目標管理
「目標達成のために、何かサポートして欲しいことあるかな?」
って部下に聞いたことありますか?
目標管理の始まりは「今年は何をやりたいの?」と声をかけることからはじまります。
上司のあなたが与えた目標が達成される可能性より、部下が自分自身で定めた目標が達成される可能
性のほうがはるかに高いって気づいていましたか?
このページでは、多くの企業で採用している目標管理型の成果把握制度を、効果的なコミュニケーショ
ンを行いながら進めていくために、コーチングスキルを活用していくためのページです。
コーチングだなんて意識する必要は特にありません。 上司と部下で目標について考えていくためのヒ
ントを提供しています。
→ 「今やっていることが実現できても、本来の目的は達成できないと思うけど。検証してみようよ。」
すべて終わってから、間違いに気づくことほど、マイナスなことはありません。 頻繁なコミュニケーションが
脱線を防ぎます。
是非、面談の時間を上司と部下の双方向の対話への1ステップにしてみて下さい。
2ndcolumn ビ ジ ョ ン (Vision)
ビジョンについてもう少し考えてみましょう。
ビジョン (Vision) には構想、夢、将来像、幻 というような意味があります。 身近なのは、自分自身の将来に関
するビジョン(将来像、夢)。仕事や私生活の目標を現実化するための方法や手段に関するビジョン(構想)。
■ STEP1 リーダーとしてのビジョン
コーチングでは、@ビジョンを持つこと、 Aビジョンやゴールをイメージ化し、常に意識すること がビジョンやゴー
ルを現実のものとする原動力になる と言います。
あなたがチームで作業しているとして、メンバー全員がプロジェクトや作業のゴールをきちんと認識しているのと皆
のイメージがバラバラなのとでは、おのずからプロジェクトの出来は異なってきます。
もし、彼らにリーダーがいて、目的意識を同じレベルに引き上げることが出来たら、プロジェクトは最高のゴールを
目指せるかも知れません。ビジョンを掲げメンバーに正しく理解してもらうことはリーダーの重要な役割なのです。
あなたがあなたのチームのリーダーなら、メンバーにゴールをイメージさせるための質問を、繰り返し繰り返しして
いく。
「何ができあがるのかな?」とか 「最後はどうなるの?」とか
ここでのゴールはあなたや、部下のビジョンであり、目標です。ビジョンを考えさせる質問をする。それがコーチング
なのです。
★ ビジョンはホラか ★
ビジョンを語ることは「夢」を語ることでもあります。達成可能かどうかは別として、メンバーの視線を未来に向ける
ことができます。
「1年後には世界NO1の会社にする」 そんな現実からのギャップの大きなビジョンはメンバーからすればホラ話に
聞こえかねません。
でも、「5年以内に業界5位以内になる」であれば「明確な目標」として受け止められるでしょう。
目指すべきビジョンが手の届きそうなものであれば、メンバーは共通の夢を見て、共通の目標に立ち向かえます。
また、夢という要素が加われば、多くの人を巻き込むことができます。
リーダーの皆様、ちょっと大きくて、でも手が届きそうなビジョンをメンバーの方々に語って下さい。是非。
★ 計画そして実行 ★
ちょうど2年前、 私が受講したセミナーで、会社改革シナリオ本 「V字回復の経営」 の執筆者で企業改革コンサ
ルタントの三枝匡氏 (現ミスミ社長) が語っておりました。
「ビジョンだけで社員をドライブできた企業はない。改革には実行に至る綿密な計画とトップの強い意志が必要。」
(≒ ビジョンだけの企業は確実に滅びる)
そうです、目標を達成するための計画、そして具体的な実行が伴えばビジョンは幻では終わりません。
リーダーとしてのビジョンの実現には、リーダーであるあなた自身が強い意志を持ち、 率先して行動することが不
可欠なのです。
■ STEP2 メンバーのビジョンを考える
