第一印象をプラスにする話し方というものがあります。
★ まずは挨拶 ★
「こんにちは」or「はじめまして」この後にもう一言加えます。時間を取ってくれたお礼。暑さ寒さ
の中着てくれたお礼など。
お迎えする場合も、「忙しい中済みません。」「暑かったでしょう。どうぞ上着を脱いで下さい。」等
きちっと共感を込めて言うことが必要です。
当たり前だろと思う方。 心から言えてますか。
実はアポを取る時から第一印象は始まっています。
「お会いできるのを楽しみにしています。」もちろん、普段ムスッとしてては言えません。
大事なのは日頃の人との接し方です。
★ そして名前を呼ぶ ★
初対面、もしくは面識の薄かった相手との距離を近づける方法それは名前をきちっと呼ぶこと
です。
「課長」ではなく、「○○課長」
名前を呼ぶのは、お互いを、その他大勢から、特定の1人に変える技です。これは合コンで次の
デートにつなげる技としてもよく紹介されています。
★ 会話が始まったら ★
注意点がいくつかあります。
・友達言葉を使ったり、自分のペースで一方的に話したりしない。
・話しの流れを明確にし、できれば結論から先に話しをする。
・相手の話には適度に相槌を打ち、理解していることを意思表示する。
・相手の話に関心したら率直に表現する。
「努力されているのですね」「そうですか、さぞ苦労されたでしょう。」
是非、コーチングスキルで紹介される手法をおさらいしてみて下さい。
■ STEP6 大事なのは、視線
目は口ほどにものを言う。誰でも知っている言葉です。
なのに、目が宙を泳いでいる方がよくいらっしゃいます。 考え事をする時に目を上にそらすのが習慣
になっている方は多いようですが、いい大人がやることではありません。
しっかりと相手の目をみる。にらめつけたらだめですよ。
コーチングの入門セミナーに行くと、目を含め、自分の表情が相手にどんな印象を与えるか2人一組
で試したりします。
明るい表情、暗い表情、喜びの表情。
別に演技を強要するわけではありません。初対面の相手に間違った印象を与えないために、一度自
分の表情を再確認してみて下さい。
社内でコーチング手法を説明していると、
「コーチングとは相手に媚びることか?」とか「コーチングは演技か?」とか
「相手に合わせる気はない。自分は素のままでいい。」
とおっしゃる方がかなりの割合でいらっしゃいます。
私は、
「コーチングとは前向きに生きるために本当の自分に気付き、自分をうまく表現するための技です。」
と説明しています。
Skill11 プラス思考で割り切る
割り切るという言葉には何となく中途半端なイメージがあります。言ってしまえば「妥協」。
でもこの世の中、多くのことを割り切らなければ生きていけません。
「妥協」ではなく、「調和」とでも言ったほうが適切かも知れません。多くの意見が最大公約数的に反
映された調和です。
でも、自分は我慢したのではなく調和したのだと毎日自分に言い聞かせていると、いつか欲求不満
が爆発するかも知れません。
今回は、プラス思考の「割り切り」でうまく自分をコントロールしていくことについて考えてみます。
■ ネガティブな割り切りはやめよう
当たり前ですが、マイナス思考の割り切りは最悪です。周囲に対しても悪影響があります。
「何やったって会社は変わらないよ」
「頑張ったって給料が増えるわけじゃない」的なセリフは職場の雰囲気を 格段に悪化させます。
そんなセリフを言う方がいたら、その場で否定しましょう。
「やってみなくちゃわからない」 「自分自身の成長につながればいいじゃないか」等。
七転び八起き いい格言です。
もちろん、あなた自身が業務、部下の成長・キャリア開発についてしっかりとした考えを持つことが
前提です。
■ 割り切れない理由
仕事で根 (こん) を詰めてしまう方、人ととことん議論してしまう方。 何があなたを駆り立てているの
でしょう。
仕事が楽しい。 議論が楽しい。
でも、周囲の方々の迷惑になっていないか、よく考えてみて下さい。
もし、完璧主義や、こだわり、プライドがあなたを駆り立てているのなら、そのこだわりやプライドに何
の意味があるのか今一度考えてみて下さい。
本来必要な質以上 (オーバースペック) のことをすることが、ただの自己満足になっていたり、他の
仕事が疎かになっている可能性もあります。
また、自分の考えが常に正しいと思うことはとても危険です。 相手を追い込んで得られることなんて、
ほとんどありません。
「人の数だけルールはある。」と考えていたほうが、人の気持ちや立場を理解しようという気持ちになれ
るはずです。
■ プラス思考としての楽観主義
プラス思考の楽観主義による割り切りはあなたを救います。
例えば、上司に怒られた時、
・マイナス思考なら「怒られてまでやってられない」ですが、
・プラス思考なら「期待されているから怒られたのだ」と解釈し、「次は頑張るぞ」と考えを切り換える
こともできます。
また、この仕事をやり遂げて一歩成長するのだというように、目的意識が明確であれば、多少の困難
にぶつかっても前向きな気持ちを維持できます。
割り切りとはちょっと違いますが、
「困難こそ変革のチャンス」とか「クレームこそ宝の山」と考えることが、あなたやあなたのチームのや
る気をドライブする原動力となるのです。
■ ストレスコントロールにおける割り切り
今日やれることは今日やる。もちろんベストな考えです。 私も賛成。
でも、うまく結果の出ない作業が昨日も今日も明日も続くとなれば話は別です。
ストレスに自分を追い込まない為にも割り切りは大切です。
「今日のところはここまで、気持ちを切り換えて明日またトライしよう。」そんな割り切りが、精神衛生
上も必要なのです。
決して妥協ではありません。
■ いつでも割り切るわけじゃない
やる時はやる。必要な時にはとことん仕事に打ち込む。得意分野では一歩も譲らない知識がある。
そんなメリハリがあってこそ割り切りが生きてきます。
大事なのは、自分には能力があると思っていることではなく、実際に必要なときにその能力が出せる
ことです。
それが、あなたの割り切りが前向きであることの証明にもなります。
どうでしょう。 あなた自身やあなたのチームをプラス思考に変えるヒントになりますでしょうか。
何かが急に変わるとは思えませんが、簡単なことを少しずつ意識して行動に取り入れていく。
それがコーチングの一面でもあります。
Skill12 ファシリテーターのテクニック
相手がまだ話しているのに、違う意見をかぶせてしゃべる。
最近、TVの討論番組等でよく見かける光景です。
内容が正しいかどうかより、声の大きさ、早口さが勝敗を分けています。黙ってしまっては負けとばか
りに2人、時に3人がしゃべりまくり、誰が何を言っているのかわかりません。
でも、これって会議でもよく見られる光景です。・・・議論できて良い。
いいえ、我々にとって大事なのは、反対意見にも耳を貸し、議論をつくすことです。 企業では、上下
関係が明確ですから、特定の方の意見に左右されかねません。
実はこれをコントロールする職業があります。ファシリテーター。
聴いたことはありませんか?・・支援・促進という意味があります。
ファシリテーターとはプロジェクトや会議の進行を助け結果を導き出すことを請負う職業です。
自分で結果を出すのではなく結果を導く。どことなくビジネスコーチと似ていませんか。
■ 会議の要点とファシリテーターの立場
会議をうまく進めることに焦点をあてるなら、Skill04「会議やめますか、やりますか」にて、
@ 目的の明確化
A 出席者の事前準備
B 時間管理
C 明確な結論
D 意思決定への参加意識
この5点が重要だと説明しました。
事前準備をしっかり行い結論を導き出すという点では、ファシリテーターが重視する点も全く同じです。