部下のビジョンを考えるのは部下自身です。
将来に対するビジョン、仕事の成果を確実にするためのビジョン、単なる夢、ビジョンのレベルは色々あります。
組織のゴールとメンバーのゴールが一致する関係は理想の関係です。
ビジョン ≒ ゴールです。
Win−Win=双方に利益がある 関係を作っていくためにリーダーができることを考えてみましょう。
部下に全てを任せ、チームとしての組織目標を考えさせる。コーチングとして理想ではありますが、会社全体の
組織目標と合致させるのは非常に難しいことです。当たり前ですが、コーチングは手段であって、目的ではあり
ません。
まずは、部下が求めている仕事のゴールや、仕事で満足できる価値観といった部分に焦点をあて、部下にイ
ンタビューしてみましょう。
「1年後、どんな自分になりたいと思う?」 「その時、どんな結果が出せているのかな?」
「満足できるために、欠かせないのはどんなところかな?」 そんな調子です。
価値観は、自分は何を基準に、どのように生きていくのかを示す基準です。価値観の内容を明確にしない限り、
価値観にみあう行動を実践することはできません。 そして、行動を伴わない価値観はただの願望でしかありま
せん。
部下のすべてを知ることは不可能です。
でも、目標設定や、組織目標の分担を考えたりする際に、部下がどんな価値観を持ち、何をやっていこうと思っ
ているのか、その片鱗に触れることができていれば、納得性のある目標設定に一歩くらいは近づけます。
3rdcolumn
面談のすすめ
■ STEP1 部下との対話
質問です。部下のほとんどが上司に求めていること。それは、何でしょう。
能力を認められる、誉められる、評価してもらえる、教育の機会・・・・。 部下の気持ちになって考えればいろ
いろあります。でも、いろいろなヒヤリングや、自己申告等を見る限り、一言で言って コミュニケーションです。
上司とのコミュニケーション、それも自由に話せるコミュニケーション、上司と同じレベルの情報が共有出来て、
会社や部門の進む方向が理解出来て、加えてどうどうと不満が言えるようなコミュニケーションです。
部下の多くは、十分なコミュニケーションと情報共有の中で、自分にも能力を発揮できる場面があるはず、で
もそれがかなっていないと思っています。
上司やリーダーと言われる立場にある方に、部下と対話がありますかと聞くと、多くの方が、部下とは良く会話
出来ていると答えます。
しかし、その部下の方に上司と対話があるかと聞くと、ほとんどが、対話はない、一対一の面談をしたこともない
と答えます。 雑談は対話ではありません。 また、一方的に話をするのも対話ではありません。
部下の言いたいことを聴く、否定せずに、しっかりと受け止める。そして部下のやりたいことを共に考えていく、
それが対話なのです。
いえ、対話以前に上司とはほとんど満足に話しも出来ていないとおっしゃる部下の方は多いのです。
一対一、きちっと時間をとって部下の話を聞く。それで十分です。
****
個人面談からはいろいろな答えが出てきます。 部下がやりたいこと、不満、上司へのリクエスト、すれちがって
たことへの気づき。 他もろもろ。必ず、何かが得られると思います。
一度も個人面談をしたことがない上司の方、深く考えると中々行動に移せないものです。まずは十分な時間と場
所を確保して、部下と一対一でじっくり話しを聴いてみて下さい。部下の不満の大部分は、不満の中身より、話を
聴いてもらえないことにウエイトがあるのです。
但し、ガス抜きは面談の最終の目的ではありません。より効果的な面談をしようと思う方には以下のヒントをご紹
介します。
■ STEP2 面談を計画する
1.面談の目的を明確にする
部下の育成をサポートする、グループ内の問題を把握・解決する、部下個人のニーズや進路希望等を理解し
て適切な配置、業務配分の参考にする等、話を聴く目的を明確にし、そのための適切な質問を用意します。