大きく違う点は、ファシリテーターは会議の主催者やプロジェクトのリーダーではなく、中立な立場で
の会議の交通整理係、進行役であるところです。
これはプロジェクトにおいても同じで、参加者全員に正しい現状認識を促し、方策の立案に向けた全
員の意見を引き出し、まとめていくための交通整理をしてゆきます。
■ ファシリテーター10のテクニック
Tec1.打合せ場所、机の配置
ファシリテーターは打合せ場所や席の配置にも配慮します。
@ 審査員みたいな気になる真正面は避けます。
A 遠すぎず近すぎず、親しみを感じる距離に座ってもらいます。
B 今では見かけなくなった会議でのコーヒー等、リラックスするための工夫があります。
Tec2.初対面のメンバーは自己紹介
会議の出席者の名前がわからなかったってよくあります。問題外ですね。プロジェクトメンバーの顔
と名前が一致するのは、親近感以前の問題です。
所属部署、氏名、今回の役割等の簡単な自己紹介は最重要ですよ。
Tec3.プロジェクト・会議の目的、時間割を最初に確認
限られた時間で結論を出すため、プロジェクトや会議の目的、スケジュールは最初に明確にします。
Tec4.地位による発言・誘導にはご注意
気づきは地位によって生まれるわけではありません。
仮に最終決定権者が明確な場合でも、判断材料が出揃うまでは、発言を控えていただくことも有り
です。
Tec5.問題点は全て列挙してもらう
ブレーンストーミング。誰でも知ってる言葉です。人の意見を否定せず、プロジェクト進行上の問題
は出しつくします。
「そんなの問題じゃないよ」というような否定的発言そのものが問題なのです。
Tec6.現状認識は参加者全員で共有しなければなりません
たった一人でも、現状認識しない状態で先に進んではいけません。
理解できたか確認し、返事がない者、自信なさ気の者には個別に確認します。
Tec7.話の長い人には短縮を指示
人の話を遮らないというこおは大事ではありますが、大勢の方が発言すべき会議で、全く話が整理
できていない方が、限られた時間を1人で時間を使ってしまうことはやめさせなければなりません。
話しが長いよ、要点を言ってくださいというサインを周知しておき、
ファシリテーターが必要に応じて合図します。
Tec8.脱線しそうな話題はポケットへ
今回の議題ではないが、重要な話題は脱線を招きやすいものです。
ポケットにしまう感覚で無視せずに記録には留めますが、別の機会での話題とすることを明言し
ます。
Tec9.同意、不同意、一部同意の状況を全員で認識
最終決定権者が一人でも、ファシリテーターは全員の意見を確認します。
例えば、賛成の方はOK指マーク、一部同意は1本指、反対は頭のてっぺんを触る等全員に挙手し
てもらい、全体の状況を確認、記録した上で決定に導きます。
Tec10.議事録、実行スケジュールは明確に
さあ、意見はまとまった。でも何故か先に進まない。よくある話です。
ファシリテーターは、誰が、いつまでに、どこまでやるかを確認して結論とします。もちろん議事録に
実行スケジュール、担当者を明記の上、出席者全員に配付します。
いかがでしょう、ファシリテーターのテクニック。
日常の業務や会議にも応用できることばかりです。ちょっとしたミーティングにだって使えます。
大事なのはいつだって、メンバーの納得感。中立的な立場さえ維持できれば、あなたにも、社内の
ファシリテーターとしてのプロジェクト推進が可能になるでしょう。
Skill13 交渉のテクニック
最近、交渉人とかネゴシエーターという言葉がはやっています。
しかし、交渉といえば、TVや映画のような犯罪現場よりも、むしろビジネスの世界がその表舞台です
よね。バリバリの営業マンでなくたって、社内外との交渉は沢山あるはずです。
例えば、部下に指示する。これも交渉なのだということにお気づきでしょうか。
動きたくない部下を動かす。交渉の基本を理解すれば、無理やりではなく、納得させて動かすことも
可能になるはずです。
コミュニケーションとしての交渉のテクニックをビジネスにおける人間関係に生かすことを考えてみま
しょう。
■ コミュニケーションのWin-Win
交渉の最大の基本は、自分と相手が共に満足できる結果を得ることです。
つまりWin-Win(双方の勝利)。
これは、相手が取引先であろうと、上司や同僚・部下、他部門であろうと同じです。
交渉の目的は敗者を出すことではなく、最大公約数を求めることです。
したがって、相手にとってのWinが何かを知ることが大前提。
注意しなくてはならないのは、相手のWinにも、組織としてのWinと、個人としてのWinがあることです。
個人的にはOKだけど会社としてはNO。全体最適を考えればYESだけど個人としては納得がいかな
い。そんな相手の背景を相手の気持ちになって考えてみないと、交渉でのWin-Winは達成できませ
ん。
そのためには、個人としての相手が自分をどう思っているか?相手の組織の中でのキーマンは誰か?
そこまで理解している必要があります。キーマンは交渉相手のトップとは限りません。
■ 相手にとってのメリットを考える
例えば部下への指示・命令において、「納得いかないかもしれないが、命令だやってくれ。」では十分
に仕事の成果が上がることは期待できません。
また、自らの主張を通そうとしている会議や プレゼで誰かと議論し、自分の正当性を訴えるというの
も、相手の否定につながる場合は交渉においては逆効果です。
この2つの例において大切なのは自分の正当性ではなく、相手にとってのメリットをわかりやすく伝え
ることです。
大きなメリットがあるのだから、多少のことは我慢してもやってみるかという気にさせれば成功です。
特に社内会議の場合、資料を隅から隅まで読んでくれる方はほとんどいないし、長ったらしい話をし
たって眠気をさそうだけです。
要点を絞りこみ、相手のメリットを明確にすることが最善の交渉手段なのです。
■ 味方を作る
相手が組織の場合、相手の中に味方を作ることは交渉術の基本です。これは対部門の交渉も同じ。
自分自身が誠実でお互いの利益を考えていることを正しく理解してくれる味方・友人を、日頃から関係
先や社内の他部門に増やしておくのです。
難しそうですか?
でも、あなた自身が実際に誠実であり、損得勘定なしに困っている相手は助けてあげるような付き合
いを常日頃から心掛けていれば十分に可能です。
つまり、いざという時だけのために付き合うのではなく、信頼で結ばれており、困った時に相談できる
関係です。
したがって、あくまで相手の会社(部門)のためになることについての相談をします。
「君の会社(部門)と調整事があるのだけど、どんな感触が得られそうか知りたいんだ。」とか。
「誰に話を通すのが筋かな?」 とかです。
・・・・あなたが必要としている情報が得られるかも知れません。
■ ペーシングの活用
コーチングのスキルの一つにペーシングというものがあります。
ペーシングでは、相手に合わせ、親近感を持たせるのが基本ですが、交渉を進める上でも役に立ち
ます。
以前にもご紹介した日経産業新聞の記事では、優秀な営業マンは相手の趣味の話をするにとどまら
ず、重要な商談相手の社風に合わせた服装をするとまで書いてありました。
まあそこまでやらずとも、相手との会話の中で相手の言葉を引用したり、繰り返したりするだけでも、
親近感は得られます。
「○○じゃないか。」 「○○なんです。でも前回の問題点は改善してあるんです。」
「○○は前もダメだった。」 「おっしゃる通りです。でも前回の問題点は改善してあるんです。」
「君の意見は○○だな。」 「○○ですよね。でも良い点もありまして。」
「△△には反対だな。」 「では、その他の部分は賛成と思ってよろしいですね。」
分かりますか?
ペーシングを使うことで、相手の言葉を否定せずに、自分の意見を主張することが出来るのです。
また、親近感というだけなら、相手の主張をしっかりと最後まで聴くことだけでも親近感は得られます。
しっかりと最後まで聴く。これも立派なコーチングスキルでしたね。
■ フットインザドア
文字通り、ドアに足をはさんで閉められなくするの意です。
自分の主張の中で相手がOKできる小さなことから一つずつОKをもらい、結果として全体を認めさせ
るのです。
例え小さな提案でも相手が理解でき、納得できる提案を積み重ねていきます。
小さくてもそのうち小山のような信頼を勝ち取ることができるでしょう。
言葉でいうほど地道である必要はありません。普段から相手の気持ちを大切にしていれば意外と早く
小山になるでしょう。
■ 両面表示
物事には必ずメリットとデメリットがあります。もちろん相手のメリットを考えるのが交渉の第一条件で
はありますが、時と場合によっては、正直にデメリットを明確にすることも効果があります。
問題もあるが、それに勝る利点がある。メリット、デメリットの両面表示をするわけです。
例えば、「賞味期限は短いがとても美味しいデザート」・・・高価で売れそうですよね。
使い方次第では、デメリットがメリットを更に強調するのです。
もちろん、思いつきで言うのではなく、相手がどう受け止めるかをじっくり考えてから言ったほうが良い
でしょう。
■ 物理的アプローチ
交渉の場面での物理的アプローチ。
何度も紹介しておりますが、交渉や打合せでの座り位置って結構大事です。
・自社内であれば、出来るだけ使い慣れた会議室の定位置に座ります。それだけで落ち着けます。
・相手のキーマンとの正対(真正面)はできるだけ避けます。正対位置は心理的に反対したくなる傾向
があるのです。
・相手の50cm以内(パーソナルスペース)には入らない。
・相手との距離が近い場合は、相手から見て右側に座ります。つまり心臓と逆側。左側(心臓側)に位
置すると無意識に抵抗したくなるのです。
ちょっと気をつけるだけで、相手への心理的圧迫も軽減できるのです。
■ 次善の策
ほとんど交渉もせずはなからあきらめていたり、ちょっとしたつまづきであきらめる方は結構います。
でもよく考えてみましょう。プレゼンを例にとれば、企画を立てることが目的ではなく、 企画を通してお
互いのメリットを引き出すことが目的なのです。
1回のプレゼンで通ればいいですが、相手の要望をかなえながら最善の企画にしていくのだと理解
できていれば、あきらめる必要などありません。
選択枝を用意するとか、その都度次善の策を考えながら、一歩一歩前進しましょう。
もしあなたに駆け引きができるのなら、
内容は良いが、交渉相手に断られそうなプランを数案作って提案し、最後に本命の提案をする。
すると、相手も全部断るのは申し訳ないとOKしてくれることがあります。
単純ではないですが、そういう作戦もあるのです。
交渉のテクニック。いかがでしょうか。
この他にも、声のトーンをうまく使い分けたり、身振り手振りで話しを強調するなどテクニックはいろ
いろあります。
映画の交渉人のように派手ではありませんし、咄嗟の思いつきでできることではありません。
自分に合うやり方を身に付けて、ビジネスにおいてあなたの主張をきっちり通すために役立ててみ
て下さい。
Skill14 積極的事故主張・アサーティブネス
自分が常に絶対に正しいとは思っている方はほとんどいないにもかかわらず、、同じ意見の仲間
と行動する中で自分が多数派だと思い込み、自分の発言は正しいと信じている方がかなり多い、
という説明をしました。
しかし逆に、世の中には、自分の意見をきちんと主張できない方も結構いるようです。
そこで、雑誌や、新聞のリーダシップ関連のコラムでよく見かけるアサーティブネス(積極的自己
主張)という言葉について考えてみます。
アサーティヴの本来の意味は、断言的とか独断的、強引等あまり良い意味はありませんが、コミ
ュニケーション術としてのアサーティブネスは、「相手との関係を考えた上で積極的かつ誠実に自
己主張する」という考え方のようです。
何を今更と思う方も、積極的に意見が言えない部下や後輩にアドバイスする気持ちでお読み下さ
い。
■
自分の考えを伝えないとどうなるか?
● 双方向のコミュニケーションが始まらない
自分の考えを相手に伝えなければコミュニケーションは始まりません。
極論すれば、思っているだけで言わないのは、周囲の方にとってはあなたが何も考えていな
いのと同じ事なのです。
● 気付きが得られない
また、コミュニケーションが生む大事な効果の一つとして、本人の気付きがあります。
人は思いを一旦、口から出したり、紙に書いたりすることで、自分の考えを整理することが出
来ます。
また、周囲からのアドバイスがあれば、その思いを確信に変えたり、間違いに気付いたりも出
来るのです。
● ミスジャッジと誤解
次に考えるべきは、伝えるべきことを伝えなかった場合にどんな結果を招くかです。
言うべき意見や自分の思いを伝えられないと、ミスジャッジの原因となったり、自分自身が誤
解されることにもつながります。
1) 例えば、仕事上の処理に関して、相手が間違っているのにそれが伝えられない。
その上、あなたは間違った処理は出来ないので、先延ばし。これでは単にあなたがぐず
だと思われるだけです。
またあなたの先延ばしのせいで処理が手遅れになることだって有り得ます。
2) 同僚に誘われた飲み会。今日はどうしても気が進まないのにうまく断れない。ずるずる連
れていかれたが、会話にも混ざれない。何となく周囲も心配顔。
あなたが間違いだと思うのなら、間違っている事実を、
できないのなら、できない理由を、
やりたくなのなら、やりたくない気持ちを、
行きたくないなら、行きたくない理由を
明確に伝えるしかないのです。を明確に伝えましょう。それがアサーティブネスです。
・・・・・・ でも伝えられない。そんな方は最後までお読み下さい。
中々意見が通らなくても、あせらず、落ち着いた態度で繰り返し伝えましょう。
冷静かつ一貫したあなたの態度があなたの主張を明確にします。
C 共感し過ぎるあなたの共感は大事に
オブラートにくるむと真意は伝わりません。でも、相手にだって言われたくないことはあるだろう
し、否定されたと思えば耳をふさぎます。
ストレートな言葉に「申し訳ないけど」 「忙しいとこ悪いけど」と相手を思いやる言葉を加えて伝
えましょう。
〆〆〆〆〆〆
大人しい方の身になって説明しましたが、
私は、言うべきことはきちんと言えているという方だって結構多いはずです。
でも、自信を持ってそう言える方は逆に、部下や後輩に高圧的な態度で接していないか点検してみ
て下さい。
本当に正しいと思ってもあなたの前では発言できないという部下や後輩が何人もいたら、仕事の効
率は確実に下がっているはずです。
自分もそうだと思い当たる節のある方は、部下や後輩の発言を、とりあえずは最後まで我慢して聴
くと決めてみて下さい。
「何かリクエストはある?」と声を掛けられて、はじめて意見が言える方だって結構存在するのです。
きっと、部下の発言も増えて、グループやチームの活気が出てくるはずです。
お互いが歩み寄ることが必要なのです。
■ STEP4 会話を論理的にしてみましょう
1) 論理思考の敵は決め付け、思い込みです。
例えば、営業報告会の場での営業マンの発言。
「今のやり方じゃダメなんだ。問題だよ。新しい商品(サービス)が必要だ。」
この発言に、皆で頭を抱えていても中々解決策は思いつきません。
ファシリテーターならこう質問するでしょう。
「どこがダメなのですか?」 or 「何と比べてダメだと判断したのでしょうか?」
「あまり売れていないんだ。 中身はいいはずなんだが。」
「売上高が目標に対して低いということですか?」
or 「何を持って、中身が良いと判断したのですか? 品質でしょうか?」
「そう、1ヶ月に○○位は売れると考えていたんだけどねえ。△△位なんだ。」
「何を根拠に、○○位と予想したのですか?」
or 「△△は売れたのですね。 すると買ってくれた方々は何を理由に選んだのですか?」
〆〆〆
文章に書くとQC等で行うような、当たり前の分析なのですが、
感情的になった会議の席では、事実の確認や層別がどうしても疎かになります。
必要なのは、事実の再確認。
思い込みと事実を混同してないか? 根拠は確かか? 因果関係は正しいか?
それって仮説じゃないのか? そんな質問を投げかけることで、論理的な思考を保つのがファシリテータ
ーの役割です。
論理思考を促すための冷静さを保つためには、社外の方や部外者がファシリテーター役を行うのがBEST
です。
でも、そうもいかない場合には、一時、当事者意識を薄れさせる為に、話し合いの輪を3m離れて眺めている
自分を想像しながら思考してみて下さい。デソシエーションと言うテクニックです。
2) 論理的な思考を促す会話例
議論をもっともっと論理的にするための会話をご紹介します。
言葉の定義が不明確)
「今おっしゃった○○という言葉の使い方が今一つ分からないので、解説していただけませんか?」
話の前提が不明確)
「何故そう考えるのか、今までの話には何か前提条件があるのですか?」
事実と意見の混同)
「それはあなたの考えであって、違う考えの方もいらっしゃるのでは?」
そもそも根拠がない)
「そう考える理由を、皆さんにも分かるように解説して下さい。」
or 「否定なさる理由を、明確にしていただけませんか。」
都合のよい例だけを根拠としている)
「あなたのおっしゃる場合もありそうですね。でも、そうでない場合もありますよね。」
めったにおこらないことを根拠としている)
「そんなケースは珍しくありませんか? もっと身近で一般的な事例で説明して下さい。」
自分達だけの基準を根拠としている)
「それはこの会社だけで通じるルールなのではありませんか? 他所では聞いたことがありませんが。」
結論が不明確)
「結論をまとめていただけませんか。」
or 「・・(復唱)ということですね。皆さんよろしいですか?」
or 「では○○さんが、来週までに□□を調べて報告するということでお願いします。」
どうです、@話の前提 A話の根拠 B話の結論 この3点に的を絞って具体化するのです。
とは言っても、相手を攻撃して感情的にしては話が進みません。攻撃ではなく指摘、話やその根拠の具体
化をお願いする口調でやってみて下さい。
思い出して下さい。ファシリテーションは対決ではなく、円滑そしてEasyですよ。
Skill16 ファシリテーション入門3・対立(コンフリクト)解消編
ファシリテーションの目的は、会議やプロジェクトの「合意形成」です。
今回は、この合意形成を阻む対立(コンフリクト)の解消に焦点を当ててみます。
■ 常識を振り返る
まず、質問です。
司会者としてのあなたが、参加者の対立をうまくまとめようとする時、どのような方向性を考えますか?