業務の打合せをするわけではないので、特別な理由がない限り部下全員を対象にしたほうが公平感があり
ます。
2.面談のステップを考える
A カウンセリング型
部下のニーズや進路希望の確認、グループ内の問題点把握・解決、単にハッパをかける等が目的なら、
半年に1回くらいの周期を決めて、定期的に面談を行います。
B 成長支援型
●部下の成長支援等、具体的に目的があるなら、役付職の目標面談と同じように半年とか1年の育成
(観察)期間を決め、その期間中のステップとして、いつ、どんな面談をするかを決めます。
●例 1)初回面談 @ニーズを聴く A目標・方向性等の意見交換 B任せる業務や課題、目標を確認する
※複数回に亘るかも知れません
2)期中フォロー @方向性確認 A進捗確認 Bアドバイス
3)成長確認 @結果確認 A次期へのフォロー
※事前予告
A、Bいずれにせよ、今から面談だなんていきなり言うよりは、いついつ、○○について話がしたい
から、事前に考えておくようにと 余裕をもって告げます。
雑談ではないのだということ、また面談の目的については明確に伝えて下さい。
■ STEP3 コミュニケーションを円滑に行う
コミュニケーションはコーチングの最大のテーマです。何度も解説していますので覚えている方は斜め読み
して下さい。
1.積極的に聴く
聴くというのは難しいものです、義務感のみで面談しても、感情的になったり、落ち着きがなかったりして、
中途半端なものになりかねません。
面談の目的を意識したり、部下の言葉から何かを知りたいと思ったり、部下そのものに興味を持つことで
集中して聞きましょう。
● 口を挟まず、黙って聴く
相手に満足ゆくまで話させるのは大事なことです。どうしても口を挟んでしまう性分なら、口を挟む前
に頭の中でゆっくり3つ数える努力をしてみましょう。
毎回やっていれば、少しは我慢できるようになるかもしれません。
● 決め付をしない
先入観は、相手の考えを理解する邪魔になります。相手に対する思い込み、決め付けはこの際忘れ
ましょう。
● 同じ言葉を使う
相手の使った言葉と同じ言葉で相槌を打ち、安心させる。
「私は○○と思うのです。」 「そうか、○○と思ってるんだね。」
2.ボディランゲージに注意する
目は口ほどにものを言います。ジェスチャーは会話を円滑にします。
● 会話を促進する仕草
・体を相手に向ける ・身を乗り出す(聞き漏らしたくない態度)
・相手の目をみる ・うなづく(そうだねと口に出すのもよい)
● 会話を封じ込める仕草
・目が泳ぐ(窓の外や時計、あらぬ方向を見る) ・あくびをする
・頻繁な足組換え、髪を掻上げ、ペンをカチカチ等 (落ち着きない態度)
・呆れ顔、しかめっ面 ・手を挙げ制止する
3.相手の話が正しく理解できているか確認する
例えば、部下が「よくわかりません」とあなたに言ったとします。
「私には、よくわかりません」には色々な意味があります。
例えば、
@ あなたの提案には従いたくない
A あなたは正しくないと思う
B あなたの言わんとしていることがわからない
C この問題についてはよく知らないので決定して欲しい
D 私の意見を聞かないのならどうぞご勝手に
あなたの受止め方次第で、話の進む方向は全く違ってきます。
自分が、部下の話していることを本人が伝えようとしている意味通りに理解出来ているのかを、
話を遮らないタイミングで確認する習慣をつけましょう。
4.質問を考える
面談の目的によっては質問も変わります。事前に考えていなければ効果的な質問をするのは難し
いものです。
●質問の目的
1) 本人の考えを整理させる
2) 視点を変えさせる
3) 気付きのきっかけを与える
●質問のテクニック
1) 短く区切ってわかりやすく
2) 1回に一つだけ
3) 批判的なニュアンスを含まない言葉で
4) 質問したら黙って待つ(急かさない)
質問しても、中々応えられない方はいます。でも大抵は、考えがないわけではなく、想いを整理し