・・・ 「対立する意見・主張の最大公約数を探る。」 そんな答えが多いと思います。もちろん一つの正解
なのだと思いますが、両者が納得する最大公約数って見つけられていますか?
結局は、声の大きな方や主張が論理的な方の意見が通ったり、地位の高いかたのジャッジメントに頼った
りしていませんか?
もし、いつも地位の高い方が決定するのなら、わざわざ話し合いに時間を費やさず、最初から地位の高い
方に指示してもらうほうが効率的です。
意思決定の場に参加したということ (つまりアリバイ作り)で、納得感を高めたような気がしても、心から納
得したわけではないので、決定事項が中々実行に移されなかったりもします。 ・・・経験ありませんか?
では、この常識的なやり方に不足していることは何か?・・考えてみて下さい。
■ 対立の原因=相違を探る
対立の原因を端的に言うと、お互いの主張(論点)が異なるからです。
ところが一旦、感情的になってしまえば、相手の意見を整理して考えることは出来ません。
意見を聞けば聞くほど「相手の意見は自分の考えと違うな。」と思い、『違う』 という気持ちが深まるばかり
です。
ここで、以前解説したファシリテーターの仕事を思い出して下さい。
@ 参加者にきちんと意見を言わせる。
・出来るだけ全員に発言させる (まずは否定せずに全員で主張を聴く)
・少数の意見もきちんと確認する
A 感情的な発言、論点に関係のない主張は控えさせる。
B 発言者の意見の内容を整理し、論点、理由、事実関係等を明確にする。
C 他の参加者に発言者の意見を理解させる。
D 納得できない者には、納得できない理由を明確にしてもらう。
そう、まずはファシリテーターとして、対立の原因=論点の違いを明確にしてみて下さい。
■ 相似から始まる協調関係
実は、対立解消の流れの中で重要なのは、相似。つまり意見の同じ部分を明確にすることです。
もし、何項目も話し合わなければならない議題があるなら、迷わず参加者がすぐにも合意しそうな議題か
ら始めて下さい。
特に、お互いをよく知らない参加者の場合、相手が自分と同じ考え方をしていると思えるような会話が積み
重なれば、お互いに協調意識が芽生え、例え反対でも相手の意見に耳を貸そうという気持ちになります。
事実、恋愛だってこの図式ですよね。 (もちろん例外もありますが。)
また、対立した意見の場合、相似部分を明確に出来れば、お互いの意見の相違 = 論点を更に明確する
ことが出来ます。
「お二人の意見で違う部分は○○ですね。それ以外は同じ考えですよね。
では、○○の部分についてお互いの主張を再確認してみましょう。」 ・・・・ そんな感じです。
■ 判断基準を考える
そもそも参加者が冷静な時に決めておくべきことがあります。
「何を基準に方向性を決定するのか。」 ・・・・ 極めて重要です。
声の大きさや地位の高さに頼らない判断基準を定めるのです。出来れば、会議の冒頭に参加者全員で
決めるのが望ましいのです。
利益、顧客満足、実現性 等々。判断基準が明確なら最終決定もし易いし、議論の脱線も防げます。
例えば以下のような議論。
「○○さんの意見は費用的に無理だよ。」
「△△さんの意見こそ、実現性が乏しいよ。」
「僕も、○○さんのやり方じゃ□□部の協力が得られないと思うな。」
一見、議論がきちんと出来ているように思えますが、
○○さんの主張と△△さんの主張が合理的基準で比較できていると言えるでしょうか。 このやり方で
最後に結論を出すのは、結局、最上位の方でしょう。
大事なのは、明確な判断基準でそれぞれの主張を比較することです。
「費用面についてお二人の意見を比較しましょう。」
「では、効果が出るまでの期間についても比較してみましょう。」
というように、理路整然と予め考えた判断基準に照らし合わせていくことが必要なのです。
そんな難しい話ではないでしょう。
でもイザ、議論が白熱してくると、中々合理的な判断ができていない例が多いのです。
是非、整然とした議論にTRYしてみて下さい。
■ 見える化で共通認識を作る
意見を目に見える形で整理する。 ・・・・ 最近はやりの「見える化」です。
会議の種類にもよりますが、チャートやフローで参加者の意見や論点、つながりをまとめて、参加者全
員が意見の相似や相違を一目で分かるようにします。
モレなくダブりなく (ミッシー = MECEと言います) 、明確に意見やその背景を整理するには「見える化」
(つまりグラフィック化) が近道です。
例えば、特性要因図や系統図。使ったことありますよね。そうQCで習ったことはファシリテーション手法
でも使えます。
ここまで読んで、対立を解消する方法を思いついた方もいらっしゃるでしょう。
例えば先程の、利益、顧客満足、実現性の各々にウエイト付け、得点付けをして各案の優劣を明確にす
る。 案が良いか悪いかではなく、 自分達の目的を果たすのに一番都合が良いのはどれかが明確にな
ります。
メリット・デメリットを全員で確認し、最適案を考えるのも有効です。
例えQCを習っても、経営会議に用いる方はまずいません。
でも今の時代に求められているのは合理的判断なのです。ホワイトボードに書き出すような場面でなくと
も、自分の手元で「見える化」してみて下さい。
>>> 見える化 (グラフィック化) の例 pdfファイル
● ここまでくれば多数決も有り
公平に発言して議論をつくせば、多数決で結論を出しても納得感は高まります。
一人一票でなく、持点10点で分割投票出来れば公平感も高いでしょう。 全員の意見で、新しい提案を
作り上げた。 そんな感覚がコンセンサスなのです。
〆〆〆
先日受講したファシリテーション研修の講師の方 (日本ファシリテーション協会会長) 曰く、
コーチングスキルはファシリテーションに役立つが、コーチングが心理系なのに対し、中立な立場で思考
系の流れを整理・制御していくのがファシリテーションとのことでした。
● 1stSTEP 思考の発散 意見(コンテンツ)を引き出し具体化する
● 2ndSTEP 思考の整理 論点を整理し、事実関係や根拠を明らかにする
● 3rdSTEP 思考の収束 フレームを再構築し、新しいアイデアとしてまとめる
例えば上記の流れに沿って、思考の流れを制御すると良いとのことでしたが、
私個人の考えでは、意見を引き出す道具としてコーチングを活用するだけではなく、相手の立場・気持ち
になって考えたり、自分を客観的に見たりするコーチングの前向きな部分をもっと活用することで、ファシ
リテーションも更に効果的になるような気がします。
先日の研修は、QCもコーチングも具体的には知らない方で満員でしたが、QCとコーチングの両方を学
んだ方々にとってはファシリテーションはものすごく近くに存在する。 ・・・・ 私はそう思います。
是非、あなたのチームの意見の整理に役立ててみて下さい。
Skill18 成功体験の棚卸し
過去の成功体験を自慢する方。皆さんの回りにいませんか?
もちろん、過去の成功体験が、現在の仕事に役立つ可能性はあります。
でも、打ち合わせの最中に「昔は○○のやり方でうまくいったよ」と口を挟まれても、打合わせが脱線した
り、話が後戻りした経験のある方も多いのではないでしょうか?
何故なら、過去の成功体験を語る方の多くはベテランで経験豊富な方、地位の高い方だったりして、会社
というタテ社会の中では、無視できない存在だからなのです。
うまくいったやり方を真似て、成功への労力を出来るだけ減らすのはビジネスであれば常道なのですが、
真似て役に立つかどうかはケースバイケース。
大事なのは役に立つ事例なのかどうか、十分な検証=「成功体験の棚卸し」をすることです。
では、どのようにすればいいのでしょうか?
■ 1.過去の検証
過去の成功したやり方がもたらした結果は、成功だけだったのだろうか?
十分な成果をあげたのだろうか?
⇒ とかく、良い話は誇張され、悪い話は無かったことにされがちです。
実際には、失敗をもたらしたかもしれないし、微々たる成果だったかも知れません。
必ず、具体的な事例で事実を確認してみましょう。
■ 2.現状の検証
過去のやり方が成功した状況と、現在の状況は同じ状況なのだろうか?
今も効力があるのだろうか?
⇒ うまくいった時と同じ状況が本当に再現できるのかと、現在の状況を色々な要素から検証してみて下
さい。もしかしたら、ぜんぜん違う状況かも知れませんよ。
社会・経済の状況、顧客のニーズ、自社の方向性、他社との競争等、当時とは状況が異なる要素は
幾らでもあります。
もちろん、成功体験を語る方に、そんなやり方でうまくいくのですか?とか、失敗だってあったでしょ。とか
言う訳にはいかないでしょう。
でも、
「常にうまくいったわけですね。」 とか、「楽勝だったのですね。」 とおだてるように訊ねれば、
「結構大変だったよ。」 とか、「経験があったから出来たのだよ。」 とか、単純にはうまく行かなかったこと
を語ってくれるかも知れません。
■ 3.「引出し」は沢山必要
戦術やノウハウという「引出し」を一つしか持たないのはすごく不安なことです。
会社として、そんな状況なら将来はないと考えるべきでしょう。
将来の色々な状況に備えるためには、あなたの会社も、あなたのチームも、あなた自身も、「引出し」を
増やす必要があるのです。
■ 4.過去の成功体験を改良する
誰かに押し付けられた過去のやり方を使うのはいただけませんが、良い方法が思いつかない時、行き
詰った時に、過去のやり方を改良できないかと考えるのは、立派な正攻法です。
米国の広告マンであるジャックフォスターは著書 『アイデアのヒント』 で、全く新しいアイデアを突然思
いつくための方法にページを割いているのではなく、既存のやり方の組み合わせで新しい発想を考え
ていくことを紹介しています。
柔軟な思考が柔軟な発想を生み出す。また柔軟な思考回路を形成する。そんな内容です。
そう、■1〜3 では過去の呪縛から逃れることを解説しましたが、過去を受け入れる柔軟性も捨てが
たいのです。
いったいどっちなんだ、と言われると困りますが、
人の言いなりなっているだけではダメだということだけは十分ご理解下さい。
Skill19 要約のテクニック
会議で発言の長い方。よくいらっしゃいますよね。
本人は一生懸命、話の内容を伝えようと説明しているのですが、聴いている側にとっては、話がディテ
ィールになればなるほど意味不明の説明になってきます。
要するに何を言いたいのか? 結論を先に言ってくれ。・・・そんな心の声が聞こえてきそうです。
実は、今回のタイトルとは裏腹に、話を要約する便利で即効性のあるテクニックなど世の中には存在
しないことを、最初にお伝えしておきます。
言いたいことや自分の想いをどう明確にするか=それが要約のテクニックなのです。
■STEP1 何故話が長いのでしょう?
最初に、話が要約できていないことではなく、話が長い理由を考えてみます。
第1の理由は、聞く側のことを考えていないからです。
会議の場で、聴く側の集中力が持続するのは精々20分くらいです。恐らく、話は途中までしか聴い
てもらえていません。食後の会議なら尚更です。
第2の理由は、話が要約できていないからなのです。
伝える必要のないこと、紙で配れば済むことを延々しゃべっても、結局は忘れ去られてしまいます。
スキル解説Mail25忘却の裏技 で解説しましたが、人は最初の20分で42%を忘れます。
・・・・・・ エビングハウスの忘却曲線です。
ついでに言うと、1時間で56%、1日で76%を忘れるのです。
一方的にあれやこれやと話すこと自体が時間の浪費でしかないということです。
■STEP2 話す目的、考えていますか?
それでは、何故話が要約されていないのか考えてみて下さい。
第1の理由は、自分が話す目的が明確でないからです。
人前で話をして、聞いてもらえばOKなのか、それとも会議の出席者に自分の主張を理解してもらい、
何らかの行動を起こしてもらいたいのか、それによって説明の仕方も変わってくるはずです。
若い頃、上司の方に言われたことはありませんか?
「結論を先に言え。」 「結局、お前はどうしたいのだ?」
会議であっても同じです。
・現状を理解して欲しい。
・一緒に対策を考えて欲しい。
・意見を出して欲しい。
・了解を得たい。 等の要望=話す目的を明確にして、最初に伝えましょう。
実は冒頭で 「言いたいことや自分の想いをどう明確にするか=それが要約のテクニック」 と
お伝えしたのは、これと同じく、話のコンセプトを最初に明確にしたかったからなのです。
では、話が要約されていない第2の理由。
それは自分の主張を明確にすることに慣れていないからです。
話す目的は明確にした。でもその内容をうまく伝えられない。
でも、前述のように即効性にあるテクニックなどありません。要約は慣れなのです。練習してみま
しょう。
■STEP3 身近な要約に学ぶ
「米軍再編。政府、月内合意を断念。」 「終末医療、揺れる現場。」 そう、新聞記事の見出しです。
TV欄のワイドショーの部分には、「メール事件、やっと指名公表。」
記事の主張・論点や番組の内容を完結に要約していますよね。
一面記事であれば、本文の前に更に要約が記載されています。詳細を知りたければ、本文を読み
進めればいいし、興味がなければ次の記事に移れる。
会議での発言も同じように、
@ 結 論、論 点
A 要 旨
B 詳 細 という順序で組み立ててみましょう。
ぶっつけ本番ではなく、事前に組み立てを行い、流れを確認しておく。
5分間のリハーサル。それだけで、あなたの発言は見違えるはずです。
さらに、加えて、
B詳細部分はできるだけ短くして、最後にもう一度、@結論、論点を繰り返せば、段違いに相手の
記憶に残ります。
■STEP4 自分自身の行動や気分を要約してみる
要約の効果的な練習。
それは自分の日々の行動や、気分、考えを要約してみることです。
それができれば苦労しない。・・・・確かに。
でももっと気軽に考え、自分の行動にテーマ名=タイトルをつけると考えてみて下さい。
「世界の中心で愛を叫ぶ」 ちょっと分かりにくいけど、何となくシーンが目に浮かぶ。
映画やTVドラマのタイトル、本の題名。そんな感じで自分の行動を要約してみても結構です。
自分の行動の目的や、主張が鮮明になってきます。
ただし、これだけでは大事なものが一つ欠けています。
では、ヒントです。 ・・・・・・ 世界の中心で愛を叫んだのは誰なのでしょう?