て人に伝えるのに慣れていないだけなのです。
「5年後、この会社でどういう仕事をしていたいの?」 とか
「この1ヶ月で没頭できた仕事って何?」 でもいいですし、
考えが広がったり、引出せたりする質問を用意してみましょう。
■ STEP4 問題を抱える部下に
雑談ではないと明言したからには、部下の悩みや問題に対して、何かしらの対処(フィードバック)が必要です。
もちろんケースバイケース(テーラーメイド)なのですが、以下の対応を心がけましょう。
@上司として解決できること
Aさらに上位職に相談すべきこと
→ 具体的かつ迅速な対処をする
B部下が自分で解決すべきこと
C今は解決困難だが放っておくべきでないこと
→ 継続的に指導、助言をする(サポートがあり、一人で悩む必要は無いことを示す)
曖昧な対応や、ぐずぐすした対応は問題を長引かせ信頼も失います。業務上の提案や問題提起、部下個人
の業務スキルや仕事への熱意、職場のトラブル、健康上の配慮等の問題が出てくるかもしれません。でも上
司としてめざすのは、部下が業務で100%の力を発揮できる状態を維持することです。
※後々面倒が見れない全く私的な問題に関わるのは、特に注意が必要です。内容によっては、職場の上司
としてではなく社会人の先輩としての助言しか出来ないとはっきり告げるしかありません。
もちろん部下の個人的な秘密は絶対厳守です。
部下の立場で考えると、
何度か面談をしてみて、個人面談が、ほじくられ、監視される場ではなく、言いたいことを言って、助言がもら
える場なのだと思えば格段に話しやすくなるでしょう。
是非、あなたの全ての部下と個人面談をしてみて下さい。
4thcolumn
あなた自身の目標を考える
さてさて、もうすぐ3月になってしまいますが、皆さんは今年の目標って、何か立てましたか?まだ、何も目標
がないとおっしゃる方。別に4月からだっていいし、思い立ったが吉日で、今日からだっていいですから、目標
について考えてみませんか。
■ 仕方がない目標
今時、仕事での目標なら、会社の業務の仕組みの中で今年度の営業目標、今期のあなたの営業ノルマ、あ
なた自身の活動計画等々、しょちゅう考えさせられていますよね。
でも、強制されて目標を立てた結果、ほとんどの方は前向きに目標を立てたというよりは、仕方なく数字を並
べたり、活動計画を立てたりしているのではないでしょうか。
そこには、何となく達成できそうな目標値(ターゲット)があるだけで、
「今年はガンガンやろう。」とか 「気を引き締めていこう。」などの決意が微塵もない方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか。
有るのは「仕方がない目標」だけです。 (決意の有る方、ごめんなさい。)
自分で考える(考えさせる)というコーチングの基本を思い出してみて下さい。
目標を立てる上で一番大事なことは、あなたがあなた自身の目標を自分で考えることなのです。これは仕事
上の目標だって同じです。
「仕方がない目標」には「与えられた目標」と同じく義務感しかありません。
■ あなた自身が考えた目標
仕事の目標でも、私的な目標でもいいのですが、今年は是非、あなた自身が考えた、あなた自身の目標を
立ててみてはいかがでしょうか。
「そんなこと言っても俺は三日坊主だから。」 とおっしゃる方。過去にあなたが目標を立てた時のことを思い
出してみて下さい。
特に「よし禁煙するぞ。」とか 「今年は、恋人をつくるぞ。」というような目標を立てて挫折した方。ターゲット
は非常に明確ですが、行動計画が立てにくいでしょう。
★ 一つ下の階層で具体化する ★
目標が「恋人を作る。」の場合のように、あなたの意思だけではいかんともしがたい部分があれば、実行計
画のマイルストーン管理もしにくいはずです。その場合、一つ下の階層で目標を再設定します。
例えば、
「@交友関係を広げる」
「A仕事で目立つ(成果を上げる)」
「B遊びの場でもリーダーシップを発揮する」 等
の目標に置き換えれば、行動計画も立てやすくなります。
もちろん@、A、Bの目標が達成されたからといって恋人が出来る保証はありませんが。
QCをご存知の方は系統図法を思い出して下さい。Aが達成できれば、Bが達成できる。 風が吹けば桶屋
が儲かる程度ではなく、Aの達成が、即BにつながるようなAを見つけて下さい。
★ マイルストーン ★
目標がより具体化できれば、達成度を何ステップかに分け、いつまでに、どのステップを達成するかを明
確にします。
マイルストーン管理って聞いたことありますよね。古代ローマ時代、ローマに通ずる主要な街道にはロー
マまであと何マイルかを示す石標マイルストーンが各所にあったそうです。
現在、マイルストーンは 「いつまでに、どこまでやるか」をかなり明確に設定する意味で使われています。
あなたのゴールまで後どれくらいか、スケジュールと成果度合いの管理をしていくわけです。
○○の資格を取ろうとか、今年は家を買おうとかという目標ならマイルストーンで実行計画を立てることも
たやすいはずです。
■ 目標と進捗は常に確認する
自分の目標を本気で達成するためには、立てた目標、現在までの進捗を常に意識しなくてはなりません。
そのためには、いつでも(少なくとも一日1回は)目に入るようにし、自分の行動意欲を掻き立てるのが効
果的です。
パソコンの画面に目標のスローガンを貼り付けたり、ワンクリックで開けるところに目標シートを常置する。
または、机上のメモボードに目標を大書したメモをピン止めしたっていいですし、兎に角、自分自身の目
標を常に意識しましょう。
そして、同じように今日までの進捗を思い浮かべる。 目標にもよりますが達成度60%とか、具体的な状
況も併記できればベストです。
「そこまでできないよ」と思う方。あなたの目標は絵に描いた餅です。今年もきっと達成できないでしょう。
どうぞ今年も、達成できるに決まっている目標(仕方ない目標)でも立てていて下さい。
前述の仕方ない目標は、目標期間の終了時にはじめて進捗(達成)状況を確認し、達成がされていない
なら、何か言い訳を考えたりしているのではないでしょうか。
あなた自身の目標は、常に進捗を確認し、未達成なら対策を打つ。
こんな当たり前のことができない方、今年はやってみましょう。
仮に仕事上の目標だって、自分が十分納得した目標なら、仕事上の進捗と、自分自身の成長が重ね合
わせられモチベーション向上につながるのではないでしょうか。
5thcolumn
面 談 の 季 節
成果主義を目標管理制度という形でを導入し、1年を上下に区切っている企業にとっては、そろそろ上期
の成果を確認する評価面談の季節が近づいて参りました。
しかし、部下が作成してきた目標管理シートの数値目標を吟味して、数値のやりとりを多少しただけで印
鑑を押すのでは、なんとももったいありません。
まして、それだけで部下とコミュニケーションが取れてると思っていたら大問題です。
目標面談は、上司と部下が2人きりで真面目に仕事への思いを語るコミュニケーションの絶好のチャンス
です。
■ 仕事への思いを聞く
仕事への思いと言っても最初から難しく考える必要は全くありません。
「何をやりたいのか?」と当たり前の質問するのがスタートです。
いきなり、「どんな数字目標にするのか?」などと聴いてしまったら、話は数字だけで終わってしまうわ
けです。
例えば、「今の仕事をどんな状態にしたいかとかの思いがあったら聴かせてよ」と言うのも1つの方法で
す。
即答で 「無いです。」 と言いそうな相手には、
「ちょっと考えてみて、来週の○○日に聞かせてよ。」 と時間を与えます。
部下の 『自分の仕事をこんな状態にしたい』 という思いを達成するために、本人がすべきこと、上司とし
てサポートできることを話し合ってみて下さい。
前向きな時間が共有できるはずです。それが面談なのです。数字目標を掲げるのはそれからでいいじ