そう、要約に大切なのは、主語を明確にすることなのです。
例えば、
天気のいい日の気分を 「私は太陽がまぶしい」 というように一言で表現する。
誰かに 「まぶしい太陽」 と言っても相手には何のことか分かりません。
でも、「私は太陽がまぶしい」 と言えば、あなたの気持ちが要約されて伝わります。
どうです、そのくらいなら出来るでしょう。
〆〆〆
山田ズーニーさん(コラムニスト)の文章で面白いものがありました。
だらだら、あれやこれやと失恋の悔しさや言い訳を語る息子にオカン (母親) が一言。
「寂しいんだね、あんた。」 ・・・・・・・・・ これぞ要約の真髄ではないかと。
あなたも、なんだか自分の想いを要約してみたくなりませんか。
自らの主張を要約することは、「受信する ⇒ 理解する」 という思考体系を、
「考える ⇒ 発信する」 という思考体系に変えることでもあるのです。
Skill20 そうじ力について考える
今年もあと3週間。大掃除の季節になってきました。 (2006年12月に書いています。)
・・・・ と言っても、世の中、年末に大掃除をする方ばかりでもないでしょう。
社内を見回しても、机周りが綺麗に片付いている方もいれば、書類が山のようになっていたり、文具やら、
メモやらが散乱している方だっております。
最近、そうじ力ということばをよく耳にしますが、仕事の効率を高める秘密が隠されているらしいので、調
べてみました。
■ そうじとは、物事を整理することです
身の回りの片付けには、性格が現れるとも言いますが・・・・。
オフィスの机の上がごちゃごちゃしている方は、恐らく自宅にも色々な物がごちゃごちゃとしているはずです。
簡単に言えば、このごちゃごちゃとは、「ごちゃ混ぜの状態」。
考えるに、必要なものと不必要なものが、種分けされていない状態です。
当然、何か行動を起こそうとしても、今自分が使えるリソース(道具・情報等の資源)はどれなのか、探しだす
のに苦労します。 それが、日常の行動力や会社での仕事力の足かせとなるわけです。
そうじ力や、整理整頓が仕事力の向上につながる と書く書物のほとんどは、身の回りの物・事を把握すること
が、自分自身が使えるリソース (資源) を把握することにつながり、行動力や仕事力を高めると教えています。
ごちゃごちゃしているほうが居心地がいい、なんて考えは、はなから無視されているようです。
■ そうじとは、取捨選択することです
私自身は、家庭の色々な持ち物を種分けするのが不得意で、何でも捨てずにとっておく方なのですが、
散乱はさせずにきちんと箱に詰めて物置にしまって整理しています。
しかし、仕舞って置くことと整理することは、全く違うようです。
使える物と使えない物を、明確な基準を設けた上で取捨選択すること。
つまり、いらない物はさっさと捨てることが、そうじ力における整理です。
例えば、
未着手の書類、仕掛かり中の書類、作業が完了した書類は区別する。作業やプロジェクトが終了したら、
アップデートされ古くなった書類は捨てる。 その位の取捨選択基準は、そうじ力の基本のようです。
■ そうじとは、新しさを保つことです
整理整頓が必要なのは百も承知。でもそれができないんだよ。多くの方はそう言うでしょう。
私も同じ気持ちです。
でも、整理整頓ができないのは、その目的が不明確であるのが理由のような気がします。
整理整頓により仕事を効率化したいのなら、そのキーワードは鮮度。
オフィスのにおける身の回りの整理整頓における目的は、ある意味、仕事に必要な情報の鮮度を保つこと
なのです。
ファッションと同じように、情報は鮮度が保たれてこそ、自分の行動のセンスを高めます。
すなわち、身の回りの整理整頓 = 情報の取捨選択 が自分を磨くことにつながるのです。
■ では何を、どうやって捨てるか
より効率的な整理整頓を行うために捨てるべき3つの想いがあります。
●もったいない ●いつか使うはず ●過去の成功体験 です。
この3つを自分の頭から捨てない限りは、仕事上の効率化につながる整理整頓はできません。
今後所有し続けても、自分の能力を高めることに資することのない物を徹底的に捨て去れば、残るのは
即戦力となるものばかり。という理屈です。
そして肝心なのは、取捨選択を判断するための時間は最小限にすること。
考えれば考えるほど、捨てられなくなるからです。
朝、仕事前の10分間で昨日一日の書類を整理しよう。位の気持ちで、
@絶対必要な物 Aどちらかと言えば必要な物 B必要でない物 の3つに分けて、
Bは即ゴミ箱行き、Aはもう1回書類を見ながらゴミ箱行き。
書類が片付いたところで、すっきりとしてその日の仕事をはじめる。いかがでしょうか。
■ そうじは迷いをすっきり、気持ちをさっぱりさせます
仕事に集中できない方の最大の要因は、目の前に書類をはじめとする大量の物があり、気が散ってしまう
からだと書かれている書物を見かけます。
でも、私自身は、ちょっと違い、仕掛り中の色々な書類や作業の優先順位が不明確だと、一つの仕事に集
中できず、こっちをちょっとやって、あっちをちょっとというように集中できなくなります。
いずれにせよ、
きちんと身の回りが整理整頓され、仕事の優先順位・納期が明確なら、何から手を付ければいいのかとい
う迷いがすっきりし、さっぱりした気持ちで仕事に打ち込めるはずです。
■ 割れ窓理論はそうじ力の原点
ビルの割れ窓や落書きを放置しておくと、その建物は管理されていないと思われ、そのビルは更に荒らさ
れる。またそのビルを放置すれば、街全体に荒廃が広がりスラム化してしまう。
・・・・・ という理論を「割れ窓理論」と言います。
ニューヨークのジュリアーニ市長はこの理論に基づき、街角から荒れた窓や地下鉄の落書きを一掃し、街
全体の治安回復を図ったそうです。(もちろん警察官も大幅に増やしたそうなのですが。)
実は、私たちの机の周辺の散らかりは、この理論の割れ窓や落書きと同じです。
放置したら散らかりがどんどん広がるかどうかは別としても、きちんと片付けを行い、その上、整理整頓さ
れた状態を維持できれば、自分の気持ちも周囲の見方もリセットされ、やる気も信頼も高まるはずです。
あくまで理論なので、個人差は大きいと思いますが、
整理整頓の効果の一つとして気持ちのリセットを上げる方は多いようです。
■ 仕事のプライオリティ (優先順位) 考えていますか
こと仕事に関して言えば、優先順位をつけることは出来ても、やるべきことをやらずに捨ててしまうことは
できません。特に、いつも時間に追われているような方は、身の回りの整理整頓が済んだら、仕事の整
理整頓 (=優先順位付け) を考えてみましょう。
● まずは、仕事のリストアップ
優先順位付けの第一歩は、今抱えている仕事の全体像を掴むことです。
抱えている仕事を思いつくままに、全てリストアップしてみましょう。
忙しい忙しいと言う方に、何が忙しいのと訊ねても、ちゃんと言えなかったりするのは、仕事の項目や全体
像を頭の中できちんと把握できていないことが原因です。
● 次に、仕事のウエイト付け = 層 別
@重要なもの、重要ではないもの A緊急なもの、緊急ではないもの
こんな判断基準で、仕事のウエイトを考えてみて下さい。
A : 重要かつ緊急なもの
B : 重要ではないが、緊急なもの
C : 重要だが、緊急ではないもの
D : 重要でも、緊急でもないもの
と順位付け、リストアップした仕事の項目にAからDの記号を振ります。
(マトリックス化すると判り易くなります。)
● 仕事の所要時間の把握
締め切りまでの時間ではなく、やり直しや不意の仕事が入った場合を考慮して大まかな所要時間を設定
します。 併せて、指定の納期があれば、これもリストに追記しましょう。
これによって、Cだと思っていた仕事が時間的余裕が無く、Aであることが判明するかも知れません。
● 納期を考慮し、リストを並べ替える
Aから順に、所要時間・納期を考慮し、仕事のリストを並べ替えます。
優先順位の高い順、納期の早い順に並べ替えることで、あなたの仕事の優先順位は明確になります。
以上の手順は、をきちんとやろうとすると、面倒くさくてやる気が起きないので、できるだけ大雑把に、
メモ書き程度でやってみましょう。
〆〆〆
そんなことやってられないよと思う方も多いかも知れませんが、以前、セミナー後の懇親会で同世代の会
社員数名と話をする機会があり、手帳の使い方の話題になった際、皆さん揃って、今週のスケジュール欄
に、やるべき作業、ABCと同じ意味の優先度記号、締切を記入していました。
しかも、今週何を勉強するか、今月何の本を読むかの予定が数ヶ月先までびっしり書かれている方が何人
もいて、かなり驚きましたが、世の中には、目標に向かって、理路整然と行動している方が普通にいるとい
うことです。
〆〆〆
まあ、そこまでやらないにしても、時間に追われているから整理整頓も仕事の優先順位付けもできない。
・・・・・・ ではなくて、
時間に追われているからこそ、たまには整理整頓し、すっきりした気持ちで仕事を効率的にやってみては
いかがでしょうか。
毎日ではなく、週1回でも、月1回でも、ルーチンの仕事が片付いた後に、自分の身の回りや、仕事の内
容を定期的にチェックする習慣をつければ、そんなに苦痛ではなくなると思いますよ。
Skill21 ツキを呼ぶ行動の法則
良いことが起きると、たいていの方は「今日はツイテいる日だ」などと言い、運や巡り合せに感謝します。
でも、国語辞典で調べたところ、運命とは 「人の意思を超越して幸・不幸をもたらす力」 のことであり、
単なる偶然 = 巡り合せとは異なるものなのです。
例えば、昨晩勉強した問題が試験に出るというのは巡り合せ、つまり偶然ではあっても運ではありません。
単なる偶然でうまくいっただけだ、もっと努力しなければと自分を戒めている場合は別として、多くの方は、
運が物事を左右するのだと心の片隅では信じているわけです。
実は、ツキや運を引き寄せる行動の法則があるという考え方があるので、ご紹介してみます。
■ イメージは実体化する