ゃないですか。
■ 間口の広い質問 ⇒ 具体的な質問
特に若い方が相手の場合、「わかりません。」 という答えで会話を終わらせないことが重要です。
1) 考えを引き出すために、まずは、間口の広い質問からはじめます。
「今の仕事(担当)はうまくいっている?」
「将来どんな仕事をしていきたいの?」
「能力を発揮してみたいこと何かある?」 とか。
2) 反応に応じて、だんだんと具体的な質問へと絞りこみます。
「今の仕事(担当)を進める上での問題点は何かな?」
「うちの部にいて覚えたことは何? まだ覚えていない仕事は何かな?」
「何かマスターしたいことってあるかな?」
3) さらに、
「じゃあ、○○とか□□を理解しておく必要があるね。今の君の立場で出来ることは何かな?」
「そうか、1年めは○○が完璧に出来るといいね。」
というように考えを確認しながら先へ進めます。
****
また、身近な先輩をターゲットにすることだって可能です。
「○○君のように一人で営業できるようになる為に、今の君に不足している能力は何かな?」
色々考えて、その思いが口に出せたという感覚を部下に与えて下さい。
そして是非、「その目標が達成できたら楽しいね」というような思いを共有して下さい。
■ はなから否定しない
部下があきらかに困難な目標を上げてきた場合でも、
「こんなの無理だよ」とか 「出来っこないよ」と、はなから否定したりしないで下さい。
「大きな目標だけど、実現する手はないかな」という思いを持ち、一緒に考えてみて下さい。
「これが出来たら素晴らしいけど、手ごわい目標だね。1年目にどこまで出来るか考えてみようか。」
とか
「これを実現するために、まずやらなければならないのはどんなことかな?」
と大きな目標をブレイクダウンさせるような質問をしてみて下さい。
部下が自分で成長しようとする気持ちをサポートすることは、目標管理の重要な側面です。
なんだか部下と話がしたくなってきませんか?
是非、面談の季節を有効に使って下さい。
****
何度も解説しているので恐縮ですが、
面談では真正面に座るより、斜め(90度)に座るほうが相手が話しやすくなります。
また、上司であるあなたが、相手からみて左側になるほうがあなた自身も相手の意見を受入れ易
くなります。
そしてあまり近づき過ぎない位置、最低50cm以上は離れたほうがお互いに落ち着きます。
試してみて下さい。
6thcolumn
部下が成長するための指標
ブログのほうに頂いたコメントで気づいたのですが、部下自身が主役となるためには「育成」ではなく「成長」。
つまり本人から見た視線 「育ててやるんだ」ではなく、「成長しよう」が重要なわけです。
先般もご紹介しましたが、私の会社では入社4年目以上の一般職社員に対して、成果主義ではなく、成長を
ターゲットにした目標管理制度を導入しました。
そしてこの制度のみそは、行動特性指標です。 一人前の社員になるまでの行動特性を5段階に分け自分の
現状を理解した上で、ステップアップを図るのです。
**********
この5段階の基本要素をご紹介します。
● Level1 受動的行動
・言われたことはやる (言われないとやらない、言われたことしかやらない)
● Level2 当り前の行動
・言われなくてもやる ・誰でもその状況になればやる
● Level3 判断を伴う行動
・置かれた状況の中でより良いやり方でやる
● Level4 独自の工夫が入った行動
・自分が出したい成果に向け、阻害要因を排除し、状況を作り変えようとする
● Level5 独自の状況を作り出す行動 (パラダイム変革)
・放って置いても成果が自分になびく状況を作り出す
・今までの常識を覆すようなパラダイムの変革を行う
要素は更に6項目に分かれ、レベル毎に行動特性の細かい例示があります。
見て判るように、
Level1〜3は状況に従属する行動、Level4、5は状況を変容する行動となります。
つまりは、Level4以上は頼れる中堅社員。また、Level1は目標管理対象外の新入社員レベルとなります。
*******
上司や先輩に育ててもらうんだではなく、自分のターゲットに向かって成長する。
そのためには、自分が今どのレベルなのかを十分に理解する必要があります。
それを上司と確認しあい、ターゲットを明確にします。当然上司からはサポートもあるはずです。
しかし、実は困ったことが起きました。
多くの方がLevel1から3の間にいたのです。 管理職でさえLevel4に達している方は少ないのです。
今まで自分が一人前だと思っていた管理職自身も、部下の現状レベルを確認しようとして青くなったことでしょう。
やる気を無くす者がいないかちょっと心配ですが、会社の体質改善の第一歩となるかも知れません。
十分なフォローをしながら進めてみたいと考えています。
7thcolumn
面談でのコミュニケーション方法
■ 再び面談の季節です
目標管理制度を導入されている企業の皆様。もし1〜6月で一期間としていれば、今は丁度、上期、下期の変わ
り目ですね。
上期の成果(評価)面談、下期の目標設定面談をやっている頃でしょうか。
私の勤め先の場合、一般職の方々にも目標管理制度を導入していますから特に重要な季節です。
是非、上長、、リーダーの方々は、メンバーの方々とじっくり話す時間を設けて、十分なアドバイスをしてあげて
下さい。
と言っても、周囲の話を聞く限り、面談で、上長が部下に適切なアドバイスをしたつもりでも、部下の側が自分の
成長につながるアドバイスを十分には受けたとは思っていないのが、一般的なようです。
■行動特性指標(コンピテンシー)の活用
前項でもご紹介しましたが、私の勤務先では、単に目標管理を導入しているだけでなく、若い社員(入社10年
目位まで)の場合、成長の目安として定めた行動特性指標があります。
これを例として、部下とのコミュニケーションを深め、成長につながるような指導を行う方法をご紹介します。
(行動を確認する)
行動特性として定めた6要素、
@行 動 力
A率 先 性
B顧客志向
Cチームワーク
Dネットワーキング
E組織感覚
について、部下がこれまでの6ヶ月の中でどんな行動をしてきたのかを、1項目ずつ訊ねて確認します。
その中で、好ましい行動、改善すべき行動を指摘します。
また、改善すべき行動に関しては、今後6ヶ月の中でどんな行動をすべきかの指導も行います。
例えば、5年目社員の『ネットワーキング』なら、
『部門内の意見を取りまとめ整理し、部門の意見として他部門と調整できる』 という要素がありますが、
「A君は、実際にこれに沿った行動を何かした?」と訊いてみて下さい。
「いやあ、そこまではやってないです。」
「そうか」 とこれで終わっては、コミュニケーションとは言えません。
「□□の作業をした時、どんな風に各部と調整したの?」
「Bさんに聞いて、各部にどうして欲しいかを伝えて、意見を聞きました。」
「各部の誰に話をしたの?」
「Cさん、Dさんです。」
「そうか、だいぶやれているじゃないか。もう一歩頑張ってCさん、Dさんに 自分の部門の意見をまと
めてきてもらえば調整と言えるよ。」
「そうですか、次はやってみます。」
例えばこんなやり取りで、本人も気付いていなかった良い行動に気付かせたり、足りない部分があれば指
摘するのが双方効のコミュニケーションです。 相手の能力によって会話のレベルを考えて下さい。
但し、コミュニケーションは単なる会話術ではありません。部下の成長を願うこと、部下の行動をきちんと
観察することがベースになります。
〆〆〆
そこまで、いたれりつくせりにしなくてもいいじゃないか。という意見があるかもしれませんが、
もちろんガンガン責めたっていいです。
耐えて能力を発揮できる部下かどうか普段から部下をきちんと観察して、きちんと判断できるならば。