自転車やオートバイのような不安定な乗り物では、目で見た方向に向かって進んでいくと言われます。
身体が自然とバランスを取るからです。
また、心理学の世界では、自分がやりたいと思っていることを行なっている姿や、自分の行動や仕事がう
まくいき成功しているイメージを常に頭に持つことで、自分の行動が実際にうまくいくと言われています。
病気を攻撃する視覚イメージを毎日頭に描き続けることで、病気の回復が早まったという比較実験の結
果もあります。(医学的には証明されていませんが。)
どうやら、イメージを描くことはツキを呼ぶ第一歩であり、多くの方にとって、イメージは行動を導くレール
となるようです。
事実、これからやろうとしていることを実際に思い浮かべてイメージトレーニングを行うことは、行動のリ
ハーサルを行い、失敗を防ぐための確認作業になると同時に、その場面を擬似経験し心が落ち着くとい
う効果もあります。
もちろん、イメージと現実は異なりますが、出来るだけ具体的に思い浮かべることで効果は増すようです。
試してみて下さい。
■ 迷ったら行動する
よく言う話ですが、宝くじは買わなければ絶対に当たりません。
もちろん、買ったからといって当るとは限りませんが、買わなければ当る確率がゼロなのは決定的な事実
です。
ギャンブルをやれと言っているわけではありませんが、一度やってみたいと思ったことは、我慢していて
もいつかきっとやってしまうはずです。
店先で欲しいと思ったけど衝動買いはいやだなと買わずに帰り、やっぱり買おうと決めて翌日行くと売り切
れていた。 そんな経験はありませんか。
迷った時には、悶々と考える前に、まずは行動してみましょう。 それがツキを呼ぶ行動の第一歩です。
と言っても、みさかいなく行動しろと言うわけでもありません。
普段から自分なりのリスク判断や価値観を明確にした上で、どんどん行動してみる。
それがタイミングを逃さないコツなのです。
■ 継続の原則
石の上にも3年といいますが、目標に向かってコツコツと努力を続けることは遠回りに見えても、 成功への
近道です。
それこそ、単なる巡り合せにうまくぶつかる確率だって増大しますし、仕事や勉強であれば努力の結果とし
て知識が徐々に積み重なります。
でも、今うまくいかないからといってすぐに諦めてしまう方には決してツキは巡ってこないのです。
但し、無駄な努力。そんな言葉もあります。
例えば、作家に成りたいと言うのなら、才能がなくては始まりません。 努力の方向性が間違っていては何
にもならないというわけです。
まずは自分の気持ちや、向き不向きを考えた上で、やると決めたらとことんやってみましょう。
■ 最初はじっくり、ベースを作る
迷ったら行動する。そうは言いましたが、イケイケどんどんで加速度を上げて行動すると、うまく行かない場
合が多いのも事実です。
ツイテないとなげく方もいますが、実は、焦ったり、目先の目標に捉われて間違った方向に進んでいるのに
気付かなかったり、行動や生活の変化に気持ちや体が付いて行けなかったりしているのです。
そうなれば気持ちもどんどん後ろ向きになってしまいます。
一旦行動に取り掛かったら、いきなり突き進まないで、きちんと計画を練ってじっくり準備をしてベースとペ
ースを整えた上で徐々に加速度を上げていく。
それが、あなたの行動のモチベーションを高め、周囲の方も安心して巻き込まれていく図式を作るのです。
ツキが計画的に呼び込まれていく。 そんな状態を作り込みましょう。
■ 身近な目標がツキを呼ぶ
1年で1億円をかせぐという目標の実現性は低い(というより無理)ですが、3ヶ月で10万円を貯めようと思
えば実現性は飛躍的に高まります。
いきなり大きい目標ではなく、手の届く目標を順次掲げれば、達成感も持続するし、小さなツキが自分を包
んでいるという気にもなれるでしょう。
本当にツキがあるかどうかは別にしても、一歩一歩前に進もうというプラス思考の気持ちが持続できれば、
色々なことで成功出来るでしょう。
効率的に目標を達成したいと思うのなら、ゴールから逆に目標を立てていくという方法もあります。
・ 5年後にビジネスコーチとして独立し、法人化する。(ゴール)
・ 4年後までにクライアントを延べ30人経験する。
・ 3年後までには認定コーチの資格をとる。
・ 2年後までにクライアント3人にコーチし、かつ心理学の基本を学ぶ。
・ 1年後までに基本的なコーチの勉強をする。
そんな具体的な計画を立てて起業を実現したコーチの方を見聞きします。
もはやツキではなく、計画と努力の賜物ですよね。
■ 友人の輪がツキを招く
昔、セルフコーチの本を買うと、自分にとって資産である100人の仲間をノートに書き、仲間の各人が自
分にとってどう有益なのかを明確に書き記せと書いてありました。
最初は5人でも10人でもいいから1、2年で100人にすれば自分自身の成功につながると言うのです。
残念ながら私には、はなから利用する目的で見つけた仲間が真の友人になるとは思えなかったので、友人
を無理に増やすことはしませんでしたが、友人が多ければ、ツキに出会うチャンスも多いでしょう。
彼女を10人に増やすことは出来なくても、友人を10人に増やすことは可能でしょう。
あっ!身近な目標の話は前項でした。
まあ、友人とまでは言いませんが、社内外の会合に積極的に参加して知人を増やしたり、現在の知人との
情報交換の機会を増やすのも良いでしょう。
■ 人には親切にする
人にした親切は、自分に返ってきます。
私と同じく友人を無理に増やすことが嫌な方も、人に親切には出来るでしょう。
多くの方は、助けてくれた相手が困っていたら助けたいと思うはずです。
お返しを期待して親切をするのは良くないですが、自分に余裕がある限りは周囲の方を支援しましょう。
あなたに味方が増えれば増えるほど、ツキが回ってくるチャンスも高まります。
■ 行動に意味を持つ
以前、右回り (時計回り) の法則というものを紹介したことがあります。
歩き出す時、階段を上る時、意識して左足から踏み出すと心が奮い立つ。ネジは力強く締める為に時計回
りになっている。コーヒーは右回りにかき回すと味が良くなる等、右回りはパワフルの源だという話です。
真実はどうなのか、左利きだとどうなのか等はわかりませんが、私自身は、日々自分の行動と結果を意識
しろという意味で受け止めています。
日々同じ仕事や生活を淡々と行うのも一つの生き方ですが、自分の行動一つ一つを意味あるものと意識し
て、出来れば目標を持って、昨日と違う今日・明日、昨年と違う今年そして来年を目指してみて下さい。
5年前、10年前と比べて自分が成長していないのも変でしょう。
自分の成長は、努力の結果だ。そう思えれば、あなたにはもう、ツキなんて必要ありません。
ツキ(付き)や巡り合せを呼ぶというよりは、行動を成功させる方法のような論調となってしまいました。
今回の話題の全ては、自分自身に物事をやり通し実現させる能力があるのだと、自分が信じることが基本
となっているからです。
自分自身には何かを実現する力があると信じる前向きさこそが、ツキを呼ぶコツそのものなのでしょう。
きっと。
Skill22 時間を効率的に活用する
以前、スキル解説34「時間を守れない4つの理由」にて、何故、時間や約束を守れないのかについて
解説しました。
@ 勝手に決められた期日を守る理由はない
A 忙しくて物理的に無理
B 単にルーズな性格
C 深層心理がサボタージュを生む
理由と解決方法はそれぞれですが、共通しているのは、仕事や時間にコントロールされるのではなく、自分
が仕事や時間をコントロールしていこうという前向きな考え方です。
では、どうやって時間をコントロールし、効率的な活用を図るのか? それが今回のテーマです。
■ 2対6対2の法則で考える
何度も出てくるパレトの2対8の法則。
その理屈によると、2割の優先度の高い仕事が、仕事の成果の8割を占めている ということになります。
では、残りの8割の仕事はやらなくても良い。という訳にも行きません。
そこで、タイムマネジメントの第一段階は、優先順位の低い8割の仕事を見直すことから始めましょう。
8割の仕事は、概ね、
@ 優先順位は低いが、必要な仕事。
A 優先順位も必要度も低い仕事。 に分類が可能です。
仕事が手一杯でどうにもこうにも終わらないよという方は、
@に当てはまる仕事の効率化、 Aに当てはまる仕事の廃止 を検討すべきです。
最近では2対6対2の法則(優秀な2割、どっちつかずの6割、問題な2割)という考え方があるそうですが、
あなたの仕事も、優先すべき2割、残すべき6割、無くすべき2割と置き換えてみると判り易くなります。
■ 3つの病気を排除しろ
さて、多くの方は、タイムマネジメントの障害となる3つの病気を抱えています。
まずはこの3つの病気を排除することを考えて下さい。
1) ぎりぎり症候群
締切り間際に仕事を片付けようとする方、これはかなり悪い癖です。学校の宿題とは違い、仕事は次々と沸
いてきます。従って、来週やろうと決めた仕事を、実際に来週出来る可能性は一日毎に減るのです。
締切りぎりぎりまで仕事に手がつけられないような方は、達成すべきゴールとその期日を明確に意識してみ
て下さい。ゴールから逆算し、自分がスケジュールのどこにいるのかを常に確認し、今やるべきことを考える
習慣を身につけましょう。
2) 完璧主義
完璧主義の皆様、限られた時間の中で全てをこなすのは不可能です。
「完璧」 ではなく 「進歩」 をめざしてみてはどうでしょうか。
今日は一つの進歩で我慢する。進歩を何度も重ねれば、いつかは完璧になれます。
3) 自分で全てやろうとする
自分で全てやらないと、自分の思い通りの結果にはならない。当り前です。
ちょとだけ心に余裕を持ちましょう。目的が達成出来るのなら多少の違いには目をつぶるのです。
もっと、部下や後輩に仕事を任せてみましょう。多少のミスだって、問題点や原因をきちんと理解出来れば、
本人の成長の糧となるはずです。
3つの病気、排除出来そうですか?