でも、多くの場合、ガンガンやられた部下は反射的行動が得意になったり、ガンガンやった相手に対して
の対応のみが得意になったりもします。
一方的指示・命令による指導方法は、若年層を鍛えるためにはBESTな方法であっても、或る程度仕事が
できる部下を、更にオールラウンドな対応ができるように育てるための方法としては適切とは思えません。
ケースバイケースで考えてみて下さい。
■積極的に聴く為に
ふんぞり返って「じゃあ説明してよ」と言っても心を開く相手はいません。
面談では、相手の話を積極的に聴くために幾つかのことを心がけましょう。
●会話を遮らない
前回も説明したように急かしたり、結論を言ったりせず、相手の言い分をしっかり最後まで聴きましょう。
●ペーシング
うなずいたり、時には、相手のセリフをそのまま繰り返すのも話をしやすくします。
・・・「○○なんですよ。」 「○○なんだよねえ。」 と。
いつも同じことを言っているようですが、それでも自分だけが話そうとする上司の方を見かけます。
そんな方は、今日は部下に話させるのが目的、自分が話すのは我慢しようと心に決めてから面談をし
て下さい。
(これが今回、一番重要なスキルかもしれません。)
■ゴールのイメージを共有する
仕事やプロジェクトが中々前に進まないという話を巷でよく耳にします。
嘆いている方々に理由をうかがうと、プロジェクトに参加している立場に関わらず、大体は以下の原因を
上げておりました。
●自分の意志でその仕事、プロジェクトに参加したわけじゃない。
●他の仕事が忙しい。自分ばかり仕事を掛け持ちしている。
●ゴール(結果、成果、成果物)の方向性がはっきりしない。
●必要な情報の入手方法がわからない。
●イメージしていたゴール(結果、成果)が受入れられないことがわかった。
●努力して作り上げた成果が不明確な理由で却下されたことが過去にある。
●船頭が多い(進め方について意見を言う方が多い)。
理由は色々ですが、恐らく以下の3点に集約できます。
@自分自身のゴールのイメージが明確にはなっていない。
Aゴールのイメージが上司やメンバーと共有できていない。
Bゴールまでの道筋を自分の意志・能力で決められない。
これって、プロジェクトの開始時に、目標設定面談の要領できちんとコミュニケーションをとれば防げるこ
とばかりです。
すなわち、
・どこまで任せるか(権限委譲の範囲)
・どんな成果(ゴール)を上長が望むのか(具体的な結果形)
・いつまでに、どこまでをやるのか(期限・成果のレベル)
・本人の力でどこまでできるのか(能力確認)
・どんな方法(方向性)で作業を進めるか(プロセス確認)
・上長、周囲からどんな支援が必要か(サポート体制)
これらの要素について、上長と本人がじっくり話して共通認識を得れば良いだけです。
このやり取りをして、初めてコミュニケーションと言えるのです。
「だけです」 と言っても、部下ときちんと話し合う習慣の無い上司には困難なわけですが。せっかく面談
の季節なわけですから、部下ときちんと話して下期の活動内容を一緒に考えてみてはいかがでしょうか?
何回か面談を行ううちに、本人が自分で考える機会をだんだん増やし、実際に自分自身で具体的な行動
を考えられるように育てば、ちょっと物足りなかった部下だって、あなたのチームの重要な戦力となってく
れます。 (たぶん)
〆〆〆
もちろん、自分で考えて動ける優秀な部下は放って置けばよいし、右も左も分からない部下には問答無
用で指導するのも効果があります。相手に合わせたテーラーメイドな教育が求められているわけです。
*****
本日の解説は、何度もご紹介したスキルの組み合わせです。すみません。
でも大事なのはスキルをマスターすることではなく、この半年、1年、2年で、部下をどう成長させたいか
と、あなた自身が真剣に考えることなのです。
是非、お互いが満足できる面談をしてみて下さい。
NEXT Column 現在作成中です。しばらくお待ち下さい。