1か月に1つづつでもいいので、自分に当てはまる問題点を意識して行動してみて下さい。
■ 仕事の生産性を見直す
仕事の生産性は、本人の能力、仕事の進め方、道具の3要素で決まります。
自分自身の能力を急に向上することはできませんが、 仕事の進め方や道具については、 検証してみる価
値があります。
ただでさえ仕事に追われている方は、そんな時間はないと言うかもしれませんが、ほんのちょっとだけ時間
を作って、振り返ってみて下さい。
では、仕事の進め方。
例えば、やみくもに仕事を進め、関係先と調整がうまく行かないと嘆いている方は、自分の仕事の進め方が、
相手の仕事の進み具合を考慮したスケジュールになっているかを振り返ってみて下さい。
先方はあなたと打合せする準備が出来ていなかっただけなのかもしれません。
どんな優秀な板前だって魚が釣れなきゃ料理は作れません。
「段取り8分」 の言葉どおり、関係先との仕事の噛み合せや、仕事の流れがスムーズになるように、仕事を
段取りしていくことが必要なのです。
それでは、道具。
あなたは、EXCELを使わず手書きの表に記入した数字を電卓で集計したりしていませんでしょうか。
この場合のEXCELと同じようにあなたの仕事の効率化を図る道具がないか探してみて下さい。
〆〆〆
自分と同じような仕事、作業をしている方が、どんな方法で仕事を進めているかをリサーチすると、全く違っ
たやり方であったり、効果的な道具を使っていることが判明するかもしれませんよ。
他社を調べるのは困難でも、職場の先輩なら教えてくれるかも知れません。
少なくとも、今の自分の仕事の進め方が、常に絶対に正しいと盲信することだけは止めないと、仕事の効率
化は図れません。 そう思って下さい。
■ スケジュール表で仕事を可視化しよう
ちょっと前に、手帳術なんて言葉が流行ったような気がしますが、もしかして、そんな流行りを小ばかにして
いませんでしたか?
とは言え、あなたも手帳の1冊位は持っているでしょう。
会議・打合せ・アポの予定、飲み会の予定を記入してますよね。
何の為? ・・・予定を可視化するためですよね。
実は、会議や飲み会の予定だけを記入するというのは、スケジュール表をポイント (点) としてしか活用し
ていないことなのです。
例えば、手帳術の本が語るように、あなたが自分の夢に到達するまでの道筋・道標 (マイルストーン)を可
視化するとしたら、それはライン (線) としてスケジュール表を活用することになります。
ポイントとポイントが線でつながった工程表をプロジェクトの管理に活用している方は多いでしょう。これは
仕事の手順の可視化ですよね。
でも自分の抱える違う仕事同士の兼ね合い、 飲み会の予定までを一つの工程表に書いている方は、たぶ
んいないでしょう。
あなたの夢まで可視化しろとまでは言いませんが、
もしあなたが、仕事に追われて根を上げているなら、 ちょっと時間を割いて、あなたの全ての予定を可視化
することで、問題解決の糸口が見つかるかも知れません。
一度、
何をいつまでにやるのか、どの作業がどの作業に優先しているのか、その全てを明らかにしてみて下さい。
好みもありますが、特に1ページが1週間の手帳を使用している方は、取りあえず、 見開きで1ヶ月の予定
表に仕事や打合せの予定を書き移すだけでも、先々の予定が可視化されるようになるはずです。
例えば、自分の予定は赤、上司や同僚・部下の予定は青で書いてみると、 上司に承認を得やすい時間、
調整がしやすい時間、サポートを頼みやすい時間・日程等が見えてくると思います。
そして仕事を可視化することの最大の目的は、ゴールを明確にすることではなく、仕事量の平均化を図るこ
と。つまり平準化です。
仕事の順番を入れ替える、同時進行出来る仕事は同時に進める。そんな工夫を試してみてください。
それが、タイムマネジメントの基本です。
■ もっとタイムマネジメントを工夫してみましょう
● 今日出来ることは今日やる
明日何があるかは分かりません。明日の忙しさを今日に分散するための誰でも知っている行動の基本です。
でもそれが出来ない。そんな方は自分の1時間がとても高価だと認識しましょう。
● 電話は自分からかける
電話を待つのは人の時間を大切にすること。もちろんそれも大切です。
でも、てんてこ舞いから抜け出したいのいなら自分からどんどん電話をかけて、自分で、自分の時間をコント
ロールしましょう。
● 仕事の締切りを必ず確認する
こんなあたり前のことを敢えてやらない方は、催促や締切りそのものを恐れているのかもしれません。
でも仕事には必ず締切りがあります。
たとえ余裕のある仕事でも、 3日以内に仕上げるのと、 3ヶ月後に仕上げるのとでは、成果の価値が異なり
ます。 仕事の成果には旬(しゅん)がある。覚えておいてください。
● 仕事の時間を記録してみる
家計簿をつけるとお金のムダが見えてくる。同じようにあなたも作業時間を記録すれば、自分の作業のムダ
が見えてきます。打合せに3時間使った。
移動に2時間使った。議事録の作成に2時間かかった。その中から、短縮出来る部分が見えてくるはずです。
30分で打合せが終了した時はどんな準備をしたのか? 次も同じだけの準備をしておこう。
そんな考え方をしてみて下さい。
● 頭をすっきりさせる
朝寝坊と昼寝。睡眠不足やストレス過多には効果が絶大。でも、普段きちんと眠れて元気な方なら、思考能
力を低下させる要素でもあります。
仕事を始める前にちょっと余裕があるなら、頭のウォーミングUPとして、新聞を読んだり、書類の整理でもし
た方が思考能力の臨戦態勢を保てます。
〆〆〆
タイムマネジメントなんて言葉を聞くと、管理管理と自分を縛りたくないと思いませんか。
実は私自身もそう思います。 面倒なことはやりたくない。 そして長くは続かない。 誰でも同じです。
そこで、前述のように自分の時間が貴重であると信じること。
そして女子高生のように、手帳や携帯の時間管理ソフトに綺麗な絵文字でスケジュールを書いて時間管理
そのものを楽しむ。
・・みたいに、時間管理や仕事の工夫そのものを楽しむことが、タイムマネジメントを持続させる基本なのだ
と私は思います。
無理をせず、自分に出来ることからやってみて下さい。